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2016年11月25日 第215号

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     。.☆.:* その215・11月25日号 *:.☆. 。
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☆INDEX☆
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1.『本の文化史 1巻 読者と読書』『4巻 出版と流通』横田冬彦
2.『大阪「映画」事始め』             武部好伸
3.「武士と印刷」展を開催しています
                印刷博物館学芸員 川井昌太郎

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━━━━━━━━━━【自著を語る(173)】━━━━━━━━━━

シリーズ〈本の文化史〉4 『出版と流通』


                      横田 冬彦


 この「本の文化史」シリーズ、第一期分6巻のうち、私は1巻と4巻
の編集を担当した。先月出たのは4巻だが、1巻目も合せて書かせて
いただく。2巻・3巻については、鈴木俊幸さん・若尾政希さんの文
章(本誌186・193号)を参照してほしい。
 出版社側の編集担当は平凡社の保科孝夫さんである。保科さんの
書く本の帯は簡にして要を得、編者の気持ちをとてもうまく表して
いる。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3070


シリーズ〈本の文化史〉4 『出版と流通』 横田 冬彦 編
平凡社刊 本体:3,200円+税 好評発売中!

http://www.heibonsha.co.jp/book/b227300.html



━━━━━━━━━━【自著を語る(174)】━━━━━━━━━━━

『大阪「映画」事始め』


                         武部好伸

 生粋の浪花っ子で、映画大好き人間。ならば、大阪と映画を絡め
た本を書こうと2000年、大阪を舞台にした、あるいは大阪人を主人
公にした映画作品をエッセー風に綴った『ぜんぶ大阪の映画やねん』
(平凡社)を上梓しました。それまで類書がなく、結構、話題にな
ったのですが、現在、絶版になっています。



続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3068


『大阪「映画」事始め』 武部 好伸 著
彩流社刊 定価:1,800円+税 好評発売中!

http://www.sairyusha.co.jp/bd/isbn978-4-7791-7077-5.html


━━━━━━━━━━【学芸員登場シリーズ】━━━━━━━━━

「武士と印刷」展を開催しています


                印刷博物館学芸員 川井昌太郎



武士の展覧会といえば、現在大人気の日本刀などの展示がおなじみ
ではないでしょうか。しかし意外なことに、没後400年を迎えた徳川
家康をはじめ、武将・将軍・藩主のなかには、印刷物を作らせた人
たちがいます。その数は100人以上にのぼります。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3064


印刷博物館 【企画展示】 武士と印刷
会 期:2016年10月22日(土)~2017年1月15日(日)
休館日:毎週月曜日
開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
その他詳細はホームページまで
http://www.printing-museum.org/exhibition/temporary/161022/index.html



━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━━


『ヒトハコ』 編集長:南陀楼綾繁
書肆ヒトハコ  発売:ビレッジプレス
定価:900円+税  好評発売中
http://www.village-press.net/?tid=7&mode=f28


怪書探訪 古書山たかし著
東洋経済新報社刊 定価:1800円+税 好評発売中!
http://store.toyokeizai.net/books/9784492045954/


━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━


11月~12月の即売展情報


https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init


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日本の古本屋メールマガジンその215 2016.11.25

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:小野祥之
編集長:藤原栄志郎


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2016年11月10日 第214号

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        古書市&古本まつり 第45号
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━━━━━【11月10日~12月15日までの全国即売展情報】━━━━━

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新橋古本まつり 

期間:2016/11/07~2016/11/12
場所:新橋駅前 SL広場

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BOOK & A(ブック&エー)

期間:2016/11/10~2016/11/13
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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趣味の古書展

期間:2016/11/11~2016/11/12
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2016/11/12~2016/11/14
場所:JR浦和駅西口さくら草通り 徒歩5分マツモトキヨシ前

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第22回 青空古本掘出市

期間:2016/11/14~2016/11/19
場所:早稲田大学10号館前(大隈像裏の広場) 
新宿区西早稲田1-6-1

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浅草エキミセ古本市

期間:2016/11/16~2016/11/22
場所:浅草駅ビル「エキミセ」自動ドア前・東武トップツアーズ前  
台東区花川戸1-4-1

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第2回 入間ペペ古本まつり(埼玉県)

期間:2016/11/16~2016/11/25
場所:西武入間ペペ1F(西武池袋線 入間市駅下車)

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名鯱会 (名古屋)

期間:2016/11/18~2016/11/20
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田5-1-12

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つちうら古書倶楽部の大古本まつり(茨城県)

期間:2016/11/18~2016/11/27
場所:土浦市大和町2-1 つちうら古書倶楽部

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第10回 東京蚤の市

期間:2016/11/19~2016/11/20
場所:東京オーヴァル京王閣
東京都調布市多摩川4-31-1
入場料:500円(小学生までは無料)
URL:http://tokyonominoichi.com/2016_autumn/

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第78回シンフォニー古本まつり(岡山県)

期間:2016/11/23~2016/11/28
場所:岡山シンフォニービル1F  自由空間ガレリア

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浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2016/11/24~2016/11/27
場所:JR浦和駅西口さくら草通り 徒歩5分マツモトキヨシ前

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和洋会古書展

期間:2016/11/25~2016/11/26
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 

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第29回 新宿西口古本まつり

期間:2016/11/25~2016/11/30
場所:新宿駅西口地下 JR・私鉄各線改札口より徒歩30秒
   東京都交通広場

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中央線古書展

期間:2016/11/26~2016/11/27
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9  

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五反田遊古会

期間:2016/11/25~2016/11/26
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4

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第80回 彩の国所沢古本まつり(埼玉県)

期間:2016/11/30~2016/12/06
場所:くすのきホール 西武線所沢駅東口 西武第二ビル8F
   埼玉県所沢市くすのき台1-11
URL:http://furuhon.wixsite.com/tokorozawafuruhon

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書窓会(通称マド展)

期間:2016/12/02~2016/12/03
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 

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西部古書展

期間:2016/12/02~2016/12/04
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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浅草エキミセ古本市

期間:2016/12/07~2016/12/13
場所:浅草駅ビル「エキミセ」自動ドア前・東武トップツアーズ前  
   台東区花川戸1-4-

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歳末赤札古本市

期間:2016/12/08~2016/12/11
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2016/12/08~2016/12/11
場所:JR浦和駅西口さくら草通り 徒歩5分マツモトキヨシ前

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日本の古本屋メールマガジンその214 2016.11.10

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:小野 祥之

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osaka

『大阪「映画」事始め』

『大阪「映画」事始め』

武部好伸

 生粋の浪花っ子で、映画大好き人間。ならば、大阪と映画を絡めた本を書こうと2000年、大阪を舞台にした、あるいは大阪人を主人公にした映画作品をエッセー風に綴った『ぜんぶ大阪の映画やねん』(平凡社)を上梓しました。それまで類書がなく、結構、話題になったのですが、現在、絶版になっています。

その第二弾的な読み物が本書です。前作と同じようにソフト(映画作品)で斬るのは芸がないと思い、歴史的に迫りました。京都の実業家、稲畑勝太郎がフランスから引っさげてきた映写機シネマトグラフが明治30(1897)年2月初旬、京都で試写を行ったあと、大阪・南地演舞場で全国に先がけて一般公開されました。つまり2017年が映画興行の120周年に当たります。その節目の年を見据え、映画がいかにして日本に導入されたのかをしっかり把握せねばならないと思い、映画史を徹底的に再検証しました。

その過程で、もうひとつの映写機ヴァイタスコープをアメリカのエジソンに直談判して購入した大阪・心斎橋の舶来品輸入商、荒木和一の存在がにわかに浮上してきたのです。この人、映画史ではほとんど注目されていません。そういう日陰的な人物にすごく興味を引かれ、連日、図書館にこもって資料・文献と格闘しているうち、明治29(1986)年12月、大阪の難波にあった鉄工所で、ヴァイタスコープの試写を行ったと記した荒木の回想録と回顧談を複数、見つけることができました。

定説では稲畑によるシネマトグラフの試写が行われた京都が日本における映画発祥地とされています。ぼくもそれを鵜呑みにしていました。しかし、「あれっ、これって大阪の方が早いんちゃう?」となったわけです。ということは、今年12月が正真正銘、映画渡来120周年!? それを知ったとき、体が震えました。元新聞記者とあって、まさにスクープをものにしたときと同じ感覚でした。

これまで映画史は東京と京都の視線で捉えられてきましたが、あえて誰もやらなかった大阪からのアプローチによって埋もれていた「事実」を発掘することができました。本書ではこの姿勢を貫き、全編にわたり、大阪が映画と濃密な関わりがあったことを浮き彫りにしています。100年前の大正5(1916)年、ユニヴァーサル・スタジオが大阪市内の某所に存在していたこと、戦前に映画会社や撮影所が各地にあったこと……。
何はともあれ、「記録」として残せることができたのがうれしいです。ご縁ができた荒木和一をもっと掘り下げてみたいという衝動に今、駆られています。



osaka
『大阪「映画」事始め』 武部 好伸 著
彩流社刊 定価:1,800円+税 好評発売中!
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yokota

『本の文化史 1巻 読者と読書』『4巻 出版と流通』

『本の文化史 1巻 読者と読書』『4巻 出版と流通』

横田冬彦

 この「本の文化史」シリーズ、第一期分6巻のうち、私は1巻と4巻の編集を担当した。先月出たのは4巻だが、1巻目も合せて書かせていただく。2巻・3巻については、鈴木俊幸さん・若尾政希さんの文章(本誌186・193号)を参照してほしい。
 出版社側の編集担当は平凡社の保科孝夫さんである。保科さんの書く本の帯は簡にして要を得、編者の気持ちをとてもうまく表している。


1巻『読者と読書』――生きるために本を読む時代 /より多くの実りを求め、信のよすがに、新しい交流のため、また家の維持や地域の安寧のため、命を救うため、暮らしを支える知や経験のために、この国で、男や女やさまざまな業を営む人びとが、書籍に向かい読者となった時代、そのありようを多角的に描く。


4巻『出版と流通』――だれが、なぜ、どんな仕組みで、本をつくり、弘めるのか/利を求めて、教えを正し弘めるために、組織と支配を固めるために、国民を創り出す教育をめざして、本屋が、教団が、本所が、学派が、国家が、刷るばかりでなく写して、売るだけでなく貸して、本を弘める。そこにどんな仕組みが、どんな変化が、どんな規模が働いているか。近世から近代へ、書物の動態。


 二つの帯に共通するキーワードは「~のために」である。何のために読むのか、何のために本を作るのか。誰が何をという問いにも、様々な身分や職業の人びと、様々なレベルの集団や組織、様々な分野の書物と目配りはしているが、核心的な問いは、なぜ・何のためにという人びとの思いである。それは、本があまり売れなくなったといわれる現代において、なぜ読むのか、なぜ本なのかという問いが、もっとも切実だからである。


 情報や知識を得るためであれば、インターネットの方が手っ取り早い。しかし、なぜそうなのかという問いには、割り切れば一言で済むとしても、実際は複雑で丁寧に語る必要のあることが多い。複雑な内容は、読む側にさまざまな理解や疑問をよびおこし、読者の頭のなかで作者との対話がはじまる。つまり、問いをたてながら、考えながら読むことになる。


 日本の近世=江戸時代は、貴族階級や僧侶だけでなく、ふつうの人びとが本を読み始めた時代である。ものごとを、そして時代や社会を、少し複雑に「考える」ようになったのである。そこにもいくつかの波があったが、歴史を顧みれば、そうした波を経ることで、ふつうの人びとの考える力が育くまれてきたことがわかる。


 昨今イギリスでもアメリカでも、ものごとを単純に割り切って、扇動的に説明するやり方が政治を左右しているように見える。しかし、それでよかったのかという問いもまた立てられている。そこに本をめぐる、次の波への期待もある。この時代を少し複雑なこととして自分の頭で考える「ために」、本の役割が求められている。


 1巻――総論・読者と読書(横田)、1・江戸時代の公家と読書(佐竹朋子)、2・武家役人と狂歌サークル(高橋章則)、3・村役人と編纂物(工藤航平)、4・在村医の形成と蔵書(山中浩之)、5・農書と農民(横田)、6・仏書と僧侶・信徒(引野亨輔)、7・近世後期女性の読書と蔵書について(青木美智男)、8・地域イメージの定着と日用教科書(鍛冶宏介)、9・明治期家相見の活動と家相書(宮内貴久)


4巻――総論・出版と流通(横田)、1・三都の本屋仲間(藤實久美子)、2・地方城下町の本屋(陶山高明)、3・「暦占書」の出版と流通(梅田千尋)、4・仏書・経典の出版と教団(万波寿子)、5・平田国学と書物・出版(吉田麻子)、6・地図・絵図の出版と政治文化の変容(杉本史子)、7・明治初期の学校と教科書出版(稲岡勝)、8・近代の貸本屋(浅岡邦雄)、9・近世出版文化の統計学的研究(松田泰代)



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シリーズ〈本の文化史〉4 『出版と流通』 横田 冬彦 編
平凡社刊 本体:3,200円+税 好評発売中!
http://www.heibonsha.co.jp/book/b227300.html


dokusho
シリーズ〈本の文化史〉1 『読書と読者』 横田 冬彦 編
平凡社刊 本体:2,800円+税 好評発売中!
http://www.heibonsha.co.jp/book/b185096.html


Copyright (c) 2016 東京都古書籍商業協同組合

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「武士と印刷」展を開催しています

「武士と印刷」展を開催しています

印刷博物館学芸員 川井昌太郎

武士の展覧会といえば、現在大人気の日本刀などの展示がおなじみではないでしょうか。しかし意外なことに、没後400年を迎えた徳川家康をはじめ、武将・将軍・藩主のなかには、印刷物を作らせた人たちがいます。その数は100人以上にのぼります。

家康は戦国時代に生まれましたが、戦国三大文化とよばれる大内氏、朝倉氏、今川氏のもとでは、印刷が行われていました。大内版の法華経版木、朝倉版の八十一難経版木、今川版の歴代序略版木は、文化活動に積極的だった戦国大名がいたことを示しています。
そして家康は、いわゆる伏見版、駿河版とよばれる印刷物を9点作らせています。なかでも伏見版『貞観政要』や駿河版『群書治要』は、唐代に著された政治参考書です。戦国時代を終わらせた家康は、これからは武断ではなく文治で、武士の「知」から作り上げた法律や教育によって、国を治めようとしていたのではないでしょうか。

また家康と同時代に印刷をさせた武士といえば、豊臣秀頼と直江兼続です。秀頼版『帝鑑図説』は帝王学の教科書の一つです。秀頼は天下を狙っているのかと思わせる印刷本です。直江版『文選』は中国を代表する詩文集です。日本への伝来は早く、『万葉集』や『日本書紀』にも影響を与えましたが、ついに印刷本として刊行されました。
家康に続き印刷に関わった将軍は、徳川家光です。家光が援助して、天海版木活字が作られ、『天海版一切経』が刊行されました。そして家光の遺言を守り、若き四代将軍家綱を補佐した会津藩の保科正之は、『二程治教録』『伊洛三子伝心録』『玉山講義附録』のいわゆる会津三部書を刊行しています。

正之と同時代の水戸藩主・徳川光圀は、『史記』に感動し、日本でも紀伝体の歴史書を作りたいと修史事業を開始しました。それは光圀の死後も続けられ、ついに『大日本史』が完成しました。江戸時代を通して、光圀は最も多くの印刷物を作らせた「印刷藩主」です。
この後、明治時代に至るまで、武士たちの印刷は続きました。展覧会では上記で取り上げた印刷物を含めて、160点以上の資料を展示しています。

一方で、江戸時代の庶民には浮世絵とよばれる印刷物が人気で、特に歌川国芳が登場してからは、武者絵が話題となりました。躍動感に溢れ、迫力いっぱいの国芳の武者絵に描かれた武士は、源義経、武田信玄、四十七士などが多く、印刷をさせた武士たちではありません。「摺られた武士」と「刷らせた武士」が違うということは興味深い点です。洋画家・悳俊彦氏からお借りした国芳の武者絵も150点以上展示しています(会期中に展示替えを行います)。是非展覧会にお越し頂きたくお願い申し上げます。



bushi
印刷博物館 【企画展示】 武士と印刷
会 期:2016年10月22日(土)~2017年1月15日(日)
休館日:毎週月曜日
開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
その他詳細はホームページまで
http://www.printing-museum.org/exhibition/temporary/161022/index.html

Copyright (c) 2016 東京都古書籍商業協同組合

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2016年10月25日 第213号

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     。.☆.:* その213・10月25日号 *:.☆. 。
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の古書籍データベースです。

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☆INDEX☆
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1.エトランジェとして捉えた西の古本屋
古本屋ツーリスト 小山力也

2.天才編集者花森安治のもとで薫陶を受けた日々をふり返る
                      北村正之
3.日本文化を愛した男たち      映画監督 金髙謙二

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━━━━━━━━━━【自著を語る(172)】━━━━━━━━━━

エトランジェとして捉えた西の古本屋


               古本屋ツーリスト 小山力也


 関西の古本屋さんをレポートした本を、いつの間にか制作するこ
とになっていた。去年の秋に出した「古本屋ツアー・イン・首都圏
沿線」を作っている途中から、色々な人に「じゃあ次は関西編です
ね」などと勝手気ままに言われていたのが、なし崩しに現実のもの
となってしまったのである。瞬間、また古本屋さんの本を出せるな
んて!と大いに喜ぶが、ある恐るべきことに気付いてしまい、たち
まち私の貧弱な肝は、氷のように冷えてしまった...。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=2967


『古本屋ツアー・イン・京阪神』 小山力也 著
本の雑誌社刊 定価:1,800円+税  好評発売中!
http://www.webdoku.jp/honzatsu/



━━━━━━━━━━【自著を語る番外編】━━━━━━━━━━━



天才編集者花森安治のもとで薫陶を受けた日々をふり返る


                         北村正之



 天才編集者花森安治のもとで働くという体験をした、私(1969年入社)
と先輩の河津一哉さん(1957年入社)が、このたび、小田光雄さんの
インタビューを受け、希代の人物とすごした月日をふりかえることに
なった。
二人の入社事情から、『暮しの手帖』の発行部数の推移、書店との
関係、花森編集フォーマット、花森の思想としての暮しの手帖、花
森安治と商品テスト、東京消防庁との「水かけ論争」、編集会議の
こと、花森の死、、、われわれ二人は、小田さんの質問を受けなが
ら、じっさいに見聞きした花森編集長時代を思いだすままに語った。



続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=2965


『「暮しの手帖」と花森安治の素顔』河津一哉・北村 正之 著
論創社刊 定価:1,728円(税込) 好評発売中!
http://ronso.co.jp/

━━━━━━━━━━【自著を語る番外編】━━━━━━━━━━━

 日本文化を愛した男たち


                    映画監督 金髙謙二


 今年の2月、企業VPのためインドへ撮影に行った。うだる暑さの中、
オールドデリーの町中をリキシャに揺られ、カメラを回していると、
目に飛び込んできたのが、ずらりと並んだ本。本屋だった。それも相
当数の店が軒を並べている。行けども行けども、両側に並ぶ本屋。時
間がなかったので、リキシャを降りて、一軒一軒見ることはできなか
ったが、運転手の話では、分野の違う色々な本があるということだっ
た。



続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=2984


『ドキュメンタリー映画 ウォーナーの謎のリスト』
金高謙二 監督
シネマボックス株式会社 http://www.cinemabox.jp/


●神保町シアター 10月29日(土)~11月4日(金)
http://www.shogakukan.co.jp/jinbocho-theater/


●東京都写真美術館ホール 11月5日(土)~11月13日(日)
https://topmuseum.jp/


━━━━━━━━【第57回東京名物神田古本まつり】━━━━━━



○青空古本市
 年に一度の大バーゲン!一年に一度、100万冊の大バーゲン!
 靖国通りの歩道に、書店と書棚に囲まれた約500mにおよぶ
 「本の回廊」 が出現します。
 [日 時] 10月28日(金)~11月6日(日)
      10:00~19:00(最終日は18時終了。雨天中止)
 [会 場] 神田神保町古書店街
     (靖国通り沿い・神田神保町交差点・他)


○特選古書即売展
 神保町の有力古書店有志による、展示即売会。
 [日 時] 10月28日(金)~10月30(日)
      10:00~18:00(最終日~17:00)
 [会 場] 東京古書会館 地下ホール
  ★28~30日・古書会館 2 階情報コーナー にて、
  「本の街文化遺産・稀少書展示会」を併催致します。
   地下ホールの特選古書即売展にあわせて博物館や美術館で
   しか見られないような、希少書籍の数々をご覧頂けます。
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=2903


他にもイベント盛りだくさん!
詳しくはホームページをご覧ください。
  http://jimbou.info/news/furuhon_fes_index.html


━━━━━━━━【神奈川古書組合イベントお知らせ】━━━━━━


来る11月5日・6日に横浜反町 神奈川古書会館において、
古書の日のイベントを開催させていただく事となりました。
古書販売としては両日、5日(土)には古書店主のトークショー
を開催いたします。


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古書店主によるトークショー
「なぜ我々は古本屋になったのか」
開催日:2016年11月5日(土)14:00~15:30頃 ※入場無料
場所:反町古書会館2階(横浜市神奈川区反町2丁目16-10)
登壇予定書店:文雅新泉堂・公文堂書店・古書 馬燈書房・香博堂オンライン、
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神奈川古書組合会館展ブログ
http://kanagawakosyoclub.blogspot.jp/

また、古本の即売会を売り上げの一部と出店者様からの寄付を募り、
熊本地震の被災地への寄付とさせていただく予定です。



━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━━


シリーズ〈本の文化史〉4 『出版と流通』 横田 冬彦 編
平凡社刊 本体:3,200円+税 好評発売中!
http://www.heibonsha.co.jp/book/b227300.html


印刷博物館 【企画展示】 武士と印刷
会 期:2016年10月22日(土)~2017年1月15日(日)
休館日:毎週月曜日
開館時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
その他詳細はホームページまで
http://www.printing-museum.org/exhibition/temporary/161022/index.html


━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━


10月~11月の即売展情報


https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init


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 【バックナンバーコーナー】
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 次回は2016年11月中旬頃発行です。お楽しみに!
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*☆ 本を売るときは、全古書連加盟の全国の古書店に ☆*
全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,200店加盟)の略称です


https://www.kosho.or.jp/buyer/list.php?mode=from_banner

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日本の古本屋メールマガジンその213 2016.10.25

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:小野祥之
編集長:藤原栄志郎


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hanamori

天才編集者花森安治のもとで薫陶を受けた日々をふり返る

天才編集者花森安治のもとで薫陶を受けた日々をふり返る

北村正之

天才編集者花森安治のもとで働くという体験をした、私(1969年入社)と先輩の河津一哉さん(1957年入社)が、このたび、小田光雄さんのインタビューを受け、希代の人物とすごした月日をふりかえることになった。
二人の入社事情から、『暮しの手帖』の発行部数の推移、書店との関係、花森編集フォーマット、花森の思想としての暮しの手帖、花森安治と商品テスト、東京消防庁との「水かけ論争」、編集会議のこと、花森の死、、、われわれ二人は、小田さんの質問を受けながら、じっさいに見聞きした花森編集長時代を思いだすままに語った。

後半、小田さんの質問が、花森の若いころにさかのぼり、個人史的な話しになると、われわれの知らないことが多々あり、答えは歯切れがわるくなった。出版史、出版状況について詳しい小田さんは、もちまえの探求心にもとづいた推測を加えていく。

花森とおなじ時期に編集者として戦後の雑誌の時代を築いた扇谷正造、池島信平、中原淳一等を、明治時代とはちがったかたちで、雑誌づくりのおもしろさや恩恵を味わうことができた初めての世代だったとする小田さんの指摘には、はたと納得するものがあった。
たとえば、書店の数にしても、明治末期に三千店だったのが、昭和初期には一万店を数えるまでに増えていたのである。

花森は、戦争をくぐりぬけて大政翼賛会という道をたどるのだが、その前に伊藤胡蝶園に復職して佐野繁次郎とともに生活社の『婦人の生活』の編集にたずさわった。このとき「生活社」の鐵村大二と出会っている。

鐵村は「東京社」の『婦人画報』の編集者だったといわれている。小田さんの推測は、この鐵村とのつながりを重くみて、さらに時をさかのぼる。かの国木田独歩が1905 (明治38)年に創刊したのが『婦人画報』であった。その独歩の弟子を自任し、師の志を継いだといわれた鷹見久太郎の事績が最近明らかになってきたらしい。『婦人画報』『少女画報』『コドモノクニ』を刊行して独歩の夢をかなえたといわれる。独歩が出版業から退いたのち、久太郎が1907(明治40)年に創業したのが「東京社」である。

鐵村はその「東京社」に勤務ののち、1937(昭和12)年に「生活社」を創業している。『婦人画報』だけでなく、『スタイルブック』の編集にも係わっていたようだ。つまり、翼賛会時代に花森は、これらの雑誌づくりのノウハウを鐵村から学び、『婦人の生活』を企画編集したと考えられる。
推測によるところが多いとはいえ、花森とこれらの人物とのつながりは、それなりに興味深く、刺激的でもあった。
小田氏の力量で、これまで語られなかった時代、分野にも考察が及び、改めて花森に対する思いが強く心に刻まれることになった。



hanamori
『「暮しの手帖」と花森安治の素顔』河津一哉・北村 正之 著
論創社刊 定価:1,728円(税込) 好評発売中!
http://ronso.co.jp/

Copyright (c) 2016 東京都古書籍商業協同組合

keihan

エトランジェとして捉えた西の古本屋

エトランジェとして捉えた西の古本屋

古本屋ツーリスト 小山力也

 関西の古本屋さんをレポートした本を、いつの間にか制作することになっていた。去年の秋に出した「古本屋ツアー・イン・首都圏沿線」を作っている途中から、色々な人に「じゃあ次は関西編ですね」などと勝手気ままに言われていたのが、なし崩しに現実のものとなってしまったのである。瞬間、また古本屋さんの本を出せるなんて!と大いに喜ぶが、ある恐るべきことに気付いてしまい、たちまち私の貧弱な肝は、氷のように冷えてしまった...。

今までに出した本は、すべて書き溜めたブログ記事を基にして構成していた。だが今回新たに関西のお店をまとめるとなると、一年前の時点で五十店ほどしか調査しておらず、すでに旧著に掲載されたものも多い...ということは、ちゃんとした一冊にするためには、新たに調査し記事を書き起こさなければならないのだ...ということは、すべてが書き下ろしになるということか! そう気付いた時はすでに遅く、出版への無情なカウントダウンが、カチリカチリと始まっていた...。


 本来は一時的にでも関西に居を定め、こちらで行っていたような活動(毎日未知の古本屋を訪ね歩きブログに記事をアップすること)を地道に行い、じっくりと時間をかけて熟成すべき案件である。しかし様々な大人の事情により、出版が決まると同時に、その発売日もすでに決定されていたのである。制作期間はおよそ十ヶ月...迷っている暇などなく、もうさっさと作り始めるしかない...最終的には、でっち上げてでも作り上げるしかない! それに、どうせ私に出来ることは、たったひとつなのだ。見知らぬ土地であるが、いつものように愚直に古本屋さんを訪ね歩き、レポートしていけば、それで良いのだ。そう覚悟を決めつつ、わりと取材計画を綿密に立ててから、京都・大阪・神戸・阪神間・奈良・滋賀を、経費節約のためにひたすら夜行バスで往復する日々が始まったのである。

 結果、六ヶ月の間に七回ほどの三日~一週間の滞在を繰り返し、二百店余のお店を調査することになった(閉店していたり入れなかったお店も含めると、訪ねたお店は恐らく二百五十店は越えているはずである...)。一日に十店前後を訪ね回り、その日のうちに原稿を書き上げてしまう方法で(後で書くことにすると、サボりそうで、溜まりそうで、取り返しのつかないことになりそうで、恐ろしかったのだ...)、勝手に古本屋のために生き古本屋調査のために尽くす、滅私の日々をひたすら送った。だがそれは、辛いながらも非常に楽しい時間だったのである。

遠い東から、夜を越えてやって来た、エトランジェとして初めて見る街が、電車が、お店が、古本が、何と魅力的な姿で、目の前に大量に立ち現れて来ることか。京都の迷宮のような細路地に、大阪の猥雑なデストピアの如き高架下に、神戸のハイカラな港町に、滋賀の広大な琵琶湖の畔に、奈良の歴史が静かに降り積もる街に、土地に根付いた個性的なお店たちが、私の来るのを、待っていてくれたのである。お店に飛び込む度に、それが良いお店でも不思議なお店でも眠ったようなお店でも、古本回路に電流火花が走る快感を味わったのである。

特に衝撃を受けたお店をちょっとだけ挙げてみると、京都のアプローチの路地も含めたロケーションが素晴らしい「マヤルカ古書店」、大阪は新今宮の超薄型店舗「パーク書店」、神戸は山の中腹の平野商店街にあるド硬派店舗「やまだ書店」、奈良ではアイドル顔写真のコピーで壁面を埋め尽くした「やすらぎ書店」、滋賀はマニアック小宇宙の極みな「古書クロックワークス」などが、頭の中をキラキラと流星のように流れて行く...。

 こうしてどうにか出来上がった、古本屋ツアーシリーズ最新刊には、斯様な経験や思いが、余すところなく詰め込まれている。そこに載っているのは、ひとりのエトランジェが独自視点で切り取った、豊穣な関西古本屋文化の一端であるが、地元である西の人には当然読んでいただきたいし、遠く西を臨む東の人にも、いやさらに北の人にも南の人にも読んでいただきたい。とどの詰まりは、日本全国のみんなに読んでいただきたいと、切に切に願っている。



小山力也 2008年5月からスタートした、日本全国の古本屋&古本が売っている場所の、全調査踏破を目指す無謀なブログ『古本屋ツアー・イン・ジャパン』管理人。「フォニャルフ」の屋号で古本販売に従事することも。古本屋に関する著書ばかりを出し続けており、それらの出版社や形状は違えど、全部を並べたらいつしか“日本古本屋大全集”となってしまうよう、秘かに画策している。http://furuhonya-tour.seesaa.net/


keihan
『古本屋ツアー・イン・京阪神』 小山力也 著
本の雑誌社刊 定価:1,800円+税  好評発売中!
http://www.webdoku.jp/honzatsu/

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日本文化を愛した男たち

日本文化を愛した男たち

映画監督 金髙謙二

 今年の2月、企業VPのためインドへ撮影に行った。うだる暑さの中、オールドデリーの町中をリキシャに揺られ、カメラを回していると、目に飛び込んできたのが、ずらりと並んだ本。本屋だった。それも相当数の店が軒を並べている。行けども行けども、両側に並ぶ本屋。時間がなかったので、リキシャを降りて、一軒一軒見ることはできなかったが、運転手の話では、分野の違う色々な本があるということだった。

 人類は、ある時、伝達手段の言葉を覚え、それがやがて、文字という残るものを発明し、人から人へのコミュニュケーションを加速させていった。そして、自分の思いや、手がかりを他人へわかりやすく伝える本へと発展を遂げた。いつしか、言語は、その壁を越え、翻訳されたものが異人種にも伝わるようになった。だが、それを善としない権力者たちが現れ、焚書という蛮行に及んだ。しかし、心ある人たちは、常に本とともに暮らし、人類の進化を見守ってきたのである。

 神田神保町は、世界に類を見ない一画である。オールドデリーの本屋街もそれなりに大きいと思ったが、それ以上であると思う。規模、本の種類、数、世界一の本屋外であることは紛れもない。その神保町が、第2次世界大戦の空襲でも爆弾の被害に遭わなかった。東京は100回以上の空襲を受けているが、それらをかいくぐり、生き残ったのである。これはまさに奇跡というより他にない。4年前、そのことを八木書店の会長八木壯一さんから聞かされ驚いた。ロシア人のエリセーエフが、マッカーサーに進言をしたという都市伝説のようなことが書かれている司馬遼太郎の「街道をゆく」は事実でしょうかと尋ねられた。「そういうこともあるでしょうね」と答えた私は、即座に次の作品は、これだと閃いた。

それは本当なのだろうか?神保町は一人のロシア人によって救われたのか?調べていくと、ウォーナーというアメリカ人に行き当たった。ウォーナーは、なんと、日本の文化財を戦争の被害から救済するためのリストを書き、そこには、日本の国宝級の施設が151箇所も載せられていた。私は、さらに愕然とした。今ある日本の文化財の多くは、これら外国人たちの手によって残されたのか?そして、ようやく日本人の名前が出てきた。朝河貫一、日本人で初めて、米国の名門イェール大学の教授になった人である。これらの3人の男たちを追求していく記録が映画「ウォーナーの謎のリスト」である。



nazo
『ドキュメンタリー映画 ウォーナーの謎のリスト』
金高謙二 監督
シネマボックス株式会社 http://www.cinemabox.jp/

●神保町シアター 10月29日(土)~11月4日(金)
http://www.shogakukan.co.jp/jinbocho-theater/

●東京都写真美術館ホール 11月5日(土)~11月13日(日)
https://topmuseum.jp/


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2016年9月23日 第211号

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     。.☆.:* その211・9月23日号 *:.☆. 。
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☆INDEX☆
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1.『神保町公式ガイド Vol.7』      神田古書店連盟

2.ありそうでなかった業界3者の「車座」会議
        ブックオカ実行委員/忘羊社代表 藤村興晴

3.『プロパガンダ・ポスターにみる日本の戦争
                  135枚が映し出す真実』
           田島奈都子(青梅市立美術館 学芸員)

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━━━━━━━━━━【神保町公式ガイド】━━━━━━━━━━


『神保町公式ガイド Vol.7』


                     神田古書店連盟

〝世界一の本の街〟を形成する神田古書店連盟と、神保町の公式タ
ウンサイト「ナビブラ神保町」を運営する風讃社の、地元強力タッ
グで制作する『神保町公式ガイド』。
 Vol.7のテーマは、ズバリ「神保町で本を探す!」。神保町は全国
的にも有名な大型書店があり、また150軒以上の古書店がひしめく活
字文化集積の街です。



続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=2921


『神保町公式ガイド Vol.7』 10月12日(水)発売予定!
発行:神田古書店連盟 発売:メディアパル
予価:1,296円(税込)


━━━━━━━━━━【自著を語る番外編】━━━━━━━━━━━



ありそうでなかった業界3者の「車座」会議


          ブックオカ実行委員/忘羊社代表 藤村興晴

「日本の取次システムは、すでに崩壊しているんですよ」。
 わが国の出版流通を支えてきた仕組み。本の売上が下降しつづけ
る今日、それがもう息も絶え絶えだという程度なら話はわかる。だ
が、「すでに手遅れ!」というのでは、話にならんじゃないか―。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=2915

『本屋がなくなったら、困るじゃないか』 ブックオカ 編
西日本新聞社刊 本体1,800円+税  好評発売中!
http://www.nishinippon.co.jp/book/topics/2016/07/-11.shtml


━━━━━━━━━━【自著を語る(171)】━━━━━━━━━━━

『プロパガンダ・ポスターにみる日本の戦争 135枚が映し出す真実』


             田島奈都子(青梅市立美術館 学芸員)


古いポスターは古書店で販売されることが多い。このため、各店か
ら送られてくる最新の『古書目録』を眺めることは、私にとって楽
しみの一つであり、未見のポスターの「存在」を教えてくれるそれ
らは、ポスターを調査研究する者にとって、貴重な参考資料となっ
ている。



続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=2912


『プロパガンダ・ポスターにみる日本の戦争 135枚が映し出す真実』
田島奈都子 編著
勉誠出版 刊 定価:3,024円(税込)
http://bensei.jp/index.php?main_page=product_book_info&products_id=100628

━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━━

『古本屋ツアー・イン・京阪神』 小山力也 著
本の雑誌社刊 予価 本体1,800円+税  2016年10月下旬発売予定
http://www.webdoku.jp/honzatsu/


『ドキュメンタリー映画 ウォーナーの謎のリスト』
金高謙二 監督
シネマボックス株式会社 http://www.cinemabox.jp/

●神保町シアター 10月29日(土)~11月4日(金)
http://www.shogakukan.co.jp/jinbocho-theater/

●東京都写真美術館ホール 11月5日(土)~11月13日(日)
https://topmuseum.jp/


━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━


9月~10月の即売展情報

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init


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 次回は2016年10月中旬頃発行です。お楽しみに!
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全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,200店加盟)の略称です

https://www.kosho.or.jp/buyer/list.php?mode=from_banner

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日本の古本屋メールマガジンその211 2016.9.23


【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:小野祥之
編集長:藤原栄志郎


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