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古書店開業記3(コロナ禍の中で)

古書店開業記3(コロナ禍の中で)

古本&カフェ じゃらん亭 内山武明

実家の19号台風の後片付けが済んでから、平常の営業に戻し、年が明けて、2月頃からレコード寄席や浮世絵に関するイベントなどを行いました。徐々にお客さんや買取りも増えてきました。季節も暖かくなってきて、これからという時に、コロナの流行が始まり、来客数の低下、古書組合の交換会(市場)の休止、催事などのイベントの中止が相次ぎました。家にいる期間が長くなったので、片づけを行う人が増え、買取りが増えているという話もありましたが、当店の場合、買取も減りました。

第1波が収まった6月頃には、お客さんが戻ってきましたが、その後は、また低下し、いつの間にか開店1周年を迎えて、今に至っています。
幸い、コロナ流行前に買取りした在庫などがあったため、ネット販売することで、なんとかやっています。
コロナの影響はしばらく続くと思いますが、古本業界にも大きな影響があり、変わっていくことも多いだろうと思います。コロナ前から、無店舗インターネット専業の古本屋は増える傾向がありましたが、その傾向にますます拍車がかかって増えていくだろうと思います。

ネット販売の古本屋と店舗での販売をする古本屋の大きな違いは、目に見えるお客さんがいるかどうかというところもありますが、在庫のとらえ方の違いも大きいと思います。極端なことを言うと、インターネットの販売は、在庫は全て販売してしまって無くなっても構わない(また仕入れれば良い)ということにもなります。これに対して店舗では、そういうわけにはいきません。いかに魅力的な在庫を保持していくかということになります。
市場の休止も2ヶ月ほど続き、古本の流通には大きな影響がありました。当店では、今、災害関連の書籍を集めていますが、特定の分野のものを揃えようとすると、古書組合の市場は欠かせません。6月には長野県の古書組合の市場は再開しました。長野県の災害に関する書籍(善光寺地震、伊那の三六水害、浅間山、御嶽山など)については、長野県の市場である程度揃えることができましたが、長野県に関係するもの以外は入手も難しく、東京の市場などに行きたいのですが、コロナのため遠方に出かけることは控えています。

市場でも、目的のものが必ずしも手に入るわけではありません。たいていは何十冊もの束になっており、欲しいものばかりではありません。特殊なものを集めようと思えば、目当てのものが少しでも入っている束に入札し、必要なものを残し、残りは、また市場に出すということを繰り返し、気長に集めていくしかありません。
コロナの影響で、新刊本も含め、本の流通や情報のやり取りは、ますますネットへの依存が進んでいくことになると思いますが、こうした中で古本屋として生き残っていくためには何が必要なのか考えてみました。

 一つは前回書いたことですが、得意分野を持ち、個性的な品ぞろえを目指すこと、2つめは、古いものの面白さ、良さを積極的に発掘、発信して、アピールするということが必要ではないかと思います。ネットの情報は、最近の事は非常に詳しい反面、少し昔のことになると極端に情報が少ないということがあります。懐かしいと思う層だけではなく、若い層にも古いものの面白さを積極的に発信していく必要があると思います。
変化が激しく厳しい時代ですが、古本という魅力のある商品を扱っていることに自信をもって、乗り切っていこうと思います。

jyaran

古本&カフェ じゃらん亭 ツイッター
https://twitter.com/igveuuxvqdwzjpt

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