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戦前の同人誌出版の歴史は?:同人雑誌出版マニュアルから判ること

戦前の同人誌出版の歴史は?:同人雑誌出版マニュアルから判ること

小林昌樹


 『文藝同人雑誌出版マニュアル―戦前版』(金沢文圃閣、2017.11)という復刻に関わった。これは珍しい次の2点の同人誌出版マニュアルの合冊復刻であり、解説「同人雑誌の作り方本から何が判るか?」を付けておいたので詳しくはそちらを見られたい。

・中野扇歌『同人雑誌の経営策』東京市深川区:民衆出版社,1923.1 76p
・杉田泰一『趣味の小文芸誌経営法』茨城県島名村:研農社,1936.12 120p

 今回の復刻で重要なのは古い中野著ではなく、新しめ――といっても昭和11年だが――の杉田著のほうで、これはおそらくどこにも残っていないガリ版刷りの小冊子。2年前「日本の古本屋」を検索していて、たまたま発見したものだ。検索キーワードは「趣味+経営」だったか。タイトルに「雑誌」という語がないのにヒットしたのはそのせいである。ジャンル違いのキーワードを掛け合わせて検索すると意外な古本が買える、という事例だろう。花木堂(カボクドウ)書店(愛知県蒲郡市)さんから2000円だった。ガリ版刷りのエフェメラ(一過性資料)に近いものなのに、保存状態は極めて良く、出版地は茨城県島名村(現在のつくば市)なので、昭和11年段階ではるばる愛知県まで郵送されたものだろう。地方同人誌界は毎号の交換を通じて明治半ばから全国ネットワークが成立していたことが小木曽旭晃『地方文芸史』(1911)から判る。そのルートに乗ったのだろう。

 こんな名も知れぬ地方超弱小出版社のガリ版刷りを、どうして復刻したのかと言えば、この出版マニュアルによって出版法や新聞紙法、著作権法の受容実態がわかることに気づいたからである。いわく、雑誌の立上げ時に記事が不足していたら、他誌から転載しても非営利でちょっとなら大丈夫とか(当時でも違反)、特にこれは当書中の白眉だが巻末「出版応答」で、ガリ版は納本しないでいいですよね、といった質問者、回答者の間違いや法令解釈のミスなども含め、戦前期の出版法制が地方の出版現場でどう受け取られていたかを明示的に語る資料は類例がない。

 とはいえ、主題は文芸同人誌の出し方なので、解説で戦前における同人誌の歴史についても本当に荒くスケッチしておいた。奇しくも大著、ばるぼら;野中モモ編著『日本のZINEについて知ってることすべて』(誠文堂新光社,2017.11)が公刊されるなど、同人誌の歴史についての関心が高まっている(他にも吉本たいまつ『同人誌印刷の「あけぼの」』みるく☆きゃらめる,2016.8は重要)。戦前の同人誌史については通史や概説がない状態であるので、今回の復刻や解説を手がかりにどなたか果敢に挑戦してもらいたいところでだ。「同人雑誌」という複合語が、大正8年以降の新語らしいということも今回調べて初めて分かったし、「自費出版」概念の整理も解説でしておいた。

 ひとつ解説に書き忘れたことがある。この杉田著は本文をよく読むと書式集などが付録として付いていたらしい。いつかどこかで拾えるだろうか……。



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『文芸同人雑誌出版マニュアル 戦前版』 編・解題 小林昌樹
金沢文圃閣 揃価―6,000円 (税別)好評発売中!
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2018年1月10日 第242号

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        古書市&古本まつり 第59号
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なお、今月から「シリーズ古書の世界」を連載します。



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━━━━━━━━━━【シリーズ古書の世界】━━━━━━━━━


変っていく古書店のかたち1

                 樽見博(日本古書通信編集長)


 時代にそって物事が変化していくのは当然だが、古書店のかたち
も変化していくのだなと最近つくづく思うようになった。中でも、
戦後文学書を中心にしてこられた大田区の龍生書林さんの閉店は象
徴的だと感じた。閉店理由は営業不振ではなく、古書店を取り巻く
環境の変化にあったのではないだろうか。古書店の仕事の基本は、
お客から古書を買い取り、次の読者へ手渡していくことで、何ら変
化はないが、仕入れて販売していく過程、具体的には古書価決定の
仕組みと、販売法が大きく変化している。

続きはこちら
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━━━━━【1月10日~2月15日までの全国即売展情報】━━━━━


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Title 2Fの古本市 Vol.2

期間:2017/12/26~2018/01/11
場所:Title(タイトル) 杉並区桃井1-5-2


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吉祥寺パルコの古書市

期間:2017/12/30~2018/01/14
場所:吉祥寺パルコB1特設会場 
   ‎東京都武蔵野市吉祥寺本町1-5-1


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チカホブックマルシェ 札幌の古本市(北海道・札幌)

期間:2018/01/05~2018/01/12
場所:地下歩行空間大通駅側、北洋銀行ATMコーナー横の広場
URL:https://www.facebook.com/tikaho.book


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立川フロム古書市

期間:2018/01/05~2018/01/21
場所:立川駅北口徒歩5分フロム中武(ビッグカメラ隣) 
   3階バッシュルーム(北階段際)


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第32回古本浪漫洲 Part1

期間:2018/01/10~2018/01/12
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
   新宿区歌舞伎町1-2-2


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有隣堂藤沢店4階古書フェア(神奈川県)

期間:2018/01/11~2018/01/24
場所:有隣堂藤沢店4階ミニ催事場 
   神奈川県藤沢市南藤沢2-1-1フジサワ名店ビル7F


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東京愛書会

期間:2018/01/12~2018/01/13
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
URL:http://aisyokai.blog.fc2.com/


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第17回 シャレオ古本まつり(広島県)

期間:2018/01/13~2018/01/19
場所:紙屋町シャレオ中央広場 
   広島市中区基町地下街100号


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大均一祭

期間:2018/01/13~2018/01/14
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9


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第32回古本浪漫洲 Part2

期間:2018/01/13~2018/01/15
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
   新宿区歌舞伎町1-2-2


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第1回 ジュンク堂 新春古書展(沖縄県)

期間:2018/01/14~2018/02/25
場所:ジュンク堂書店那覇店 1階
   那覇市牧志1-19-29 D-NAHA ゆいレール美栄橋駅 徒歩3分


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第32回古本浪漫洲 Part3

期間:2018/01/16~2018/01/18
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
   新宿区歌舞伎町1-2-2


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第34回 銀座古書の市

期間:2018/01/17~2018/01/22
場所:松屋銀座 8階イベントスクエア 中央区銀座3-6-1


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調布の古本市

期間:2018/01/17~2018/01/31
場所:調布パルコ 5階催事場 調布市小島町1-38-1


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さんちか古書大即売会(兵庫県)

期間:2018/01/18~2018/01/23
場所:神戸三宮さんちか3番街 さんちか大ホール


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趣味の古書展

期間:2018/01/19~2018/01/20
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 


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第32回古本浪漫洲 Part4

期間:2018/01/19~2018/01/21
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
新宿区歌舞伎町1-2-2


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第32回古本浪漫洲 Part5(300円均一)

期間:2018/01/19~2018/01/21
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
新宿区歌舞伎町1-2-2


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倉庫会(愛知県・名古屋)

期間:2018/01/26~2018/01/28
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田5-1-12

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和洋会古書展

期間:2018/01/26~2018/01/27
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 


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五反田遊古会

期間:2018/01/26~2018/01/27
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4


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中央線古書展

期間:2018/01/27~2018/01/28
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9


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BOOK & A(ブック&エー)

期間:2018/02/01~2018/02/04
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9  

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我楽多市(がらくたいち)

期間:2018/02/02~2018/02/03
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 


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反町2月古書会館展(神奈川県)

期間:2018/02/03~2018/02/04
場所:神奈川古書会館1階特設会場  
横浜市神奈川区反町2-16-10


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三省堂書店池袋本店古本まつり

期間:2018/02/06~2018/02/12
場所:西武池袋本店別館2階=特設会場(西武ギャラリー)
東京都豊島区南池袋1-28-1

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第4回古書会館de古本まつり(京都府)

期間:2018/02/09~2018/02/11
場所:京都古書会館3F 京都市中京区高倉通夷川上る


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書窓展(マド展)

期間:2018/02/09~2018/02/10
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 


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杉並書友会

期間:2018/02/10~2018/02/11
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9  



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日本の古本屋メールマガジンその242 2018.1.10

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:小野祥之

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平素は「日本の古本屋」をご利用いただき有難うございます。

本日発生いたしましたクレジット決済が出来なくなる現象ですが
2018/01/12 16:00にプログラムの修正をして正常に稼働して入ります。

皆様にはご不便をおかけいたしました。
今後とも「日本の古本屋」をよろしくお願いします。
「日本の古本屋」TKI管理チーム

ryusei

(シリーズ古書の世界第1回) 変っていく古書店のかたち1

変っていく古書店のかたち1

樽見博(日本古書通信編集長)

時代にそって物事が変化していくのは当然だが、古書店のかたちも変化していくのだなと最近つくづく思うようになった。中でも、戦後文学書を中心にしてこられた大田区の龍生書林さんの閉店は象徴的だと感じた。閉店理由は営業不振ではなく、古書店を取り巻く環境の変化にあったのではないだろうか。古書店の仕事の基本は、お客から古書を買い取り、次の読者へ手渡していくことで、何ら変化はないが、仕入れて販売していく過程、具体的には古書価決定の仕組みと、販売法が大きく変化している。拙著『古本通』(2006年、平凡社)では、一般の方には知られていない古書市場における入札のシステムや、宅買い(古書店が直接お客の家などに行き蔵書を仕入れること)の在り方などを具体的に解説したが、10年が経過して、少々実情との違いが出来てきたような気がする。どこまで現実に迫れるか不安はあるが、管見の範囲でここ30年間における古書店の営業形態の変遷を辿ってみたい。

龍生書林の大場啓志さんは、最初、神奈川県秦野市の東海大学の近くで開業した。その後、蒲田駅前や、神保町一丁目山田書店のビルの中、浅草にも出店した時代があったが、大田区池上に移ってからは古書目録販売が中心となった。近代文学、なかでも戦後文学初版本、受賞本を専門としてこられた。昨年末古書組合を脱退、今年の夏と12月に、「古書目録りゅうせい」65号と66号を出して、年末事実上の閉店となった。宮城県から上京後サラリーマン勤めを経て20代後半から70歳代まで45年間に及ぶ古書店歴を誇るが、彼の歩んだ道こそ、ここ30年ほどの古書店の営業形態の変遷の様子そのものだと思う。

戦後文学初版本のブームが起こったのは、三島由紀夫割腹自殺事件を少しさかのぼる昭和40年初め、一時終息しかけたが三島事件(昭和45)で再び火が付いたといわれる。川端康成のノーベル文学賞受賞(昭和43)、日本近代文学館の復刻本刊行も昭和40年代である。それまでは帯や栞など本の付属物はそれほど気にも留められなかったが、完本を求める風潮が一気に昂じた。龍生書林の始まりはそんな時代だった。当社の『全国古本屋地図』初版の刊行は昭和52年だが、その頃の古書店、特に郊外や地方の古書店の紹介は、大半が「文庫、漫画、一般書扱い」で、中で有力店は、「文学書初版本、限定本も扱う」と、「郷土史に力を入れ、地元デパートでの即売会にも積極的だ」といった表現だった。古書目録発行店も数えるほど。本誌の目録欄に掲載希望する店も多かった。

龍生書林の紹介を『全国古本屋地図』各版に添って見ていくと、
昭和52年初版  住所のみ(大田区西蒲田7-4-5)
昭和57年新装版第三刷 専門店案内欄に「戦後文学・受賞本」
昭和59年改訂新版 神保町一丁目山田書店4階へ出店「近代文学、現代文学、特に戦後文学や文学賞受賞本に力を入れている」とある。専門店案内で「初版本・限定本」
昭和61年改訂増補版 前版と同じだが、浅草雷門にも支店を出していると追記してある。(昭和61年、蒲田・工学院通りの6坪の店から、蒲田駅前の20数坪の店に移転)
昭和63年改訂新版 神保町店は無くなり、雷門店「一般書と映画パンフレット」蒲田店「蒲田駅ホームからも見える龍生書林駅前店は、古本、レコード、映画ポスター、パンフなど何でもある感じで人が入っている。店頭にも本が積まれ、流行作家のものなど十冊くらいセットにして安く売るなど気が利いている。裏に古書部があるが閉まっている時が多い」とある。
平成2年改訂新版 前版と同じ。
平成3年改訂新版 雷門店は無くなり、あとは前版と同じ。
平成4年改訂新版 同じ内容の蒲田駅前店の紹介の後に「戦後文学の初版本や推理小説専門の目録販売事務所もあり、本の知識は定評がある」と追記。
平成5、6、8年の各改訂新版は、平成4年版と同じ。
平成9年改訂新版 西蒲田7-1-1に移転。「戦後文学初版本や推理小説の通販専門、本の知識は定評がある」とあり、店舗営業を休止している。
平成11改訂新版 大田区池上4-29-1に移転。「昭和文学初版本や推理、大衆小説の専門店として知られる。最近、著書『三島由紀夫・古本屋の書誌学』という本を刊行、話題となった。この店出身の古本屋も多い」とある。

『古本屋名簿 古通手帖2011』では、 無店舗、近代文学初版本。通販専門。
改めて、『全国古本屋地図』の需要が高く、毎年のように改訂新版を出せたことに驚くが、龍生書林の変遷は、扱う商品の変化、支店の開設と閉店、そして無店舗の目録販売へと、実に時代の流れに対応していたことを今更ながら知らされる。神奈川から蒲田に移転してからは、南部古書会館の五反田展にも参加した。古書目録の発行は昭和56年からで、『全国古本屋地図』の専門店案内で昭和57年版から「戦後文学・受賞本」とあるのはそのためだろう。芥川賞や直木賞受賞本を扱うことにおいて断然の存在であっと記憶する。雷門店の開業は、ブックオフ登場前で、あふれる古本を背景に全国の古書店が競って支店を出した頃で、映画パンフの人気も急上昇していたのだ。それもブックオフ展開であっという間に終息する。さらにネット販売が普及するに及んで専門店の多くが無店舗目録販売に切り替わっていったのだ。

大場さんは、商いの機を見るに敏で、蒲田駅前店の頃は量販店として成功を収めているが、一方で、当初から文学書稀覯本探求への努力と経験を積んでいた。文学書好きが昂じて古書店になった、その情熱を持ち続けたのだ。それは本誌に「記憶に残る本」として5年間連載し、昨年私家版で少部数(75部)刊行した『古書游泳―めぐり会った人と本』によく表されている。利益のみを追求しようとするなら、古書店という選択は賢明とは言えない。書物に対する強い思いがなければ「古本屋」という稼業で精進し続けることは難しい。(続く)

ryusei
日本古書通信
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2017年12月25日 第241号

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☆INDEX☆
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
1.『編む人 ちいさな本から生まれたもの』  南陀楼綾繁
2. 古本屋癌になる-77歳の日記 青木書店 青木正美
3.『出版物販売額の実態 2017』について
日販 営業推進室 経営相談グループ 書店サポートチーム

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━━━━━━━━━━━【自著を語る(199)】━━━━━━━━━━

『編む人 ちいさな本から生まれたもの』


                      南陀楼綾繁



 大学を卒業して、大学院に入るまでのつなぎのつもりで、ちいさ
な出版社でアルバイトをはじめた。そこで、編集者が一種の特権で
あることに気づく。なにしろ、名刺一枚で、仕事にかこつけていろ
んな世界の専門家や有名人に出会うことができるのだ。人見知りの
私は、パスポートをもらったような気分だった。実際には同じ出版
社でもピンからキリまであるのだが、そんなことを知らなかった私
は、勝手な企画を考えては、以前から愛読していた書き手や研究者
に会いに行った。

続きはこちら
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『編む人 ちいさな本から生まれたもの』南陀楼綾繁 著
出版社ビレッジプレス 定価:1,600円+税 好評発売中!
http://www.village-press.net/?pid=124093781



━━━━━━━━━━━【自著を語る(200)】━━━━━━━━━━

古本屋癌になる-77歳の日記

青木書店 青木正美



 八十四歳になる私は、七年前から東京古書会館へ行かない。行っ
ても”浦島太郎”扱いであろう。二〇一〇年、私は毎回普通市に通
い、七夕大市会にも参加した。その年七十七歳、正月からある出版
社本を書き始めた。戦後の「古書月報」を独力編集、業界人として
も大活躍した都崎友雄のもう一つの伝記である。・・・・・そんな
九月のある日、私は喉に腫瘍を見つけ癌研有明病院へ行く。長い待
ち時間があって、告げられたのは中咽頭癌。



続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3564


『古本屋癌になる 77歳の日記』青木正美 著
日本古書通信社 定価:2,000円+税 好評発売中!
http://www.kosho.co.jp/kotsu/


━━━━━━━━━━━【自著を語る番外編】━━━━━━━━━



『出版物販売額の実態2017』について


    日販 営業推進室 経営相談グループ 書店サポートチーム

突然ですが、1年間の新刊本の売上額ってご存知ですか?
答えは、2016年度は1兆7,221億円、前年よりも730億円減少しました。
730億円という額は業界トップクラスの書店チェーン1企業分の売上
額に相当します。簡単にいうと、ここ数年は、毎年1チェーンが消
えているということになります。それほど出版業界の販売額は急激
な減少をしているのです。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3576


『出版物販売額の実態 2017』日販 営業推進室 書店サポートチーム編
日本出版販売株式会社 頒価 1,512円(本体1,400円)好評発売中!
http://www.nippan.co.jp/news/hanbaigaku_2017/

購入する場合のサイトです。
https://www.honyaclub.com/shop/c/c09N0/


━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

『本のちょっと (Vol.1 本を旅する)』
啓文社書房 定価 本体926円+税 好評発売中!
http://kei-bunsha.co.jp/archives/683



『文芸同人雑誌出版マニュアル 戦前版』 編・解題 小林昌樹
金沢文圃閣 揃価―6,000円 (税別)好評発売中!
https://kanazawa-bumpo-kaku.jimdo.com/



『図書館人物事典』日本図書館文化史研究会 編
日外アソシエーツ 定価:12,000円+税 好評発売中!
http://www.nichigai.co.jp/cgi-bin/nga_search.cgi?KIND=BOOK&ID=A2678

━━━━━━【東京古書組合展示会開催のお知らせ】━━━━━━



 「戦前の出版検閲を語る資料展
            浮かび上がる検閲の実態」

会期 1月10日(水)~2月3日(土)午前10時~午後5時
   (日曜・祝日休館)


会場 東京古書会館 2階情報コーナー


昭和初期の出版検閲についてパネルで解説するとともに、千代田図
書館蔵「内務省委託本」ならびに、東京古書組合蔵「公定価格関係
資料」など、検閲や出版物統制の実態を今に伝える貴重な本や資料
を展示します。
また、本展示「浮かび上がる検閲の実態」に関連して、講演会をお
こないます。


━━━━━━━━━━━━━【お知らせ1】━━━━━━━━━━━


「日本の古本屋」では、現在、携帯電話のキャリア決済サービスに
対応するための準備を行っております。
サービスの提供開始は来年1月中を予定しております。

今後も、皆様に使いやすいサイトを目指して改善を行ってまいりま
す。引き続きよろしくお願い申し上げます。



━━━━━━━━━━━━━【お知らせ2】━━━━━━━━━━━


日本の古本屋では、メールマガジンを毎月10日と25日に、約16万人
の会員のみな様にお届けしています。
来年1月の10日号(毎月10日発行)のメルマガから、「シリーズ古書
の世界」を連載します。
今回は、日本古書通信編集長樽見博さんの「変遷していく古書店の
営業形態」を三回に分けて(1月~3月)掲載します。ご期待下さい。



━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━


1月~2月の即売展情報

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init


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日本の古本屋メールマガジンその241 2017.12.25

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/


【発行者】
 広報部:小野祥之
編集長:藤原栄志郎


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2017年12月11日 第240号

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つちうら古書俱楽部:師走の古本まつり!(茨城県)

期間:2017/12/09~2017/12/17
場所:茨城県土浦市大和町2-1 つちうら古書俱楽部

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有隣堂イセザキ本店チャリティーワゴンセール(神奈川県)

期間:2017/12/13~2018/01/08
場所:有隣堂伊勢佐木町本店 横浜市中区伊勢佐木町1-4-1 

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新興古書大即売展

期間:2017/12/15~2017/12/16
場所: 東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
TEL:03-5280-2288(会期中のみ会場直通)

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五反田古書展

期間:2017/12/15~2017/12/16
場所: 南部古書会館  品川区東五反田1-4-4 
JR山手線、東急池上線、都営浅草線五反田駅より徒歩5分
TEL:03-3441-3975(会期中のみ)

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第124回 倉庫会(名古屋)

期間:2017/12/15~2017/12/17
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田五丁目1-12
電話:052-241-6232

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2017全大阪古書ブックフェア(大阪府)

期間:2017/12/15~2017/12/17
場所:大阪古書会館 大阪市中央区粉川町4-1

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ぐろりや会

期間:2017/12/22~2017/12/23
場所: 東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
TEL:03-5280-2288(会期中のみ会場直通)

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好書会

期間:2017/12/23~2017/12/24
場所: 西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9
TEL:03-3339-5255(会期中のみ)

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阪神歳末古書ノ市(大阪府)

期間:2017/12/26~2017/12/30
場所:阪神梅田本店8階催場 大阪市北区梅田1-13-13

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Title 2Fの古本市 Vol.2

期間:2017/12/26~2018/01/11
場所:Title 杉並区桃井1-5-2

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吉祥寺パルコの古書市

期間:2017/12/30~2018/01/14
場所:東京都武蔵野市吉祥寺本町1-5-1 吉祥寺パルコB1特設会場

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♭立川フロム古書市ご案内♭

期間:2018/01/05~2018/01/21
場所:立川駅北口徒歩5分フロム中武(ビッグカメラ隣)
3階バッシュルーム(北階段際)

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下町書友会

期間:2018/01/05~2018/01/06
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
TEL:03-5280-2288(会期中のみ会場直通)

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第32回古本浪漫洲 Part1

期間:2018/01/10~2018/01/12
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場) 新宿区歌舞伎町1-2-2
TEL03-3354-6111

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東京愛書会

期間:2018/01/12~2018/01/13
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
TEL:03-5280-2288(会期中のみ会場直通)

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大均一祭

期間:2018/01/13~2018/01/14
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9
TEL:03-3339-5255(会期中のみ)

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日本の古本屋メールマガジンその240 2017.12.11

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:小野祥之

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nippan

『出版物販売額の実態2017』について

『出版物販売額の実態2017』について

日販 営業推進室 経営相談グループ 書店サポートチーム


突然ですが、1年間の新刊本の売上額ってご存知ですか?
答えは、2016年度は1兆7,221億円、前年よりも730億円減少しました。
730億円という額は業界トップクラスの書店チェーン1企業分の売上額に相当します。
簡単にいうと、ここ数年は、毎年1チェーンが消えているということになります。
それほど出版業界の販売額は急激な減少をしているのです。

本書は、出版物全体と各都市の販売額を把握し、出版物が読者の手に届くルートを明らかにする事を目的として、当社が1974年から毎年発行しているものです。
調査を開始した1973年度の販売額は5,967億円で、現在と比べると約3分の1の市場でした。ルート別販売額で大きな順は、書店、割賦販売、スタンド、駅売店、生協などとなっており、割賦販売ルートはなんと、全体の10%の規模がありました。

現在では、割賦販売は販売額も大幅に縮小し、スタンド店数も減少、駅売店はCVSチェーンに塗り替えられており、販売ルートも様々に変化をしています。
1990年代から、それまでの古書店とは一線を画す新古書店と言われる業態が急速に広がり、中古本市場がより一般的な存在になりました。その中古本の市場も緩やかな縮小が始まっており、2016年度の市場規模は782億円となっています。
そのようなルートの変化を踏まえて今回の2017年版では、読者と本の接点であるタッチポイントごとに、具体的には従来の取次経由以外の図書館、中古本市場、電子出版物、教科書の市場規模の推計を開始しました。今後も時代の流れに合わせて出版物のタッチポイントの調査を進めていく予定です。

人の生活導線から書店の姿が消えていく中で、今ほど「本」「書店」に注目が集まる時代もないのではないかと思っています。それほど、本は人を幸せにするし、心躍らせるモノであり、生活に必要なモノなんだと痛感しています。
特に最近は、若い方たちが書店を始めるニュースが多く聞かれるようになりました。みなさんそれぞれの思いを込めた空間を作り、そこには新刊本だけでなく古書や雑貨も取り混ぜて、読者と新たな接点を作ろうとしてます。新しい書店の担い手が増えていくことはうれしい限りです。

この1年間で約300件の書店が閉店し、2016年度の書店の軒数は10,583件です。私たち出版業界がすべきことは、そういう新しい書店の担い手をサポートし、新しいタッチポイントを作り続けること、そう思っています。



nippan
『出版物販売額の実態 2017』日販 営業推進室 書店サポートチーム編
日本出版販売株式会社 頒価 1,512円(本体1,400円)好評発売中!
http://www.nippan.co.jp/news/hanbaigaku_2017/
購入する場合のサイトです。
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aoki

古本屋癌になる-77歳の日記

古本屋癌になる-77歳の日記

青木書店 青木正美


 八十四歳になる私は、七年前から東京古書会館へ行かない。行っても”浦島太郎”扱いであろう。二〇一〇年、私は毎回普通市に通い、七夕大市会にも参加した。その年七十七歳、正月からある出版社本を書き始めた。戦後の「古書月報」を独力編集、業界人としても大活躍した都崎友雄のもう一つの伝記である。・・・・・そんな九月のある日、私は喉に腫瘍を見つけ癌研有明病院へ行く。長い待ち時間があって、告げられたのは中咽頭癌。

 長寿社会になりやがて二人に一人が癌になるとも言われるが七年前にも、結果は出たのに中々入院の番は来なかった。やっと保険外の、日に三万円かかる個室なら、という話で入院する。一日おきの放射線治療が三十五回、並行して胃瘻の設置手術。抗癌剤、他の点滴が続く。しまいにはのべつ発生する口内炎の発生で食べるのもしゃべるのも出来なくなる。すると食事は胃瘻に、意志は筆談に頼るようになる。前立腺肥大を放ってあったのが祟って終夜20~30回小用に起きることさえある。トイレの取っ手につかまって、泣いて耐えた夜もあったし、日記さえ書けなくなる。が、すぐに覚った。「さして才能もないお前が文学青年的なところを明古の主任だった鶉屋書店に会員に誘われた元々も”日記”だったんだぜ。この六十年も”日記”を支えに生きて来たお前じゃなかったのか!こうなったらどんなに苦しむのかを書いてやろう!」

 実は今度の本は癌となったその闘病記であり生還記でもあったのは、結果的に病院の適切な対応と家族の協力あってのことだった。
 退院出来たのは年を越した二〇一一年一月三十日。筑摩からは編集者がわざわざ出来上がった本とお見舞いを持って来て下さる。病床で校正を重ねたその本のタイトルは『ある「詩人」古本屋伝』、”風雲児ドン・ザッキーを探せ”のサブタイトルがつく。そう、最初紹介の都=ド・崎=ザキー(都崎友雄)は、戦前はダダイズム詩人ドン・ザッキーだったのだ。

 あの年はまた、このひと月と十二日後に、東日本大震災が日本を襲う。その余波で東京も激震、我が家の書斎、隣の書庫の大崩落の片づけに働き、私のリハビリともなったのである。
 もし、ご一読頂けたら幸いです。



aoki
『古本屋癌になる 77歳の日記』青木正美 著
日本古書通信社 定価:2,000円+税 好評発売中!
http://www.kosho.co.jp/kotsu/

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『編む人 ちいさな本から生まれたもの』

『編む人 ちいさな本から生まれたもの』

南陀楼綾繁


 大学を卒業して、大学院に入るまでのつなぎのつもりで、ちいさな出版社でアルバイトをはじめた。そこで、編集者が一種の特権であることに気づく。なにしろ、名刺一枚で、仕事にかこつけていろんな世界の専門家や有名人に出会うことができるのだ。人見知りの私は、パスポートをもらったような気分だった。実際には同じ出版社でもピンからキリまであるのだが、そんなことを知らなかった私は、勝手な企画を考えては、以前から愛読していた書き手や研究者に会いに行った。企画が通らずに、お茶を飲んだだけで終わった人もいるし、一緒に仕事をさせていただき、その後もお付き合い願っている人もいる。

 そういった人たちの話をひとりで聴いているだけではもったいないと思い、トークイベントを開催するようになった。2005年に「不忍ブックストリートの一箱古本市」をはじめてから現在までに、地方での開催も含め、いったい何十人にご出演いただいただろうか? 私が聞き手をつとめるのは、でしゃばりからではなく、ほかにやってくれる人がいないからであり、本来なら純粋に客の立場で聴きたいのだ。もっとも、当日までにその人の著作を読み返したり、こんなことを聞こうと考える時間は楽しい。

トークイベントの記録や、雑誌に掲載したインタビューをまとめて一冊にしようと、ビレッジプレスの五十嵐さんと話したのは、もう10年近く前のこと。テーマや人選で悩んでいるうちに月日が流れた。結局、本や雑誌の編集と、それを軸に場所をつくってきた人=〈編む人〉をテーマにしようと決め、9人の話を入れることにした。

その結果、8年も前のインタビューを収録することになったのだが、内容は古びていないと信じている。時間がかかってかえってよかったのは、以前はそれほど気にしていなかった、〈地域〉が、この間に私にとって重要なテーマとして浮上したことだ。そのため、北九州や飛騨、日田で雑誌と地域をつなげる活動を行なっている牧野伊三夫さん、新潟で地域雑誌『LIFE-mag.』を発行する小林弘樹さん、『地域雑誌 谷中・根津・千駄木』を軸に谷根千工房の活動を続けている山﨑範子さんの話を入れた。

刊行後、何人かから感想をいただいたが、どの人の話が興味深かったかがそれぞれ異なるのが面白い。読む人の個性や経験が、おのずと反映されるのだろう。そのなかでも、冒頭に収録した小西昌幸さんのインタビューは好評だ。徳島県で公務員として働きつつ、ミニコミ『ハードスタッフ』をつくり続けている小西さんの話は、かっこいい。彼の話を聴くと、自分にできることをやらなければという気持ちになる。とくに「精神では講談社よりもうちのほうが大きい」とタンカを切った出版社のエピソードには、勇気づけられる。

刊行を記念して、その小西昌幸さんに徳島から来ていただき、来年1月7日に田原町の〈Readin’ Writin’ BOOKSTORE〉でトークイベントを開催する。前回のトークからいままでずっと、『ハードスタッフ』次号を編集中の小西さんの話を、ぜひ生で聞いてほしいと思います。
http://readinwritin.net/



amu
『編む人 ちいさな本から生まれたもの』南陀楼綾繁 著
出版社ビレッジプレス 定価:1,600円+税 好評発売中!
http://www.village-press.net/?pid=124093781

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2017年11月27日 第239号

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☆INDEX☆
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1.フリーランス書店員『スリップの技法』を開陳 久禮亮太
2.『遅れ時計の詩人 編集工房ノア著者追悼記』 涸沢純平
3.『江戸庶民の読書と学び』について  長友千代治

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━━━━━━━━━━━【自著を語る(193)】━━━━━━━━━━

フリーランス書店員『スリップの技法』を開陳

                       久禮亮太



「フリーランス書店員」の久禮亮太と申します。みなさん聞き慣れ
ない職業かと思いますが、私もまだ呼ばれ慣れません。新刊書店カ
フェ・神楽坂モノガタリで書籍担当をしながら、いくつかの書店チ
ェーンで現場の業務改善コンサルタントを請けおい、ときおり雑誌
の中で本の紹介記事を書くといった仕事をしています。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3535


『スリップの技法』久禮亮太 著
苦楽堂刊 定価:1666円+税 好評発売中!
http://kurakudo.co.jp/ 


━━━━━━━━━━━【自著を語る(194)】━━━━━━━━━━

『遅れ時計の詩人―編集工房ノア著者追悼記』

                        涸沢純平



 編集工房ノアは、1975年(昭50)9月、私が29歳で始めた。住んで
いる大阪、関西の地で、文芸出版がしたかった。42年が経つ。
本書のサブタイトルに迷った。「編集工房ノアの42年」と出来ない。
実は、私が還暦(10年前)に出そうと思いまとめ、校正刷りまで上げ
たが、自信がなくなり、放置していた。自社で自分の本を出すこと
に迷いもあった。が古希をむかえ決心した。恩義を受けた足立巻一
さんの享年72歳を越えては、あまりに恥ずかしい。


続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3530


『遅れ時計の詩人 編集工房ノア著者追悼記』涸沢純平 著
編集工房ノア 定価:2000円+税 好評発売中!
http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784892712814

━━━━━━━━━━━【自著を語る(195)】━━━━━━━━━━

『江戸庶民の読書と学び』について

                     長友千代治



江戸時代の庶民が暮しの中で、書物から学んでいる諸相を彼らが学
習した教材に基づいて記述した。研究書として新知見の探索を心掛
けながらも、周辺領域 或は一般読者の方々にも読んで頂けるよう、
私自身も楽しみ、江戸265年間の変遷を、世代交代 凡そ30年間を一
区切りとして考えてみた。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3506

『江戸庶民の読書と学び』 長友千代治 著
勉誠出版 定価 5,184円(本体 4,800円) 好評発売中!
http://bensei.jp/index.php?main_page=product_book_info&products_id=100803


━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

『編む人 ちいさな本から生まれたもの』南陀楼綾繁 著
出版社ビレッジプレス 定価:1,600円+税 好評発売中!
http://www.village-press.net/?pid=124093781



『出版物販売額の実態 2017』日販 営業推進室 書店サポートチーム編
日本出版販売株式会社 頒価 1,512円(本体1,400円)
http://www.nippan.co.jp/news/hanbaigaku_2017/

購入する場合のサイトです。
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『古本屋癌になる 77歳の日記』青木正美 著
日本古書通信社 定価:2,000円+税
http://www.kosho.co.jp/kotsu/



━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━


12月~1月の即売展情報


https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init


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日本の古本屋メールマガジンその239 2017.11.27

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:小野祥之
編集長:藤原栄志郎

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