月の輪書林古書目録を一考すかわじもとたか |
月の輪さん。お元気でしょうか。 今回、あなたの古書目録について書かせて貰いました。と、云ってもあの「ぶ厚い」古書目録だと、目録一冊につき一冊の本を用意しなくてはいけない量と内容です。それで今回は展示会(趣味の古書展、本の散歩展、五反田古書展、五反田遊古展)の手持ちの131冊と「本の散歩」(目録販売のみの4冊)の135冊分を対象にしました。 貴方の出す自家目録の評価は私が書くまでもなく定まっています。古書価が付いている事がまさしくソノことを意味しています。合同目録では一店が3~6頁ほどで22年間分でも拾い出せる量でした。 それでも、私の関心事が15ケほど、それ以外で20数項目を拾っても150頁程になりました。 月の輪さんの出品するものは古書古本の世界のなかではさほど高価なものはありません。 「桜井勉宛封書 Lダンボール一箱 戦前」と「西郷隆盛書簡」が 各150万で最高のものでした。 月の輪さん、それでもあなたの目録の凄さの一つは、資料の出先を明記していることです(これは文中を見てください)。これは驚きです。そして、私の知らない人が多いということです。著者名及び書込んだ人を「人名索引」を挙げましたが601人です。私の知っていたのは66.5%でした。20数年、面白書誌を作っていてもこんなものでした。 もう一つは、目録のなかへの「引用」です。これは他店にないものです。日記、手紙、文中からのもので「その長さ」です。自家目録13号では、石川利光の日記から何と33頁も引用しています。合同目録では度の越したものはありませんが、面白いものがありました。私も『古書目録にみた~』という本を出してきましたがこれ程のものは出来ませんでした。 さらに、私の興味を持つ装丁家名を挙げていることや追悼号や個人名のついた雑誌を載せてくれることなどで、これは嬉しい。 古書目録を読み記録する、です。読むに値する目録を出す貴方には感謝する次第です。あと一、二号くらいは生きていて受け取れそうですよ。また送って下さい。でわでは。 今回、一文を載せますからと一報下さったメルマガの藤原さん。有難うございます。また読んで下さった読者の方々。この本をぜひ一読下さい。少しは古書目録に興味を持っていただけると思います。 そして、千代田図書館には古い目録が9000冊以上あります。ギネスに登録できる数です。一度行って見て下さい。本の歴史が残されているかどうかが、その国の文化の尺度と云えるからです。
|
Copyright (c) 2016 東京都古書籍商業協同組合 |