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メールマガジン記事 シリーズ古書の世界

古本屋開業記2

古本屋開業記2

古本&カフェ じゃらん亭 内山武明

前回、19号台風のことを書きましたが、今回はもう少し前の開業までのことも書いてみたいと思います。数年前から古本屋の開業を考えて、不動産を探し始めたのですが、なかなか条件に合うところが見つからずにいました。
不動産を探すうえでは、バックヤードなどの面積がある程度あること、家賃などの固定費があまりかからないことを重視し、商業的な立地はあまり重視しませんでした。地方ですと、場所によっては、面積の割にかなり安く借りることができますので、倉庫的な機能を重視することを考えていました。

あちこちの物件を見ましたが、徐々に観光地でなじみのある小布施町の物件に絞っていきました。町で斡旋する空き物件などもあるのですが、中心地の店舗として使われている建物以外は、あまり表に出てこないため、知り合いなどを通じて探すしかないと考え始めました。小布施町で行われていたイベントでの実行委員として、古本市を行うなどの手伝をしていると、空いている古民家があると紹介していただき、現在の建物をめぐり合いました。養蚕などを行っていた古民家で、面積も結構あったため、管理などに不安も感じたのですが、建物に魅力が有ったので、開業することを前提に片付けなどを行い、改修を行いました。不動産を探し始めてから、数年かかったと思いますが、その間に店舗に置くための在庫を増やすなどの準備を進めることもできました。周りは住宅地や農地なので商業的な立地としては、あまり良いところとは言えないのですが、その後の台風やコロナのことを考えると、固定費を抑えるようにしていたことは、結果的に良かったと思います。

扱っている本は、郷土の本や自然やアウトドアの本などを多くし、特色を出すようにしています。これからの古書店は専門店という考えもあります。地方で専門店というのはちょっと難しいかもしれませんが、品揃えに特色を出した方がいいと思っていました。特にネット販売などもできることを考えると、独自色を強めた店づくりに挑戦してみるのも面白いかもしれません。そんなことを考えていましたが、台風後に災害関連の本が求める人がいたこと、ここ数年、災害が多発していること(今年も)等から、災害や河川などの本を集めてみると面白いかも知れないと思いました。自然科学や野生動植物などの専門書店はありますが、地理の専門書店というのは、あまり聞きませんし、災害関連書籍の古書店というのも聞いたことがありません(あったら御免なさい)。

そうは言っても災害の本など簡単に集められるわけはありません。古本屋の仕入れは、主にお客さんからの買取と同業者間の交換会(市)の2種類になります。お客さんからの買取は、欲しいものが必ずしも入ってくるとは限りません。交換会では、ある程度欲しいものが手に入りますが、それでも災害関係の本などは、なかなか出てくることはありません。それでも災害関係の本を欲しいなどと同業者に話していると、伊那市高遠のA書房さんから、東日本大震災以降に集めていた災害の本があるが、在庫を整理しているので、見に来ないかという話がありました。訪れてみると関東大震災や長野県の水害、地震に関する貴重な本が多数あり、譲っていただくことになりました。その後も業者の交換会で地震や土砂災害に関する本が出てきたり、地理関係の本の買取の話があったりと、不思議と関係するものが集まり始めています。もしかすると、じゃらん亭「災害文庫」を立ち上げることができるかもしれないと妄想していますが、まだまだいつになるかわかりません。

jyaran

古本&カフェ じゃらん亭 ツイッター
https://twitter.com/igveuuxvqdwzjpt

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