加賀野井秀一 著、白水社、2009年6月、296p、20cm
2刷 カバー 帯付 カバーヤケ無し 帯ヤケ無し 本体三方ヤケ無し 線引き無し 書き込み無し 保存状態良好の美本です。
《全貌をいま、あきらかに!》
いろんなものに出会いたい、いろんなものの中に入り込みたい、そうして考えを掘りさげたい、そう思い続けてきた哲学者がメルロ=ポンティだ、そういってもいいだろう。「感じとる」ことがそのまま「考える」ことにつながっていくような哲学。自分自身の哲学というよりは、あらゆるものとの<接触>を通して、いかにこの世が盛りだくさんに出来上がっているかに、その目を開いていくような、哲学者。この本は、そんな彼の生涯(これまでは、「語るべきほどのことはない」といわれていた︱とんでもない! かなりドラマティークな一生!)と主要著作のエッセンスを、この著者ならではの軽快な文体と目の行き届いた研究成果をバックグラウンドに、余すところなくあきらかにしている。
メルロ=ポンティの哲学。それは、まるで受精卵のようだ。細かく構造化されつつ、なおも新たな分割と重層化をくりかえしていく、「発生」の哲学。それは「一から出直し」の美学といってもいい。なぜなら、そこには一切の「ドグマ=教説」がないのだから。