ABAJ(日本古書籍商協会)創立50周年「記念国際稀覯本フェア」について
|
ABAJ(Antiquarian Booksellers Association of Japan)は、東京オリンピックの年1964年11月に、村口四郎(村口書房)、松村龍一(松村書店)、酒井宇吉(一誠堂書店)、纐纈宇恵雄(大屋書房)、新田勇次(雄松堂書店)、阪倉庄三郎(京阪書房)、中尾堅一郎(中尾松泉堂)、中尾良男(中尾書店)、藤岡健太郎(京都書院)、新田満夫の東京・京都・大阪の有力古書業者10名によって設立されました。翌年、ILAB(International League of Antiquarian Booksellers、国際古書籍商連盟)に加盟。
このILABは、1947年にイギリス・フランス・オランダ・デンマーク・スウェーデンの5か国の古書籍商協会によって発案され、翌年に10か国の連盟として発足しました。その目的は、世界大戦後でもありましたので、古書籍を通じた世界平和への貢献、業者同士の交流・相互理解を深めることで、各国間のわだかまりを無くすことにありました。現在では、34か国に及ぶ22協会が加盟し、約1,800社の会員を擁して、古書籍を通じての業者・研究機関・コレクターとの国際交流、盗難本の情報交換、4年に一度の書誌学賞の選定・授与など幅広い活動を続けております。標語は、”Amor Librorum Nos Unit”(書物を愛する心はひとつ)。 殊に、2年に一度世界の主要都市で行われる連盟及び担当協会主催のコングレスには多くの会員が参加し、会議・図書館見学・晩餐会などを通じて知見を豊かにし、交流を深めています。同時に行われます国際古書展にも多数の会員が出展します。昨年4月にパリで行われた第41回コングレスにはABAJから8名が参加、第26回国際古書展にも共同2ブースで8社及び地元業者との共同ブースで1社が出展しました。会場は、1900年の世界万博会場となったグランパレで世界から約180社が出展し4日間で大変多くの来場者があり賑わいました。 ABAJもこれまでに世界大会を2度招致したことがありました。結成から僅か9年の1973年(昭和48)9月に東京大会が開かれ、コングレスとしては第22回で世界から180名が参加。古書展は第5回目の開催で、高度成長の余韻もまだあり、オイルショック(10月より)の直前でもあったので大いに賑わいました。 もうひとつは、1990年(平成2)10月の東京大会で日本のバブル景気の頂点ということもあり、第30回コングレスに19か国から350名が参加。第13回の国際古書展も180社が出展し、来場者も1万人を超える程の盛況でした。この大会はILABにとっても記念すべきもののひとつに数えられております。 現在のABAJ会員は28社で、今年創立50周年を迎え、先月12日に記念謝恩パーティーを開催。併催の国際稀覯本フェア・プレビューも含めて多数の来場者がありました。 私自身も、雄松堂書店勤務時代に1973年の東京大会を経験し、1990年の大会では理事の一人として運営に参画。カザルスホールでのコングレスや歓迎の催し、また300名以上の外国人を引き連れての箱根小涌園での大宴会など、激務ながら楽しい思い出が残っております。また、ホテルグランドパレスで開かれた国際古書展の準備もてんやわんやで、今にして思うと良く出来たなあと思うくらいです。私もブースを持ち、それまでコレクションしていたもので、まさか売れないだろうと出品したら売れたという好印象が残っております。 今はとかくデジタル万能の時代ですが、その対極にあるリアルな原本・原資料の大切さをもう一度認識してもらういい機会になると思います。 |
Copyright (c) 2015 東京都古書籍商業協同組合 |