susumeru

〈蒐める人〉を蒐める

〈蒐める人〉を蒐める

南陀楼綾繁

 積み残しの宿題のひとつが、ようやく片づいたという気がする。
新刊『蒐める人 情熱と執着のゆくえ』(皓星社)に収録したうち、最も古い原稿は2002年に、書物同人誌『sumus』に載った、元国立国会図書館の稲村徹元さんへのインタビューだ。姉妹編の『編む人 ちいさな本から生まれたもの』(ビレッジプレス)では8年前のインタビューが一番古かったが、16年前というのはまるで仇討の歳月である。
よくもまあ、ここまで寝かせておいたものだ。

ただ、長い間放置していた原稿を読み直すと、インタビューしたのも原稿をまとめたのも自分ではないようで、かえって面白かった。
なによりも、ここに登場する〈蒐める人〉の言葉は、全然古びていない。
雑本についての素敵な文章を書く河内紀さんの、「最終的に『何者でもない』ように自分を処する。これってあんがい難しいことなんですよ」という言には、我が意を得たりと肯き、2012年に亡くなった『日本古書通信』の八木福次郎さんが、「だから僕なんかは、いま八十八歳だという意識はほとんどないですよ」とおっしゃるのを読むと、いまでも神保町を歩いておられるような錯覚に陥る。
新規に収録したのは、古書日月堂の佐藤真砂さんへのインタビューと、都築響一さんとの対談だが、「いま」を語りつつ、時代に左右されない本質を突いた言葉を記録できたと思う。

この数年、有名・無名にかかわらず、人の話を聞いて文章にまとめる仕事が増えてきて、その面白さと難しさを日々感じている。
だから、結果論だが、本書が16年前ではなくて、いま世に出てよかったと思っている。

さて、こうなると気にかかるのは、他にもある積み残しのことだ。
『sumus』では、ラブレターをはじめ紙モノなら何でも集めた池田文痴菴についての文章を三回書いている。彼ら過去の〈蒐める人〉については、著書や雑誌を集めたり、文献を調べたりしてきた。
 しかし、ひとつの塊に出来ないままだった。
 あれが判らない、この要素が足りないと止まっているうちに、いま目先に迫る仕事に追い越されてしまう。ときどき思い出して、編集者に相談してみても「へー、そんな人がいるんですか」でおしまい。私家版で出すかと思っても、金と気力がついていかない。引っ越ししたら、どこかに資料が紛れ込んでしまう。――そんなことの繰り返しである。

だけど、本書を読み返してみて、やはり自分は〈蒐める人〉が好きなのだと、改めて感じた。
〈蒐める人〉を蒐めることが、これからの私の仕事なのかもしれないと思っている。

 そうなると、この十年間遠ざけていた古書即売会や古書目録に復帰しなければならない。
 昔のように買いまくり、カオスな状態を楽しむような余裕は、いまの私にはない。
 そこで、即売会に通いながら「必要なもの以外は絶対に買わない」というルールを自分に課すことにした。古本屋さんには悪いが、面白そうな本を手にしても、買わない理由を必死に考えているのだ。
 このメルマガの読者ならお気づきだろうが、このルールは早晩破綻するだろう。何が「必要なもの」なのかは、買ってみて、しばらく手元に置かないと判らないからだ。
 これでまた、カオスな日々に逆戻りか。
うんざりしつつも、古巣に戻ってきたようで、どこかワクワクしている自分がいるのだった。

『蒐める人』刊行記念トークイベント
9月9日(日)西荻ブックマーク ゲスト・岡崎武志+荻原魚雷
http://nishiogi-bookmark.org/

9月22日(土) 田原町・Readin’ Writin’ BOOKSTORE ゲスト・書物蔵
http://readinwritin.net/



susumeru
『蒐める人 情熱と執着のゆくえ』 南陀楼綾繁 著
皓星社 価格:1,600円(+税) 好評発売中!
http://www.libro-koseisha.co.jp/publishing/atsumeruhito/

Copyright (c) 2018 東京都古書籍商業協同組合

no-image

2018年8月10日 第256号

■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■
 。*..*.:☆.:*・日本の古本屋メールマガジン・*:.☆.:*..*。
 古書市&古本まつり 第66号
      。.☆.:* 通巻256・8月10日号 *:.☆. 。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジンは、毎月2回(10日号と25日号)配信しています。

初旬に(10日前後)全国で開催されている古本展示即売会など、
イベント情報をお送りします。お近くで開催される際は、ぜひ
お出掛け下さい。
なお、1月から「シリーズ古書の世界」を連載しております。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━【シリーズ古書の世界 第9回】━━━━━━━



江戸から伝わる古書用語 5 江戸時代の本屋の日記から

                 橋口 侯之介(誠心堂書店)

京都の本屋・風月庄左衛門の日記からもう少し紹介しよう。これは
業界用語そのまま書かれたいわば業務日誌である。
例えばこんな表現がある。「万歳講丸源、若州買物出ス」というの
は丸屋源兵衛方で行われた万歳講に、若狭からの買い物品を出した、
ということである。本屋仲間公式の市場のほかに私的な市もあった。
そのひとつである万歳講の場で若狭方面から仕入れた一口物を出品
したのだ。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=4067


誠心堂書店
http://seishindo.jimbou.net/catalog/index.php


━━━━━【8月10日~9月15日までの全国即売展情報】━━━━━


https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

第13回 丸善博多店 古本まつり(福岡県)
期間:2018/08/03~2018/09/02
場所:丸善博多店特設会場 
福岡市博多区博多駅中央街1-1 JR博多シティ8F


--------------------------
第11回 カジル横川古本市(広島県)

期間:2018/08/06~2018/08/15
場所:横川駅前フレスタモール カジル横川1階通路
広島市西区横川町3-2-36 JR横川駅隣接


--------------------------
第27回 東急東横店 渋谷大古本市

期間:2018/08/07~2018/08/14
場所:渋谷駅 東急東横店 西館8階 催物場


--------------------------
2018 阪神夏の古書ノ市(大阪府)

期間:2018/08/08~2018/08/14
場所:阪神梅田本店 8階催事場
大阪市北区梅田1-13-13


--------------------------
MODI 柏モディ 古本市(千葉県)

期間:2018/08/08~2018/08/21
場所:MODI 柏モディ3F 千葉県柏市柏1-2-26


--------------------------
城北古書展

期間:2018/08/10~2018/08/11
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22


--------------------------
第31回 下鴨納涼古本まつり(京都府)

期間:2018/08/11~2018/08/16
場所:下鴨神社糺の森 京都府京都市左京区下鴨泉川町59
URL: http://koshoken.seesaa.net/


--------------------------
京都マルイ 夏の古本市(京都府)

期間:2018/08/16~2018/08/19
場所:京都マルイ(店頭四条通り側)
京都市下京区四条河原町真町68


--------------------------
浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2018/08/23~2018/08/26
場所:JR浦和駅西口徒歩5分 マツモトキヨシ前


--------------------------
ぐろりや会

期間:2018/08/24~2018/08/25
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
URL: http://www.gloriakai.jp/


-------------------------
オールデイズ (愛知県)

期間:2018/08/24~2018/08/26
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田5-1-12


--------------------------
好書会

期間:2018/08/25~2018/08/26
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9


--------------------------
第87回 彩の国 所沢古本まつり(埼玉県)

期間:2018/08/29~2018/09/04
場所:くすのきホール
西武線所沢駅東口前 西武第二ビル8階 総合大会場
URL: http://furuhon.wix.com/tokorozawafuruhon
--------------------------
東京愛書会

期間:2018/08/31~2018/09/01
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
URL: http://aisyokai.blog.fc2.com/


--------------------------
杉並書友会

期間:2018/09/01~2018/09/02
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9
TEL:03-3339-5255(会期中のみ)


--------------------------
9月反町古書会館展(神奈川県)

期間:2018/09/01~2018/09/02
場所:神奈川古書会館1階特設会場
   横浜市神奈川区反町2-16-10


--------------------------
第34回 古本浪漫洲 Part1

期間:2018/09/04~2018/09/06
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
新宿区歌舞伎町1-2-2


--------------------------
BOOK & A(ブック&エー)

期間:2018/09/06~2018/09/09
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9


--------------------------
紙魚之會

期間:2018/09/07~2018/09/08
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22


--------------------------
第34回 古本浪漫洲 Part2

期間:2018/09/07~2018/09/09
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
新宿区歌舞伎町1-2-2


--------------------------
博物館古書市(名古屋)

期間:2019/09/08~2018/09/17
場所:名古屋市博物館 名古屋市瑞穂区瑞穂通1-27-1


--------------------------
第34回 古本浪漫洲 Part3

期間:2018/09/10~2018/09/12
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
新宿区歌舞伎町1-2-2


--------------------------
第34回 古本浪漫洲 Part4

期間:2018/09/13~2018/09/15
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
新宿区歌舞伎町1-2-2


--------------------------
書窓展(マド展)

期間:2018/09/14~2018/09/15
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22


--------------------------

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


次回メールマガジンは8月下旬に発行です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このメールは「日本の古本屋会員」の方で、メールマガジンの配信
を希望された方にお送りしています。
ご不要な方の解除方法はメール下部をご覧下さい。
【日本の古本屋】は全国935書店参加、データ約630万点掲載
の古書籍データベースです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


見逃したメールマガジンはここからチェック!
 【バックナンバーコーナー】
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_category.php?catid=22



┌─────────────────────────┐
 次回は2018年8月下旬頃発行です。お楽しみに!
└─────────────────────────┘


*゜*.:*☆ 本を売るときは、全古書連加盟の古書店で ☆*.:*゜*
全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,200店加盟)の略称です

https://www.kosho.or.jp/buyer/list.php?mode=from_banner



==============================

日本の古本屋メールマガジンその256 2018.8.10

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:小野祥之


==============================

wahon

江戸から伝わる古書用語5 江戸時代の本屋の取引    (シリーズ古書の世界第8回)

江戸から伝わる古書用語5 江戸時代の本屋の取引

橋口 侯之介(誠心堂書店)

京都の本屋・風月庄左衛門の日記からもう少し紹介しよう。これは業界用語そのまま書かれたいわば業務日誌である。
例えばこんな表現がある。「万歳講丸源、若州買物出ス」というのは丸屋源兵衛方で行われた万歳講に、若狭からの買い物品を出した、ということである。本屋仲間公式の市場のほかに私的な市もあった。そのひとつである万歳講の場で若狭方面から仕入れた一口物を出品したのだ。「買物」といえば仕入れのことだと古本屋ならすぐわかるが、一般の人にはピンとこないだろう。

ある日の一文にこういうのもある。「松岡本ニフ帖打蔵へ入ル」というのだが、わかるだろうか?
松岡某氏から仕入れた本に「フ帖」、すなわち「符丁」を書いてお蔵にしまった、ということである。つい最近まで古本屋は仕入れた本の後ろに仕入れ値を記号で書いていた。今ならコンピュータにデータを打って所定の場所にしまうようなものだ。「ふちょう」といわれて古本屋ならわかる。
この貴重な日記を読み込んで書かれた論文というのがまだない。研究者には用語がわかりにくいからだろうか。ぜひ、使ってほしい。
この日記をはじめ当時の史料から本屋間の取引を調べると、案外、今とかわらないことが知られる。

たとえば、市場の取引では基本的に売り方から5分手数料を徴収する。それを歩銀(ぶきん)といった。当時、本は銀貨で売買されたのでこう書く。これをもっと高くしてほしいと市場運営者から要望がたびたび出たが、入れられることはなく、何と現代まで歩金は5%(税引き)なのである。

新刊本を他店に卸すのを売価(建値)の8掛にするのが通常の取引である。それを「仕切る」といった。なぜか今も取次から新刊書店への価格は似たようなレベルだ。
古本を各店に譲るときの値段は「一ワリ引ケ」といって10%引きだ。今も決まりはないが概ねそのように取引されている。こういう慣習は変わりにくいのだろう。
この本屋間での売買に利用された仕組みに「本替(ほんがえ)」というのがあった。細かい取引が錯綜し、その支払いも複雑になってしまう。それを避ける智恵がこの方法で、支払いを現金にするのでなく、実物の本で行う。

江戸時代の本屋が出版から問屋、販売、古本をすべて一軒でまかなっていたからできたことで、請求のあった分を、それに相当する額の自店の在庫品で支払うのである。本のやりとりだけで現金の動きを簡素化する方法だ。17世紀末の元禄頃の記録に京都と大坂の本屋間で行われたとあるので、古い慣習だ。同一市内だけでなく、遠隔地間でも盛んで、風月の日記にも「須茂本替渡シ、本一櫃(ぴつ)に致シ、大廻シニ出ス」とあり、江戸の須原屋茂兵衛向けの本替分を一箱に荷造りして大廻シ(海路)の便で出したという。その時の帳面を「本替帳」といったのだそうだ。前回も述べたように江戸時代の本屋は在庫管理といい、取引勘定といいきめ細かい仕事をしていたのに感心する。



wahon
『和本への招待 日本人と書物の歴史』 著者 橋口 侯之介
角川選書 (角川学芸出版・角川グループ)
定価 1,728円(本体1,600円+税)好評発売中!
https://www.kadokawa.co.jp/product/201001000449/

誠心堂書店
http://seishindo.jimbou.net/catalog/index.php
 

Copyright (c) 2018 東京都古書籍商業協同組合

no-image

2018年7月25日 第255号

■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■
 。*..*.:☆.:*・日本の古本屋メールマガジン・*:.☆.:*..*。
     。.☆.:* その255・7月25日号 *:.☆. 。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

このメールは「日本の古本屋会員」の方で、メールマガジンの配信
を希望された方にお送りしています。
ご不要な方の解除方法はメール下部をご覧下さい。
【日本の古本屋】は全国930書店参加、データ約600万点掲載
の古書籍データベースです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


☆INDEX☆
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
1.古本屋ツアー・イン・ジャパンの2018年上半期活動報告
古本屋ツーリスト 小山力也
2.『銀幕に愛をこめて ぼくはゴジラの同期生』 のむみち
3.『本屋な日々 青春篇』       石橋毅史
4.『これからの本屋読本』  内沼晋太郎

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

━━━━━━━━【古本屋ツアー・イン・ジャパン】━━━━━━

古本屋ツアー・イン・ジャパンの2018年上半期活動報告


              古本屋ツーリスト 小山力也



 あっという間に七月も終りとなり、嘘みたいに高速で月日が過ぎ
て行く。2018年になったばかりの感覚をまだ引き摺っているので、
どうにも納得のいかぬ夏である。だがそうは言っても、たくさんの
古本屋さんに行き、たくさんの古本を買って来た半年は、歴然と残
されている。
 ここ最近の主な活動は、特定の『定点観測店』に依拠した古本買
いなのであるが、その観測パターンは大きく三つに分けられる。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=4025


小山力也 2008年5月からスタートした、日本全国の古本屋&古本が
売っている場所の、全調査踏破を目指す無謀なブログ『古本屋ツア
ー・イン・ジャパン』管理人。「フォニャルフ」の屋号で古本販売
に従事することも。古本屋に関する著書ばかりを出し続けており、
それらの出版社や形状は違えど、全部を並べたらいつしか“日本古
本屋大全集”となってしまうよう、秘かに画策している。「本の雑
誌」にて『毎日でも通いたい古本屋さん』連載中。
http://furuhonya-tour.seesaa.net/



━━━━━━━━━━━【自著を語る(番外編)】━━━━━━━━━

『銀幕に愛をこめて ぼくはゴジラの同期生』
                       のむみち


 ほこりまみれの小さな古本屋でバイトしている(@最低賃金)
私が、どうして映画スター・宝田明のインタビュー本を筑摩書房か
ら出版することになったのか。
 話は2011年秋まで遡る。当時私は、2009年からハマり始めた旧作
邦画熱がピークでせっせと名画座へ足を運んでいた。そして、神保
町シアターで「千葉泰樹監督特集」が開催された折、たまたま『二
人の息子』を観たところ、なんと主演の宝田さんが観にいらしてい
たのである。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=4021


『銀幕に愛をこめて ―ぼくはゴジラの同期生 』
宝田 明 著 のむみち 編集
筑摩書房 定価:本体2,000円+税  好評発売中!

http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480815439/



━━━━━━━━━━━【自著を語る(210)】━━━━━━━━━

『本屋な日々 青春篇』

                         石橋毅史


最近の書店は、本を扱うだけでなく、カフェを併設し、雑貨を扱い、
トークイベントを積極的に開催する。それぞれの資金力、アイデア、
キャラクターを活かして、続けられる店になるための経営努力をし
ている。
 そうした書店の風景を、快く思わない人もいる。本だけでは利益
を確保できない、そもそもあまり売れないという書店の事情はわか
るが、肝心の本がたんなるお飾りになってきている、なんのために
本を売ってるんだ、まさに本末転倒、というわけだ。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=4023

『本屋な日々 青春篇』 石橋毅史 著
トランスビュー 価格:1,800円+税 好評発売中!
http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784798701677


━━━━━━━━━━━【自著を語る(211)】━━━━━━━━━

『これからの本屋読本』

                      内沼晋太郎



 「いつか、本屋をやりたいんです」という人が、やって来る。
なぜかといえば、本屋をやるための情報があまりに少なく断片的で、
どこにも網羅されていないからだ。だから門戸を開いているぼくの
ところに、さまざまな人がやってくる。それぞれが「こんな本屋が
やりたい」という話をして、それに対してなるべく前向きに「次ま
でにこの部分を考えてみませんか」とアドバイスをする。


続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=4034


『これからの本屋読本』内沼晋太郎 著
NHK出版 定価:1,728円 好評発売中!
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000817412018.html


━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

『古写真・絵葉書で旅する東アジア150年』
村松弘一・貴志俊彦 編  勉誠出版 好評発売中!
定価 4,104円 (本体3,800円)
http://bensei.jp/index.php?main_page=product_book_info&products_id=100865


『蒐める人 情熱と執着のゆくえ』 南陀楼綾繁 著
皓星社 価格:1,600円(+税) 2018年8月1日発売予定
http://www.libro-koseisha.co.jp/publishing/atsumeruhito/


「古本乙女の日々是これくしょん展」を振り返って
 カラサキ・アユミ
 https://twitter.com/fuguhugu



━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━


7月~8月の即売展情報

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


見逃したメールマガジンはここからチェック!
 【バックナンバーコーナー】

https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_category.php?catid=22

┌─────────────────────────┐
 次回は2018年8月中旬頃発行です。お楽しみに!
└─────────────────────────┘

*☆ 本を売るときは、全古書連加盟の全国の古書店に ☆*
全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,200店加盟)の略称です


https://www.kosho.or.jp/buyer/list.php?mode=from_banner


==============================


日本の古本屋メールマガジンその255 2018.7.25

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:小野祥之
編集長:藤原栄志郎


==============================

no-image

古本屋ツアー・イン・ジャパンの2018年上半期活動報告

古本屋ツアー・イン・ジャパンの2018年上半期活動報告

古本屋ツーリスト 小山力也

 あっという間に七月も終りとなり、嘘みたいに高速で月日が過ぎて行く。2018年になったばかりの感覚をまだ引き摺っているので、どうにも納得のいかぬ夏である。だがそうは言っても、たくさんの古本屋さんに行き、たくさんの古本を買って来た半年は、歴然と残されている。

 ここ最近の主な活動は、特定の『定点観測店』に依拠した古本買いなのであるが、その観測パターンは大きく三つに分けられる。『短周期観測店』は、それこそ日を置かず訪ね歩く近場のお店で、荻窪「ささま書店」高円寺「古書サンカクヤマ」吉祥寺「よみた屋」阿佐ヶ谷「古書コンコ堂」&「千章堂書店」などが挙げられる。続いて月に何度か訪れる『中周期観測店』は、下北沢「ほん吉」武蔵小山「九曜書房」神保町「日本書房」武蔵境「浩仁堂」経堂「大河堂書店」仙川「文紀堂書店」高円寺「アニマル洋子」早稲田「古書現世」中村橋「クマゴロウ」東村山「なごやか文庫」川崎「朋翔堂」などが主であろうか。

普段はこの短周期と中周期を縒り合わせて、古本を買い集めていることになる。これだけの良質なお店を、取っ替え引っ替え日々訪ね歩き回れるのは、東京に住む者の、大きな古本的アドバンテージであろう。そしてさらには、一年に一度行けるか行けないかの『長周期観測店』が存在し、飯倉「クルクル」県立大学「港文堂書店」出町柳「善行堂」静岡「萬字亭」足利「秀文堂書店」松本「松信堂書店」鶴岡「阿部久書店」長岡京「ドニカ文庫」六甲「口笛文庫」などなど、長周期と言うよりは、行きたくてもなかなか行かれぬお店と言った方が正しいかもしれない…本当は短期に入れ込みたいほど毎日顔を出したいお店ばかりなのだが、いかんせん遠いのでなかなか…というのが現状である。

 そんな毎度の古本ライフを送りながらの、今年一月からの私的な流れを俯瞰してみると、まず“凶”のお神籤を引くことから始まり、落ち込みながらも吉祥寺の写真集専門古書店「book obscura」を見付けたり、早稲田に新しく開店した文学古書に強い「古書ソオダ水」に駆け付けたりした。二月には千葉県大久保の名店「キー・ラーゴ」閉店の報に接し、さらに高円寺の古着も売るお店「七星堂古書店」がもぬけの殻になっているのを目撃する。早稲田からいつの間にか「谷書房」と「文英堂書店」が消えていたのに気付いたのも、この月であった。三月は西調布に“旅する本屋”の「古書玉椿」が「folklora」として、北欧や刺繍&洋裁に特化した棚造りで帰って来た。中村橋には二百円均一の本が良質な「古書クマゴロウ」が開店し、西武池袋線の古本屋地図を新鮮に塗り替えてくれた。阿佐ヶ谷ではなかなか開かない休業日の方が多い「雨前」に、五ヶ月越しでようやく入ることが出来た。

また竹ノ塚「永瀬書店」の最終営業日を見に行くが、営業開始が夕方遅くからと変則的になっていたので、泣く泣くその最後の勇姿を見届けずに帰る羽目となった。四月は茅ヶ崎「洋行堂」の閉店セールに遠征し、悲しみながらも安過ぎる良書をドッサリと買い込む。取材で出かけた京都の出町柳では、『コミックショックチェーン』のニューウェーブ店「El camino」に立ち寄り、映画館も出来て小さな商店街が文化的盛り上がりを見せ始めているのを肌で感じ取る。池袋の老舗店「八勝堂書店」が閉店したのもこの月であった。閉店後にお店の前を通りかかると、不要になった本棚の棚板を無料で配る光景が、チクリと胸を刺した。五月は新しく出来た、追浜の町の古本屋さん「おっぱま ぼちぼち書店」と、東陽町の「古本と肴 マーブル」を探索。「マーブル」は奥に立ち飲みカウンターのある“小さな古本酒場”と言った趣である。

六月は、次々と店を閉じ続ける「ブックセンターいとう」の分倍河原店の閉店と、名前は「古本市場」だが実は独立店舗の大和店の閉店に立ち会う。雑司が谷では移転した「JUNGLE BOOKS」を訪れ、前より一層お店らしくなった空間を言祝ぐ。また、ウカウカと知らずに過ごしていた、横浜・本牧の住宅街にある、住宅の一部を店舗に改装したお店「古書けやき」にたどり着き、古本屋と言う営業形態の奥深さを改めて知る。何はともあれ東京近郊の出来事中心であるが、このように、開くお店もあれば閉まるお店もある、いつもの出来事が、この早い流れの六ヶ月間にも起こっていたのである。古本屋の世界も、停滞することなく、良い方にも悪い方にも全方位に振れ、常に色々動いているのだ。私が飽きずにこの世界に耽溺しているのも、そのおかげなのであろう。

 古本屋さんで常に蠢き這いずり回っているご褒美としては、月曜書房「ある晴れた日に/加藤周一」(100円)東都書房「白鳥座61番地/瀬川昌男」(100円)目黒書店「剃刀日記/石川桂郎」(200円献呈署名入り)などが、特に目立った、“どひゃっほう”と叫びたい収穫である。そして西荻窪「盛林堂書房」の貸し棚「古本ナイアガラ」に参加している、本棚探偵・喜国雅彦氏の「ひとたな書房」の探偵小説的吸引力は相変わらず絶大で、今年に入ってから「黒い東京地図/蘭郁二郎」「自由酒場/ジョルジュ・シメノン」「女食人族/香山滋」「人工怪奇/九鬼澹」などをすでに購入してしまっている(値段は嬉しいことに&恐ろしいことに、相場の半額〜三分の一ほどなのだ)。いったい後何冊買うことになるのだろうか…。

 恐らくは今年の後半も、ある一冊の古本旅本を岡崎武志氏と共同制作したらあっという間に過ぎ去り、来年初頭にまたここでみなさんに、極私的な古本屋と古本に関する駄文をお目にかけることになるのだろう。それまでまた楽しくいつものように、古本屋を訪ねまくり古本を買いまくり日々を過ごすつもりである。


小山力也 2008年5月からスタートした、日本全国の古本屋&古本が売っている場所の、全調査踏破を目指す無謀なブログ『古本屋ツアー・イン・ジャパン』管理人。「フォニャルフ」の屋号で古本販売に従事することも。古本屋に関する著書ばかりを出し続けており、それらの出版社や形状は違えど、全部を並べたらいつしか“日本古本屋大全集”となってしまうよう、秘かに画策している。「本の雑誌」にて『毎日でも通いたい古本屋さん』連載中。http://furuhonya-tour.seesaa.net/

Copyright (c) 2018 東京都古書籍商業協同組合

honyana

『本屋な日々 青春篇』

『本屋な日々 青春篇』

石橋毅史

 最近の書店は、本を扱うだけでなく、カフェを併設し、雑貨を扱い、トークイベントを積極的に開催する。それぞれの資金力、アイデア、キャラクターを活かして、続けられる店になるための経営努力をしている。

 そうした書店の風景を、快く思わない人もいる。本だけでは利益を確保できない、そもそもあまり売れないという書店の事情はわかるが、肝心の本がたんなるお飾りになってきている、なんのために本を売ってるんだ、まさに本末転倒、というわけだ。
 そう思うのはたいてい、本に親しんできた人であろう。書店に見せてほしいのは充実した棚である、本の奥深さを知る店主やスタッフによる気の利いた品揃えである、原点のところをしっかりやってくれ、ということだと思う。

「充実した棚」や「品揃え」だけが書店のチャームポイントだった頃、そのための「経営努力」は見えにくかった。いまは「経営努力」のほうが前面に出ている書店も増えていて、それがある種の人たちを辟易させるのかもしれない。だが、書店の風景は時代を反映する。現代の消費者が、それを望んだともいえる。ただ腹を立てるだけではもったいない。表出している「経営努力」の後ろには、客のために本と真摯に格闘している本屋がいるはずだ。どの店にも絶対に、とまではいわないが。

『本屋な日々 青春篇』にも、「経営努力」が表出している書店の風景が出てくる。僕は、未購入の本の持ち込みOKのカフェが併設された店内で、漫画も持ち込んでいいんでしょうか、とスタッフに訊ねて困惑させてしまっている。全体としては、登場するのは「本屋」を突き詰めようとしている人たちである。なぜ、この時代に本屋をやるのか。日々、店を開け、客の相手をしながら、自問自答し、闘っている人たちである。

もちろん、彼らも生き残るために工夫をしている。僕は、その工夫とあわせて、彼らが「本屋」としてどうあろうとしているのかを、書こうとしてきた。それは、僕自身が「書く者」としてどうありたいのかを問うことでもあった。

本屋な日々、というやや奇妙な響きのタイトルは、2013年から続けている連載のタイトルからとっている。青春篇、となっているが、年齢の若い本屋ばかりが登場するわけではない。今後も、いくつかの「〇〇篇」の刊行を予定している。デザイナーと編集者のアイデアで、本のデザインと造形には多くの遊びが施されている。これは具に説明するよりも、どこかで現物を触って、表紙カバーやオビを外してみたりして、確認していただきたい。



honyana
『本屋な日々 青春篇』 石橋毅史 著
トランスビュー 価格:1,800円+税 好評発売中!
http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784798701677

Copyright (c) 2018 東京都古書籍商業協同組合

takarada

『銀幕に愛をこめて ぼくはゴジラの同期生』

『銀幕に愛をこめて ぼくはゴジラの同期生』

のむみち

 ほこりまみれの小さな古本屋でバイトしている(@最低賃金)私が、どうして映画スター・宝田明のインタビュー本を筑摩書房から出版することになったのか。

 話は2011年秋まで遡る。当時私は、2009年からハマり始めた旧作邦画熱がピークでせっせと名画座へ足を運んでいた。そして、神保町シアターで「千葉泰樹監督特集」が開催された折、たまたま『二人の息子』を観たところ、なんと主演の宝田さんが観にいらしていたのである。

 さらに別の日にも観に行ったところ、またもや宝田さんのお姿が。そして、映画が終わり劇場の外に出ると、目の前にその宝田さんが歩いているではないか!ここで声を掛けなかったら一生後悔する、そう思った私は宝田さんの背中に向かって走り出していた。

 一方、本書の担当編集者・青木真次氏は、元々特撮少年で、地元の映画館のスクリーンで宝田さん主演特撮作品のリバイバル上映を観て大きくなった。同社で実相寺昭雄や岡本喜八などたくさんの映画本を手がけてきたそんな青木氏の夢は、いつの日にか小さい頃からのヒーロー・宝田明の本を作ることだった。

 その後筆者が発刊した月刊無料名画座情報紙「名画座かんぺ」が氏の目にも触れることとなったり、縁あって両者とも内藤誠監督の『酒中日記』に「出演」していたり、そもそも氏が筆者の職場の古書往来座のお客様だったり、となんとなくの接点はあったのだが、我々を決定的に繋げてくれたのが、当メルマガでもおなじみ、古本ライターの岡崎武志さんである。氏は岡崎さんの同社担当編集者でもあるのだ。
 「のむみちが宝田明と仲えェらしいで」
 こうして本書は生まれた。

 本書は、俳優・宝田明の幼少期(満洲からの壮絶な引揚げ体験……)からその後の60年にわたる俳優人生をまとめたもので、基本的には宝田さんのひとり語り形式で、適宜筆者の「地の文」が合間に入る形をとっている。地の文を書くため大量の資料の海に身を沈めるのは、大変ながらも至福のひとときだった(特に日本映画全盛期の章)。資料といえば、舞台『北海の花道』(1973年/明治座)で森繁久彌・三國連太郎と共演した時の傑作失敗談があるのだが、まさにこの「日本の古本屋」で入手した同作のパンフレットが非常に役に立ったのでした。ありがとうございます。

 さて、宝田さんの近況だが、先日まで有楽町スバル座で公開されていた新作『明日にかける橋 1989年の思い出』でも出番は少ないながら印象的な重みのある役を演じており、さらには秋口にもうひとつ新作の撮影を控えているとのこと。解禁前なので詳細は明かせないが、小耳に挟んだ役どころによると、「伊丹十三作品における宝田明」をしのぐ「後期宝田明の代表作」になるような気がして密かに期待している。
 朝日新聞の書評で横尾忠則さんが書いてくれたように、「『宝田明物語』の夢はまだまだ終わりそうにない」のだ。

※『明日にかける橋 1989年の思い出』は、来月以降、大阪・静岡・名古屋、と回るらしいです。お近くの方々は是非お運びくださいませ~☆

takarada
『銀幕に愛をこめて ―ぼくはゴジラの同期生 』
宝田 明 著 のむみち 編集
筑摩書房 定価:本体2,000円+税  好評発売中!
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480815439/

Copyright (c) 2018 東京都古書籍商業協同組合

dokuhon

『これからの本屋読本』

『これからの本屋読本』

内沼晋太郎

 「いつか、本屋をやりたいんです」という人が、やって来る。なぜかといえば、本屋をやるための情報があまりに少なく断片的で、どこにも網羅されていないからだ。だから門戸を開いているぼくのところに、さまざまな人がやってくる。それぞれが「こんな本屋がやりたい」という話をして、それに対してなるべく前向きに「次までにこの部分を考えてみませんか」とアドバイスをする。「これからの本屋講座」と題して、そのような活動をこの4年続けてきた。そこで積み重ねた内容を土台にしながら、並行してたくさんの取材を行い、3年間をかけて執筆したのが本書だ。

本屋についての本は、もちろん過去にもたくさん出ている。本書でもいくつも引用させていただいたし、きっとこれからも名著が出続けるだろう。けれどそれらの多くはあくまで体験記で、これから実際にはじめようという人にとっては、ケーススタディにはなるが、地図や教科書にはならない。おこがましくも本書『これからの本屋読本』は、後者を目指した。もちろん、実際に本屋をやろうとまで考えていなくとも、本や本屋が好きな人であればきっと知りたかったはずのことを、包み隠さず書いたつもりだ。

本書は前半・別冊・後半の3つのパートからなっている。前半は基礎編として、本と本屋の現状と、その魅力について、それぞれの視点からあらためて考察した。別冊は「本の仕入れ方大全」と題して、新品の本と古本それぞれ、規模に応じた仕入ルートについて、できる限り網羅した(いま古書店を経営されていて、新品の本を取り扱うことを検討されている方にも、きっと参考にしていただけるはずだ)。そして後半は実践編として、本屋という小売業の基礎と、これから小さな本屋を続けていくための4つの考え方を提示し、それぞれに1章ずつを割き、最終章で自分のケースを紹介した。

密室での作業を終えたいまは、会いたい人たちのことが思い浮かぶ。まずは、日本全国で小さな本屋を営んでいる人や、これから開こうとしている人たち。講座はしばらく休むことにして、いますでに、トークイベントで全国各地をまわりはじめている。前著『本の逆襲』(朝日出版社)のときには1年半ほどかけて28ヶ所に訪れ、たくさんの出会いが次の活動につながった。今回はどんなことが起こるか、楽しみにしている。次に、本屋以外の小売や飲食業などで、インディペンデントな店舗を営んでいる人たち。本書を書きながら、他の分野からもっと学びたいという気持ちを強くしたので、これから積極的に会いにいきたいと考えている。そして最後に、世界中で小さな本屋を営んでいる人たち。昨年、韓国ソウルの本屋ブームを取材した『本の未来を探す旅 ソウル』(共著・朝日出版社)という本を書いたのだが、続編となる台北編を、秋ごろの刊行に向けてまさにいま、準備しているところだ。いまは特にアジアの書店に注目していて本書でもいくつか触れたが、まだ書き終えてもいないのに、次はどの国にするかを考えている。


dokuhon
『これからの本屋読本』内沼晋太郎 著
NHK出版 定価:1,728円 好評発売中!
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000817412018.html

Copyright (c) 2018 東京都古書籍商業協同組合

no-image

2018年7月10日 第254号

■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■
 。*..*.:☆.:*・日本の古本屋メールマガジン・*:.☆.:*..*。
 古書市&古本まつり 第65号
      。.☆.:* 通巻254・7月10日号 *:.☆. 。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジンは、毎月2回(10日号と25日号)配信しています。

初旬に(10日前後)全国で開催されている古本展示即売会など、
イベント情報をお送りします。お近くで開催される際は、ぜひ
お出掛け下さい。
なお、1月から「シリーズ古書の世界」を連載しております。



━━━━━━━━━【シリーズ古書の世界 第7回】━━━━━━━



江戸から伝わる古書用語 4 江戸時代の本屋の日記から

                 橋口 侯之介(誠心堂書店)

寛永期から続く伝統ある京都の本屋・風月庄左衛門(ふうげつしよ
うざえもん)が書いた明和9年9月(1772)から1年3ヶ月分の日記
が残っている。弥吉光永編『未刊史料による日本出版文化1』
(昭和63年、ゆまに書房)で見ることができる。
基本的には業務日誌のようなものだが、中を読んでいくと、仕事の
様子はもちろん、同業者とのつきあい、長男の出産を始め家庭内の
ことなどが細かく書かれている。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=4006


誠心堂書店
http://seishindo.jimbou.net/catalog/index.php



━━━━━━━━【北九州古書組合からのお知らせ】━━━━━━

 快挙 松本清張の新資料発見!!  「風と稲」

北九州古書組合組合加盟店が、松本清張の新資料を発見し、各種
新聞(西日本新聞・読売・共同通信)に取り上げられました。
松本清張の12歳当時の「詩」が地元小倉の同人誌に掲載されていた
のが見つかったのです。
今まで、清張氏は文学青年では無かった、と自伝や対談で述べてお
られたのですが、これが覆される事になる貴重な資料と考えます。

北九州古書組合ホームページ
http://seesaawiki.jp/kosyokitakyu/

━━━━━【7月10日~8月15日までの全国即売展情報】━━━━━

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init



--------------------------

東京愛書会

期間:2018/07/13~2018/07/14
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
TEL:03-5280-2288(会期中のみ会場直通)
URL:http://aisyokai.blog.fc2.com/

--------------------------

第173回 神戸古書即売会(兵庫県)

期間:2018/07/13~2018/07/15
場所:兵庫県古書会館 一階・二階
神戸市中央区北長狭通6-4-5
URL:http://www.hyogo-kosho.net/index.html

--------------------------

大均一祭

期間:2018/07/14~2018/07/16
場所:西武古書会館 杉並区高円寺北2-19-9
TEL:03-3339-5255(会期中のみ)

--------------------------

有隣堂センター南・港北古書フェア(神奈川県)

期間:2018/07/15~2018/07/24
場所:最寄駅:横浜市営地下鉄
センター南駅(市営地下鉄センター南駅の改札を出て直進、
右前方。※駅構内)
URL : http://kosho.saloon.jp/spot_sale/index.htm

--------------------------

♭立川フロム古書市ご案内♭

期間:2018/07/20~2018/08/05
場所:立川駅北口徒歩5分フロム中武(ビッグカメラ隣)
3階バッシュルーム(北階段際)
URL : http://mineruba.webcrow.jp/saiji.htm

--------------------------

趣味の古書展

期間:2018/07/20~2018/07/21
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
TEL:03-5280-2288(会期中のみ会場直通)

--------------------------

倉庫会 (愛知県)

期間:2018/07/20~2018/07/22
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田5-1-12
URL : https://ameblo.jp/nagoyakosyo/

--------------------------

浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2018/07/26~2018/07/29
場所:JR浦和駅西口徒歩5分 マツモトキヨシ前

--------------------------

和洋会古書展

期間:2018/07/27~2018/07/28
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
TEL:03-5280-2288(会期中のみ会場直通)

--------------------------

五反田遊古会

期間:2018/07/27~2018/07/28
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4 
JR山手線、東急池上線、都営浅草線五反田駅より徒歩5分
TEL:03-3441-3975(会期中のみ)

--------------------------

中央線古書展

期間:2018/07/28~2018/07/29
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9
TEL:03-3339-5255(会期中のみ)

--------------------------

我楽多市(がらくたいち)即売展

期間:2018/08/03~2018/08/04
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
TEL:03-5280-2288(会期中のみ会場直通)

--------------------------

杉並書友会

期間:2018/08/04~2018/08/05
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9
TEL:03-3339-5255(会期中のみ)

--------------------------

8月反町古書会館展(神奈川県)

期間:2018/08/04~2018/08/05
場所:神奈川古書会館1階特設会場
URL : http://kosho.saloon.jp/spot_sale/index.htm

--------------------------

第27回 東急東横店 渋谷大古本市

期間:2018/08/07~2018/08/14
場所:渋谷駅 東急東横店 西館8階 催物場

--------------------------

2018 阪神夏の古書ノ市(大阪府)

期間:2018/08/08~2018/08/14
場所:阪神梅田本店 8階催事場
大阪市北区梅田1-13-13

--------------------------

城北古書展

期間:2018/08/10~2018/08/11
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
TEL:03-5280-2288(会期中のみ会場直通)

--------------------------

第31回 下鴨納涼古本まつり(京都府)

期間:2018/08/11~2018/08/16
場所:下鴨神社糺の森 京都府京都市左京区下鴨泉川町59
URL : http://koshoken.seesaa.net/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

次回メールマガジンは7月下旬に発行です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このメールは「日本の古本屋会員」の方で、メールマガジンの配信
を希望された方にお送りしています。
ご不要な方の解除方法はメール下部をご覧下さい。
【日本の古本屋】は全国935書店参加、データ約630万点掲載
の古書籍データベースです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

見逃したメールマガジンはここからチェック!
 【バックナンバーコーナー】
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_category.php?catid=22

┌─────────────────────────┐
 次回は2018年7月下旬頃発行です。お楽しみに!
└─────────────────────────┘

*゜*.:*☆ 本を売るときは、全古書連加盟の古書店で ☆*.:*゜*
全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,200店加盟)の略称です

https://www.kosho.or.jp/buyer/list.php?mode=from_banner

==============================

日本の古本屋メールマガジンその254 2018.7.10

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:小野祥之

==============================

wahon-206x300

江戸から伝わる古書用語 4 江戸時代の本屋の日記から    (シリーズ古書の世界第7回)

江戸から伝わる古書用語 4 江戸時代の本屋の日記から

橋口 侯之介(誠心堂書店)

寛永期から続く伝統ある京都の本屋・風月庄左衛門(ふうげつしようざえもん)が書いた明和9年9月(1772)から1年3ヶ月分の日記が残っている。弥吉光永編『未刊史料による日本出版文化1』(昭和63年、ゆまに書房)で見ることができる。

基本的には業務日誌のようなものだが、中を読んでいくと、仕事の様子はもちろん、同業者とのつきあい、長男の出産を始め家庭内のことなどが細かく書かれている。業務もプライベートも飾ることなく書かれた二十代後半と思われる若い店主の個人的な日記である。他人に見せる目的の記録ではないので、使用されている言葉は当時の業界用語そのままであり、わかりにくい文である。しかし、現代の古本屋なら読み解くことができる。注意深く解読していくと本屋が日常どのように過ごしていたかがわかってきて興味深いのだ。

名門の書林なので出版物も多い。しかし、日記から見えてくるのは、現代の出版社のように、間断なく新本を出し続ける仕事ぶりとは違う。出版活動は数多くの業務の中のひとつに過ぎないのだ。店ではさまざまな本に関する仕事をこなすのだが、それを見ると、本業はむしろ古本屋の仕事で、それに加えて時々出版もするという感じである。

というのは、この日記の書かれた時期の最大の売り上げは諸大名への書物の大量納入だった。この頃、各藩では藩校の開始に向けて蔵書の収集をはじめていた。いわば図書館の充実である。風月の店でもそれに向けて在庫を増やす努力をして、売り込んでいる。

前回述べたように本の市場が充実してきており、仕入れにはそれを利用することが多い。とくに唐本の市から多く買っている。次が一般顧客からの買い入れで、日記にしばしば記録されている。中には大坂に珍しい本が出るというので、紹介者に添状をもらって仕入れに行っているなど、大口の買物もしばしばあった。

この店では、新本、古本、唐本がそれぞれ区分けされて保管されていて、店内はもとより、いくつかの蔵、別宅などに分散されていた。その置かれた場所ごとの商品在庫調査や、帳面の整理をこまめに実施している。それらは番頭を長とした店員たちのルーチンワークであり、合(あわせ)といっている。古本に符牒を入れのもこのときだ。どこに会計報告するわけでなし、まして税の申告の必要もなかった当時でも、こうして律儀に帳面と在庫のつき合わせをしていたのだ。

むしろ目的は、在庫目録の作成のためだ。藩校への納本はこの目録を先方に送り、そこから注文を取る方法だったことが日記でよくわかる。先方から欲しい本のリストが届き、ただちに納めると、日をおかずして入金してくる。この店の一番の稼ぎだった。古書目録というのは江戸時代からの有効な売り方だったのだ。



wahon
『和本への招待 日本人と書物の歴史』 著者 橋口 侯之介
角川選書 (角川学芸出版・角川グループ)
定価 1,728円(本体1,600円+税)好評発売中!
https://www.kadokawa.co.jp/product/201001000449/

誠心堂書店
http://seishindo.jimbou.net/catalog/index.php
 

Copyright (c) 2018 東京都古書籍商業協同組合

Just another WordPress site