


DOMUS X(エックス) 書物の穹窿(きゅうりゅう)
DOMUS X(エックス) 書物の穹窿(きゅうりゅう)吉増剛造 |
”懐かしい、すぐ傍(そば)の昔が。”ふと漏れたこの小声は、久しぶりの嬉しい古書メールマガジンさんからのご依頼をよろこぶ心と、古本、古書がそっと漏らした小声であったのかも知れなかった。しかしながら『DOMUS X(ドムス・エックス)』は、”本ならざる本”=”木ならざる木”これもすこし変わった小声なのだ。”本ならざる本”=”木ならざる木”から、そう”家ならざる家”といい替えることも出来るのではないのだろうか。
コトニ社の後藤亨真氏、書肆吉成の吉成秀夫氏、田端文士村の木口直子さん、そうして剛造とマリリアさんが、”家ならざる家”の家族なのだが、もうおひとり、その”お家(うち)”の天上に、幻の大樹が光に戦(そよ)ぐ美しい枝葉を揺らしていて、その幻の大樹がオーケストラの指揮者の役目を果たされた、装幀家宗利淳一氏である。 DOMUS(ラテン語の家)と名づけたのはマリリアさんだった。X(えっくす)は剛造。卓越した技術の図書印刷さん、澁谷さんと岩瀬さんにも深謝を。 小文を綴りはじめてからもう十日か二週間、立ちどまり考えても考えても、DOMUS X(エックス)の樹下に辿りつかない。おそらく、しばらく考えていて、気がついていた。この”辿りつかなさ”は、日記性にあったのではないのだろうか。誰もなし得ないような「日記性」に、……。勿論、毎週木曜日に発信するので、ポルトガル語でQuinte-feiraキンタフェーラと名付けているのですが、ここにおそらく”誰も知らない日記性”が、隠れて胚胎していたのかも知れなかった。考えてみると、写真ご担当の木口直子さんとの出逢いが、その”めばえ”に似ていた。芥川龍之介展ご担当の木口さんの写真の切り出し=瞬間の別の切り口をみる眼に驚いたときの、そのときとの出逢いも、この”誰も知らない日記性”にあったのかも知れませんでした。後藤さんとも吉成さんとも。地縁もあるいは、この日記性とつながっている。札幌あるいは札幌大学が縁だった……。とすると故山口昌男氏、この大学者の俤も、このDOMUS X(エックス)の背景にはっきりとうかびあがってくる。そして吉成、後藤氏の師でもある今福龍太氏の姿と心もまた、……。あるいはサンパウロに立つ、ガローアという霧もまた、……。地縁、風土性を、”誰も知らない日記性”に倣(なら)っていい変えてみると、少し飛躍してですが”心の周波数性=soul’s frequency”と名付けることも叶う。そう、つまり、”家なき家”の”スタッフならざるスタッフ”は、何処にもないような放送局=stationを創ろうとしたのだった。カソリックのstation dayは金曜日なのだが、……。 ”編集なき編集”とくにこれはコトニ社後藤亨真氏、書肆吉成の吉成秀夫氏のお心を憶測、推量してのことなのだけれども、折しもコロナ禍のさなかにあって両氏のお心の底に、”編集の潮目”といったらよいのか、発生状態への模索への意志があったのではなかったのだろうか。”コンピュータ難民”というよりも、”盲目的な発信者/剛造”を、その”潮目の渦潮……”に晒すという決断があったらしい。そして、優れた指揮者、枝葉を揺らすひと、宗利淳一氏も後藤亨真氏も想像をしなかった筈の”書物ならざる書物”が2024.3.7.に誕生することとなった。不知の未来の現在である、とわたくしは想う。 わが親友(とも)にして、後藤、吉成両氏の師でもある今福龍太氏は刊行寸前の2024.3.1(受信)に、次のような驚異のVisionを伝えて来てくれた。”DOMUSはドームDome 半円球の涯てなき天球なのだ”と。この刹奈、DOMUSは小さなそして巨きな天球宇宙となったのだった。その天球の歌手Marylyaさんのご挨拶をここに。 ”懐かしい、すぐ傍(そば)の昔が”冒頭でふと漏れたこの小声は、穹窿(きゅうりゅう)の何処に居るのか、黄金虫(こがねむし)か、蜻蛉(せいれい)の親たし気な小声だったのか知れなかった。 ![]() 書名:DOMUS X 著者:吉増剛造 刷り部数:499部限定[ナンバリング付] 造本:上製+本表紙箔押し+コデックス装+天アンカット+シュリンク包装 判型:菊判[縦225mm×横150mm] 頁数:248頁[カラー184頁+モノクロ64頁] 定価:18,000円+税 装丁:宗利淳一 出版社:コトニ社 好評発売中! https://yoshimasu.bookstores.jp/stuffs/efW8RuXT09 |
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『統治理念と暴力——独立インドネシアの国家と社会』【大学出版へのいざない16】
『統治理念と暴力——独立インドネシアの国家と社会』【大学出版へのいざない16】今村祥子(京都大学東南アジア地域研究研究所 連携講師) |
インドネシアは今年、5年に一度の総選挙と大統領選挙を迎えた。32年にわたり独裁的統治をしいた第二代大統領スハルトが退陣してすでに四半世紀が過ぎ、直接選挙により指導者が交代する仕組みはこの国に定着している。民主主義への国民の支持は高い。
だが他方で、国家権力から個々の市民を守ろうとする自由主義の思想が同様に広く支持されているとは言い難い。強い指導者の下で国全体の利益を優先しようとする主張が、無視しえない支持を集めている。今回の大統領選挙で(国家機関の中立性が疑われる選挙だったとはいえ)、頭一つ抜けた戦いを展開したスハルトの元娘婿、プラボウォ・スビアントは、まさに反リベラリズムを掲げて政党を設立し支持を広げた人物であり、その思想にはスハルト体制との連続性が見られる。 民主化後のインドネシアで、かつての独裁者に似た反リベラリズムを掲げる候補者が高い支持を得る現象を、どう捉えればいいのだろうか。プラボウォの選挙戦術の巧みさだけで説明できるだろうか。それとも、より根深い要因に目を向けるべきなのか。 本書は、いま一度スハルト体制の統治とその壊れ方に着目し、現在に残されたスハルトの遺産を考察するものである。スハルトの支配を理解する上で本書が軸とするのは、第一に、国家と社会の調和的一体性を強調する国家原則(「パンチャシラ」)、第二に、国家による無法の暴力、とりわけ民衆の暴力性を敢えて利用した暴力のあり方だ。一見異質に見える二つの要素が、実は深く結びつき、スハルト体制の統治の特質をなしていたとするのが本書の主張である。 オランダとの独立戦争でゲリラ戦を戦い、独立後は地方軍閥を相手に対ゲリラ戦を戦った国軍にとって、一般民衆を戦闘に動員することは自然なことだった。だからこそ、民衆の暴力性という強力な武器が、魅力的なイデオロギーによって動員されたときの脅威も強く認識されていた。 パンチャシラはもともと、多様なインドネシアの人々を一つの国民にまとめるために初代大統領スカルノが編み出した包摂の原則だったが、スハルトの下では、あらゆるイデオロギーを拒絶する排除の原則へと変質した。共産主義もリベラリズムも、国家と社会の対立を前提としており、両者の調和というインドネシアの伝統的価値とパンチャシラに反するとされ、禁じられたのである。あらゆる政党はパンチャシラを唯一の原則とすることを強いられ、民衆を引き付ける術を失った。 こうして、反イデオロギーのイデオロギーともいえるパンチャシラは、イデオロギーによって動員されうる民衆の暴力性という、武器とも脅威ともなりうる道具を政党から引き離し、政府が自在に利用する余地を生み出した。この意味において、調和を尊ぶパンチャシラと、民衆の暴力性を利用する統治手法とは結びついてい このような手法が、具体的にどのような形で表れたか。本書は4つの事例で検討している。第一に、スハルト体制成立の契機となった「9・30事件」後に発生した、「共産主義者」への大虐殺(1965年~1966年頃)、第二に、スハルトのパンチャシラ政策を批判するイスラーム勢力を弾圧する口実として、ムスリム住民のデモ隊を「暴徒」に仕立て無差別発砲したタンジュンプリオク事件(1984年)、第三に、スハルト体制を支える汚れ仕事を担ってきたゴロツキらが、犯罪掃討作戦を装って超法規的に殺害された「謎の銃殺」事件(1983年~1984年頃)、第四に、体制崩壊の直前に発生した1998年5月暴動である 紙幅の関係上、スハルト体制崩壊の引き金を引き、かつ今の大統領選挙とも直接関わる5月暴動を取り上げよう。5月暴動は、スハルト体制に対する民衆の怒りの爆発であったと同時に、扇動によって市民の暴力を引き出した上で放火により虐殺するという、極めて残虐な国家の暴力でもあった。言い換えれば、扇動によって民衆の暴力を引き出すことがいかに容易か、それを証明しながらスハルト体制は倒れた。本書は終章において、独裁体制のこのような両義的な壊れ方が、民主化後のインドネシアにいかなる遺産を残したかを考察している。例えば、5月暴動での煽動、放火、華人女性へのレイプについて、これまで誰ひとりとして責任を問われていない。そればかりか、暴動への関与が強く疑われるプラボウォ・スビアントは驚異的な復権を果たし、いまや新たな大統領になろうとしている。 民主化後のインドネシアが辿った四半世紀の軌跡は、本書とはまた別の研究を要する大きな、かつ切実なテーマである。だが、民主化後のインドネシアで、なぜ非自由主義的な主張がなお力を持つのか、なぜ国家と社会の対峙を前提として国家権力を法により縛るという理念が、容易に脇へ追いやられるのか。これらの問題を考える上で、スハルト体制の構想した国家・社会関係の遺産は無視することができない。 本書を書くにあたり、いくつもの幸運に助けられた。「謎の銃殺」事件で標的となりながら、逃亡を続けて生き残ったゴロツキ組織のボスにインタビューできたこともその一つである。たまたま助言を求めた犯罪学の専門家に、「生き残った被害者を一人知っている」と紹介されたのがきっかけだった。実はその犯罪学者が、ボスの逃亡中に残された家族の生活を世話していたこと、彼の紹介だったからこそボスは私に会ってくれたことを、後で知った。 このボスのような被害者が、過去の人権侵害について責任追及の声を上げられる空間がインドネシアに残るのか否か。インドネシアの民主主義は、今まさに重大な岐路にある。 ![]() 書名:『統治理念と暴力――独立インドネシアの国家と社会』 著者名:今村祥子 出版社名:東京大学出版会 判型/製本形式/ページ数:A5判/上製/324頁 税込価格:8,140円 ISBNコード:978-4-13-036288-7 Cコード:C3031 好評発売中! https://www.utp.or.jp/book/b10042450.html |
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あきた文学資料館 『種蒔く人』に導かれて 【書庫拝見23】
あきた文学資料館 『種蒔く人』に導かれて 【書庫拝見23】南陀楼綾繁 |
昨年11月のある晩、秋田から東京に向かう新幹線の中で、一冊の本を読んでいた。
秋田新幹線は在来線と同じ線路を走るため、新幹線と思えないほどスピードが遅い。また、単線なので通過待ちもある。さらにこの日は、鹿かなにかの動物と接触したせいで30分以上遅れが生じた。 しかし、長い乗車時間が気にならないほど、私は『種蒔く人 小牧近江の青春』(筑摩書房)を熱中し、東京に着くまでには読み終えていた。 一冊の本に呼ばれるこの本を買ったのは、秋田市にある〈板澤書房〉だ。 2011年に初開催された一箱古本市に参加して以来、秋田市を訪れるたびに、この店を覗いている。奥に長い店には、秋田の郷土資料や文学に関する本がずらりと並ぶ。 秋田市では昨年7月に水害があった。板澤さんも店は無事だったが、倉庫の本にかなりの被害が出たそうだ。 棚を眺めていて、すっと手が伸びたのが、『種蒔く人 小牧近江の青春』だった。1995年に出た本で、著者は北条常久。聖霊女子短期大学教授とある。秋田の短大だろうか? 大正期に出た雑誌『種蒔く人』が秋田に関係していることは、かろうじて知っていたが、小牧近江が何者なのかはその時点ではまったく判らなかった。ただ、いまこの本を読むべきだという直感が働いた。 板澤書房のあと、雨の中を歩き、〈あきた文学資料館〉に行った。元は学校だった建物のようだ。 あきた文学資料館 1階の展示室では、「生誕120年 伊藤永之介」展が開催中だった。『警察日記』で知られる秋田出身の農民文学者の生涯をたどるもので、ガラスケースに著書や原稿、書簡が展示されている。 伊藤永之介展 その中で『種蒔く人』という言葉が目に飛び込んできた。 伊藤は若い頃、銀行勤めをしながら文学書を乱読した。1921年(大正10)、彼は〈石川書店〉で『種蒔く人』を手にしたという。 「パンフレットというよりはリーフレットというに近い、薄い『種蒔く人』の、表紙に刷り出された銅板のミレーの種蒔く人の絵は、いまだに私の眼底に残っている」(「一時は乱読も良し」『文学入門』信友社、「生誕120年 伊藤永之介」パンフレットより引用) この〈石川書店〉は、伊藤が勤めた日本銀行秋田支店の隣にあり、現在も同じ場所に建つホテル内で営業している。 展示を見てから、『あきた文学資料館だより』のバックナンバーを眺めていると、同館では2022年に創刊100年を記念した「種蒔く人びと 新しい光(クラルテ)を秋田から」展を開催している。北条常久さんは、名誉館長であるという。例の本の著者じゃないか! なにか、『種蒔く人』に呼ばれているような気がした。 秋田の三人がつくった雑誌以下、『種蒔く人 小牧近江の青春』、秋田県高等学校教育委員会国語部会編『秋田ふるさとの文学』(無明舎出版)などをもとに、『種蒔く人』のアウトラインをまとめておく。 小牧近江は、1894年(明治27)、南秋田郡土崎港町で生まれる。本名は近江谷駉(こまき)。土崎小学校の同級生に、のちにともに『種蒔く人』を創刊する金子洋文と今野(いまの)賢三がいた。 父の近江谷栄次は事業家で政治家でもあった。小牧は、国会議員に当選した父とともに東京に出て、暁星中学に進学。その後、16歳で父とともにパリに留学。父の帰国後、働きながら一人でパリで暮らす。 小牧は第一次世界大戦下のフランスで、反戦平和の運動に出会い、ロマン・ロランらの思想に影響を受ける。そして、アンリ・バルビュスが中心となった反戦・反ファシズムの「クラルテ」(光)運動に参加する。 帰国した小牧は、外務省に入省し、日本でクラルテ運動を広げようとする。そこに、金子洋文から連絡がある。金子は雑誌『白樺』の愛読者だった。二人は雑誌を出すことを決める。 ここに同級生の今野賢三が加わる。土崎で活動弁士をしながら小説を書いていた今野が土崎港の印刷所を紹介し、1921年2月、『種蒔く人』創刊号が発行される。これを「土崎版」と呼ぶ。わずか18ページだが、日本のプロレタリア運動の源流と評価されている。 土崎版が資金不足で3号で休刊した半年後、『種蒔く人』東京版が創刊される。小牧が敬愛するアンリ・バルビュスをはじめ、秋田雨雀、有島武郎、長谷川如是閑、石川三四郎、宮島資夫、小川未明、山川菊栄らが執筆。画家の柳瀬正夢が表紙に爆弾のシンボルマークを描いた。 東京版は4回の発禁を受けながら、1923年(大正12)8月まで発行されたが、関東大震災によって廃刊となった。そこで彼らの運動が終わらなかったことは、後で見る。 『種蒔く人』をめぐる資料12月9日、ふたたび、あきた文学資料館を訪れる。顧問の京極雅幸さんと学芸主事の伊藤英子さんが出迎えてくれる。 同館は、秋田ゆかりの作家の資料を収集、保存、公開するとともに、文学活動の拠点とする目的で、2006年4月に開館した。それまで郷土資料は、県立図書館と県立博物館が収集していたが、文学に関する資料を収集する機関が必要だと、研究者の提言を受け入れたものだ。 同館の建物は高校の校舎だったもので、2階にある保管庫も3つの教室を使っている。開館から18年近くが経ち、現在では約9万点を所蔵する。一部は県立図書館に保管されている。 書籍の棚 保管庫には書籍、雑誌、書簡、原稿、写真など、さまざまな資料がある。ジャンル別に分類されているものと、寄贈者ごとにまとまっているものがある。 それらの膨大な資料から、京極さんと伊藤さんが次々に選んで見せてくれる。めちゃくちゃ面白いのだが、とてもメモを取り切れない。 まず、『種蒔く人』関係から。 土崎版は第2号と第3号が所蔵されている。 『種蒔く人』土崎版 第2号 また、「帝都震災號外」は関東大震災の翌月に発行された。その「同人消息」には、同人がどのように震災に遭遇したかが、生々しく綴られている。 そして、翌年1月には『種蒔き雑記』を発行。表紙には「亀戸の殉難者を追悼するために」とある。「亀戸」はもちろん亀戸事件のことだ。 金子洋文が書いた「平沢君の靴」にあるように、社会主義者の平沢計七ら10名が亀戸警察署に捕らえられ、虐殺されたのだ。 『種蒔く人』帝都震災號外 『種蒔き雑記』 小牧近江については、遺族から書簡などの資料が寄託されていたが、2022年の展示を機に寄贈されている。その中には、秋田県生まれの小林多喜二から小牧に充てた葉書もある。 小牧が影響を受けたアンリ・バルビュス『クラルテ』もある。そこには「つねにわが心を鞭打つ本である」という書き込みがあるという。 『クラルテ』 さらに小牧(近江谷)一族による家族雑誌が4種類ある。1961年に創刊された『翼のごとく』は、1978年に小牧が亡くなったあとも発行された。 『翼のごとく』 金子洋文、今野賢三の著作が並ぶ棚もある。今野の棚には、梅原北明が発行した『文藝市場』の「世界魔窟小説集」号もあった。こんな雑誌にも寄稿していたのだ。 『文藝市場』 俳誌からスクラップブックまで当然だが、『種蒔く人』以外にも、秋田出身の作家は多い。保管庫には石川達三、小杉天外、後藤宙外らの著作や研究書が並ぶ。『新青年』で探偵小説を書いた渡辺温の資料もある。秋田出身だとは知らなかった。 坂口安吾の恋人としても知られる矢田津世子は、五城目町の出身。同館には『茶粥の記』などの著作や執筆メモなどを所蔵する。なお、五城目には「矢田津世子文学記念室」もあるという。 矢田津世子『茶粥の記』 「秋田県には俳句の雑誌が多いんです」と、京極さんが話す通り、石井露月、島田五空らの俳人が多く出ている。 露月、五空らが1900年(明治33)に創刊した『俳星』は、正岡子規が命名し、題字も書いた。2014年に休刊するまで、1140号続いた。同館に所蔵されている最も古い同誌は第4号。創刊号から3号までは幻とされたが、近年、能代市立能代図書館で発見され、ネットで公開された。 また、島田五空の俳句帖も所蔵されている。 『俳星』第4号 島田五空の俳句帖 驚いたのは、プロレタリア文学研究者で、織田作之助、開高健らの書誌を編んだことでも知られる浦西和彦の旧蔵資料があったことだ。浦西さんは関西大学の教授だった人で、大阪出身だ。聞けば、県内研究者と学会での付き合いがあったことから、生前に受け入れたのだという。 伊藤永之介らプロレタリア文学者の著作や雑誌類など、貴重な資料が多い。なかでも、土方与志らが設立した「新築地劇団」関連の資料が充実しているという。「浦西さんが書誌に利用した資料を見たい」と、訪れる研究者もいるそうだ。 今回の取材で私がいちばん興奮したのが、赤川菊村の資料だ。菊村は1883年(明治16)、仙北郡藤木村(現・大仙市)に生まれ、教員を経て新聞社に勤務。生涯に新聞社14社と雑誌社3社で働いたという。 東京毎日新聞の記者だった1912年(大正元)、乃木希典夫妻の自殺をスクープし、号外を出したと云われる(文学館の調査ではスクープの事実は確認できない)。文化史家としての面もある。 同館には、菊村が残したスクラップブックが数十冊残されている。その何冊かを見せてもらったが、会った人物の名刺、入場券、チラシ、書簡など、さまざまな紙類が貼り付けられていて、見ていて飽きない。 2022年、同館では「scrappbooker 赤川菊村」という展示が開催された。そこでは、次のようにある。 「菊村は捨てない人である。収集した厖大な紙片を、整理し保存する。その過程を経て、紙片は資料となる。それを具体化するツールとして菊村はスクラップブックを選んだ。菊村は希代の「scrappbooker(スクラップブッカー)」であった」 私はこれまで、多くのコレクターの手になるスクラップブック(貼込帖)を見てきたが、菊村のそれは分量も内容も素晴らしく、じっくり見ていけば多くの発見があるはずだ。 京極さんによれば、菊村は俳人・石井露月の全集の刊行を意図し、露月の日記を別々の新聞や俳誌に掲載した。活字になったものをスクラップブックに貼り、「全集刊行の前駆」としたのだという。ずいぶん遠回りなことをやっているようだが、本人なりの計算があったのか。ただ、結果として露月の全集は実現しなかった。 ここに来るまでは名前すら聞いたことがなかった赤川菊村について、知りたくてたまらなくなった。 赤川菊村のスクラップブック1 なお、同館の資料は、「秋田県立図書館デジタルアーカイブ」のあきた文学資料館のページから検索することができる。 秋田の文学の拠点としてあきた文学資料館では、開館以来、年に3回の展示を開催して、収蔵資料を紹介している。 たとえば、2012年度の「秋田の出版人」は、角館出身で新潮社を興した佐藤義亮、秋田市出身で『中央公論』の編集長を務めた滝田樗陰、竹久夢二らの本を出した龍星閣を興した小坂出身の澤田伊四郎らを特集している。その中に、1970年代に『面白半分』を発行していた佐藤嘉尚が入っているのに目配りの良さを感じる。 「予算がないので図録は出せません。その代わりに、展示パネルをもとにしたパンフレットを作成して、希望者にお渡ししています」と、京極さんは云う。 このパンフレットはプリンターで出した簡易的な冊子だが、出版物として扱われないのがもったいないほどよく出来ている。いつか、これらのパンフレットを合本して、出版してほしいほどだ。 私も観た伊藤永之介展では、『農村と文学』『新しい湖』の2冊を作成。前者は伊藤のスクラップブックから、本人が意図した書籍の再現を試みたもの。後者は中断した雑誌連載に、生原稿から起こした回を追加したもの。どちらも、今回初めてまとまった「本」だ。 学芸主事の伊藤英子さんは、高校の教員を経て、7年前から同館に勤務している。作家の自筆原稿に触れる際には、緊張するという。 「一回の展示を開くまでには、資料を読み込んで正確な情報を得るようにします。時間はかかりますが、判らなかったことを突き止めたときには達成感がありますね」と、伊藤さんは笑う。 同館には、有名、無名にかかわらず、秋田の文学に関わった人物の資料が豊富にある。これを活用する研究者がもっと増えてほしいと、京極さんと伊藤さんは期待している。 翌日、もういちど同館を訪れると、名誉館長の北条常久さんが待っていてくれた。 北条さんは1939年(昭和14)生まれ。早くから両親と別れ、福島県で育つ。東北大学文学部卒業後、秋田の聖霊中学・高校に赴任。その後、東北大の修士課程を経て、聖霊短大に赴任した。同校が土崎にあった縁で、『種蒔く人』の資料を読みはじめたのが、研究のきっかけだという。 生前の小牧近江や金子洋文と何度も会い、酒を飲んだ。「小牧さんは温厚で学問好きな人でした」と、北条さんは振り返る。 北条さんは、あきた文学資料館の設立の中心人物でもある。同館ができたことで、小牧近江の資料が寄託され、のちに寄贈された。 次回見るように、土崎図書館には、金子洋文と今野賢三の資料が所蔵されている。また、県立図書館にも関連資料がある。『種蒔く人』を研究するための資料が、秋田には揃っているのだ。 2022年には、『種蒔く人』創刊100周年を記念して、「種蒔く人」顕彰会編『『種蒔く人』の射程 一〇〇年の時空を超えて』(秋田魁新報社)が刊行された。 顕彰会の会長である北条さんは、序文で、『種蒔く人』の研究の幅が広がり、テーマも多岐にわたるようになったと、感慨深そうに書く。 「秋田は人間関係が濃密で、『人の塊り』みたいなところなんです」と、北条さんはおっしゃった。次の取材では、私自身、そのことを体感することになる。(この項つづく) 1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」の代表。「一箱本送り隊」呼びかけ人として、「石巻まちの本棚」の運営にも携わる。著書に『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』(ちくま文庫)、『古本マニア採集帖』(皓星社)、編著『中央線小説傑作選』(中公文庫)などがある。 X(旧Twitter) |
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懐かしき古書店主たちの談話 第5回
懐かしき古書店主たちの談話 第5回日本古書通信社 樽見博 |
なないろ文庫主というよりも、「彷書月刊」編集長の田村治芳さんについても触れておきたい。中野智之さんは前記したように私と同年だが田村さんは昭和25年生まれだ。東京の古書業界には昭和29年も多いが、25年生まれも稲垣書店主中山信行さん、前全古書連会長の河野書店河野高孝さん、浅草御蔵前書房の八鍬光晴さん、えびな書店主蛯名則さんなど多士済々である。四歳違いだが同世代と言ってよいかと思う。同じ時代を生きてきたという思いも強い。
田村さんは、会合で私を紹介する時に「古通は昔から私の大好きな雑誌で」とよく言われた。本誌への署名記事はないが、「東京ふるほんやある記」の連載で南部世田谷地区の古本屋紹介(昭和62年5月号)を担当してくれた。この連載は昭和52年に第一版を刊行した『全国古本屋地図』の東京篇が古本屋散歩形式ではなく、専門店紹介であったのを、全店紹介の読み物風に変更するための連載企画で、編集部で実際に歩いて書いたほかに、当地の古書店主に依頼して書いてもらった所もある。東部地区は稲垣書店さんが担当してくれたが(昭和62年2月号)、田村さんと中山さんの書いた回は断トツに面白く好評であった。中山さんには私から頼んだのだが、田村さんは何方かの代わりであったと記憶する。当時古書会館四階に当社の事務所があったが、原稿を持参してくださった。その頃か、その後か記憶は曖昧だが、東京駅地下で古書即売会が開かれていた時代があり、呼び込みをしていた田村さんの何とも形容しがたい迫力に驚いたことがあった。 今春(2023年)、本誌の読者で俳人の長谷川政国さんが、「ぽかん」という大阪で出されているリトルマガジンに石神井書林の内堀弘さんが田村さんの思い出を書いていますよと「千代田区猿楽町1-2-4」と題した連載1、2回目(2013、2014年)のコピーを下さった。内堀さんは「彷書月刊」の編集員を長く勤めていたが、田村さんの死と、「彷書月刊」終刊の経緯を赤裸裸に綴ったもので驚かされた。長谷川さんは続きの号が見つからないというので、私は内堀さんにお願いして残りの連載3、4回(2015,2017年)のコピーを頂き、今回の連載で触れて良いだろうかと伺い了承を受けた。内堀さんとしても書いておかねば心の整理がつかないとの思いが強かったのだと推察する。詳しくは触れないが、読後、周囲との軋轢や齟齬が深まる中でも、「彷書月刊」の継続に執念を燃やした田村さんの姿には強く胸に迫るものがあった。 田村さんが千駄木の病院に入院されていた時に、青木正美さんとお見舞いに伺ったことがある。小さな鉢植えのサボテンを持参したのだが、田村さんは「こういう可愛い頂き物をしたのは初めてだ」と笑っておられた。その折「青木さんは古本屋の物書きとして確固たる存在だけど、そっちも徐々にそうなりつつあるね」と言われた。田村さんは当時「彷書月刊」に日記を連載されていたが、その日は「青木正美さんがN社のT氏と来てくれた」と書いている。 『彷書月刊』に私は一度依頼を受けて執筆している。2007年10月号本の虫特集である。田村さんから書物展望社本について是非あなたに書いて頂きたいという熱意の籠った依頼状が届いた。八木福次郎が『書痴 斎藤昌三と書物展望社』(平凡社)を出したが2006年1月だから、八木に依頼がありそうなものだが私にという事だった。私は斎藤昌三の最大の功績は「書物展望」の刊行継続にあると思っているので、テーマが少しずれるが良いだろうかと聞いて了承を受け「書物雑誌の人 斎藤昌三」を書いた。これは斎藤さんをテーマにしているが、実は八木福次郎論を意図したものだ。八木は斎藤さんを編集の範とした。長く続いた八木編集時代の「日本古書通信」は多分に「書物展望」を継承している。因みに人間や物書きとしては柴田宵曲さんを尊敬してやまなかった。不思議なことに斎藤、柴田の接点は非常に小さい。一方で柴田さんの盟友森銑三さんと斎藤さんは関係がある。八木は勿論斎藤さんとも柴田さんとも違うが二人を師と仰いでいたことは確かだ。私は八木を通してお二人を見てきた。そんな事もあり、拙著『古本愛』(平凡社・2008)では「書物雑誌の人 斎藤昌三」を巻頭に据えた。田村さんに良いテーマと書く機会を与えられたと思っている。 2002年秋に刊行された毎日新聞社アミューズ編『神田神保町古書街ガイド』に、私と田村さんと、上野広小路の上野文庫中川道弘さんの鼎談「日本全国「古本屋」談義」が掲載されている。あれから20年も過ぎたのかと感慨深いが、五ページの記事の中に「ネット」という言葉が一回も出てこない。各地の古書目録の話題が出てくるから旧時代の古本屋談義ということになる。上野文庫さんも極めて個性的な方で、独特の存在感のある方だったが癌に冒され早世された。「日本古書通信」に出店広告を何度か出して下さったが、店内の分野ごとの書棚の配置を細かく記すことに拘わられた。あまりそういう例がないので良く覚えている。少しやつれた姿を古書会館でお見受けした折、話しかけようとしたら「私は癌ではないですよ、いろいろ言われるまえに言っておかないとね」といきなり言われたのには驚いてしまった。 鼎談での田村さんの発言は極めてオーソドックスで当を得たものである。「千差万別の古本屋がいたほうがいいんだよね。それが例えば1000人古本屋がいて、みな同じ顔をして、1冊の本を同じ評価をしていたのではだめなんです。ただ同じような店が一万軒あるより、特色を持った1000軒が出てくるほうが大事」「余裕というのは大事でね。古本屋も、探している本、必要な本だけ買う客ばかりだと商売にならない。役にたたないけど、買っておこうかという客がいないとだめ。それに、客に来てもらわないと。古本屋は客から教えられるところがありますから」「10年くらい前までは、客から持ち込みのあった漫画に、こちらが値段を付けて並べてたらそれで売れた。今は、それでは全然だめです。何が売れていて、なぜ売れているかがわかる専門スタッフが必要」などと話されている。この鼎談は「東京新聞」の「大波小波」が取り上げてくれ、「何やら達観も諦念も自尊心も自虐も混じった雰囲気」「誰も彼も余裕を無くして気ぜわしさだけが増殖する。昨今の大学生には、人が触れた古本は嫌だという清潔志向もある。きれいはきたない、という言葉も思い出した」と書いている。私としても思いで深い鼎談である。 根津にあった古本屋古書ほうろうで、田村さんのトークショーがあり、私も伺った。その時配布された2点の刊行物が残っている。なないろ文庫が発行の『森俊光特集』と『ストイケイオン』14だ。田村さんは追悼詩を書いている。私は田村さんと長い時間、親しく話したこともなく、理解しているとも思わないが、時に聞く伝説のような奇行や言動とは別に、深く本を愛した方のように思えるのである。斎藤昌三さんも「書物展望」の継続には言うに言えない苦労があったろうと思うが、執念が戦時中の休刊からの復刊を含め昭和六年から二十六年までの刊行を実現させたのだろう。田村さんもまた、まごうかたなき書痴の一人だったのだと思う。 忘れていたが、田村さんが亡くなったとき、私が参加している俳句同人誌『鬣』に追悼句を出していた。下手な俳句だが、改めて田村さんの霊に捧げたい。 渡り得ぬ荒野の果てに冬の虹 (2011年没、60歳) ※当連載は隔月連載です |
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2024年3月11日号 第390号
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古書市&古本まつり 第134号
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━━━━━━━━━━【シリーズ書庫拝見23】━━━━━━━━━━
あきた文学資料館 『種蒔く人』に導かれて
南陀楼綾繁
昨年11月のある晩、秋田から東京に向かう新幹線の中で、一冊の本を
読んでいた。
秋田新幹線は在来線と同じ線路を走るため、新幹線と思えないほどス
ピードが遅い。また、単線なので通過待ちもある。さらにこの日は、鹿
かなにかの動物と接触したせいで30分以上遅れが生じた。
しかし、長い乗車時間が気にならないほど、私は『種蒔く人 小牧近
江の青春』(筑摩書房)を熱中し、東京に着くまでには読み終えていた。
【一冊の本に呼ばれる】
この本を買ったのは、秋田市にある〈板澤書房〉だ。
2011年に初開催された一箱古本市に参加して以来、秋田市を訪れるたび
に、この店を覗いている。奥に長い店には、秋田の郷土資料や文学に関す
る本がずらりと並ぶ。
秋田市では昨年7月に水害があった。板澤さんも店は無事だったが、
倉庫の本にかなりの被害が出たそうだ。
棚を眺めていて、すっと手が伸びたのが、『種蒔く人 小牧近江の青
春』だった。1995年に出た本で、著者は北条常久。聖霊女子短期大学教
授とある。秋田の短大だろうか?
続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=13297
南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ)
1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一
文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、
図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年
から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」
の代表。「一箱本送り隊」呼びかけ人として、「石巻まちの本棚」
の運営にも携わる。著書に『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、
『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』
(ちくま文庫)、『古本マニア採集帖』(皓星社)、
編著『中央線小説傑作選』(中公文庫)などがある。
X(旧Twitter)
https://twitter.com/kawasusu
あきた文学資料館
https://www.apl.pref.akita.jp/literature-center
━━━━━━━━【懐かしき古書店主たちの談話】━━━━━━━━
懐かしき古書店主たちの談話 第5回
日本古書通信社 樽見博
なないろ文庫主というよりも、「彷書月刊」編集長の田村治芳さんに
ついても触れておきたい。中野智之さんは前記したように私と同年だが
田村さんは昭和25年生まれだ。東京の古書業界には昭和29年も多いが、
25年生まれも稲垣書店主中山信行さん、前全古書連会長の河野書店河野
高孝さん、浅草御蔵前書房の八鍬光晴さん、えびな書店主蛯名則さんな
ど多士済々である。四歳違いだが同世代と言ってよいかと思う。同じ時
代を生きてきたという思いも強い。
田村さんは、会合で私を紹介する時に「古通は昔から私の大好きな雑
誌で」とよく言われた。本誌への署名記事はないが、「東京ふるほんや
ある記」の連載で南部世田谷地区の古本屋紹介(昭和62年5月号)を担当
してくれた。この連載は昭和52年に第一版を刊行した『全国古本屋地図』
の東京篇が古本屋散歩形式ではなく、専門店紹介であったのを、全店紹
介の読み物風に変更するための連載企画で、編集部で実際に歩いて書い
たほかに、当地の古書店主に依頼して書いてもらった所もある。東部地
区は稲垣書店さんが担当してくれたが(昭和62年2月号)、田村さんと中
山さんの書いた回は断トツに面白く好評であった。
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※当連載は隔月連載です
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「コショなひと」始めました
YouTubeチャンネル「東京古書組合」
https://www.youtube.com/@Nihon-no-Furuhon-ya
※今月の新コンテンツはありません。
━━━━━【3月11日~4月15日までの全国即売展情報】━━━━━
⇒ https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init
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イービーンズ 古本まつり(宮城県)
期間:2024/01/19〜2024/03/20
場所:イービーンズ 9F杜のイベントホール
https://www.e-beans.jp/event/event-11214/
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第109回 彩の国所沢古本まつり(埼玉県)
期間:2024/03/06〜2024/03/12
場所:くすのきホール (西武線所沢駅東口前 西武第二ビル8階 総合大会場)
https://tokorozawahuruhon.com/
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趣味の古書展
期間:2024/03/15〜2024/03/16
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
https://www.kosho.tokyo
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第一回 広島護国神社古本まつり(広島県)
期間:2024/03/15〜2024/03/17
場所:広島護国神社境内
広島県広島市中区基町21-2
(バスセンターより北へ徒歩約10分/アストラムライン県庁前駅より北へ徒歩約10分)
https://twitter.com/BookHiroshima
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ABAJ国際稀覯本フェア2024 Tokyo International Antiquarian Book Fair 2024, ABAJ
期間:2024/03/15〜2024/03/17
場所:東京都交通会館展示会場12階 カトレアサロンA・B(千代田区有楽町2-10-1)
http://abaj.gr.jp/
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オールデイズクラブ古書即売会(愛知県)
期間:2024/03/15〜2024/03/17
場所:名古屋古書会館 2階 名古屋市中区千代田5-1-12
https://hon-ya.net/archives/3585
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神保町さくらみちフェスティバル 春の古本まつり
期間:2024/03/20〜2024/03/24
場所:神田神保町古書店街(靖国通り沿い)
https://jimbou.info/news/20240305.html
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第105回シンフォニー古本まつり(岡山県)
期間:2024/03/20〜2024/03/25
場所:岡山シンフォニービル1F 自由空間ガレリア
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フジサワ古書フェア(神奈川県)
期間:2024/03/21〜2024/04/17
場所:フジサワ名店ビル 有隣堂藤沢店4階ミニ催事場
http://kosho.saloon.jp/spot_sale/index.htm
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和洋会古書展
期間:2024/03/22〜2024/03/23
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
https://www.kosho.ne.jp/?p=562
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五反田遊古会
期間:2024/03/22〜2024/03/23
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4
JR山手線、東急池上線、都営浅草線五反田駅より徒歩5分
https://www.kosho.ne.jp/?p=567
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中央線古書展
期間:2024/03/23〜2024/03/24
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9
https://www.kosho.ne.jp/?p=574
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新橋古本まつり
期間:2024/03/25〜2024/03/30
場所:新橋駅前SL広場
https://twitter.com/slbookfair
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浦和宿古本いち (埼玉県)
期間:2024/03/28〜2024/03/31
場所:さくら草通り(JR浦和駅西口 徒歩5分 マツモトキヨシ前)
https://twitter.com/urawajuku
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青札古本市
期間:2024/03/28〜2024/03/31
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9
https://www.kosho.ne.jp/?p=618
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下町書友会
期間:2024/03/29〜2024/03/30
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
https://www.kosho.ne.jp/?p=572
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第一回 ひろしまブックフェス(広島県)
期間:2024/03/29〜2024/04/07
場所: ひろしまゲートパーク(旧広島市民球場跡地)
https://www.hiroshimabookfes.com/
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西武本川越PePeのペペ古本まつり(埼玉県)
期間:2024/04/04〜2024/04/16
場所:西武鉄道新宿線 本川越駅前ペペ広場
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書窓展(マド展)
期間:2024/04/05〜2024/04/06
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
https://www.kosho.ne.jp/?p=571
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♭立川フロム古書市ご案内♭
期間:2024/04/05〜2024/04/16
場所:立川駅北口徒歩5分フロム中武(ビッグカメラ隣) 3階バッシュルーム(北階段際)
https://mineruba.bookmarks.jp/saiji.htm
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横浜めっけもん古書展(神奈川県)
期間:2024/04/06〜2024/04/07
場所:神奈川古書会館1階 横浜市神奈川区反町2-16-10
http://kosho.saloon.jp/spot_sale/index.htm
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大均一祭
期間:2024/04/06〜2024/04/08
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9
https://www.kosho.ne.jp/?p=622
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好書会
期間:2024/04/13〜2024/04/14
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9
https://www.kosho.ne.jp/?p=620
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☆INDEX☆
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1.『昨日も今日も古本さんぽ』
岡崎武志
2.『合成開口レーダによる高精度な地球観測の原理と実際』
島田政信(東京電機大学 理工学部教授)
3.『近代出版史探索VII』
小田光雄
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━━━━━━━━━━━【自著を語る(321)】━━━━━━━━━━━
『昨日も今日も古本さんぽ』
岡崎武志
今年一月は古本関係の本を二冊上梓した。もちろん、わがライター人
生三十数年で初めてのこと。一冊は、『古本大全』(ちくま文庫)。同
文庫から出した古本に関する本で、現在品切れになっている四冊からチョ
イス、そこへ単行本未収録の原稿と書きおろしの新稿を加えた。文字通
り、私の古本および古本屋に関する著作の集大成(大全)である。
もう一冊が、今回ご紹介する『昨日も今日も古本さんぽ』(書肆盛林
堂)で、「古書通信」連載の同タイトルの古本紀行の八年分を収めた。
一九九八年に「彷書月刊」で始まった連載が、同誌休刊により「古書通
信」へ鞍替えして、昨年(二〇二三年)末に終了するまで続いた。四半
世紀もの日本全国への古本屋探訪の記録が、工作舎からすでに二冊にま
とまり、今回が三冊目。同様のテーマによる本はこれで打ち止めであろ
う。その意味でも、二段組み四百ページ近い大著となった今回の著作は
感慨深い。北は北海道(本書の北限は青森)から南は熊本まで、毎月、
なるべく未踏の店を探し遠征することは、連載終了とともにもうなくな
るだろう。私もこの春、六十七歳となり、殉教者のごとき古本屋突撃の
熱情はすでに枯渇し、残る人生はもう少し穏やかに、古本および古本屋
とのつき合いをしたいと考えている。
続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=13231
『昨日も今日も古本さんぽ 2015-2022』
書肆盛林堂刊
岡崎武志著
税込価格:3,000円
ISBN:978-4-911229-02-6
好評発売中!
https://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca0/1112/p-r-s/
━━━━━━━━━━━━【プレゼント企画】━━━━━━━━━━━━
『昨日も今日も古本さんぽ』を抽選で10名様にプレゼント致します。
ご応募お待ちしております。
応募申込は下記ページにてお願い致します。
締切日 2月28日(水)午前10時
https://www.kosho.ne.jp/entry2024/0226/0226.html
━━━━━━━━━【大学出版へのいざない15】━━━━━━━━━
『合成開口レーダによる高精度な地球観測の原理と実際』
島田政信(東京電機大学 理工学部教授)
合成開口レーダとは、航空機や人工衛星などに載せて地球を観測する
カメラである。いや、カメラというと大きなレンズを持ったカラフルな
写真を撮る装置を思い浮かべるから、正しくない。正確には、電磁波を
用いて(発射して)、反射してきた信号をコンピュータ処理・解析して
地球の写真(画像)を撮る装置である。画像はグレーレベルの濃淡図で
ある。英語名はSARという。Synthetic Aperture Radarの頭文字を取った
ものである。のっけから、小難しい話になった。本書が発売になった折
に、私のフェースブックで紹介してみたら「合成開口レーダって、なあ
に?」と質問されて、答えを書いてみたのだけど、もっとわかりやすい
説明はないかと常に悩んでいる。実は、災害は曇天下で多く起こるが、
その時でも使用できる優れたセンサーなのである。
続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=13221
書名:『合成開口レーダによる高精度な地球観測の原理と実際』
著者名:島田政信
出版社名:東京電機大学出版局
判型/製本形式/ページ数:A5/並製/520ページ
税込価格:8,800円
ISBNコード:9784501335502
Cコード:3055
好評発売中!
https://www.tdupress.jp/book/b634382.html
━━━━━━━━━━━【自著を語る(322)】━━━━━━━━━━━
『近代出版史探索VII』
小田光雄
『日本古書通信』の樽見博さんに、本書を書評用に献本した。すると
ずっと書いてきた小田さんの努力もさることながら、これだけ大部のも
のを持続して出版してきた論創社の森下紀夫さんの功績も大きく、特筆
すべき出版営為ではないかとの言葉が返ってきた。
確かにそうなのである。ここでは関係者に対する謝辞も含め、第7巻
に至るまでの経緯と出版事情を記してみたい。まず森下さんのことから
始めると、1999年に刊行した『出版社と書店はいかにして消えていくか』
(ぱる出版、後に論創社)は対談形式で書かれ、その対談相手の名前は
明記されていないが、森下さんに他ならない。これが始まりであった。
この『出版社と書店はいかにして消えていくか』の刊行後、出版業界
本を続けて出していったけれど、私の問題提起は本格的に論議されるこ
ともなかったので、ほどなく出版状況論を書くのを止めてしまった。と
ころがその一方で、2002年に樽見さんから『日本古書通信』に「古本屋
散策」連載の依頼があり、それだけは書き続けていくことになった。
続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=13244
『近代出版史探索Ⅶ』
論創社刊
小田光雄著
税込価格:6,600円
ISBN:978-4-8460-2349-2
好評発売中!
https://ronso.co.jp/book/2349/
━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━━━
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「大学出版へのいざない」シリーズ 第16回
書名:統治理念と暴力――独立インドネシアの国家と社会
著者名:今村祥子
出版社名:東京大学出版会
判型/製本形式/ページ数:A5判/上製/324頁
税込価格:8,140円
ISBNコード:978-4-13-036288-7
好評発売中!
https://www.utp.or.jp/book/b10042450.html
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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『サンリオ出版大全 教養・メルヘン・SF文庫』
慶應義塾大学出版会刊
小平麻衣子・井原あや・尾崎名津子・徳永夏子 編
税込価格:3,960円
ISBN:978-4766429404
好評発売中!
https://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766429404/
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書名:DOMUS X
著者:吉増剛造
刷り部数:499部限定[ナンバリング付]
造本:上製+本表紙箔押し+コデックス装+天アンカット+シュリンク包装
判型:菊判[縦225mm×横150mm]
頁数:248頁[カラー184頁+モノクロ64頁]
定価:18,000円+税
装丁:宗利淳一
出版社:コトニ社
発行日:2024年3月7日発行[一般書店での発売は3月19日頃を予定]
下記の販売サイトにて先行予約受付中
https://yoshimasu.bookstores.jp/
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日本の古本屋メールマガジン その389・2月26日
【発行】
東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋」事業部
東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
URL https://www.kosho.or.jp/
【発行者】
広報部・編集長:藤原栄志郎
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『昨日も今日も古本さんぽ』
『昨日も今日も古本さんぽ』岡崎武志 |
今年一月は古本関係の本を二冊上梓した。もちろん、わがライター人生三十数年で初めてのこと。一冊は、『古本大全』(ちくま文庫)。同文庫から出した古本に関する本で、現在品切れになっている四冊からチョイス、そこへ単行本未収録の原稿と書きおろしの新稿を加えた。文字通り、私の古本および古本屋に関する著作の集大成(大全)である。
もう一冊が、今回ご紹介する『昨日も今日も古本さんぽ』(書肆盛林堂)で、「古書通信」連載の同タイトルの古本紀行の八年分を収めた。一九九八年に「彷書月刊」で始まった連載が、同誌休刊により「古書通信」へ鞍替えして、昨年(二〇二三年)末に終了するまで続いた。四半世紀もの日本全国への古本屋探訪の記録が、工作舎からすでに二冊にまとまり、今回が三冊目。同様のテーマによる本はこれで打ち止めであろう。その意味でも、二段組み四百ページ近い大著となった今回の著作は感慨深い。北は北海道(本書の北限は青森)から南は熊本まで、毎月、なるべく未踏の店を探し遠征することは、連載終了とともにもうなくなるだろう。私もこの春、六十七歳となり、殉教者のごとき古本屋突撃の熱情はすでに枯渇し、残る人生はもう少し穏やかに、古本および古本屋とのつき合いをしたいと考えている。 今回、巻末に労作とも言える店名索引をつけてもらった。延べ総数は約三百八十店。これは私にとっても便利なもので、あの店はいつ行ったのかという確認が一目瞭然である。本書の版元となった「盛林堂書房」ほか、「古書音羽館」「ささま書店」(現「古書ワルツ」)が頻出するのは、中央線沿線在住者としては当然だろう。地方では仙台「火星の庭」、土浦「つちうら古書倶楽部」、京都「古書善行堂」がよく顔を出す。「火星の庭」「善行堂」は店主と顔見知りで、客というより友人として訪れる感が強く、おしゃべりを楽しみにしている。 再読して驚くのは、この八年の間にも、取材した店が次々と廃業、もしくはネット販売に移行する例が多いことだ。ゲラを読んで、その対応には悩まされた。ちゃんとカウントしたわけではないが、体感では三分の一が店売りを止めているようだ。 ネットで本は極力買わない。あくまで店へ足を運んで、均一台を漁り、本棚と対話し、ときに店主と雑談することを無上の喜びとしては私のような古本者としては、これは由々しき事態であるが、時代の流れと言われればいかんともしがたい。古本も好きだが、古本屋も好き。これは若き日より古本屋巡りを始めた私の核心である。本書にも「古本と古本屋があってよかった。これがなければ、ぼくの人生、淋しいものだった」と呟いているが、本当にその通りだと思っている。 それにしても古本屋偏愛は甚だしい。地方へ足を伸ばしても、名所旧跡や名物料理などいっさい眼もくれていない。観光というものに興味がない。日立では「佐藤書店」、水戸では「とらや書店」、郡山では「てんとうふ」、滋賀では「クロックワーク」、須賀川では「ふみくら」、静岡では「水曜文庫」ほか等々と、どこへ行っても古本屋の軒をくぐれば万事用済みでさっさと駅へ踵を返している。地元観光協会からすれば、これほど張り合いのない旅行客はないだろう。しかし、私はそれで充分満足なのである。古本屋を見れば、その街のことはだいたい分かる。また、途中の道すがらの見聞は、主観的ではあるが、なるべく記すようにした。古本屋以外では、地元の喫茶店へはなるべく立ち寄ることにしている。チェーンカフェではなく純喫茶。大阪の「マル屋」、新潟のジャズ喫茶「スワン」、青森「ロマン」などは、その街と喫茶店で買ったばかりの古本を開く安らぎの時間と分かちがたく結びついている。私にとっての「生きる歓び」なのだ。 しかし、極端だなあと思うケースもある。福島県いわき市「阿武隈書房」へは、そのために特急「ひたち」に乗車し、三時間半ほどかけて出かけたのだが、平日と土日の営業時間が違うことを店の前まで来て知り、約一時間、時間つぶしのため知らない街をさすらうことになる。次の磐越東線に乗りつぐ時間がタイトで、店にいられるのはたった十分。あわただしい古本屋探訪を終え、全速力で駅へ戻ったら、強風で発車が遅延していた。何も、そんなに急ぐことはなかったのである。こういう滑稽なアクシデントを面白がる気持ちがなければ、こんな酔狂な古本旅を四半世紀も続けられなかったと思う。 また、本書の特徴として、店や人物を取材することもあるライターという身分を生かして、わりあい平気で、初対面の店主から話を聞きだしていることだ。人はいかに古本屋になるか。これが十人十色で、聞いて驚く新事実を興奮をもって伝えている。大阪府高槻市の「古書四季」は、店主が高校大学と私の先輩であると知り訪ねたのだが、話を聞くと中学も一緒。会えたことを喜んで下さったし、私も書くのに力が入った。信州上田の老舗「斎藤書店」は、何の情報も持たずに出かけたら、お店を閉じるまぎわで、こちらも古い話をうかがった。 「人に歴史あり」というが、「店にも歴史がある」。そんな一端を記すことができた。お店の写真とともに、本書の記録としての価値は、これから先、上っていくはずだ。私はそのことを自負している。場所を与えられて書き続けた原稿だが、誰にもできることではないと改めて思う。限定五百部で、発売前に三百冊強の注文が入った。注文分には全冊、サイン、イラスト、落款を入れた。直近の情報では残り百冊。原則、増刷はしない版元なので、煽るわけではないが、買い時ですよと言っておこう。私も保存用として五冊は確保しておきたい。 ![]() 『昨日も今日も古本さんぽ 2015-2022』 書肆盛林堂刊 岡崎武志著 税込価格:3,000円 ISBN:978-4-911229-02-6 好評発売中! https://seirindousyobou.cart.fc2.com/ca0/1112/p-r-s/ |
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『合成開口レーダによる高精度な地球観測の原理と実際』【大学出版へのいざない15】
『合成開口レーダによる高精度な地球観測の原理と実際』 【大学出版へのいざない15】島田政信(東京電機大学 理工学部教授) |
合成開口レーダとは、航空機や人工衛星などに載せて地球を観測するカメラである。いや、カメラというと大きなレンズを持ったカラフルな写真を撮る装置を思い浮かべるから、正しくない。正確には、電磁波を用いて(発射して)、反射してきた信号をコンピュータ処理・解析して地球の写真(画像)を撮る装置である。画像はグレーレベルの濃淡図である。英語名はSARという。Synthetic Aperture Radarの頭文字を取ったものである。のっけから、小難しい話になった。本書が発売になった折に、私のフェースブックで紹介してみたら「合成開口レーダって、なあに?」と質問されて、答えを書いてみたのだけど、もっとわかりやすい説明はないかと常に悩んでいる。実は、災害は曇天下で多く起こるが、その時でも使用できる優れたセンサーなのである。
SARを積んだ人工衛星は1978年6月28日に、NASAによって初めて打ち上げられた。宇宙から観測に使えるかどうかの実証実験である。ほぼ想定どおり、いやそれ以上の成果を得た。夜でも、曇りでも、多少の雨でも、地球を映せる。地表の凸凹を計測できる。コンピュータの能力しだいで大量に高速に処理ができる。陸だけでなく、海洋も観測できる。結論として「SARは使える!」ということであった。しかし、当時SARを打ち上げられるのはアメリカだけであった。SARによる地球観測の重要性が広く認識されるまでに時を要するが、その後、宇宙開発を競争の場とし、欧州、日本、ロシア、カナダなどの先進国が独自のSAR衛星を打ち上げる。1990年台の話である。 これらの衛星で得たデータは公開され、SARの研究が一気に進む。ハードウェアの研究のみならず、SARの原理、なぜ絵ができるのか、なぜ地球は観測できるのか、SARを計測器として仕上げるには何が必要か?どのような応用ができるか、などなどである。 当時、私は宇宙航空研究開発機構(JAXA)でレーダリモートセンシングを始めたばかりで、アメリカやカナダでのSARの研究集会に参加する。その後、SARの研究者となり、校正の研究を行い、研究集会で発表する。自身の研究に必要なことから、小さなメモリのパソコンで動作するSAR画像化ソフトの開発を行う。それが認められたのか、目についたのか、ある日、上司からJAXAのSAR(PALSAR)を生データから画像にする“運用ソフトウェア”を作るように命じられる。画像を外部に提供すると、研究者からクレームが来る。文句をいわれない、そして使ってもらえるロバストなソフトウェアにする必要があった。ある意味真剣であった。その過程で、さまざまな教科書や論文に出会う。結局は、自ら苦労し、試行錯誤や研究をしなければ、ものは成就せず、SARには、くせがあり、教科書通りにはできないことを学ぶ。2015年にJAXAを退職し、東京電機大学に奉職する。本書は、2015年に国際的な研究者のDr. ジョンセンリー先生から「島田さん書いてみませんか?」といわれ、それではということで、まず英語で刊行したものを、数年おいて、一部手直しして日本語にしたものである。 SARは電磁波を用いる。電磁波は18-19世紀の先達クーロン、ファラデーの研究をもとに、マクスウェルが築き上げるが、存命中には発見されない。その後ヘルツにより確認された目に見えない波である。この波が、遠隔観測の源となり、SARの観測を支える。SARというと画像処理や画像間の演算が主に説明されるが、その実、電磁波の散乱が屋台骨を組むので、物理現象に戻って電磁波の散乱を考えることは非常に重要である。今日、SARの研究は非常に進んでいる。画像化、キャリブレーション、ポラリメトリ、インターフェロメトリ、バイスタティックレーダ、災害解析、森林解析、時系列解析、さまざまなキーワードが目白押しで、将来さらに発展が期待されるセンサーである。 本書は、私の研究生活で学んだことから、SARの原理から応用までを説明したものである。第1章は、SARの概要、第2章はハードウエア、第3章はSARの画像化の基本原理、第4章はSAR画像のレーダー方程式、第5章はScanSARの画像化、第6章はポラリメトリック校正とラジオメトリ、第7章はアンテナパターン、第8章は幾何学校正、オルソ補正、勾配補正、第9章は校正:ラジオメトリとジオメトリ、第10章は移動体の画像化、第11章は長尺・時系列SAR画像とモザイク、第12章は干渉SAR、第13章は特異画像:不要波と電離層の影響、第14章はアプリケーション、そして第15章は森林図作成である。 SARの性能は年々向上し、衛星は増えてきた。本書は、時・空間的に拡大するSARについて、原理を学んでみたい、SAR画像の現状を知りたいという方々に贈りたい本である。 ![]() 書名:『合成開口レーダによる高精度な地球観測の原理と実際』 著者名:島田政信 出版社名:東京電機大学出版局 判型/製本形式/ページ数:A5/並製/520ページ 税込価格:8,800円 ISBNコード:9784501335502 Cコード:3055 好評発売中! https://www.tdupress.jp/book/b634382.html |
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『近代出版史探索Ⅶ』
『近代出版史探索Ⅶ』小田光雄 |
『日本古書通信』の樽見博さんに、本書を書評用に献本した。するとずっと書いてきた小田さんの努力もさることながら、これだけ大部のものを持続して出版してきた論創社の森下紀夫さんの功績も大きく、特筆すべき出版営為ではないかとの言葉が返ってきた。
確かにそうなのである。ここでは関係者に対する謝辞も含め、第7巻に至るまでの経緯と出版事情を記してみたい。まず森下さんのことから始めると、1999年に刊行した『出版社と書店はいかにして消えていくか』(ぱる出版、後に論創社)は対談形式で書かれ、その対談相手の名前は明記されていないが、森下さんに他ならない。これが始まりであった。 この『出版社と書店はいかにして消えていくか』の刊行後、出版業界本を続けて出していったけれど、私の問題提起は本格的に論議されることもなかったので、ほどなく出版状況論を書くのを止めてしまった。ところがその一方で、2002年に樽見さんから『日本古書通信』に「古本屋散策」連載の依頼があり、それだけは書き続けていくことになった。 それからしばらくして、森下さんから21世紀に入ってからの出版状況論が空白になっていることもあり、それを再開してくれないかと慫慂されたのである。そこであらためて2007年から「出版状況クロニクル」を書き始めた。ただ私は自らを冷静な出版史家だと自覚しているので、現在を浮かび上がらせるために、明治から昭和戦前にかけての出版史を併走させるべきだと考えた。それは「古本屋散策」のために浜松の時代舎などから購入した古本資料が大量にたまり、片づける必要性に迫られたからでもある。 その試みは2009年から「古本夜話」というタイトルで始められ、私のブログ連載は「出版状況クロニクル」との2本立てとなった。それでも「出版状況クロニクル」のほうはアクチュアルな同時代出版状況分析であり、刊行を望む声も届いていたようで、これもまた森下さんが5冊目までは出してくれていた。だが拙論は再販委託制批判とその崩壊がコアとなっていることもあって、ほとんど書評に上がらず、重版となることもなかった。それはさらに3本立てにするつもりで始めた「出版人に聞く」シリーズも同様だった。 そこで私としても、これ以上森下さんと論創社に負担をかけるわけにはいかないので、もはや著書の刊行を断念すべきだという心境に追いこまれていた。 そんなところに『日本古書通信』連載の「古本屋散策」が2018年に200回目を迎えた。ちょうど千枚になるし、ずっと連載してくれた樽見さんの好意に応える意味でも、1本とすべきだと考えていたのである。それを最後の1冊として、森下さんにお願いし、快く引き受けてもらった。この『古本屋散策』も例によって書評も出ず、売れずに終わってしまえば、いつもと同じだった。 ところがまったく思いがけず、選者のフランス文学者の鹿島茂さんによって、19年のドゥマゴ文学賞に選ばれた。それを機に、森下さんの配慮により、授賞式に間に合わせるべく、千回近くに及んでいた「古本夜話」を『近代出版史探索』として刊行することが決まったのである。そして今回の第7巻まで続いたことになる。 それから最後に「古本夜話」の最大の功労者として、わが妻を挙げなければならない。私は愚直に書き続けてきただけだが、その編集と運営はひとえに彼女の営為によるものだ。しかも連載当初から言及書の書影を挙げるという試みを行ない、これはとんぼ書林の藤原さんの言によれば、古本屋のサイトや古書目録にも大きな影響を与えたのではないかとされる。だがこれらはさらなる厚さになってしまうので、単行本化では見送るしかなかった。 こうした事実はいわずもがなのことかも知れないが、身近な人たちの好意と支援によって、『近代出版史探索』シリーズの成立と出版も続いていることを伝えてみたかったのである。 |
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