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書物という挑戦

書物という挑戦

西谷能英

 つい最近、論創社のはからいで『出版とは闘争である』という少々挑発的な名をもつ書物を刊行することができた。この本の「はじめに」で書いたように、本書は前著『出版文化再生――あらためて本の力を考える』(未來社, 1991年)刊行後に「出版文化再生ブログ」ブログ(未來社ホームページおよびココログに掲載中)で書きつづけている出版にかんする文章をセレクトし、テーマ別に再編集したものである。内容は、削除したもの以外は、書いたときの気分をそのままに生かすため、必要最小限の修正と若干の注を追加するにとどめている。

 ブログという形式は書きたいテーマを書きたいときに書いて、すぐアップできるという情報伝達上の利点がある。原則としてひとつの文章はその日のうちに基本的に書き切ること、その文章を一両日中にブログにアップすることにしている。はじめのうちは断片的なものが多かったが、しだいに長めの評論的なものが増えてきたのは自分でも意外な展開であった。本気になってブログを書こうというモードになったのであろう。未來社のPR誌「未来」の連載コラム[未来の窓]をまとめた前著にくらべて、こちらはブログ初出ということもあり(途中から一部を「未来」に掲載するようになったが)、出版人という制約を超えて一個人として相当大胆な発言をしてきたせいもあって、短期間に万を超えるアクセスがあった文章もあった。たえずフォローしてくれるひともいて励まされていることは間違いない。

 しかしながら、わたしには書物という形態にこだわりがあり、ブログであってもそこで書かれた文章を一冊の書物のかたちにすることにはやはり特別な思いがある。現に親しい友人はこんなふうに書いてくれた。《ブログなどで接していた時は「一過的な情報」として読み過ごしていたのに対し、命がけの飛躍を経て書籍となった場合はその文章が「思索の結晶」になっていて、読み過ごすことができるものではなく、「思索の結晶」を思索することが求められていることに気づいた(……)ブログの情報と書籍の表現とは、極端に言えば、別物》というわけで、そんなふうに読んでもらえることは著者としてはうれしいかぎりである。

 出版を本業としている人間にとって、最終的な審級としての書物があるということはゆるがせない問題である。本が売れない状況にもかかわらず、出版や知や書物の問題自体を問う書物を刊行するということはこういう状況への挑戦なのである。そしてそこに著者と読者との新たな関係が見えてくるという厳然たる事実こそ、書物という〈命がけの飛躍〉の帰結であり、そのことこそが書物を刊行することのほんとうの意味なのかもしれない。



tousou

『出版とは闘争である』 西谷 能英 著
 論創社 本体2,000円+税 好評発売中!
 
http://www.ronso.co.jp/index.html

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2015年3月25日 第178号

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☆INDEX☆
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
1.『広告写真のモダニズム』は古書とともに 松實 輝彦
2.雑誌ケトルと無駄について考えた      嶋 浩一郎

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━━━━━━━━━━━━【自著を語る】━━━━━━━━━━━


『広告写真のモダニズム』は古書とともに

                      松實 輝彦



 中山岩太はモダニズム期と呼ばれる1930年代の日本で、新興写真
の牽引者として関西を拠点に活躍した写真家であった。本書は中山
が撮影した一枚の広告写真「福助足袋」をめぐって、当時の写真界
やデザイン界を主とする視覚文化メディアが経験した衝撃や、その
文化的変容を写真史の観点から考察したものである。と書きだすと、
なにやらお堅いだけの専門書かと思われてしまいそうだが、さにあ
らず。記述にあたっては古書濃度をうんと高めに設定して、鋭意取
り組んだつもりである。



続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=2086


『広告写真のモダニズム 写真家・中山岩太と一九三〇年代』
松實 輝彦 著 青弓社刊
定価:3000円+税 好評発売中
http://www.seikyusha.co.jp/wp/books/isbn978-4-7872-7370-3


━━━━━━━━━━━【編集長登場(14)】━━━━━━━━━━


 雑誌ケトルと無駄について考えた
                         嶋 浩一郎


雑誌ケトルを創刊したのは4年前。コンセプトは「無駄が詰まった
雑誌」。創刊号は本屋特集だったのだが、特集の中で典型的な書店
員のペルソナを解き明かすべくアンケートを実施した。結果、書店
員は長男が多くて、A型が多くて、AKBなら篠田真理子好きというこ
とが判明。そんな情報が何のために役立つのかと思う人もいるのだ
ろうが、僕は雑誌には何のために役に立つのか分からない“雑な”
情報がたくさん入っているべきだと思うのだ。アシモフは“人間は
無駄を楽しめる唯一の動物”と言ったそうだが、無駄を楽しむこと
ほど贅沢な体験はないと思う。


続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=2091

『ケトル vol.23 辞書と図鑑が大好き!』
太田出版刊 定価900+税 好評発売中
http://www.ohtabooks.com/


━━【神保町さくらみちフェスティバル~春の古本まつり~】━━


2015年 神保町さくらみちフェスティバル ~春の古本まつり~

【 日 時 】 2015年3月27日(金)~3月29日(日)
       午前10時~午後6時(雨天中止)

【 会 場 】 神田神保町古書店街 靖国通り歩道
【参加規模】 参加店 約40店舗  ワゴン台数 約90台
【後  援】 千代田区
【協  力】 靖国通り商店街連合会

ホームページ
  http://jimbou.info/news/sakura_2015.html

━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━━


『新天理図書館善本叢書』 第1期 国史古記録 全6巻
八木書店 4月刊行開始
http://www.books-yagi.co.jp/pub/index.htm


新天理図書館善本叢書刊行記念「古典籍の至宝」展
天理大学附属天理図書館
4月23日(木)11:00~16:00
http://www.tcl.gr.jp/index.htm

『明治・大正の広告メディア 正月用引札が語るもの』
  熊倉 一紗 著 吉川弘文館 本体2,400円+税 好評発売中!
 http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b190513.html

『出版とは闘争である』 西谷 能英 著
 論創社 本体2,000円+税 4月発売予定
 http://www.ronso.co.jp/index.html


━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━
3月~4月の即売展情報
https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

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日本の古本屋メールマガジンその178 2015.3.25

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:殿木祐介
編集長:藤原栄志郎

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2015年3月11日 第177号

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   古書市&古本まつり 第29号
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━━━━━【3月10日~4月15日までの全国即売展情報】━━━━━

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第8回 上州大古本まつり(群馬県)

期間: 2015/03/10~2015/03/15
場所:群馬県庁 県民ホール(前橋市大手町1-1-1) 

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有隣堂イセザキ本店・古書ワゴンセール(神奈川県)

期間:2015/03/10~2015/04/02
場所:有隣堂伊勢佐木町本店

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第364回 東京愛書会

期間:2015/03/13~2015/03/14
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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杉並書友会

期間:2015/03/14~2015/03/15
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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第71回 シンフォニー古本まつり(岡山県)

期間:2015/03/18~2015/03/23
場所:岡山シンフォニービル1F  自由空間ガレリア

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たにまち月いち古書即売会(大阪府)

期間:2015/03/20~2015/03/22
場所:大阪古書会館 6階 中央区粉川町4ー1(谷四と谷六の中間)

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第22回 弁天町 ORC200古本祭り(大阪府)

期間:2015/03/20~2015/03/26
場所:弁天町 ORC200 2Fオーク広場

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趣味の古書展

期間:2015/03/20~2015/03/21
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
  
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オールデイズ(名古屋)

期間:2015/03/20~2015/03/22
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田5-1-12

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新橋古本まつり

期間:2015/03/23~2015/03/28
場所:新橋駅 SLひろば

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札幌ブキニスト in チ・カ・ホ(札幌市)

期間:2015/03/24~2015/03/31
場所:札幌駅前通地下広場
  
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浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2015/03/26~2015/03/29
場所:JR浦和駅西口下車 
   さくら草通り徒歩5分 マツモトキヨシ前

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神保町さくらみちフェスティバル~春の古本まつり~

期間:2015/03/27~2015/03/29
場所:神田神保町古書店街(靖国通り沿い)
  
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和洋会古書展

期間:2015/03/27~2015/03/28
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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五反田遊古会

期間:2015/03/27~2015/03/28
場所:南部古書会館  品川区東五反田1-4-4

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中央線古書展

期間:2015/03/28~2015/03/29
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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第6回 五台山 古本まつり(高知県)

期間:2015/03/28~2015/03/29
場所:高知市 五台山展望台1階
高知県高知市五台山

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BOOK & A(ブック&エー)

期間:2015/04/02~2015/04/05
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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西武本川越 ペペ古本まつり(埼玉県)

期間:2015/04/02~2015/04/13
場所:西武新宿線 本川越駅前 ペペ広場

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倉庫会(名古屋)

期間:2015/04/03~2015/04/05
場所:古屋古書会館 名古屋市中区千代田5-1-12 

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紙魚之會

期間:2015/04/03~2015/04/04
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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第6回 つちうら古書倶楽部の大古本まつり!(茨城県)

期間:2015/04/03~2015/04/12
場所:茨城県土浦市大和町2-1 パティオビル1F 
   常磐線土浦駅西口より徒歩1分

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反町古書会館展(神奈川県)

期間:2015/04/04~2015/04/05
場所:神奈川古書会館1階特設会場
横浜市神奈川区反町2-16-10

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青札古本市

期間:2015/04/09~2015/04/12
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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有隣堂藤沢店・古書フェア(神奈川県)

期間:2015/04/09~2015/04/22
場所:有隣堂藤沢店 4階催事場
藤沢市南藤沢2-1-1 フジサワ名店ビル 2・3・4・5F 

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書窓展(マド展)

期間:2015/04/10~2015/04/11
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 

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春の古本掘り出し市(岡山県)

期間:2015/04/15~2015/04/20
場所:岡山シンフォニービル1F 自由空間ガレリア
岡山市北区表町1丁目5-1

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日本の古本屋メールマガジンその177 2015.3.11

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雑誌ケトルと無駄について考えた

雑誌ケトルと無駄について考えた

嶋 浩一郎

雑誌ケトルを創刊したのは4年前。コンセプトは「無駄が詰まった雑誌」。創刊号は本屋特集だったのだが、特集の中で典型的な書店員のペルソナを解き明かすべくアンケートを実施した。結果、書店員は長男が多くて、A型が多くて、AKBなら篠田真理子好きということが判明。そんな情報が何のために役立つのかと思う人もいるのだろうが、僕は雑誌には何のために役に立つのか分からない“雑な”情報がたくさん入っているべきだと思うのだ。アシモフは“人間は無駄を楽しめる唯一の動物”と言ったそうだが、無駄を楽しむことほど贅沢な体験はないと思う。

映画を見るのも、本を読むのも何かと理由を付ける人が多い。広告業界にいる自分が言うのもなんだが、“泣ける映画”とか“アイデアが出る本”とかコンテンツの効果効能をアピールし過ぎなのではないか?
いつどこで役に立つか分からない情報に出会えることこそ雑誌の魅力なんだと僕は思っている。そんなわけで、村上春樹特集では村上春樹に出てくる全サンドイッチをリサーチ。田舎に新幹線で帰る時にはハムサンドを、厳しい仕事の前にはキュウリとハムとチーズのサンドイッチを、セックスをした後にはレタスとソーセージのサンドイッチというふうにシチュエーションによってどんなサンドイッチを選ぶべきか調べてみた。まあ、この情報が凄く役に立ったという読者が現れたら最高なのだが、まあ、新しいことを知るだけでも人間は興奮する動物だと思うのだ。

ところで次号の特集は“バックトゥーザフューチャー”。なのだが、この映画は伏線だらけの映画である。前のシーンに出て来たほんの些細なセリフが重大な局面を救うことになるのだ。たとえば、主人公マーティーが教会でもらったビラのおかげで過去の落雷事故の時間が分かり、それが現代に戻る重要な手がかりになる。あるいはタイムマシンを発明したドクが「トイレで滑って便器に頭をぶつけた時にタイムマシンを思いついた」と話していたことを過去のドクに伝えることでマーティーが本当に未来から来た人間だと信用させた。

映画の作り手は、あるシーンやあるセリフが、次のプロットにどう繋がるか分かっている。ある意味、神の視点でストーリーをつくることが出来る。しかし、映画の中の登場人物は未来に起きることを知らない。
映画の伏線は些細なモノであるほど見るものを感心させる。え、あのシーンがこんなに役に立ったんだ!と。ケトルに満載される無駄な知識や情報もバックトゥーザフューチャーの伏線のようにいつかどこかで大化けしてくれたら嬉しい。ちなみに、日本で公開される映画で“全米一位”ってキャッチコピーを使ったのは「バックトゥーザフューチャー」が一番最初なんだそうです。

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太田出版刊 定価900+税 好評発売中
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『広告写真のモダニズム』は古書とともに

『広告写真のモダニズム』は古書とともに

松實 輝彦

 中山岩太はモダニズム期と呼ばれる1930年代の日本で、新興写真の牽引者として関西を拠点に活躍した写真家であった。本書は中山が撮影した一枚の広告写真「福助足袋」をめぐって、当時の写真界やデザイン界を主とする視覚文化メディアが経験した衝撃や、その文化的変容を写真史の観点から考察したものである。と書きだすと、なにやらお堅いだけの専門書かと思われてしまいそうだが、さにあらず。記述にあたっては古書濃度をうんと高めに設定して、鋭意取り組んだつもりである。 その証拠をふたつ。巻頭の「はじめに」では、地元の古書店で掘りだした雑誌「広告界」の新年号附録『広告辞典1931』を使って、4ページ分の記述をやりくりした。そして巻末の「あとがき」では遠征先の古本市にて、ダンボール箱一杯の紙束の中から引き抜いた60年前の神戸大丸の運動会プログラムについて、3ページにわたり浪費もとい記載した。

こんな調子であるから、中身の全5章についても心配ご無用である。中山岩太の写真が袋表紙となった神戸市観光課の絵葉書セット、中山が装丁した唯一の(と思われる)箱入りの歌集、中山写真室のスタンプが押印された歌手・松島詩子の肖像写真(新発見)等々。また中山以外にも、板垣鷹穂が打ちだした機械美学のマニフェスト『機械と芸術との交流』、峰岸義一による奇天烈なシュールレアリスム雑誌「巴里・東京」、資生堂が発行した『立体写真像(銅像)』という変てこな小冊子、パリ老舗菓子店WEISSのかわいさ満点のチョコレートカタログ(1930年頃)等々。あれこれ間断なく登場する資料をとおしてモダニズム時代の空気が伝わるよう、細工は抜かりなく施したつもりだ。

ただ、本書でいちばん描きたかったのは、モダニズム期から戦時下へと移ろいゆくはざまにあって、芸術写真にも広告(報道)写真のどちらにも邁進できずに葛藤する写真家・中山の姿なのだが、その肝心な箇所については少々心許無い。こればかりは読者の方々が手にとっていただいたうえで、その評価を仰ぐしかない。

一枚の広告写真を追いかけることから始まった本書は不肖の博士論文が基になっており、多くの方々からの協力と支援を賜ることでようやく完成したものである。関係各位に深く感謝いたします。そして同じくらいに多くの古書たちにもお世話になった。根気よく古書の地層を掘れば、何かしら珍しそうなものは出てくる。だがそれがいったい何なのかは、大抵いつも謎だらけなのだ。それでもめげることなく、身銭で仕入れた小さなスコップひとつで、硬くうねった写真史の古書地層をこれからも掘りつづけてゆく所存であります。

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『広告写真のモダニズム 写真家・中山岩太と一九三〇年代』
松實 輝彦 著 青弓社刊
定価:3000円+税 好評発売中

http://www.seikyusha.co.jp/wp/books/isbn978-4-7872-7370-3

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2015年2月25日 第176号

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1.ABAJ(日本古書籍商協会)創立50周年記念
 ABAJ(日本古書籍商協会)会長 八木 正自
2.『図書週報』復刻の意義と経緯 国立国会図書館 小林 昌樹
3.『作家の原稿料』
        お茶の水女子大学文教育学部准教授 谷口 幸代

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━━━━【ABAJ(日本古書籍商協会)創立50周年記念】━━━━━

ABAJ(日本古書籍商協会)創立50周年記念
国際稀覯本フェア ―日本の古書・世界の古書―


          ABAJ(日本古書籍商協会)会長 八木 正自

 ABAJ(Antiquarian Booksellers Association of Japan)は、東京
オリンピックの年1964年11月に、村口四郎(村口書房)、松村龍一
(松村書店)、酒井宇吉(一誠堂書店)、纐纈宇恵雄(大屋書房)、
新田勇次(雄松堂書店)、阪倉庄三郎(京阪書房)、中尾堅一郎
(中尾松泉堂)、中尾良男(中尾書店)、藤岡健太郎(京都書院)、
新田満夫の東京・京都・大阪の有力古書業者10名によって設立され
ました。
翌年、ILAB(International League of Antiquarian Booksellers、
国際古書籍商連盟)に加盟。


このILABは、1947年にイギリス・フランス・オランダ・デンマーク
・スウェーデンの5か国の古書籍商協会によって発案され、翌年に10
か国の連盟として発足しました。その目的は、世界大戦後でもあり
ましたので、古書籍を通じた世界平和への貢献、業者同士の交流・
相互理解を深めることで、各国間のわだかまりを無くすことにあり
ました。現在では、34か国に及ぶ22協会が加盟し、約1,800社の会員
を擁して、古書籍を通じての業者・研究機関・コレクターとの国際
交流、盗難本の情報交換、4年に一度の書誌学賞の選定・授与など幅
広い活動を続けております。



続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=2028


表記の古書展示即売会が3月5日(木)~7日(土)、東京九段下・ホ
テルグランドパレス2階大宴会場ダイヤモンドルームで行われます
(入場無料)。
 当日は、国内有力札幌・東京・京都・大阪・熊本の25社、世界8
か国20社の古書店が出展。この古書展は2~3年に一度催されるも
ので、歴史、文学、思想、美術などの人文系、経済、社会など社会
科学系の資料、古文書、古典籍、古地図、錦絵、書簡、原稿、中国
古刊本、洋古書など、数千円から数千万円のものが展示即売されます。
 出品の一部をまとめた古書目録が発行されております。

「国際稀覯本フェア2015 日本の古書 世界の古書」
2015年3月5日(木)~7日(土)開催
会場:東京九段下ホテルグランドパレス
主催:ABAJ(日本古書籍商協会)
http://www.abaj.gr.jp/news/20141101.php



━━━━━━━━━━━【自著を語る番外編】━━━━━━━━━━


『図書週報』復刻の意義と経緯


                国立国会図書館 小林 昌樹



 古本ずきならば、即売会などで『古本年鑑』(1933~1937年刊)
というフシギな年鑑を目にしたことがあるだろう。古本についての
雑誌記事などが転載されていたり、古書籍商の一覧表があったり、
難読書籍や著者の一覧があったり、古書業者向けなのか、愛書家
(古本ずき)向けなのかよくわからない雑多な情報が満載されている。
これを発行したのは沼津にあった古典社という出版社で、山林地主の
息子だった渡辺太郎(1903~1995?)が経営したものだった。

続きはこちら
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 『図書週報 昭和前期書物趣味ネットワーク誌』
 金沢文圃閣刊 全巻揃予価180000円(配本毎分売可)
 2月下旬発売予定


━━━━━━━━━━━【自著を語る番外編】━━━━━━━━━━


「『作家の原稿料』刊行に寄せて ―経済事情の夢と現実―」


        お茶の水女子大学文教育学部准教授 谷口 幸代

「夢の印税生活」という文筆業への憧れを語る常套句があるが、
では、作家の収入は実際にはどれほどのものなのだろうか。そもそ
も作家が筆一本で生活できるようになるのはいつ頃なのだろうか。
たとえば文豪・夏目漱石は「吾輩は猫である」でいくらの原稿料を
得て、それは漱石にとって生活費だったのか、それとも副収入だっ
たのか。



続きはこちら
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『作家の原稿料』
浅井清・市古夏生監修/作家の原稿料刊行会編著
2015年2月25日発売予定
定価:9,720円(本体9,000円+税)
http://www.books-yagi.co.jp/pub/

━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━━

『広告写真のモダニズム 写真家・中山岩太と一九三〇年代』
松實 輝彦 著 青弓社刊
定価:3000円+税 好評発売中
http://www.seikyusha.co.jp/wp/books/isbn978-4-7872-7370-3


『ケトル vol.23 辞書と図鑑が大好き!』
太田出版刊 定価900+税 好評発売中
http://www.ohtabooks.com/


━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━

2月~3月の即売展情報

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

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日本の古本屋メールマガジンその176 2015.2.25

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:殿木祐介
編集長:藤原栄志郎

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2015年2月11日 第175号

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   古書市&古本まつり 第28号
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有隣堂イセザキ本店・古書ワゴンセール(神奈川県)

期間:2015/01/24~2015/02/22
場所:有隣堂伊勢佐木町本店 
横浜市中区伊勢佐木町1-4-1
※雨天中止

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第5回 古書・古本市(群馬県)

期間:2015/02/02~2015/03/08
場所:戸田書店 高崎店

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伊勢原とうきゅう即売展 (神奈川県)

期間:2015/02/02~2015/03/10
場所:伊勢原とうきゅう 3F催事場
   神奈川県伊勢原市桜台1-3-3

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酒蔵の街の読み歩き くらもと古本市 vol.5(長野県)

期間:2015/02/07~2015/02/15
場所:諏訪五蔵(信州舞姫、麗人、本金、横笛、真澄)  
   中央本線上諏訪駅 徒歩10分

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リブロ池袋本店 春の古本まつり

期間:2015/02/10~2015/02/19
場所:西武池袋本店別館2階=特設会場(西武ギャラリー)

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好書会

期間:2015/02/14~2015/02/15
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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有隣堂センター南駅店・古書フェア(神奈川県)

期間:2015/02/15~2015/02/24
場所:有隣堂 センター南駅店 店頭ワゴン販売 ※駅構内
最寄駅:横浜市営地下鉄センター南駅(改札を出て直進、右前方。

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ぐろりや会

期間:2015/02/20~2015/02/21
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 

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たにまち月いち古書即売会(大阪府)

期間:2015/02/20~2015/02/22
場所:大阪古書会館(大阪市中央区粉川町4-1)

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新宿古書展

期間:2015/02/22~2015/02/23
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
※初日は11時開場です。

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第6回 水の都の古本展(大阪府)

期間:2015/02/26~2015/02/28
場所:大阪市中央公会堂(2階/第6・7・8会議室)
   大阪市北区中之島1丁目1番27号 
URL:http://osaka-koshoken.com/?page_id=54
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浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2015/02/26~2015/03/01
場所:JR浦和駅西口下車 さくら草通り徒歩5分 マツモトキヨシ前

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西部展

期間:2015/02/27~2015/03/01
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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下町書友会

期間:2015/02/27~2015/02/28
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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第73回 彩の国所沢古本まつり(埼玉県)

期間:2015/03/04~2015/03/09
場所:くすのきホール 西武線所沢駅 東口 西武第二ビル8F

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「ABAJ創立50周年記念国際稀覯本フェア2015 日本の古書 世界の古書」

期間:2015/03/05~2015/03/07
場所:ホテルグランドパレス 2階 ダイヤモンドルーム 
東京都千代田区飯田橋1-1-1
URL:http://www.abaj.gr.jp/special/vol001/index.php

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第163回神戸古書即売会(兵庫県)

期間:2015/03/06~2015/03/08
場所:兵庫古書会館 神戸市中央区北長狭通6-4-5

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城南展

期間:2015/03/06~2015/03/07
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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古書愛好会

期間:2015/03/07~2015/03/08
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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第364回 東京愛書会

期間:2015/03/13~2015/03/14
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
URL:http://aisyokai.blog.fc2.com/

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杉並書友会

期間:2015/03/14~2015/03/15
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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日本の古本屋メールマガジンその175 2015.2.13

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
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【発行者】
 広報部:殿木 祐介

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2015年1月26日 第174号

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☆INDEX☆
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1.「2014年の古ツアをふり返る」
  古本屋ツアーインジャパン 小山力也
2.『猫本屋はじめました』      大久保 京
3.『伏字の文化史』    牧 義之
4.日本古書目録大年表    解説 鈴木宏宗

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━━━━━━━━【古本屋ツアー・イン・ジャパン】━━━━━━

古本屋ツアー・イン・ジャパンの2014年を振り返って              

               古本屋ツーリスト 小山力也

毎年この時期に、どうにか切り抜けた古本屋さんと古本まみれの
一年を回顧して、この場を借りて書き記しているのだが、全体的に
各年を並列して俯瞰してみれば、それはほぼ同じことの繰り返しで
ある近似値な一年一年であるはずなのに、それでも一度として同じ
一年はないのである。  

続きはこちら
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『古本屋ツアー・イン・ジャパン』 2008年5月からスタートした、
日本全国の古本屋&古本が売っている場所の、全調査踏破を目指す
無謀なブログ。お店をダッシュで巡ること多々あり。「フォニャルフ」
の屋号で古本販売に従事することも。ブログ記事を厳選しまとめた
『古本屋ツアー・イン・ジャパン 全国古書店めぐり 珍奇で愉快な
一五〇のお店(原書房)』と、神保町についてまとめた『古本屋ツ
アー・イン・神保町(本の雑誌社)』が発売中。

http://furuhonya-tour.seesaa.net/

━━━━━━━━━━━【自著を語る(128)】━━━━━━━━━━

『猫本屋はじめました』

                 書肆 吾輩堂 大久保京

 本書は書店や古本屋での勤務経験が全くなかった人間が、猫に対
する愛と妄想の果てに作った「書肆 吾輩堂」の開業から現在に至る
までを綴ったものです。著者である私や対談相手はもちろんのこと、
編集者やデザイナー、カメラマン、ライター、そして校正者に至る
まで猫好きの集団で作り上げた渾身の一冊と自負しています。出版
の話が来た時は「開業して日が浅いし、書くことはないのでは…」
と心配しましたが、編集者と打ち合わせを重ねるにつれ、あれもし
たいこれも書きたいという事が膨らみこのような形になりました。

 続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=1990

 『猫本屋はじめました』 著者 大久保 京
  洋泉社刊 定価1500円+税 好評発売中
  http://www.yosensha.co.jp/book/b185621.html

━━━━━━━━━━━【自著を語る(129)】━━━━━━━━━━

「伏字とは何であったのか」

                       牧 義之

 名古屋大学での院生時代に、私は大学付属図書館で書架整理のア
ルバイトをしていた。返却された本を棚へ戻す作業の合間に、目に
付いた古めかしい本を手にとってはパラパラと見ていた。ある時、
スターリン/ブハーリン著『十月革命への道』(昭和3年4月、白揚
社内著作集刊行会)という本に出会う。私が驚いたのは、×印の伏
字が文中に散らばっていたことに対する物珍しさとともに、全てで
はないが、伏字の右側の行間へ細かく書き込みがなされていたこと
である。

続きはこちら
  /wppost/plg_WpPost_post.php?postid=1996

『伏字の文化史』牧 義之
  森話社刊 定価4800円+税 好評発売中!
  http://www.shinwasha.com/

━━━━━━━━━━━【自著を語る番外編】━━━━━━━━━

『日本古書目録大年表―千代田区立千代田図書館所蔵古書販売目録
コレクション』 解説“古書販売目録の効用”のなりたち

                       鈴木宏宗

サブタイトルが示すように、千代田区立千代田図書館に所蔵されて
いる古書販売目録コレクションを編年順にしたレファレンス・ツール
の解説を書くことになった。もともとは司書から見た推薦文を寄せ
られないかという話であった。このコレクションはすでにインター
ネット上でデータが公開されており、それを紙にして刊行するもの
を、どのように推薦できるのがと考えた。

続きはこちら
  /wppost/plg_WpPost_post.php?postid=2063

近代書誌懇話会編『日本古書目録大年表―千代田区立千代田図書館
所蔵古書販売目録コレクション』全3巻(金沢文圃閣、2015)

 日本古書目録大年表 解説 鈴木宏宗
 金沢文圃閣刊 全巻揃予価64000円
 2月中旬発売予定

━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━━

「国際稀覯本フェア2015 日本の古書 世界の古書」
  2015年3月5日(木)~7日(土)開催
  会場:東京九段下ホテルグランドパレス
  主催:ABAJ(日本古書籍商協会)
  http://www.abaj.gr.jp/news/20141101.php
  安土堂書店 八木正自
                  

 『図書週報 昭和前期書物趣味ネットワーク誌』
 金沢文圃閣刊 全巻揃予価180000円(配本毎分売可)
 2月下旬発売予定

━━━━━━━━━【日本の古本屋新着情報】━━━━━━━━━

 毎日随時更新、直近7日間の各古書店の新着入荷情報一覧です。
 
 http://www.kosho.or.jp/public/newbook/list.do

━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━

12月~1月の即売展情報
⇒ http://www.kosho.or.jp/servlet/sokubai.ksB001

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日本の古本屋メールマガジンその174 2015.1.26

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
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『日本古書目録大年表―千代田区立千代田図書館所蔵古書販売目録コレクション』 解説“古書販売目録の効用”のなりたち

『日本古書目録大年表―千代田区立千代田図書館所蔵古書販売目録コレクション』
解説“古書販売目録の効用”のなりたち

鈴木宏宗

サブタイトルが示すように、千代田区立千代田図書館に所蔵されている古書販売目録コレクションを編年順にしたレファレンス・ツールの解説を書くことになった。もともとは司書から見た推薦文を寄せられないかという話であった。このコレクションはすでにインターネット上でデータが公開されており、それを紙にして刊行するものを、どのように推薦できるのがと考えた。

とりあえず関連する文献を探してみた。もともと、学生のころ‐もう四半世紀近く前‐から、本についての本は嫌いではないし、紀田順一郎『古書街を歩く』(新潮選書)(新潮社、1979)や荒俣宏『ブックライフ自由自在』(太田出版、1992)などを読んで古書販売目録についての関心を持ち、今も古書販売目録をみることもある。とはいえ、世の古書コレクターや愛好家にくらべると、関わり具合は少ない方と思いながらも。

まずはgoogle、国立国会図書館サーチ、NDL-OPACやCiNiiで検索した。“古書目録”では、『○○大学附属図書館和古書目録』といった貴重書の蔵書目録についての文献が混ざってくるので、“古書”を“古本”にかえたり、いくつかの単語で検索をこころみた。このようなこともあって、“古書目録”ではなく“古書販売目録”を解説で用いている。

また、データベースでは記事がヒットしないけれども、古本に関する雑誌として逸することはできない『彷書月刊』の冊子体総目次も斜め読みし、決して使いやすいとはいえないものの、天野敬太郎『日本書誌の書誌 総載編』(巌南堂書店、1973)もひもといた。くわえて、泥縄式というか関連しそうな図書を、具体的には高橋輝次編『古本屋の本棚』(燃焼社、1997)や中野三敏『本道楽』(講談社、2003)などを、とりだしてページをめくった。

どうにかこうにか文献を読みながら推薦文らしきものを書いていたら徐々に長くなり、金沢文圃閣主人に相談したところ、おもいもよらずに、さいわいにも解説にしてもらえることとなった。(1)古書販売目録の特徴、(2)千代田図書館所蔵コレクションの性格、(3)年表形式で刊行する意義といった三つの観点でまとめてみた。あとから見直すと、関係するすべての文献にふれることができないのは仕方がないけれども、言及しておいた方が良かったかなと思う文献が浮かんでくる。

このような作業のなかで、前にも読んだこともあり解説にも引いたが、反町茂雄氏の書いた“業界史”や古書販売目録への見識が抜きんでていることを今さらながらに感じ、日本近代における古書販売をめぐる歴史研究が見当たらないのが残念であった。後者については意外に思えたが、海外でも少ないようで、20世紀イギリスの古書店・古書業界についての研究書が1冊だけ目についた(Mandelbrote, Giles ed. Out of print & into profit : a history of the rare & secondhand book trade in Britain in the 20th century, British Library, Oak Knoll Press, 2006)。

さて、解説文はさておいても、全三巻には、本体の記載はもちろん、新たな検索機能(古書店名索引、地域別索引、古書店別目録一覧、寄稿者の人名索引)や、附録の珍しい古書販売目録や古書業界の雑誌(『東京古本相場通信』(1933.12)、『名古屋古書籍市場通信』(1937.7))が収録されている。書物に関心のある人は、ぜひ実際に‐少数部数かつ個人で買うには高い価格なので‐図書館などで一度は手にとってもらいたい。


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 近代書誌懇話会編『日本古書目録大年表―
千代田区立千代田図書館所蔵古書販売目録コレクション』全3巻 金沢文圃閣、2015)
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Copyright (c) 2015 東京都古書籍商業協同組合

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「『作家の原稿料』刊行に寄せて ―経済事情の夢と現実―」

「『作家の原稿料』刊行に寄せて ―経済事情の夢と現実―」

お茶の水女子大学文教育学部准教授 谷口 幸代

「夢の印税生活」という文筆業への憧れを語る常套句があるが、では、作家の収入は実際にはどれほどのものなのだろうか。そもそも作家が筆一本で生活できるようになるのはいつ頃なのだろうか。たとえば文豪・夏目漱石は「吾輩は猫である」でいくらの原稿料を得て、それは漱石にとって生活費だったのか、それとも副収入だったのか。
こうした疑問に答える本書『作家の原稿料』は、江戸時代の井原西鶴や曲亭馬琴から、近代の漱石、森鷗外、谷崎潤一郎、志賀直哉、芥川龍之介ら、現代の松本清張、山田風太郎、筒井康隆ら、さらにゴーストライター(!)まで、500人を超える作家(文筆家)の気になる経済事情の夢と現実を学術的に調査・分析したものである。

 そのために作家の日記や書翰、出版社の社史、編集者の回想記などの文献を博捜し、作家の報酬に関わる記述を蒐集した。プライベートな懐具合に関わることであるため、自ずと日記や書簡といった本来公表を目的としていない文献にあたることが主となり、そうした資料の性質上、蒐集した記述には当事者の覚え書きのような断片的なものも少なくなかったが、それらに関しては個々の記述の意味するところを関連資料で補い、また裏付けを試みた。

そこから精選したデータ約3,000件を、典拠となった文献を明記しながら元禄6年から昭和49年に至る年表形式にまとめ、その読み解き方を論考篇で検証したのが本書である。したがって、本書一冊で、作品の書き手と読者の間に本屋(出版社)が介在するようになった近世から、出版文化が開花するに伴い、出版業者と作家の関係が大きく変化した近現代まで、280年間にわたる作家の報酬の史的な変遷を辿ることができるということになる。

 試みに今から70年前の昭和20年以降の数ページを捲ってみれば、インフレの最中の作家たちの姿を具体的に知ることができる。永井荷風は戦後のインフレの影響が原稿料に及んだことを「笑ふ可きなり」と揶揄し、高見順は物価の高騰からすれば原稿料の上昇の割合は小さいと冷静に分析した。いっぽう新人だった三島由紀夫の原稿料は同21年2月25日の新円切り替えの影響で二回に分けて支払われた。各項目に原稿料をめぐるドラマがある。

原稿料という視座から文学作品と書き手と読み手とメディアとを結んだ一冊として、手にとって下さった方の関心に応じて様々に活用していただければうれしい。

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『作家の原稿料』
監修:浅井清・市古夏生
編著:作家の原稿料刊行会
発行:八木書店古書出版部
判型:A5判
ページ数:460ページ
定価:9,720円(本体9,000円+税)
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