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『日本疫病図説』

『日本疫病図説』

畑中章宏

 いま私たちが脅威にさらされている新型ウイルスによる感染症のような疫病、毎年のように列島の各地で発生する水害をはじめとした自然災害を合わせて、ここでは「厄災(やくさい)」と呼ぶことにする。厄災に際して近世の人々は、まじないに頼り、さまざまな神仏にすがった。そうして、厄災をめぐる新たな信仰や習俗が生まれていった。

 災害をもたらす神、あるいは災害を除く神については、「はやり神(流行神)」として位置づけた宮田登の研究成果があり、疫病神(疫神)とその習俗については、大島建彦の多くの著作を送り出している。

 近世の江戸では出版業の勃興し、錦絵や版画に対する民衆の関心も高かった。そして、繰り返し襲ってくる厄災の合間にも、厄災を題材にした出版物がもてはやされることになる。自然災害にかんしては、1855年(安政2年)に起こった安政大地震を契機に「鯰絵」が出回り、疱瘡(天然痘)、麻疹(はしか)の流行にともなっては「疱瘡絵」や「はしか絵」が描かれたのである。

 鯰絵や疱瘡絵は災害史や出版メディア史の範疇で扱われることが多く、その図像学や民俗学が深められずにきた。そして実は、この領域に踏み込んだ先駆者は、外国人研究者だったのである。鯰絵研究に先鞭をつけたのはオランダ人のコルネリウス・アウエハント、疱瘡絵研究のほうはフランス出身のヘルムート・オ・ローテルムンドで、前者は『鯰絵―民俗的想像力の世界』、後者は『疱瘡神―江戸時代の病をめぐる民間信仰の研究』を世に問うている。

 アウエハントの『鯰絵』は、1979年(昭和54年)に小松和彦・中沢新一・飯島吉晴・古家信平による共訳でせりか書房から刊行され、2013年(平成25年)には岩波文庫に入った。ローテルムンドの『疱瘡神』は、宮田登の解説を付して1995年(平成7年)に岩波書店から刊行された。『鯰絵』がその後、民俗学・人類学の領域に大きな刺激を与えてきたのは周知の事実である。もう一方の『疱瘡神』は、医療史を中心とした領域では取り上げられてきたが、『鯰絵』ほどよく知られていないのではないだろうか。

 鯰絵がたびたび言及される機会を得たのは、「阪神・淡路」や「東日本」などの大震災が日本列島を襲ってきたからにほかならない。大震災が起こるたび、近世の民衆は危機的助教化をどのように過ごし、何を支えに復興へと歩み出したかを、過去に遡って学ぼうとしたのである。大震災に対して今回のコロナ禍は、近年にはなかった事態である。このため、危機に瀕して生み出された貴重な文化である、疱瘡絵やはしか絵は埋もれてしまっていたのだろう。

 私が5月に刊行した『日本疫病図説―絵に込められた病魔退散の祈り』は、現在のコロナ禍に、近世の疫病文化から学ぶことができないかという動機にもとづき、疱瘡絵やはしか絵の豊かな世界を紹介しようとしたものである。こうした疫病絵は病気に罹らないように、あるいは病気に罹っても軽く済むようにという願いが込められたもので、魔除けの意味がある赤色で刷ったり、疫病神を退治した英雄や豪傑、病を寄せつけないための身構えや心がけが巧みに描き出されたりしている。
江戸の絵師たちは感染症の流行下に、どうすれば疫病除けを果たせるかという難問を題材に腕を競った。そうして創作された疫病絵の数々は創意や工夫に富み、護符やお守りを超えた鑑賞品としての魅力を十分に備えているのだ。

 また古代・中世の疫病除け信仰とそれにまつわる図像(一章 疫神の誕生)、江戸時代に列島各地に出現した厄災を予言する霊獣(三章 予言する妖怪たち)、近代西洋医学がもたらされた近代以降の疫病への対応(四章 明治の流行病)などについても、解説と関連図版を掲載した。疫病への対処法は、絵を飾って祈願するだけではなく、祭をおこない、社を建て、玩具に託すこともあった。本書では、絵画以外の疫病除けの営為についてもコラムの形で収録している。

 ローテルムンドの『疱瘡神』刊行以降、民俗学・人類学の領域において、疫病絵の研究が活発化したとは言えない。また、近世絵画史の文脈でも、この豊饒な世界に光はあてられてはこなかった。『日本疫病図説』は一般読者向けに、私たちがこれまで疫病とどのようにつきあってきたかを図版とともに概説するビジュアルブックの体裁を取っているが、民俗学や人類学の枠を超えて、感染症の社会史、病とアートといった関心からもぜひ手にしていただきたい。

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『日本疫病図説』 畑中章宏 著
笠間書院刊 定価:1,600円+税 好評発売中!
http://shop.kasamashoin.jp/bd/isbn/9784305709400/

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『出版状況クロニクルⅥ』

『出版状況クロニクルⅥ』

小田光雄

 『出版状況クロニクル』を書き始めたのは2007年からなので、足かけ15年を閲し、現在も書き継がれている。今回の6冊目としての『出版状況クロニクルⅥ』は2018年から20年までの3年間をトレースしていることになる。

 このような21世紀初頭からの出版状況論を書く端緒となったのは、1999年刊行の『出版社と書店はいかにして消えていくか』(ぱる出版、後に論創社)であった。これは1997年の戦後初めての出版物販売金額の前年比マイナスと、パラレルで起きていた、相次ぐ出版社の倒産や書店の閉店を背景にして、顕在化し始めた出版危機の実態を浮かび上がらせようとした一冊だった。

 同書は対話形式によって構成されている。その理由は論創社の森下紀夫氏から、このような、これまでなかった出版社や書店の消滅は何に起因しているのか、わかりやすく説明してくれないかという要請を受けたことによっている。そこで彼との架空の対談形式を想定し、『出版社と書店はいかにして消えていくか』を書き上げたのである。

 しかし現在からは想像できないかもしれないが、同書に明かされている再販委託制の「悪魔的取引」と「どんぶり勘定」の実態、雑誌に相乗りする書籍の流通、取次と大手出版社に対する批判はタブーに近く、ただちに出版できるものではなかった。それでも幸いなことに、ぱる出版の英断によって、「近代出版流通システムの崩壊」というサブタイトルを付し、99年に上梓に至った。
 その出版に続いて、出版社でもある大手書店の駸々堂と取次の柳原書店が破産し、日販の経営危機も明らかになり、拙著はそれらを予測したものとして受け止められたのである。翌年にはやはり対談形式で、当時破竹の勢いであったブックオフのフランチャイズシステムによる成長の内実を探求した『ブックオフと出版業界』(ぱる出版、後に論創社)も刊行した。

 この2冊はかなり売れ、出版業界の多くの人たちに読まれたはずだが、それらが理解されたとは思われなかった。そうであれば、ここまでの壊滅的危機にまでは至らなかったであろう。私の分析は近代出版史のみならず、文学史や思想史、社会史や経済史にも基づき、また出版社、取次、書店をも横断するかたちで取り上げ、古本屋も及んでいるので、それが逆に問題を錯綜させたように考えられる。
 それらに加えて、私は1980年代の郊外消費社会成立のメカニズムに通じていることもあって、その視座から郊外型書店、レンタルを兼ねた大型複合店、ブックオフなどに言及してきている。ところが出版業界の人たちは出版社、取次、書店という限られた経験主義と思い込みから抜け出すことができず、それは21世紀を迎えても変わらないままのように見受けられた。

 だがその一方で、2000年にアマゾンが上陸し、2001年に専門取次の鈴木書店が倒産し、さらに出版社・取次・書店からなる近代出版流通システムは危機に追いやられるしかなかった。それは出版敗戦のようにも思われたし、そうした出版状況をクロニクルとして記録すべきだとのオブセッションに迫られたのである。またそれは『出版社と書店はいかにして消えていくか』を出した私の義務のようにも感じられた。

 かくして『出版状況クロニクル』は書かれ始めたのであり、『出版状況クロニクルⅥ』に至って、15年間の出版ドキュメントを形成し、それらは合計で2500ページに及んでいる。『出版社と書店はいかにして消えていくか』から数えれば、3000ページを優に超えてしまうもので、これは戦後出版史として書かれているけれど、紛れもない現代史、それも20世紀末から21世紀にかけての現代史であることをあらためて自覚する。図書館に揃っていることを願うけれど、それがかなえられていないことも承知している。だがそれでも『出版状況クロニクルⅦ』も書き継がれていくことを付記しておこう。

kuronikuru

『出版状況クロニクルⅥ』(2018年1月~2020年12月)
小田光雄著 論創社刊 定価3300円(税込)好評発売中!
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2021年6月10日号 第324号

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 古書市&古本まつり 第101号
      。.☆.:* 通巻324・6月10日号 *:.☆. 。
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メールマガジンは、毎月2回(10日号と25日号)配信しています。

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━━━━━━━━━【『東京古書組合百年史』刊行】━━━━━━

『東京古書組合百年史』 刊行

東京都古書籍商業協同組合は、1920年1月に東京古書籍商組合とし
て創立され、2020年に創立100周年を迎えました。
100周年の記念事業の一環として 2021年8月に『東京古書組合百年史』
を刊行いたします。
本史は、昭和・平成・令和の各時代における古書市場の歴史は
もちろんのこと、当組合が経験してまいりました様々な歴史を
記録として残すことを心がけました。
ぜひ多くの皆様にご覧いただければ幸いです。

・書籍判型:A5上製本
・総 頁 数:696ページ(内、巻頭カラーページ:16ページ)
・定  価:8,000円(税込・送料込)
・申込締切:7月16日(金)17時まで

※本書は、「予約限定販売」となります。

東京古書組合百年史
http://www.kosho.ne.jp/100/index.html

━━━━━━━━━━【シリーズ 古書の世界】━━━━━━━━

東京神田で創業100年

           神田古書店連盟 矢口書店 矢口哲也

 前回までは神田古書店街の今昔について駆け足でたどってきまし
た。神田には創業100年を超える書店が10軒以上あります。お陰様で
当店も3年前に100年書店の仲間入りをさせていただきました。これ
もご愛顧いただいているお客様のおかげと深く感謝しております。

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矢口書店
http://yaguchishoten.jp/

神田古書店連盟
http://jimbou.info/index.html

━━━━━━━━━【シリーズ 古本マニア採集帖】━━━━━━

第29回 たかぎさん 映画と街歩きで本に出会うひと

                      南陀楼綾繁

 4月の下旬、私は赤羽にいた。明日には東京都に緊急事態宣言が
発令され、飲食店で酒類が終日出せなくなる。そのため、まだ昼前
なのに居酒屋の前に行列ができていた。後ろ髪を引かれながら、短
いアーケード商店街の中にある〈紅谷書店〉を覗く。古くから赤羽
にあり、江戸東京関係に強い店だったが、数年前に縮小して均一棚
だけになった。とはいえ、ここに来ると、必ず掘り出し物が見つか
る。この日も10冊近く買うことになった。

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南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ)

1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一
文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、
図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年
から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」
の代表。各地で開催される多くのブックイベントにも関わる。
「一箱本送り隊」呼びかけ人として、石巻市で本のコミュニティ
・スペース「石巻まちの本棚」の運営にも携わる。本と町と人を
つなぐ雑誌『ヒトハコ』(書肆ヒトハコ)編集発行人。著書に
『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、『一箱古本市
の歩きかた』(光文社新書)、『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、
『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』
(ちくま文庫)、共著『本のリストの本』(創元社)などがある。

ツイッター

https://twitter.com/kawasusu

『蒐める人 情熱と執着のゆくえ』 南陀楼綾繁 著
皓星社刊 価格:1,600円(+税) 好評発売中!

http://www.libro-koseisha.co.jp/publishing/atsumeruhito/

━━━━━━━━━【東京古書組合からお知らせ】━━━━━━

「コショなひと」始めました

東京古書組合広報部では「コショなひと」というタイトルで動画
配信をスタート。
古書はもちろん面白いものがいっぱいですが、それを探し出して
売っている古書店主の面々も面白い!
こんなご時世だからお店で直接話が出来ない。だから動画で古書
店主たちの声を届けられればとの思いで始めました。
お店を閉めてやりきったという店主、売り上げに一喜一憂しない
店主、古本屋が使っている道具等々、普段店主同士でも話さない
ことも・・・
古書店の最強のコンテンツは古書店主だった!
是非、肩の力を入れ、覚悟の上ご覧ください(笑)

YouTube 東京古書組合
https://www.youtube.com/channel/UCDxjayto922YYOe5VdOKu9w

━━━━━【6月10日~7月15日までの全国即売展情報】━━━━━

⇒ https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

※現在、新型コロナウイルスの影響により、各地で予定されている
即売展も、中止になる可能性がございます。ご確認ください。
お客様のご理解、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。

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有隣堂藤沢店4階古書フェア(神奈川県)

期間:2021/06/10~2021/06/23
場所:有隣堂藤沢店4階

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書窓展(マド展)【中止になりました】

期間:2021/06/11~2021/06/12
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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好書会 ※会場販売あります

期間:2021/06/12~2021/06/13
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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新興古書大即売展 ※18日(金)のみ会場販売あります

期間:2021/06/18
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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みんなでつくる古本まつり(京都府)

期間:2021/06/19~2021/06/23
場所:平安神宮

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第23回紙屋町シャレオ古本まつり(広島県)

期間:2021/06/19~2021/06/27
場所:紙屋町シャレオ中央広場 広島県広島市中区基町地下街100号

http://furuhonmatsuri.blog.fc2.com/

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フィールズ南柏 古本市(千葉県)

期間:2021/06/22~2021/07/05
場所:フィールズ南柏 モール2 2階催事場  柏市南柏中央6-7

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浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2021/06/24~2021/06/27
場所:JR浦和駅西口 さくら草通り徒歩5分 マツモトキヨシ前

https://twitter.com/urawajuku

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第23回 フジサワ湘南古書まつり ※6月に開催延期(神奈川県)

期間:2021/06/24~2021/06/27
場所:有隣堂藤沢店イベントホール (フジサワ名店ビル6階) 

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ぐろりや会

期間:2021/06/25~2021/06/26
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

http://www.gloriakai.jp/

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古書愛好会

期間:2021/06/26~2021/06/27
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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西部古書展書心会

期間:2021/07/02~2021/07/04
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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東京愛書会

期間:2021/07/09~2021/07/10
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

http://aisyokai.blog.fc2.com/

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大均一祭

期間:2021/07/10~2021/07/12
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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 次回は2021年6月下旬頃発行です。お楽しみに!
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全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,200店加盟)の略称です

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日本の古本屋メールマガジンその324 2021.6.10

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:志賀浩二
 編集長:藤原栄志郎

東京神田で創業100年

東京神田で創業100年

神田古書店連盟 矢口書店 矢口哲也

 前回までは神田古書店街の今昔について駆け足でたどってきました。神田には創業100年を超える書店が10軒以上あります。お陰様で当店も3年前に100年書店の仲間入りをさせていただきました。これもご愛顧いただいているお客様のおかげと深く感謝しております。
 矢口書店の創業者、矢口潔郎は明治23年長野県松本市近郊の有明村に生まれました。歌人の窪田空穂は潔郎の叔父にあたり、潔郎の息子たちの名付け親でもあります。明治41年に上京した後、東京堂書店などに勤め、大正7年に神田区錦町で古書店を開店しました。大正11年に中猿楽町(現在の神保町二丁目偶数番地辺り)に移転し、昭和9年に現在の場所に移ったそうです。ここに越してきた頃、屋号を一度『靜専堂書店』に変えました。新宿中村屋の創業者である相馬愛藏さんご夫妻に大変お世話になったそうで、中村屋に関係する冊子の編集や発行をしていた時期もありました。この頃、店にはクマという名の黒猫がいたそうです。

 戦争が終わり、昭和26年に父が勤めを辞めて店に入りました。その頃、現在の『矢口書店』に屋号を戻したと聞いています。当時は神田に新本屋を含め本屋が100軒以上あり、古書は余り売れなかった時代だったそうです。そのため古書店の専門化が進んでいき、父は好きだった映画や演劇(主に新劇)に関する本を中心に集めるようになりました。映画や新劇は歴史が浅く、書籍の数も少なかったので、店内を専門書で埋めるのは大変だったようです。昭和50年「映画・演劇・戯曲・シナリオ」専門店の看板を掲げました。映画のパンフレットやチラシなどを、中古品として売り物にした先駆けだったのではないでしょうか。当時は外国の映画やTVドラマがとても人気があった時代で、「スクリーン」や「ロードショー」といった外国のスターを扱う雑誌も人気でした。当時映画の専門店は珍しく、雑誌やTVなどが時々取り上げてくれました。

 昭和54年に父と懇意にしていた映画監督の谷川義雄さんが編集した『シナリオ文献 戦後篇』を出版しましたが、これはシナリオ掲載書籍を調べることができる本として評判になりました。読みたいシナリオを検索し、雑誌のバックナンバーや書籍を買って頂けるので、矢口書店の売り上げにも貢献したと思います。好評だったこともあり、昭和59年に増補改訂版を出しました。
昭和62年に私が店に入りました。平成2年に初代である祖父潔郎が100歳で他界し、父光二があとを継ぎました。潔郎は当時の総理大臣から100歳の敬老の日に記念品と祝い状を頂いています。

 平成7年に支店を出しましたが上手くいかず3年程で閉店しています。この頃から店に動物が戻って来ました。初代のクマのようにシマリスやウサギなどが時々私たちと店番しました。現在のフクロモモンガは夜行性なのであまり店には出しません。
平成11年に父が亡くなり私が三代目になりました。私の代から落語や歌舞伎、相撲など江戸風俗も取り扱うようになりました。この時期にパソコンを導入し、在庫の管理を始めました。専門店なので何度も同じ商品を扱いますから、一度データを入力しておけば状態と価格を変えるだけで、在庫を把握できるようになります。

 インターネットが普及し始めると、店舗まで足を運ぶお客様は以前よりも少なくなりました。そこで「BOOK TOWN じんぼう」や「日本の古本屋」などに参加出来るように、パソコンのデータやソフトウェアを改良しました。また、在庫や書籍データの蓄積に伴い、現在も続いている矢口書店の古書目録を、平成18年にはじめて出すことができました。コロナ禍でネットや目録による通販が出来ることは大変ありがたいことです。

 平成17年に店に乗用車が突っ込む事故がありました。幸い夜中でけが人は無く、近隣の古書店を含むご近所の方々が出てきて助けてくれました。呆然としている私を気使って自分の家のブルーシートで壊れた店を覆ってくれたり、警察に連絡してくたりと何も出来ない私に代わって色々面倒をみてくれました。この時つくづくご近所の方たちのありがたさを感じました。相手の車も保険に入っていたこともあり、数ヶ月で店は再開できました。

 生まれ育った街で家業を継いで生きていけることは、大変幸せなことだと思います。100年以上多くのお客様に御愛顧いただけたことに感謝し、そしてこれからも御贔屓頂けるように努力してまいります。

矢口書店
http://yaguchishoten.jp/

神田古書店連盟
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第29回 たかぎさん 映画と街歩きで本に出会うひと

第29回 たかぎさん 映画と街歩きで本に出会うひと

南陀楼綾繁

 4月の下旬、私は赤羽にいた。明日には東京都に緊急事態宣言が発令され、飲食店で酒類が終日出せなくなる。そのため、まだ昼前なのに居酒屋の前に行列ができていた。後ろ髪を引かれながら、短いアーケード商店街の中にある〈紅谷書店〉を覗く。古くから赤羽にあり、江戸東京関係に強い店だったが、数年前に縮小して均一棚だけになった。とはいえ、ここに来ると、必ず掘り出し物が見つかる。この日も10冊近く買うことになった。

「紅谷書店は映画本が充実していて、『キネマ旬報』のバックナンバーをよく買いましたね」と話すのは、「たかぎ」さん。賑やかな通りから少し離れたところにあるご自宅で話を伺った。壁面の棚には映画本がぎっしり詰まっている。2001年に「キネマ洋装店」というサイトを開設し、古い日本映画(旧作邦画)に登場するヒロインのファッションに着目し、イラストとともに紹介している。彼女を紹介してくれたのは、池袋〈古書往来座〉の店員で、名画座の情報フリーペーパー『名画座かんぺ』発行人の「のむみち」さんだ。名画座好きと古本屋好きはどこか共通点があると感じていたので、たかぎさんの古本遍歴を聞いてみたくなった。

 たかぎさんは1967年北区生まれ、3歳から赤羽で育つ。近隣で引っ越しをしながら、ずっとこの地域で暮らしていた。家族は父、母、兄、姉との5人暮らし。4つ上の姉は本が好きで、その影響でたかぎさんも横溝正史などを読む。小学生のとき歴史に興味を持ち、子ども向けの「日本の歴史」シリーズを読んだ。中高一貫校に入ると、図書館が充実していた。「図書委員になって、閉架書庫に入らせてもらいました。専門的な本が多く、『徳川実記』が並んでいたのを覚えています」。高校の授業では、古文書を読んだり野外学習で江戸城の周りを歩いたりしたことで、歴史への興味が高まる。また、学校の図書館で見つけた「新おんなゼミ」シリーズ(講談社)は、犬養智子、安井かずみ、桐島洋子らが編者になっており、フェミニズム的な視点があった。「女子校で過ごしたことで、自立心を育てられたと思います」と話す。

 赤羽には何軒かの新刊書店があり、古代史やミステリの文庫を買った。高校生ではじめて入った古本屋は、神保町のミステリ専門店で「横溝正史のジュブナイル作品を探しに行ったのですが、友だちと話していたせいで店主に怒られて追い出されました」という。噂に聞いたあの店のことだろうか。

 学習院大学の史学科に入り、近代史を専攻。ラテンアメリカ研究会に属し、バンドのサポートやイベントなどで楽しく過ごす。卒業後は会社員として働く。20代後半に、銀座の〈並木座〉を知り、1998年に閉館するまでに小津安二郎、成瀬己喜男、黒澤明などの名作を観る。「映画史の教科書みたいな作品を一通り観て、世界がガラッと変わったような気になりました」。同じころ、パソコン通信で日本映画好きが集まる部屋に入り、オフ会にも参加。「世の中には面白い人たちがいるんだと気づきました。情報交換もできて、知識も深まりました」と、たかぎさん。

 その頃から、神保町の〈矢口書店〉や三河島の〈稲垣書店〉などに通い、映画本を集めるようになった。「稲垣書店の中山信如さんは、『古本屋「シネブック」漫歩』(ワイズ出版)の著者でもあります。この本は映画本リストとして熟読し、ここで紹介された女優・入江たか子の自伝『映画女優』(学風書院)などを古本屋で見つけると買いました」。この頃出会ったもう一冊のバイブルは、太田和彦の『シネマ大吟醸』(角川書店)。旧作邦画の豊かな世界を教えてもらったと話す。

 2001年には先にふれたとおり、サイト「キネマ洋装店」を開設。「当時、映画評論的なサイトは多かったのですが、私は女優の衣装が気になっていたので、好きな日本映画のファッションについて書きました」。ここでの活動がきっかけとなり、2011年には〈神保町シアター〉で「女優とモード 美の競演」、18年には〈シネマヴェーラ渋谷〉で「美しい女優・美しい衣装」という特集の企画に関わる。自分の好きな作品を選んでスクリーンで上映するというのは、映画ファンなら一度は夢見たことがあるだろう。それを実現できているのが羨ましい。

 映画以外にも、近代建築にも関心があり、その関係の古本も集めている。神保町の建築書専門書店〈南洋堂〉には、神保町シアターで映画を観たあとよく立ち寄る。また、暗渠や地形に関する本も好きで、「赤羽という武蔵野台地の端っこで育ったことに関係しているかもしれませんね」と笑う。何時間でも街歩きをし、銭湯に入る。旧作邦画には近代建築や街の風景がよく出てくるので、たかぎさんにとっては一石二鳥の楽しみだ。「背景に映っているものを手掛かりにロケ地を推測するのは、探偵的な面白さがありますね」。15年ほど前、バンドのエレファントカシマシにハマって、札幌から福岡まで地方ツアーまで追いかけたときには、ついでに古本屋をめぐり、近代建築を見て回ったという。

 ここで、さっきから気になっていた本棚の映画本を見せてもらう。監督・五所平之助の句集『わが旅路』『生きる 五所平之助百句集』(ともに永田書房)は、没後に開催されていた「五所亭忌」に関わっていた縁で手に入れた。たかぎさんはまた、監督・中川信夫を偲ぶ会「酒豆忌」の実行委員でもある。俳優・上原謙については、本人の『がんばってます 人生はフルムーン』(共同通信社)の隣に、娘の上原芽英子の著書と、60代で再婚した大林雅子(大林雅美)の著書が並ぶのが「ちょっとした自慢です(笑)」。また、札幌で入った古本屋で、金子信雄の『腹が鳴る鳴る』(講談社)を見つけたときは嬉しかったと語る。池袋の〈夏目書房〉が閉店した際には、女優・藤間紫の『修羅のはざまで』(婦人画報社)を見つけて買った。

「散歩していてふらっと立ち寄った古本屋で、予期せずにいい本と出会うのが理想ですね。セレンディピティ(幸福な偶然)がいちばん楽しいです」と、たかぎさんは言う。自宅の本は年々増えており、本棚に収まりきれなくなっている。名画座で旧作邦画を観ると、それに関連する本を引っ張りだして読み返すことも多い。

 東京に育ち、映画と街歩きを愛するたかぎさんの生活の一部には、古本が自然に溶け込んでいるのだった。

南陀楼綾繁
1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」の代表。各地で開催される多くのブックイベントにも関わる。
「一箱本送り隊」呼びかけ人として、石巻市で本のコミュニティ・スペース「石巻まちの本棚」の運営にも携わる。本と町と人をつなぐ雑誌『ヒトハコ』(書肆ヒトハコ)編集発行人。著書に『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、『一箱古本市の歩きかた』(光文社新書)、『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』(ちくま文庫)、共著『本のリストの本』(創元社)などがある。

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『蒐める人 情熱と執着のゆくえ』 南陀楼綾繁 著
皓星社 価格:1,600円(+税) 好評発売中!
http://www.libro-koseisha.co.jp/publishing/atsumeruhito/

Copyright (c) 2021 東京都古書籍商業協同組合

2021年5月25日号 第323号

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     。.☆.:* その323・5月25日号 *:.☆. 。
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1.『日本の包茎』と古書市場         澁谷知美
2.『さよなら朝日』            石川智也
3.「和書ルネサンス」展はみどころ満載!
            印刷博物館 学芸員 中西保仁

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━━━━━━━━━━━━【自著を語る(267)】━━━━━━━━

『日本の包茎』と古書市場

                      澁谷知美

 『日本の包茎 男の体の200年史』という本を筑摩書房より上梓し
た。日本人男性の過半数が仮性包茎である。清潔にしていれば医学的
には問題がないとされる状態だ。なのに仮性包茎を「恥ずかしい」と
感じる男性が多いのはなぜか。そのナゾをさぐるべく、幕末から現代
まで、医学書から週刊誌まで、ありとあらゆる包茎にまつわる語りを
集めて分析した。

続きはこちら
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『日本の包茎 ─男の体の200年史』 澁谷 知美 著
筑摩書房刊 1,760円(税込) 好評発売中!
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480017239/

━━━━━━━━━━━【自著を語る(268)】━━━━━━━━━

「さよなら朝日」

                     石川 智也

 羊頭狗肉の書題と言われてしまうかもしれない。
 私は現役の朝日新聞記者だが、オールドメディアから脱出してネ
ットメディアの世界に飛び込もう……などとは思っていない。辞表
を叩き付ける前に、裏切り者の汚名を浴びつつ、立つ鳥跡を濁しま
くって会社の不都合な真実を暴露してしまおう……とも考えていな
いい。いまのところ、社を飛び出す気はまったくない。では、何に
対しての「さよなら」なのか。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=6966

『さよなら朝日』石川智也 著 
柏書房刊 定価 本体1,800円+税 好評発売中!
http://www.kashiwashobo.co.jp/book/b561388.html

━━━━━━━━━━━【 学芸員登場 】━━━━━━━━━

「和書ルネサンス」展はみどころ満載!

              印刷博物館 学芸員 中西保仁

江戸初期の源氏物語絵巻から、著名作家による明治期の教科書まで、
バリエーションゆたかな作品がならぶ本展は、古書ファンの皆さま
はじめ、日本美術からメディア論に関心のある方まで、幅広くおた
のしみいただけます。
「日本で出版された本」=和書のうち、今回は古典文学に注目して
みました。15世紀にグーテンベルクが発明した活版印刷により、ギ
リシャ・ローマ古典との再会を果たしたヨーロッパでのルネサンス
(文芸復興)とかけて、今回の展覧会タイトルとしています。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=6950

「印刷博物館企画展 和書ルネサンス」
会期:2021年4月17日(土)~7月18日(日)
休館日:毎週月曜日(ただし5月3日は開館)、5月6日(木)
開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
入場方法:オンラインによる事前予約(日時指定券)制です

ホームページ
https://www.printing-museum.org/washorenaissance/

━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

『出版状況クロニクルⅥ』(2018年1月~2020年12月)
小田光雄著 論創社刊 定価3300円(税込)6月上旬発行
https://ronso.co.jp/

『日本疫病図説』 畑中章宏 著
笠間書院刊 定価:1,600円+税 好評発売中!
http://shop.kasamashoin.jp/bd/isbn/9784305709400/

━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━

5月~6月の即売展情報

※新型コロナウイルスの影響により、今後、各地で予定されている
即売展も、中止になる可能性がございます。ご確認ください。
お客様のご理解、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

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┌─────────────────────────┐
 次回は2021年6月中旬頃発行です。お楽しみに!
└─────────────────────────┘

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全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,200店加盟)の略称です

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日本の古本屋メールマガジンその323 2021.5.25

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:志賀浩二
編集長:藤原栄志郎

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「和書ルネサンス」展はみどころ満載!

「和書ルネサンス」展はみどころ満載!

印刷博物館 学芸員 中西保仁

江戸初期の源氏物語絵巻から、著名作家による明治期の教科書まで、バリエーションゆたかな作品がならぶ本展は、古書ファンの皆さまはじめ、日本美術からメディア論に関心のある方まで、幅広くおたのしみいただけます。
「日本で出版された本」=和書のうち、今回は古典文学に注目してみました。15世紀にグーテンベルクが発明した活版印刷により、ギリシャ・ローマ古典との再会を果たしたヨーロッパでのルネサンス(文芸復興)とかけて、今回の展覧会タイトルとしています。

会場の構成[全3部]
第1部.『源氏物語』登場―古典の復興
古来、主に寺院を舞台に版木で宗教書を出版してきた日本で、『源氏物語』をはじめとした古典が印刷出版されるようになるのは、ようやく1600年頃からです。木活字を使ったあたらしい複製テクノロジー「活版印刷」によって、京都の上層町人のあいだで盛んに刊行されました。豪商角倉(すみのくら)素(そ)庵(あん)による「嵯峨本(さがぼん)」が代表例といえるでしょう。嵯峨本出版が下火になる慶長末頃から、木版がふたたび古典出版に力を発揮しはじめます。たかまる読書熱に追いつくには活版出版では心もとなかったためと考えられます。この木版本が1650年代以降、江戸出版文化の主役を担うことになります。
一方、メディアのうつり変わりは一筋縄にいきません。中世からつづく大和絵の伝統は、徳川時代にも絵巻などに受けつがれていました。見事な手業(てわざ)による絵巻は鑑賞のためばかりでなく、古典文学を伝えるメディアとしての役割も担っていたのです。杉原(すぎはら)盛安(もりやす)がプロデュースした〈源氏物語絵巻〉「末摘(すえつむ)花(はな)」(重要文化財、期間限定公開)や「夕顔」断簡を通して、『源氏物語』の華麗な世界をおたのしみください。

第2部.出版がささえた庶民のユーモアと悲哀
挿絵入り本がひろく社会に受け入れられていく18世紀前半、出版の中心は京都・大坂から将軍のお膝元である江戸へうつります。江戸出版の華といえば、浮世絵と双璧をなす「草双紙(くさぞうし)」でしょう。
草双紙の著者や画家には、マルチな才能を持つ者も多くいました。浮世絵師が挿絵画家であり、挿絵画家が作家を兼ねたり。たとえば、18世紀を代表する浮世絵師富川(とみかわ)吟(ぎん)雪(せつ)は、本屋を営み錦絵も販売する傍(かたわ)ら、自分で下絵を描き、黒本・青本では物書きとして文章も執筆しています。黒本『三好(みよし)長慶(ながよし)室町(むろまち)戦(いくさ)』でその多才ぶりをご確認いただけます。

第3部.近代作家はどのように誕生したのか
話し言葉と書き言葉の共通化は、近代文学誕生にとって大切な要素です。たとえば、江戸後期の『浮世風呂』や『春色(しゅんしょく)梅(うめ)児(ご)誉(よ)美(み)』にみられた庶民のリアルな会話は、明治期以降、西欧の書物文化の力も借りながら、言文一致運動へと学問的に整理されていくことになります。
日本文学が欧米で紹介される機会が増えたのも19世紀でした。『浮世形(うきよがた)六枚屏風(びょうぶ)』は柳亭(りゅうてい)種彦(たねひこ)の戯作をウィーンで出版したものです。一方で、西洋から招来した新メディアの新聞や雑誌が、のちに20世紀日本文学作品の発表の場となっていきます。「新小説」では言文一致をめざす小説類が、「ホトトギス」では短歌・俳諧が紹介されています。こうした近代文学作品執筆を可能した背景に、あたらしい日本語の普及があります。その象徴が教科書でしょう。西洋由来の近代教育現場で、読みやすい楷書体活字による教科書をつかい、『源氏物語』や『徒然草』が紹介されています。平安期から守り続けられてきた古典を、幼い子どもが教科書でまなぶ日々がやってくるのです。

文学は日本人にとってリレーのバトンのようなものです。活字と版画の競演により、古典というバトンは確実に、古代・中世から徳川時代へ、そして明治期へと受けつがれ、出版文化がみごとに華ひらきます。百年前に誕生した近代文学も、千年前に誕生した古典文学も、印刷出版文化の力を借りて、現代のわたしたちへ継承されてきたのです。多様かつ複層的な進化をみた日本の印刷出版文化の幅と厚みを、ぜひご堪能(たんのう)ください。

ちなみにポスターに登場する「和書を読む」女性。江戸期の本屋の店先で、試し読みする姿をとりあげました(『江戸名所図会』より)。手にする和書は草双紙かもしれないし、流行りの髪型を集めたファッション誌かもしれません。読書を通してあらたな世界と出会う時代のはじまりの象徴といえるでしょう。

washo
「和書ルネサンス 江戸・明治初期の本にみる伝統と革新」
期間:2021年4月17日(土)~7月18日(日)
開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:毎週月曜日
作品総点数:72点(うち海外借用作品1点。他は印刷博物館および国内機関分)
入場方法:オンラインによる事前予約(日時指定券)制です
ホームページ
https://www.printing-museum.org/washorenaissance/

Copyright (c) 2021 東京都古書籍商業協同組合

asahi

「さよなら朝日」

「さよなら朝日」

石川 智也

 羊頭狗肉の書題と言われてしまうかもしれない。
 私は現役の朝日新聞記者だが、オールドメディアから脱出してネットメディアの世界に飛び込もう……などとは思っていない。辞表を叩き付ける前に、裏切り者の汚名を浴びつつ、立つ鳥跡を濁しまくって会社の不都合な真実を暴露してしまおう……とも考えていないい。いまのところ、社を飛び出す気はまったくない。では、何に対しての「さよなら」なのか。
 若い世代にはもはや通じないだろうが、かつて「朝日岩波文化人」という言葉があった。革新勢力やいまの護憲リベラル勢力が言論のよりどころにし、自由や公正を重んじる立場の人たちから支持を集め、まぎれもなく権威があった。だからこそ週刊誌の「朝日叩き」特集は部数を稼いだし、1990年代の「新しい歴史教科書をつくる会」運動は、少なくとも当事者たちにとっては、戦後民主主義や朝日岩波が代表する主流言論に対する挑戦でもあった。

 しかしいまや攻守は逆転した。「リベラル」は世界的にみても、失地を広げるばかりだ。それはなぜなのか。
 7年8カ月に及んだ安倍政権下、6度の国政選挙でリベラル勢力は敗け続けた。そしてそのたびに、「信任なき勝利」とか「議席数と民意には乖離がある」といった負け惜しみを垂れ流してきた。自分たちこそ賢明で理性的で寛容であると信じ込み、安倍・菅政権やトランプやBREXITを支持し続ける人をまるで言葉も通じない者たちかのように腐して愚民視し、不都合な民意を「ポピュリズム」と断じてきた。
 リベラル失墜の原因は、社会で「上下」の分断と不平等が大きく進行しているにもかかわらず、LGBTQやジェンダーや多様性の問題にばかり熱心で(もちろんこれも重要な問題ではあるが)、グローバル化に適応できない国民を見捨てている、と多くの人に認識されてしまっていることにある。

 さらに、リベラルが右派やネトウヨだけでなく多くの人にうさん臭がられているのは、そうしたエリート主義だけでなく、自由・公正・寛容という真にリベラルな価値自体を実は裏切り、ダブルスタンダードでご都合主義的な言動をとっていることに理由があるのかもしれない。つまり、「言っていることとやっていることが違うじゃないか!」と。
 2014年の池上彰コラム問題は自らに不都合な言説を隠微に排除しようとしたことに他ならないし、東京五輪をめぐっては、主要メディアはいまに至るまで、「中止」も含めた開かれた議論を展開しているとは言い難い。朝日、毎日を含め全国紙はすべて東京五輪のスポンサーになっているが、一方では「報道では公正を貫く」と宣言している。

 黄昏れゆくリベラルが「朝日」としてまた昇るためには、従来の報道や論説における矛盾や欺瞞、過ちを直視したうえで、「非リベラル」な体質と「さよなら」し、批判的自己検証によって再生するしかない。
 そうした狙いの下、本書では、「世間にご迷惑をおかけしました」式の謝罪報道、日本版パリテ法報道、憲法9条問題、原発報道、沖縄問題、天皇制について取り上げ、それらをめぐるリベラル言論が実のところ、それぞれムラ社会的同調圧力、セクシズム、立憲主義の破壊、原子力平和利用の推進、米軍基地の固定化、権威主義という、リベラリズムの反対物に転化していることを指摘した。

 いわばリベラル言論にみられる「うさん臭さ」をなんとか可視化した、ということだが、当然ながら、こういう批判はすべて自分に跳ね返ってくる。結局は安全地帯からの遠吠えで「ええかっこしい」じゃないか、とか、腰が引けた内部批判だ、と見られてしまうかもしれない。社内言論の不統一は読者を混乱させる、という指摘もありそうだ。リベラル陣営からは「味方叩きをしている場合か」との声もあるかもしれない。
 しかし、リベラル失墜の原因が、標榜する自由や公正といった価値をひそかに裏切っていることを嗅ぎ取られていることにあるのなら、捲土重来のためには、自らの弱点を見つめるしかない。
 もはやリベラルは挑戦者なのだから。

 日本の新聞ではここ10年ほど、署名記事が増えている。が、記者の名を並べれば並べるほど(近ごろは4人とか5人の署名記事も散見される)、取材者・書き手としての主体性は霧消してしまっている。個の責任が組織に融解してしまった「集団主語」の報道や論説は、日本のメディアへの信頼を減退させる要因になってしまっている。
 本書は論考集であり、ファクトに肉薄すべき社会部系の記者である私の「本務」ではないかもしれない。しかし、逃げずに自らを主語にし、リスクを負った上で、論拠を示し且つ反論に開かれた「論」を提示したつもりである。こうした姿勢こそが、ファクトが容易に「オルタナティブ・ファクト」によって相対化されてしまうこの時代に、意見の異なる者同士の相互批判的言論の場を担保することにつながるのではないか。少なくとも、自社の社論を正面から批判する記者がおり、社内に多様な言論があることを示すことは、言論機関としての信頼をつなぎ留めることにつながり、読者にとっての利益にもなるはずだと、信じたい。
 テーマが多岐にわたった論考集ゆえに、読み通すのは難儀かもしれないが、関心ある章をつまみ食いしていただくだけで十分。ぜひご一読を。

asahi
『さよなら朝日』石川智也 著 
柏書房刊 定価 本体1,800円+税 好評発売中!
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houkei

『日本の包茎』と古書市場

『日本の包茎』と古書市場

澁谷知美

 『日本の包茎 男の体の200年史』という本を筑摩書房より上梓した。日本人男性の過半数が仮性包茎である。清潔にしていれば医学的には問題がないとされる状態だ。なのに仮性包茎を「恥ずかしい」と感じる男性が多いのはなぜか。そのナゾをさぐるべく、幕末から現代まで、医学書から週刊誌まで、ありとあらゆる包茎にまつわる語りを集めて分析した。

 明らかになったのは、包茎を恥ずかしいと思う感覚はすくなくとも1890年代から存在したこと、その感覚が消えつつあるという指摘が1920・30年代にあったこと、にもかかわらず、恥の感覚をあえて増幅させ、商売のタネにした人びとが戦後に登場したことだった。その人びととは、包茎手術をウリにする美容整形外科医である。彼らのうちのひとりは、包茎は手術すべきという「常識」を「ビジネス」のために「捏造」したと、後年、白状している。

 タイトルにギョっとする方もおられるかもしれない。しかし、自分でいうのもなんだが、内容はいたってまじめである。わたしは女性であり、わたしにとって男性の身体は他者の身体だ。他者に失礼があってはいけないので、調査は真剣かつ念入りにおこなった。だから、男性の読者から「包茎は恥ずかしいという観念が商売のために作られたものだとわかり、長年のコンプレックスから解放された」という声をいただいたときは、ほっとした。

 執筆には12年かかった。時間がかかった理由のひとつが、敗戦から1960年代にかけての資料が不足していたことだった。戦前なら、大学図書館にある医学雑誌や国会図書館にある通俗性欲学と呼ばれるジャンルの書籍にあたればよい。わずかだが自分でも古書店で買い集めた。1970年代以降であれば、大宅壮一文庫に所蔵されている青年誌や大衆誌などが資料となる。だが、そのあいだをつなぐミッシングリンクがなかなか埋まらなかった。

 もちろん、『完全なる結婚』(1946年)をはじめとする、敗戦後に流行したセックス指南書は国会図書館にあり、実際に手がかりとした。だが、それだけでは足りない。当時、大量に刊行されては消えた『夫婦生活』などのカストリ雑誌や『100万人のよる』などのエロ雑誌も見なければ、当時の人びとのビビッドな感覚はわからない。『夫婦生活』は国会図書館にもあるが欠号が多い。『100万人のよる』にいたっては所蔵がない。かといって、わたしの財力では収集するにも限界がある。はて、どうしよう……。

 そうやってグズグズしていた矢先、とある方にコレクションを見せていただけることになった。『夫婦生活』や『100万人のよる』はもちろん、そのほかの類似の雑誌も十分な数があった。いったいどのくらいの資金を投入されたのか。見当もつかない。

 酸化した表紙をそっとめくる。見つけて思わず快哉をさけんだのは、「仮性包茎はそのままで性生活に支障ないか?」という『夫婦生活』1954年1月号の記事だった。仮性包茎は「普段は包茎だが“その時”には包茎でなくなる」ものとして描かれている。問題であるようなないような、仮性包茎はそんなイメージでとらえられていたことがわかった。この号は国会図書館にはない。

 同時代の『夫婦生活』には、「仮性包茎か? いつも早漏気味」という記事、「半包茎なのですがどんな注意が必要でしようか?」という相談もあり、当時、仮性包茎が注目されつつあったことがわかった(同誌1951年6月号および1955年6月号。これらの号は国会図書館にあり)。仮性包茎という概念そのものは戦前から存在するが、ここまで一般向けの雑誌で注目されたことはなかった。

 一方、同時代のほかの資料からは、仮性包茎に手術をすすめる医師はそれほど多くはないこともわかった。そこで、「かならずしも手術がすすめられるわけではないが、仮性包茎が注目されはじめた時代」として当時を位置づけることができた。ミッシングリンクが埋まったのである。

 『100万人のよる』では、1962年刊の7巻8号に載っていた記事「あなた! 性器整形はちよつと待て」に助けられた。60年代に性器整形ブームがあったが、その裏で手術の失敗も多かった。性器を台なしにされた患者は医師に再手術を請うも、「ノイローゼ」と一蹴される。あるいは、場所が場所だけに泣き寝入りを強いられる。そんな悲惨な事例が報告されている。失敗した手術の「尻ぬぐい」、つまり再手術を某大学病院がさせられているとも書かれており、ブームを多面的に見ることができた。くりかえすが、この雑誌は、国会図書館に所蔵がない。

 図書館の資料だけでセクシュアリティの歴史を研究することはできない。図書館は見向きもしないような、古書市場に出回っている性にかんする有名無名の本や雑誌。これらがあってこそ、歴史家は時代を描くことができる。時代の諸相を書き記したものの集積を文化と呼ぶならば、古書市場は文化を支えているのである。

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『日本の包茎 ─男の体の200年史』 澁谷 知美 著
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2021年5月10日号 第322号

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 古書市&古本まつり 第100号
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━━━━━━━━━━【シリーズ 古書の世界】━━━━━━━━

神田古書店街 後編

            神田古書店連盟 矢口書店 矢口哲也

 メルマガ読者の皆様、神田古書店街後編です。
前回は古本まつりが始まるまでの神田古書店街の歴史について簡単
に触れました。
神保町の古本屋が活気を取り戻そうと昭和35年に第一回「古本まつ
り青空掘り出し市」を千代田区の共催で開催しました。
神保町交差点の現在の岩波ビルが建つ前の空き地で始まりました。

続きはこちら
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矢口書店
http://yaguchishoten.jp/

神田古書店連盟
http://jimbou.info/index.html

━━━━━━━━━【シリーズ 古本マニア採集帖】━━━━━━

第28回 下平尾直さん 出版の出発点に古本があるひと

                      南陀楼綾繁

 7年前、千駄木の〈往来堂書店〉で、藤原辰史『食べること考え
ること』と都甲幸治『狂喜の読み屋』の2冊が並べられていた。店
長の笈入建志さんによると、版元の「共和国」の最初の刊行物だと
いう。その時点ではどちらも知らない著者だったが、造本の良さに
惹かれて前者を買った。その後も池内規行『回想の青山光二』など、
値段は張るが手元に置いておきたい本を出す出版社として印象に残
った。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=6946

南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ)

1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一
文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、
図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年
から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」
の代表。各地で開催される多くのブックイベントにも関わる。
「一箱本送り隊」呼びかけ人として、石巻市で本のコミュニティ
・スペース「石巻まちの本棚」の運営にも携わる。本と町と人を
つなぐ雑誌『ヒトハコ』(書肆ヒトハコ)編集発行人。著書に
『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、『一箱古本市
の歩きかた』(光文社新書)、『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、
『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』
(ちくま文庫)、共著『本のリストの本』(創元社)などがある。

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『蒐める人 情熱と執着のゆくえ』 南陀楼綾繁 著
皓星社刊 価格:1,600円(+税) 好評発売中!
http://www.libro-koseisha.co.jp/publishing/atsumeruhito/

━━━━━【5月10日~6月15日までの全国即売展情報】━━━━━

⇒ https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

※現在、新型コロナウイルスの影響により、各地で予定されている
即売展も、中止になる可能性がございます。ご確認ください。
お客様のご理解、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。

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第42回 古本浪漫洲 Part 2 ※5月11日(火)まで中止(12日再開予定)

期間:2021/05/10~2021/05/12
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
新宿区歌舞伎町1-2-2 TEL03-3354-6111

http://www.kosho.co.jp/furuhon_romansu/

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第42回 古本浪漫洲 Part 3

期間:2021/05/13~2021/05/15
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
新宿区歌舞伎町1-2-2 TEL03-3354-6111

http://www.kosho.co.jp/furuhon_romansu/

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五反田遊古会

期間:2021/05/14~2021/05/15
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4

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第42回 古本浪漫洲 Part 4

期間:2021/05/16~2021/05/18
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
新宿区歌舞伎町1-2-2 TEL03-3354-6111

http://www.kosho.co.jp/furuhon_romansu/

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第42回 古本浪漫洲 Part 5(300円均一)

期間:2021/05/16~2021/05/18
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
新宿区歌舞伎町1-2-2 TEL03-3354-6111

http://www.kosho.co.jp/furuhon_romansu/

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新橋古本市 【中止になりました】

期間:2021/05/17~2021/05/22
場所:新橋駅前 SL広場

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浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2021/05/20~2021/05/23
場所:JR浦和駅西口 さくら草通り徒歩5分 マツモトキヨシ前

https://twitter.com/urawajuku

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趣味の古書展

期間:2021/05/21~2021/05/22
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

https://www.kosho.tokyo

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中央線古書展

期間:2021/05/22~2021/05/23
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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第98回 彩の国 所沢古本まつり(埼玉県)

期間:2021/05/26~2021/06/01
場所:くすのきホール 
(西武線所沢駅東口前 西武第二ビル8階 総合大会場)

https://tokorozawahuruhon.com/

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BOOK & A(ブック&エー)

期間:2021/05/27~2021/05/30
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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和洋会古書展

期間:2021/05/28~2021/05/29
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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センター南駅・港北古書フェア(神奈川県)

期間:2021/05/29~2021/06/07
場所:センター南駅・港北古書フェア

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城南古書展

期間:2021/06/04~2021/06/05
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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6月反町古書会館展(神奈川県)

期間:2021/06/05~2021/06/06
場所:神奈川古書会館

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第19回 つちうら古書倶楽部の古本市(茨城県)

期間:2021/06/05~2021/06/13
場所:茨城県土浦市大和町2-1 つちうら古書倶楽部

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杉並書友会

期間:2021/06/05~2021/06/06
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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有隣堂藤沢店4階古書フェア(神奈川県)

期間:2021/06/10~2021/06/23
場所:有隣堂藤沢店4階

http://www.yurindo.co.jp/store/fujisawa/

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書窓展(マド展)

期間:2021/06/11~2021/06/12
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
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好書会

期間:2021/06/12~2021/06/13
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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【発行】
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【発行者】
 広報部:志賀浩二
 編集長:藤原栄志郎

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