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2018年6月25日 第253号

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     。.☆.:* その253・6月25日号 *:.☆. 。
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☆INDEX☆
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1.『カバー、おかけしますか?』       中西晴代
2.『脇役本 増補文庫版』          濱田 研吾
3. 「大正モダーンズ ~大正イマジュリィと東京モダンデザイン~」
           日比谷図書文化館 副館長 岩渕 博

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━━━━━━━━━━━【自著を語る(208)】━━━━━━━━━

「カバー、おかけしますか?2」本屋さんのブックカバー集

                      中西晴代


 書店のレジで「カバー、おかけしますか?」と聞かれる、それを
248枚載せた写真集です。
 「書皮(しょひ)」という言葉があります。中国人に訊くと、カ
レンダーなどの紙を折って、自分で本に掛けるカバーのこと、と言
います。日本では広辞苑に「本の表紙」と載っていますが、日常的
に使われている言葉ではありません。自分で紙を折らなくても、書
店で買った本にカバーを掛けてくれるからでしょうか。教科書など
大切に思う本に、丁寧に紙を折ってカバーを掛けた思い出があるの
は、今や古い世代かもしれません。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3971


『カバー、おかけしますか?』中西晴代 編
出版ニュース社 定価:3024円  好評発売中!
http://www.snews.net/book/978-4-7852-0164-7.html


━━━━━━━━━━━【自著を語る(209)】━━━━━━━━━


『脇役本 増補文庫版』

                      濱田研吾



 今年4月、ちくま文庫から『脇役本 増補文庫版』を上梓した。
『脇役本 ふるほんに読むバイプレーヤーたち』(右文書院、2005
年)より120ページほど増補し、文庫化した。
 脇役本。ひとことで書けば「俳優本」である。筆者独自の定義は
3つ。日本人であること。故人であること。好きな俳優もしくは関
心のある俳優であること。自伝、エッセイ、写真集、闘病記、絵本、
詩集、句集、評論、小説、実用書、雑誌、家族(遺族)が書いたも
の、ファンがこしらえた研究書、法要の席でくばられる「まんじゅ
う本」、ジャンルは問わず。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3937

『脇役本 増補文庫版』 濱田 研吾 著
筑摩書房 定価:本体1,200円+税 好評発売中!
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480434944/


━━━━━━━━━━━【学芸員登場シリーズ】━━━━━━━━


日比谷図書文化館特別展
  「大正モダーンズ 大正イマジュリィと東京モダンデザイン」

             日比谷図書文化館 副館長 岩渕 博

日比谷図書文化館の13回目の特別展です。これまでも出版の街、千
代田区にふさわしい企画を、と進めてまいりましたが、今回は大衆
文化が花開いた大正~昭和初期にかけての出版文化を中心としたグ
ラフィックデザインの精華を紹介します。
本展の趣旨等につきましては添付いたしましたURLからご覧ください。
ここでは全体の構成と主な展示物をご紹介します。皆さまのご来館
をお待ちしています。


続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3935


「大正モダーンズ ~大正イマジュリィと東京モダンデザイン~」
会 場:千代田区立日比谷図書文化館 1階特別展示室
会 期:2018年6月8日(金)~2018年8月7日(火)
休館日 6月18日(月)、7月16日(月)
観覧時間:平日 午前10時~午後8時、土曜日 午前10時~午後7時、
https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/hibiya/museum/exhibition/taisho-modern.html


━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

古本屋ツアー・イン・ジャパンの2018年上半期活動報告(仮題)
古本屋ツーリスト 小山力也
http://furuhonya-tour.seesaa.net/


『銀幕に愛をこめて ―ぼくはゴジラの同期生 』
宝田 明 著 のむみち 編集
筑摩書房 定価:本体2,000円+税  好評発売中!
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480815439/


『本屋な日々 青春篇』 石橋毅史 著
トランスビュー 価格:1,800円+税 好評発売中!
http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784798701677


『これからの本屋読本』内沼晋太郎 著
NHK出版 定価:1,728円 好評発売中!
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000817412018.html

━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━


6月~7月の即売展情報

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


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https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_category.php?catid=22

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 次回は2018年7月中旬頃発行です。お楽しみに!
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全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,200店加盟)の略称です

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日本の古本屋メールマガジンその253 2018.6.25



【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:小野祥之
編集長:藤原栄志郎


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2018年6月10日 第252号

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 古書市&古本まつり 第64号
      。.☆.:* 通巻252・6月11日号 *:.☆. 。
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メールマガジンは、毎月2回(10日号と25日号)配信しています。

初旬に(10日前後)全国で開催されている古本展示即売会など、
イベント情報をお送りします。お近くで開催される際は、ぜひ
お出掛け下さい。
なお、1月から「シリーズ古書の世界」を連載しております。

━━━━━━━━━【シリーズ古書の世界 第6回】━━━━━━━

江戸から伝わる古書用語 3 江戸時代の市場

                 橋口 侯之介(誠心堂書店)

江戸時代にも古書の市場があったことを述べた。河内屋和助こと三
木佐助の懐古談『玉淵叢話』によれば、「糶市(せりいち)と申す
ものでござりました。……伊丹屋善兵衛で市の定日が二、七の日、
外に内々の市屋、柏原屋儀兵衛のが四、九の日、播磨屋太助のが三、
八の日でありまして此等の糶市が私共若年者には誠によい参考にな
りましたのでござります。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3925

誠心堂書店
http://seishindo.jimbou.net/catalog/index.php


━━━━━【6月11日~7月15日までの全国即売展情報】━━━━━


https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init


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柏モディ古本市(千葉県)

期間:2018/06/06~2018/07/01
場所:モディ柏店 3F 千葉県柏市柏1-2-26 


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EBeanS 大レコードCD市&古本まつり(宮城県)

期間:2018/06/08~2018/07/08
場所:E BeanS(イービーンズ)9F 仙台市青葉区中央4丁目1の1
URL:http://e-bf.jp/e_beans/record_20180608/index.html


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第13回 つちうら古書倶楽部の古本まつり(茨城県)

期間:2018/06/09~2018/06/17
場所:つちうら古書倶楽部 茨城県土浦市大和町2-1 パティオビル1F


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書窓展(マド展)

期間:2018/06/15~2018/06/16
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22


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夏越の古書市・前まつり(京都府)

期間:2018/06/15~2018/06/17
場所:京都文化博物館内「ろうじ店舗」 
京都府京都市中京区 高倉通三条上ル東片町623ー1
URL:http://koshoken.seesaa.net/


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第42回 鬼子母神通りみちくさ市

期間:2018/06/17
場所:雑司が谷・鬼子母神通り
URL:https://kmstreet.exblog.jp/


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第84回シンフォニー古本まつり(岡山県)

期間:2018/06/20~2018/06/25
場所:岡山シンフォニービル1F 自由空間ガレリア


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ベイシア IS 伊勢崎店 第22回 大古本市(群馬県)

期間:2018/06/21~2018/06/30
場所:ベイシアIS伊勢崎店 4階イズホール 
   群馬県伊勢崎市中央町19-1


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新興古書大即売展

期間:2018/06/22~2018/06/23
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22


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五反田古書展

期間:2018/06/22~2018/06/23
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4


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夏越の古書市・後まつり(京都府)

期間:2018/06/22~2018/06/24
場所:京都文化博物館内「ろうじ店舗」 
   京都府京都市中京区 高倉通三条上ル東片町623ー1
URL:http://koshoken.seesaa.net/


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好書会

期間:2018/06/23~2018/06/24
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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第32回 新宿西口古本まつり

期間:2018/06/25~2018/06/30
場所:東京都交通広場 新宿駅西口地下各線改札口徒歩30秒 
   (京王百貨店の横地下1階です)


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浦和宿古本いち (埼玉県)

期間:2018/06/28~2018/07/01
場所:JR浦和駅西口徒歩5分 マツモトキヨシ前


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オールデイズクラブ古書即売会(名古屋)

期間:2018/06/29~2018/07/01
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田5-1-12

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ぐろりや会

期間:2018/06/29~2018/06/30
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
URL:http://www.gloriakai.jp/


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古書愛好会

期間:2018/06/30~2018/07/01
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9


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西部展

期間:2018/07/06~2018/07/08
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9


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東京愛書会

期間:2018/07/13~2018/07/14
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
URL:http://aisyokai.blog.fc2.com/


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第173回 神戸古書即売会(兵庫県)

期間:2018/07/13~2018/07/15
場所:兵庫県古書会館 一階・二階 神戸市中央区北長狭通6-4-5


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次回メールマガジンは6月下旬に発行です。

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日本の古本屋メールマガジンその252 2018.6.11

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:小野祥之


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hibiya

日比谷図書文化館特別展 「大正モダーンズ 大正イマジュリィと東京モダンデザイン」

日比谷図書文化館特別展 「大正モダーンズ 大正イマジュリィと東京モダンデザイン」

日比谷図書文化館 副館長 岩渕 博


日比谷図書文化館の13回目の特別展です。これまでも出版の街、千代田区にふさわしい企画を、と進めてまいりましたが、今回は大衆文化が花開いた大正~昭和初期にかけての出版文化を中心としたグラフィックデザインの精華を紹介します。
本展の趣旨等につきましては添付いたしましたURLからご覧ください。ここでは全体の構成と主な展示物をご紹介します。皆さまのご来館をお待ちしています。

会場の構成 [全6章]
第1章「大正のデザイン 杉浦非水と大正の商業図案」
グラフィックデザイナーの先駆けと呼ばれる杉浦非水のデザインと、当時の商業図案を紹介。非水の図案や装丁、またパンフレット『三越』など三越のデザイナーとしての仕事、さらにたばこのパッケージデザインを紹介。また、『商店圖案撰集』第1輯は当時としてはめずらしい多色刷で、鮮やかな色が特徴。30点を展示します。

第2章「東京大正パブリケーション 美術家たちの挑戦」
出版文化が興隆した大正時代に若い美術家たちはブックデザインを実験の場とし、様々な表現に挑戦しました。藤島武二による与謝野晶子の歌集などの装丁、杉浦非水、橋口五葉、岸田劉生、津田清楓、古賀春江、竹久夢二などの前衛的なブックデザインを紹介します。

第3章「子供ワールドと華と女性 カワイイの原点」
エレン・ケイの『児童の世紀』の流行もあり、大正時代には子供を尊重すべきであるという風潮が生まれ、子供を育てる女性の世界もまた広がっていきました。子供向けの絵本、雑誌、文庫などが多く出版され、竹久夢二や蕗谷虹児らが少女をモチーフとしたデザインを数多く手がけました。『少女の友』をはじめとした雑誌表紙や、杉浦非水と巌谷小波コンビの『子宝』、さらに乙女向けの絵はがきや絵封筒などを紹介。

第4章「新時代のジャポニスム 小村雪岱と浮世絵イマジュリィの世界」
一度は打ち捨てられた浮世絵が江戸時代を知らない若い芸術家たちによって、明治末から大正にかけて再注目されました。小村雪岱、鏑木清方や橋口五葉などの挿画、口絵など大正時代の浮世絵スターを紹介します。

第5章「ポップ・カルチャーの洗練 映画、演劇、舞踏のパンフレットデザイン」
第一世界大戦後の好景気などで中間層の人々まで文化的な楽しみを享受するようになり、演劇、映画、クラシック音楽、レビューなどが盛んになり、その宣伝用の斬新なパンフレットやポスターなどが生み出されました。1923年開館の道頓堀松竹座の『松竹座ニュース』や公演パンフレット、平井房人等の『宝塚少女歌劇脚本集』、竹久夢二の「セノオ楽譜」や斎藤佳三の「日本ビクター楽譜」、橘小夢による水の江瀧子ら少女歌劇スタアのイラスト画、カジノフオーリーレヴューのプログラムなどを紹介します。

第6章「銀座・東京モダニズム 大正のファッション&ライフスタイル」
震災後の新しい街並みと連動して、東京のファッションが変わり、モボ、モガが登場し、デザインにもその様子が描かれます。竹久夢二、亀井実、多々谷信乃らの木版画が表紙に貼られた『婦人グラフ』や、当時の化粧品の広告、資生堂をはじめとしたマッチラベルのコレクション、高畠華宵が表紙を飾った『少女畫報』『少女の國』に加え、斎藤佳三の提案した「リズム模様」を施した「リズム浴衣」の生地見本や、当時の流行色の色見本や資料なども紹介します。
皆さまの参観をお待ちしています。



hibiya
「大正モダーンズ ~大正イマジュリィと東京モダンデザイン~」
会 場:千代田区立日比谷図書文化館 1階特別展示室
会 期:2018年6月8日(金)~2018年8月7日(火)
休館日 6月18日(月)、7月16日(月)
観覧時間:平日 午前10時~午後8時、土曜日 午前10時~午後7時、
https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/hibiya/museum/exhibition/taisho-modern.html

Copyright (c) 2018 東京都古書籍商業協同組合

cover

「カバー、おかけしますか?2」本屋さんのブックカバー集

「カバー、おかけしますか?2」本屋さんのブックカバー集

中西晴代

 書店のレジで「カバー、おかけしますか?」と聞かれる、それを248枚載せた写真集です。

「書皮(しょひ)」という言葉があります。中国人に訊くと、カレンダーなどの紙を折って、自分で本に掛けるカバーのこと、と言います。日本では広辞苑に「書物の表紙」と載っていますが、日常的に使われている言葉ではありません。自分で紙を折らなくても、書店で買った本にカバーを掛けてくれるからでしょうか。教科書など大切に思う本に、丁寧に紙を折ってカバーを掛けた思い出があるのは、今や古い世代かもしれません。いつ、どこの書店で始めたことか、確かなことは分かりませんが、新刊書店だけでなく、以前は本を包んでいた古書店にも、オリジナルデザインのカバーを用意している店があります。

家の近くの書店で、12月に本を買ったら、トナカイの絵が描かれた真っ赤なカバーが掛けられました。もう1枚欲しくて、もう1冊本を買った、40年近く前のそれが、私の書店カバー蒐めの原点です。

私と同じように、<書店のカバー>が気になっている人達が集まって、書店で掛けてくれるカバーを「書皮」と呼んで、1983年に「書皮友好協会」ができました。初めての顔合わせの時に、たくさんある書皮の絵柄に魅せられて、「素晴らしい書皮の書店を讃えよう」と、人気投票をしました。それから30年、全国大会と称して毎年1回集まって、十人以上でぞろぞろと書店巡りをして、夜の宴会で持ち寄った書皮で投票をして、「書皮大賞・地方賞・特別賞」を決めました。

2005年に、1回~20回の「書皮大賞」と、絵柄でジャンル分けした約200枚を紹介した本「カバー、おかけしますか?」(出版ニュース社刊)を出しました。その後、書皮大賞を選ぶ全国大会は30回まで続いて、そのすべての投票に参加をした私と、30余年間の会の活動の記録として、4月に2冊めを出しました。本はどこで買っても同じ値段で、同じ商品で、違うのは書店のサービスの「皮」の部分です。そこには、書店のご主人の思いが込められています。今回は日本だけでなく、1992年頃まで韓国の書店でも日常的に使われていたカバーや、1940年代にアメリカの大学内の書店で使われていたものも紹介しました。

以前は、電車の駅前には小さな書店がありました。図書館で電話帳をコピーして、書店が記載されている昭文社の地図を持って、電車に乗ったり降りたりして書店を巡ると、コレクションはどんどん増えました。最近は駅前に書店がなくなって、地元の人達に愛された老舗書店も次々に姿を消しています。とても残念なことですが、書皮が残って、書店があったという記憶は残ります。だかがカバー、されどカバー。書店のレジでいりませんと言う方も、掛けてくださいと言う方も、しばし紙を広げて、そこに描かれた絵柄を見てみませんか? 思わぬ発見があるかもしれませんよ。cover
『カバー、おかけしますか?』中西晴代 編
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『脇役本 増補文庫版』

『脇役本 増補文庫版』

濱田研吾


 今年4月、ちくま文庫から『脇役本 増補文庫版』を上梓した。『脇役本 ふるほんに読むバイプレーヤーたち』(右文書院、2005年)より120ページほど増補し、文庫化した。
 脇役本。ひとことで書けば「俳優本」である。筆者独自の定義は3つ。日本人であること。故人であること。好きな俳優もしくは関心のある俳優であること。自伝、エッセイ、写真集、闘病記、絵本、詩集、句集、評論、小説、実用書、雑誌、家族(遺族)が書いたもの、ファンがこしらえた研究書、法要の席でくばられる「まんじゅう本」、ジャンルは問わず。

 文庫化にあたっては、18人分を書き下ろし、77人の俳優の名が目次にならんだ。脇役といっても、人それぞれ。脇でも印象的な主演スター(佐分利信、天知茂)、映画やテレビは脇でも演劇界では大物(滝沢修、八代目坂東三津五郎)、かつては主役で晩年は脇役(高田稔、市川百々之助)、生涯バイプレーヤー(中村是好、野口元夫)、セミプロの俳優(菅原通済、三國一朗)…。舞台、映画、放送と活躍の場も多彩である。

 新刊文庫だが、古本屋さんに読んでほしい。紹介した脇役本はほぼすべて“古本”で買ったものだから。そもそも、3つの定義に当てはまる脇役本は、新刊ではまず見かけない。独断と偏見に満ちた体系であっても、こうして一冊にまとめると、見えてくるものがきっとあるはず。それは、プロの古本屋だからこそ感じられる特権、だと思う。

 子どものころから、古い日本の映画・テレビドラマが大好きだった。ごひいき俳優の著作を探そうと、古本屋をめぐった。通っていた高校は、JR大阪環状線の沿線にあった。阿倍野の「古本のオギノ」、大阪球場の「なんばん古書街」、梅田の「阪急古書のまち」。懐かしく思い出す。脇役本は、古書価があまり高くない。それゆえ蒐めやすかった。

 売りに出す古本屋なくして、脇役本を手にいれることはできない。個人が古本を売買する時代とはいえ、プロにはかなわない。東映時代劇の名悪役だった吉田義夫が、日本画家を志していた若き日々を綴った『波光先生を想う』(私家版、1978年)。古書展の棚にならべた月の輪書林さんの見立てなくして、この稀覯本と出会い、『脇役本』のトリを飾ることはなかった。

 蒐め出して30年。未知、未見の脇役本はたくさんある。最近も「日本の古本屋」で、『語りもの 京都新劇史 その一』(京都新劇団協議会、1974年)という冊子を見つけた。劇団「くるみ座」を支え、映画やテレビで“こわいおばあちゃん”としてならした名女優、毛利菊枝の聞き書きである。これだから脇役本狂いはやめられない。
 泉下の俳優について書くのは、楽しい。届かぬ手紙を書いているような、心地よさがある。続きも書きたい。これからも“ウブい”脇役本を、売りに出してください。待っています。



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『脇役本 増補文庫版』 濱田 研吾 著
筑摩書房 定価:本体1,200円+税 好評発売中!
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江戸から伝わる古書用語 3 江戸時代の市場    (シリーズ古書の世界第6回)

江戸から伝わる古書用語 3 江戸時代の市場

橋口 侯之介(誠心堂書店)

前回、江戸時代にも古書の市場があったことを述べた。河内屋和助こと三木佐助の懐古談『玉淵叢話』によれば、「糶市(せりいち)と申すものでござりました。……伊丹屋善兵衛で市の定日が二、七の日、外に内々の市屋、柏原屋儀兵衛のが四、九の日、播磨屋太助のが三、八の日でありまして此等の糶市が私共若年者には誠によい参考になりましたのでござります。凡て書籍と云ふ書籍は御経浄瑠璃本まで悉く此市で売買されたものであります」とその盛況ぶりが描かれている。

今回はその実態をもう少し明らかにしておこう。
江戸・京・大坂では本屋仲間が株を与える公式な市場があったことを紹介したが、このほか長崎に入ってくる唐本についても入札で取引されていた。では当時、どのような方式で行われたのだろうか。入札方式なのかセリ方式なのか、ということも知りたいことである。実は入札とセリが併用されていた。
唐本の市では本ごとの落札値段が出てくる史料が残っており、天保2年(1831) 5月12日に開かれた市には、およそ300点が出品されたが、前半は「入札(いれふだ)」で、後半は「是よりふり市」となって方法を変えている。

入札は紙に希望価格と店名を書いて、主催者がそれらを比べて高値の者に落札できるようにする方式で、現在とそう変わらない。それを後半はふり市に変えて行うというのである。ふり市は現在でこそ少なくなったが、昭和期はよく行われていた。振り手が本をかざし、参加者の中から欲しい者が声で値を言い合う。そこで最後まで残った最高値の人に決まるセリ方式である。このほうが盛り上がって高くなることが多いので、後半の善本はそれで競わせたらしいのである。

別名振り立てともいって、文久2年(1862)大坂の市の申し合わせ事項に取引には「えこひいき」がないように、あるいは一度落札した価格を値引きさせるようなことは禁止であると出てくる。たくさん出品したから手数料の値引きをいうようなことをしてはならない、という決めもあった。誰に対しても公平であるように勤めていたのだ。

取引の精算も問題だった。寛延2年(1749)の江戸三組行事の規約によれば、「世利物」といわれた本市で取引された品の支払い期間は十日とし、その支払いを延ばすなら、品物を受け取るのは清算がすんでからである。もし、不算用が判明したらその者の名を市宿(市の会場)に張り出し、現金といえども今後の取引を禁ずるという厳しいものだった。

大坂では、市に荷物を出す売り主にはその月の晦日に売り上げ分を支払い、買い方はその前の二十七日までに支払うことという達しだった。晦日に払うためにはその前に資金を確保するために買い方に早めに支払わせる必要があるからである。ところが、買い方の中には払いを延ばす者がいて困るので、払わない者へは遠慮無く催促するよう申し聞かせるということだった。こういうことは古くて新しい問題である。



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『和本への招待 日本人と書物の歴史』 著者 橋口 侯之介
角川選書 (角川学芸出版・角川グループ)
定価 1,728円(本体1,600円+税)好評発売中!
https://www.kadokawa.co.jp/product/201001000449/

誠心堂書店
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2018年5月25日 第251号

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☆INDEX☆
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1.『公共図書館の冒険』           田村俊作
2.『熊楠と猫』               志村真幸
3. Editorship(エディターシップ) Vol.5   大槻慎二

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━━━━━━━━━━━【自著を語る番外編】━━━━━━━━━


『公共図書館の冒険』

                       田村俊作


 公共図書館は,日本中どこにでもありよく使われている施設です。
おおぜいの人が利用してその恩恵を受けている一方,ベストセラー
を大量に貸し出して出版社の利益を損なっていると,作家や出版社
からたびたび非難されてきました。最近では,書店が運営する図書
館が大賑わいを見せています。ん?書店が図書館を運営?


続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3910


『公共図書館の冒険』
編:柳与志夫・田村俊作
執筆:小林昌樹・鈴木宏宗・柴野京子・河合将彦・安井一徳・小田光宏
みすず書房刊 定価:3,780円(本体3,500円)好評発売中!
https://www.msz.co.jp/book/detail/08682.html



━━━━━━━━━━━【自著を語る番外編】━━━━━━━━━━


『熊楠と猫』

                        志村真幸

 水木しげるの『猫楠』は南方熊楠を主人公とした漫画だ。熊楠に
ついてよく調べられ、我々研究者から見ても違和感がない。なによ
り優れているのは、熊楠を猫という切り口から描いた点だろう(た
だし、荒唐無稽に過ぎる面もあって、先日は授業で学生から「熊楠
って猫と会話できたんですよね?」と質問された)。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3899


『熊楠と猫』
著者:南方 熊楠・杉山 和也・志村 真幸・岸本 昌也・伊藤 慎吾
共和国刊 価格 2,300円+税 好評発売中!
http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784907986360

━━━━━━━━━━━【編集長登場シリーズ】━━━━━━━━


出版業の本来の姿を思うーー「Editorship vol.5」の発刊に際して

日本編集者学会事務局長
「Editorship」編集長 大槻慎二

2年ぶりの発刊となる「Editorship」第5号をお届けいたします。
前号では沖縄で地元メディアとコラボしたセミナーを取り上げ、
現在の辺野古基地問題にも通ずる沖縄の歴史とメディアの関係を
扱いましたが、今回は長野県飯田市に場をうつし、「信州と出版
文化」と題して行ったセミナーを軸としてコンテンツを構成いたし
ました。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3893


Editorship(エディターシップ) Vol.5 日本編集者学会編
特集1信州と出版文化 他
価格 1,600円+税 好評発売中!
発行:日本編集者学会 販売:田畑書店
http://tabatashoten.co.jp/


━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

『カバー、おかけしますか?』中西晴代 編
出版ニュース社 定価:3024円  好評発売中!
http://www.snews.net/book/978-4-7852-0164-7.html


「大正モダーンズ ~大正イマジュリィと東京モダンデザイン~」
会 場:千代田区立日比谷図書文化館 1階特別展示室
会 期:2018年6月8日(金)~2018年8月7日(火)
休館日 6月18日(月)、7月16日(月)
観覧時間:平日 午前10時~午後8時、土曜日 午前10時~午後7時、
https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/hibiya/museum/exhibition/taisho-modern.html

『脇役本 増補文庫版』 濱田 研吾 著
ちくま書房 定価:本体1,200円+税 好評発売中!
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480434944/

━━━━━━【東京古書会館展示会開催のお知らせ】━━━━━━

 「カバー、おかけしますか?展」

会期 6月20日(水)~6月23日(土)
時間 午前10時~午後5時
会場 東京古書会館 2階情報コーナー

主催 出版ニュース社
協賛 書皮友好協会
後援 東京都古書籍商業協同組合


ホームページ
http://www.kosho.ne.jp/?p=188



━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━


5月~6月の即売展情報

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init


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 次回は2018年6月中旬頃発行です。お楽しみに!
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*☆ 本を売るときは、全古書連加盟の全国の古書店に ☆*
全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,200店加盟)の略称です

https://www.kosho.or.jp/buyer/list.php?mode=from_banner

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日本の古本屋メールマガジンその251 2018.5.25

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:小野祥之
編集長:藤原栄志郎


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本と人との交流拠点  「神保町ブックセンター with Iwanami Books」

本と人との交流拠点 「神保町ブックセンター with Iwanami Books」


これからを生きるための新しい知識・新しい仲間に出会える本と人との交流拠点「神保町ブックセンター with Iwanami Books」が2018年4月神保町に開業しました

神保町ブックセンターは、書店・イベントスペース・コワーキングスペース・喫茶店の機能を複合させた施設です。

■ 神保町ブックセンターの特徴

コンセプト:未来の自分の種をまく。

神保町ブックセンターは神保町を訪れるだれでもが立ち寄って本を読み、その本を購入でき、さらにコーヒーや食事も楽しめる「本喫茶」と、本に囲まれた空間で仕事ができ、様々なテーマ のイベントをきっかけに、新しい知識や仲間に出会える「仕事場」とを複合させた施設です。新しい知識や発見との出会い、新しい仲間との出会いを促し、これからの時代を生き抜くための気づき・個人の成長のきっかけを提供することを目指します。

アドバイザーに「NUMABOOKS」代表、下北沢「本屋B&B」共同経営者であるブック・コーディネイター内沼晋太郎氏を迎え、同氏との協力体制のもと運営していきます。

「本喫茶」
店内には現行販売されている岩波書店主要出版物をご用意。日中は本が読めて買える喫茶店とし て、さらに夕方以降は本に囲まれながらゆっくりとお酒なども楽しめる場として営業します。

「仕事場」
本に囲まれた空間で集中して作業ができるワークラウンジと会議室、サービスオフィスといったコワ ーキングスペースを提供。ワークラウンジでは、岩波書店の書籍に関するイベントのほか、著者を招いたトークイベント、ワークショップやスクール(連続講座)、読書会などを定期開催します。

【施設概要】
所在地 :東京都千代田区神田神保町2丁目3-1
岩波書店アネックス1階・2階・3階
アクセス:都営地下鉄三田線・新宿線・
     東京メトロ半蔵門線「神保町」駅徒歩1分
営業時間:平日9:00~20:00 土日祝:10:00~19:00
TEL: 03-6268-9064
URL: http://www.jimbocho-book.jp/

Copyright (c) 2018 東京都古書籍商業協同組合

kumagusu

『熊楠と猫』

『熊楠と猫』

志村真幸


水木しげるの『猫楠』は南方熊楠を主人公とした漫画だ。熊楠についてよく調べられ、我々研究者から見ても違和感がない。なにより優れているのは、熊楠を猫という切り口から描いた点だろう(ただし、荒唐無稽に過ぎる面もあって、先日は授業で学生から「熊楠って猫と会話できたんですよね?」と質問された)。

 熊楠は生涯を猫とともに暮らし、しばしば論文のテーマにとりあげ、無数の猫の絵を残した。『熊楠と猫』は、そんな熊楠と猫についてのすべてを集めた本である。猫の絵も100点近くが収録されている。
 本書は、2015年に南方熊楠顕彰館(和歌山県田辺市)で開かれた展覧会をもとにしてつくられた。そもそも展覧会のきっかけは、熊楠の猫の絵があまりに魅力的なことにあった。でっぷりと太っていて、図々しく、油断しきっており、ご満悦な表情を浮かべている。熊楠がどれほどかわいがり、甘やかしていたか伝わってくる。

 熊楠の猫たちは思わぬところに潜んでいる。日記の片隅に描かれていたり、反古の裏に悪戯書きがあったり、論文で難解な概念を説明するのに使われていたり。展示では一部しか出せなかったが、こんなにあるなら本にしなければもったいないということで、『熊楠と猫』が生まれたのだ。

 編集作業中に、熊楠が飼っていた猫の写真が出てきたのにくわえ、熊楠が日本で広く知られるようになった論文である「猫一疋の力に憑って大富となりし人の話として」の続編が3篇も新発見された。これらを収録できた点でも、『熊楠と猫』は意義深いものとなっている。
 なお、本書の出版を記念して、6月5日~10日に、高円寺の来舎ギャラリーにて「熊楠と猫」展(南方熊楠顕彰館:後援)を開催する。



kumagusu
『熊楠と猫』
著者:南方 熊楠・杉山 和也・志村 真幸・岸本 昌也・伊藤 慎吾
共和国刊 価格 2,300円+税 好評発売中!
http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784907986360



「熊楠と猫」展
南方熊楠と自由で不思議な愛猫たち
2018/6/5(火)~6/10(日) in 高円寺来舎
12:00~18:00
https://gallerykiya.jp/?p=2583

Copyright (c) 2018 東京都古書籍商業協同組合

koukyo

『公共図書館の冒険』

『公共図書館の冒険』

田村俊作


 公共図書館は,日本中どこにでもありよく使われている施設です。おおぜいの人が利用してその恩恵を受けている一方,ベストセラーを大量に貸し出して出版社の利益を損なっていると,作家や出版社からたびたび非難されてきました。最近では,書店が運営する図書館が大賑わいを見せています。ん?書店が図書館を運営?
 そもそも,どうして自治体は公費で本を買い上げて無料で住民に貸すようなことをするようになったのでしょうか。公共図書館はどのようにしていまのような運営のし方や利用のされ方になったのでしょうか。

 本書は,わが国の公共図書館の歩みを,利用者,本棚,出版界との関係,図書館員,カウンターといった多様な観点からたどり,それぞれ,最初の頃はどうだったのか,それがどのような経緯で現在のようになったのかを探っています。根底にあるのは上記の疑問で,歴史から現在とはずいぶん違った図書館の姿が見えてきます。私たちは本書を通じ,図書館の歩みを相対化することによって,図書館は現在と別様でもあり得たのではないか,あるいは,これからなり得るのではないかと,その可能性を考えています。

 本書の出版を私たちに呼びかけたのはみすず書房の持谷寿夫社長(当時)と東大の柳与志夫さんです。記録を見ると,お二人の呼びかけに応えて執筆者が集まり,検討を始めたのが2016年2月ですから,丸二年以上かけて出版の準備をしたことになります。検討には,執筆者,持谷さん,柳さんの他に,みすず書房の編集から守田省吾さん(現社長),さらに,「文脈の会」という以前あった図書館史の研究会から,春山明哲さんと森洋介さんのお二人が参加しました。執筆者が用意した構成案に春山さんと森さんの容赦ない突っ込みが入り,おかげで内容はぐっと締まったものになりました。検討の最後に守田さんが「面白い」とコメントされると,執筆者一同ほっとしたものでした。

 執筆自体は各人の責任において行いましたから,1章1章スタイルは違っています。利用者から裏方の地味な作業まで,通して読んでいただけると,図書館の内部の論理や社会での立ち位置の変遷など,ひととおりのことが理解できるように作ってありますが,何せ今まで書かれなかったことが満載ですから,個々の章を単独で読んでも,十分に読み応えがあります。最後がまとめの章になっていて,全体を論評するようなスタイルで書かれていますから,あるいは最後の章から読まれても良いのかもしれません。



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『公共図書館の冒険』
編:柳与志夫・田村俊作
執筆:小林昌樹・鈴木宏宗・柴野京子・河合将彦・安井一徳・小田光宏
みすず書房刊 定価:3,780円(本体3,500円)好評発売中!
https://www.msz.co.jp/book/detail/08682.html

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