本の数だけ、人生がある『青春と読書』編集長 加藤啓一 |
集英社の読書情報誌『青春と読書』は、1966(昭和41)年9月に創刊されました。 2018年に創刊50周年を迎える小社の『週刊少年ジャンプ』の2歳年上になります。 毎月20日発売、バッグにすっぽり収まるA5判サイズの小社刊行書籍のPR誌として定着しております。誌面構成は、新刊情報をメインに著者インタビュー、対談、書評、そして連載小説、エッセイなどを掲載しております。過去には、作者の新境地を切り開く、椎名誠『岳物語』、さくらももこ『もものかんづめ』などの話題作、第144回直木賞受賞作の木内昇『漂砂のうたう』などの意欲作が本誌連載作品から刊行されております。 さて、1966年の創刊から時代は移ろい、いま、わたしたちが暮らしている中で、「青春」というワードに出会うことはあるでしょうか。小誌創刊の高度経済成長期は、テレビドラマも歌謡曲も小説も「青春」に埋め尽くされていました。誰もが恥ずかしいとも意識することなく、「青春」を声に出して語り合っていました。いまの若者(いや高齢の方も含めて)のスマホ依存のように「青春」に依存しておりました。成功も失敗も「青春」のせいにしていました。創刊50年を超える歴史の中で、もしかしたら、「青春」はもう古臭いからという理由で『青春と読書』のタイトル変更の話が出たことがあるかもしれません。しかし、先人たちへの感謝を込めて、よくぞ『青春と読書』の誌名を変えずにいてくださいました!と言いたい。初恋の頃の甘酸っぱい気持ち、挫折した時のやり場のない怒り、悲しみ、それは、年齢に関係なく、誰もが共有できる「青春」の思い出です。 そして、幸福感を増幅させてくれる「読書」との出会い、絶望感から這い上がらせてくれる「読書」の力。まさに、本の数だけ人生があります。 詩人サミュエル・ウルマンの言葉に「青春とは人生のある時期をいうのではなく、その人の心の様相をいう」があります。すなわち、「青春」は永遠です。「読書」も読み方に紙と電子版の違いはあっても、「読書」の本質は不変です。 毎月、お手元に届く『青春と読書』から、あなただけに見える「青春」を探し出してください。 『青春と読書』編集長 加藤啓一
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