古書店街に馳せるーー過去から未来へペンネーム 閃 |
二年ほど前から神保町の古書店街に足を運び始めた。この百年史の中では殆ど最後の時期にあたる。神保町にある古書店はどれも歴史を感じさせるような店ばかりであるが、その本当の歴史については知りようが無かった。この百年史は、私が見ることのできなかった、古書店街の歴史を教えてくれるものだと思い、手に取った。
本書を通して、古書店街の本当の歴史を伺い知れた気がする。古書店街の歴史という点では、特に第一章から、今の古書店街の姿は徐々に形作られて来たものであることが分かった。それと同時に、これまでに姿を消した古書店もあったことを知った。つまり、私がたまたま目にできている「今」の古書店街は、東京古書組合の百年という時間の終着点での姿ではあるが、また他方では、その姿は変化の一時点のものに過ぎないのだとも感じられた。 第三章の「今後の百年のために——若手インタビュー&アンケート」からは、題にある通り、今後の百年を育む土壌を紹介しているように思われた。東京古書組合の今後の歴史も何らかの変化を伴うものであろうが、ここで回答されていた方々が中心となって作り上げ、さらにその次世代へと繋いでいくのだろうと想像せずにはいられない。そうして作られる未来の古書店・古書店街の姿は、「今」と異なるものなのか、異なるのであれば一体どのようなものになるのか、このように想像してみるばかりか実際に目にしたいと思うようにもなった。 古書店街の過去の歴史を知るために手に取ったはずの本書に、これからの古書店街の姿への好奇心を駆り立てられてしまった。これまでの古書店街の歴史は、その殆どを、本書を通して知ったが、これからの歴史は日々実見できるものであろう。未来に起こりうる変化を捉えるためにも、また古書店街へと足を向けずにはいられなさそうだ。 |
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