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メールマガジン記事 日本の古本屋メールマガジン2010

日本の古本屋メールマガジン その97 11月25日号

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      。.☆.:* その97・11月25日号 *:.☆. 。
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☆INDEX☆
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  1. 『昔日の客』秘話 関口直人
  2. 『古本屋名簿―古通手帖2011』刊行  折付桂子
  3. ニッポン洋行御支度史(6) 旅行会話集   西出勇志

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━━━━━━━━━━【『昔日の客』秘話】━━━━━━━━━━

『昔日の客』秘話

              関口直人

 復刊された「昔日の客」(夏葉社)がご自宅に届いたであろうその
日に、紅野敏郎先生は亡くなられたそうです。その後間もなく、女
優の長岡輝子さんが百二歳の天寿を全うされました。長年「昔日の
客」でいらっしゃったお二人のご冥福を、心よりお祈り致します。
 
約三十三年前のことです。還暦を機に随筆集を出版しようと、父は
原稿を日夜推敲していました。しかし、殆ど完成した頃に、癌で余
命一、二ヶ月と宣告されてしまったのです。まだ数編書きたい話が
あると言う父に、病のことは知らせませんでした。私は祈りました。
せめて私の手帳の最後のページまで父を生かして下さい、と。フリ
ーのダイアリーには途中までしか日付を入れていなかったので、そ
れが何日となるかは分かりませんでした。父は五ヶ月近く延命でき、
その間にいろいろなことを語り合えました。山高登さんと本の装丁
や口絵の打ち合わせも出来たのです。そしてまさに、私の手帳のち
ょうど最後のページの日、父は五十九歳であの世に旅立ったのでし
た。
 
翌年、完成した「昔日の客」(三茶書房)を読んで下さった尾崎一
雄先生から、母は聞きました。日本エッセイスト・クラブ賞に推薦
して下さったと言うのです。残念ながら賞の規定で、作者は生きて
なければなりませんでした。ですが母は、先生が推薦して下さった
ことに感激し、嬉し涙が止まらなかったのです。その日、先生のお
住まいのある下曾我から国府津までを歩いている間ずっと、父の魂
が一緒にいるのを感じたと母は言っておりました。父もきっと嬉し
くて飛び回っていたに違いありません。
 
先日、駒場の日本近代文学館を夏葉社の島田さんと母と三人で訪ね
ました。父が寄贈した本達、上林暁文学書目と尾崎一雄文学書目に
登場した彼等と共に、焦茶色の「昔日の客」がひっそりと棚にあり
ました。嘗て父がこの地下室で彼等との再会を約束したのだと思う
と、感慨深い気持ちになりました。間もなく、その隣りに、新たに
寄贈された萌黄色の「昔日の客」が並ぶことでしょう。いつの日か、
息子達を連れて再訪したいものと思いながら、文学館の森を後にし
ました。

  『昔日の客』夏葉社刊・好評発売中
    http://natsuhasha.com/

━━━━━━━━【『古本屋名簿 古通手帖2010』】━━━━━━

街の古本屋さんを応援します!
―「古本屋名簿―古通手帖2011」刊行―

日本古書通信社編集部 折付桂子

あなたの街に古本屋さんはありますか?
古本屋巡りのガイドブックとして広く愛用していただいた「全国古
本屋地図」に代わり、このたび「古本屋名簿―古通手帖2011」を出
版いたしました。お散歩用「地図」ではなく、全国の古書組合加入
のお店2000余軒の基本情報をコンパクトにまとめたデータブックで
す。東京古書組合TKI運営部に基本データの提供を、各県組合に情
報確認のご協力をいただいた上で、できるだけ個々の書店にメール、
FAX、電話で直接取材しました。住所・電話番号・取扱分野などに加
え、店主のひとことPRには、ここにしかない生の声が入っています。

全国古書即売展ガイド・著名作家署名一覧など便利な付録も付けま
した。実は、今回の「名簿」の形にするまでには編集部も本当に悩
みました。本を取り巻く環境が大きく変わり、古本屋巡りをする方
は激減、商店街はさびれ新刊書店同様、古本屋さんも減ってきてい
ます。ネット販売に切り替えるお店も増え、駅ごとに散歩する従来
の「地図」のようなかたちでの紹介は難しくなってしまいました。

古本を検索するなら「日本の古本屋」というとっても便利なサイト
もあります。住所さえわかれば、PCでもケータイでも正確な地図を
得られます。一方、そんな中で、ネットでは情報が得難い小さな街
の古本屋さんがまだ頑張っている部分もあるのです。そこをなんと
かつなぎたい、便利なツールは利用しつつ、漏れてしまいがちなア
ナログな部分も掬い上げて使ってもらえる本にしたい、という思い
で作り上げた一冊です。「地図」はありませんが、現在の日本の古
本屋さんの情報が新書サイズにぎゅっと詰まっています。

店主のひとことPRとして、地域に根付いた「街の古本屋」であるこ
とを挙げる方が多かったことは大変印象的でした。その言葉が象徴
するものを大事にしてゆきたい、そしてそういう古本屋さんと読者
をつなぐ雑誌と本を出し続けたいと改めて思います。

是非、お手にとってご覧ください(なお、今回収録できなかった各
地域の特色や地域ならではの資料、催事などについての紹介を、一
部ではありますが「日本古書通信」12月号に特集いたします。また、
「古本屋名簿」出版までの苦労話は、小社HPの「古本屋名簿便り」
に掲載しています)。

 http://www.kosho.co.jp/kotsu/

「古本屋名簿―古通手帖2011」新書判 256頁 税込定価1260円
直接のご注文はこちらまで(メール便送料160円がかかります)
kotsu@kosho.co.jp

お近くの新刊書店やアマゾンでも購入できます。

━━━━━━━【読者プレゼント*終了しました】━━━━━━━

 日本古書通信社 『古本屋名簿 古通手帖2011』に
たくさんのご応募ありがとうございました。

  当選者は次号の日本の古本屋メールマガジンにて発表致します。

━━━━━━━━【ニッポン洋行御支度史(6)】━━━━━━━━━

「ニッポン洋行御支度史」旅行会話集

                        西出勇志

 曾我廼家五郎(1877~1948)をご存知だろうか?
曾我廼家十郎とともに、近代日本で最初の本格的喜劇団を創設、明
治、大正、昭和にかけて活躍し、日本の喜劇王と呼ばれた男である。
型破りな人物で、1914(大正三)年に突然、ヨーロッパへ出か
けてしまった。新派の川上音二郎一座のように海外公演をするため
ではない。西欧の演劇を見たいという思いはあったものの、当時で
は極めて珍しい、観光のための海外旅行なのである。

しかも「一言半言をも外国語を解さぬ」(「曾我廼家五郎洋行日記」
)のに、女優志願の愛人との二人旅。五郎はヨーロッパで第一次世
界大戦に巻き込まれるなど、波乱に満ちた日々を送った。親交のあ
った作家村上浪六は「曾我廼家五郎洋行日記」に寄せた一文で「世
界的の大戦争に出喰し、その渦中に生涯一度の転手古舞を演じ、西
に東に北に南に追われ逐われて、生命からがら遁げ帰りし」と書き、
五郎を「喜劇の主人公」そのものだと記している。
ドラマティックな滞欧の日々を過ごして帰国した五郎を神戸で出迎
えたのは、まだ子どもだった二代目渋谷天外。後に松竹新喜劇の創
設者となる喜劇役者、劇作家である。その天外は自らの回顧録で、
五郎の洋行について触れている。

大戦の最中、旅先で出会った欧州派遣将校、寺内寿一(後の元帥陸
軍大将)の上着をしっかり握ったまま放さなかったなどのエピソー
ドなど、大阪弁しかしゃべれない五郎のハチャメチャな旅を紹介し
た。その命綱は「会話のルビつき辞典二冊」だったらしい。つまり
旅行会話集である。

続きはこちら
   http://www.kosho.ne.jp/melma/1011/index-1.html

×        ×       ×
雑誌「ホテル・ジャンキーズ」65号(2007年12月刊)初出
に加筆

【プロフィール】にしで・たけし 1961年京都市生まれ。都内
の報道機関から東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)に出
向中。携行品を通した日本人の海外旅行史「モノ語り ニッポン洋
行御支度史」をホテル愛好者のための雑誌「ホテル・ジャンキーズ」
に連載中。

━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━━

自著を語る
新曜社 『本は物である 装丁という仕事』桂川 潤 著

http://www.shin-yo-sha.co.jp/

http://www.asahi-net.or.jp/~pd4j-ktrg/

古本屋ツアーインジャパン1年を振り返って(仮題)
   小山力也
    http://blogs.dion.ne.jp/tokusan/

━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━

11月~12月の即売展情報
⇒ http://www.kosho.or.jp/servlet/sokubai.ksB001

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  【バックナンバーコーナー】
  ⇒ http://www.kosho.ne.jp/melma/

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  次回は2010年12月下旬頃発行です。お楽しみに!
└─────────────────────────┘

*゜*.:*☆ 本を売るときは、全古書連加盟の古書店で ☆*.:*゜*
全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,300店加盟)の略称です

http://www.kosho.or.jp/public/buyer/search.do

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日本の古本屋メールマガジンその97 2010.11.25

【発行】東京都古書籍商業協同組合:広報部・TKI
     東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
     E-Mail melma@kosho.ne.jp (メールマガジン専用)
     URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
     広報部:西村康樹
編集長:藤原栄志郎

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