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『これからの本屋読本』

『これからの本屋読本』

内沼晋太郎

 「いつか、本屋をやりたいんです」という人が、やって来る。なぜかといえば、本屋をやるための情報があまりに少なく断片的で、どこにも網羅されていないからだ。だから門戸を開いているぼくのところに、さまざまな人がやってくる。それぞれが「こんな本屋がやりたい」という話をして、それに対してなるべく前向きに「次までにこの部分を考えてみませんか」とアドバイスをする。「これからの本屋講座」と題して、そのような活動をこの4年続けてきた。そこで積み重ねた内容を土台にしながら、並行してたくさんの取材を行い、3年間をかけて執筆したのが本書だ。

本屋についての本は、もちろん過去にもたくさん出ている。本書でもいくつも引用させていただいたし、きっとこれからも名著が出続けるだろう。けれどそれらの多くはあくまで体験記で、これから実際にはじめようという人にとっては、ケーススタディにはなるが、地図や教科書にはならない。おこがましくも本書『これからの本屋読本』は、後者を目指した。もちろん、実際に本屋をやろうとまで考えていなくとも、本や本屋が好きな人であればきっと知りたかったはずのことを、包み隠さず書いたつもりだ。

本書は前半・別冊・後半の3つのパートからなっている。前半は基礎編として、本と本屋の現状と、その魅力について、それぞれの視点からあらためて考察した。別冊は「本の仕入れ方大全」と題して、新品の本と古本それぞれ、規模に応じた仕入ルートについて、できる限り網羅した(いま古書店を経営されていて、新品の本を取り扱うことを検討されている方にも、きっと参考にしていただけるはずだ)。そして後半は実践編として、本屋という小売業の基礎と、これから小さな本屋を続けていくための4つの考え方を提示し、それぞれに1章ずつを割き、最終章で自分のケースを紹介した。

密室での作業を終えたいまは、会いたい人たちのことが思い浮かぶ。まずは、日本全国で小さな本屋を営んでいる人や、これから開こうとしている人たち。講座はしばらく休むことにして、いますでに、トークイベントで全国各地をまわりはじめている。前著『本の逆襲』(朝日出版社)のときには1年半ほどかけて28ヶ所に訪れ、たくさんの出会いが次の活動につながった。今回はどんなことが起こるか、楽しみにしている。次に、本屋以外の小売や飲食業などで、インディペンデントな店舗を営んでいる人たち。本書を書きながら、他の分野からもっと学びたいという気持ちを強くしたので、これから積極的に会いにいきたいと考えている。そして最後に、世界中で小さな本屋を営んでいる人たち。昨年、韓国ソウルの本屋ブームを取材した『本の未来を探す旅 ソウル』(共著・朝日出版社)という本を書いたのだが、続編となる台北編を、秋ごろの刊行に向けてまさにいま、準備しているところだ。いまは特にアジアの書店に注目していて本書でもいくつか触れたが、まだ書き終えてもいないのに、次はどの国にするかを考えている。


dokuhon
『これからの本屋読本』内沼晋太郎 著
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https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000817412018.html

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