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東京古書組合百年史について

東京古書組合百年史について

ペンネーム 古書太郎

私と古書との関係についての話は非常に古い。私が飯田橋の大学に通っていた頃、授業の合間に30分ほど歩いて神保町の古本屋さんに通っていた。若い頃から古本には特別興味を抱いていたからである。別に収集癖がある訳ではないが古書店で古本を眺めるのが好きであった。その趣味は半世紀以上経った今でも変わらない。百年史を読むと若い頃から行きつけていた懐かしい古書店の名前が沢山でてくる。創立の古いと言われる一誠堂、音楽関係の古賀書店、洋書の田村書店、古典の八木書店、理系の明倫館など名前を挙げれば枚挙にいとまがない。私は理系であったので明倫館とフランス文学に興味を持っていたので田村書店2階の洋書部には頻繁に通った。

この度発行された百年史には第一章が鹿島茂さんの古本屋が生き続けた克明な歴史、鹿島さんの文章や講演はいつ読んでも聴いても詳しい上に面白い。以前に読んだ神田神保町書肆街考も大変面白かった。巻頭を飾るに相応しい読み物である。古書店と云えば先ず神保町が思い浮かぶが、古本の虫である私は勿論本郷、早稲田、中央線沿線などの古本屋さんもめぐっている。従って長年買い集めた本は沢山あるが、今でも大切にしている。特に大切な本には外箱がない場合にはそれに相応しい箱を作っている。

今回の百年史には五十年史と違って箱がない。当然箱を作った。曽て製本を勉強したこともあって市販品に負けないものを作る自信はある。
古本屋さんの販売形態も百年史にあるように「日本の古本屋」というネットによる販売が増えて来た。これも時代の趨勢で当然の事なのでしょう。しかし少々老人の繰り言を言わせれて頂ければ元来本は手に取って自分でページをめくりながら読んで買うのが一番良い。

五十年史には著名な作家である永井荷風や中野重治、尾崎一雄といった方の「そとからみた古本屋」という欄があり、非常に興味深かったが、今回はそれがなかったのが残念である。作家は当然読書家であり古本あさりをしたに違いない。そのような人の経験や思いは古書店にとって非常に役立つのではないでしょうか。最後に今後の古書店の新しい時代へ向けての繁栄を心より祈念いたします。

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