日比谷図書文化館特別展 「大正モダーンズ 大正イマジュリィと東京モダンデザイン」日比谷図書文化館 副館長 岩渕 博 |
日比谷図書文化館の13回目の特別展です。これまでも出版の街、千代田区にふさわしい企画を、と進めてまいりましたが、今回は大衆文化が花開いた大正~昭和初期にかけての出版文化を中心としたグラフィックデザインの精華を紹介します。 本展の趣旨等につきましては添付いたしましたURLからご覧ください。ここでは全体の構成と主な展示物をご紹介します。皆さまのご来館をお待ちしています。 会場の構成 [全6章] 第1章「大正のデザイン 杉浦非水と大正の商業図案」 グラフィックデザイナーの先駆けと呼ばれる杉浦非水のデザインと、当時の商業図案を紹介。非水の図案や装丁、またパンフレット『三越』など三越のデザイナーとしての仕事、さらにたばこのパッケージデザインを紹介。また、『商店圖案撰集』第1輯は当時としてはめずらしい多色刷で、鮮やかな色が特徴。30点を展示します。 第2章「東京大正パブリケーション 美術家たちの挑戦」 出版文化が興隆した大正時代に若い美術家たちはブックデザインを実験の場とし、様々な表現に挑戦しました。藤島武二による与謝野晶子の歌集などの装丁、杉浦非水、橋口五葉、岸田劉生、津田清楓、古賀春江、竹久夢二などの前衛的なブックデザインを紹介します。 第3章「子供ワールドと華と女性 カワイイの原点」 エレン・ケイの『児童の世紀』の流行もあり、大正時代には子供を尊重すべきであるという風潮が生まれ、子供を育てる女性の世界もまた広がっていきました。子供向けの絵本、雑誌、文庫などが多く出版され、竹久夢二や蕗谷虹児らが少女をモチーフとしたデザインを数多く手がけました。『少女の友』をはじめとした雑誌表紙や、杉浦非水と巌谷小波コンビの『子宝』、さらに乙女向けの絵はがきや絵封筒などを紹介。 第4章「新時代のジャポニスム 小村雪岱と浮世絵イマジュリィの世界」 一度は打ち捨てられた浮世絵が江戸時代を知らない若い芸術家たちによって、明治末から大正にかけて再注目されました。小村雪岱、鏑木清方や橋口五葉などの挿画、口絵など大正時代の浮世絵スターを紹介します。 第5章「ポップ・カルチャーの洗練 映画、演劇、舞踏のパンフレットデザイン」 第一世界大戦後の好景気などで中間層の人々まで文化的な楽しみを享受するようになり、演劇、映画、クラシック音楽、レビューなどが盛んになり、その宣伝用の斬新なパンフレットやポスターなどが生み出されました。1923年開館の道頓堀松竹座の『松竹座ニュース』や公演パンフレット、平井房人等の『宝塚少女歌劇脚本集』、竹久夢二の「セノオ楽譜」や斎藤佳三の「日本ビクター楽譜」、橘小夢による水の江瀧子ら少女歌劇スタアのイラスト画、カジノフオーリーレヴューのプログラムなどを紹介します。 第6章「銀座・東京モダニズム 大正のファッション&ライフスタイル」 震災後の新しい街並みと連動して、東京のファッションが変わり、モボ、モガが登場し、デザインにもその様子が描かれます。竹久夢二、亀井実、多々谷信乃らの木版画が表紙に貼られた『婦人グラフ』や、当時の化粧品の広告、資生堂をはじめとしたマッチラベルのコレクション、高畠華宵が表紙を飾った『少女畫報』『少女の國』に加え、斎藤佳三の提案した「リズム模様」を施した「リズム浴衣」の生地見本や、当時の流行色の色見本や資料なども紹介します。 皆さまの参観をお待ちしています。
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