2019年1月10日 第266号

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 古書市&古本まつり 第71号
      。.☆.:* 通巻266・1月10日号 *:.☆. 。
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メールマガジンは、毎月2回(10日号と25日号)配信しています。

初旬に(10日前後)全国で開催されている古本展示即売会など、
イベント情報をお送りします。お近くで開催される際は、ぜひ
お出掛け下さい。

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「今回より、新連載南陀楼綾繁さんの「古本マニア採集帖」が、ス
タートします。
ナンダロウアヤシゲさんは、去年の8月に『蒐める人 情熱と執着
のゆくえ』(皓星社刊)を出しました。
今回の連載は、気になる古本マニアにインタビューして、その魅力
をメルマガで紹介します。お楽しみ下さい。」

━━━━━━━━━【シリーズ 古本マニア採集帖】━━━━━━

古本マニア採集帖 第1回

かわじもとたかさん 古書目録から本をつくったひと

                         南陀楼綾繁

追悼号、畸人伝、すごろく、装丁家、序文……。かわじもとたかさ
んは、ほかの人が目をつけない独自のテーマに関する文献を集めた
書誌を30年近くにわたって刊行してきた。しかも、その情報のソー
スが主に古書目録だというのもユニークだ。連載のはじめにぜひご
登場いただきたいと、お住まいの近くの喫茶店でお会いした。

続きはこちら
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南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ)

1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一
文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、
図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年
から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」
の代表。各地で開催される多くのブックイベントにも関わる。
「一箱本送り隊」呼びかけ人として、石巻市で本のコミュニティ
・スペース「石巻まちの本棚」の運営にも携わる。本と町と人を
つなぐ雑誌『ヒトハコ』(書肆ヒトハコ)編集発行人。著書に
『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、『一箱古本市
の歩きかた』(光文社新書)、『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、
『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』
(ちくま文庫)などがある。

ツイッター
https://twitter.com/kawasusu

『蒐める人 情熱と執着のゆくえ』 南陀楼綾繁 著
皓星社刊 価格:1,600円(+税) 好評発売中!
http://www.libro-koseisha.co.jp/publishing/atsumeruhito/

━━━━━【1月10日~2月15日までの全国即売展情報】━━━━━

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

立川フロム古書市ご案内

期間:2019/01/05~2019/01/20
場所:フロム中武 3階バッシュルーム(北階段際)
   立川駅北口徒歩5分 (ビッグカメラ隣)

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第4回 調布の古本市

期間:2019/01/08~2019/01/22
場所:調布パルコ5階催事場 調布市小島町1-38-1

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第35回 古本浪漫洲 Part1

期間:2019/01/09~2019/01/11
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)新宿区歌舞伎町1-2-2

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有隣堂藤沢店フジサワ古書フェア(神奈川県)

期間:2019/01/10~2019/01/23
場所:有隣堂藤沢店4階ミニ催事場

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東京愛書会

期間:2019/01/11~2019/01/12
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 
URL:http://aisyokai.blog.fc2.com/

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京都マルイ新春古本市(京都府)

期間:2019/01/11~2019/01/14
場所:京都マルイ1階店頭(屋外・四条通側の屋根のあるスペース)
URL:http://machimachi-books.com/kyotomarui_bookfair.html

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オールデイズクラブ古書即売会(名古屋)

期間:2019/01/11~2019/01/13
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田5-1-12 

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第35回 古本浪漫洲 Part2

期間:2019/01/12~2019/01/14
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場) 新宿区歌舞伎町1-2-2

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大均一祭

期間:2019/01/12~2019/01/14
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9  

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第19回 紙屋町シャレオ古本まつり(広島県)

期間:2019/01/12~2019/01/18
場所:紙屋町シャレオ中央広場 広島県広島市中区基町地下街100号
URL:http://furuhonmatsuri.blog.fc2.com/

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第35回 古本浪漫洲 Part3

期間:2019/01/15~2019/01/17
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場) 新宿区歌舞伎町1-2-2

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第35回銀座古書の市 ~美術書画・書籍コレクション~

期間:2019/01/16~2019/01/21
場所:松屋銀座8階イベントスクエア 中央区銀座3-6-1

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さんちか古書大即売会(兵庫県)

期間:2019/01/17~2019/01/22
場所:神戸三宮さんちか3番街さんちかホール

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第35回 古本浪漫洲 Part4

期間:2019/01/18~2019/01/20
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場) 新宿区歌舞伎町1-2-2

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趣味の古書展

期間:2019/01/18~2019/01/19
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 

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第45回 鬼子母神通りみちくさ市

期間:2019/01/20
場所:雑司が谷 鬼子母神通り
URL:https://kmstreet.exblog.jp/

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第35回 古本浪漫洲 Part5(300円均一)

期間:2019/01/21~2019/01/23
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場) 新宿区歌舞伎町1-2-2

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和洋会古書展

期間:2019/01/25~2019/01/26
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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第131回 倉庫会

期間:2019/01/25~2019/01/27
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田5-1-12

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五反田遊古会

期間:2019/01/25~2019/01/26
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4

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中央線古書展

期間:2019/01/26~2019/01/27
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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BOOK & A(ブック&エー)

期間:2019/01/31~2019/02/03
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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反町古書会館展(神奈川県)

期間:2019/02/02~2019/02/03
場所:神奈川古書会館1階特設会場

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三省堂書店池袋本店古本まつり

期間:2019/02/05~2019/02/12
場所:西武池袋本店別館2階=特設会場(西武ギャラリー)
   東京都豊島区南池袋1-28-1

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書窓展(マド展)

期間:2019/02/08~2019/02/09
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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第5回古書会館de古本まつり(京都府)

期間:2019/02/08~2019/02/10
場所:京都古書会館3階 京都市中京区高倉通夷川上る

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杉並書友会

期間:2019/02/09~2019/02/10
場所: 西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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オールデイズクラブ古書即売会(名古屋)

期間:2019/02/15~2019/02/17
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田5-1-12

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日本の古本屋メールマガジンその266 2019.1.10

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:二見彰
 編集長:藤原栄志郎

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かわじもとたかさん 古書目録から本をつくったひと    (シリーズ 古本マニア採集帖第1回)

かわじもとたかさん 古書目録から本をつくったひと

南陀楼綾繁

 追悼号、畸人伝、すごろく、装丁家、序文……。かわじもとたかさんは、ほかの人が目をつけない独自のテーマに関する文献を集めた書誌を30年近くにわたって刊行してきた。しかも、その情報のソースが主に古書目録だというのもユニークだ。連載のはじめにぜひご登場いただきたいと、お住まいの近くの喫茶店でお会いした。

 かわじさんは1949年、高知市生まれ。母はかわじさんを生んですぐ亡くなった。父は開業医で、かわじさんも医者になるつもりだった。15歳のとき一家で東京に移り、久我山高校に進学した。
「子どもの頃は本にあまり興味がなかったんです。親が『イワンの馬鹿』を買ってくれたけど、それを枕にして寝てたぐらい(笑)。本屋に通うようになったのは、東京に移ってから。古銭を集めていたので、コインの店のある神保町のすずらん通りに通うようになって、ときには本屋にも寄りました。また、中野にいまもある〈明屋書店〉にはよく通っていました」
大学の医学部を受けるが、2浪した。その間、夏の予備校で尾崎放哉の「咳をしても一人」という句を知り、ショックを受ける。講師に勧められた、平野謙の『昭和文学の可能性』(岩波新書)を読んだ。「内容は分からなかったけど、はじめて読み切った本だったね(笑)」。その後、詩に惹かれて壺井繁治、金子光晴などを読むように。

「結局、中央大学の理工学部に入ったけど、当時は大学闘争の最中で授業なんかやってない。それでブラブラしているうちに、大学をやめて印刷所でアルバイトをしました。この頃にはかなり本を読んでいて、『日本読書新聞』『図書新聞』『週刊読書人』などの書評紙に載っている出版社の広告を見て、出版目録を取り寄せたりしました。また、兄に連れられて、荻窪古物会館で開催されていた古書展に行ったこともあります」

 結婚を機に、中野の病院で検査助手として働く。資格を取るために、板橋区大山にある検査学校に通った。すぐ近くに〈竹田書店〉という古本屋があって、そこで清水崑の本を買ったりした。
「詩の次にカッパに興味が移って、カッパの絵を描いていた清水崑の本を集めたんです。検査技師という仕事もがん細胞がどこにあるのか調べて探すことが大事ですが、本に関しても調べることが楽しくなってきた。高円寺の〈都丸書店〉で、女性の店主が帳場で仕入帳を開いているのを見て、自分でもノートをつくるようになった。古書目録からたとえば、鳥瞰図画家の吉田初三郎というテーマに関する本の情報を切り抜いて『閑地(あきち)』というタイトルをつけたノートに貼るんです。その後、個別のテーマごとのノートもつくっています。『すごろく』などは何冊にもなりました」

 東京古書会館や西部(高円寺)、南部(五反田)、横浜(反町)などで開催される古書即売展に通う。買えないときは本のタイトルなどをメモ用紙に書き込む、
「古本屋さんとはなるべく知り合いになりたくないですね。プロの目から見たらなんだと思われるような本ばかり買っているし(笑)。『「月の輪書林古書目録」を一考す。』(2016)という本も出していますが、月の輪さんとはいまだに面識はありません」

 41歳のとき、仕事が外注になったことをきっかけに、それまでの人生を振り返るようになった。
「がん細胞を見つけることに情熱を注いでいたので、自分の仕事は何だったんだという疑問が生じました。それで、これまで調べてきたことをもとにして、定年までに本を10冊出そうと決意するんです。最初に出したのが『追悼號書目』(1991)です。仕事柄、死についての関心があったので。編者はジョン・クロゼットとなっていますが偽名で、ジョンもクロゼットもトイレを意味する単語です(笑)。自費出版で100部つくりましたが、問い合わせが多くてすぐに売り切れました。ぼくの本はすべて杉並けやき出版から刊行していますが、どれも自費出版です。同社の小川剛さんは昔からの知り合いで、ぼくが彼のがん細胞を見つけたんです。出版費用を捻出するために、本来の仕事のほかに、別の施設でアルバイトをしました」

『死に至る言葉』(1993)、『畸人傳・伝』(1995)のあと、1999年に『水島爾保布著作書誌』を刊行。水島は谷崎潤一郎『人魚の嘆き・魔術師』の挿画で知られる画家で、随筆家でもあった。息子はSF作家の故・今日泊亜蘭さん。かわじさんと同郷の安岡章太郎がエッセイで触れていたことで水島を知り、随筆集『愚談』を京王百貨店の古書市で掘りだして以来、彼の仕事を調べてきた。
「この本がきっかけで、作家の山下武さんが主宰する参土会に参加するようになりました。月に一回集まって、交代で発表するんです。そこで会った人からいろいろ教えてもらいましたね」
 次第に本の置場所がなくなり、洋服ダンスが本で埋まるようになった。高知の姉の家に置いてもらっていたが、「どの本を送ったかメモしておいても、あんまり役に立たないですね(笑)」。結局、すべてブックオフで処分した。

 その後、『古書目録にみた「すごろく」』(2003)、『装丁家で探す本』(2007)と続き、『序文検索』(2010)と『序文検索2箇目』(2014)では、本の序文や跋文を書いた人物に注目した。
「もういつまでも生きていられないかもと思って、それまでの仕事を59歳でやめて、この本をつくりました。日本近代文学館に通って全部の目録カードを見るのに、3年2か月かかりました。さらに、古書目録やネット古書店のデータから古書価を調べて入れています」
 そして、10冊目となる『続装丁家で探す本 追補・訂正版』(2018)は、600ページを超える厚さで、430余人・9100冊の装丁本のデータを掲載している。
「竹久夢二のように有名で、美術館もあるような人は外しましたが、それでもどこまでで止めるかが見えませんでした(笑)」

 目標の10冊を出し終えても、かわじさんの探索の日々は終わらない。ノート、日記、手帳、美術館通いのメモ、夢日記と、さまざまなものに同時並行で記録している。バスの待ち時間にも思いついたことをメモするので、退屈している暇はないと云う。
「41歳で仕事上の挫折があったとき、このまま消えていくのは嫌だと思ったんです。世の中に本を残すことが、自分の存在価値だと思いました。文章を書くのは苦手だけど、仕事でこつこつと症例を集めていたのと同じで、どれだけ多くのデータを入れられるかにはこだわりたい」

 かわじさんは最後に、「ポコ・クランテ」と題したノートを見せてくれた。
「フランス語でわき見ばかりという意味です。チャールズ・ダーウィンが子どもの頃にこう呼ばれたそうです。でも、ダーウィンは主流ではなく傍流のテーマに興味があったんです。ぼくも同じで、つねに傍流の方へと行きたいです。いまも、色の本、父についての本(誰が何歳で自分の父のことを書いたか)、数字が付いている本など、ありそうでこれまでなかったテーマを調べて、記録しています。こういう生活は死ぬまで終わりませんね(笑)」

南陀楼綾繁
1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」の代表。各地で開催される多くのブックイベントにも関わる。
「一箱本送り隊」呼びかけ人として、石巻市で本のコミュニティ・スペース「石巻まちの本棚」の運営にも携わる。本と町と人をつなぐ雑誌『ヒトハコ』(書肆ヒトハコ)編集発行人。著書に
『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、『一箱古本市の歩きかた』(光文社新書)、『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』(ちくま文庫)などがある。

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『追悼號書目ー古書目録にみた追悼号書誌』

杉並けやき出版
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『蒐める人 情熱と執着のゆくえ』 南陀楼綾繁 著
皓星社 価格:1,600円(+税) 好評発売中!
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Copyright (c) 2019 東京都古書籍商業協同組合

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2018年12月25日 第265号

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☆INDEX☆
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1.『出版の崩壊とアマゾン』で訴えたかったこと
      高須次郎(日本出版者協議会相談役・緑風出版代表)

2.日本初の模型店記念誌『ピンバイス40年史』を編纂して
                 ――小売店の歴史を調べる
                        小林昌樹

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━━━━━━━━━━━【自著を語る(215)】━━━━━━━━━

『出版の崩壊とアマゾン』で訴えたかったこと

      高須次郎(日本出版者協議会相談役・緑風出版代表)

 公取委による再販制の廃止要求は、一九七八年の橋口公取委員長
の発言に端を発する。しかしこの発言は突然出たものではなく伏線
があった。オイルショックによる狂乱物価の下で、出版界はそれま
での奥付定価表示を止めカバーによる値上げをはじめ、さらにはシ
ールを張って値上げを繰り返した。これに大学生協連や消費者団体
が怒り、当時の樋口公取委課長が問題にし、こうした安易な値上げ
方法が横行する背景に再販制度があるとして橋口発言につながる。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=4410

『出版の崩壊とアマゾン』 高須次郎 著
論創社 2200円+税 好評発売中!
http://ronso.co.jp/

━━━━━━━━━━━【自著を語る(216)】━━━━━━━━━

日本初の模型店記念誌『ピンバイス40年史』を編纂して
                 ――小売店の歴史を調べる

                      小林昌樹

今年10月に、両親が今も経営している模型店40周年の記念誌を発刊
しました。
 副業として1977(昭和52)年に母が始めた模型店「ピンバイス」
は、当初、駄菓子屋のような街のプラモデル屋として出発しました
が、父の脱サラにともない1980年代に専門店化し、日本に3つしか
ない飛行機専門のプラモ屋になりました。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=4366

『ピンバイス40年史 -あるプラモデル屋の歩み-』
小林昌樹 編
http://pinvise.net/

━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

『江戸の古本屋 近世書肆のしごと』 橋口侯之介 著
平凡社 本体:3,800円+税  好評発売中!
http://www.heibonsha.co.jp/book/b378065.html

『紙が語る幕末出版史 『開版指針』から解き明かす』
白戸満喜子 文学通信 定価:本体9,500円(税別)好評発売中
http://bungaku-report.com/about/books.html

「2018年の古ツアをふり返る」(仮題) 
 古本屋ツアーインジャパン 小山力也
 http://furuhonya-tour.seesaa.net/

古本乙女の独り言①
これは無駄使いぢゃない、自分への投資なんだッ
カラサキ・アユミ
https://twitter.com/fuguhugu

━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━

12月~1月の即売展情報

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

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日本の古本屋メールマガジンその265 2018.12.25

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:二見彰
編集長:藤原栄志郎

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日本初の模型店記念誌『ピンバイス40年史』を編纂して――小売店の歴史を調べる

日本初の模型店記念誌『ピンバイス40年史』を編纂して――小売店の歴史を調べる

小林昌樹

今年10月に、両親が今も経営している模型店40周年の記念誌を発刊しました。

 副業として1977(昭和52)年に母が始めた模型店「ピンバイス」は、当初、駄菓子屋のような街のプラモデル屋として出発しましたが、父の脱サラにともない1980年代に専門店化し、日本に3つしかない飛行機専門のプラモ屋になりました。

 記念誌の編纂を頼まれたさい考えたのは「自分の調べ物の演習になる」ということでした。特定業界でそこそこ有名だった小売店の来歴を調べるには、どのような資料にあたればよいか? 以前『出版文化人物事典』(日外アソシエーツ, 2013.6)に協力したことがあり、そこで小売店(書店)の歴史は書かれづらいと知っていたからでもあります。

 律儀にも店HPの過去データは削除され、帳票類も2008年の建替え――それまで1952(昭和27)年の木造アパートを開店時改装した店舗――で失われていました。実務者が同時代、往々にして「史料的価値」が分からないという残念さ――これは私の勤務先ですらそう。台湾研究で有名な春山明哲氏が現役局長時代、調査局史にもならんと、わざわざ局中から集めた文書2箱が数年でまるっと消失したなど――を地で行く展開がありました。

 それで、まっさきに思いついたのは模型雑誌の広告です。『モデルアート』などの広告索引を総ざらいした結果が基礎資料となりました。聞き書きをした人ならわかるでしょうが、個々のエピソードは鮮明なのに、発生年がきわめてあいまいか、分からないのです。そういった場合、発行年月が明確な広告を見せて思い出してもらう、といった手法が役立ちました。これは勤務先で来館者と問答する際に――抽象的に「正しい」議論をするよりも――ややズレていても具体的に資料を提示して「これではなくて」と話を進めたほうがいい、という手法にも通じています。一時は「広告だけの復刻で1冊にしてしまおうか」と思ったことでした。

 1981年ごろの広告を見ると、プラモデル用塗料を自力で開発したり、ポリエステル・パテを業界で初めて小売りしたり、ゴム型による樹脂キット(ガレージ・キット。強撃五型やメルカバ戦車)を生産発売したり、とびぬけて先進的だったことが実証されます。

 そういった尖端的商品は広告に残されますが、一方で、絶版でないプラモ・キットを悉皆で陳列したことも(まるでジュンク堂です)、この店の魅力だったことは、いま思い出しました(40年史には書かれていませんね)。プラモ・キットは平置きが普通なのに、本のようにタテ置きで並べたのも悉皆陳列のためだったように思います。こんなことも書いておくべきでした。書店や個人の本棚で本がタテ置きになるのは明治20年代のことだなんて、今、誰も知りません。(未組立の)プラモの置き方なんかも誰も記述しませんね。

 商品の受容、つまりお客さんのありさまが意外と判らないことも出版史から知っていたので――図書販売史から直接は読書史を書けないのです!――今回は事前にお客さん方に寄稿をお願いしてみました。その部分が、モデラーからみた趣味史、模型店史の手がかりとなっているように思います。こんなことをしたのは『上野図書館八十年略史』(国立国会図書館支部上野図書館, 1953)に別冊『アンケート集』が付かないと完本と言えないというトリビアを半ば意識していたように思います。

 巻末に、小売店史を調べるにはどんな資料に当たればよいか、「模型店(プラモデルの小売店)を調べるには」を付けたので、これを読んだ人は他の店のことも調べられます。
 インターネットの無い時代、こういったリアル店舗にマニアが集まって新しいサブカルチャーを創っていったのでした。初期のころ深夜12時まで常連さんがたむろし、母がコーヒーを出していたことが思い出されます。ガンダムブーム初期に来店していたバンダイの営業さんにサンドウィッチを出したりもしていました。昭和的なおつきあいだったのでしょう。私も、キット販売前に常連さん手作り、ザクのフルスクラッチ・モデルがショーウィンドウに飾られていて、感心したのを憶えています。

 校正・版下PDF作成は友人たちがボランティアでやってくれました。印刷は同人誌印刷の「ちょ古っ都製本工房」(京都)さんにオンラインで注文して、300部で7万円ちょっと。これらの過程で、一冊の本ができるのにいかに編集機能が大切かわかりました。今回の企画は自費出版の演習ともなりました。
(国立国会図書館勤務)

記念誌『ピンバイス40年史』は当該店(東西線・門前仲町駅徒歩7分木場駅5分)の店頭で廉価頒布中です(通信販売はしていません)。
http://pinvise.net/
今回は5部、日本の古本屋サイトに申し込んでいただければ抽選で当選した方に無料進呈いたします。
これまた演習として納本もしたので、国会図書館で年末ごろには閲覧できるようになるでしょう。

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Copyright (c) 2018 東京都古書籍商業協同組合

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『出版の崩壊とアマゾン』で訴えたかったこと

『出版の崩壊とアマゾン』で訴えたかったこと

高須次郎(日本出版者協議会相談役・緑風出版代表)

 公取委による再販制の廃止要求は、一九七八年の橋口公取委員長の発言に端を発する。しかしこの発言は突然出たものではなく伏線があった。オイルショックによる狂乱物価の下で、出版界はそれまでの奥付定価表示を止めカバーによる値上げをはじめ、さらにはシールを張って値上げを繰り返した。これに大学生協連や消費者団体が怒り、当時の樋口公取委課長が問題にし、こうした安易な値上げ方法が横行する背景に再販制度があるとして橋口発言につながる。

 出版界と公取委の交渉で、部分再販・時限再販を認めた現行の再販制度が一九八〇年に発足する。これが再販制度存廃をめぐる第一期といえ、ここまでの廃止論には耳を傾けるべきものがあった。

 第二期は、一九八九年に始まる。日米貿易摩擦にともなう米国の一方的な再販制度と大店法の廃止要求である。まず指定再販品目が全廃され大店法が緩和され、法定再販の著作物再販に及んできた。出版・新聞・レコード業界は全力で反対運動を展開し、九八年の結論先送りを経て、二〇〇一年にかろうじて再販制度を当面存置させることに成功した。しかしその代償は大きかった。公取委の再販制度の弾力運用要求にあくまで抵抗した新聞業界に比べ、出版業界はバーゲンブックなど弾力運用に励むことで再販制度を守ろうとしたため、制度そのものの形骸化を招いてしまった。

 当面存置以降は弾力運用をする必要がないにもかかわらず、バーゲンブックなど値引き販売が蔓延した。そこには再販制度を守るためという大義名分を利用して、不良在庫を処分したい出版社の意図があった。また日書連の強い反対にもかかわらず、値引きであるポイントカードが普及し、体力のない中小書店が廃業していった。

 そしてアマゾンの登場である。アマゾンは消費税・法人税を払わないで競争優位を保持し、大幅なポイント割引や送料無料などを武器に、リアル書店や他のネット書店を圧倒し、大手ナショナルチェーンさえDNPの傘下に入るなどして敗退した。
 一一年に出版協が公取委の再販制廃止断念の言質をとり再販存置が確定するが、書協の再販研究委員会は当事者能力すら失っていた。出版物の軽減税率の不適用も、遠因は出版業界の弱腰にある。

 電子書籍は再販品目に追加指定されず、出版社は紙の書籍は定価販売できるが電子書籍では定価決定権を失い、窮地に追い込まれた。一四年の著作権法改正では、紙と電子の一体的な出版権を勝ち取れず、電子についてはアマゾンなどプラットフォーマーが単独で出版することも可能となった。

 アマゾンは、出版社との全面的な直取引を展望しながら、主帳合を大阪屋から日販に切り替えることで大阪屋を危機に陥れた。さらに日販の非在庫商品の出版社取り寄せ注文を中止し、直取引を拡大させることで、日販の危機を招来させている。いまや取次危機は出版社の命取りとなりかねない。この出版敗戦前夜をどうすれば乗り越えることができるのか?

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2018年12月10日 第264号

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 古書市&古本まつり 第70号
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初旬に(10日前後)全国で開催されている古本展示即売会など、
イベント情報をお送りします。お近くで開催される際は、ぜひ
お出掛け下さい。
なお、1月から「シリーズ古書の世界」を連載しております。

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━━━━━━━━━【シリーズ古書の世界 第12回】━━━━━━━

若い読書家

                    出久根達郎(芳雅堂)

本を愛する人の顔は、例外なくステキである。美男美女である。
老いても、若く見える。輝いている。肌にツヤがある。
 眼に、張りがある。そして、澄んでいる。活字で眼が洗われてい
るせいだろう。
 言葉に、ムダが無い。言い回しが、しゃれている。あたたかみが
ある。表現力が非凡である。

続きはこちら
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『文庫 本と暮らせば』 著者 出久根達郎
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━━━━━【12月10日~1月15日までの全国即売展情報】━━━━━

⇒ https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

神戸・もとまち古本市(兵庫県)
期間:2018/11/15~2018/12/16
場所:神戸まちづくり会館 1F 
兵庫県神戸市中央区元町通4-2-14

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第88回 彩の国 所沢古本まつり (埼玉県)

期間:2018/12/05~2018/12/11
場所:くすのきホール
   西武線所沢駅東口前 西武第二ビル8階 総合大会場
URL:http://furuhon.wix.com/tokorozawafuruhon

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第1回みなとみらい駅ナカ古本まつり(神奈川県)

期間:2018/12/13~2018/12/19
場所:横浜みなとみらい線
   みなとみらい駅構内みらいチューブ

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新興古書大即売展

期間:2018/12/14~2018/12/15
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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五反田古書展

期間:2018/12/14~2018/12/15
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4

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浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2018/12/14~2018/12/17
場所:JR浦和駅西口さくら草通り 徒歩5分 マツモトキヨシ前
URL:https://twitter.com/urawajuku?lang=ja

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第14回 つちうら古書倶楽部『師走の古本まつり』(茨城県)

期間:2018/12/15~2018/12/23
場所:茨城県土浦市大和町2-1 パティオビル1F

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有隣堂イセザキ本店・古書ワゴンセール(神奈川県)

期間:2018/12/15~2019/01/07
場所:有隣堂伊勢佐木町本店 横浜市中区伊勢佐木町1-4-1
※雨天中止

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2018 全大阪古書ブックフェア(大阪府)

期間:2018/12/21~2018/12/23
場所:大阪古書会館 大阪市中央区粉川町4-1
URL:https://twitter.com/OsakaKosho

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ぐろりや会

期間:2018/12/21~2018/12/22
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
URL:http://www.gloriakai.jp/

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好書会

期間:2018/12/22~2018/12/23
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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2018 歳末阪神古書ノ市(大阪府)

期間:2018/12/26~2018/12/28
場所:阪神梅田本店8階催事会場 大阪市北区梅田1-13-13

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Title 2Fの古本市

期間:2018/12/27~2019/01/08
場所:Title 杉並区桃井1-5-2 

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下町書友会

期間:2019/01/04~2019/01/05
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 

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杉並書友会

期間:2019/01/05~2019/01/06
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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立川フロム古書市

期間:2019/01/05~2019/01/20
場所:フロム中武3階バッシュルーム(北階段際)  
   立川駅北口徒歩5分(ビッグカメラ隣)

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第35回 古本浪漫洲 Part1

期間:2019/01/09~2019/01/11
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
新宿区歌舞伎町1-2-2 TEL03-3354-6111

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有隣堂藤沢店フジサワ古書フェア(神奈川県)

期間:2019/01/10~2019/01/23
場所:有隣堂藤沢店4階ミニ催事場

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東京愛書会

期間:2019/01/11~2019/01/12
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
URL:http://aisyokai.blog.fc2.com/

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第35回 古本浪漫洲 Part2

期間:2019/01/12~2019/01/14
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
   新宿区歌舞伎町1-2-2 TEL03-3354-6111

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大均一祭

期間:2019/01/12~2019/01/14
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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第35回 古本浪漫洲 Part3

期間:2019/01/15~2019/01/17
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
   新宿区歌舞伎町1-2-2 TEL03-3354-6111

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日本の古本屋メールマガジンその264 2018.12.10

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:二見彰

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若い読書家    (シリーズ古書の世界第12回)

若い読書家

出久根達郎

 本を愛する人の顔は、例外なくステキである。美男美女である。老いても、若く見える。輝いている。肌にツヤがある。
 眼に、張りがある。そして、澄んでいる。活字で眼が洗われているせいだろう。
 言葉に、ムダが無い。言い回しが、しゃれている。あたたかみがある。表現力が非凡である。
 十六歳で七段の棋士・藤井聡太さんを見よ。大人でもめったに遣わないボキャブラリーを、当たり前のように口にする。中学生の時、「望外の僥倖」と言った。日頃本に親しんでいなければ、まず出てこない言葉である。

 通算五十勝を達成した時、記者会見で、これは「セツモク」の数字であると言った。
 並み居る新聞記者の誰もが、一瞬、何のことか理解できなかった。どんな漢字を当てるのか、耳で聞いては見当がつかない。テレビを見ていた筆者にもわからなかった。たぶん将棋用語なのだろう、と独り合点した。
 あとで調べたら、セツモクは「節目」であった。フシメ、である。人生の節目、などと言う。藤井さんはフシメを読み違えたのだろう、と思い、念のため辞書を繰ってみたら、フシメ、セツモクどちらも間違いでないが、正式にはセツモクと読む、とあった。
 藤井さんは正しい読み方をしていたのである。

 僥倖といい、望外といい、耳慣れぬ漢語を身につけたのは、読書のたまものらしい。
 何しろ小学四年生の時の愛読作家ベストスリーが、司馬遼太郎、沢木耕太郎、新田次郎の「さん郎」というから驚く。セツモクは、どうやら司馬遼太郎あたりが仕入れ先であるまいか。
 十四歳の女優・芦田愛菜さんも、藤井さんに劣らぬ読書家である。
 そういえば、大リーグの今年の新人王、大谷翔平選手も、趣味が読書と聞いた。二刀流の大谷選手も二十四歳と若い。読書が趣味と広言する有名人は、この数年、いなかった。近頃、これは嬉しいニュースだった。

 更に望めば、本、特に古書が大好き、と標榜する若いかたが現れてほしい。そして、古書のこんなところが魅力がある、と力説してほしい。古書の良さをご存じないかたが多すぎる。知っている人は、吹聴する義務がある。
 美智子皇后は、幼い時分から本が大好きであった。中学高校生の頃は、神田神保町の古書街を歩いて、外国文学や日本古典を求められた。
 皇后になられたあと、外国記者団が、お供の方と警固の方もなしに、ご身分を隠して一日を過ごすことができたとしたら、どちらにお出かけになり、何をなさりたいですか、と質問した。
 皇后さまは、こう答えられた。日本の昔話に隠れミノが登場する。これを着ると姿が見えなくなる。変装や偽名を考える必要がない。ミノを着けて、「学生のころよく通った神田神保町の古本屋さんに行き、もう一度長い時間をかけて本の立ち読みをしてみたいと思います。」(平成19年5月14日)

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2018年11月26日 第263号

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☆INDEX☆
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1.『古本的思考 講演敗者学』 川村伸秀
2.『やちまたの人-編集工房ノア著者追悼記 続 涸沢純平
3.『書店経営指標2018年版』について
日本出版販売株式会社 柳 春城

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━━━━━━━━━━━【自著を語る番外編】━━━━━━━━━

山口昌男著『古本的思考 講演敗者学』

                    川村伸秀

 本欄「自著を語る」には、すでに拙著『斎藤昌三 書痴の昌三』
(晶文社)でお世話になった。再びお声がかかったが、今回は自著
ではなく編集者の立場で書かせていただくので「番外編」となる。
著者の文化人類学者・山口昌男さんは、残念ながら2013年3月に逝去
された。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=4363

『古本的思考 講演敗者学』 山口昌男 著
晶文社 定価:本体2700円+税 好評発売中!
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━━━━━━━━━━━【自著を語る(214)】━━━━━━━━━

『やちまたの人-編集工房ノア著者追悼記 続』

  涸沢純平

 昨年9月出版した『遅れ時計の詩人』の「続」きです。「遅れ時
計の詩人」とは、大阪十三の蒲鉾屋さんで詩人の清水正一さんのこ
と。「続」の、『やちまたの人』とは、足立巻一さんのことです。
足立さんは、本居宣長の子・盲目の国学者・春庭の伝記を自身にか
らめた独自の手法で書いた大著『やちまた』(芸術選奨文部大臣賞
受賞)を残しています。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=4313

『やちまたの人 編集工房ノア著者追悼追悼記続』涸沢純平 著
編集工房ノア 定価2000円+税  好評発売中!
〒531-0071 大阪府大阪市北区中津3-17-5
TEL 06-6373-3641
FAX 06-6373-3642

━━━━━━━━━━━【自著を語る番外編】━━━━━━━━━

『書店経営指標2018年版』について

日本出版販売株式会社 柳 春城

 新刊書と古書の違いはありますが、私たちは同じく本(の価値)
を広めようと、日々、営業活動を続けています。本書『書店経営指
標』は主に新刊書を扱う書店の協力をいただき、本をはじめとする
主な取扱商品の販売動向、そして利益を出している店舗の収益性、
生産性、効率性などを分析している数少ない業界統計資料の一つで
す。今年の2018年版は、昨年1年間に決算を迎えた企業のアンケート
実績から作成しています。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=4359

『書店経営指標2018年版』
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セミナーや統計資料のリリースなどご覧になれます。↓↓
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━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

『出版の崩壊とアマゾン』 高須次郎 著
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http://ronso.co.jp/

『ピンバイス40年史 -あるプラモデル屋の歩み-』
小林昌樹 編
http://pinvise.net/

━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━

11月~12月の即売展情報

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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日本の古本屋メールマガジンその263 2018.11.26

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:二見彰
編集長:藤原栄志郎

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jittai

『書店経営指標2018年版』について

『書店経営指標2018年版』について

日本出版販売株式会社 柳 春城

新刊書と古書の違いはありますが、私たちは同じく本(の価値)を広めようと、日々、営業活動を続けています。本書『書店経営指標』は主に新刊書を扱う書店の協力をいただき、本をはじめとする主な取扱商品の販売動向、そして利益を出している店舗の収益性、生産性、効率性などを分析している数少ない業界統計資料の一つです。今年の2018年版は、昨年1年間に決算を迎えた企業のアンケート実績から作成しています。

実はこの統計資料は1963年から毎年発行しており、今年でなんと55歳となりました。当時の売上総利益率は15.38%、人件費率は7.40%、地代家賃費率は0.71%、営業利益率は2.28%でした。その後、幾たびかの正味改訂や配送費用を分担するなど検討が重ねられ、今年の本専業企業の売上総利益率では23.72%に。かつて主流だった自宅営業から、人が集まる場所に店舗を賃借する形態に変化して運営コストが増加した結果、営業利益率は当時から2.57ポイント減少のマイナス0.29%と、4年連続のマイナスとなってしまいました。数値だけを見るともはや本だけのビジネスは疲弊している感がありますが、書店空間の内側ではいろいろな変化が起きています。例えば、おしゃれな書棚やこだわりの内装・照明を施したり、人が喜ぶイベントなどにも工夫を凝らしています。様々な商品を本と一緒に面陳展開することで、利益を出している書店もあります。
「本のある場所」の変化に合わせて、書店を利益の出る事業として成立させるために、そして新しく書店を始める人のための経営指南書にしていきたいと思っています。

また、『出版物販売額の実態』も発行しました。本書については、昨年12月25日のメールマガジン(https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3576)でご紹介しているので割愛しますが、2018年版の傾向としては、書店ルートの推定販売額は1兆250億円で、1996年以来の減少が依然として続いています。対して、インターネットルートの推定販売額は1,988億円となり、CVSルートの推定販売額1,576億円を初めて上回りました。また電子出版物市場も2,424億円となり、書店ルートに次ぐ市場規模として増加を続けています。

インターネットルートの調査を開始したのは2007年度、電子出版物市場に至っては2015年度からです。どちらもわずか10年足らずで急成長を遂げたことになります。こうした出版業界を大きく変える“波”は、今後も次々と生まれてくることでしょう。こういった冊子をまとめた編集者としては、静かに何より正確に、新たな“波”が生み出す揺らぎも含めて、業界の今を広く伝えていくのが責務だと思っています。

jittai
『書店経営指標2018年版』
B5判52頁 価格 :本体1,500円+税

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『出版物販売額の実態2018』
B5判46頁 価格 :本体1,400円+税

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山口昌男著『古本的思考 講演敗者学』

山口昌男著『古本的思考 講演敗者学』

川村伸秀

 本欄「自著を語る」には、すでに拙著『斎藤昌三 書痴の肖像』(晶文社)でお世話になった。再びお声がかかったが、今回は自著ではなく編集者の立場で書かせていただくので「番外編」となる。著者の文化人類学者・山口昌男さんは、残念ながら2013年3月に逝去された。

 縁あって筆者は、山口さんの晩年の10年間をフリーの編集者として接することができた。おかげで、山口さんが亡くなったあとも未完の遺稿『エノケンと菊谷栄 昭和精神史の匿れた水脈』(晶文社)を編集させていただく機会に恵まれた。その資料を探すために府中のご自宅にお邪魔し、山口さんが「本小屋」と称した書庫(庭に設けたプレハブ小屋)のなかを調べていたときのことである。資料の山に埋もれたワープロ打ちの講演起こし原稿を二編発見した。一つは1977年3月の吉野作造記念館での講演「吉野作造と街角のアカデミー」、そしてもう一つは1992年11月に古書店主の集まりで「近代日本における“知のネットワーク”の源流」と題して行った講演で、どちらも未発表のものであることはすぐに判った。

 ふさ子さん(山口夫人)のお許しを得て、エノケンの資料と共に二つの講演録をお預かりして帰った。前者は『「敗者」の精神史』(岩波現代文庫)のなかの一章「大正日本の「嘆きの天使」──吉野作造と花園歌子」と同じテーマを扱ったものだが、当時山口さんは札幌大学の文化学部長就任間もないころで、講演の合間合間に札幌大学の宣伝が入っていてそれが何とも愉しい。

 驚いたのは後者の講演である。のちにのめり込んでゆく趣味家たちの世界を発見したばかりの山口さんが、嬉々として古書店主相手にその面白さを語っていた。『「挫折」の昭和史』(岩波現代文庫)などの昭和前期を扱った敗者学の一つの流れが『エノケンと菊谷栄』から始まったとすれば、もう一つの流れである『「敗者」の精神史』などに結実する明治以降の幕臣=負け派のネットワーク研究は、ここから出発していたのだ。ライブ感たっぷりの記録がそこに遺されていた。敗者学の貴重な情報提供者であった古書店主の内堀弘さん(石神井書林)や高橋徹さん(月の輪書林)と出会ったのも、この講演がきっかけだったとお二人から伺った。まさに記念すべき講演! 原稿には山口さんの赤字が随所に入っていて、いずれ発表を意図していたことが判る。

 2016年5月、山口さんの後を追うようにしてふさ子さんが亡くなった。その年の夏、ご自宅の蔵書を札幌大学の山口文庫にまとめるため、ご子息の拓夢さん(現・札幌大学教授)、岡本慶一さん(元・東京富士大学教授、故人)、石塚純一さん(元・札幌大学教授)と整理していたとき、内堀さんが作られた私家版『「書画骨董雑誌」を巡って』をやはり「本小屋」のなかに発見した。やはり古書店主を聴衆として、「近代日本における“知のネットワーク”の源流」の続編のような形で1994年1月に行われた講演録であった。これはもう本にするしかないではないか! 

 とはいえ、講演三編だけでは本にならない。そこで雑誌や大学の紀要などに掲載されていたこれまで山口さんの単行本未収録だった同テーマの講演やインタヴュー、論考なども加えて構成した。講演起こし原稿は引用部分などで聴き取れない箇所や間違いも多く、すべて原典にあたっての穴埋めや訂正作業を必要とした。いつしか2年のときが流れたが、晶文社の小川一典さんのお力もお借りして、漸くここに皆さんにご覧いただける形となった。本書を通して、無類の本好きだった山口さんの古本談義を愉しんでいただけたなら、編者としてこれに勝る喜びはない。

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『古本的思考 講演敗者学』 山口昌男 著
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