個展開催報告と古書組合について高橋秀行 (前 東京古書組合事務局長) |
「日本の古本屋」メールマガジン291号で、私の個展案内を掲載させていただきましたが、その結果報告と今回の原稿についてお話ししたいと思います。 まず個展についてです。本年1月末の銀座界隈は、まだ新型コロナウイルスの影響はさほどではなく、海外から日本に観光に来たと思われる大勢の中国の人や諸外国の人が中央通りを闊歩していました。個展は、その影響が多少感じられる中での開催でしたが、お陰様で多くの知人、友人、絵画関係、古書業界の方々がご来場くださり、大盛況のうちに終了致しました。誌上をお借りして厚く御礼を申し上げます。 来場者の中では、特に古書業界の方々が多く見えてくださり、私が古書組合を退職してから十年余経ちますが、その間お会いする機会が無かった方もいらして、とても懐かしく、また、元気なお姿を拝見して本当に嬉しく思い、個展を開催して本当に良かったと心底思いました。また、古書組合の百年史編纂委員会様からは会期に合わせ立派な生花を頂戴し、会場に華を添えていただきました。そのうえ、メルマガ誌上に執筆させていただく機会まで設けてくださり、古書組合のご厚意には感謝に堪えません。 では実際に個展自体はどうだったのかということですが、銀座というのはやはり特別な場所だということでした。美術評論家の瀧悌三氏や清水康友氏、「美術の窓」の磯部靖氏もご来場くださり、特に瀧先生は「美じょん新報」に私の絵の批評を掲載してくれました。また、清水先生とは古書即売展の話で盛り上がり、画廊の社長さんからは幾人かの画家を紹介していただき、その方から恩師の近況も知ることができました。ある高名な画家からは私の絵の批評も直接いただきました。このように、画壇という存在があるのかどうか、私にはよく分かりませんが、美術の世界も銀座という場所を中心に動いているという実感が致しました。 画家という職業は、社会的には芸術家として一目置かれたりしますが、とても生活ができる職業ではありません。実際に年収500万円を得るためには、月間コンスタントに40万円売らねばなりませんが、そのためには材料費、取材費、額縁代、画廊の手数料、運送費等々の必要経費も必要ですので、自分の手間賃はほとんど度外視しても月に100万円位売り上げないと並の生活ができないということになります。売れるような完成度の高い絵を仕上げるためには何か月もかかりますので、この日本の不況下で専業画家として生計を立てている方は、ほんの十数人に過ぎないと思います。 話は変わりますが、せっかくメルマガの執筆を許されたので、古書組合という組織について、少しお話したいと思います。 全国の古書組合は、全国古書籍商組合連合会という組織でまとまっています。この全国組織は任意の団体ですが、長い歴史があり、会員は各府県の組合単位です。個人の組合員が加盟する会ではなく、組織としての組合が加盟しますが、現在、本部は東京組合が担当しており、理事長は東京組合の理事長が就任しています。……続きは次回に、では。 |
Copyright (c) 2020 東京都古書籍商業協同組合 |