シンガポールのブギス地区に、神保町といわれる古書店街がある。しかも日本では三省堂書店、東京堂書店の大型書店がある様に、この古書店街にも大衆書局本店がある。
五分以内の所に国会図書館がある。もう少し離れた所に紀伊國屋書店もある。文教、商業の併存する地区である。新刊の大型書店・大衆書局は後段で紹介したい。
〇国会図書館
この書店街はブラスバサ・コンプレックスの中にある。隣は国会図書館で、さらにその隣はブギス・ジャンクションSCである。コンプレックスは1.2階は古書店街、3.4階は新刊書店 (大衆書局)の集合体である。
1階の書店は路面店である。SC ビルの脇には多くの車が停まっていた。この通りはバス通りではないので、車で来店される人にとっては便利な書店街である。
1階で目立った古書店はミュージックブックショップであった。店頭 (街路) をフル活用した店であった。店名は「書城音楽書局」であった。こども、若者、女性にターゲットを絞った書店であった。CD、レコード、雑誌、書籍が店の内外に陳列されていた。面白いと思ったことは、この書店は写真のコピー、製本も受け付けていた。店内のカウンターでは三人の女性が忙しそうに働いていた。
バッシャーグラフィック書店では女性を意識したインテリア、写真集、実用書が陳列され、日本には少ないタイプの古書店であった。写真集が面陳列で豊富に陳列され、圧巻であった。
〇バッシャーグラフィック書店
〇バッシャーグラフィック書店
中国図書はこのSCの中の書店で一際目立った書店であった。それは店主が神経質な人なのであろう、断然綺麗な店で、閉鎖的であった。店は総ガラスで店内が見られた。旅行書、語学、児童書の専門店である。幼児用の可愛らしい椅子が店内に用意されていた。読者思いの書店であり、クリーンネスは満点であった。
〇中国図書
〇中国図書
ナレッジブックセンターは若者の店で、受験熱の高いシンガポールに相応しい書店である。
このSC内の書店は自店前、通路を有効に使っている。ワゴンセールでは1ドルセールが行われていた。各種の本が並べられ、本好きには掘り出し物が期待できそうであった。
〇ナレッジブックセンター
〇ナレッジブックセンター
現代書局は本と時計という珍しい組み合わせであった。ギターの専門店には楽譜、音楽書が豊富にあり、人気店らしく店内は混んでいた。このSCはすべての店が集客店であった。
〇現代書局
〇現代書局
永新書局は新刊を扱う店であるが、日本のブックオフに相当する店である。
シャッターの降りていた店も数店あったが、隣店で聞いたら閉店ではなかった。
〇永新書局
3、4階の新刊の大型書店 大衆書局の中心商品は小・中・高校の教科書、問題集、参考書である。三階売場は就学前児童向きの本、小学校初級向きのテキストブックに圧倒される。
初級用の会話、ききとり試験、初級文法、総合、変化、穴埋め読解力テスト、初級語彙等、実に詳密である。日本には無い品揃えである。国際都市を意識した書店である。こどものための学習環境で、母親達の積極さを店内で感じた。
〇大衆書局
〇大衆書局 店内の様子
四階売場は四〇〇坪と広い。こどもの本売場はその三分の一くらいあり、圧巻である。
母親の姿が多い。これに関連して、実用書の中でも料理書、芸術書が多かった。
地図、観光書も国際版で揃っている。風水は女性に人気なのか棚にぎっしり。ダイエット、栄養学、育児、服飾、ファッションと、女性とこどもには天国のような売場である。
〇大衆書局 店内の様子
〇大衆書局 店内の様子
社会科学、人文、経営、教育、自然科学の専門書も充実していた。
レジ周辺ではスナック菓子、飲料、保存食等の日常生活用品が売られていた。全体で約千坪の大型書店である。
能勢 仁
1933年(昭和8年)千葉市生まれ。慶應義塾大学文学部卒業、高校教師を経て、多田屋常務取締役、JBB取締役(平安堂FC部門)、アスキー取締役、太洋社勤務。1996年ノセ事務所設立。主な著書に「明治・大正・昭和の出版が歩んだ道」(出版メディアパル刊)、「本のことがわかる本・1~3巻」(ミネルヴァ書房)、「商人の機微」(中央経済社)など30数点。