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『明治出版史上の金港堂』

『明治出版史上の金港堂』

稲岡 勝

 金港堂と聞いて明治時代の巨大出版社と言える人は何人いるだろうか。相当な出版通でも《最古最大の教科書肆》と知る人は余りいないだろう。それもその筈金港堂は完全に忘れ去られた存在で、従来の近代出版史では業界伝説の対象でしかなかったのである。せいぜい文学好きなら文芸雑誌の嚆矢『都の花』、二葉亭四迷『浮雲』、永井荷風『地獄の花』の版元と答えるか、教育学者なら教科書疑獄事件の主役を連想する程度であろう。それらは確かに金港堂の一面を語ってはいるが、全体像からすればごく小さなパーツに過ぎない。一世を風靡したと言われる巨大教科書出版社は長く顧みられることなく放置されてきた。

誰もやる人がいないという単純な動機から、社史のない出版社「史」の解明に取り組んだのはもう40年も昔のことになる。明治8年岐阜の人原亮三郎が横浜に創業した金港堂は翌年東京日本橋に移転するが、その後どのように出版活動を展開し、社業を発展させていったのだろうか。参考になる先行研究は皆無なのだから、まず散在する関係史料の発掘から始めるより手段はなかった。

金港堂発行の書籍雑誌の観察と記録を手始めに、同時代の新聞雑誌記事や広告類を広く捜した。しかし活字文献だけでは出版の実態解明には限界がある。出版者の私文書は理想的な実証史料であろうが、その出現入手は僥倖を俟つに等しい。それに代わるものとして公文書とくに学事文書の活用を思いついて、新事実の発見や論証に厚みを加えることができた。本書は全て原史料を用いて金港堂の歴史を論述したものだが、偶然にも同時に明治出版文化史の核心を明らかにする結果にもなった。

史実とお話の区別もつかず、また現代の事情を過去に投影して少しも怪しまない俗流出版史の蔓延は一向に止む気配がない。既存の活字文献を無批判に切り貼りした出版物の羅列史、出版者の興亡史に留まっている限り、新しい近代出版史は生まれようがない。

たとえば伊藤整『日本文壇史』には、文壇史の遠景として各時代の出版事情が点綴されている。このため俗流出版史家は今も同書を引用して得々としているようだ。確かに第2巻には金港堂が登場するが、残念ながらその記述は全く不正確である。これは伊藤整の責任というよりは、執筆当時に参照し得た出版史文献にロクなものがなかったことの反映と見るべきであろう。滑稽にも彼らは高名作家の作品を引用すれば箔が付くと錯覚し、史料批判の必要性には気付きもしない。何の根拠もない俗説をあたかも通説としてきた近代出版史は、このようにして無自覚のままに今日までひたすら砂上の楼閣を築いてきたのである。

こうした弊風を打破するためには、若くて意欲溢れる研究者の出現を俟つよりほかはなさそうだ。先行者としての拙著が後進たちへの良きガイドとなり、近代出版史の再構築に向けて多少お役に立つならばこれ以上の喜びはない。 

 

稲岡勝(いなおか・まさる)
1943年、上海生まれ。すぐ近くに商務印書館があった。早稲田大学政治学科および図書館短期大学別科卒業、1972年から東京都立図書館勤務。1999年から都留文科大学国文学科教授情報文化担当、専攻は明治の出版文化史。10年勤めて退職後は図書館、文書館、古書展に通い埋もれた出版者を手掘り中。執筆予定としては「教科書トラスト帝国書籍の成立と崩壊」、また山梨県の地方新聞『甲陽新報』(印刷は内藤伝右衛門)も取りあげたいテーマである。

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『明治出版史上の金港堂 社史のない出版社「史」の試み』
著者・編者 稲岡 勝 皓星社刊 価格 8,000円+税
http://www.libro-koseisha.co.jp/publishing/kinkodo/

 

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2019年4月10日 第272号

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 古書市&古本まつり 第74号
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━━━━━━━━━━【シリーズ 古書の世界】━━━━━━━━

古書目録「堀紫山伝」のこと(一)

                  高橋 徹(月の輪書林)

 二年前、古本屋の大先輩の身にあまる好意で、明治時代の新聞記
者・堀紫山(文久3年~昭和15年)宛の書簡・ハガキ200通を
手に入れることが出来た。
 うれしくて手紙の束を胸にだきしめると、「堀紫山伝」というタ
イトルが浮かんだ。
 紫山宛に届いた手紙を写真に撮り、解説を書き、値段をつけてし
まえば小粒だが、ぴりりと光る素敵な古書目録がすぐにでも発行で
きると思ったのだが、二年がたつのに未だ書簡の「解読」もままな
らぬていたらく、一体どこで道を迷ってしまったのか?

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高橋 徹(たかはしとおる)
1958年、岡山県の山奥、柵原鉱山に生まれる。日本大学芸術学部文
芸学科を2か月で中退。鈴木清順監督の「ツィゴイネルワイゼン」
の美術助手として映画製作に関わるも挫折、87年に大田区蒲田の古
本屋・龍生書林の店員となる。
3年半の修業の後、90年、東急池上線の蓮沼駅近くに「月の輪書林」
を開く。
特集古書目録に「私家版 安田武」、「古河三樹松散歩」、
「美的浮浪者・竹中労」、「寺島珠雄私記」、「李奉昌不敬事件予
審訊問調書」、「三田平凡寺」、「太宰治伝」などがある。
著書には『古本屋 月の輪書林』(1998年/晶文社)がある。

━━━━━━━━━【シリーズ 古本マニア採集帖】━━━━━━

古本マニア採集帖
第4回 松﨑貴之さん 噴水の歴史に魅せられたひと

                      南陀楼綾繁

 世の中には、普通の人の目に入っていながら見過ごされているも
のがある。そういったものに執着し、調べたり集めたりするのがマ
ニアという存在だ。今回紹介する松﨑貴之さんは、「噴水」に関す
る資料を集めている人である。
 松﨑さんは1979年に長崎市に生まれる。父は長崎駅近くで酒屋を
営んでおり、店内の立ち飲みスペースには多くの客が入りびたって
いた。

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南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ)

1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一
文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、
図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年
から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」
の代表。各地で開催される多くのブックイベントにも関わる。
「一箱本送り隊」呼びかけ人として、石巻市で本のコミュニティ
・スペース「石巻まちの本棚」の運営にも携わる。本と町と人を
つなぐ雑誌『ヒトハコ』(書肆ヒトハコ)編集発行人。著書に
『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、『一箱古本市
の歩きかた』(光文社新書)、『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、
『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』
(ちくま文庫)などがある。

ツイッター
https://twitter.com/kawasusu

『蒐める人 情熱と執着のゆくえ』 南陀楼綾繁 著
皓星社刊 価格:1,600円(+税) 好評発売中!
http://www.libro-koseisha.co.jp/publishing/atsumeruhito/

━━━━━【4月10日~5月15日までの全国即売展情報】━━━━━

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

立川フロム古書市ご案内

期間:2019/04/11~2019/04/27
場所:立川駅北口徒歩5分フロム中武(ビッグカメラ隣)
   3階バッシュルーム(北階段際)

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書窓展(マド展)

期間:2019/04/12~2019/04/13
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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大均一祭

期間:2019/04/13~2019/04/14
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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平成31年 五台山古本まつり(高知県)

期間:2019/04/13~2019/04/14
場所:高知市五台山展望台1階イベントスペース
   高知市吸江210-1

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第36回 古本浪漫洲 Part 4

期間:2019/04/13~2019/04/15
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
新宿区歌舞伎町1-2-2 TEL03-3354-6111

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第36回 古本浪漫洲 Part 5(300円均一)

期間:2019/04/16~2019/04/18
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
新宿区歌舞伎町1-2-2 TEL03-3354-6111

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MM駅ナカ古本&ワインフェスタ(神奈川県)

期間:2019/04/18~2019/04/24
場所:横浜高速鉄道みなとみらい線みなとみらい駅構内催事

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京都マルイ春の大古本市(京都府)

期間:2019/04/18~2019/04/21
場所:京都マルイ1階店頭

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フリーダム展

期間:2019/04/19~2019/04/20
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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本の散歩展

期間:2019/04/19~2019/04/20
場所:南部古書会館  品川区東五反田1-4-4

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春の古本掘り出し市(岡山県)

期間:2019/04/24~2019/04/29
場所:岡山シンフォニービル1F 自由空間ガレリア

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浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2019/04/25~2019/04/28
場所:JR浦和駅西口さくら草通り徒歩5分マツモトキヨシ前

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ぐろりや会

期間:2019/04/26~2019/04/27
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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第17回 「四天王寺春の大古本り」(大阪府)

期間:2019/04/26~2019/05/05
場所:四天王寺 大阪市天王寺区四天王寺1-11-18

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有隣堂イセザキ本店ワゴンセール(神奈川県)

期間:2019/04/27~2019/05/26
場所:有隣堂伊勢佐木町本店

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第37回 春の古書大即売会(京都府)

期間:2019/05/01~2019/05/05
場所:京都市勧業館「みやこめっせ」1F第二展示場
   京都市左京区岡崎成勝寺町9-1

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「名古屋骨董祭」 第1回 古書即売会(愛知県)

期間:2019/05/02~2019/05/04
場所:吹上ホール
   愛知県名古屋市千種区吹上2丁目6-3

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反町古書会館展(神奈川県)

期間:2019/05/04~2019/05/05
場所:神奈川古書会館1階特設会場
   横浜市神奈川区反町2-16-10

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早稲田大学青空古本祭

期間:2019/05/06~2019/05/11
場所:早稲田大学10号館前=大隈重信候そば

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第4回 上野広小路古本祭り

期間:2019/05/06~2019/05/12
場所:永谷お江戸上野広小路 ギャラリー+スペース36
   台東区上野1-20-10 お江戸上野広小路亭1階

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城北古書展

期間:2019/05/10~2019/05/11
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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杉並書友会

期間:2019/05/11~2019/05/12
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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第15回 東京蚤の市

期間:2019/05/11~2019/05/12
場所:大井競馬場 品川区勝島2-1-2

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新橋古本まつり

期間:2019/05/13~2019/05/18
場所:新橋駅前SL広場

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日本の古本屋メールマガジンその272 2019.4.10

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:二見彰
 編集長:藤原栄志郎

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古書目録「堀紫山伝」のこと(一)

古書目録「堀紫山伝」のこと(一)

高橋 徹(月の輪書林)

 二年前、古本屋の大先輩の身にあまる好意で、明治時代の新聞記者・堀紫山(文久3年~昭和15年)宛の書簡・ハガキ200通を手に入れることが出来た。
 うれしくて手紙の束を胸にだきしめると、「堀紫山伝」というタイトルが浮かんだ。
 紫山宛に届いた手紙を写真に撮り、解説を書き、値段をつけてしまえば小粒だが、ぴりりと光る素敵な古書目録がすぐにでも発行できると思ったのだが、二年がたつのに未だ書簡の「解読」もままならぬていたらく、一体どこで道を迷ってしまったのか?

 解読とは大げさなようだが、流れるように書かれた達筆な毛筆の文字が、くやしいかな読めない。九十歳、百歳といった老人の手が読めないのならさほどくやしくはない気がするが、堀紫山宛の手紙の主(ぬし)のほとんどが二十代、三十代の若者なのだ。
 なかでも小栗風葉にいたっては十八歳、だけど惚れ惚れするような美しい字を書く。しかも酸いも甘いも知り抜いた大人(おとな)の字だ。どうしてこの若さでこんな字が書けるのかと、『評伝小栗風葉』(岡保生著/昭和50年/桜楓社刊)をひもとき、なるほどと感心する。一事が万事この調子で、ますますもって古書目録の発行が遠くにかすむ。
 堀紫山は、明治23年10月から数か月、尾崎紅葉と本郷区森川町一番地で共同生活をしたことがある、「紅葉第一の門人」(徳田秋聲)とも言われた男。だから、硯友社周辺の凄玉の男たちからの手紙が多い。

  小栗風葉 18歳(明治26年/封書5通 葉書3枚)
  巌谷小波 26歳(明治29年/封書9通 葉書3枚)
  川上眉山 27歳(明治30年/封書3通 葉書1枚)
  石橋思案 30歳(明治30年/封書10通 葉書3枚)
  柳川春葉 20歳(明治31年/封書3通)
  長田秋濤 26歳(明治31年/封書3通)
  尾崎紅葉 31歳(明治33年/葉書2枚)
  斎藤松洲 33歳(明治36年/封書2通 葉書3枚)
  徳田秋聲 31歳(明治36年/封書3通)
  後藤宙外 36歳(明治37年/封書3通)
  江見水蔭 34歳(明治37年/封書5通 葉書1枚)
  泉 鏡花 31歳(明治38年/年賀状2枚)

 ちなみにこの中で読みやすかったのは江見水蔭と泉鏡花の二人だけ。
 それはさて、今、堀紫山の名を聞いてピンとくる人が一体何人いるだろうか?
 百二十年前には新聞界きっての美文家とうたわれた紫山の名は一体いつ忘れ去られてしまったのか?
 堀紫山とはそもそもどんな男なのか?
 そう問われたらこう答えたい。

 堀紫山には妹が二人いて、一人は美知といい、堺利彦と結ばれ、もう一人の妹は、保子といい、明治39年8月24日、大杉栄の熱烈な求愛をうけ結婚した。
 つまり、堀紫山は、初期社会主義者の巨頭の一人と無政府主義者のスーパースタアの二人を「義弟」に持つ極めて稀な男なのだと。
 古書目録「堀紫山伝」の目玉は、堺利彦と大杉栄をおいて他にない。

高橋 徹(たかはしとおる)
1958年、岡山県の山奥、柵原鉱山に生まれる。日本大学芸術学部文芸学科を2か月で中退。鈴木清順監督の「ツィゴイネルワイゼン」の美術助手として映画製作に関わるも挫折、87年に大田区蒲田の古本屋・龍生書林の店員となる。
3年半の修業の後、90年、東急池上線の蓮沼駅近くに「月の輪書林」を開く。
特集古書目録に「私家版 安田武」、「古河三樹松散歩」、「美的浮浪者・竹中労」、「寺島珠雄私記」、「李奉昌不敬事件予審訊問調書」、「三田平凡寺」、「太宰治伝」などがある。著書には『古本屋 月の輪書林』(1998年/晶文社)がある。

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『古本屋 月の輪書林』
晶文社 定価:本体1900円+税 好評発売中!
https://www.shobunsha.co.jp/?p=1459

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第4回 松﨑貴之さん 噴水の歴史に魅せられたひと

第4回 松﨑貴之さん 噴水の歴史に魅せられたひと

南陀楼綾繁

  世の中には、普通の人の目に入っていながら見過ごされているものがある。そういったものに執着し、調べたり集めたりするのがマニアという存在だ。今回紹介する松﨑貴之さんは、「噴水」に関する資料を集めている人である。
 松﨑さんは1979年に長崎市に生まれる。父は長崎駅近くで酒屋を営んでおり、店内の立ち飲みスペースには多くの客が入りびたっていた。
「ぼくが子どもの頃はまだ三公社(専売公社、電電公社、国鉄)の時代で、そこの職員がよく来ていました。店のお客さんによく遊んでもらいました」
 祖母と両親と妹の5人家族。亡くなっていた祖父、それに母も父も本好きで、家の中には本がたくさんあった。当時全盛だったファミコンはなかなか買ってもらえなかったが、本なら買ってくれるので、近所の〈メトロ書店〉によく行っていた。

 小学4年生で、地方に残る珍説・奇説を集めた『歴史読本』の増刊号を買い、歴史に興味を持つ。長崎は少し歩くと古いものがいくらでもあるので、見て回った。
「石碑をインスタントカメラで撮影して、その写真や郷土史からのコピーをルーズリーフに貼り、数ページのコピー本をつくっていました。『カステラの由来』とか。それを店のお客さんに50円で売りつけた。3、4号は出したかな。もちろん友だちには判ってもらえませんでした(笑)」

 小学6年生のとき、クイズにハマる。1991年に長崎で日本テレビ系の放映が開始され、そこではじめて『アメリカ横断ウルトラクイズ』を観た。番組のクイズ本を買うにとどまらず、公務員試験の本をもとに自分で問題をつくるようになった。「新鮮な遊びでしたね。自分が調べることが好きなんだと気づきました」と元少年は当時を振り返る。
 高校1年のとき、『高校生クイズ』に出るも、予選で落ちる。しかし、クイズ熱はおさまらず、東京大学に入ると、クイズ研究会(クイ研)に属した。

 東京では大きな書店があり、どこでも本が買えることに興奮した。住んでいた自由が丘には〈西村文生堂〉〈東京書房〉の2軒の古本屋があり、毎日のように通っては歴史やサブカルチャーの本を買った。
クイ研のメンバーも本好きで、面白い本を教えてもらった。
「当時のクイ研は、クイズ大会に出場するヤツより、面白い問題をつくるヤツの方がえらいという風潮がありました。誰がどんな話題を振っても、かならず乗っかってくれる人ばかりなので、毎日が楽しかったです。後輩の結婚式では二次会がクイズ大会で、新郎が新婦をほっといて出場してました(笑)」
 2年留年するが、最後の年に聴いた美術史家の木下直之教授の授業が、その後の松﨑さんに決定的な影響を与えた。

「日比谷公園にあるものから、何かを取り上げてレポートをするという課題があって、ぼくは鶴の噴水を選んだんです。子どもの頃からなんとなく噴水を見るのが好きでした」
日比谷公園は1903年(明治36)に開園するが、2年前の新聞記事に「蝦蟇仙人の噴水ができる」という予告を見つけた。
「これはなんだ! と驚きましたね。その時は調べきれず、レポートも出せませんでしたが、あとになって中国の仙人だと判りました」

 卒業後、就職してしばらくして、ヤフーオークションを見ていたら、噴水の絵葉書を見つけた。気になって、「噴水」で検索するとぞろぞろ見つかった。社会人になり、自分の金が使えるようになったこともあり、片っ端から買った。ヤフオクで買いつくすと、古本市や骨董市に通う。絵葉書を扱う店に名刺を渡し、「噴水ものがあったら取っておいてください」と頼んだ。噴水だけの絵葉書の束をのけておいてくれた店もあるという。これまでに集まった噴水の絵葉書は約5000枚。

 そして、集まってきた絵葉書がいつ撮影されたものか、手さぐりで調べはじめた。キャプションと一緒に写っている建物がわずかな手がかりだ。国会図書館で、明治から昭和の読売新聞のCD-ROMを検索して、噴水に関する記事を一件ずつ調べた。噴水の歴史に関しては唯一、佐藤昌『噴水史研究』(環境緑化新聞社)という本があるが、そこに書かれていないことが多かった。

「2010年から『ずっと噴水が好きだった』というブログをはじめ、調べて分かったことを書いていきました。それを見たテレビ局から依頼され、噴水をテーマにした番組にも出演しました。調べると知らないことが次々に出てきて、それについての資料を古本屋で探し、そこで入手した本をもとに図書館で調べるというように、探し物のアンテナにしたがってぐるぐる回って隙間を埋めていくということを繰り返しています。欠けていたピースがピタッと埋まったときは快感ですね。調べ物についてはクイ研時代の経験が生きていて、ウラをとることの大切さを実感しています」

 のちにツイッターをはじめ、生き人形の研究家である伊藤加奈子さんや観覧車を研究している福井優子さんらと知り合いになった。恩師である木下直之さんの研究会にも参加する。噴水は建築、美術、企業史などさまざまなジャンルにまたがるので、調べていくうちにいろんな方向に興味が飛び火していくのだと、松﨑さんは笑う。
「いまは戦後のキャバレーに設けられた噴水のことを調べています。昭和30年代の〈ミカド〉のパンフレットには、ロビーやステージにあった噴水が載っています。また、当時はキャバレーを回るバスツアーもあり、バス会社のパンフレットにキャバレーの噴水が見つかることもあるんです。それらの噴水はドイツのキャバレーを参考につくられたもので、今度は海外のパンフレットも探しています」

 そうやって調べていくうちに、噴水とは直接関係ないヘンなネタも集まってくる。
「上野の西郷隆盛像に紙くずが貼りついている絵葉書を見つけて調べてみると、昭和20年代の新聞小説に、西郷像に紙をぶつけると英雄にあやかれるということが書かれていました。これは仁王像への信仰と関係があったのではないかと考えています。ところが、浅草寺にある社会事業家の瓜生岩子の像が紙くずまみれになっている絵葉書も見つけたんです。こちらは裁縫がうまくなると言われていたそうです。仁王像とは関係なさそうですが(笑)」
 平日は会社勤務のため、土曜日は朝から国会図書館に行き調べ物をしたり、神保町の古本屋を巡ったりするのが楽しいと松﨑さんは云う。

 ちなみに、最近できた噴水のことも調べているのだろうか?
「いや、そっちはあんまり詳しいわけじゃないですね。旅行で行ったら立ち寄るぐらいです。僕は時間が経って鮮度が落ちて、歴史の範囲に収まったぐらいの対象が好きみたいです」
 そう謙遜するが、それでも一通りの知識や見聞はあるに違いない。いろんな方向に興味が飛び火していく一方で、本拠地である噴水については発言する範囲を明確にするというのが、噴水史マニアたる松﨑さんの真骨頂なのだろう。
 このひとが書いた噴水史の本は、絶対面白いに違いない。それが世に出るのを楽しみに待とう。

松﨑貴之 ツイッター
https://twitter.com/gelcyz

南陀楼綾繁
1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」の代表。各地で開催される多くのブックイベントにも関わる。
「一箱本送り隊」呼びかけ人として、石巻市で本のコミュニティ・スペース「石巻まちの本棚」の運営にも携わる。本と町と人をつなぐ雑誌『ヒトハコ』(書肆ヒトハコ)編集発行人。著書に
『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、『一箱古本市の歩きかた』(光文社新書)、『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』(ちくま文庫)などがある。

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『蒐める人 情熱と執着のゆくえ』 南陀楼綾繁 著
皓星社 価格:1,600円(+税) 好評発売中!
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2019年3月25日 第271号

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☆INDEX☆
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
1.『目録学の誕生 劉向が生んだ書物文化』 古勝 隆一
2. 古本乙女の独り言②      カラサキ・アユミ

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

━━━━━━━━━━━【自著を語る(220)】━━━━━━━━━

『目録学の誕生―劉向が生んだ書物文化』

                       古勝隆一

 中国の伝統学術では書物が重視されるが、主に分類の面からそれ
ら書物を研究するのが目録学である。「目録の学は、学中第一の緊
要の事」(王鳴盛、18世紀の中国の古典学者)とまで言われ、近代
的な中国学においても基礎の学として強調されていて、日本の大学
で中国古典を学ぶ学生は、おそらく耳にタコができるほどその重み
だけは聞かされるはずだ。十分身につくまで学び続けるかどうかは、
人によるとしても。

続きはこちら
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『目録学の誕生 劉向が生んだ書物文化』 古勝 隆一 著
臨川書店 定価 3,000円+税 好評発売中!
http://www.rinsen.com/linkbooks/ISBN978-4-653-04376-8.htm

━━━━━━━━━━━【古本乙女の独り言②】━━━━━━━━

古本乙女の独り言②
見つけて小走り、漁って小躍り、楽しくって仕方がないのよ古本はッ

                    カラサキ・アユミ

幸運なことに相方の実家が北関東方面ということもあり、この絶好
のチャンスを逃してはならんと昨年末に念願叶って茨城県はつちう
ら古書倶楽部に訪問することが出来た。土浦駅から歩いて数十秒も
しないうちに、あの、およそ古書店に似つかわしく無いポップな巨
大建物が遠巻きに目に入った瞬間、思わず小走りしてしまった童の
ような私であった。

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古本乙女の独り言① はこちら
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カラサキ・アユミ
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━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

『明治出版史上の金港堂 社史のない出版社「史」の試み』
著者・編者 稲岡 勝 皓星社刊 価格 8,000円+税
http://www.libro-koseisha.co.jp/publishing/kinkodo/

『古書古書話』 荻原魚雷 著
本の雑誌社 定価 2376円(税込)好評発売中!
http://www.webdoku.jp/kanko/page/9784860114275.html

━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━

3月~4月の即売展情報

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 次回は2019年4月中旬頃発行です。お楽しみに!
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全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,200店加盟)の略称です

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日本の古本屋メールマガジンその271 2019.3.25

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:二見彰
編集長:藤原栄志郎

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2019年3月10日 第270号

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 古書市&古本まつり 第73号
      。.☆.:* 通巻270・3月11日号 *:.☆. 。
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初旬に(10日前後)全国で開催されている古本展示即売会など、
イベント情報をお送りします。お近くで開催される際は、ぜひ
お出掛け下さい。

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━━━━━━━━━【シリーズ 古本マニア採集帖】━━━━━━

古本マニア採集帖
第3回 佐藤正浩さん ネットに頼らず本屋を回るひと

                       南陀楼綾繁

 新潟県長岡市。新潟市に次ぎ、県内2位の人口を擁する。江戸時
代は長岡藩の城下町で、戊辰戦争では奥羽越列藩同盟に加わって新
政府軍と戦ったが敗北。疲弊した長岡藩に贈られた百俵の米を、大
参事の小林虎三郎が学校設立の費用に充てた逸話は有名だ。

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南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ)

1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一
文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、
図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年
から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」
の代表。各地で開催される多くのブックイベントにも関わる。
「一箱本送り隊」呼びかけ人として、石巻市で本のコミュニティ
・スペース「石巻まちの本棚」の運営にも携わる。本と町と人を
つなぐ雑誌『ヒトハコ』(書肆ヒトハコ)編集発行人。著書に
『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、『一箱古本市
の歩きかた』(光文社新書)、『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、
『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』
(ちくま文庫)などがある。

ツイッター
https://twitter.com/kawasusu

『蒐める人 情熱と執着のゆくえ』 南陀楼綾繁 著
皓星社刊 価格:1,600円(+税) 好評発売中!
http://www.libro-koseisha.co.jp/publishing/atsumeruhito/

━━━━━【3月11日~4月15日までの全国即売展情報】━━━━━

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

イービーンズ古本まつり(宮城県)

期間:2019/02/08~2019/03/17
場所:仙台駅前 イービーンズ 9階特設会場
宮城県仙台市青葉区中央4-1-1

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フジサワ古書フェア(神奈川県)

期間:2019/02/28~2019/03/13
場所:有隣堂藤沢店4階ミニ催事場

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第2回 上野広小路古本祭り

期間:2019/03/04~2019/03/17
場所:永谷お江戸上野広小路 ギャラリー+スペース36  
   台東区上野1-20-10 お江戸上野広小路亭1階

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第2回 御茶ノ水ソラシティ古本市

期間:2019/03/11~2019/03/17
場所:御茶ノ水ソラシティプラザ 
   千代田区神田駿河台4-6 JR御茶ノ水駅 徒歩1分、
   東京メトロ新御茶ノ水駅聖橋方面改札直通

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第10回 水の都の古本展(大阪府)

期間:2019/03/12~2019/03/15
場所:大阪市中央公会堂 3階 小集会室 
   大阪市北区中之島1丁目1番27号
URL:http://osaka-koshoken.com/

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第21回フジサワ湘南古書まつり(神奈川県)

期間:2019/03/14~2019/03/17
場所:有隣堂藤沢店イベントホール(フジサワ名店ビル6階)
   神奈川県藤沢市南藤沢2-1-1
URL:http://www.yurindo.co.jp/store/fujisawa/

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紙魚之會

期間:2019/03/15~2019/03/16
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 

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五反田遊古会

期間:2019/03/15~2019/03/16
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4 

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第175回 神戸古書即売会(兵庫県)

期間:2019/03/15~2019/03/17
場所:兵庫県古書会館 一階・二階 神戸市中央区北長狭通6-4-5

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第46回 鬼子母神通りみちくさ市

期間:2019/03/17
場所:雑司が谷 鬼子母神通り
URL:https://kmstreet.exblog.jp/

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第87回シンフォニー古本まつり(岡山県)

期間:2019/03/20~2019/03/25
場所:岡山シンフォニービル1F 自由空間ガレリア
   岡山市北区表町1-5-1

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趣味の古書展

期間:2019/03/22~2019/03/23
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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中央線古書展

期間:2019/03/23~2019/03/24
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9  

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新橋大古本まつり

期間:2019/03/25~2019/03/30
場所:新橋駅前SL広場

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BOOK & A(ブック&エー)

期間:2019/03/28~2019/03/31
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9  

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浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2019/03/28~2019/03/31
場所:JR浦和駅西口さくら草通り徒歩5分マツモトキヨシ前
URL:https://twitter.com/urawajuku

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和洋会古書展

期間:2019/03/29~2019/03/30
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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さくらみちフェスティバル 春の古本まつり

期間:2019/03/29~2019/03/31※雨天中止
場所:神田神保町古書店街 靖国通り歩道

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青札古本市

期間:2019/04/04~2019/04/07
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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小江戸川越 ぺぺ古本まつり(埼玉県)

期間:2019/04/04~2019/04/15
場所:西武新宿線本川越駅前ペペ広場

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第36回 古本浪漫洲 Part1~5

期間:2019/04/04~2019/04/18
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場) 新宿区歌舞伎町1-2-2
URL:https://kosho.co.jp/furuhon_romansu/

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下町書友会 ※今回のみ目録発行しません(3/6 更新)

期間:2019/04/05~2019/04/06
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 

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第5回 小倉駅ナカ本の市(福岡県)

期間:2019/04/05~2019/04/14
場所:小倉駅ビル内・JAM広場 (JR小倉駅 3階 改札前)

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第3回 上野広小路古本祭り

期間:2019/04/08~2019/04/14
場所:永谷お江戸上野広小路 ギャラリー+スペース36
   台東区上野1-20-10 お江戸上野広小路亭1階

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立川フロム古書市ご案内  

期間:2019/04/11~2019/04/27
場所:フロム中武(ビッグカメラ隣) 3階バッシュルーム(北階段際)

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書窓展(マド展)

期間:2019/04/12~2019/04/13
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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大均一祭

期間:2019/04/13~2019/04/14
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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平成31年 五台山古本まつり(高知県)

期間:2019/04/13~2019/04/14
場所:高知市五台山展望台1階イベントスペース
高知市吸江210-1

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日本の古本屋メールマガジンその270 2019.3.11

【発行】
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mokuroku

『目録学の誕生―劉向が生んだ書物文化』

『目録学の誕生―劉向が生んだ書物文化』

古勝隆一

 中国の伝統学術では書物が重視されるが、主に分類の面からそれら書物を研究するのが目録学である。「目録の学は、学中第一の緊要の事」(王鳴盛、18世紀の中国の古典学者)とまで言われ、近代的な中国学においても基礎の学として強調されていて、日本の大学で中国古典を学ぶ学生は、おそらく耳にタコができるほどその重みだけは聞かされるはずだ。十分身につくまで学び続けるかどうかは、人によるとしても。

 しかし、この目録学、一般の読者にはやや馴染みが薄いのではないか。倉石武四郎氏『目録学』、井波陵一氏『知の座標』といった、十分な内容の手引きがすでにあるが、どうもそれほど広くは読まれていないようで、ビブリオフィルの諸氏も、目録学固有の理論やその歴史にまで精通しているとは限るまい。

 私が勤務する京都大学人文科学研究所で、所員が一人一冊、東方学の一般書を執筆して叢書にしようと計画を立てたのが数年前のことで、お鉢が回ってきて、目録学のことを書くと決めたのだが、いまさら概説を書いても仕方ないという気もして、あれこれ考えた末、目録学の礎を築いたとされる前漢時代の人、劉向(りゅうきょう)に焦点を当てることにした。

 劉向は、中国の書物史上、きわめて重要な人で、その人物と学問を日本の読書界に紹介しようではないか、というわけである。劉向は、漢の皇族の一員として生まれ、衰退してゆく前漢王朝を何とか立て直そうとした。国政の中枢に近い官僚であり、かつ経書に通じた大学者であった。重要な人物であるにもかかわらず、日本語で読めるこの人物の伝記はまだなかったから、なるべく詳しく書いたつもりである。

 しかし、劉向の人物紹介だけではつまらない。伝えたいことの核心は、中国の書物史にどれほど大きなインパクトを劉向が与えたのか、という点であった。彼は皇帝の命令を受けて、同僚たちとともに、皇室図書館の全蔵書を系統的に整理し、すべての書の定本を作り、皇帝に向けて解題を書き、目録を作ったのであるが、この一大事業が後世の書物の歴史に大きな影響を与え、「目録学」と称される独特な学問分野の基礎とされた。その意味で、劉向は「目録学の祖」なのである。本書では、その事業の詳細と意義に関してある程度の紙幅を割いた。

 中国の書物史は、その後さらに発展を遂げ、ついには四庫全書という大叢書を生み出したが、その基礎は劉向の「目録学」にある。そして、私の見るところ、この目録学は、歴史学やその他の方法論には回収も還元もできない、独自の視点と思想を持っている。その礎を置いたのが他ならぬ劉向、というわけである。本書を手にとっていただき、この目録学の世界に身をゆだねていただければ、というのが、著者の願望なのである。

 なお、私は「学退筆談」と題するブログ記事を数年前から書いており、目録学を含む中国古典の話題を様々提供している。別に「オープン・サイエンス」を気取るわけではないが、学問的な興味を新鮮なうちに、考えを記事にして公開してきた。本書とあわせ、本を愛する多くの方に読んでいただきたい。

学退筆談(中国古典に親しむ) https://xuetui.wordpress.com/



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『目録学の誕生 劉向が生んだ書物文化』 古勝 隆一 著
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古本乙女の独り言② 見つけて小走り、漁って小躍り、楽しくって仕方がないのよ古本はッ

古本乙女の独り言②
見つけて小走り、漁って小躍り、楽しくって仕方がないのよ古本はッ

カラサキ・アユミ

幸運なことに相方の実家が北関東方面ということもあり、この絶好のチャンスを逃してはならんと昨年末に念願叶って茨城県はつちうら古書倶楽部に訪問することが出来た。土浦駅から歩いて数十秒もしないうちに、あの、およそ古書店に似つかわしく無いポップな巨大建物が遠巻きに目に入った瞬間、思わず小走りしてしまった童のような私であった。

(勿論、浮き足立つ私の背後には何かを諦めたような無表情の相方がズルズルとした足取りでついて来ているのであった・・・。義理の両親に年末のご挨拶という厳かな一年の締めくくりの道中に「こ、これはッ古本納めだからッ・・」と真っ直ぐな目で訳の分からぬ道理を言い張り己の私利私欲の為に何のためらいもなく旦那の実家に向かう電車を途中下車した嫁の姿、一体彼の瞳にはどのように映ったのだろう。)

 これまで携帯の画面越しに眺めていたあの古本屋が眼前に佇んでいる・・・・この喜びと感動をしっかりと噛み締めなければッと入店するまでに五分はかかった。建物の奥へと進むと自動ドアがお出迎え、その透明な扉の向こうには雄大な古本大海原の風景が広がっていた。入店後はもう竜宮城に招待された浦島太郎状態となり、ひたすらに古本漁りに酔いしれたのであった。(つちうら古書倶楽部店内の一角には休憩用のテーブルと椅子が置かれており、これには大変助けられた。相方をそこに座らせモバゲーに興じらせている間に漁書に打ち込めたからである。同伴者、ことに古本趣味に難色を示す同行人がいる場合、座れる待機スペースがあるのは大変有り難い。付近に喫茶店があったりすると尚良し。)

 やはり、整然としていない混沌とした古本屋さんはとりわけ楽しい。ズラリと並ぶ背表紙を見て回るのもワクワクするが、平積みになった本の塊を意を決して丁寧に崩しながら下に隠れている本をチェックする最中も口元がニヤけたりする。最も恍惚としたのが無我夢中に古本浴に没頭し心地良い疲弊感に包まれた時点で未だ自分が店内の中間地点に居る事に気付いた瞬間であった。「わ!!どうしよう!!見る棚、掘る場所がまだあんなにある!!」その先にまだまだ続く古本窟を目にし喜びのあまり天井を仰いでしまった。つちうら古書倶楽部は私の乙女心を手玉に取るカリスマホストのような倉庫的古本屋さんであった。そして、クレジットカードが使えるとわかった途端に歯止めがかからぬ状態になったのは無論言うまでもない。(古本に貢ぐこの快感・・・・あぁ、やめられない。)

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『全古書連ニュース』より転載

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東京古書組合発行 『古書月報』より転載

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第3回 佐藤正浩さん ネットに頼らず本屋を回るひと

第3回 佐藤正浩さん ネットに頼らず本屋を回るひと

南陀楼綾繁

 新潟県長岡市。新潟市に次ぎ、県内2位の人口を擁する。江戸時代は長岡藩の城下町で、戊辰戦争では奥羽越列藩同盟に加わって新政府軍と戦ったが敗北。疲弊した長岡藩に贈られた百俵の米を、大参事の小林虎三郎が学校設立の費用に充てた逸話は有名だ。

 教育に力を入れただけあり、維新後には鳥屋十郎、覚張書店などの本屋があったという。この地で新聞社や本屋を開いた大橋佐平は、上京して出版社・博文館を創業。佐平の親族が神田神保町で東京堂をはじめたことが元になり、同じく長岡出身の酒井宇吉が神保町で一誠堂書店を興し、そこで働いたやはり長岡出身の反町茂雄は独立して本郷に弘文荘を開いた。現在の神保町古書店街の形成には、長岡の人脈が関係していたと云えるのだ。

 そういった歴史があるだけに、現在の長岡市にも文化的な雰囲気が濃くある。新潟市では一時期、姿を消していた古書店が、この町には数軒健在だ。2014年からは、春と秋にJR長岡駅前の大手通が歩行者天国になるのに合わせて、「長岡一箱古本市」を開催している。主催は「長岡読書倶楽部」といい、〈雑本堂古書店〉や新刊の〈ブックスはせがわ〉の店主や、本好きの人たちが集まっている。

 以前、この読書倶楽部の飲み会に参加したことがある。その場に、今回登場する佐藤正浩さんもいた。周りの話を黙って聴いているが、私が新潟の古本屋やマイナーな作家の話をすると、この人がまっさきに反応してくれた。同席者によると、パソコンやスマホを持たず、毎日のように古本屋や新刊書店に通って本を買い、そのほとんどを読んでいるという。
 先日、取材で長岡を訪れた際、長岡市立中央図書館で佐藤さんと待ち合わせ、住宅街にある喫茶店で話を聴いた。

 佐藤さんは1973年生まれ。実家は祖父の代から鋼材店を営んでいた。小学生の頃は、図書館のブックモービル(移動図書館)で本を借りて読んでいた。
「それと、叔父がSFやミステリが好きで、祖父母と住んでいた家に行くとたくさん本や雑誌があったので、『野性時代』や『SFアドベンチャー』を借りて読みました」
 中学校では科学部に入ったが、「まあ、帰宅部みたいなもんでした」と笑う。その頃には中心部から離れたところに自宅があり、校則が厳しかったので、祖父母の家に行くときに駅前の本屋に立ち寄るぐらいしかできなかった。

「本好きの同級生に教えてもらって、はじめて〈新井堂〉という古本屋に行きました。駅ビルには〈ブックセンター長岡〉(現・文信堂書店)がありました。当時、角川スニーカー文庫が創刊し、ライトノベルが出はじめました。それらを買って、友達と回し読みしていました。また、海外ミステリや新本格、ファンタジーなどを片っ端から読んでいます。小遣いが少なかったので、図書館で借りて読むことが多かったですね」

 大学は東京へ。「受験のときにはじめて神保町に行きました。たくさんの古本屋が入っている古書センターはパラダイスだと思いましたね(笑)」。国文学部で近代文学を学び、幻想文学研究会に属した。「自分より本に詳しい、濃ゆい人たちにあって刺激を受けました」。卒論は岡本綺堂の江戸・東京ものについて書いたという。
 卒業後、実家に戻り、建築関係の会社に入るが、不景気で会社が傾いたこともあり、畑ちがいの看護助手となり、現在は介護福祉士として働いている。
「夜勤の仕事が多いのですが、朝9時に終わるとその足で新刊書店や古本屋を回ってから、家に帰って寝るという感じです(笑)。とくに家の近くにある新刊の〈戸田書店〉には一日も欠かさずに寄っています。最近では顔を覚えられて、本の注文書を代わりに書いてくれるようになりました。休みの日も車で古本屋を回っています。ヒマができると、本屋に行かないと落ち着かないんです」

 佐藤さんが長岡に戻った1990年代終り頃から、新潟県でも新古書店の〈ブックオフ〉が増えはじめた。
「J・G・バラード『夢幻会社』(サンリオSF文庫)や森下雨村『謎の暗号』(少年倶楽部文庫)のように、これまで欲しくても高くて手が届かなかった本が、ブックオフをこまめに回ると100円で見つかることに興奮しました」
 長岡から十日町や柏崎まで出かけ、ブックオフや古本屋を回った。本に詳しい人と知り合いになって、店の情報を教えてもらった。一箱古本市に出るようになってから、本好きの友人も増えた。
 当時もいまも、パソコンを持たず、ネットで古本屋を探したり本を買ったりすることはしない。

「これまで買わなかったのでいまさらという気もしますし、ネットがあるとたくさん本を買ってしまいそうで怖いんです(笑)。行きつけの店に行ったり、新聞で一箱古本市の情報を見たりして出かける方が好きです。そういうところで、あまり高いものでなくて、変な本に出会うのが楽しいです」

 最近の拾いものは、ブックオフで見つけた和本や、『ポスター集』と書かれた新聞や雑誌の題字を貼り込んだスクラップブックなど。実家の一部屋は本で埋まっている。
「2004年の中越地震のときは、長岡もかなり揺れました。そのときに本を二階から下に降ろしたりしたので、いまではどこに何があるか判らなくなっています。親から処分しろと云われて古本屋に売っても、同じぐらい買ってしまうんです(笑)。最近はミステリの復刻が多くて、『こんなものまで出るんだ!』という驚きと、見つけたときに買っておかないとという気持ちがあります」

 買った本はだいたい読んできたが、以前ほど量は読めなくなっているという。
「これまで興味のままにバラバラに買ってきましたが、もう少し体系づけて本を集めたいと思うようになりました。いま気になっているのは、柏崎出身の石黒敬七。柔道家で随筆もたくさん書いています。この人の本を集めてみたい」
 ぼそぼそとした話しぶりだが、本のことならいくらでも話せそうだ。喫茶店を出て、佐藤さんの車に乗せてもらうことになり、ドアを開けると、ドアの隙間から単行本や雑誌がドサドサ落ちてきた。家に持ち込めない本を乗せているのだろうか?
 取材時には、つい最近買ったというスマホを持っていたが、検索には使っていないそうだ。勝手な希望ながら、佐藤さんには、できればずっとこのまま、自分の嗅覚だけで本屋を回ってほしい。彼のような本好きによって、リアルな本屋は支えられているのだから。

南陀楼綾繁
1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」の代表。各地で開催される多くのブックイベントにも関わる。
「一箱本送り隊」呼びかけ人として、石巻市で本のコミュニティ・スペース「石巻まちの本棚」の運営にも携わる。本と町と人をつなぐ雑誌『ヒトハコ』(書肆ヒトハコ)編集発行人。著書に
『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、『一箱古本市の歩きかた』(光文社新書)、『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』(ちくま文庫)などがある。

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2019年2月25日 第269号

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☆INDEX☆
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
1.『図書館の日本史』       新藤 透(東北福祉大学)
2.『日本の漫画本300年』      清水 勲

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

━━━━━━━━━━━【自著を語る(219)】━━━━━━━━━

『図書館の日本史』

                    新藤 透(東北福祉大学)

古代から近現代までの日本史を単独で執筆できる歴史家は数少ない、
というか現代ではいない。戦後、日本史学は社会経済史や民衆史で
発展してきた。研究が進展するにつれてさまざまな観点から論じら
れるようになり、現在では多種多様な視点から研究されるようにな
ってきた。環境問題やLGBTなどのきわめて「現代的」な論点でも日
本史は研究されているのだ。

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『図書館の日本史』新藤透 著
勉誠出版刊 定価 3,888円 (本体3,600円) 好評発売中
http://bensei.jp/index.php?main_page=product_book_info&products_id=100962

━━━━━━━━━━━【自著を語る番外編】━━━━━━━━━

『日本の漫画本300年』

                           清水 勲

現代のコミック本の出版状況を見れば、誰でも日本はマンガ大国で
あることを認めるだろう。日本の戯画・漫画の歴史は『鳥獣人物戯
画』などの肉筆戯画からは一千年、『鳥羽絵三国志』などの版画本
からでも三百年を数える。版画本という複製の商品となって漫画は
大衆化し、多くの人々の娯楽の一つとなった。

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『日本の漫画本300年』清水勲・猪俣紀子著
ミネルヴァ書房刊 本体2800円+税 好評発売中
http://www.minervashobo.co.jp/book/b377515.html

━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

『目録学の誕生 劉向が生んだ書物文化』 古勝 隆一 著
臨川書店 定価 3,000円+税 3月上旬発売予定
http://www.rinsen.com/linkbooks/ISBN978-4-653-04376-8.htm

『古書古書話』萩原 魚雷 著
本の雑誌社 予価 2,200円+税 3月中旬発売予定
http://www.webdoku.jp/

古本乙女の独り言②
これは無駄使いぢゃない、自分への投資なんだッ
カラサキ・アユミ

古本乙女の独り言① はこちら
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━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━

2月~3月の即売展情報

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

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