『本のちょっと』 小さな本の小さな一歩株式会社 啓文社書房 武田主税 |
事の起こりは、8年前の2010年に溯ります。当時、千葉市の学生街の片隅でブックサロンを営んでおり、「販売だけでなく、発信もしていこう」という思いから、学生やお店のお客様と一緒に本にまつわる手づくり小冊子をつくりました。これがそこそこの出来栄え(自画自賛)、このわずか20ページのリトルプレスが『本のちょっと』の前身、出発点でした。 時は流れ、啓文社書房漆原亮太社長と知遇を得て、この小冊子を骨格に肉付けして出版してみようということに。以後、紆余曲折を経ながら、昨年11月末になんとか出版に辿りつきました。版元の啓文社書房は、古書組合に加盟、古本も買取り・販売するという珍しい出版社。また、この本の編集には古書店店主も加わっています。そんな背景もあり、『本のちょっと』は古本や古書店を重要なコンテンツの一つに据え、忘れ去られた作家や作品も取り上げています。 『本のちょっと』は、紙の本、読書、本屋さんが好きな方のための「本の本」です。目指したのは、書き手(作者)、売り手(新刊書店・古書店)、読み手(本好きの人)をつなぐこと。そして、流通現場である本屋さんや古本屋さんが扱ってみたい、並べてみたいという本にする、それがもう一つの目標でした。小説、随筆、評論、詩歌、書店、古書店、図書館、校閲、旅、街歩き、喫茶店…、本に関するキーワードに基づき、一冊にまとめています。 大切にしたのは紙の本としてのクオリティ。版型は持ち運びしやすいコンパクトなサイズ、雑誌的構成なのにカバー・帯をつけたブックテイスト、装幀や用紙にも留意、本好きの人が思わず手にしたくなるような手触り感も大切にしました。 編集・出版の本拠地江戸川区小岩は、東京23区最東端の町です。今回、『本のちょっと』の中に、東京東地域のリトルプレス『はじっこ』をはさみこんでいます。地域や本やカルチャー全般の情報を盛り込んだこの媒体も、定期的に発行していく予定です。この地域に住み、暮らす本好きの方たちを募り、「東京はじっこクラブ」も結成。直営古書店「はじっこブックス」も編集部に併設オープン。春からは散歩会や落語会などのイベントもスタンバイ中です。今後は、この地域(東のはじっこ)から、今まではなかった出版文化を発信できればと考えております。 秋の第2号を指標に、新しい年の編集生活が歩き出しました。今回の刊行は、ゴールではなくスタート。今、小さな本が小さな一歩を踏み出したところ。小さな本だからこそできることに、じっくり取り組んでいきたいと思う年の初めです。 「東京はじっこクラブ」ただ今新入部員募集中! 関心ある方、気になる方は、下記よりお問い合わせください。 mail koiwa@kei-bunsha.co.jp (武田) phone 03(6458)0843(啓文社書房内 武田)
|
Copyright (c) 2018 東京都古書籍商業協同組合 |