おさんぽ神保町とは
『おさんぽ神保町』は、千代田区神田神保町のタウン情報に特化したフリーペーパーです。サブタイトルに「神保町応援雑誌」と冠し、2006年に有志で編集部を発足しました。「神保町ファンによる神保町ファンのための情報誌」として年2回計8万部、通算150 万部以上を発行してきました。
街が変わっていく今、残したい
レトロで変わらない本の街のイメージがある神保町ですが、ここ最近は少し様子が変わってきています。コロナ禍以降、相次ぐ老舗の閉店や再開発の動きを耳にすることが増えました。岩波ホールの閉館や山の上ホテルの休館、学士会館の再開発、三省堂書店本店の建て替えなど、創刊当時からみても「神保町の顔」に変化が見えてきています。
「おさんぽ神保町」は、フリーペーパーであるがゆえに、読んだら破棄されてしまう宿命にあります。今年で20周年を迎えるにあたり、ひとつの書籍としてまとめ、街の記録を残すことを目的として、この「合本」を企画しました。発行した当時の掲載内容をそのままに、広告も含めて再録することで街の記録として残そうと考えたのです。
失われた風景も、楽しかった場所も、共に過ごした人々も、確かにそこに生きていた証を残したい。私はそんな本が欲しい。私自身が一番欲しいと思える本を作りたい――そう創刊した時と同じ気持ちに立ち戻りました。しかし同時に、ほかに欲しいと思う人がいなければ、この本は発行するべきではないとも感じていました。これは自己満足で作る本ではないと思ったからです。
そこでクラウドファンディングという形で賛同者を募ることにしました。方式はAll or Nothingとし、達成しなければ発行できないという条件で実施しました。
「この本はみなさんにとって必要ですか?」
そう読者や神保町ファンたちに問いかけたのです。
「合本」は神保町ファンとの共同プロジェクト
しかし募集をかけた途端、想像をはるかに超える勢いで賛同者が集まり、みるみるうちに情報が拡散されていきました。
私は神保町の一丁目に自宅兼事務所がありますが、クラファン期間中は家を出て一歩街を歩けば応援の言葉を掛けていただき、改めて人情味あふれる街であると実感しました。SNSでは糸井重里さんに何度も引用リツイートでコメントいただくなど、想定外の反響に驚きの連続でした。この本が世の中に必要とされていることを肌で感じ、発行を決断することができました。
かくして自費出版の「合本」は、編集部の枠を超え、神保町ファンたちとの共同プロジェクトへと発展していきました。
「単なる合冊だけでなく、20年を振り返る編集長の解説も読みたい」
「掲載店舗ごとの索引をつければ資料価値が高まる」
「本文がモノクロ? いつものフリーペーパーと同じくカラーで読みたい」
そんな声に応えていくうちに、想定800ページだった本文は、1000ページに膨らみ、モノクロからオールカラーへ。もはや〝神保町事典〟といえる規模になりました。
神保町ファンたちの熱量に、誰よりも私自身が驚き、何度も背中を押していただきました。
この本のみどころ
最大のみどころは、この20年間に渡る巻末地図の変遷です。地図は半年に一度の発行に合わせて約10名のスタッフが現地調査を行い、毎号100箇所以上は修正を重ねてきました。街の変化を克明に記録した成果です。さらに巻末に掲載した「店舗索引」も、記録をたどる上で重要な役割を担っています。
また、40号にわたる特集記事も見逃せません。「神保町100年書店」、「岩波書店と夏目漱石」、「レトロ建築さんぽ」、「古本屋さんで働く女性達」、「神保町レトロ喫茶」、「神保町で日本旅行」……本・食・歴史・人など、神保町を多彩な切り口で紹介してきました。
私の解説は、取材や日常生活のなかで、実際に見聞きしたことをもとに執筆しています。神保町で暮らす日々を書いたエッセイのようでもあり、街を記録したドキュメントのようでもあります。一年ごとに、その年になにが起ったのかを書き下ろし、これまで語ることのなかった、編集部の物語も込めました。
この本はこの街の未来に残すための記録です。そのために1000人の方に手にしていただきたいと願っています。遠い未来、神保町のどこかにこの本が残り、誰かの資料となり得たなら、この上ない喜びです。
書籍情報・ご購入方法
書店
三省堂書店神保町本店(小川町仮店舗)/東京堂書店/書泉グランデオンライン
おさんぽ神保町公式ECサイト
https://osanpo20th.base.shop
三省堂書店オンラインストア
https://ssdonline.books-sanseido.co.jp/view/item/000000000211
書泉オンライン
https://shosen.tokyo/

書名:『おさんぽ神保町2006-2025』
著者:おさんぽ神保町編集部
発行人:石川恵子
発行元:おさんぽ神保町編集部
判型/ページ数:A5変形判/1,000頁/オールカラー
部数:1000部(内500部はクラファン・予約販売で完売済)
価格:6,000円(税込)