北陸古本案内 その1オヨヨ書林 山崎 有邦 |
東京で10年営業し、金沢に移転してからも早10年が経とうとしております。 今年の冬は暖かくて物足りない、一昨年の大雪の時は、なんて会話が普通に出てくるほどになりましたし、お客さんからまとまった蔵書を任せていただく事などもあり、徐々にこちらに馴染みつつあるのかなと思います。 移転の後、古本屋ツアー・イン・ジャパン、小山さんのご来店を待ち焦がれていましたが、なかなかお見えになられませんので致し方なく、今回は私の方で石川県の古本屋を紹介させていただきます(敬称略)。因みに、古ツアさんのブログでは、2008年6月に文学堂と明治堂が紹介され、「金沢は離れた場所に店が点在している。時間が少ないのもあったが、ダッシュで二店が限界でした。」それはその通りなのですが、街の規模自体がそれほど大きくないため、丸一日あれば街なかの古本屋は大方回れるかと思います。 まずは、創業が寛政元年という老舗中の老舗・近八書房。郷土史や仏書、和本などが隙間なく並び、古書肆然とした佇まい。古書店が登場するテレビ番組の撮影にも使われることがあるそうです。 加能屋書店(武蔵店)は、美術書・郷土史・文庫を中心とし、各分野まんべんなくバランスよい品揃えです。 金沢文圃閣は、自動車販売店の一角を利用した、“3冊で500円均一”コーナーが、文字通りのガレージセール。雑多な書籍や雑誌が堆く積み上げられ、質・量ともに「コミガレ」に勝るとも劣らず充実しています。掘り出し物も多く、ここ目当てに訪れる古書ファンも多い店です。近代書誌・書物学の文圃文献類従シリーズなど、出版も手がけています。 文学堂は、こぢんまりとした店構えで、文学書が多い。古くから続く店で(現在は2代目)、仕入れた本に、こちらの店の値札ラベルがついていることがよくあります。落ち着いた茶色で、屋号の背景に白山連峰が版画風にあしらわれた、蔵書ラベルの見本のような、たいへん洒落たデザインです。 あうん堂は今年で創業17年目というブックカフェ。在庫冊数はそれほど多くないものの、丁寧にセレクトされた本とおいしいコーヒーで、本好き・本の話好きの集う店となっています。一箱古本市など、イベントも積極的に開催されています。 高橋麻帆書店は、神保町・田村書店の洋書部にて修行。ドイツ語を中心とした稀覯書、版画等を取り扱い。店舗はなく、目録販売、ギャラリー・古書市等での展示販売などが中心です。 古ツアにも掲載の明治堂は、現在はネット販売を中心とした営業となり、店は閉まっていることが多いようです。 そして弊店ですが、最初に金沢に引っ越したときは、竪町でしたが、その後、長町にせせらぎ通り店が出来、竪町店は新竪町店に移転。絵本や文芸書をメインにしたせせらぎ通り店と、美術書とその通信販売をメインとした新竪町店の2店舗にて営業中です。 次に街なか以外の店を。一日で回るのは車がないと少し難しいかもしれません。 古書Duckbillは、深谷温泉の先、山の上の薪ストーブのある古民家にて営業。天井までの手作りの本棚に、人文・社会科学系の学術書から美術書まで、幅広い品揃えです。 古本一刻館は、コミックがメインのお店です。 古本LOGOSは、能登半島の先端、珠洲市飯田のイングリッシュ・カフェ内にて、週末のみの予約営業。今年は奥能登国際芸術祭(トリエンナーレ)の第2回目が開催されるので、それにあわせての訪問もおすすめです。 KIZUKI BOOKSは小松市。メインは中古農機具の販売ですが、併設された古本屋も絵本を中心としたなかかなの品揃えです。広めの店内にゆったりとレイアウトされた居心地のよい店です。 古本屋巡りのお供に、石川古書組合にて「石川の古書店案内」を発行しています。たいていの店で配布しておりますので、まずはこの地図を手に入れられる事をお勧めします。 次回は富山県・福井県の古本屋を紹介の予定です。 オヨヨ書林 |
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