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メールマガジン記事 シリーズ世界の古本街見て歩き

世界の古本街見て歩き11(最終回) 内モンゴル・フフホト 文化商城編

世界の古本街見て歩き11(最終回) 内モンゴル・フフホト 文化商城編

能勢 仁(ノセ事務所)
 内モンゴル自治区は中国の一部である。大相撲で活躍する力士達はモンゴル国(首都ウランバートル)の人達で、中国ではない。内モンゴルの省都はフフホト(HOHHOT,呼和浩特)で、モンゴル語で青い城の意である。面積は日本の4.1倍、人口は 305万人である。上海から飛行機で2時間半で到着する。標高は1,000m以上である。遊牧民と草原の地方として有名だが、現状は砂漠化現象に悩まされている。従って牧草も減り遊牧は禁止されている。そのため遊牧民は固定牧民化している。彼等は平均的に羊200頭を保有し、観光シーズン(5月~9月)には国も観光に力を入れている。想像以上に生活は文化的で収入も多い。筆者もその一人で、彼等の生活の場であるパオ(ゲルともいう)を訪問し、生活現場を見せてもらった。調度品、生活用具、食糧事情の良さに驚いた。

〇遊牧民のパオ

 フフホトは文化都市である。七つの大学があった。(1)内モンゴル大学(2)師範大学(3)工業大学(4)農業大学(5)医学校(6)財経学院(7)専門学校である。出版物はデジタルと共に必須教材であることを目にした。その象徴が今回紹介する文化商城である。神保町に集まる学生たちと思えばよい。

 内モンゴル師範大学の前に文化商城がある。この商城は民営書店を中心として、文具、万年筆、画材、ゲーム, 紙, DVD, パソコンソフトを含めた文化用品を扱う集合マーケットである。国営の新華書店は中山西路のメイン通路に面してある。市内に国営書店は新華書店一店だけである。ワンフロア 800坪の総合大型書店である。(詳しくは後述)市民の書店であり、市内大学生の利用店でもある。

〇文化商城

<文化商城>

 この商城の最大のうりは海賊版(盗版)である。学生はお金が無いので盗版を買う。半値である。正版は棚に並んでいるが、盗版は聞かれれば出される日陰書籍である。しかし学生にとっては魅力100%の商品である。この商城には書店33店(路面店 24店、二階店9店)であった。

商城の周辺は学生街である。文化商城の前に師範大学があり、近くには内モンゴル大学、医学校、工業大学等がある。もう一つの特徴は家族連れの多いことである。商城の周辺には商店も多く、ショッピングセンター街の環境である。夫婦共働きが当たり前の中国では、休日は家族単位で過ごすことが多い。中国人は外食の好きな国民である。街内で、家族が食事をすることは生活の一部である。社会主義国の特色は階級意識のないことである。国民すべてに平等が染みついている。少しでも良い、高い生活を望むとすれば、北京、上海等大都市に出て働くことである。求められるのは教育である。こどもを少しでも良い学校、大学に入れることを願わない親はいない。フフホト市は省都ではあるが、生産都市ではない。まだまだ観光、農業(牧畜中心)都市である。しかし年々若者が中国本土で学ぶことが多くなったと識者から聞いた。さもありなんと思う。

〇文化商城 通りの様子


〇文化商城周辺の古書店

<書城案内>

 店の売場面積は4坪から25坪である。大きい書店では蒙古学文化書店と医薬書店があった。前者は蒙古に関する歴史、地誌、政治、文化を中心とした総合書店であった。平台には美術書もあった。書架7段の上の壁面には蒙古らしいタペストリーが多く飾られていた。

〇蒙古文化書店

〇蒙古文化書店

 医学書店はこの書店街では一番小綺麗な店であった。入口には立派な花が飾られていた。

〇医薬書店

 殆どの書店は間口2間、奥行2~3間である。扱っている書籍は参考書、辞書、各種試験問題集(公務員、会計、法律等)、教育書、大学教材、コンピューター書と各種であった。お母さん方の小中生問題集の買いあさりが目立った。

<国営書店・新華書店>

 文化書城の古書、バーゲン市場に比べて、新華書店は三階にあるワンフロア 800坪の総合大型書店である。1,2階は市内一番の電器店である。店中央を走るエスカレーターで三階にゆく。ガードマンのお迎えを受ける。お客様の手荷物を、店側で用意したリックサックに入れて、背負わせるのである。万引き防止の一方法である。預かるサービスもあった。

〇国営新華書店外観

 この預かり方式はNYマンハッタンの書店で、筆者も経験している。入店者全員の荷物を入店時に店側で預かるのである。

この新華書店で第二の驚きがあった。それは子どもの本売場の隣が子ども服売り場であった。客層を考えれば、合理的なコラボレーションである。売り場は800坪あるから、とにかく広い。全ての分野の本が並んでいる。レジも8台を多い。この店の照度が低いことが気になった。これは新華書店全体に言える。もう一つ、サービスの悪さは国営書店の特色である。12時になれば、お客様のレジ前の行列に関係なく、半分のキャッシャーは昼食に行ってしまう。

〇国営新華書店 店内の様子

〇国営新華書店 レジの様子




能勢 仁
1933年(昭和8年)千葉市生まれ。慶應義塾大学文学部卒業、高校教師を経て、多田屋常務取締役、JBB取締役(平安堂FC部門)、アスキー取締役、太洋社勤務。1996年ノセ事務所設立。主な著書に「明治・大正・昭和の出版が歩んだ道」(出版メディアパル刊)、「本のことがわかる本・1~3巻」(ミネルヴァ書房)、「商人の機微」(中央経済社)など30数点。

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