no-image

2017年1月25日 第219号

■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■
 。*..*.:☆.:*・日本の古本屋メールマガジン・*:.☆.:*..*。
     。.☆.:* その219・1月25日号 *:.☆. 。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


このメールは「日本の古本屋会員」の方で、メールマガジンの配信
を希望された方にお送りしています。
ご不要な方の解除方法はメール下部をご覧下さい。
【日本の古本屋】は全国930書店参加、データ約600万点掲載
の古書籍データベースです。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆INDEX☆
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
1.古本屋ツアー・イン・ジャパンの2016年総決算報告
     古本屋ツアーインジャパン 小山力也
2.『貸本マンガと戦後の風景』  高野慎三
3.花森安治装釘集成       みずのわ出版代表 柳原一徳

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

━━━━━━━【古本屋ツアー・イン・ジャパン】━━━━━━━



古本屋ツアー・イン・ジャパンの2016年総決算報告


                古本屋ツアーインジャパン 小山力也



2016年は、個人的なことから言えば、「古本屋ツアー・イン・京阪
神」を作るために関西を全力疾走した一年であった。熱く、楽しく、
愉快で、不安で、ギリギリで、過激で、濃密な、古本屋探訪にすべ
てを捧げた、決して忘れられない年であった。そのささやかな奮闘が、
一冊の書き下ろし新刊に形作られたのは、誠に喜ばしいことで、心
の中に古本屋ツーリストの金字塔として、一際大きく輝いている。
だが、古本屋界の動きは、そんな矮小な喜びに溺れ、ホッと一息つ
いていたのをあざ笑うかのように、強い風が吹き抜ける水面のよう
な変転を続けているのである。


続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3130


小山力也
2008年5月からスタートした、日本全国の古本屋&古本が
売っている場所の、全調査踏破を目指す無謀なブログ『古本屋ツア
ー・イン・ジャパン』管理人。「フォニャルフ」の屋号で古本販売
に従事することも。古本屋に関する著書ばかりを出し続けており、
それらの出版社や形状は違えど、全部を並べたらいつしか“日本古
本屋大全集”となってしまうよう、秘かに画策している。最新刊は
本の雑誌社「古本屋ツアー・イン・京阪神」。

http://furuhonya-tour.seesaa.net/


━━━━━━━━━━【自著を語る(177)】━━━━━━━━━━━



『貸本マンガと戦後の風景』


                       高野慎三



貸本屋向けに限定されたマンガ単行本がいくつもの出版社から刊行
されだしたのは、一九五三年前後だった。ちょうど、朝鮮戦争が休
戦になったころであり、まだまだ戦後の混乱から抜け出せてはいな
かった。
貸本屋は江戸時代から存在したが、五〇年代後半に東京、大阪の大
都市をはじめ、全国津々浦々にまで貸本屋が波及した。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3136


 『貸本マンガと戦後の風景』 高野慎三著
  論創社刊 定価:2500円+税 好評発売中
  http://ronso.co.jp/



━━━━━━━━━━【自著を語る番外編】━━━━━━━━━━

 花森安治装釘集成


                みずのわ出版代表 柳原一徳



 6年越しの懸案となっていた『花森安治装釘集成』が、難産の末、
昨年11月末にこの世に産まれ出た。10月末に校了したのだが、覚悟
していた以上に色校正に手間がかかり、下手なものを出して恥を遺
すよりマシだといって納期を遅らせることにした。奥付記載の発行日
は、日本国憲法の公布記念日11月3日のまま変更しなかった。一昨年
刊行した『書影の森―筑摩書房の装幀1940-2014』(臼田捷治編著、
10,000円+税)の発行日が5月3日憲法記念日でもあり、言論出版に
携わる者として、自公政権打倒の意思を突き付けるという意図もあ
る。日本の憲法は、一字一句たりとて変えてはならない。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3132


 『花森安治装釘集成』
  唐澤平吉・南陀楼綾繁・林哲夫編 みずのわ出版刊 
  定価:8000円+税 好評発売中
  http://d.hatena.ne.jp/mizunowa/



━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━━

展示「検閲官 ―戦前の出版検閲を担った人々の仕事と横顔」
会期:2017年1月23日(月曜日)~4月22日(土曜日)
場所:千代田図書館9階 展示ウォール
主催:千代田区立千代田図書館
https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/information/20161213-19753/


『アプリで学ぶくずし字 くずし字学習支援アプリKuLA(クーラ)の使い方』
飯倉洋一編 笠間書院刊 定価:本体800円(税別)2月中旬刊行予定
http://kasamashoin.jp/2017/01/kula.html

季刊雑誌『雲遊天下125 特集◎高田渡の夜』
ビレッジプレス刊 
定価500円+税 好評発売中
http://www.village-press.net/?pid=112509199


━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━


1月~2月の即売展情報

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


見逃したメールマガジンはここからチェック!
 【バックナンバーコーナー】
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_category.php?catid=19


┌─────────────────────────┐
 次回は2017年2月中旬頃発行です。お楽しみに!
└─────────────────────────┘


*☆ 本を売るときは、全古書連加盟の全国の古書店に ☆*
全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,200店加盟)の略称です

https://www.kosho.or.jp/buyer/list.php?mode=from_banner

==============================


日本の古本屋メールマガジンその219 2017.1.25

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:小野祥之
編集長:藤原栄志郎


==============================

no-image

2017年1月10日 第218号

■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■
 。*..*.:☆.:*・日本の古本屋メールマガジン・*:.☆.:*..*。
        古書市&古本まつり 第47号
     。.☆.:* 通巻218・1月10日号 *:.☆. 。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジンは、毎月2回の配信になりました!

初旬に(10日前後)全国で開催されている古本展示即売会など、
イベント情報をお送りします。お近くで開催される際は、ぜひ
お出掛けください。
次回メールマガジンは1月下旬に発行です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このメールは「日本の古本屋会員」の方で、メールマガジンの配信
を希望された方にお送りしています。
ご不要な方の解除方法はメール下部をご覧下さい。
【日本の古本屋】は全国930書店参加、データ約630万点掲載
の古書籍データベースです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━【1月10日~2月15日までの全国即売展情報】━━━━━

⇒ https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

立川フロム古書市 

期間:2017/01/05~2017/01/22
場所:立川フロム中武 3Fバッシュルーム 
   東京都立川市曙町二丁目11番2号

--------------------------
有隣堂藤沢店4階古書フェア(神奈川県) 

期間:2017/01/12~2017/01/25
場所:有隣堂藤沢店4階ミニ催事場 
   神奈川県藤沢市南藤沢2-1-1フジサワ名店ビル7F
URL:http://www.yurindo.co.jp/store/fujisawa/

--------------------------
第29回 古本浪漫洲 Part1

期間:2017/01/12~2017/01/15
場所:新宿サブナード2丁目広場

--------------------------
東京愛書会

期間:2017/01/13~2017/01/14
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
URL:http://aisyokai.blog.fc2.com/

--------------------------
大均一祭

期間:2017/01/14~2017/01/15
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

--------------------------
第29回 古本浪漫洲 Part2

期間:2017/01/16~2017/01/19
場所:新宿サブナード2丁目広場

--------------------------
第33回 銀座古書の市

期間:2017/01/18~2017/01/23
場所:松屋銀座8階イベントスクエア 中央区銀座3-6-1

--------------------------
さんちか古書大即売会(兵庫県)

期間:2017/01/19~2017/01/24
場所:神戸三宮さんちか3番街 さんちか大ホール

--------------------------
第29回 古本浪漫洲 Part3

期間:2017/01/20~2017/01/23
場所:新宿サブナード2丁目広場

--------------------------
趣味の古書展

期間:2017/01/20~2017/01/21
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

--------------------------
吉祥寺パルコの古本市

期間:2017/01/20~2017/02/20
場所:吉祥寺パルコ 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-5-1

--------------------------
たにまち月いち古書即売会(大阪府)

期間:2017/01/20~2017/01/22
場所:大阪古書会館 大阪市中央区粉川町4-1

--------------------------
第29回 古本浪漫洲 Part4

期間:2017/01/24~2017/01/28
場所:新宿サブナード2丁目広場

--------------------------
浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2017/01/26~2017/01/29
場所:JR浦和駅西口さくら草通り 徒歩5分マツモトキヨシ前

--------------------------
和洋会古書展

期間:2017/01/27~2017/01/28
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

--------------------------
五反田遊古会

期間:2017/01/27~2017/01/28
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4 

--------------------------
倉庫会(名古屋)

期間:2017/01/27~2017/01/29
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田5-1-12 
URL:http://ameblo.jp/nagoyakosyo/

--------------------------
中央線古書展

期間:2017/01/28~2017/01/29
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

--------------------------
第29回 古本浪漫洲 Part5(300円均一)

期間:2017/01/29~2017/01/31
場所:新宿サブナード2丁目広場 

--------------------------
BOOK & A(ブック&エー)

期間:2017/02/02~2017/02/05
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

--------------------------
書窓展(マド展)

期間:2017/02/03~2017/02/04
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

--------------------------
反町2月新春古書会館展(神奈川県)

期間:2017/02/04~2017/02/05
場所:神奈川古書会館 1階特設会場 横浜市神奈川区反町2-16-10
URL:http://blog.goo.ne.jp/kaikanten2007/

--------------------------
三省堂書店 池袋本店 古本まつり

期間:2017/02/07~2017/02/13
場所:西武池袋本店別館2階=特設会場(西武ギャラリー)

--------------------------
第3回古書会館de古本まつり(京都府)

期間:2017/02/10~2017/02/12
場所:京都古書会館3階 京都市中京区高倉通夷川上る福屋町723番地 

--------------------------
我楽多市(がらくたいち)

期間:2017/02/10~2017/02/11
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

--------------------------
杉並書友会

期間:2017/02/11~2017/02/12
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

--------------------------
有隣堂センター南駅店古書ワゴンフェア(神奈川県)

期間:2017/02/13~2017/02/22
場所:有隣堂センター南駅店/最寄駅:横浜市営地下鉄 センター南駅
 ※駅構内 市営地下鉄センター南駅の改札を出て直進、右前方。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

見逃したメールマガジンはここからチェック!
 【バックナンバーコーナー】

https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_category.php?catid=2

┌─────────────────────────┐
 次回は2017年1月下旬頃発行です。お楽しみに!
└─────────────────────────┘

*゜*.:*☆ 本を売るときは、全古書連加盟の古書店で ☆*.:*゜*
全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,200店加盟)の略称です

https://www.kosho.or.jp/buyer/list.php?mode=from_banner

==============================

日本の古本屋メールマガジンその218 2017.1.10

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:小野 祥之

==============================

anji

花森安治装釘集成

花森安治装釘集成

みずのわ出版代表 柳原一徳


 6年越しの懸案となっていた『花森安治装釘集成』が、難産の末、昨年11月末にこの世に産まれ出た。10月末に校了したのだが、覚悟していた以上に色校正に手間がかかり、下手なものを出して恥を遺すよりマシだといって納期を遅らせることにした。奥付記載の発行日は、日本国憲法の公布記念日11月3日のまま変更しなかった。一昨年刊行した『書影の森―筑摩書房の装幀1940-2014』(臼田捷治編著、10,000円+税)の発行日が5月3日憲法記念日でもあり、言論出版に携わる者として、自公政権打倒の意思を突き付けるという意図もある。日本の憲法は、一字一句たりとて変えてはならない。

 憲法はさておき、あと数ヶ月早く刊行できていれば「とと姉ちゃん」効果で少しは売れ行きが違っていたのかもしれないのだが、無理して間に合わせた時に限って致命的なミスが生ずるものであり、それ以前に便乗商売を好まないというのもあり、満を持して放送終了後の刊行と相成った。

 花森は暮しの手帖社以外の装釘も数多く手掛けており、本書に収録した花森装釘本は500点を超える。現物が確認できず掲載できなかったものも少しばかりあるのだが、花森装釘の全貌がこれで縦覧可能になったわけであり、本作りにまつわる花森のコラム、南陀楼綾繁氏による解説および晩年の花森のもとで仕事をした唐澤平吉氏による前書とあわせて、戦後出版文化史を紐解くうえで、欠くべからざる資料を遺せたと自負している。

 カバーや函の平(ひら)だけでなく、本によっては表紙、見返し、扉、目次、本文組、奥付、本文中のカットなど、花森「らしさ」を伝える図版から、その手仕事の全貌を掴めるような作りとした。特徴的な作りの本、大判本、全集のグループショット等は、私が中判フィルムカメラで撮影した。私のもう一つの本業は営業写真館である。

 写真の話ついでに、島根大学附属図書館所蔵で、館外貸出、スキャニングとも不可となっている旧制松江高校校友會文藝部発行『校友會雑誌』の図版22点は、私が出張撮影した。これが収録できただけでも、資料としての厚みが違う。

 実は、『花森集成』の編集作業は前述の『書影の森』とほぼ同時進行であった。『書影の森』のほうが先に全編の目途が立ち、1年ほど『花森集成』の作業を止めて、『書影の森』の刊行を優先した。『書影の森』編集にあたり、筑摩「らしさ」を読者に伝えるためにも、一見地味ではあっても、表紙本体を見開いた図版を掲載して特色クロスや箔押の質感を見せてほしいという強い要望を臼田氏より戴いた。花森装釘本の「見せ方」について迷いが生じ、遅々として作業が進まなかったのだが、『書影の森』の編集作業を通じて佳き着想を得て、エディトリアルデザイン・装釘担当の林哲夫氏共々、『花森集成』を完成させることへの確信を持つに至った。

 本文用紙は、風合いに優れたモンテシオンを選んだ。ドライダウンが激しく、製版印刷の難しい紙だが、美しく仕上げて戴いた。これは、山田写真製版所の現場の皆さん、および、プリンティングディレクター高智之・黒田典孝両氏の手腕によるところが大きい。印刷製本の妙は、現物を実際に手に取って戴かないことには、文章では伝えきれない。

 電子出版などクソクラエ。まともな本は「紙の本」であらねばならない。そして、本は、形ある「モノ」として、所有してなんぼである。値段は高いが、モノを手にすれば納得して戴けるものと確信している。



anji
花森安治装釘集成
唐澤平吉・南陀楼綾繁・林哲夫編 みずのわ出版刊
定価:8,000円+税
http://d.hatena.ne.jp/mizunowa/

Copyright (c) 2017 東京都古書籍商業協同組合

keihan

古本屋ツアー・イン・ジャパンの2016年総決算報告  

古本屋ツアー・イン・ジャパンの2016年総決算報告  

古本屋ツーリスト 小山力也


 2016年は、個人的なことから言えば、「古本屋ツアー・イン・京阪神」を作るために関西を全力疾走した一年であった。熱く、楽しく、愉快で、不安で、ギリギリで、過激で、濃密な、古本屋探訪にすべてを捧げた、決して忘れられない年であった。そのささやかな奮闘が、一冊の書き下ろし新刊に形作られたのは、誠に喜ばしいことで、心の中に古本屋ツーリストの金字塔として、一際大きく輝いている。だが、古本屋界の動きは、そんな矮小な喜びに溺れ、ホッと一息ついていたのをあざ笑うかのように、強い風が吹き抜ける水面のような変転を続けているのである。

 本が出来上がった直後から飛び込んでくる、様々な情報。梅田「阪急古書のまち」移転予定、神戸『モトコー商店街』の再開発、天満宮「駒鳥書房」や天王寺「古書さろん天地」や守口市「ひまわり堂書店」の閉店…情報はジリジリと書き換えられて行く。…あの必死に駆け巡った関西も、早々に今や昔となり始め、誌面にその面影を留めるだけのお店が、段々とその數を増やしつつあるのだ。その上、追い切れなかった開店情報なども多々存在し、守口市の店主がとにかく熱いと噂の「たられば書店」、古本好きの口に頻繁に上がった良い古書が安値で並ぶという大阪・平野「古書からたち」、神戸の古本と駄菓子のお店「くまねこ書房」などの開店情報には、地団駄を踏むことしきり。また本を出したことにより、載っていない郊外店の有望なネタも次々と教えられる始末…みんな事前にあれほど良いお店があったら教えて!と頼んでいたのに、何故後になってから教える!と理不尽な思いに駆られることしきり。だが中には、心を洗われるような情報も含まれていた。それは、店主が逝去され、惜しまれながら閉店となった大阪・天神橋筋六丁目の「青空書房」の立看板や棚が、北新地の古本屋「本は人生のおやつです!」に引き取られ、大事にされているというのである。生前から慕い親しくしていた女性店主が受け継いだ、古本屋人生の遺品と古本屋魂!「青空書房」は今も大阪で、ひっそりと生き続けているのである。あぁ、こうなってくると、様々な変転流転の店物語たちを再び新たに紡いだり、各府県の郊外や大都市に残るお店を拾い上げ、いつかまた関西の本を作り上げたい気持ちが、ムクムクと湧き上がってきてしまう。

 かようにこの年は、関西に傾注した一年と断言出来るので、他の地方のお店には、ほとんど出向くことはなかったのである。だから東京で羽根を休めている時は、ひたすら近辺のお店を巡り倒す日常を送っていた。もちろんこちらも安穏平和のわけはなく、相応の変転が巻き起こっているのである。後半の主な変転について、まずは閉店から挙げて行くと、七月に新宿最後の純粋な古本屋であった「昭友堂書店」が華々しくセールを行い、映画スチールのデッドストックや古い本を大量に放出して去って行った。また神保町からは、いつの間にか「とかち書房」や「KEIZO BOOKS」がフッと消えるように撤退。八月には八王子の「まつおか書房 2号店」が店を閉じ、向かいの1号店にすべてを集約することとなった。九月には恵比寿の坂の上の「トップ書房」が消え、新中野の坂の途中の「伊呂波文庫」もセールの後ゆっくりと閉店した。十一月には下北沢「July Books」がお店を閉じて事務所店形態になり、十二月には同じ商店街の入口にあったインコが店内で放し飼いの老舗「白樺書院」も姿を消した。練馬の老舗「一信堂書店」も二ヶ月に渡る閉店セール行った後にその灯を消し、ついに練馬駅近辺からは純粋な古本屋が消える、恐るべき状態となってしまった。さらには板橋区役所前の半地下の「いのいち」も店を閉め、早稲田の「立石書店」も大きな倉庫を借りるべくシャッターを下ろした。また、小田急線沿線に根を下ろしていた「ツヅキ堂書店」チェーンも、一店一店次第に姿を消して、すでにチェーンから独立していた仙川の「石本書店」にその名残を留めるのみとなった。誠に寂しくはあるが、古本屋界の新陳代謝のひとつとして、涙を飲んで各店を見送ることにする。

 もちろん新陳代謝なのだから、翻って新しく誕生したお店もチラホラとある。王子にはデザイン事務所を併設した「コ本や」、森下には静かで格調高い「古書しいのき堂」、目白の「金井書店」は事務所店から実店舗にシフトチェンジし、横須賀中央には「沙羅書店」の近くにしっかりした理知的品揃えの「AMIS」が誕生し、日吉には若者が広めで脱力系店名の「ふもすけ堂」を開店。さらには出版も行う「トマソン社」が善福寺公園近くに小さな「松田書店」をついに開き、根津の坂の上には「私、古本屋をやるつもりなんです!」と以前宣言していたご婦人が、見事「あおば堂」を開店させ、古本を並べるとともに『コントラクトブリッジ』なるトランプ遊戯教室にも力を入れている。この頼もしく勇気ある船出をしたお店たちに、古本がたくさん売れる幸あれ!

 そんな風に日常で、開店閉店を必死に追いかけつつも、やはりツアーのメインはすでに二周目三周目に突入したお店をつなぐことになり、ちょっとしたお店の変化は捉えつつも、自然とブックハンティングに比重が傾いて行くのを、自覚せざるを得なかった。だが、それはそれで楽しく、しつこさと血眼の先には、お店の調査とはまた違う喜びが存在したのである。思い出深い成果をひとつ挙げるとするならば、阿佐ヶ谷の元貸本屋であるお店が、店頭100均棚に仁木悦子のレア本である「水曜日のクルト(偕成社文庫)」と「消えたおじさん(青い鳥文庫)」を並べたことがあり、仰天しながらもちろん即座に購入したのだが、次の日お店の前を通りかかると、また同じ本が並んでいて、再びびっくり仰天。またもや購入しつつ、これは変だぞおかしいぞと思っていると、ひょんなことからお店が仁木悦子の蔵書を買い入れていたことを知り、その本たちは、出版社からの著者献本であったことが判明する。それならば、同じ本が何冊もあるはずだと理解しつつ、これはもしかしたら、いずれは何か貴重な本が出てくるかもしれないと曖昧に確信し、店頭棚に並ぶ仁木悦子本をチェックする日々がスタートしてしまった。あまりのしつこさに、もはやそこで仁木本をチェックするのが日常になってしまい、さすがにもう何も出ないかと諦めかけた頃、ついに思惑通りに『仁木悦子』蔵書印のある本を見つけた時は、清々しいほどの達成感が体中を駆け巡り、ブックハンティングの楽しさを骨の髄まで味わったのである。やはり古本屋さんの店先には、まだ夢が転がっているのだ。

 そういえば古本屋さんについてもっと知りたいがために、一週間だけ神保町のお店に頼み込み、体験バイトをさせてもらったりもした。帳場に座りレジを打ちながら、様々に手を動かし続ける…古本屋と言う仕事は、こんなにも商品としての古本を、作り出し続けなければいけないのかと、とにかく驚嘆することしきり。不器用者にとっては、なかなかツライ作業もあったが、そんな風に新たな面から古本屋に接触し、少しだけお店の見方が変わり始めている予感が、背中をピリッと走っている。

 勝手に始めた古本屋ツアーは、ついに十年目に突入しようとしている。古本屋自体も、私の行動も、それぞれ変化して行くのは否めないほど、長い時間が経過してしまった。それでも楽しいことに変わりはなく、これからも、今の自分なりのやり方で、この魅力ある古本屋世界に思いっきり関わって行くつもりである。今年はその第一弾として、岡崎武志氏と共編著で、マニアック古本屋本の出版を計画している。これは西荻窪「盛林堂書房」から出した「野呂邦暢 古本屋写真集」「岡崎武志×古本屋ツアー・イン・ジャパン 古本屋写真集」の続きとなるが、今までとは違った、ある局地的な古本屋群を調査したものになるであろう。春頃の発売を予定している。それに加え、神保町「@ワンダー」二階の「ブックカフェ二十世紀」で、古本屋さんとのトークを断続的に継続し、古本屋の秘密に迫る企みもある。と言うわけで、とにかく今年も懲りずに、古本屋に溺れまくります!



keihan
『古本屋ツアー・イン・京阪神』 小山力也 著
本の雑誌社刊 定価:1,800円+税  好評発売中!
http://www.webdoku.jp/honzatsu/

小山力也
2008年5月からスタートした、日本全国の古本屋&古本が売っている場所の、全調査踏破を目指す無謀なブログ『古本屋ツアー・イン・ジャパン』管理人。「フォニャルフ」の屋号で古本販売に従事することも。古本屋に関する著書ばかりを出し続けており、それらの出版社や形状は違えど、全部を並べたらいつしか“日本古本屋大全集”となってしまうよう、秘かに画策している。最新刊は本の雑誌社「古本屋ツアー・イン・京阪神」。
http://furuhonya-tour.seesaa.net/

Copyright (c) 2017 東京都古書籍商業協同組合

kashi

『貸本マンガと戦後の風景』

『貸本マンガと戦後の風景』

高野慎三


貸本屋向けに限定されたマンガ単行本がいくつもの出版社から刊行されだしたのは、一九五三年前後だった。ちょうど、朝鮮戦争が休戦になったころであり、まだまだ戦後の混乱から抜け出せてはいなかった。

貸本屋は江戸時代から存在したが、五〇年代後半に東京、大阪の大都市をはじめ、全国津々浦々にまで貸本屋が波及した。一説には二万から三万軒が数えられたというが、それは大量の貸本マンガの出現によるのかもしれない。いちおう出版社を名乗ってはいたが、多くは零細であり、家族とひとりふたりの従業員による経営状態だった。にもかかわらず、それぞれが月に十点、二十点と出版していた。

それらは、出版物というよりも、手塚治虫が揶揄したごとく、「おもちゃ」や「駄菓子」に類する商品と受け取られた。だが、その「おもちゃ」マンガのなかに、戦争、原爆、混血児、被差別部落の問題から、浅沼事件、女工労働者、炭鉱問題と敗戦後の数々の社会的な事象など、大手の少年・少女雑誌がけっして扱わないテーマが並んだ。

どれも陽の当たらない無名のマンガ家たちが自ら切り開いた作品であるが、貸本マンガ全体を見渡すと、戦後の混乱から続いた、無軌道な無政府状態に近かったとみえないこともない。大手マスコミや良識ある文化人によって貸本マンガは排撃されていたけれども、だが、そこには戦後において、最も自由な空間が存在したようにも思える。貸本マンガはわずか十五年ほどの短い存在ではあったが、敗戦後の生活文化の一翼を担ったのは間違いない。
そして、赤塚不二夫もさいとうたかをも白土三平も水木しげるも楳図かずおも、みな貸本マンガの出身者であったことを考えると、貸本マンガのエネルギーの厚みを感じざるを得ない。



kashi
『貸本マンガと戦後の風景』 高野慎三著
  論創社刊 定価:2500円+税 好評発売中
  http://ronso.co.jp/

Copyright (c) 2017 東京都古書籍商業協同組合

no-image

2016年12月26日 第217号

■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■
 。*..*.:☆.:*・日本の古本屋メールマガジン・*:.☆.:*..*。
     。.☆.:* その217・12月26日号 *:.☆. 。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

このメールは「日本の古本屋会員」の方で、メールマガジンの配信
を希望された方にお送りしています。
ご不要な方の解除方法はメール下部をご覧下さい。
【日本の古本屋】は全国930書店参加、データ約600万点掲載
の古書籍データベースです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


☆INDEX☆
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
1.本と町と人をつなぐ雑誌『ヒトハコ』を創刊して 南陀楼綾繁
2.古本のご縁がつなぐ『怪書探訪』    古書山たかし
3.『気がついたらいつも本ばかり読んでいた』 岡崎武志

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

━━━━━━━━【編集長登場シリーズ(17)】━━━━━━━━━

本と町と人をつなぐ雑誌『ヒトハコ』を創刊して


                   編集長:南陀楼綾繁


 11月に『ヒトハコ』という雑誌を創刊した。A5判で80ページ、う
ち16ページがカラーだ。特集は「一箱古本市の楽しみ」で、店主さ
ん、主催者、助っ人さんなどさまざまな立場でこのイベントに関わ
っている人たちの声を集めた。星座占いでベストセラーを出してい
る石井ゆかりさんには、石巻の一箱古本市に毎年参加する理由を書
いていただいている。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3100



サイト http://hitohako-magazine.wixsite.com/hitomag
メールアドレス magazine.hitohako@gmail.com


『ヒトハコ』 編集長:南陀楼綾繁
発行:書肆ヒトハコ  発売:ビレッジプレス
定価:900円+税  好評発売中
http://www.village-press.net/?tid=7&mode=f28



━━━━━━━━━━【自著を語る(175)】━━━━━━━━━━━

古本のご縁がつなぐ『怪書探訪』

                      古書山たかし

『怪書探訪』は名前の通り?いわゆる「本の本」である。
トーマス・マンの署名本の宛先が誰だったのかという追跡劇(とい
う程大げさなもんじゃないですが)に始まり、天下の奇書『醗酵人
間』を自分のためだけに復元製本してしまうマッドサイエンティス
ト型エピソード、18世紀に出版された最も偉大な書籍の一つといわ
れるサミュエル・ジョンソンの辞典をめぐる切ない物語と続き、ネタ
の硬軟は烈しく乱高下する。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3094


『怪書探訪』 古書山たかし著
東洋経済新報社刊 定価:1800円+税 好評発売中!
http://store.toyokeizai.net/books/9784492045954/


━━━━━━━━━━【自著を語る(176)】━━━━━━━━━━━



『気がついたらいつも本ばかり読んでいた』


                      岡崎武志


私の名刺には「書評家」と肩書きを付け、ライターとしての仕事の
中心も、書評や本にまつわる文章が多い。しかし、これまでに書評
のみで一冊、本を作ったことがなかった。売れないからである。川
上弘美、角田光代、小川洋子、堀江敏幸といった実力を備えた人気
作家なら、書評集も著者の個性で売ることができる。しかし、高名
な文芸評論家でも、書評だけを集めた本は出にくくなった。


続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3107

『気がついたらいつも本ばかり読んでいた』 岡崎武志著
原書房刊 定価2700円(本体価格2500円) 好評発売中!
http://www.harashobo.co.jp/



━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━━

 「2016年の古ツアをふり返る」(仮題) 
   古本屋ツアーインジャパン 小山力也
    http://furuhonya-tour.seesaa.net/

 『貸本マンガと戦後の風景』 高野慎三著
  論創社刊 定価:2500円+税 好評発売中
  http://ronso.co.jp/


 『花森安治装釘集成』
  唐澤平吉・南陀楼綾繁・林哲夫編 みずのわ出版刊 
  定価:8000円+税 好評発売中
  http://d.hatena.ne.jp/mizunowa/


━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━


12月~1月の即売展情報

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


見逃したメールマガジンはここからチェック!
 【バックナンバーコーナー】
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_category.php?catid=19

┌─────────────────────────┐
 次回は2017年1月中旬頃発行です。お楽しみに!
└─────────────────────────┘


*☆ 本を売るときは、全古書連加盟の全国の古書店に ☆*
全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,200店加盟)の略称です

https://www.kosho.or.jp/buyer/list.php?mode=from_banner

==============================


日本の古本屋メールマガジンその217 2016.12.26

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:小野祥之
編集長:藤原栄志郎


============================

no-image

2016年12月10日 第216号

■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■
 。*..*.:☆.:*・日本の古本屋メールマガジン・*:.☆.:*..*。
        古書市&古本まつり 第46号
     。.☆.:* 通巻216・12月9日号 *:.☆. 。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジンは、毎月2回の配信になりました!

初旬に(10日前後)全国で開催されている古本展示即売会など、
イベント情報をお送りします。お近くで開催される際は、ぜひ
お出掛けください。
次回メールマガジンは12月下旬に発行です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このメールは「日本の古本屋会員」の方で、メールマガジンの配信
を希望された方にお送りしています。
ご不要な方の解除方法はメール下部をご覧下さい。
【日本の古本屋】は全国930書店参加、データ約630万点掲載
の古書籍データベースです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━【12月10日~1月20日までの全国即売展情報】━━━━━

⇒ https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

吉祥寺パルコ・アートブックバザール 

期間:2016/12/03~2016/12/25
場所:吉祥寺パルコ 7階特設会場 
   武蔵野市吉祥寺本町1-5-1

--------------------------
浅草エキミセ古本市

期間:2016/12/07~2016/12/13
場所:浅草駅ビル「エキミセ」自動ドア前・東武トップツアーズ前  
   台東区花川戸1-4-1

--------------------------
歳末赤札古本市

期間:2016/12/08~2016/12/11
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9  

--------------------------
浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2016/12/08~2016/12/11
場所:JR浦和駅西口さくら草通り 徒歩5分マツモトキヨシ前

--------------------------
倉庫会 (名古屋)

期間:2016/12/16~2016/12/18
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田5-1-12

--------------------------
新興古書大即売展

期間:2016/12/16~2016/12/17
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

--------------------------
五反田古書展

期間:2016/12/16~2016/12/17  
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4

--------------------------
2016 全大阪古書ブックフェア(大阪府)

期間:2016/12/16~2016/12/18
場所:大阪古書会館 大阪市中央区粉川町4-1

--------------------------
有隣堂イセザキ本店チャリティー・ワゴンセール(神奈川)

期間:2016/12/17~2017/01/09
場所:有隣堂伊勢佐木町本店 横浜市中区伊勢佐木町1-4-1

--------------------------
新宿古書展

期間:2016/12/18~2016/12/19
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
   ※初日18日(日)は11時開場です。

--------------------------
本の楽市

期間:2016/12/21~2016/12/25
場所:座・高円寺エントランスホール 杉並区高円寺北2-1-2

--------------------------
ぐろりや会

期間:2016/12/23~2016/12/24  
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

--------------------------
好書会

期間:2016/12/24~2016/12/25
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

--------------------------
2016 阪神歳末古書ノ市(大阪府)

期間:2016/12/26~2016/12/30
場所:阪神梅田本店 8階催場 大阪市北区梅田1-13-13

--------------------------
年末古本市(千葉県)  

期間:2016/12/27~2016/12/30
場所:伊勢丹松戸店 本館10階催物場
   松戸市松戸1307-1

--------------------------
第16回 紙屋町シャレオ古本まつり(広島県)

期間:2016/12/29~2017/01/07
場所:紙屋町シャレオ 広島市中区基町地下街100号

--------------------------
立川フロム古書市

期間:2017/01/05~2017/01/22
場所:立川フロム中武 3Fバッシュルーム 
   東京都立川市曙町2-11-2号 

--------------------------
下町書友会

期間:2017/01/06~2017/01/07
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

--------------------------
杉並書友会

期間:2017/01/07~2017/01/08
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

--------------------------
第29回 古本浪漫洲 Part1

期間:2017/01/12~2017/01/15
場所:新宿サブナード2丁目広場

--------------------------
東京愛書会

期間:2017/01/13~2017/01/14  
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

--------------------------
大均一祭

期間:2017/01/14~2017/01/15  
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

--------------------------
第29回 古本浪漫洲 Part2

期間:2017/01/16~2017/01/19
場所:新宿サブナード2丁目広場

--------------------------
第33回 銀座古書の市

期間:2017/01/18~2017/01/23
場所:松屋銀座8階イベントスクエア 中央区銀座3-6-1

--------------------------
さんちか古書大即売会(兵庫県)

期間:2017/01/19~2017/01/24
場所:神戸三宮さんちか3番街 さんちか大ホール

--------------------------
第29回 古本浪漫洲 Part3

期間:2017/01/20~2017/01/23
場所:新宿サブナード2丁目広場

--------------------------
趣味の古書展

期間:2017/01/20~2017/01/21
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

見逃したメールマガジンはここからチェック!
 【バックナンバーコーナー】

https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_category.php?catid=2

┌─────────────────────────┐
 次回は2016年12月下旬頃発行です。お楽しみに!
└─────────────────────────┘

*゜*.:*☆ 本を売るときは、全古書連加盟の古書店で ☆*.:*゜*
全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,200店加盟)の略称です

https://www.kosho.or.jp/buyer/list.php?mode=from_banner

==============================

日本の古本屋メールマガジンその216 2016.12.9

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:小野 祥之

==============================

kaisyo

古本のご縁がつなぐ『怪書探訪』

古本のご縁がつなぐ『怪書探訪』

古書山たかし

『怪書探訪』は名前の通り?いわゆる「本の本」である。
トーマス・マンの署名本の宛先が誰だったのかという追跡劇(という程大げさなもんじゃないですが)に始まり、天下の奇書『醗酵人間』を自分のためだけに復元製本してしまうマッドサイエンティスト型エピソード、18世紀に出版された最も偉大な書籍の一つといわれるサミュエル・ジョンソンの辞典をめぐる切ない物語と続き、ネタの硬軟は烈しく乱高下する。

それ以降も一貫性のなさだけは一貫し、昭和20年代に書かれた、頭脳を持った殺人箪笥が暴れまわるというトンデモない内容の少年探偵小説のレビューとその意外な元ネタ、ハンターさんが書いたハンター(狩猟家)の本、バッハの偉大な傑作『マタイ受難曲』の最高の演奏が行われた背景に迫ったマンガの紹介、尾崎紅葉が熱筆描破した桃太郎暗殺計画、井上靖の雪男小説、哲学者カントのエスパー対決記、満州帝国にて日本語で刊行された探偵小説について、おなら名人の愉快なエピソードなど、全部で30編の多彩な(より正確にはとりとめもない)方向性の古書エッセイから構成されている。

三十年以上の蒐書活動の中で、色々なご縁に恵まれ、珍しい本・変わった本に巡りあうことが出来たとはいえ、私はただの本好きシロートに過ぎない。それが偶然のご縁から、東洋経済オンラインという真面目なサイトに、半年ほど不真面目な古本エッセイ「稀珍快著探訪」を連載することとなり、それがたまたま同社出版部門の御意に召し、単行本として出版されてしまうにいたった。この「ご縁」の連鎖に、著者である私自身が一番驚いているのである。

しかし思えば、『怪書探訪』で取り上げた珍しい書籍・ヘンテコな書籍は全て、偶然のように見えて必然的なご縁で私の手元に集まってきたものばかり。してみると、私がヘンテコな本に出会ってヘンテコな古本コレクターとなり、ヘンテコな連載をした挙句にヘンテコな本を出してしまったこのヘンテコなご縁は、すべて古本の神様の配剤といえるような気もしてくるのである。願わくは、このご縁が『怪書探訪』を読んでくださる皆様にも伝わり、皆様が知らなかった本との新たなご縁の一助となりますように。

私は私で、自分を待っているであろう新たなご縁(怪縁?奇縁?)を求め、今日も古本屋に赴くのである。



kaisyo
怪書探訪 古書山たかし著
東洋経済新報社刊 定価:1800円+税 好評発売中!
http://store.toyokeizai.net/books/9784492045954/

Copyright (c) 2016 東京都古書籍商業協同組合

hako

本と町と人をつなぐ雑誌『ヒトハコ』を創刊して

本と町と人をつなぐ雑誌『ヒトハコ』を創刊して

南陀楼綾繁


 11月に『ヒトハコ』という雑誌を創刊した。A5判で80ページ、うち16ページがカラーだ。特集は「一箱古本市の楽しみ」で、店主さん、主催者、助っ人さんなどさまざまな立場でこのイベントに関わっている人たちの声を集めた。星座占いでベストセラーを出している石井ゆかりさんには、石巻の一箱古本市に毎年参加する理由を書いていただいている。

 そのほか、私小説好きのミュージシャン・世田谷ピンポンズのエッセイ、富山の〈ひらすま書房〉、熊本の〈古書汽水社〉の開店までの手記、京都府の長岡天神で開催されている「天神さんで一箱古本市」の徹底レポート、ブックイベントをめぐるメール対話、長野と佐賀で生まれた「本のある宿」のことなど、すべてのページが「本」に関する記事で埋まっている。

 2005年に私たちが谷中・根津・千駄木で「不忍ブックストリートの一箱古本市」をはじめてから10年以上が経ち、全国各地に広がった。本誌巻末に載せたリストによれば、今年1~8月だけでのべ80か所以上で開催されている。そこで、ブックイベントが開催されている町や、そこに関わる人や店のことを紹介する雑誌をつくりたいと考えた。

 私ひとりがアイデアを出すのでは面白くないと、創刊号では盛岡、富山、京都、高松、鹿児島に住む5人に「地域編集者」になってもらった。彼らと私のプランをもとに、企画を固めていった。この地域編集者は次号では別の地域に住む5人にチェンジするので、毎回異なる地域が登場することになる。

 発行してから1か月半。発行直後から反応がよく、書店でもブックイベントでも売れている。発売元のビレッジプレスでも在庫がなくなったため、増刷することになったのは、まったくの予想外だった。地域編集者や執筆者に古本屋、雑貨店などの店舗を営む人が多く、熱心に売ってくれたことも大きい。

 創刊記念として、年内に西日本(高松、倉敷、福岡、熊本)、北陸(金沢、富山、新潟)、西日本(大阪、京都、兵庫)、北海道(札幌、千歳、知床)を回る私のトークツアーも開催した。雑誌を売るためでもあるが、同時に、次号に関わる人や、取り上げたいネタを探す旅でもある。すでに何人か登場してほしい人が見つかっている。

 読書は孤独な営為だが、その体験を共有したいという欲求も人にはある。『ヒトハコ』は、この二つをともに大事にする雑誌でありたい。次号は、ブックイベントのシーズンである来年春に出すつもりだ。こんな人、こんなテーマを取り上げてほしいという声を、編集部までぜひ寄せてください。

サイト http://hitohako-magazine.wixsite.com/hitomag
メールアドレス magazine.hitohako@gmail.com

 



hako
『ヒトハコ』 編集長:南陀楼綾繁
発行:書肆ヒトハコ  発売:ビレッジプレス
定価:900円+税  好評発売中
http://www.village-press.net/?tid=7&mode=f28

Copyright (c) 2016 東京都古書籍商業協同組合

honbakari

『気が付いたら本ばかり読んでいた』

『気がついたらいつも本ばかり読んでいた』

岡崎武志


 私の名刺には「書評家」と肩書きを付け、ライターとしての仕事の中心も、書評や本にまつわる文章が多い。しかし、これまでに書評のみで一冊、本を作ったことがなかった。売れないからである。川上弘美、角田光代、小川洋子、堀江敏幸といった実力を備えた人気作家なら、書評集も著者の個性で売ることができる。しかし、高名な文芸評論家でも、書評だけを集めた本は出にくくなった。

 私も仕事の中心としながら、書評が本にまとまることはあきらめていた。ところが、拾う神がいて、本にまとめましょう、と言うのである。しかも、書評以外の雑多なジャンルの文章も一緒にして、ヴァラエティブックにしようという申し出だ。ありがたいことだと思った。

「ヴァラエティブック」というのは、一九七一年に晶文社から出た植草甚一『ワンダー植草・甚一ランド』をその嚆矢とする、書籍のスタイルを指す。通常、一段、および二段組で、テキストを流し込むところを、一段、二段、三段、四段と違う組み方で、評論、エッセイ、コラム、対談あるいはビジュアルページを雑多に編集、構成。まるで雑誌みたいな単行本のことで、小林信彦、双葉十三郎、筒井康隆などが、晶文社で同様のスタイルの本を出していた。七〇年代に本読みとして青春を送った我々は、この自由な本の作り方に憧れ、大いに感化されたのである。

 のち坪内祐三、小西康陽各氏が同様のヴァラエティブックを作り、その喜びをあとがきに書き付けた。私も『雑談王』と名付けて、二〇〇八年に晶文社からヴァラエティブックを作ったことがあった。うれしかった。今回は二度目となるが、前回より、もっと自在に、果敢に「バラエティ」色を出すことにした。大ぶりのA五判、ハードカバーという点も、晶文社ヴァラエティブックへのオマージュである。

 メインとなる書評は、これまで掲載記事をスクラップしてきたものを二十数冊、担当編集者に預け、そこから、今読んで、読みものとして成立しているものを選んでもらった。それだけでは書評集になってしまう。そこで「ヴァラエティ」色を出すためにしたことは、ほぼ毎日、十年以上更新し続けているブログ「okatakeの日記」から、使えそうなネタを拾って、加筆、修正してコラムに仕立てることにした。

 扱うジャンルは、読書、音楽、テレビ、芸能、映画、散歩、古本、飲食など幅広く、書評だけでは見えない、岡崎武志という人間の関心や趣味の総体をこれで開陳することになった。そこに挟み込むイラストも60点以上、自分で描き下ろした。そのほか、撮りだめた古本屋写真、スナップなども随所に織り込み、全体に賑やかな印象の本になったと思う。これには編集者とデザイナーの力が働くところが大きい。私はほとんど素材を用意しただけ。平面を立体にしたのは彼らの力であった。

 ゲラを読みつつ気がついたのは、取材した人、知り合った人の訃報を聞き、それについて多く筆を費やしていることだ。中川六平、田村治芳、森田芳光、三国連太郎、秋山駿、丸谷才一、市川森一、それに八木福次郎といった方々である。つまり、それだけ自分も年を取ったということであろう。神戸・海文堂、神保町・書肆アクセス、鷹の台・松明堂は書店の消滅。これも嘆きながらありし日の思いを記録として留めた。

 古本、古本屋に関しても、もちろんあちこちに書き付けていて、なるべく収録するようにした。「昭和五年の日記」は、古本市で求めた本郷あたりに下宿する帝大生の肉筆日記。途中でページが無惨に破り取られていた。左翼運動に加わっていたようで、その後が心配だ。古本で買い直した高野悦子『二十歳の原点』では、カバーデザインが杉浦康平だと気づき、また一九六九年の記述に「傘がない」を発見、井上陽水「傘がない」を引っ張り出して、奇妙な類縁を指摘した。小林桂樹主演の映画『風流交番日記』(一九五五年)を観たあと、蔵書の山から偶然、その原作本を見つけ「へえ、持ってたんだ」と気づいたというバカバカしい話もある。葛飾区に「恋する毛髪研究所」なる理髪店を見つけ、近頃増えた奇抜異色な古本屋の店名に、「恋する古本屋」が加わればいい、といったどうでもいい話まで……。

 というわけで、どこから開いても、何かしら読者の興味を引くような話題が見つけられるはず。まとまりはないが、岡崎武志というおもちゃ箱をひっくり返したような雑多さと、祝祭的であるのが本書の取り柄らしい。カラフルな色彩のカバーは、目移りする中身をよく表していると思う。これまで編著を含め、岡崎武志と名のつく本を三十冊は出してきたが、じつは『気がついたら本ばかり読んでいた』は、ちょっとした自信作なのである。



honbakari
気がついたらいつも本ばかり読んでいた 岡崎武志著
原書房刊 定価2700円(本体価格2500円) 好評発売中!
http://www.harashobo.co.jp/

Copyright (c) 2016 東京都古書籍商業協同組合

Just another WordPress site