古書店もこの福州路に散在しているので、街を歩いていても飽きない。何か発見のある 予感がするからである。古書店を見てみよう。
<山斗書屋>
雑誌の古書店である。雑誌なので棚に並べられず、平台売りが主であるが、雑誌が重なってしまうので、探すのが大変である。しかし店内は混んでいる。常連には、掘り出し物が ある書店なのであろう。
中国の書店では雑誌は売っていない。書店は書籍店なのである。中国は原則、国営書店 =新華書店が主流である。しかし雑誌は扱っていない。雑誌販売所は郵便局である。しかし 本業ではないので、力が入っていない。週刊誌など手のかかる商品は敬遠されている。雑誌の種類も少ない。
<雑記老銀輔>
36坪の古書店である。ジャンルによって売価を限定していることが面白い。学術、芸術 書18元(410円)、修養書11元(250円)、文学・小説11元、生活書11元である。店の 中は乱雑であった。
<明店特価書店>
一階(20坪)はベストセラー、文学書、子どもの本、実用書で、すべて一律15元(340 円)、二階(20坪)は小中学生参考書と作文書で、一律10元 (230円)である。夜訪店したので、二階にはお客様は一人もいなかった。
<特価図書城>
総合古書店で100坪近くある。レイアウトは変形だが、奥行は20間もあった。ベストセラーは8掛、それ以外の本は2掛~6掛である。中国では○○%オフの表現はせず、掛表示で割引率が明示されていた。この店は買いやすい店であった。繁盛店である。営業時間は 9時~22時、日本でいう新本特価店である。
日本流の古書店、古本店とはイメージが違う。ブックオフに近い書店群である。
国営書店で中国書店がある。この書店は中国古典を専門にする書店である。この書店の 中に古書らしき本はあった。歴史書の国営書店である商務印書館は各都市にある。この書店の棚にも古書らしき本は並んでいた。しかし売買行為は行っていない。
上海福州路は上海図書城を真ん中にした一本の商店街で、約500ある。個性的な書店を紹介してみたい。
<芸術書房>(民営)
一、二階の書店である。一階は書道、絵画、芸術専門書、書道・絵画用品、印鑑が豊富に陳列、販売されていた。一階奥売場20坪には画帳、水彩紙、油絵、ノリ、ハサミ、カッター、ボンド、クレヨン、書道紙、筆、墨、硯、印鑑が陳列、販売されていた。
二階売場は建築、写真集、デザイン、手工芸専門書のオンパレードであった。
芸術書房は上海最大の<上海書城>を向こうに回して、芸術書に関しては一歩も譲らぬ品揃えであった。
<上海音楽書店>(民営)
30坪の書店である。半分は書籍、半分は楽器を販売している。本は管楽器教本、バイオリン教本、ベース教本、音楽理論書、声楽、クラシック、民謡等。楽器はギター、ピア ノ、バイオリン、笛、二胡。その他CD,DVDである。営業時間は9時~21時。
最後になったが上海図書城の全貌を見てみよう。
各階に満遍なくお客様はいる。ブルーの制服の社員が目立った。男女比では4:6で、女性社員(公務員)が多い。各階の構成は次の通り。
一階 新刊、文芸、電子辞書、雑誌、インフォメーション
二階 文学史地階 文化典蔵、読者サロン
三階 人文社科館 社会科学、人文科学、軍事
四階 文化教育館 子どもの本、学参、辞書、教育書、言語
五階 科学技術館 理工学、医学・薬学、産業
六階 電子音像館 CD、ビデオ、DVD
七階 芸術珍蔵館 書道、絵画、レアブック
一番の圧巻は七階の芸術書売場である。流石、書の国中国である。歴代書家、名筆、書法の本がずらり。貴重書はウィンドウ内である。レアブックコレクションも注目である。
すべて陳列品はケースの中に収められ、鍵つきであった。
以上
能勢 仁
1933年(昭和8年)千葉市生まれ。慶應義塾大学文学部卒業、高校教師を経て、多田屋常務取締役、JBB取締役(平安堂FC部門)、アスキー取締役、太洋社勤務。1996年ノセ事務所設立。主な著書に「明治・大正・昭和の出版が歩んだ道」(出版メディアパル刊)、「本のことがわかる本・1~3巻」(ミネルヴァ書房)、「商人の機微」(中央経済社)など30数点。