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『編む人 ちいさな本から生まれたもの』

『編む人 ちいさな本から生まれたもの』

南陀楼綾繁


 大学を卒業して、大学院に入るまでのつなぎのつもりで、ちいさな出版社でアルバイトをはじめた。そこで、編集者が一種の特権であることに気づく。なにしろ、名刺一枚で、仕事にかこつけていろんな世界の専門家や有名人に出会うことができるのだ。人見知りの私は、パスポートをもらったような気分だった。実際には同じ出版社でもピンからキリまであるのだが、そんなことを知らなかった私は、勝手な企画を考えては、以前から愛読していた書き手や研究者に会いに行った。企画が通らずに、お茶を飲んだだけで終わった人もいるし、一緒に仕事をさせていただき、その後もお付き合い願っている人もいる。

 そういった人たちの話をひとりで聴いているだけではもったいないと思い、トークイベントを開催するようになった。2005年に「不忍ブックストリートの一箱古本市」をはじめてから現在までに、地方での開催も含め、いったい何十人にご出演いただいただろうか? 私が聞き手をつとめるのは、でしゃばりからではなく、ほかにやってくれる人がいないからであり、本来なら純粋に客の立場で聴きたいのだ。もっとも、当日までにその人の著作を読み返したり、こんなことを聞こうと考える時間は楽しい。

トークイベントの記録や、雑誌に掲載したインタビューをまとめて一冊にしようと、ビレッジプレスの五十嵐さんと話したのは、もう10年近く前のこと。テーマや人選で悩んでいるうちに月日が流れた。結局、本や雑誌の編集と、それを軸に場所をつくってきた人=〈編む人〉をテーマにしようと決め、9人の話を入れることにした。

その結果、8年も前のインタビューを収録することになったのだが、内容は古びていないと信じている。時間がかかってかえってよかったのは、以前はそれほど気にしていなかった、〈地域〉が、この間に私にとって重要なテーマとして浮上したことだ。そのため、北九州や飛騨、日田で雑誌と地域をつなげる活動を行なっている牧野伊三夫さん、新潟で地域雑誌『LIFE-mag.』を発行する小林弘樹さん、『地域雑誌 谷中・根津・千駄木』を軸に谷根千工房の活動を続けている山﨑範子さんの話を入れた。

刊行後、何人かから感想をいただいたが、どの人の話が興味深かったかがそれぞれ異なるのが面白い。読む人の個性や経験が、おのずと反映されるのだろう。そのなかでも、冒頭に収録した小西昌幸さんのインタビューは好評だ。徳島県で公務員として働きつつ、ミニコミ『ハードスタッフ』をつくり続けている小西さんの話は、かっこいい。彼の話を聴くと、自分にできることをやらなければという気持ちになる。とくに「精神では講談社よりもうちのほうが大きい」とタンカを切った出版社のエピソードには、勇気づけられる。

刊行を記念して、その小西昌幸さんに徳島から来ていただき、来年1月7日に田原町の〈Readin’ Writin’ BOOKSTORE〉でトークイベントを開催する。前回のトークからいままでずっと、『ハードスタッフ』次号を編集中の小西さんの話を、ぜひ生で聞いてほしいと思います。
http://readinwritin.net/



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『編む人 ちいさな本から生まれたもの』南陀楼綾繁 著
出版社ビレッジプレス 定価:1,600円+税 好評発売中!
http://www.village-press.net/?pid=124093781

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2017年11月27日 第239号

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☆INDEX☆
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1.フリーランス書店員『スリップの技法』を開陳 久禮亮太
2.『遅れ時計の詩人 編集工房ノア著者追悼記』 涸沢純平
3.『江戸庶民の読書と学び』について  長友千代治

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━━━━━━━━━━━【自著を語る(193)】━━━━━━━━━━

フリーランス書店員『スリップの技法』を開陳

                       久禮亮太



「フリーランス書店員」の久禮亮太と申します。みなさん聞き慣れ
ない職業かと思いますが、私もまだ呼ばれ慣れません。新刊書店カ
フェ・神楽坂モノガタリで書籍担当をしながら、いくつかの書店チ
ェーンで現場の業務改善コンサルタントを請けおい、ときおり雑誌
の中で本の紹介記事を書くといった仕事をしています。

続きはこちら
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『スリップの技法』久禮亮太 著
苦楽堂刊 定価:1666円+税 好評発売中!
http://kurakudo.co.jp/ 


━━━━━━━━━━━【自著を語る(194)】━━━━━━━━━━

『遅れ時計の詩人―編集工房ノア著者追悼記』

                        涸沢純平



 編集工房ノアは、1975年(昭50)9月、私が29歳で始めた。住んで
いる大阪、関西の地で、文芸出版がしたかった。42年が経つ。
本書のサブタイトルに迷った。「編集工房ノアの42年」と出来ない。
実は、私が還暦(10年前)に出そうと思いまとめ、校正刷りまで上げ
たが、自信がなくなり、放置していた。自社で自分の本を出すこと
に迷いもあった。が古希をむかえ決心した。恩義を受けた足立巻一
さんの享年72歳を越えては、あまりに恥ずかしい。


続きはこちら
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『遅れ時計の詩人 編集工房ノア著者追悼記』涸沢純平 著
編集工房ノア 定価:2000円+税 好評発売中!
http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784892712814

━━━━━━━━━━━【自著を語る(195)】━━━━━━━━━━

『江戸庶民の読書と学び』について

                     長友千代治



江戸時代の庶民が暮しの中で、書物から学んでいる諸相を彼らが学
習した教材に基づいて記述した。研究書として新知見の探索を心掛
けながらも、周辺領域 或は一般読者の方々にも読んで頂けるよう、
私自身も楽しみ、江戸265年間の変遷を、世代交代 凡そ30年間を一
区切りとして考えてみた。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3506

『江戸庶民の読書と学び』 長友千代治 著
勉誠出版 定価 5,184円(本体 4,800円) 好評発売中!
http://bensei.jp/index.php?main_page=product_book_info&products_id=100803


━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

『編む人 ちいさな本から生まれたもの』南陀楼綾繁 著
出版社ビレッジプレス 定価:1,600円+税 好評発売中!
http://www.village-press.net/?pid=124093781



『出版物販売額の実態 2017』日販 営業推進室 書店サポートチーム編
日本出版販売株式会社 頒価 1,512円(本体1,400円)
http://www.nippan.co.jp/news/hanbaigaku_2017/

購入する場合のサイトです。
https://www.honyaclub.com/shop/c/c09N0/


『古本屋癌になる 77歳の日記』青木正美 著
日本古書通信社 定価:2,000円+税
http://www.kosho.co.jp/kotsu/



━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━


12月~1月の即売展情報


https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init


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日本の古本屋メールマガジンその239 2017.11.27

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:小野祥之
編集長:藤原栄志郎

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2017年11月13日 第238号

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    古書市&古本まつり 第57号
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━━━━━【11月13日~12月15日までの全国即売展情報】━━━━━

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仙台駅前 イービーンズ古本まつり 
※中古レコード市併催(宮城県)

期間:2017/10/27~2017/12/03
場所:イービーンズ(旧エンドーチェーン) 9F杜のイベントホール

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早稲田青空古本祭

期間:2017/11/13~2017/11/18
場所:早稲田大学十号館前(大隈重信公銅像そば) 
新宿区西早稲田1-6-1

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名鯱会(名古屋)

期間:2017/11/17~2017/11/19
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田5-1-12

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博物館古書市(名古屋)

期間:2017/11/18~2017/11/26
場所:名古屋市博物館 名古屋市瑞穂区瑞穂通1-27-1

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第82回シンフォニー古本まつり(岡山県)

期間:2017/11/22~2017/11/27
場所:岡山シンフォニービル1F  自由空間ガレリア

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ア・モール古本市(北海道旭川市)

期間:2017/11/23~2017/11/29
場所:コープさっぽろ ア・モール店1F催事場(旭川市豊岡3条2丁目2-19)

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浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2017/11/23~2017/11/26
場所:JR浦和駅西口徒歩5分 さくら草通り マツモトキヨシ前

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和洋会古書展

期間:2017/11/24~2017/11/25
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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五反田遊古会

期間:2017/11/24~2017/11/25
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4

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中央線古書展

期間:2017/11/25~2017/11/26
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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新宿西口古本まつり

期間:2017/11/25~2017/11/30
場所:東京都交通広場(京王百貨店の横地下1階です)

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第84回 彩の国 所沢古本まつり(埼玉県)

期間:2017/11/29~2017/12/05
場所:くすのきホール
西武線所沢駅東口前 西武第二ビル8階 総合大会場
URL:http://furuhon.wix.com/tokorozawafuruhon

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書窓会(通称マド展)

期間:2017/12/01~2017/12/02
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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西部古書展

期間:2017/12/01~2017/12/03
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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反町12月古書会館展(神奈川県)

期間:2017/12/02~2017/12/03
場所:神奈川古書会館1階特設会場  
横浜市神奈川区反町2-16-10

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アツベツ古書の街(札幌)

期間:2017/12/05~2017/12/07
場所:新札幌駅直結サンピアザ光の広場
(新札幌駅直結・紀伊國屋書店厚別店脇)  
札幌市厚別区厚別中央二条5丁目7-2

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浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2017/12/07~2017/12/10
場所:JR浦和駅西口徒歩5分 さくら草通り マツモトキヨシ前

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歳末赤札古本市

期間:2017/12/07~2017/12/10
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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フリーダム展

期間:2017/12/08~2017/12/09
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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つちうら古書俱楽部:師走の古本まつり!(茨城県)

期間:2017/12/09~2017/12/17
場所:茨城県土浦市大和町2-1 つちうら古書俱楽部

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有隣堂イセザキ本店チャリティーワゴンセール(神奈川県)

期間:2017/12/13~2018/01/08
場所:有隣堂伊勢佐木町本店 横浜市中区伊勢佐木町1-4-1

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新興古書大即売展

期間:2017/12/15~2017/12/16
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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五反田古書展

期間:2017/12/15~2017/12/16
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4 

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第124回 倉庫会(名古屋)

期間:2017/12/15~2017/12/17
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田五丁目1-12

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日本の古本屋メールマガジンその238 2017.11.13

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:小野祥之

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『江戸庶民の読書と学び』について

『江戸庶民の読書と学び』について

長友千代治


江戸時代の庶民が暮しの中で、書物から学んでいる諸相を彼らが学習した教材に基づいて記述した。研究書として新知見の探索を心掛けながらも、周辺領域 或は一般読者の方々にも読んで頂けるよう、私自身も楽しみ、江戸265年間の変遷を、世代交代 凡そ30年間を一区切りとして考えてみた。

資料は、長期間収集してきた重宝記(拙編『重宝記資料集成』臨川書店)を主とする。重宝記は庶民生活万般の知識の宝庫、生活の指針書であり、本書での記述や解説はその資料自身に語らせ、私の論評はできるだけ控えた。

図版も本文理解に役立つよう原資料から転載したが、それは即 読者への絵解き、具体的な教示であった筈である。複雑に解説するよりも、図版提示の方か理解しやすいことがある。
教材としての教科書は、写本から整版印刷になり、それは何刷もでき 出版部数も随意だった。整版印刷の技術は版画製作に基づくもので、図版挿入にも適合していた。整版出版は寛永期(1624~44)頃から盛んになったが、時代が下るにつれ寺子屋教育の隆盛に伴い、出版本屋は軒並み需要の多い教科書、啓蒙書を製作して販売した。熾烈な出版競争になり、名の通った戯作者や画工を編集製作に傭うこともり、自ら編集出版する者も出現した。

出版業は、本屋・作者・読者が相互に関連し合う営為であり、ここからまた行商本屋や貸本屋が派生した。驚くべきことは彼らも出版本屋の成立に遅れず、寛永期から営業している。
出版本屋・行商本屋・貸本屋・作者・読者の相互関係から、近世文学を彩る浮世草子・読本・洒落本・黄表紙・合巻・人情本等江戸文学の諸ジャンルが誕生したと考えている。文学史では各ジャンルの講説は多いが、その誕生の様相を説く者は少ない。

教科書や啓蒙書の普遍的な思想は四書五経の精神、例えば「五倫」の道を学び取り実行する事、体認である。それは君臣間の義、父子間の親、夫婦間の別、長幼間の序、朋友間の信である。この場合、臣が君に、子が親に、弟は兄に、絶対服従せよとは言っていない。上の者が下の者を労わり、先に生れた者が人の道を教え、憐れみ恵むならば、自ら忠節・孝行・敬愛を尽くすというのである。その訳は、教えなければ解りはしないのだと、実に簡明である。江戸時代は相手を尊重する社会であり、各人はそれぞれの立場で果たすべき義務と責任を背負っていた。



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『江戸庶民の読書と学び』 長友千代治 著
勉誠出版 定価 5,184円(本体 4,800円) 好評発売中!
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『遅れ時計の詩人―編集工房ノア著者追悼記』

『遅れ時計の詩人―編集工房ノア著者追悼記』

涸沢純平

編集工房ノアは、1975年(昭50)9月、私が29歳で始めた。住んでいる大阪、関西の地で、文芸出版がしたかった。42年が経つ。
本書のサブタイトルに迷った。「編集工房ノアの42年」と出来ない。実は、私が還暦(10年前)に出そうと思いまとめ、校正刷りまで上げたが、自信がなくなり、放置していた。自社で自分の本を出すことに迷いもあった。が古希をむかえ決心した。恩義を受けた足立巻一さんの享年72歳を越えては、あまりに恥ずかしい。

考えた末、「編集工房ノア著者追悼記」とした。すべてが著者への追悼記なのである。私と著者との間の話なのだが、私だけが知ることもあり、記憶、記録として残しておくことも意味があるかもしれない、と思いなおした。
帯文は、手さぐりで始めた出版の業界の師とも思う、地方・小出版流通センター代表の川上賢一氏の言葉。
「関西で唯一の文芸専門出版社主・涸沢純平が綴る、表現者たちとの熱い交わり模様、亡き文人たちを語る惜別のことば。奥さんと二人の出版物語。」「関西で唯一」は、正確かどうかはわからないが、私は褒詞として受け取った。社員も何人かいたことはあるが、長年の二人出版となった。

帯の裏には、「大阪淀川のほとり、中津の路地裏の出版社。港野喜代子、永瀬清子、清水正一、黒瀬勝巳、天野忠、大野新、富士正晴、東秀三、中石孝、足立巻一、庄野英二、杉山平一、桑島玄二、鶴見俊輔、塔和子。本づくり、出会いの記録」と書き、私が出会い別れた著者たちの名前を上げ全体を表している。
創業第一冊。大阪の名物詩人、港野喜代子の詩集『凍り絵』を持って、宣伝のための新聞社回りわした夜、港野はひとり住まいの家の風呂で、心臓マヒを起こして死んだ。期待した港野の人脈が得られなくなった。

私は詩人大野新の鋭利な文章を読み、評論集『沙漠の椅子』を出版。大野さんに連れられて天野忠さんの「北園町九十三番地」に行った。
表題「遅れ時計の詩人」とは、十三の詩人、清水正一さんのこと。まねかれていく清水さんの家の柱時計はなぜか何時間も遅れていた。生業の蒲鉾屋の時間を詩人の時間にする遅れ時計。私は清水さんのことを父とも、港野さんのことを母とも思った。そうした心模様を書いた。
鶴見俊輔さんは「ノアは十九世紀の出版を思わせる」と言った。遅れ時計の出版社なのだ。
出版して二カ月が経つが、大筋は別にして、気にとめられる細部は、人によってさまざまであることがわかった。私の手を離れた、ささ舟のようなもの。

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『遅れ時計の詩人 編集工房ノア著者追悼記』涸沢純平 著
編集工房ノア 定価:2000円+税 好評発売中!
531-0071 大阪市北区中津3—17—5 電話06-6373-3641 fax06-6373-3642
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フリーランス書店員『スリップの技法』を開陳

フリーランス書店員『スリップの技法』を開陳

久禮亮太


 「フリーランス書店員」の久禮亮太と申します。みなさん聞き慣れない職業かと思いますが、私もまだ呼ばれ慣れません。新刊書店カフェ・神楽坂モノガタリで書籍担当をしながら、いくつかの書店チェーンで現場の業務改善コンサルタントを請けおい、ときおり雑誌の中で本の紹介記事を書くといった仕事をしています。18年間在籍した新刊書店チェーン、あゆみBOOKSを飛び出し、もうすぐ3年。現場で培った私の経験と技能を活用してくださる様々な業種のビジネス・パートナーに恵まれ、私自身はただ行き当たりばったりで仕事を模索しているうちに、いつの間にか周囲の人々にこの肩書きで呼ばれるようになりました。

 このたび、『スリップの技法』と題した本を書きました。新刊書店という場の面白さ、書店員という仕事の面白さを「自分の手で作り直そう!」と、全国の仲間たちに呼びかけたい。そんな思いで、これまで私が学び、考え、実践してきた仕事を伝える教科書を目指しました。かつて私が見てきた書店では、職人然とした「本屋のオヤジ」たちが魅力的な棚を作り、お客様と棚を介した無言の駆け引きを繰り広げていました。しかし、その職人芸は書き残されませんでした。現代のチェーン書店運営は、売上データ偏重で画一的になりがち。そんな現場で若い書店員たちは、自分の手でお客様の喜びと売上を作り出したという充実感を味わえず、疲れていると感じます。そんな彼らと一緒に、仕事の喜びと売上を生む具体的な手法を考え直したいのです。

 書店の仕事において最も大切な道具は、スリップです。買う前の本に挟まっている細長い紙片のことです。お客様が本を買ってくださったとき、書店員はスリップをレジで抜き取って手元に集めます。スリップは売れていった本の分身であり、買った人の思いを想像する手がかりです。

 書店には日々あたらしい本が入荷し、たくさんのお客様が様々な目的や願望を持って本を買ってくださいます。「人が何かを思いながら本を買った」という大量の事実を、売上金やデータといった抽象的な数字に化ける前に把握する。スリップはそのために必要不可欠な道具なのです。

 本書では、実際に売れた本のスリップ100枚以上を例に挙げ、私がどう考え、品揃えにつなげたのかを解説しました。売れた本からお客様の気持ちを想像し次の本を連想する過程は、一般読者のみなさんにも、お楽しみいただけると思います。
 読後のご感想をSNSで拝見していると、意外にも古書店主さんに面白がっていただいているようです。「一箱古本市の店主さんにもぜひ」とおっしゃる方もいました。著者の手を離れ多様な読み方をされて育っていく自著を、嬉しく見守っています。まだという方も、ご一読いただけますと幸いです。



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『スリップの技法』久禮亮太 著
苦楽堂刊 定価:1666円+税 好評発売中!
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2017年10月25日 第237号

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1.「初めての祖父の伝記
   『広辞苑はなぜ生まれたか――新村出の生きた軌跡』」
                        新村 恭
2.『すごい古書店 変な図書館』祥伝社新書  井上理津子
3.10月4日古本感謝祭について
           東京古書組合 広報部理事 小野祥之

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━━━━━━━━━━━【自著を語る(191)】━━━━━━━━━━

「初めての祖父の伝記
   『広辞苑はなぜ生まれたか――新村出の生きた軌跡』」

                        新村 恭


 祖父の伝記を書こうと思いいたったのは、5年ほど前である。そ
れから、出版のしごとに携わりながら、『新村出全集』全15巻と当
人の遺した日記を読み始めた。全集はA5判で平均600頁あり、日記も
84冊びっしり書かれている。とうてい精読はできないが、通覧し
全集に付箋を貼り、日記の要所をメモした。

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『広辞苑はなぜ生まれたか―新村出の生きた軌跡』新村 恭 著
世界思想社 本体2,300円(税別) 好評発売中!
http://sekaishisosha.jp/cgi-bin/search.cgi?mode=display&style=full&code=1703

━━━━━━━━━━━【自著を語る(192)】━━━━━━━━━━

『すごい古書店 変な図書館』祥伝社新書

                      井上理津子


「洋服のショップでは『どんなものをお探しですか』と声がかかる
し、寿司屋さんでは『今日はマダイ、いいのが入ってますよ』と案
内される。本屋さんも、そんなふうだったら面白いのにね」
 飲み屋で、日刊ゲンダイの読書面デスクからそんな話が出たのが
そもそものきっかけである。町の本屋さんを訪ね、連載したミニル
ポが、晴れて一冊になった。


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『すごい古書店 変な図書館』 著者 井上理津子
祥伝社 定価:800円+税 好評発売中!
http://www.s-book.net/plsql/slib_detail?isbn=9784396115166


━━━━━━━━━【10月4日古本感謝祭について】━━━━━━

10月4日古本感謝祭について

東京古書組合 広報部理事 小野祥之


 全古書連は、古本はとても楽しい書物文化であることを一人でも
多くの方にご理解いただきたいという願いのもと、大阪組合の発案
により、平成15年より10月を「古書月間」として、10月4日を「古書
の日」として制定しています。「古書月間」は、読書の秋と呼ばれ
るように、知力を鍛えるために最適な季節ということでこの月に制
定しました。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3414



東京都古書籍商業協同組合
http://www.kosho.ne.jp/


━━━━━━【「古典籍展観大入札会」のお知らせ】━━━━━━


東京古典会主催「古典籍展観大入札会」のお知らせ


古典籍展観大入札会では全国の和本を扱う古書業者や、収集家、
名家から出していただいた名品が多数出陳され、お客様にお見せし
ます(展観)。そしてお客様の指し値をもとに大入札会(オークシ
ョン)がおこなわれます。主に扱われるものは和本(版本、写本)、
古筆、古文書、古地図、錦絵、中国朝鮮本等です。


平成29年度古典籍展観大入札会


展観(一般公開)入場無料
2017年11月17日(金)10:00~18:00
2017年11月18日(土)10:00~16:30


会場:東京古書会館
地図:http://www.kosho.ne.jp/~kotenkai/images/map_big.gif


入札会(全古書連加盟店のみ)
2017年11月19日(日)・20日(月)


展観日には、一般の皆様に出品の全点をお見せします。
入札は皆様のご注文に応じ、古書店業者が代行します。


詳細は東京古典会のホームページ
http://www.koten-kai.jp/
をご覧ください。

東京古典会



━━━━━━━━━【日本の古本屋からお知らせ】━━━━━━━


11月16日(木)予定 日本の古本屋クレジット決済画面が変わります。

日本の古本屋では、経済産業省の指導による
「クレジットカード取引におけるセキュリティ対策の強化に向けた
実行計画2017」に対応するため、カードの決済方式を「画面遷移方式」
に変更します。


この方式は、クレジットカード情報を一切取り扱わないので、
情報漏えいのリスクを低く抑えられます。
今後は、より安心してご利用いただけるように、更なるセキュリティ
の強化を図るべくシステムの改善等を行って参ります。


何卒、ご了承くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

『スリップの技法』久禮亮太 著
苦楽堂刊 定価:1666円+税 10月末発売
http://kurakudo.co.jp/ 


『遅れ時計の詩人 編集工房ノア著者追悼記』涸沢純平 著
編集工房ノア 定価:2000円+税 好評発売中!
http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784892712814


━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━


11月~12月の即売展情報

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init


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見逃したメールマガジンはここからチェック!
 【バックナンバーコーナー】
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_category.php?catid=20


┌─────────────────────────┐
 次回は2017年11月中旬頃発行です。お楽しみに!
└─────────────────────────┘


*☆ 本を売るときは、全古書連加盟の全国の古書店に ☆*
全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,200店加盟)の略称です

https://www.kosho.or.jp/buyer/list.php?mode=from_banner



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日本の古本屋メールマガジンその237 2017.10.25


【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/


【発行者】
 広報部:小野祥之
編集長:藤原栄志郎


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2017年10月10日 第236号

■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■
 。*..*.:☆.:*・日本の古本屋メールマガジン・*:.☆.:*..*。
        古書市&古本まつり 第56号
     。.☆.:* 通巻236・10月10日号 *:.☆. 。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジンは、毎月2回の配信になりました!

初旬に(10日前後)全国で開催されている古本展示即売会など、
イベント情報をお送りします。お近くで開催される際は、ぜひ
お出掛けください。
次回メールマガジンは10月下旬に発行です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このメールは「日本の古本屋会員」の方で、メールマガジンの配信
を希望された方にお送りしています。
ご不要な方の解除方法はメール下部をご覧下さい。
【日本の古本屋】は全国935書店参加、データ約630万点掲載
の古書籍データベースです。

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☆INDEX☆
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1.全国即売展情報 10月10日~11月15日まで
2.映画『静かなふたり』公開のお知らせ&招待券プレゼント
3.映画「ウォーナーの謎のリスト」上映会のお知らせ

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

━━━━━【10月10日~11月15日までの全国即売展情報】━━━━━

⇒ https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

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第17回 四天王寺 秋の大古本祭り(大阪府)

期間:2017/10/06~2017/10/11
場所:四天王寺 大阪市天王寺区四天王寺1-11-1
URL:http://kankoken.main.jp/

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第9回 カジル横川古本市(広島県)

期間:2017/10/10~2017/10/19
場所:JR山陽本線 横川駅そば フレスタモールカジル横川

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第48回 古書籍販売会(熊本県)

期間:2017/10/11~2017/10/16
場所:熊本・鶴屋百貨店 本館6階催事場
熊本市中央区手取本町6-1

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BOOK & A(ブック&エー)

期間:2017/10/12~2017/10/15
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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倉庫会(名古屋)

期間:2017/10/13~2017/10/15
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田5丁目1-12

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洋書まつり

期間:2017/10/13~2017/10/14
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 
URL:http://blog.livedoor.jp/yoshomatsuri/

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さいおん古本まつり(沖縄県)

期間:2017/10/14~2017/10/15
場所:牧志駅前広場「さいおんスクエア」
ゆいレール牧志駅前広場・カーゴス前
沖縄県那覇市安里2丁目1番1号

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第26回 池袋西口公園古本まつり

期間:2017/10/18~2017/10/26
場所:池袋西口公園(東京芸術劇場前)
   豊島区西池袋一丁目8番26号

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浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2017/10/19~2017/10/22
場所:JR浦和駅西口徒歩5分 さくら草通り マツモトキヨシ前

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ぐろりや会

期間:2017/10/20~2017/10/21
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 
URL:http://www.gloriakai.jp/

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本の散歩展

期間:2017/10/20~2017/10/21
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4

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有隣堂イセザキ本店チャリティーワゴンセール(神奈川県)

期間:2017/10/21~2017/11/04
場所:有隣堂伊勢佐木町本店 横浜市中区伊勢佐木町1-4-1

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古本市チカホブックマルシェ(北海道札幌市)

期間:2017/10/23~2017/10/23
場所:札幌駅前通 地下歩行空間「憩いの広場」
URL:https://www.facebook.com/tikaho.book/

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秋の古本掘り出し市(岡山県)

期間:2017/10/25~2017/10/30
場所:岡山シンフォニービル1F 自由空間ガレリア
   岡山市北区表町1-5-1

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特選古書即売展

期間:2017/10/27~2017/10/29
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 
URL:http://jimbou.info/

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オールデイズ(名古屋)

期間:2017/10/27~2017/10/29
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田5-1-12

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第58回 東京名物 神田古本まつり(青空掘り出し市)

期間:2017/10/27~2017/11/05
場所:神田神保町古書店街 靖国通り沿い・神保町交差点他
URL:http://jimbou.info/

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好書会

期間:2017/10/28~2017/10/29
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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蓬左文庫古書市(名古屋)

期間:2017/10/28~2017/11/05
場所:徳川園内蓬左文庫 名古屋市東区徳川町1001番地

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第12回 にしお本まつり(愛知県)

期間:2017/10/28~2017/10/29
場所:<古典籍の博物館>西尾市岩瀬文庫
URL:http://iwasebunko.jp/event/nishiobookfes/

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明治維新150年カウントダウン 維新ふるさと館古書店(鹿児島県)

期間:2017/10/31~2017/11/06
場所:鹿児島市維新ふるさと館受付前ロビー(入場無料 館内見学は有料) 
鹿児島市加治屋町23番1号(西郷隆盛生誕地隣)

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第41回秋の古本まつり 古本供養と青空古本市(京都府)

期間:2017/11/01~2017/11/05
場所:百萬遍知恩寺境内 京都府京都市左京区田中門前町103
URL:http://koshoken.seesaa.net/

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東京愛書会

期間:2017/11/03~2017/11/04
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 
URL:http://aisyokai.blog.fc2.com/

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古書愛好会

期間:2017/11/04~2017/11/05
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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はりまや橋商店街 古本まつりと一箱古本市 (高知県)

期間:2017/11/04~2017/11/05
場所:はりまや橋商店街(旧中種商店街)のアーケード内
URL:https://twitter.com/kochi_hitohako

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第19回「図書館総合展」古書即売会(神奈川県)

期間:2017/11/07~2017/11/09
場所:パシフィコ横浜 展示ホールD 
横浜市西区みなとみらい1-1-1
URL:http://www.libraryfair.jp/

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趣味の古書展

期間:2017/11/10~2017/11/11
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 

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好書会

期間:2017/11/11~2017/11/12
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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早稲田青空古本祭

期間:2017/11/13~2017/11/18
場所:早稲田大学十号館前(大隈重信公銅像そば) 
新宿区西早稲田1-6-1

━━━━━【映画『静かなふたり』公開のお知らせ】━━━━━━

■ストーリー
不器用な彼女が出会ったのは、パリで古書店を営む年老いた男。
風変わりなふたりが紡ぐ愛と人生についての物語。

続きはこちら

http://mermaidfilms.co.jp/shizukanafutari/

■キャスト
ロリータ・シャマ、ジャン・ソレル、ヴィルジニー・ルドワイヤン、パスカル・セルボ他

■公開情報
2017年10月14日 新宿武蔵野館ほか
原題:Droles d’oiseaux
配給:コピアポア・フィルム
提供:マーメイドフィルム
ホームページ http://mermaidfilms.co.jp/shizukanafutari/

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 次回は2017年10月下旬頃発行です。お楽しみに!
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日本の古本屋メールマガジンその236 2017.10.10

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:小野祥之

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kansya

10月4日古本感謝祭について

10月4日古本感謝祭について

東京古書組合広報部 小野祥之


全古書連は、古本はとても楽しい書物文化であることを一人でも多くの方にご理解いただきたいという願いのもと、大阪組合の発案により、平成15年より10月を「古書月間」として、10月4日を「古書の日」として制定しています。「古書月間」は、読書の秋と呼ばれるように、知力を鍛えるために最適な季節ということでこの月に制定しました。

「古書の日」は、“十○→(縦にして)古 4(し)→書(しょ) 10月→図 4日→書”に由来しています。
 この日に合わせ各地では様々な古書にちなんだ行事が開催されます。
が、「古書の日」一般的にはほとんど知られていない、認知度が上がらないというのが実情です。
知られていないのは、業界としての宣伝不足でありますが、せっかく設けた日ですので、、古書業界の宣伝にこの日を役立てようではないかと考えました。

 そこで、東京都古書籍商業協同組合では、今年、「古書の日」に合わせて「古本感謝祭」という行事を企画・実行いたしました。宣伝効果を狙ったのはもちろんですが、インターネットの普及により、書物の持つ意味合いが大きく変わろうとしている昨今、役目を終えた本、読まれなくなった本に感謝をする機会を設けることにより、多くの方々が書物の重要性を再認識し、書物によって培われてきた文化を見直すきっかけになることを同時に願いました。

 古本感謝祭は神田明神で開催され、昇殿参拝、古書チャリティーバザールを行いました。また古書即売会も併催いたしました。
昇殿参拝は業界内の行事でしたが、歴代正副理事長、現職の正副支部長並びに本部交換会会長が参加し日頃書物に携わる者として、改めて書物、そして書物がもたらして来た文化に対して感謝の意を捧げました。厳粛な雰囲気の中で開催された昇殿参拝に、参加者からは古書業者が担う社会的役割を再認識したという感想も多々聞かれました。

またチャリティーバザーは、一般の方に不要となった本を持ち込んでもらい、お祓いを受け、境内にて古本チャリティーバザーとして販売いたしました。事前に業者にも呼びかけバザー用の品物を提供していただきました。その収益は全て日本ユネスコ協会連盟へ寄付いたしました。
 この行事はNHK首都圏ニュースや読売新聞で取り上げられるなど、話題にもなり概ね好評であったと思います。古書業者が真摯に仕事に取り組んでいること、重要な社会的役割があることなどがアピール出来たのではないでしょうか。

 今後の古書業界の発展・認知度の向上のためにも来年度以降も古本感謝祭を継続して開催したいと考えています。

kansya


東京古書組合
http://www.kosho.ne.jp/

Copyright (c) 2017 東京都古書籍商業協同組合

kouji

「初めての祖父の伝記『広辞苑はなぜ生まれたか――新村出の生きた軌跡』」

「初めての祖父の伝記『広辞苑はなぜ生まれたか――新村出の生きた軌跡』」

新村恭


 祖父の伝記を書こうと思いいたったのは、5年ほど前である。それから、出版のしごとに携わりながら、『新村出全集』全15巻と当人の遺した日記を読み始めた。全集はA5判で平均600頁あり、日記も84冊びっしり書かれている。とうてい精読はできないが、通覧し、全集に付箋を貼り、日記の要所をメモした。

 準備途中で、明治32(1899)年の、妻となる荒川豊子との往復書簡、ラブレターと、明治40年から42年までの欧州留学の際の絵はがきコレクション約3000枚が、未整理の遺品のなかから見つかったのはラッキーだった。筆文字のものが多い手紙はすらすらとは読めないものではあったが、荒川家で豊子の嫁入り先を決めていたなかで、こっそりと逢い引きをかさね、付き合いの発覚、お先真っ暗なところから婚約に漕ぎつけるところは、面白かった。筆まめな祖父は、船出から欧州各地を遊学し、シベリア鉄道で帰国するまで、往く先々で留守宅に絵はがきを送っており、それを見るのは楽しかった。

 ゆかりの地に取材し、関連の文献・資料を調査した。この日本の古本屋のネットで何冊か注文もした。『辞苑』『広辞苑』関係者の新村出宛書簡を丹念にたどり、日本近代文学館に通って800通余ある祖父の佐佐木信綱宛書簡もみた。書くことは、ありすぎる状態であった。そのなかで、年代とテーマの両方をにらみながら、構成を考えていった。

 最終的に、「新村出の生涯」「真説『広辞苑』物語」「交友録」のⅢ部にまとめて章立てをし、長すぎない範囲で小見出しをつけて区切り、図をおさめ、本人の生活の一部であった和歌を適宜挿入してまとめた。このあたりは、出版のしごと、編集の経験が生きたとも思う。なんとか、変動の大きい長い時代と幅の広い活動歴を、厚くなく、面白く読めるかたちで収められた。

 初めての評伝であるが、自分が書かなければ本は出ず、新村出は知られることなく終わってしまう、自分が書くしかないとの、宿命からくる強い責任感もあった。いまは、刊行できてほっとしているところである。



kouji
『広辞苑はなぜ生まれたか―新村出の生きた軌跡』 新村 恭 著
世界思想社 本体2,300円(税別) 好評発売中!
http://sekaishisosha.jp/cgi-bin/search.cgi?mode=display&style=full&code=1703

Copyright (c) 2017 東京都古書籍商業協同組合

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