『出版物販売額の実態2017』について日販 営業推進室 経営相談グループ 書店サポートチーム |
突然ですが、1年間の新刊本の売上額ってご存知ですか? 答えは、2016年度は1兆7,221億円、前年よりも730億円減少しました。 730億円という額は業界トップクラスの書店チェーン1企業分の売上額に相当します。 簡単にいうと、ここ数年は、毎年1チェーンが消えているということになります。 それほど出版業界の販売額は急激な減少をしているのです。 本書は、出版物全体と各都市の販売額を把握し、出版物が読者の手に届くルートを明らかにする事を目的として、当社が1974年から毎年発行しているものです。 調査を開始した1973年度の販売額は5,967億円で、現在と比べると約3分の1の市場でした。ルート別販売額で大きな順は、書店、割賦販売、スタンド、駅売店、生協などとなっており、割賦販売ルートはなんと、全体の10%の規模がありました。 現在では、割賦販売は販売額も大幅に縮小し、スタンド店数も減少、駅売店はCVSチェーンに塗り替えられており、販売ルートも様々に変化をしています。 1990年代から、それまでの古書店とは一線を画す新古書店と言われる業態が急速に広がり、中古本市場がより一般的な存在になりました。その中古本の市場も緩やかな縮小が始まっており、2016年度の市場規模は782億円となっています。 そのようなルートの変化を踏まえて今回の2017年版では、読者と本の接点であるタッチポイントごとに、具体的には従来の取次経由以外の図書館、中古本市場、電子出版物、教科書の市場規模の推計を開始しました。今後も時代の流れに合わせて出版物のタッチポイントの調査を進めていく予定です。 人の生活導線から書店の姿が消えていく中で、今ほど「本」「書店」に注目が集まる時代もないのではないかと思っています。それほど、本は人を幸せにするし、心躍らせるモノであり、生活に必要なモノなんだと痛感しています。 特に最近は、若い方たちが書店を始めるニュースが多く聞かれるようになりました。みなさんそれぞれの思いを込めた空間を作り、そこには新刊本だけでなく古書や雑貨も取り混ぜて、読者と新たな接点を作ろうとしてます。新しい書店の担い手が増えていくことはうれしい限りです。 この1年間で約300件の書店が閉店し、2016年度の書店の軒数は10,583件です。私たち出版業界がすべきことは、そういう新しい書店の担い手をサポートし、新しいタッチポイントを作り続けること、そう思っています。
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