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本とエフェメラ③大阪の古本エフェメラ――会場配置図と古書店街マップ

本とエフェメラ③
大阪の古本エフェメラ――会場配置図と古書店街マップ

小林昌樹(近代出版研究所)

■2005年から大阪方面に通う

 1989年に卒業旅行として一人で関西方面へ古本行脚に出かけたことがあるのだが、もう記憶のかなたである。なんば古書センターにも行ったような行かなかったような……。その後、永田町の図書館で引きこもり同然だった自分が関西方面に行くようになったのは、手元の古本エフェメラを整理すると2005年のことだった。当時まったく関西方面の土地勘がなかったので、ネットで知り合った古本フレンズの「神保町のオタ」さんにいろいろ聞いて行った。

■大阪2大古本まつり「天神さん」と「四天王寺」

 【図1】は初めて大阪天満宮、「天神さんの古本まつり」に行ったさいに拾ったチラシである。100円均一コーナーで、図書館短大の紀要ほぼ揃いを拾った。後にも先にもかようなレア(かつ古書価がつかない)資料を買ったのはここでだった。いまチラシの裏を見ると参加店が28店舗あることが分かり、そのうち「斜陽館」と「清泉堂倉地書店」で何か買ったことが押印から判る。


【図1】「天神さんの古本まつり」「天王寺べんてんさん青空大古本祭」のチラシ(2005年)

 「天王寺べんてんさん青空大古本祭」のチラシは、場内配置図になっており、そうそう、亀の池があったなぁと古本と直接の関係のないことが思い出される。最初に行った時には一人だったので会場の東でビールを飲んだのだが、店名が「ジローズバー」だったことがこのチラシから初めて判る。

【図2】は2006年のエフェメラ。「四天王寺春の大古本祭り」の葉書大チラシは、裏がスタンプラリーになっており、東西南北の4つのゾーンごとに200円で1つ押印してもらえるのが3/4埋まっているので結構古本を買ったことが判る。
 一方で「大阪ベイエリアブックバザール」には行った憶えがないので、四天王寺かどこかで拾ったチラシなのだろう。クライン文庫さんには店舗に2度ほど行ったことがある。いま旧ツイッターを検索すると2019年10月26日ごろ事故で急逝したことを思い出した。さらに検索すると、ご本人のアカウント(https://x.com/klein_nikki)も残っている。堂垣園江の小説『浪華古本屋騒動記』(講談社、2015)が面白いとあるが、まだ読んだことがない。


【図2】2006年の「大丸のふる本市」チラシなど

■大阪古書会館の古書展

 【図3】は2007年のチラシ類。谷町の大阪古書会館でやる古書即売会にもこの頃わりと行ったのだった。2004年に移転・新築しているので会場も充実していた。いまは亡き評論家、坪内祐三が大阪古書会館の感想を東京でしゃべっていたっけか。「谷町古本の会」がやっているが、事務局がクライン文庫さんだとチラシにある。


【図3】2007年のチラシ類

 四天王寺の大古本祭り配置図を見ると、2005年までとは変わって配置が狭くなっているのがわかる。しばらくこのスペースだったように記憶している。これがさらに南のほうへ広がったのが今年、2026年の春のことだと思う。参加店が増えたということで、昨今、古本がらみでは良いニュースが少なかったので嬉しかった。
 【図3】左の「古書即売会スケジュール」は東京古書会館で頒布されている「古書即売会一覧」と同類のチラシだが、ハガキ大のもの。これを見ていたら、当時、東京の古書マニアが古書展カレンダーを作成していたHPを見て週末古書展へ行っていたことを思い出した。この方は今もお元気かしら。感謝である。

■2010年は古本屋マップの年?

 【図4】は2010年のチラシ類だが、この年はなぜだか古本屋マップが豊作だった。特に関西大学社会学部の学生さんたちが作った地図が2種類もあり、「天神橋筋・中崎町界隈 古書店マップ」「天神橋筋・中崎町界隈 文化マップ」が私のような東京者にはとても役に立った。感謝である。


【図4】「天神橋筋・中崎町界隈 古書店マップ」ほか(2010年)

 よく見ると自分が鉛筆で大阪天満宮の西に「空閑文庫」と書き込んでいる。HPが残っており(http://kosyokugabunko.web.fc2.com/)読みは「クガブンコ」らしい(クウガの可能性も)。2013年8月16日に閉店とある。2度くらい行ったかなぁ……。喫茶店みたいなお店だった。古本屋地図に出てこない古本屋というものも、意外とあるのだった。

■「メ〜探偵 コショタン」と大阪古書会館で会う

 飛んで【図5】は2014年の古本チラシ。珍しいのは、週末古書展の知らせでなく、「古本屋になりまへんか??」というチラシ。「新古書店」でなく「従来型古書店」の場合、同業他社が増えたほうがパイが増えて相互に得になるというビジネスモデルらしいのだ。だからこそ、日本では神保町などに「古書店街」が形成されるのだが。
 自分が紀田順一郎先生に影響(?)されて古本屋になろうかと思った1980年代後半は、かような親切な催しなどあるわけもなく(むしろ古書籍業は極めて閉鎖的に見えた)、「時代」なんだなぁと思うしかないが、東京方面でも2000年代から古書組合がこの手の催事をやっていたように記憶する。そういえば2000年代後半に地元の古本屋、街の古書店が成り立たなくなり、専門店の一部が神保町に進出してきた動きも同時期にあったように思う。
 同チラシに見える山羊のゆるキャラ「メ〜探偵 コショタン」は谷町の古書会館古書展でホンモノ(?)を見かけたので声をかけたのだが、しゃべらない設定とのことで返事はいただけなかったのだった。もう10年近く前だろうか、自宅そばに古書組合の駐車場があったらしく、コショタンを荷台にプリントしたトラックと出勤途中ですれ違ったことを思い出した。


【図5】2014年のチラシ

■古本まつりの復活?

【図6】は近年のチラシである。2025年秋のものと比べると、四天王寺の古本市の会場が南へ広くなっているのが判る。
 「第6回古本通り@アルデ新大阪」のチラシが右に見えるが、新大阪駅で古本即売会が始まっていたとはまったく知らず、去年、たまたま取材で呼ばれて大阪へ行った際に新大阪で降りたら古本が売っていて驚いた。たまたま歩いていたら古本市に出くわすというのはやはり去年、広島でもあったことだったが。けっこう古本市も復活基調にあるのかなぁ。


【図6】近年のチラシ

■次回は…

 古本エフェメラはやはり東京、とりわけ神保町がらみのものがとても多い。神保町を取り上げるとけっこう1回で収まらないかもしれないので、むしろ東京だが神保町以外の古書店に関するエフェメラを取り上げたい。やはり中央線沿線が多くなりそうな予感。



小林昌樹(こばやし・まさき)
 1967年東京生まれ。1990年と92年、慶應義塾大学文学部を2回卒業。2021年国立国会図書館を早期退職し、近代出版研究所を設立。近代書誌懇話会代表。現役時代の秘伝テクニックを盛り込んだ『調べる技術』がヒット。それを応用して書いた前代未聞の『立ち読みの歴史』は五大新聞紙すべてで紹介。専門は図書館史、近代出版史、読書史。


書名:『近代出版研究』第5号
特集「エフェメラって?――軽薄短命の紙がみ」
発行:近代出版研究所
発売:皓星社
発売日:2026年4月7日
ページ数:368ページ
定価:3,300円(税込)
判型:A5判並製
ISBN:978-4-7744-0882-8

好評発売中!
https://libro-koseisha.co.jp/publishing/9784774408828/

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