知られざる佐渡の郷土史家・蒐集家-青柳秀雄の生涯とその業績北見継仁 |
私が青柳秀雄の名前を初めて知るのは、2019年に自費出版した『佐渡郷土資料目録』作成のための調査時であった。青柳秀雄(以下、青柳)の著作物を見ると、民俗学、なかでも方言研究家、そして資史料の蒐集家ではないかと考えていた。しかし、佐渡島内で刊行された郷土史誌・名鑑の類いに青柳の名前をなかなか見出せないでいた。
2008年に、「港や書店」(中村一也さん)発行の古書目録№38が恵贈されてきた。この さらに2010年には佐渡市相川出身で、のちに神奈川県に移住した修験道研究家牛窪弘善の佐渡関係を中心とした資史料が、弘善の五男剛氏によって、私が勤務していた佐渡学センターへ一括寄贈された。牛窪弘善は『修験道綱要』(名著出版)をはじめとする多くの著書・ 小林昌樹(近代出版研究所所長)さんが、本書の解説「ブックコレクターとしての青柳 私には青柳が研究者と版元、古書・資料に取りつかれたコレクター等、大変魅力的な人物像として映り、次第に魅了されていった。ところが前述したように、青柳の業績が地元の佐渡では顧みられなくなっていたのである。菊地暁(京都大学人文科学研究所助教)先生は小林所長と同様に解説で、「民間伝承の会「支部」をめぐって」を書いてくださっているが、柳田國男に影響を受けたその当時の、島内の郷土史家たちによる「民間伝承の会佐渡支部」結成前後の時期から、資料採取の方針や中央集権的な姿勢、資料提供者にとめおかれること等、そのような姿勢に追従する佐渡の支部員の姿には、青柳は納得できなかったに違いない。そこからはじかれた青柳は、今まで自分自身が蓄積した業績を顧みられる機会がなくなってしまったのであろう。 この青柳に関する調査研究の成果は、自費出版で少部数の刊行を予定していた。ところが また、青柳の学歴、幼少期、青年期、郷土史研究の動機、東京時代の様子、日本中の研究者(趣味研究者・土俗・民俗研究者・蒐集家)との交流や関係性等、多くの課題も残したが、 今後、本書によって、青柳の生涯とその業績及び地方における謄写版による書籍・雑誌の
『知られざる佐渡の郷土史家・蒐集家-青柳秀雄の生涯とその業績』 |
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