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古本屋ツアー・イン・ジャパンの2017年総決算報告

古本屋ツアー・イン・ジャパンの2017年総決算報告

古本屋ツーリスト 小山力也


 すでに2018年がスタートして二ヶ月が経ってしまったが、遅ればせながら2017年を一言で言い表すと、『どうにか乗り切った一年』が相応しいだろう。結局上半期にボヤいていた『遠出が出来ない状況』が、ズルズルと一年間続いてしまった。恐ろしいことに地方に行けたのは、十一月に目黒考二氏とのトークイベント開催に便乗して乗り込んだ、愛知・中京競馬場前「安藤書店」(夕方に早くも沈み込む街の駅前で輝く、深い棚造りに長けた良店であった)の一店だけであった。その他のおよそ364日は、東京周辺の古本屋さんを巡りまくり、ウダウダダラダラと古本を買って過ごしていたのである。もう二三年前の、週に一度は地方にあっちこっち飛んでいた状況とは、月とスッポンである。そんな無茶なことが可能だったのはとてもスゴいことであり、それが出来ない今はやはり寂しくもある…だがこういう時は無理にあがいてもどうしようもないので、『待てば海路の日和あり』と、出来ることをしながら、また地方を飛び回れるようになることを、虎視眈々と忍び待つしかないのであろう。

それに決して負け惜しみではないのだが、このスッポンもなかなか良いものなのである。当然行ったことのあるお店への再訪再々訪がほとんどなのだが、古本屋に行くというよりは、古本を買うということに重心を移すと、今までとはまた違った景色や棚の様相が立ち現れてくる。なんたって首都圏は、神保町・早稲田・中央線沿線を中心に、全盛期より数を減らしているとは言え、まだまだ古本屋さん的にはとても恵まれた状況にあるのだ。おかげで前期に報告した「バリケード・一九六六年二月/福島泰樹」「探偵小説 幽霊塔/江戸川乱歩」「10・21とはなにか」「魔法入門」「団地七つの大罪」に加え、後期には寶文館「黄いろい楕圓/北園克衛」を500円で、筑摩書房「幸福論/小山清」を3000円で、暮しの手帖社「暮しのなかで考える/浦松佐美太郎」を100円で、磯部甲陽堂「幽霊探訪/大窪逸人(山中峯太郎!)」を300円で、博文館文庫「スミルノ博士の日記/S・A・ドゥーゼ」を100円で見つけたりして、ブックハントを存分に満喫する。やはり古本屋さんや古本市には、わざわざ足を運ぶ価値あり!の思いを強くする掘出し物体験であった。

そして最近は、今までとは違った形で古本屋さんにアプローチすることも増えて来ている。西荻窪の「盛林堂書房」では『盛林堂イレギュラーズ』と称し、買取バイトに同行させてもらっている。主に本の束をひたすら運ぶ下働きが中心だが、お店では決して見られぬ古本屋さんの仕事や、人様の棚や書庫が見られるのは、とても刺激的な体験である。その様子は買取先に許可をいただいた上で時々ブログ上で公開しているのだが、ミステリ評論家の新保博久氏と日下三蔵氏のレポートは凄まじいものになっているので、ご一読していただければ幸いである。他にも「古書音羽館」で一日バイトをして、補充しっ放しの店頭棚の人気の秘密を知り、「@ワンダー」の地方買取バイトでは、山越えでトランクのタイヤがバーストし、本の重さの恐ろしさを知る。また、特殊古本屋「マニタ書房」・とみさわ昭仁氏と特殊翻訳家・柳下毅一郎氏とアダルトメディア評論家・安田理央氏の三人が時たま行う『古本せんべろツアー』に同行させていただいている。これは午前のうちから飲み屋に集合し、古本屋と飲み屋を夜の八時くらいまで訪ね歩く、まるで天国のようだが最終的には地獄のように酒精に溺れる古本屋巡りである。いつも酔い過ぎないよう気をつけているのだが、アルコールが入っていると気が盛大に緩んで大きくなり、ついついたくさん古本を買ってしまうのが恐ろしいところである。  

そんな風に古本屋を訪ね回り、血眼で安値の良本を探しながら目撃したお店の開店&閉店を列挙してみよう。言祝ぐべき開店は、下北沢の「古書明日」、駒込の「BOOKS青いカバ」、八王子の「古書むしくい堂」、曙橋の「おふね舎」、みのり台の「smoke books」、新小金井の「古本・雑貨 尾花屋」、吉祥寺の「一日」、とうきょうスカイツリーの「書肆スーベニア」、三軒茶屋の「Cat’s Meow Books」、豪徳寺「nuibooks」、黄金町「9Bricks」。そして悲嘆すべき閉店は、神保町「澤口書店 小川町店」、戸塚「ブックサーカス 戸塚モディ店 トツカーナ店」、武蔵関「古本工房サイレン」、新中野「プリシラ古書店」、上田「斉藤書店」、鎌倉「ウサギノフクシュウ」、渋谷「巽堂書店」、早稲田「谷書房」。もちろん東京近辺の狭い地域の話なのだが、開店数と閉店数が微妙に拮抗しているのが不思議なところである。そして開店する新店の名を見れば一目瞭然なのだが、正統派な『~書店』『~書房』などは見当たらず、奇妙な名の割合が高い。つまりは新世代の古本屋さんが増えて来ているのである。

そして今年で古本屋を勝手に調査するブログ『古本屋ツアー・イン・ジャパン』が、活動を開始してから十年目に突入している。我ながら良く続いて来たものだと思う。その節目と言っては何だが、二月には二千冊の古本を家から運び出し、「古本屋ツアー・イン・ジャパン大放出市 2DAYS」を行い、十月には恥ずかしながら「さすらいの十年展」と銘打ち、東京古書会館の情報コーナーで記念の展示を開催した。もはや完全に古本と古本屋さんとは、切っても切れぬ強力な縁で、人生ががんじがらめにされている。そう覚悟して、今後も古本屋さんには思いっきり関わって行く所存である。その手始めに、東京古書籍協同組合とささやかなリーフレットを作ったり、盟友・岡崎武志氏と今年も楽しい古本屋本を作り上げたいと考えている。

かように活動は色々変容しながらも、大好きな古本屋さんへの旅は続いて行く。もうすぐ春ですが、今年もよろしくお願いいたします。  



小山力也
2008年5月からスタートした、日本全国の古本屋&古本が売っている場所の、全調査踏破を目指す無謀なブログ『古本屋ツアー・イン・ジャパン』管理人。「フォニャルフ」の屋号で古本販売に従事することも。古本屋に関する著書ばかりを出し続けており、それらの出版社や形状は違えど、全部を並べたらいつしか“日本古本屋大全集”となってしまうよう、秘かに画策している。「本の雑誌」にて『毎日でも通いたい古本屋さん』連載中。
http://furuhonya-tour.seesaa.net/

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2018年2月9日 第244号

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 古書市&古本まつり 第60号
     。.☆.:* 通巻244・2月9日号 *:.☆. 。
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メールマガジンは、毎月2回(10日号と25日号)配信しています。


初旬に(10日前後)全国で開催されている古本展示即売会など、
イベント情報をお送りします。お近くで開催される際は、ぜひ
お出掛け下さい。
なお、1月から「シリーズ古書の世界」を連載しております。

次回メールマガジンは2月下旬に発行です。

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━━━━━━━━━━【シリーズ古書の世界】━━━━━━━━━


変っていく古書店のかたち2

                 樽見博(日本古書通信編集長)


昨年末全営業を止めた龍生書林大場啓志さんの『古書遊泳』は、
「日本古書通信」に5年間(平成19年9月~23年12月)にわたって連
載されたものを加筆訂正してまとめた本だが、発行部数75部で希望
しても入手は難しいだろう。巻末に添えた書名の由来となった「古
書遊泳」は、自らの古本屋人生を回顧、1冊にまとめるに際し書き
下ろされたものだ。

続きはこちら
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日本古書通信社
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━━━━━【2月9日~3月15日までの全国即売展情報】━━━━━


https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

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第1回 ジュンク堂 新春古書展(沖縄県)


期間:2018/01/14~2018/02/25
場所:ジュンク堂書店那覇店 1階
那覇市牧志1-19-29 D-NAHA ゆいレール 美栄橋駅 徒歩3分


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第12回 丸善博多店古本まつり(福岡県)


期間:2018/02/03~2018/02/28
場所:丸善博多店 
福岡市博多区博多駅中央街1番1号 JR博多シティ8階


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三省堂書店池袋本店古本まつり


期間:2018/02/06~2018/02/12
場所:西武池袋本店別館2階=特設会場(西武ギャラリー)
   豊島区南池袋1-28-1


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イービーンズ古本まつり(宮城県)


期間:2018/02/07~2018/03/12
場所:イービーンズ 9F杜のイベントホール
   仙台市青葉区中央4丁目1-1

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第4回古書会館de古本まつり


期間:2018/02/09~2018/02/11
場所:京都古書会館3F 京都市中京区高倉通夷川上る
URL:http://koshoken.seesaa.net/


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書窓展(マド展)


期間:2018/02/09~2018/02/10
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22


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杉並書友会


期間:2018/02/10~2018/02/11
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9


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柏古本まつり(千葉県)


期間:2018/02/14~2018/02/28
場所:モディ柏店 3F 千葉県柏市柏1-2-26


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古書の小径(こみち)福岡県


期間:2018/02/17~2018/02/18
場所:木の葉モール橋本 館内1F通路(もみじ側) 
   福岡県福岡市西区橋本2丁目27(福岡市営地下鉄七隈線「橋本駅」前)


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第9回 水の都の古本展(大阪府)


期間:2018/02/21~2018/02/25
場所:大阪市中央公会堂 大阪市北区中之島1丁目1番27号
URL:http://osaka-koshoken.com/


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浦和宿古本いち(埼玉県)


期間:2018/02/22~2018/02/25
場所:JR浦和駅西口徒歩5分 マツモトキヨシ前


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オールデイズクラブ古書即売会(愛知県)


期間:2018/02/23~2018/02/25
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田5-1-12


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ぐろりや会


期間:2018/02/23~2018/02/24
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
URL:http://www.gloriakai.jp/


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好書会


期間:2018/02/24~2018/02/25
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9


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チカホブックマルシェ 札幌の古本市(北海道札幌市)


期間:2018/02/26~2018/02/28
場所:札幌地下歩行空間・大通駅側の広場・イシヤカフェさん横
URL:https://twitter.com/chikahobook


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有隣堂藤沢店4階古書フェア★古書まつりプレ開催(神奈川県)


期間:2018/03/01~2018/03/14
場所:有隣堂藤沢店4階ミニ催事場 
   神奈川県藤沢市南藤沢2-1-1フジサワ名店ビル7F


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城南古書展


期間:2018/03/02~2018/03/03
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 


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西部展


期間:2018/03/02~2018/03/04
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9


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反町3月古書会館展(神奈川県)


期間:2018/03/03~2018/03/04
場所:神奈川古書会館1階特設会場 横浜市神奈川区反町2-16-10


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第85回 彩の国 所沢古本まつり(埼玉県)


期間:2018/03/07~2018/03/13
場所:くすのきホール
西武線所沢駅東口前 西武第二ビル8階 総合大会場
URL:http://furuhon.wix.com/tokorozawafuruhon

 
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東京愛書会

期間:2018/03/09~2018/03/10
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
URL:http://aisyokai.blog.fc2.com/

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古書愛好会


期間:2018/03/10~2018/03/11
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9


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第20回フジサワ湘南古書まつり(神奈川県)


期間:2018/03/15~2018/03/18
場所:有隣堂藤沢店イベントホール(フジサワ名店ビル6階) 
藤沢市南藤沢2-1-1


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日本の古本屋メールマガジンその244 2018.2.9


【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:小野祥之


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mishima

変っていく古書店のかたち2     (シリーズ古書の世界第2回) 

変っていく古書店のかたち2

樽見博(日本古書通信編集長)

 昨年末全営業を止めた龍生書林大場啓志さんの『古書遊泳』は、「日本古書通信」に5年間(平成19年9月~23年12月)にわたって連載されたものを加筆訂正してまとめた本だが、発行部数75部で希望しても入手は難しいだろう。巻末に添えた書名の由来となった「古書遊泳」は、自らの古本屋人生を回顧、1冊にまとめるに際し書き下ろされたものだ。興味のある方は「日本古書通信」でご覧頂きたい。近代文学稀覯本をめぐるドラマとしても楽しく読めるし、貴重な記録である。
 大場さんは、その「古書遊泳」の最後に次のように書いている。
「今振り返ると何もかもが一瞬の夢のようだ。バブルに踊り、不相応な買い物もした。失敗も多くあるが、住まいは確保されている。今残されている在庫は夢の名残。そう慾を掻くべきでは無いであろう。」

 その上で、「好きな戦後文学は、一通りは扱えたが、残念なのは」として、ついに扱えなかった、島尾敏雄『幼年期』(昭和18年・こをろ発行所)と山本周五郎『無明絵巻』(昭和15年・大阪泰光堂)の2冊を上げている。龍生書林と言えば、三島由紀夫本を連想するほどその収集に力を入れられた。その成果は『『三島由紀夫 古本屋の書誌学』(ワイズ出版・1998)にまとめられている。
 人が古書店という仕事を選ぶ理由は様々だが、大場さんは「古書遊泳」の中でこうも書いている。
「昭和56年7月、五反田展同人のあきつ書店白鳥恭輔氏、芳雅堂書店出久根達郎氏らと目標としていた自家目録の第一号を発行することでスーパーから手を引くことが出来た。自家目録は古書展と違い、自分の世界を表す事が出来る。古本屋という魅力的な仕事に、やっと向き合う事が出来始めたと言える」

 古本屋として自分の世界を表す手段が自家目録だと言っているのだ。これは、東京の業者に限って言えば、大場さんや、前記のあきつ書店や出久根さん(芳雅堂書店)、あるいは扶桑書房など現在70歳代を迎えている世代から、えびな書店、稲垣書店、石神井書林、けやき書店など専門店志向の強い現在60歳代の古書業者に顕著な考え方だ。勿論、もっと若い世代、例えば風船舎さんや、股旅堂さんなど、自家目録の発行に全精力を投入している古書店主もいるが、全体に若い世代は、店舗志向が強く、店こそが自己表現の場と捉える方が多いように思う。
これは、インターネット販売の普及で専門書の探求が客にとって楽になると同時に、古書相場の下落を招いていることが背景にある。特色のある自家目録を出すには多くの時間と費用が必要であり、希少本を長くストックしている間も相場が上昇していけば問題はないが、現在のように相場が下落したのでは商いとして難しい。

 最近読んだ詩人浅山泰美の著書『木精の書翰』(思潮社・2000年)に「静かな店」という京都の老舗喫茶店を回想したエッセイがあった。「再会」「夜の窓」「クローバー」「フタバヤ」「北国」「白鳥」「フランソワ」「ソワレ」「築地」「イノダ」といった喫茶店の魅力と佇まいを取り上げているが、最後に「静かな店で、静かなひとりの時間を過ごしていると、ひとの世の出逢いや訣れが波のように寄せては返し寄せては返しし、小卓の向こうに、今は誰もいないことを奇妙にも思い、安らぎとも感じる。」と書いている。これは理想的な古書店の姿そのものである。若い店舗志向の古書店主たちも基本はそのような店を目指しているのではないか。私も過去にそのような雰囲気の古書店の魅力を満喫したことがある。しかし、私が満喫した店は殆どが知的な老齢の店主が、街の片隅でひっそり開いている店で、旧知の客と何やら楽しそうに話しあっているそんな店だった。ともかくも時間が止まったように静かな店だ。意識してできた雰囲気ではなく店主の人柄と店の歴史がそのまま佇まいに反映している。あの方、あの古書店と思い出すと、多くの店主が亡くなり、店も閉店している。ただ、今若い人が目指す「静かな古書店」も、基本は変わらいと思うが、それは自然に形作られたのではなく、意識して作られている点で違う気がする。私にとって古書店は静かなことが理想のように思えるのに、新刊書店は本を求めるお客の熱気が湧きたっている方が好もしく思えるのは何故だろう。高校生だった昭和40年代半、本を求める客で店が埋まっていた夕方の新刊書店が、当時の平台で輝いていた杉浦康平装丁の本たちと共に懐かしい。古書即売会も客が多いほうが購買欲をそそるのと同じ心理かもしれない。

 現実の古書店の仕事は、いわゆる3Kに近い。店に持ち込まれる古本、宅買いで仕入れて来る本も、そのまま店の商品になるものは少ないし、宅買いが大量でも、相場の下落で運送費用や経費との厳しい計算を考慮しなくてはならない。トラック数台分のただ古いだけの蔵書があったとして、それを買ってくれと頼まれた時どう判断するか。市場での入札も相場が下がったとはいえ、良質の本は相変わらず競争が激しく、思い通りの仕入れができるわけでもない。安定した収入を確保するには勢い仕入れの量を増やしていくか、意には添わないが売れ筋に頼ることになる。利益第一で古書店を選んだのであれば問題はないが、もし理想の古書店を目指していたなら、現実とのギャップに苦しむか、割り切るしかない。あくせくしないで、「静かな古書店」を継続することなど、果たして可能なのだろうか。

「日本古書通信」で古本屋兼カメラマンの古賀大郎さんが「21世紀古書店の肖像」を連載して80回を超えた。『全国古本屋地図』を出していた頃には存在しない、若い古書店主を中心に素敵な店が多いのだが、各店とも理想を追えば追うほど継続には相当な困難を経験しているのではと想像している。(つづく)

yuei
mishima
日本古書通信
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2018年1月25日 第243号

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1.『本のちょっと』 小さな本の小さな一歩  武田主税
2. 戦前の同人誌出版の歴史は?:
         同人雑誌出版マニュアルから判ること
      小林昌樹
3.『図書館人物事典』
日本図書館文化史研究会『図書館人物事典』編集委員会

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━━━━━━━━━━━【自著を語る番外編】━━━━━━━━━━



『本のちょっと』 小さな本の小さな一歩

                        武田主税



事の起こりは、8年前の2010年に溯ります。当時、千葉市の学生街
の片隅でブックサロンを営んでおり、「販売だけでなく、発信もし
ていこう」という思いから、学生やお店のお客様と一緒に本にまつ
わる手づくり小冊子をつくりました。これがそこそこの出来栄え
(自画自賛)、このわずか20ページのリトルプレスが『本のちょっ
と』の前身、出発点でした。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3651

『本のちょっと (Vol.1 本を旅する)』
啓文社書房 定価 本体926円+税 好評発売中!
http://kei-bunsha.co.jp/archives/683



━━━━━━━━━━━【自著を語る番外編】━━━━━━━━━━

戦前の同人誌出版の歴史は?:
         同人雑誌出版マニュアルから判ること

                         小林昌樹



 『文藝同人雑誌出版マニュアル―戦前版』(金沢文圃閣、2017.11)
という復刻に関わった。これは珍しい次の2点の同人誌出版マニュ
アルの合冊復刻であり、解説「同人雑誌の作り方本から何が判るか?」
を付けておいたので詳しくはそちらを見られたい。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3646


『文芸同人雑誌出版マニュアル 戦前版』 編・解題 小林昌樹
金沢文圃閣 揃価―6,000円 (税別)好評発売中!
https://kanazawa-bumpo-kaku.jimdo.com/

━━━━━━━━━━━【自著を語る番外編】━━━━━━━━━

『図書館人物事典』

     日本図書館文化史研究会『図書館人物事典』編集委員会

本書は“図書館人物”の事典である。それゆえ、図書館情報学の教
科書に出てくるような図書館史上の偉人たち――帝国図書館長を造
った田中稲城や東京市立図書館の黄金時代を導いた今澤慈海など―
―古今東西の1,421人が収録されている。欧米人を中心とする外国人
には、メルヴィル・デューイやランガナータンといった教科書ではお
なじみの人物も登場する。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3667


『図書館人物事典』日本図書館文化史研究会 編
日外アソシエーツ 定価:12,000円+税 好評発売中!
http://www.nichigai.co.jp/cgi-bin/nga_search.cgi?KIND=BOOK&ID=A2678


━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

『近世読者とそのゆくえ 読書と書籍流通の近世・近代』 鈴木俊幸 著
 平凡社 本体 : 7,400円+税 好評発売中!
 http://www.heibonsha.co.jp/book/b325541.html


『多摩のあゆみ169号 デジタル地図でみる多摩の歴史』』
公益財団法人 たましん地域文化財団
http://www.tamashin.or.jp/ayumi/index.html


『日本メディア史年表』 著者 土屋礼子 編
吉川弘文館 定価:本体6,500円+税 好評発売中!
http://www.yoshikawa-k.co.jp/book/b329681.html


「2017年の古ツアをふり返る」(仮題) 
 古本屋ツアーインジャパン 小山力也
 http://furuhonya-tour.seesaa.net/



━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━


2月~3月の即売展情報

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init


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日本の古本屋メールマガジンその243 2017.1.25

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/


【発行者】
 広報部:小野祥之
編集長:藤原栄志郎


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toshokan

『図書館人物事典』

『図書館人物事典』

日本図書館文化史研究会『図書館人物事典』編集委員会


本書は“図書館人物”の事典である。それゆえ、図書館情報学の教科書に出てくるような図書館史上の偉人たち――帝国図書館長を造った田中稲城や東京市立図書館の黄金時代を導いた今澤慈海など――古今東西の1,421人が収録されている。欧米人を中心とする外国人には、メルヴィル・デューイやランガナータンといった教科書ではおなじみの人物も登場する。

しかし実際に手に取った人は、本書に新村出、柳田國男、椋鳩十、北園克衛といった名前を見つけて意外に思うかもしれない。言語学、民俗学、文学者、詩人として著名な名前が本書に見つかるのは、彼らが図書館事業にさまざまな立場から関わったからである。新村は京都帝国大学で附属図書館の整備拡充に功があり、柳田は内閣記録課長時代に内閣文庫の目録改善を企画、椋は鹿児島県立図書館で自ら館長となって読書運動を推進した。北園は大学図書館に職を得て詩作に邁進しえた。他ジャンルでの有名人が図書館事業に関わったことは、関係者には――ある種の身びいきもあって――知られていることもあるが、一般的には知られていないのではなかろうか。この事典は、一般著名人の図書館とのかかわりといった面にも光を当てている。

文化人ばかりでない。さらに関係なさそうな実業家や政治家たちも登場する。住友財閥の住友吉左衛門(第15代)、衆議院議員の有馬元春といった政治家も図書館設立の設立者、後援者として並んでいる。
この事典が実際の調査にどう使えるかは、これから明らかになるだろう。例えば人物調査で事典にその人物が出てきても、記述のその先を調べたいと思うことが多々ある。今回、とにかく全項目に必ず参考文献欄を設け、さらに調べる場合に役立つ文献か、あるいは記述の根拠となった文献を記した。付録の「人物調査のための文献案内」を併用すれば、立項されていない人物を含め、近現代日本の図書館関係者はすべて調べられるようになっている。本書は調べ方案内つき人物文献索引でもある。

索引にも注力し、単なる人名事典に終わらぬよう留意した。「人名索引」からは人脈が、「図書館・団体名索引」からは各館の歴史が、「事項索引」からは個別サービス史や論争史が垣間見えることだろう。
ひろく読書人におかれても、各地の図書館などで実際に手に取り、繙いてもらえれば幸いである。



toshokan
『図書館人物事典』日本図書館文化史研究会 編
日外アソシエーツ 定価:12,000円+税 好評発売中!
http://www.nichigai.co.jp/cgi-bin/nga_search.cgi?KIND=BOOK&ID=A2678

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honchot

『本のちょっと』 小さな本の小さな一歩

『本のちょっと』 小さな本の小さな一歩

株式会社 啓文社書房 武田主税

事の起こりは、8年前の2010年に溯ります。当時、千葉市の学生街の片隅でブックサロンを営んでおり、「販売だけでなく、発信もしていこう」という思いから、学生やお店のお客様と一緒に本にまつわる手づくり小冊子をつくりました。これがそこそこの出来栄え(自画自賛)、このわずか20ページのリトルプレスが『本のちょっと』の前身、出発点でした。

時は流れ、啓文社書房漆原亮太社長と知遇を得て、この小冊子を骨格に肉付けして出版してみようということに。以後、紆余曲折を経ながら、昨年11月末になんとか出版に辿りつきました。版元の啓文社書房は、古書組合に加盟、古本も買取り・販売するという珍しい出版社。また、この本の編集には古書店店主も加わっています。そんな背景もあり、『本のちょっと』は古本や古書店を重要なコンテンツの一つに据え、忘れ去られた作家や作品も取り上げています。

『本のちょっと』は、紙の本、読書、本屋さんが好きな方のための「本の本」です。目指したのは、書き手(作者)、売り手(新刊書店・古書店)、読み手(本好きの人)をつなぐこと。そして、流通現場である本屋さんや古本屋さんが扱ってみたい、並べてみたいという本にする、それがもう一つの目標でした。小説、随筆、評論、詩歌、書店、古書店、図書館、校閲、旅、街歩き、喫茶店…、本に関するキーワードに基づき、一冊にまとめています。

大切にしたのは紙の本としてのクオリティ。版型は持ち運びしやすいコンパクトなサイズ、雑誌的構成なのにカバー・帯をつけたブックテイスト、装幀や用紙にも留意、本好きの人が思わず手にしたくなるような手触り感も大切にしました。

編集・出版の本拠地江戸川区小岩は、東京23区最東端の町です。今回、『本のちょっと』の中に、東京東地域のリトルプレス『はじっこ』をはさみこんでいます。地域や本やカルチャー全般の情報を盛り込んだこの媒体も、定期的に発行していく予定です。この地域に住み、暮らす本好きの方たちを募り、「東京はじっこクラブ」も結成。直営古書店「はじっこブックス」も編集部に併設オープン。春からは散歩会や落語会などのイベントもスタンバイ中です。今後は、この地域(東のはじっこ)から、今まではなかった出版文化を発信できればと考えております。

秋の第2号を指標に、新しい年の編集生活が歩き出しました。今回の刊行は、ゴールではなくスタート。今、小さな本が小さな一歩を踏み出したところ。小さな本だからこそできることに、じっくり取り組んでいきたいと思う年の初めです。

「東京はじっこクラブ」ただ今新入部員募集中!
関心ある方、気になる方は、下記よりお問い合わせください。
mail koiwa@kei-bunsha.co.jp (武田)
phone 03(6458)0843(啓文社書房内 武田)



honchot
『本のちょっと』VOL.1本を旅する 編集 雲プロダクション 出版 啓文社書房
定価 926円+税 好評発売中! 
http://kei-bunsha.co.jp/archives/683


robins
『羽ばたいた駒鳥たち松竹ロビンス 1936ー1952 個性派球団興亡史 野球雲Vol.10』
雲プロダクション編 出版 啓文社書房 
定価 本体1300円+税
2017年12月15日発売
http://kei-bunsha.co.jp/archives/757

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bungei

戦前の同人誌出版の歴史は?:同人雑誌出版マニュアルから判ること

戦前の同人誌出版の歴史は?:同人雑誌出版マニュアルから判ること

小林昌樹


 『文藝同人雑誌出版マニュアル―戦前版』(金沢文圃閣、2017.11)という復刻に関わった。これは珍しい次の2点の同人誌出版マニュアルの合冊復刻であり、解説「同人雑誌の作り方本から何が判るか?」を付けておいたので詳しくはそちらを見られたい。

・中野扇歌『同人雑誌の経営策』東京市深川区:民衆出版社,1923.1 76p
・杉田泰一『趣味の小文芸誌経営法』茨城県島名村:研農社,1936.12 120p

 今回の復刻で重要なのは古い中野著ではなく、新しめ――といっても昭和11年だが――の杉田著のほうで、これはおそらくどこにも残っていないガリ版刷りの小冊子。2年前「日本の古本屋」を検索していて、たまたま発見したものだ。検索キーワードは「趣味+経営」だったか。タイトルに「雑誌」という語がないのにヒットしたのはそのせいである。ジャンル違いのキーワードを掛け合わせて検索すると意外な古本が買える、という事例だろう。花木堂(カボクドウ)書店(愛知県蒲郡市)さんから2000円だった。ガリ版刷りのエフェメラ(一過性資料)に近いものなのに、保存状態は極めて良く、出版地は茨城県島名村(現在のつくば市)なので、昭和11年段階ではるばる愛知県まで郵送されたものだろう。地方同人誌界は毎号の交換を通じて明治半ばから全国ネットワークが成立していたことが小木曽旭晃『地方文芸史』(1911)から判る。そのルートに乗ったのだろう。

 こんな名も知れぬ地方超弱小出版社のガリ版刷りを、どうして復刻したのかと言えば、この出版マニュアルによって出版法や新聞紙法、著作権法の受容実態がわかることに気づいたからである。いわく、雑誌の立上げ時に記事が不足していたら、他誌から転載しても非営利でちょっとなら大丈夫とか(当時でも違反)、特にこれは当書中の白眉だが巻末「出版応答」で、ガリ版は納本しないでいいですよね、といった質問者、回答者の間違いや法令解釈のミスなども含め、戦前期の出版法制が地方の出版現場でどう受け取られていたかを明示的に語る資料は類例がない。

 とはいえ、主題は文芸同人誌の出し方なので、解説で戦前における同人誌の歴史についても本当に荒くスケッチしておいた。奇しくも大著、ばるぼら;野中モモ編著『日本のZINEについて知ってることすべて』(誠文堂新光社,2017.11)が公刊されるなど、同人誌の歴史についての関心が高まっている(他にも吉本たいまつ『同人誌印刷の「あけぼの」』みるく☆きゃらめる,2016.8は重要)。戦前の同人誌史については通史や概説がない状態であるので、今回の復刻や解説を手がかりにどなたか果敢に挑戦してもらいたいところでだ。「同人雑誌」という複合語が、大正8年以降の新語らしいということも今回調べて初めて分かったし、「自費出版」概念の整理も解説でしておいた。

 ひとつ解説に書き忘れたことがある。この杉田著は本文をよく読むと書式集などが付録として付いていたらしい。いつかどこかで拾えるだろうか……。



bungei
『文芸同人雑誌出版マニュアル 戦前版』 編・解題 小林昌樹
金沢文圃閣 揃価―6,000円 (税別)好評発売中!
https://kanazawa-bumpo-kaku.jimdo.com/

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2018年1月10日 第242号

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 。*..*.:☆.:*・日本の古本屋メールマガジン・*:.☆.:*..*。
        古書市&古本まつり 第59号
     。.☆.:* 通巻242・1月10日号 *:.☆. 。
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メールマガジンは、毎月2回(10日号と25日号)配信しています。

初旬に(10日前後)全国で開催されている古本展示即売会など、
イベント情報をお送りします。お近くで開催される際は、ぜひ
お出掛け下さい。
なお、今月から「シリーズ古書の世界」を連載します。



次回メールマガジンは1月下旬に発行です。


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このメールは「日本の古本屋会員」の方で、メールマガジンの配信
を希望された方にお送りしています。
ご不要な方の解除方法はメール下部をご覧下さい。
【日本の古本屋】は全国935書店参加、データ約630万点掲載
の古書籍データベースです。



━━━━━━━━━━【シリーズ古書の世界】━━━━━━━━━


変っていく古書店のかたち1

                 樽見博(日本古書通信編集長)


 時代にそって物事が変化していくのは当然だが、古書店のかたち
も変化していくのだなと最近つくづく思うようになった。中でも、
戦後文学書を中心にしてこられた大田区の龍生書林さんの閉店は象
徴的だと感じた。閉店理由は営業不振ではなく、古書店を取り巻く
環境の変化にあったのではないだろうか。古書店の仕事の基本は、
お客から古書を買い取り、次の読者へ手渡していくことで、何ら変
化はないが、仕入れて販売していく過程、具体的には古書価決定の
仕組みと、販売法が大きく変化している。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3587


━━━━━【1月10日~2月15日までの全国即売展情報】━━━━━


https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init


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Title 2Fの古本市 Vol.2

期間:2017/12/26~2018/01/11
場所:Title(タイトル) 杉並区桃井1-5-2


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吉祥寺パルコの古書市

期間:2017/12/30~2018/01/14
場所:吉祥寺パルコB1特設会場 
   ‎東京都武蔵野市吉祥寺本町1-5-1


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チカホブックマルシェ 札幌の古本市(北海道・札幌)

期間:2018/01/05~2018/01/12
場所:地下歩行空間大通駅側、北洋銀行ATMコーナー横の広場
URL:https://www.facebook.com/tikaho.book


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立川フロム古書市

期間:2018/01/05~2018/01/21
場所:立川駅北口徒歩5分フロム中武(ビッグカメラ隣) 
   3階バッシュルーム(北階段際)


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第32回古本浪漫洲 Part1

期間:2018/01/10~2018/01/12
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
   新宿区歌舞伎町1-2-2


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有隣堂藤沢店4階古書フェア(神奈川県)

期間:2018/01/11~2018/01/24
場所:有隣堂藤沢店4階ミニ催事場 
   神奈川県藤沢市南藤沢2-1-1フジサワ名店ビル7F


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東京愛書会

期間:2018/01/12~2018/01/13
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
URL:http://aisyokai.blog.fc2.com/


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第17回 シャレオ古本まつり(広島県)

期間:2018/01/13~2018/01/19
場所:紙屋町シャレオ中央広場 
   広島市中区基町地下街100号


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大均一祭

期間:2018/01/13~2018/01/14
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9


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第32回古本浪漫洲 Part2

期間:2018/01/13~2018/01/15
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
   新宿区歌舞伎町1-2-2


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第1回 ジュンク堂 新春古書展(沖縄県)

期間:2018/01/14~2018/02/25
場所:ジュンク堂書店那覇店 1階
   那覇市牧志1-19-29 D-NAHA ゆいレール美栄橋駅 徒歩3分


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第32回古本浪漫洲 Part3

期間:2018/01/16~2018/01/18
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
   新宿区歌舞伎町1-2-2


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第34回 銀座古書の市

期間:2018/01/17~2018/01/22
場所:松屋銀座 8階イベントスクエア 中央区銀座3-6-1


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調布の古本市

期間:2018/01/17~2018/01/31
場所:調布パルコ 5階催事場 調布市小島町1-38-1


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さんちか古書大即売会(兵庫県)

期間:2018/01/18~2018/01/23
場所:神戸三宮さんちか3番街 さんちか大ホール


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趣味の古書展

期間:2018/01/19~2018/01/20
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 


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第32回古本浪漫洲 Part4

期間:2018/01/19~2018/01/21
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
新宿区歌舞伎町1-2-2


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第32回古本浪漫洲 Part5(300円均一)

期間:2018/01/19~2018/01/21
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
新宿区歌舞伎町1-2-2


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倉庫会(愛知県・名古屋)

期間:2018/01/26~2018/01/28
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田5-1-12

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和洋会古書展

期間:2018/01/26~2018/01/27
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 


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五反田遊古会

期間:2018/01/26~2018/01/27
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4


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中央線古書展

期間:2018/01/27~2018/01/28
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9


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BOOK & A(ブック&エー)

期間:2018/02/01~2018/02/04
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9  

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我楽多市(がらくたいち)

期間:2018/02/02~2018/02/03
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 


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反町2月古書会館展(神奈川県)

期間:2018/02/03~2018/02/04
場所:神奈川古書会館1階特設会場  
横浜市神奈川区反町2-16-10


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三省堂書店池袋本店古本まつり

期間:2018/02/06~2018/02/12
場所:西武池袋本店別館2階=特設会場(西武ギャラリー)
東京都豊島区南池袋1-28-1

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第4回古書会館de古本まつり(京都府)

期間:2018/02/09~2018/02/11
場所:京都古書会館3F 京都市中京区高倉通夷川上る


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書窓展(マド展)

期間:2018/02/09~2018/02/10
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 


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杉並書友会

期間:2018/02/10~2018/02/11
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9  



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┌─────────────────────────┐
 次回は2018年1月下旬頃発行です。お楽しみに!
└─────────────────────────┘

*゜*.:*☆ 本を売るときは、全古書連加盟の古書店で ☆*.:*゜*
全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,200店加盟)の略称です


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日本の古本屋メールマガジンその242 2018.1.10

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:小野祥之

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クレジット決済が出来ない現象が解決しました。

平素は「日本の古本屋」をご利用いただき有難うございます。

本日発生いたしましたクレジット決済が出来なくなる現象ですが
2018/01/12 16:00にプログラムの修正をして正常に稼働して入ります。

皆様にはご不便をおかけいたしました。
今後とも「日本の古本屋」をよろしくお願いします。
「日本の古本屋」TKI管理チーム

ryusei

(シリーズ古書の世界第1回) 変っていく古書店のかたち1

変っていく古書店のかたち1

樽見博(日本古書通信編集長)

時代にそって物事が変化していくのは当然だが、古書店のかたちも変化していくのだなと最近つくづく思うようになった。中でも、戦後文学書を中心にしてこられた大田区の龍生書林さんの閉店は象徴的だと感じた。閉店理由は営業不振ではなく、古書店を取り巻く環境の変化にあったのではないだろうか。古書店の仕事の基本は、お客から古書を買い取り、次の読者へ手渡していくことで、何ら変化はないが、仕入れて販売していく過程、具体的には古書価決定の仕組みと、販売法が大きく変化している。拙著『古本通』(2006年、平凡社)では、一般の方には知られていない古書市場における入札のシステムや、宅買い(古書店が直接お客の家などに行き蔵書を仕入れること)の在り方などを具体的に解説したが、10年が経過して、少々実情との違いが出来てきたような気がする。どこまで現実に迫れるか不安はあるが、管見の範囲でここ30年間における古書店の営業形態の変遷を辿ってみたい。

龍生書林の大場啓志さんは、最初、神奈川県秦野市の東海大学の近くで開業した。その後、蒲田駅前や、神保町一丁目山田書店のビルの中、浅草にも出店した時代があったが、大田区池上に移ってからは古書目録販売が中心となった。近代文学、なかでも戦後文学初版本、受賞本を専門としてこられた。昨年末古書組合を脱退、今年の夏と12月に、「古書目録りゅうせい」65号と66号を出して、年末事実上の閉店となった。宮城県から上京後サラリーマン勤めを経て20代後半から70歳代まで45年間に及ぶ古書店歴を誇るが、彼の歩んだ道こそ、ここ30年ほどの古書店の営業形態の変遷の様子そのものだと思う。

戦後文学初版本のブームが起こったのは、三島由紀夫割腹自殺事件を少しさかのぼる昭和40年初め、一時終息しかけたが三島事件(昭和45)で再び火が付いたといわれる。川端康成のノーベル文学賞受賞(昭和43)、日本近代文学館の復刻本刊行も昭和40年代である。それまでは帯や栞など本の付属物はそれほど気にも留められなかったが、完本を求める風潮が一気に昂じた。龍生書林の始まりはそんな時代だった。当社の『全国古本屋地図』初版の刊行は昭和52年だが、その頃の古書店、特に郊外や地方の古書店の紹介は、大半が「文庫、漫画、一般書扱い」で、中で有力店は、「文学書初版本、限定本も扱う」と、「郷土史に力を入れ、地元デパートでの即売会にも積極的だ」といった表現だった。古書目録発行店も数えるほど。本誌の目録欄に掲載希望する店も多かった。

龍生書林の紹介を『全国古本屋地図』各版に添って見ていくと、
昭和52年初版  住所のみ(大田区西蒲田7-4-5)
昭和57年新装版第三刷 専門店案内欄に「戦後文学・受賞本」
昭和59年改訂新版 神保町一丁目山田書店4階へ出店「近代文学、現代文学、特に戦後文学や文学賞受賞本に力を入れている」とある。専門店案内で「初版本・限定本」
昭和61年改訂増補版 前版と同じだが、浅草雷門にも支店を出していると追記してある。(昭和61年、蒲田・工学院通りの6坪の店から、蒲田駅前の20数坪の店に移転)
昭和63年改訂新版 神保町店は無くなり、雷門店「一般書と映画パンフレット」蒲田店「蒲田駅ホームからも見える龍生書林駅前店は、古本、レコード、映画ポスター、パンフなど何でもある感じで人が入っている。店頭にも本が積まれ、流行作家のものなど十冊くらいセットにして安く売るなど気が利いている。裏に古書部があるが閉まっている時が多い」とある。
平成2年改訂新版 前版と同じ。
平成3年改訂新版 雷門店は無くなり、あとは前版と同じ。
平成4年改訂新版 同じ内容の蒲田駅前店の紹介の後に「戦後文学の初版本や推理小説専門の目録販売事務所もあり、本の知識は定評がある」と追記。
平成5、6、8年の各改訂新版は、平成4年版と同じ。
平成9年改訂新版 西蒲田7-1-1に移転。「戦後文学初版本や推理小説の通販専門、本の知識は定評がある」とあり、店舗営業を休止している。
平成11改訂新版 大田区池上4-29-1に移転。「昭和文学初版本や推理、大衆小説の専門店として知られる。最近、著書『三島由紀夫・古本屋の書誌学』という本を刊行、話題となった。この店出身の古本屋も多い」とある。

『古本屋名簿 古通手帖2011』では、 無店舗、近代文学初版本。通販専門。
改めて、『全国古本屋地図』の需要が高く、毎年のように改訂新版を出せたことに驚くが、龍生書林の変遷は、扱う商品の変化、支店の開設と閉店、そして無店舗の目録販売へと、実に時代の流れに対応していたことを今更ながら知らされる。神奈川から蒲田に移転してからは、南部古書会館の五反田展にも参加した。古書目録の発行は昭和56年からで、『全国古本屋地図』の専門店案内で昭和57年版から「戦後文学・受賞本」とあるのはそのためだろう。芥川賞や直木賞受賞本を扱うことにおいて断然の存在であっと記憶する。雷門店の開業は、ブックオフ登場前で、あふれる古本を背景に全国の古書店が競って支店を出した頃で、映画パンフの人気も急上昇していたのだ。それもブックオフ展開であっという間に終息する。さらにネット販売が普及するに及んで専門店の多くが無店舗目録販売に切り替わっていったのだ。

大場さんは、商いの機を見るに敏で、蒲田駅前店の頃は量販店として成功を収めているが、一方で、当初から文学書稀覯本探求への努力と経験を積んでいた。文学書好きが昂じて古書店になった、その情熱を持ち続けたのだ。それは本誌に「記憶に残る本」として5年間連載し、昨年私家版で少部数(75部)刊行した『古書游泳―めぐり会った人と本』によく表されている。利益のみを追求しようとするなら、古書店という選択は賢明とは言えない。書物に対する強い思いがなければ「古本屋」という稼業で精進し続けることは難しい。(続く)

ryusei
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