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フリーランス書店員『スリップの技法』を開陳

フリーランス書店員『スリップの技法』を開陳

久禮亮太


 「フリーランス書店員」の久禮亮太と申します。みなさん聞き慣れない職業かと思いますが、私もまだ呼ばれ慣れません。新刊書店カフェ・神楽坂モノガタリで書籍担当をしながら、いくつかの書店チェーンで現場の業務改善コンサルタントを請けおい、ときおり雑誌の中で本の紹介記事を書くといった仕事をしています。18年間在籍した新刊書店チェーン、あゆみBOOKSを飛び出し、もうすぐ3年。現場で培った私の経験と技能を活用してくださる様々な業種のビジネス・パートナーに恵まれ、私自身はただ行き当たりばったりで仕事を模索しているうちに、いつの間にか周囲の人々にこの肩書きで呼ばれるようになりました。

 このたび、『スリップの技法』と題した本を書きました。新刊書店という場の面白さ、書店員という仕事の面白さを「自分の手で作り直そう!」と、全国の仲間たちに呼びかけたい。そんな思いで、これまで私が学び、考え、実践してきた仕事を伝える教科書を目指しました。かつて私が見てきた書店では、職人然とした「本屋のオヤジ」たちが魅力的な棚を作り、お客様と棚を介した無言の駆け引きを繰り広げていました。しかし、その職人芸は書き残されませんでした。現代のチェーン書店運営は、売上データ偏重で画一的になりがち。そんな現場で若い書店員たちは、自分の手でお客様の喜びと売上を作り出したという充実感を味わえず、疲れていると感じます。そんな彼らと一緒に、仕事の喜びと売上を生む具体的な手法を考え直したいのです。

 書店の仕事において最も大切な道具は、スリップです。買う前の本に挟まっている細長い紙片のことです。お客様が本を買ってくださったとき、書店員はスリップをレジで抜き取って手元に集めます。スリップは売れていった本の分身であり、買った人の思いを想像する手がかりです。

 書店には日々あたらしい本が入荷し、たくさんのお客様が様々な目的や願望を持って本を買ってくださいます。「人が何かを思いながら本を買った」という大量の事実を、売上金やデータといった抽象的な数字に化ける前に把握する。スリップはそのために必要不可欠な道具なのです。

 本書では、実際に売れた本のスリップ100枚以上を例に挙げ、私がどう考え、品揃えにつなげたのかを解説しました。売れた本からお客様の気持ちを想像し次の本を連想する過程は、一般読者のみなさんにも、お楽しみいただけると思います。
 読後のご感想をSNSで拝見していると、意外にも古書店主さんに面白がっていただいているようです。「一箱古本市の店主さんにもぜひ」とおっしゃる方もいました。著者の手を離れ多様な読み方をされて育っていく自著を、嬉しく見守っています。まだという方も、ご一読いただけますと幸いです。



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『スリップの技法』久禮亮太 著
苦楽堂刊 定価:1666円+税 好評発売中!
http://kurakudo.co.jp/ 

Copyright (c) 2017 東京都古書籍商業協同組合

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