挟み込みを「読み」、その本の使われ方を想像してみる(古本の読み方4)

挟み込みを「読み」、その本の使われ方を想像してみる(古本の読み方4)

書物蔵

 

 前回はテキストの余分な部分(「ペリテクスト」という。序文や跋文、あとがき、ルビや奥付)を読んでみた。今回は、テキストですらない余分、英語でいうマージナリア(余白への書き込み的なもの)を読んでみよう。

■マルジナリアを読むと読者のことがわかる?
 テキスト自体を読み込むのも「分析書誌」だけれども、近年はテキスト以外の部分、「書き込み」や「挟み込み」を読む、という読み方も開発されてきた。日本では古本マニアが十年ほど前、「痕跡本」という言葉を広めたが(古沢和宏『痕跡本のすすめ』太田出版、2012)、西洋書誌学では本の使用者による痕跡を「マルジナリア」(余白)と呼ぶ。

 書き込みだけでなく「挟み込み」も同様に読むことができ、古本同人誌『Sumus』7号「特集:古書にコミあり」(2001)は、書き込みと挟み込みを総称して「コミ」としゃれていた。

■こんな本を拾った
 去年だったか一昨年だったか、いつもの神保町古書会館の週末展で、あきつさんが200円で出していたこんなエロ読み物を手に取った。

 ・アメリカOLの性白書 / ヘレン・G.ブラウン 著, 巻歌子 訳. 徳間書店, 1967

 一読すると、1960年代米国の、オフィスレディのsexal lifeについての実話物。この本の著者は今、ウィキペディアで検索すると、ちゃんと実在する女性で、自分の経験や、聞いた話などをいろいろ書いている。そういう意味では、本当の話を書いた日本では珍しい「実話物」になる。それなりに上品な範囲に収まっている実録だ。時あたかも米国では性革命が進行中で、あちらでは女性にも読まれたのだろうけれど、日本語翻訳版は、当時は男性向けだったように思う。テレビ番組『奥様は魔女』(1966-1972)のダーリンのような、ビルヂングに個室の事務室を持つ古典的なビジネスマンを前提にしており、そういった日本的経営にない米国ビジネスシーンに憧れて日本サラリーマンが読んだものだろう。「セックス天国といわれるアメリカのオフィス・レディーたちは、どのようにセックスを享受しているか」などと、煽情的な文句で広告が打たれている(『読売新聞』1967.5.8朝刊)。

■挟み込み
 それはともかく、この本を買ったのは、あるものが挟まっていたからである(末尾画像)。

 それは切符。国鉄の切符が挟まっていたので、買うことにしたのだった。というのも、これは電車の中でサラリーマンがエロ本ないしそういった軟派読み物を確かに読んでいた証拠になるのではないかと思われたからである。

 列車の中で行われる「車中読書」の歴史については、その起源――なんと人力車!――も含めて永嶺重敏『<読書国民>の誕生:明治30年代の活字メディアと読書文化』(日本エディタースクール出版部, 2004)で明らかにされているが、我々が知っている(はずの)ちょっと前のことが、意外と分からない。

■鉄道と軟派読み物
 美少女コミック研究家、稀見理都@kimiritoさんの話では「フランス書院文庫は当時国鉄のキオスクという大きな流通経路を持っていたので、初版はどんな少なくても2万部スタートだったらしい。官能小説、エロマンガが駅内で買えた昭和…」とのことである。「国鉄首都特別扱承認雑誌」なんちゅー番号も発給され雑誌の法定文字として刷り込まれていたようだ。『キヨスク:駅の世相店』(Inax, 1991)掲載の写真を見ると、図書は新書、文庫が主体である。

 昭和元禄華やかなりし頃、私は子どもだったので、電車の中で日本サラリーマンが何を読んでいたのか知らない。稀見さんのように書物の流通からそれを解明するのが本道なれど、せっかくなのでこの挟み込みを分析してみたい。

 画像を少々ツイッターに上げてあるので、そちらを並行して見ていただいたほうがよいだろう。

■書店カバーをテープで留めていた?
 まずは表紙、というか英語でいうジャケット、日本でいうカバーは美人さんの顔が大写しになっている。これは公共の場で読むにはちょっと恥ずかしい、と感じたところ、ちゃんと見返し紙に書店サービスの紙カバーがかけられていた痕跡を発見。セロファンテープの糊の跡である。普通、書店カバーはテープで留めないので、これは家か職場で留めたものだろう。移動先で取り出しても取れないようにしたものか。

 ちなみに「書店カバー」を戦前は「包み紙」と呼んだらしい。愛書家は1983年ごろから「書皮」と、中国語で表紙を意味する言葉を借用して呼んでいる。

 古書目録などで「カバ欠」などという注記がついていることがあるが、これは古書店が同本のカバー付きを見たことがあるというよりも、カバーがついていた痕跡――大抵、見返し紙の日焼け具合がその痕跡となる――を見ているからだろう。

■2つの切符
 これはこの古本を買った最大の理由なのだが、なんと切符が挟み込まれていた。それも2箇所も。これは、本の罫下(下の小口)から見て、何かが挟み込まれているのを発見したから分かったのだった。

 137ページに昭和42年5月13日に新橋駅で発行された「20円2等」の切符がある。ありがたいことに切符の接触面が本文用紙に跡を――改札ハサミの形状も――残しているので、切符を外しても元のとおりに挟むことができる。183ページに同年5月20日に東京駅で発行されたやはり20円切符が挟まっている。

 単純計算すると、7日で46ページを、1日あてだと6ページ半のペースでこの本を読んだことになる。家でじっくり読めば数日で読めるものなので、やはり電車に乗りながら少しづつ読んだものだろうと推測できる。

 読売新聞には5月8日に大きめの広告が出ているし、なにより本の後半部に挟まれた切符が5月13日なので、本の奥付の5月15日発行というのは実態からズレていることが分かる。なお、切符の13日も20日も土曜日なのだが、当時、土曜も出勤日(半ドン:勤務はお昼まで)だったので、やはり出勤と関連してこの切符が挟まれたと考えてよいだろう。

■私の読み――昭和42年の5月上旬のある日
 春うららかなある日、マジメなサラリーマンAは、駅近くの書店で電車に乗る前、この本を買った。新聞広告に出ていて気になっていたからでもある。奥さんや子どもがいるので、マジメな彼は家族の手前、家でこういう本は読まないようにしているのだった。もともと暇つぶしで買ったものなので、車中で少しづつ読む。もちろん適度な恥じらいがある彼は、同乗の乗客に美人大写しの出版社カバーが見られないよう、書店カバーをかけっぱなしにしていたが、ある時、職場にあったセロテープでそれを留めた。カバンから頻繁に出し入れすので、公衆の門前で取れると困るな、と思ったのである。

 と、5月13日のことである。得意先周りで新橋へ行った。今日は半ドンで楽だなぁ、午後はどっかへ遊びに行こうかと思いつつ、帰社する電車でまたこの本を読む。車中いい調子で第7章「出張旅行とセックス」の章を読みふけっていると「次は御茶ノ水*〜」と車内放送が入る。御茶ノ水には勤め先があるのだ。次降りなけりゃ、と、あわてて栞になるものを探したら、ない。そうだ、通勤の定期券で出ればいいじゃんか、と乗る時に買った切符をしおり代わりに挟み込んでいそいそと下車……

 などという推測が立つ。

 なんとこの本は、昭和時代、サラリーマンが電車中で軟派読み物を読んでいた、その瞬間を証明する本だったのである。
 

■読み方――雑学で素材を美味しくする
 今回は切符という古本ならではの挟み込みを読んでみた。読んだ結果は上記の推測となるわけだが、おさらいしておくと。

 イレギュラーな挟み込みを発見する。なぜそれが挟まれているか推測をしてみる。本文(本の内容)から出版社・著者が想定した読者(文学理論で「内包された読者」というそうな)を考えてみる――例えば性別や年代。その他の痕跡(テープの跡)からかつてあったろう付属品――書店カバー――を想定してみる。それらがどのような条件下で生じたのか考えてみる。例えば、当時、セロファンテープは家庭にあまりなかったのでは? 書店カバーは書店がかけるものでテープでは留めないなど。

 昭和時代の常識――定期券があれば切符を出さないで改札を出られる――を一応、知っているなど、出版年前後の生活知識・常識を知っていたので、切符から、車中読書シーンを推測できたわけである。

 雑学知識や問題設定をこちらから投げると、挟み込みもオモシロく読める例である。著者や著作についてオンラインDBなどで調べる合わせ技もよいだろう。ちょうど、こんにゃくや高野豆腐などに味をこちらから足すイメージ。

* 御茶ノ水に想定したのは一例。Aがキセルの常習犯でなく、新橋駅、東京駅という購入駅から正規の目的地までの切符を買っていたという前提で考えた。購入駅から20円区間内ならいずれの駅でもありえる。



書物蔵
本格的古本歴は15年ほど。興味は日本図書館史から近代出版史へ移行し、今は読書史。
共書に『本のリストの本』(創元社、2020)がある。

ツイッター
https://twitter.com/shomotsubugyo (2009年~)

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生誕120年没後30年反町茂雄文庫展を終えて

生誕120年没後30年反町茂雄文庫展を終えて

長岡市立中央図書館 井口麻子

 長岡の図書館において三大恩人はと聞かれると、大正7年に互尊文庫を開館し運営資金も含めて寄附した実業家野本恭八郎。空襲で焼失してしまった互尊文庫の復興を願い昭和23年に再建資金を寄附した繊維商内藤伝吉。そして昭和51年から図書館の資料の充実に向けて、数多くの郷土資料を長岡に納めた反町茂雄氏(以下反町)を挙げている。

 反町は新潟県長岡市出身、東京で古書肆弘文荘を営んだ。古典籍を多く扱い古書業界の育成だけでなく、大学、図書館、研究機関の蔵書構築に貢献した。反町が寄附した掛軸・錦絵・古文書などの資料を中心にした反町茂雄文庫は長岡の図書館を構成する大きな核の一つである。

 この数年間、反町を身近に感じていた。事務室のキャビネットに歴代の館長が残した昭和51年頃からの書簡綴は「反町茂雄文庫綴」と背に書かれている。弘文荘特製の便箋に書かれた青いインクの文字から、凛とした上品さと図書館と資料に対する熱意を感じる。この綴を数年来読み続け、反町をよく知った人のような気持ちを抱いていた。故稲川明雄元館長からは、本の持ち方から指導されたことや安い本を買って怒られたといった話を聞いていたが、図書で拝見する写真では丸い眼鏡のにこやかな印象のお顔ばかりだった。

 このたび生誕120年没後30年という記念の年に反町茂雄文庫展を行ったことで改めて、偉大な恩人と向き合った。特に反町の寄贈だと知ってもらいたかった資料が「塵壷」である。長岡藩の家老であった河井継之助の安政6年の西国遊学の旅日記で、この資料は「長岡に在る事が最も望ましい」と反町の書簡に書かれていた。長岡にかつてあった資料が散逸することを防ぎ、長岡に収めたというのはほかの仕事にも通じる反町らしい仕事だと感じている。そして丁寧に外箱を作って長岡市に寄贈された。貴重な資料はふさわしい場所に収まると考えた反町の考えが行動に現れたものであった。

 今回の展示企画は昭和53年に反町が自身の目で選び解説を行った展覧会の再現を軸にしようと最初に思い描いた。昭和53年当時の写真が残っている。羽柴秀吉が佐々成政に宛てた書状を前にして、熱心に解説をしている。当時どのような気持ちで、資料を選んだのだろうか。思いを馳せて会場の冒頭に当時の再現コーナーを配置した。どのような解説を付けても、反町が当時語った言葉は再現できないが、私たちはその並んだ資料から想像をして、それぞれの資料の特徴、貴重さを文字にしていく。秀吉の書状を前にすると、新潟に深いゆかりのない資料をなぜといった疑問がわく。当時の書簡の中には「越後との直接には関係ありませんが、間接的乍ら、豊太閤関係としてあってもよいのではないかと考えて居ります。」と書かれている。

 寄附が始まった当時の長岡の図書館は互尊文庫という、現在は地域図書館になっている図書館のみであった。当時互尊文庫の資料を見た反町は資料面で物足りなさを感じ、長岡の図書館に貴重な資料を持たせることで、図書館の格を上げたいと思っていたのではないだろうか。反町が郷里長岡にいたのは小学校3年生の頃まで、その後は帰郷して読む本が手元になくなると、戦前の互尊文庫を利用していたという。郷土への思いが資料の寄贈につながった。

 展覧会に関連するイベントとして12月12日(日)に「古書肆弘文荘 反町茂雄さんの想い出」と題し、八木書店の八木壮一氏・乾二氏、浅草御蔵前書房の八鍬光晴氏、安土堂書店の八木正自氏の老舗古書店主4人によるオンライン座談会を行った。東京と長岡の会場を結び、反町の薫陶を直接受けた皆さんから思い出を聞くことのできる貴重な時間となった。

 浅草御蔵前書房の八鍬氏はこれからお店をどのようにしたらというときに、渡されたのは『商売繁昌』(三宅菊子/著、阿奈井文彦/著 中央公論社 1976)であった。唯一読むように勧められた本だという。そして弘文荘でつくられた絵はがきをしめし、これらに掲載された貴重な資料を一生に一度でいいから扱いたいと言って、いまだ反町に対するあこがれを語った。

 八木乾二氏からは「入札会の目録を作成するときに、一刷りするごとに持って行って承諾をもらう。」といった手順を踏み、印刷については特に厳しい方だったという思い出を伺った。古書の世界に身を置く方たちの数々のエピソードから古書業界の厳しくストイックな世界を垣間見た。

 今回の展覧会の開催に際して、ご協力いただいた関係者の皆様、諸機関各位に厚く御礼を申し上げたい。

 展覧会全体を通して私たちにできることは、この資料を後世につなぐことと、反町が郷土を思う気持ちに応えられるような図書館であり続けることだと思う。貴重な資料を保存しながらも、「その展観・出品等により社会教育の一端にもなる」と書簡にも書かれているとおり、皆さんにご覧いただける機会を設け恩義に報いることが少しできたと感じている。


60 古書肆弘文荘・反町茂雄と長岡 『反町茂雄文庫目録』第2集(補遺)


「弘文荘待賈古書目」全巻を展示

●生誕120年・没後30年「反町茂雄文庫展」
 ~伝説の古典籍商がふるさと長岡に贈った郷土資料~
 https://youtu.be/X9NAY0G4PnU

●生誕120年・没後30年「反町茂雄文庫展」関連イベント
 オンライン座談会「古書肆弘文荘 反町茂雄さんの想い出」
 https://youtu.be/Kt6joaq65-A

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2022年1月25日号 第339号

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     。.☆.:* その339・1月25日号 *:.☆. 。
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☆INDEX☆
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1.古本屋ツアー・イン・ジャパンの2021年総決算報告
                 古本屋ツーリスト 小山力也

2.「商うことと歌うこと 頁をめくる音で息をする」
                    古本屋弐拾dB 藤井基二

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━━━━━━━━━【古本屋ツアーインジャパン】━━━━━━━

1.古本屋ツアー・イン・ジャパンの2021年総決算報告
                 古本屋ツーリスト 小山力也

 2021年という、子供の頃には想像もできなかった遠い未来に、何
とかしぶとく生きている。しかも、新型コロナウィルスがパンデミッ
クを巻き起こしている、さらに想像も出来なかった未来に。まった
く収束の気配を見せぬ新型コロナウィルスのために、マスク着用・
手指消毒・不要不急の外出制限・人間同士の過剰なまでの距離の意
識・ワクチン接種などが日常化してしまい、生活様式は強制的に変
質してしまった。当然不特定のお客さんが来店する古本屋さんも、
消毒のためのアルコールを店頭に常備し、貼紙でマスク着用を促し、
帳場にはビニールシートを張り巡らせ、お店によっては入店制限も
し、また度々発出される緊急事態宣言のために時短営業や臨時休業
を余儀なくされるなど、営業形態の変質を選ばなければならぬ日々
であった。ということは、当然古本を買いに来るお客さんもそれに
巻込まれ、一時期は古本修羅が生きて行くのに決して欠かせぬ馴染
みのお店が臨時休業してしまう、憂き目にも遭うこととなった。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=8001

小山力也

2008年5月からスタートした、日本全国の古本屋&古本が売っている
場所の、全調査踏破を目指す無謀なブログ『古本屋ツアー・イン・
ジャパン』管理人。「東京古書組合百年史」の『古本屋分布図』担当。
西荻窪「盛林堂書房」の『フォニャルフ』棚で、大阪「梅田蔦屋書店」
の古書棚で蔵書古本を販売中。「本の雑誌」にて『毎日でも通いたい
古本屋さん』、「日本古書通信」にて『ミステリ懐旧三面鏡』連載中。

http://furuhonya-tour.seesaa.net/

━━━━━━━━━━━━【自著を語る(286)】━━━━━━━━

「商うことと歌うこと 頁をめくる音で息をする」
                   古本屋弐拾dB 藤井基二

昨年の十一月に自分の古本屋の日々を書き連ねた『頁をめくる音で
息をする』(本の雑誌社)が刊行となった。裏表紙にはこう書かれ
ている。「開店時間は23時。尾道の路地に佇む古本屋は、疾走す
る店主が築いた小さな城。深夜の隠れ家から詩と熱情があふれだす。」
担当の編集者さんが考えた宣伝文だ。まともな勤め人になることか
ら逃げた身からすれば「失踪する店主」の間違いではないかと思った。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=7999

『頁をめくる音で息をする』 藤井基二 著
B6判並製 208ページ(カラー32ページ含む)
本の雑誌社 定価:1,540円(税込)好評発売中!
https://www.webdoku.jp/kanko/page/4860114647.html

━━━━━━━━━【東京古書組合からお知らせ】━━━━━━

「東京古書組合百年史展」 開催

場所 市立小樽文学館 無料展示スペース
日時 2021年12月18日(土)~2022年2月13日(日)
時間 9時30分~17時(最終入館は16時30分まで)
休館日 毎週月曜日(1月10日を除く)
12月29日~1月3日、1月11日・12日、2月1日~4日
入場無料

ホームページ
http://otarubungakusha.com/exhibition/2021114096

━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

『新宿書房往来記』 村山恒夫 著
港の人 定価:2,800円(税別)好評発売中!
https://www.minatonohito.jp/book/401/

生誕120年没後30年反町茂雄文庫展を終えて
                長岡市立中央図書館 井口麻子
https://www.lib.city.nagaoka.niigata.jp/?page_id=672
※文庫展、各イベントは終了しています

文京区立森鴎外記念館
特別展「写真の中の鴎外 人生を刻む顔」
会期:2022年1月9日(日)~2022年4月17日(日)
https://moriogai-kinenkan.jp/

━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━

1月~2月の即売展情報

※新型コロナウイルスの影響により、今後、各地で予定されている
即売展も、中止になる可能性がございます。ご確認ください。
お客様のご理解、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

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日本の古本屋メールマガジン その339・1月25日

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 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
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【発行者】
 広報部:志賀浩二
 編集長:藤原栄志郎

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古本屋四十年(Ⅱ)

古本屋四十年(Ⅱ)

古書りぶる・りべろ 川口秀彦

 古書組合に入ろうと決めたもう一つの大きな理由は情報が欲しいということだった。古本屋を含む古物商は、仕入値も売値も自分で自由に判断できるという特殊な商売だが、それなりの相場、顧客が納得する売買の目安というものは考えなければならない。私の場合、店の営業は割に順調に伸びていたから、組合に入っていなくとも自店の売買価格が間違ったものではないだろうとは思っていた。私たちのグループとほぼ同時期に、北海道や東海、中国地方でも、新刊に近い本を新刊価格の一〜二割で買い、五割で売るという、後のブックオフの先行形態のような非組合員の古本屋グループの営業が始まっていたが、みんな同じような売値、買値の設定だったようだ。好きなジャンル、得意なジャンルなどに多少のメリハリをつけた値付をするところがブックオフ的な完全マニュアル型とは違うところで、本という商品に対する愛好度やある程度の知識を前提として商売をしているという自負が、その頃のアウトサイダー型の古本屋には共通していたのかも知れない。私は、開業一年後に出た志田三郎『街の古本屋入門』という、古本屋開業の初めてと言える実践的な手引書を見て、基本的には合致していることを確認できて少し安心していた。

 私が組合で得ようとした情報はそのような情報ではなく警察の取締り情報だったのだが、アテが外れてしまった。神奈川古書組合のベテランたちには共産党色の濃い人も結構いて、警察との交流は重視していなかったし、何より神奈川では古物講習会など、警察側の情報を得る機会がほとんどなかったのだ。東京の警視庁では防犯上の情報などを、管轄署ごとに年に一度古物商を集めて行う古物講習会で流している。神奈川では、私の経験だと、新規の古物鑑札取得者を何年分かまとめて講習会をやり、一度受講すればそれ以後の案内は来なかったのだ。

 なぜ私が警察の取締り情報が欲しかったのかといえば、学生時代も社会人になっても警察から逃げきっていた私が、刑法175条違反、いわゆるワイセツ罪で逮捕されたからだ。80年代に全盛だったビニ本、オールカラーの女性ヌード写真集を一冊ずつビニール袋にパックして立読みをさせずに内容を妄想させて購買意欲をそそるという、袋とじを商品化したような本は、新刊取次が扱わず新刊書店、古書店に専門の業者が持ち込んでいた。古本屋は当然その中古品も扱っていた。その中でも煽情的なポーズが多かったり性毛が見えたりしたものはすべてワイセツ物として取締りの対象になっていた。私はワイセツ物販売の現行犯として自店内で突如逮捕されたのだ。84年になったばかりの時だった。組合に入った後に知ったところでは、同時期に十名を軽く越す神奈川組合員も手入れを受けていたという。組合にいても情報は得られなかったのだ。彼らは説諭か一泊二日で済んでいるのに、私は寒い中で三泊四日だった。ビニ本販売を犯罪とは認めなかったためらしい。

 そもそもサド裁判で有罪になって間もない頃の澁澤龍彦の担当編集者だったので、ワイセツ罪について多少は知っていた。編集者時代に知った三崎書房の林宗宏は『エロチカ』という雑誌で何回も取締りを受けていた。その林が「ワイセツか芸術かではなく、ワイセツなぜ悪いで闘え」と言っていた記憶もあった。林は三崎書房の前に林書店という人文系の出版社をやっていた京大法学部出身の左翼闘士で、出版界の中では法律に明るい人という噂も聞いていた。そういう知識が私の態度に影響していた。それに何より、私はワイセツ裁判被告だった大学入学以来の友人がいた。「四畳半襖の下張り模索舎裁判」の当事者の五味正彦君である。野坂昭如編集の『面白半分』に掲載された「四畳半襖の下張り」がワイセツであるとして野坂と『面白半分』が取締られた時に、そのコピーが五味たちが創設した新宿のミニコミ書店模索舎に持込まれ、それを販売したとして五味たちも逮捕され、72年から79年まで裁判をして高裁まで闘って有罪となっていた。私は釈放されてすぐに五味に連絡をとったのだが「弁護士は紹介してもいいが、無駄だから罰金を払って決着をつけて早く商売に専念しろ」という忠告だった。私も自主出版物の流通確保などという模索舎のような大義もなく、ただ面子だけで澁澤さんや林さんのような裁判闘争をしても無意味に近い、時間とお金の無駄使いだと判ったので、五味の忠告に従った。

 横浜地裁だか家裁だかでの略式裁判の担当が、ほぼ私と同年齢の同窓の判事補で、66年と69年と二度の早大闘争を私と同じように経験したという男だった。罰金額を言い渡した最後に「せっかく早稲田まで出ているんだから、もっと真面目な本で商売しなさい」と説教した時には、平和と民主主義を掲げていたグループにいた人だろうと思った。管轄署の警部補が「君の幼い女の子が高校生ぐらいになった時、お父さんがこんな本で学資を稼いでいると知ったらどう思うだろうな」と言ったことの方が精神的に応えてしまった。事件後はアダルト系の品揃えをおとなし目にしたのは、その警部補の言葉を考えたからだろう。その後、半年毎か一年毎に、その警部補は数回は店を見に来ていた。その後は転勤でもしたのか、見えなくなった。その警官が洩らしたのか、私だけが長く泊ったということを管轄署が同じ組合員の古本屋が知っていて、私が組合に加入申請した時には一部の組合員には、闘う奴、うるさい奴が組合に入ってくるようだと何人かには評判だったらしい。

 友人の五味の名前を出したので、ここで私の吉祥寺移転が五味あってのことだったことも書いておこう。90年代半ば過ぎに私の自宅が市街地再開発の対象区域に入り、その少し前に故郷の生家が再開発による立退きが決まっていて、両親が多摩市にある兄の自宅のそばに移住してきていた。親の面倒を見ている兄夫婦の、多少ともの手助けになればという思いもあり、数年後には引越を迫られる私も少し早目だが多摩地区で店と住居を捜し始めた。その頃五味は模索舎を後進に託し、吉祥寺でほんコミニケート社という、ミニコミ、自主出版物の取次業をしていた。私は希望丘の店を「ほんコミ・ミニ書店」としてほんコミ社の取扱い品を置くようにしていて五味とは年に数回会っていた。私の多摩地区での自宅と店捜しを聞いて、店は吉祥寺にしないかと言ってきた。当時、独特のブックフェアを活発にしていた吉祥寺弘栄堂や、吉祥寺にあるいくつかの出版社、古本屋の元気な若手よみた屋などと、吉祥寺を「本の街」にする構想があるから一緒にやってくれと言うのだ。移転先まで見つけて来た。借用期間に制限があったが吉祥寺としては割安だと思い、そのJR高架下の物件に決めた。「本の街」構想は実現しないで消えたが、よみた屋の澄田さんとはその時五味の紹介で会ったのが最初だったような気がする。トムズ・ボックスを認識したのも五味のプランからだったと覚えている。私の自宅地区の再開発は、駅前商店街の力不足、大地主である鉄道会社、同じく大きな地権を持っている大和市の思惑などがからんで二転、三転してなかなか進まず、私の店が吉祥寺にあった間は再開発組合が自宅を買上げてくれなかったから、そのまま住み続けていた。今はその再開発地区には大和の市立図書館が入る立派な建物が立っている。田舎の実家跡の再開発ビルは低層階商業、高層階住宅としたが、江戸時代以来の古い商業地で駐車スペースを大きくは確保できずに苦戦しているようだ。

 五味は、私が古本屋になる半年ほど前に会って話した時には、警察の鑑札のいる商売なぞするんじゃないと反対していたのだが、20年後の本の街構想の頃は古本屋への評価を変えていたようだ。ネットがなかった時代の、取次が扱わなくて人々の目にとまりにくい出版物を流通させようという考えで始まった模索舎、ほんコミ社、模索舎の流れを汲む人たちが始めた地方小出版物流通センターなど、既成の新刊流通から洩れた出版物の流れは、ネットの出現で完全に様変わりした。新刊でなく、古本の流通も大事だと五味も思い出したのかも知れない。だが、その古本も実店舗よりこの「日本の古本屋」のようなネットが主流になりつつあるのだ。



吉祥寺時代に、参加した即売展などで配った店内企画フェアのチラシと、
その時の買上客に進呈した景品

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古本屋ツアー・イン・ジャパンの2021年総決算報告

古本屋ツアー・イン・ジャパンの2021年総決算報告

古本屋ツーリスト 小山力也

 
 2021年という、子供の頃には想像もできなかった遠い未来に、何とかしぶとく生きている。しかも、新型コロナウィルスがパンデミックを巻き起こしている、さらに想像も出来なかった未来に。まったく収束の気配を見せぬ新型コロナウィルスのために、マスク着用・手指消毒・不要不急の外出制限・人間同士の過剰なまでの距離の意識・ワクチン接種などが日常化してしまい、生活様式は強制的に変質してしまった。当然不特定のお客さんが来店する古本屋さんも、消毒のためのアルコールを店頭に常備し、貼紙でマスク着用を促し、帳場にはビニールシートを張り巡らせ、お店によっては入店制限もし、また度々発出される緊急事態宣言のために時短営業や臨時休業を余儀なくされるなど、営業形態の変質を選ばなければならぬ日々であった。ということは、当然古本を買いに来るお客さんもそれに巻込まれ、一時期は古本修羅が生きて行くのに決して欠かせぬ馴染みのお店が臨時休業してしまう、憂き目にも遭うこととなった。

 だが、感染予防が長期化するとともに、刻々進化するウィルスに対抗するように、人間の側も日常生活として日々を送れるように、知恵を絞りつつ、“慣れる”ということを受け入れつつあったのである。2021年は、そんな希望ある締念が、世間に充満しつつある年であったように思う。“希望ある締念”を受けれ入れつつあったからこそ、どうにか古本屋さんをたくさん訪れ、古本を買える一年となったのである。そんな激動続きの一年を、古本屋さんと古本を軸に、個人的に振り返ってみよう。

 相変わらず東京近辺の古本屋さん事情になるが、新しく開店したお店について記述して行くと、神保町の「大島書店」跡地に「光和書房」が誕生。高級な書跡関係を商うお店だが、店頭にはいい感じの古書が居並ぶ素敵なお店である。吉祥寺には新刊と古本の絵本を並べる「あぷりこっとつりー」が開店。さらに同地には、「古本のんき」が駅東側にお店を構え、スロースタートであったが、街の古本文化をしっかりと支える頼もしいお店に成長している。荻窪にはネット売りのお店ではあるが、店頭で少々古本を並べる美術系に強い「中央線書店」がお目見え。ゆくゆくはちゃんとした実店舗も開く予定とのことなので、首を長くしてその朗報を待っている最中である。高円寺では元クリーニング屋にたくさんの本を並べた「ホワイトハウスのクリーニングまるや店」という珍妙なお店が出現。店主の読了本である、英語関連・歴史関連・世界関連を安値で並べ、お客さんの来店をラジコを聴きながら待ちかねている。代田橋では、元キネマ旬報編集者が開いた小さな小さなお店「バックパックブックス」を目撃。昨今古本屋さんが減りつつある京王線沿いを地道に盛り上げていただきたいものである。中野富士見町では、神保町から移転して来た「菅村書店」が一部トランスフォームし「本とおかし リコリコ」なる地元密着型店をスタート。江古田では、「ポラン書房」の元店員さんが開いた「snowdrops」が強固で知的な棚造りで、催事で活躍する「一角文庫」とともに、「ポラン書房」の血を受け継ぐ決意を堂々表明していた。さらに同地では、雑貨屋さんの奥のスペースに間借りした「百年の二度寝」なる隠れ家のような若者向けのお店が活動を開始。国立の「谷川書店」跡地に出来た「三日月書店」は一般書も扱うが、アラブ・イスラム圏の洋書に強いお店。また松陰神社前にあった「nostos books」は祖師ケ谷大蔵に移転。駅から遠く離れた場所なのに、移転初日からたくさんのお客さんで賑わう人気ぶりを見せていた。浅草橋の森閑とした裏通りには「古書みつけ」が出現。地元の方々からの古本の寄付で成り立つ、いつか何かが出てきそうなお店である。鶴見市場の駅近くに開店していた「古本屋さいとう」は小さいながらも、古本に見る目を持った優良店であった。さらに番外編として、神保町に一瞬オープンした、尾道の深夜営業の古本屋さん「弐拾dB東京出張所」を挙げておきたい。店主の著書刊行記念としてのイベントであった。

 さて、開店するお店あれば、閉店するお店あり。哀しく寂しい思いをグッと飲み込んで、一気に羅列して行こう(実店舗は閉店しても催事&通販で活動を継続しているお店も含まれる)。武蔵境「浩仁堂」(だがいずれ店売り復活の情報あり)大泉学園「ポラン書房」国立「銀杏書房」本郷三丁目「大学堂書店」高円寺「アニマル洋子」大井町「海老原書店」梶原「梶原書店」等が挙げられようか。今までたくさんの古本を扱い、捌いていただきありがとうございました!

 そして今年は、こんな風に古本屋さんが好き過ぎて、古本屋さんのお手伝いとして存分に活躍した年でもあった。懇意の古本屋さん「盛林堂書房」の買取時の助っ人として(ホームズの“ベイカー・ストリート・イレギュラーズ”に倣い“盛林堂・イレギュラーズ”と自称)、十八回の出動を数えた(余録として静岡の買取で狐ケ崎の「はてなや」に一瞬訪問出来たのは嬉しかった)。その出動の半分は何と、稀代のアンソロジストでミステリ評論家の日下三蔵氏の書庫の片付けであった。氏の書庫は、日本でトップクラスのミステリ蔵書を誇る貴重で重要な場所なのだが、いかんせん蔵書が多過ぎて、長らく人の踏み込めぬ人智を超越した魔窟魔境となっていたのだが、氏と我々の地道な努力により、資料としての蔵書が並ぶ本来の書庫としての姿を取り戻しつつある。だが、まだとてもとても完全とは言い難いので、この片付け作業はまだまだ続くことになりそうだ。

 そんな古本屋さんに関する仕事と言えば、編集やデザインで関われた幸福な年でもあった。まず筆頭に挙げるなら、「東京古書組合百年史」の『古本屋分布図』を作成したこと。東京の七支部に属する古本屋さんのの過去の姿と現在の姿を、見え易く分かり易く図にする、過酷過ぎるお仕事!その成果は、どうか本を繙きご覧いただければ幸いである。その仕事に付随して、東京古書組合の新ポスターをデザインさせてもらったのも、身に余る光栄であった。さらには2015年に古本ライター・岡崎武志氏と共編した「野呂邦暢 古本屋写真集」をちくま文庫から再刊出来たのは、まさに奇跡であった。先に岡崎氏が編集した同じちくま文庫「愛についてのデッサン/野呂邦暢」が地道に増刷を重ねた結果、その勢いと「愛についでのデッサン」の副読本としての効果を見込み、動いた企画である。作家が秘かに撮影していた、七十年代の古本屋の貴重な姿を、たくさんの人の眼に届くように残せたことは、冗談抜きで私が今まで生きて来た意味があった!と思うほど、意義のあるお仕事だったのである。

 このように、通年と変わらず古本屋さんに捧げた日々を過ごして来た。今年もまた、様々な困難が襲いかかるであろうが、跳ね飛ばしたりすかしたりして、古本屋さんに楽しく耽溺して行こう。ちょっと遅めではありますが、古本屋さんたちよ、今年も何とぞよろしくお願いいたします。





小山力也
2008年5月からスタートした、日本全国の古本屋&古本が売っている場所の、全調査踏破を目指す無謀なブログ『古本屋ツアー・イン・ジャパン』管理人。「東京古書組合百年史」の『古本屋分布図』担当。西荻窪「盛林堂書房」の『フォニャルフ』棚で、大阪「梅田蔦屋書店」の古書棚で蔵書古本を販売中。「本の雑誌」にて『毎日でも通いたい古本屋さん』、「日本古書通信」にて『ミステリ懐旧三面鏡』連載中。
http://furuhonya-tour.seesaa.net/

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「商うことと歌うこと 頁をめくる音で息をする」

「商うことと歌うこと 頁をめくる音で息をする」

古本屋弐拾dB 藤井基二

 
 昨年の十一月に自分の古本屋の日々を書き連ねた『頁をめくる音で息をする』(本の雑誌社)が刊行となった。裏表紙にはこう書かれている。「開店時間は23時。尾道の路地に佇む古本屋は、疾走する店主が築いた小さな城。深夜の隠れ家から詩と熱情があふれだす。」担当の編集者さんが考えた宣伝文だ。まともな勤め人になることから逃げた身からすれば「失踪する店主」の間違いではないかと思った。

 平日の開店時間は夜の二三時から二七時。「深夜の古本屋」と雑誌の本屋特集で取り上げられたりする。理由は単純で、開業前に続けていたアルバイトの隙間で営業しようと考えた結果、深夜営業となった。酒や珈琲など、「水」は売っていない。(本も売らずに、売れずに?)お客さんに油ばかり売ってはいるが。「儲かるのか?」と聞かれれば、赤ちょうちんの下で笑えるくらいには、と答えている。ボロ儲けということはないが、地味にもそれなり温かく暮らせている。「深夜にどんなお客さんが来るのか?」と気になった方は、ぜひとも拙著を読んでいただければと思う。呑み屋と間違えてやってくる酔客、井上靖好きの勝気な女性に、誕生日の瞬間を古本屋で祝う常連客。ほんとうにさまざまなお客さんが、一つ二つと言葉を残して夜を去ってゆく。

 「どうして古本屋をはじめたんですか?」と、よくお客さんに聞かれる。二三才ではじめた店だったので何かしら大きな野望や理由があるだろうと思う人がいるのも分からなくはない。実際はただ就職することができなかった、苦し紛れの選択だった。本を読みつつ酒を飲みながらぼんやり暮らしたい。そんな単純な願いに至るまでには紆余曲折あった。今から思い起こせば、たわいないきっかけだったが当時は切実だった。

 心が病むと本は読めなくなる。そんな経験を学生時代に味わった。就活に進路、恋愛やらなんやらと重なり、大好きだった本を開く元気さえなくなった。読んでくださった方の何人かは同じ経験をしたことがあると、感想を伝えてくれた。「苦しかったのは自分だけじゃなかった」と話す声は、そのまま僕の声でもある。原稿を書き進めながら、何度も昔の自分を振り返る。当時のことを文章にするのは初めてのことで苦労したが、一つの区切りをつけるきっかけにもなった。

 本では有名無名の詩人の詩を紹介している。高校時代に出会った中原中也をきっかけに詩にめざめ、店をはじめてからもたびたび詩集を開いている。裏路地の日陰を生きるような生涯を送ったアル中の詩人、伊藤茂次。彼の言葉には、後ろ向きであるのに突き抜けた光がある。コロナ禍での営業で心が折れそうなときに、何度か励まされた。石垣りんや石原吉郎の詩は甘っちょろい自分を何度も引っ叩いた。言葉に叩かれるたびに背筋を伸ばす。

 生まれ故郷福山を生きた木下夕爾は、特にお気に入りの詩人だ。詩、俳句(夕爾は俳人でもあった)が好きな方には知る人も多いと思うが、それほど知名度があるとも言えない。彼の第一詩集『田舎の食卓』は復刻版もあるが古書価はそれなりに高く、酒の勢いを借りて地元の古本屋で買い求めた。東京での文学者の夢を諦め、家業の薬局を継がねばならなかったひとりの詩人。モダニズムな感性で書かれた詩作品にはどこか寂しさが漂う。現代の若い読者にこそ響くものがあると思う。今回、拙著を読んだ方から「詩を読んでみたくなった」と言われれば、これほど嬉しいことはない。

 「古本屋」は商人のひとつの形であることは間違いない。夢やロマンだけでは腹を満たすことは難しい。埃にまみれながら粛々と本をさばき、淡々と日銭を稼ぐ時間が大半だ。とはいえ、「古本屋」にロマンがまったくないのかと言われれば、僕は違うと思う。お宝な商品で一攫千金といったようなロマンの話ではない。本を介してさまざまなお客さんと交わる時、一篇の詩のような時間が流れることがある。引っ越しにともなって売りに来られた本のこと、亡くなったご家族の自宅へ買取に行った時のこと、常連さんの何気ない会話。本の間に挟まれた一枚の写真や紙片のように静かで微かなもの。ふと、本から取り出してはつい見入ってしまう声がある。一冊ずつにいくつもの声が重なっている。その声たちがまたこうして、一冊の本として立ち現れたと思っている。読んでくださった声がまた重なり、自分の本が古本屋の棚に並ぶ日が来ることを僕は夢見てしまう。

『頁をめくる音で息をする』 藤井基二 著
B6判並製 208ページ(カラー32ページ含む)
本の雑誌社 定価:1,540円(税込)好評発売中!
https://www.webdoku.jp/kanko/page/4860114647.html

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2022年1月11日号 第338号

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 古書市&古本まつり 第108号
      。.☆.:* 通巻338・1月11日号 *:.☆. 。
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メールマガジンは、毎月2回(10日号と25日号)配信しています。

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━━━━━━━━━━【シリーズ 古書の世界】━━━━━━━━

古本屋四十年(Ⅰ)

                古書りぶる・りべろ 川口秀彦

 古本屋になって四十年が経つ。それ自体はめずらしくはない。私
の場合、編集者六年、新刊書店員六年の後の転進で、編集者から古
本屋、新刊店員から古本屋という例はかなりあっても、両方とも経
験というのは多くないだろう。しかも営業場所を、開業した横浜で
19年、東京吉祥寺で8年半、神田神保町で11年、無店舗になり神奈川
の自宅で2年と移している。店舗を移転する人はいても、所属組合が
神奈川古書組合から東京古書組合、そして神奈川に出戻るという例
も他には聞かない。さらに私は、最初の三年間はあえて組合非加入
のアウトサイダーとしてやっていたから、成功した古本屋ではなく
とも、様々な環境での古本屋を経験してきている。話のネタには困
らない。まず開業の頃の話から始めよう。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=7674

━━━━━━━━━【シリーズ 古本の読み方3】━━━━━━

「総ルビ」や「著者略歴」の効用――古本を分析書誌してみる(古本の読み方3)

                           書物蔵

 初回、前回と、価値観のズレを読んだり、観点をズラして「読み
替え」たりした。今回は真正面から戦前古本のテキストを読んでみ
る。即物的な読み方、あるいは「分析書誌」と言ってもよいかもし
れない。

■戦前本は造りのルールが違う――例えば、パラルビvs.総ルビ
 戦前本には、今の我々が知らない共通ルールがいくつかある。例
えば、新聞紙夕刊は記載発行日の発行でなく、前日の(夕方)発行
だったり、大正期まで辞書はイロハ引きだったり、ページ付けなど
も1冊の途中で何度も1から始められていたり。
 ここでは、ふりがなのルールについて見てみる。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=7936

書物蔵
本格的古本歴は15年ほど。興味は日本図書館史から近代出版史へ
移行し、今は読書史。
共書に『本のリストの本』(創元社、2020)がある。

ツイッター
https://twitter.com/shomotsubugyo (2009年~)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「コショなひと」始めました

東京古書組合広報部では「コショなひと」というタイトルで動画
配信をスタート。
古書はもちろん面白いものがいっぱいですが、それを探し出して
売っている古書店主の面々も面白い!
こんなご時世だからお店で直接話が出来ない。だから動画で古書
店主たちの声を届けられればとの思いで始めました。
お店を閉めてやりきったという店主、売り上げに一喜一憂しない
店主、古本屋が使っている道具等々、普段店主同士でも話さない
ことも・・・
古書店の最強のコンテンツは古書店主だった!
是非、肩の力を入れ、覚悟の上ご覧ください(笑)

くだん書房
靖文堂書店
司書房
西村文生堂

YouTube 東京古書組合
https://www.youtube.com/channel/UCDxjayto922YYOe5VdOKu9w

━━━━━━━━━【東京古書組合からお知らせ】━━━━━━
◆『アイデアブックス・新刊書籍内覧会』開催◆

場所 東京古書会館 2階情報コーナー
日時 2022年1月17日(月)・1月18日(火)
時間 10時~18時
入場無料
主催 アイデアブックス

ホームページ
https://www.ideabooks.nl/

◆「東京古書組合百年史展」 開催◆

場所 市立小樽文学館 無料展示スペース
日時 2021年12月18日(土)~2022年2月13日(日)
時間 9時30分~17時(最終入館は16時30分まで)
休館日 毎週月曜日(1月10日を除く)
12月29日~1月3日、1月11日・12日、2月1日~4日
入場無料

ホームページ
http://otarubungakusha.com/exhibition/2021114096

━━━━━【1月10日~2月15日までの全国即売展情報】━━━━━

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

※現在、新型コロナウイルスの影響により、各地で予定されている
即売展も、中止になる可能性がございます。ご確認ください。
お客様のご理解、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。

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アクロスモール新鎌ヶ谷古本市(千葉県)

期間:2022/01/05~2022/01/13
場所:アクロスモール新鎌ヶ谷 1F 中央エレベーター前  
   千葉県鎌ケ谷市新鎌ヶ谷2-12-1

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♭立川フロム古書市ご案内♭

期間:2022/01/05~2022/01/16
場所:立川駅北口徒歩5分フロム中武(ビッグカメラ隣) 
   3階バッシュルーム(北階段際)

http://mineruba.webcrow.jp/saiji.htm

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新春東武古本まつり(栃木県)

期間:2022/01/06~2022/01/11
場所:東武栃木市役所店 1階 (栃木市万町9-25) 
   栃木駅(JR・東武)・新栃木駅(東武)より徒歩15分

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第44回古本浪漫洲 Part1

期間:2022/01/06~2022/01/08
場所:新宿サブナード2丁目催事場  新宿区歌舞伎町1-2-2

https://kosho.co.jp/furuhon_romansu/

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東京愛書会

期間:2022/01/07~2022/01/08
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 

http://aisyokai.blog.fc2.com/

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杉並書友会

期間:2022/01/08~2022/01/09
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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第44回古本浪漫洲 Part2

期間:2022/01/09~2022/01/11
場所:新宿サブナード2丁目催事場  新宿区歌舞伎町1-2-2

https://kosho.co.jp/furuhon_romansu/

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第44回古本浪漫洲 Part3

期間:2022/01/12~2022/01/14
場所:新宿サブナード2丁目催事場  新宿区歌舞伎町1-2-2

https://kosho.co.jp/furuhon_romansu/

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オールデイズクラブ古書即売会(愛知県)

期間:2022/01/14~2022/01/16
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田5-1-12

http://www.hon-ya.net/

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趣味の古書展

期間:2022/01/14~2022/01/15
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 

https://www.kosho.tokyo

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第44回古本浪漫洲 Part4

期間:2022/01/15~2022/01/17
場所:新宿サブナード2丁目催事場  新宿区歌舞伎町1-2-2

https://kosho.co.jp/furuhon_romansu/

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第44回古本浪漫洲 Part5(300円均一) 

期間:2022/01/18~2022/01/20
場所:新宿サブナード2丁目催事場  新宿区歌舞伎町1-2-2

https://kosho.co.jp/furuhon_romansu/

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さんちか古書大即売会(兵庫県)

期間:2022/01/20~2022/01/25
場所:さんちか三番街 さんちかホール

https://hyogo-kosho.com

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和洋会古書展

期間:2022/01/21~2022/01/22
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 

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五反田遊古会

期間:2022/01/21~2022/01/22
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4 
   JR山手線、東急池上線、都営浅草線五反田駅より徒歩5分 

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中央線古書展

期間:2022/01/22~2022/01/23
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2022/01/27~2022/01/30
場所:さくら草通り(JR浦和駅西口 徒歩5分 マツモトキヨシ前)

https://twitter.com/urawajuku

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我楽多市(がらくたいち)即売展

期間:2022/01/28~2022/01/29
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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大均一祭

期間:2022/01/29~2022/01/31
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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BOOK & A(ブック&エー)

期間:2022/02/03~2022/02/06
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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書窓展(マド展)

期間:2022/02/04~2022/02/05
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 

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ぐろりや会

期間:2022/02/11~2022/02/12
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 

http://www.gloriakai.jp/

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杉並書友会

期間:2022/02/12~2022/02/13
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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フィールズ南柏 古本市 (千葉県)

期間:2022/02/12~2022/02/27
場所:フィールズ南柏 モール2 2階催事場  柏市南柏中央6-7

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日本の古本屋メールマガジンその338 2022.1.11

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 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:志賀浩二
 編集長:藤原栄志郎

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2021年12月24日号 第337号

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☆INDEX☆
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
1.たたかう講談師、松林伯円            目時 美穂
2.『詩とは何か』                 吉増 剛造
3.「本のある場所」への感謝            南陀楼綾繁
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
━━━━━━━━━━━━【自著を語る(283)】━━━━━━━━

たたかう講談師、松林伯円

                          目時美穂

 講談師の得物はただ一本の張り扇。
 これをたずさえて高座にあがり、刃物にも、調子をとる道具にも
して、あとは己の舌先だけで幕末、明治の世の大衆を熱狂的に踊ら
せた講談の名人がいた。
 二代目松林伯円という。
 時流を読むことに長けていたとともに、それを作品に組み込む創
作の才にも恵まれていた伯円は、幕末期動乱の不穏な空気のもとで
は、どろぼう物を講演して大成功を博し、どろぼう伯円とあだなさ
れ、明治の世になると文明開化を、西南戦争を、自由民権運動を、
自作に取り入れて、生涯に70作以上の新作講談をうみだした。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=7668

『たたかう講談師 二代目松林伯円の幕末・明治』目時美穂 著
文学通信刊 定価:2,500円(税別)好評発売中!
https://bungaku-report.com/books/ISBN978-4-909658-66-1.html

━━━━━━━━━━━━【自著を語る(284)】━━━━━━━━

『詩とは何か』

                          吉増剛造

 ありがとうございました。お声をかけていたゞきましたタイミン
グが、…と思いまして念のために辞書をひいてみますと、“timing
=時宜を得ること”と、こうして、前著の『Voix』(思潮社、二〇二
一年十月刊)について、書きましたときと同じような心躍りを覚え
つつ、“うん、生き物のように、そのときそのときでこれも違うの
だな、この心躍りは、…”と独(ひと)り言をいゝながら、書きは
じめております。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=7869

『詩とは何か』 吉増 剛造著
講談社現代新書 定価:1210円(税込)好評発売中!
https://gendai.ismedia.jp/list/books/gendai-shinsho/9784065188279

━━━━━━━━━━━━【自著を語る(285)】━━━━━━━━

「本のある場所」への感謝

                         南陀楼綾繁

先月末に『古本マニア採集帖』(皓星社)を刊行した。自分なりの
やり方で古本と付き合っている36人のインタビュー集だ。つい最近
まで「日本の古本屋メールマガジン」で連載したものに、書下ろし
を加えた。連載は当初2年ぐらいのつもりだったが、続けていくうち
にこんな人も、あんな人もと欲が出て、3年近くの長期になった。好
きなように書かせてくださった東京都古書籍商業協同組合広報部に
は、改めてお礼を申し上げる。

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プレゼント致します。ご応募お待ちしております。

応募申込は下記ページにてお願い致します。
 締切日 12月27日(月)午前10時

https://www.kosho.ne.jp/oubo2021/1224.html

━━━━━━━━━【東京古書組合からお知らせ】━━━━━━

「東京古書組合百年史展」 開催

場所 市立小樽文学館 無料展示スペース
日時 2021年12月18日(土)~2022年2月13日(日)
時間 9時30分~17時(最終入館は16時30分まで)
休館日 毎週月曜日(1月10日を除く)
12月29日~1月3日、1月11日・12日、2月1日~4日
入場無料

ホームページ
http://otarubungakusha.com/exhibition/2021114096

━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

「2021年の古ツアをふり返る」(仮題) 
古本屋ツアーインジャパン 小山力也
http://furuhonya-tour.seesaa.net/

『頁をめくる音で息をする』  古本屋弐拾dB 藤井基二 著
本の雑誌社 定価:1,540円(税込)好評発売中!
https://honnozasshi.stores.jp/items/618345133303784078dbaa26

━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━

12月~1月の即売展情報

※新型コロナウイルスの影響により、今後、各地で予定されている
即売展も、中止になる可能性がございます。ご確認ください。
お客様のご理解、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

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日本の古本屋メールマガジン その337・12月24日

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:志賀浩二
 編集長:藤原栄志郎

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「総ルビ」や「著者略歴」の効用――古本を分析書誌してみる(古本の読み方3)

「総ルビ」や「著者略歴」の効用――古本を分析書誌してみる(古本の読み方3)

書物蔵

 

 初回、前回と、価値観のズレを読んだり、観点をズラして「読み替え」たりした。今回は真正面から戦前古本のテキストを読んでみる。即物的な読み方、あるいは「分析書誌」と言ってもよいかもしれない。

■戦前本は造りのルールが違う――例えば、パラルビvs.総ルビ
 戦前本には、今の我々が知らない共通ルールがいくつかある。例えば、新聞紙夕刊は記載発行日の発行でなく、前日の(夕方)発行だったり、大正期まで辞書はイロハ引きだったり、ページ付けなども1冊の途中で何度も1から始められていたり。
 ここでは、ふりがなのルールについて見てみる。

パラルビと総ルビ 書籍ならその書籍を出すとき、対象とする読者の智能程度によつて、ふりがなをつける。このふりがなを、ある幾つかの、むづかしい字だけにつけるのはパラルビと云ひ、漢字の殆んど全部につけるのを総ルビと云ふ。(編集者同志会 編『編集から出版まで』創文社, 1949)

 想定読者の「智能程度」でふりがなを付け分けるとある。今でいう「リテラシー」だろう。高ければパラルビ、低ければ総ルビにする。戦後は義務教育が中学までと高くなったので、出版物はみなパラルビがデフォルトとなった(だから、現在は「パラルビ」という言葉自体、ほとんど聞かない)。しかし戦前は9割方が小学校卒だったので、学術書でない一般書、通俗書、雑誌なども総ルビであるのが普通である。

 例えば大正期の代表的「赤本」(通俗的児童書)だった「立川文庫」(1911-ca.1923)は、当たり前だが総ルビである。「〔立川文庫の〕主な読者は大阪の丁稚だった。彼らは集金に行ってもすぐにお金をもらえないから、待たされる間に貸本屋で借りた立川文庫を読んだ。〔略〕そうしてふりがなでどんどん難しい漢字を覚え、丁稚の中から高度の読み書きと語りを身につけた人が出てくる」(鶴見俊輔『読んだ本はどこへいったか』潮出版社、2002)。ちなみに手塚治虫のデビュー作『新宝島』(1947、育英出版)は大阪の赤本だった。

 このように、一般には小学校卒業後の社会教育に功があったとされる総ルビだが、これをうまく使うと、いろいろわかることがある。

■総ルビの本で固有名の読みがわかる
 手元に総ルビの本がある。これは大阪の赤本問屋だった「松要さん」*こと、松浦貞一(1886-1953)の追悼録(古書業界語でいう「まんじゅう本」)である。
・堀勝彦編『松要さんの思ひ出』(全国出版物卸商業協同組合、1955)

 昭和28年に逝去した赤本業界の名物男で「奇人」の松要を偲んで、業界人30名以上が追悼文を寄せているのだが、これがまた、私にとっては大助かりだったのは、各回想の断片情報(意味内容)もさりながら、即物的に役立ったのが総ルビである。

 たとえば戦前、「数物」**で最大手スジだった問屋に「酒井淡海堂」があるが、この「淡海堂」の読みが(私には)わからなかった。国会図書館の名称典拠では「タンカイドウ」と読んではいるが、この読みは根拠が不明とある***。淡海堂は「オウミドウ」と読めなくもない。同時代の業界人になら疑問にすら思われないことが、現在わからない。

 このまんじゅう本を読んでいくと、これまた有名な業界人・小川菊松の回想文中で、松要が大阪方面の特価本販売を一手に引き受けることになったという話の中に「河野氏を始め酒井淡海堂やその他の東京の特価本」(p.18)という形で本文中に出てくる。この本は総ルビ本なので、ちゃんと「さかいたんかいどう」とルビがあった。

図1 『松要さんの思ひ出』p.18

■近代本の分析書誌はまだこれから
 この技はもちろん、人名など他の固有名などにも応用できるし、戦前の新聞紙でもできる。ただし、いくつか注意点もある。総ルビ本でも、ルビがつかない部分がある。タイトルページ、奥付、項目、執筆者名欄、その肩書などである。ルビが間違っていることもあるので一箇所だけに頼るのはリスキーである。ルビには促音(ちいさい「っ」など)がない。だから「発禁」にルビがあっても「はっきん」か「はつきん」かわからない****。

 昭和初期に日本書誌学が出来た時、研究対象を前近代の本に限定してしまったために、近代本の分析書誌的な解説ないし研究は、まだ十分になされていない。近年、ふりがなについては、ネットで青空文庫を情報源にした「ふりがな文庫」という検索サイトがあって、便利である。いま「淡海」を引くと、次のような結果を返してくれる。
 たんかい 27.3%
 あふみ 18.2%
 タンカイ 18.2%
 おうみ 18.2%
 あはうみ 18.2%

■「奥付」の著者名欄ふりがなは?
 いまもあるが、西洋書が書誌事項をすべて本文の先頭、つまり標題紙とその裏面に集中させているのに対し、日本の本は書誌事項の多くが本文最終ページに記載されている。明治23年の出版法その他近代法令では、著者などの表示義務はあったけれども、その位置、たとえば「本文の末尾に記載すべし」といった法文はないので――実際、翻訳本に特色があったサイマル出版会は奥付を標題紙裏に記載していた――位置だけについて言えば、江戸時代からの慣例が続いていると言ってよいだろう。

 この奥付の記載事項は、やはり歴史的に変遷があるのだが、やはり一番の読みどころは「著者略歴」欄だろう。どんな経歴の人が自分がゲットした――あるいは買おうとしている――本を書いたのか、ということは、実は本文よりも重要かもしれない。しかし、これもまた、歴史的にある時点――昭和18年――から奥付に付加されるようになった情報なのである。出版業界の慣例かと言えば、実は戦時統制の余沢なのである。日本出版文化協会が、「読者が編著者又は訳者の略歴を知ることが出来れば、其の書籍の内容と特質とを概念的につかんで其の選択に便宜」なのと、当時の「国民読書」運動の指導にも役立つので各出版社に掲載を要請したのだった(「書籍に編著者又は訳者の略歴掲載について」『出版文化』43号p.7 1942.12.21)。

 それ以前の書籍には、背文字に「文学博士坪内逍遥」といった麗々しい肩書をつけたり、あるいは序文・跋文で著者の肩書、人となりに触れられることはあったが、明確な形での著者略歴欄はなかった。

 著者名欄にふりがなをつけるようにせよ、と言ったのも協会だったらしい。戦後、協会が解体され、著者略歴欄は慣例として残ったが、著者名ふりがなは一旦、途絶えることになった。それが半世紀以上の時をへだてて復活したのは、1990年代末くらいかららしいのだが、誰も調べた人がいないようである。

* 松浦貞一なのに、なぜ「松貞」でなく「松要」なのかと言えば、反故問屋だった先代が松浦要助で、その屋号を受け継いだからである。
** 「かずもの」とは、書籍市で同タイトル1冊しか出ない古本に対し、数があるもの。「残本」「見切本」と言われたものが再販されずに書籍市に出ると、こう呼ばれた。
*** https://id.ndl.go.jp/auth/ndlna/00264905 「出典」欄に読みの根拠が記載されていないので、そう解釈する。国会図書館がこういった固有名の読みを管理しているのは、カード目録時代にカードをキーワード(著者、書名、件名)の読み(それをさらにカナやromaziに翻字する)で並べる必要があったからである。
**** 「発禁」は「発行禁止」でなく「発売頒布禁止」の略語なので「はつきん」と戦前には発話されていた。ローマ字にすれば、Hakkin でなく Hatsukin。



書物蔵
本格的古本歴は15年ほど。興味は日本図書館史から近代出版史へ移行し、今は読書史。
共書に『本のリストの本』(創元社、2020)がある。

ツイッター
https://twitter.com/shomotsubugyo (2009年~)

Copyright (c) 2019 東京都古書籍商業協同組合

saishucho

「本のある場所」への感謝

「本のある場所」への感謝

南陀楼綾繁

 先月末に『古本マニア採集帖』(皓星社)を刊行した。自分なりのやり方で古本と付き合っている36人のインタビュー集だ。つい最近まで「日本の古本屋メールマガジン」で連載したものに、書下ろしを加えた。連載は当初2年ぐらいのつもりだったが、続けていくうちにこんな人も、あんな人もと欲が出て、3年近くの長期になった。好きなように書かせてくださった東京都古書籍商業協同組合広報部には、改めてお礼を申し上げる。

 本書には映画、地下本、カラーブックス、幻想文学、噴水、龍膽寺雄など、さまざまなテーマの本を集め、読み、調べる人たちが登場する。現在、本メルマガで連載中の書物蔵さんも「『図書館絵葉書』を発見したひと」として登場する。彼らのマニアぶりについては、ぜひ本文で確かめていただきたい。

 インタビューする際は、その人がどんな古本マニアなのか、と同じぐらい、どんな過程をたどって古本マニアになったのかを伺うことに重きを置いた。人生においていきなり古本と接する人はまれで、たいていの人は段階を踏んで古本と出会っているはずだからだ。人それぞれの読書のグラデーションのようなものに興味があった。

 たとえば、「貸本小説」を発見した末永昭二さんは、田舎町で学校の図書館の本を読み尽くし、京都の大学に入ってはじめて古本屋に足を踏み入れる。それが伝説の〈アスタルテ書房〉だったというのがすごい。
 妖怪の本を集めている中根ユウサクさんは、本好きの父に連れられて、小学5年のときに古本屋に行っている。中根さんの息子も妖怪マニアとして育ち、一緒に古本屋に通っているという。
 校正者の猪熊良子さんは、子どもの頃から父と一緒に新刊書店に通ったが、「人が触った本は汚い」と図書館にも古本屋にも行かなかった。しかし、一箱古本市に参加したのがきっかけで、いまでは古本屋好きになっている。

 島根県出雲市に生まれた私の場合、本と出会ったのは幼稚園のときに買ってもらった学年誌だった。その後、小学校の図書室、市立の図書館、商店街の新刊書店と行動範囲を広げ、それとともに読む本が広がっていく。親に連れられて松江市の新刊書店に行ったときにはその広さに驚いたが、小学6年ではじめて東京に行き、〈八重洲ブックセンター〉に行ったときの衝撃はすさまじく、その後しばらくこの本屋が自宅の裏に建っている夢をよく見た。

 はじめて古本屋に入ったのは高校生のときで、松江市にあった〈ダルマ堂書店〉だった。小説が安く買えたのが嬉しかったが、のちにこの店には郷土本が揃っていることを知る。それと前後して、吹奏楽部の全国大会に出場した際、自由時間に神保町に行った。雑誌『BOOKMAN』の神保町特集に古本屋の地図が載っていて、それを眺めながら歩いた。両手で紙袋が持てないくらいたくさんの古本を買い、集合時間に遅れて泣きそうになりながら大手町駅から東京駅まで走ったのを覚えている。

 大学に入って東京で暮らしはじめた頃も、社会人になってからも、私は古本屋、新刊書店、図書館をめぐって、本と出会ってきた。
 著者が書き、出版社が刊行した本は、新刊書店で販売され、もしくは図書館に所蔵される。時間が経つと、それらの本は古本屋に流れる。そのどれかの段階で本を手にした読者の中から、次の著者や編集者が現われ、新たな本が生まれる。本はそうやって循環するものだ。そのような「本の場所」があってこそ、私は生きていけるのだと思う。

 今年は『ダ・ヴィンチ』6月号に「10年後の被災地をめぐる『本のある場所』のいま」という記事を書いた。東日本大震災で被害を受けた地域の新刊書店、古本屋、図書館、ア―カイブ、出版社を取材したものだ。また、『地域人』75号の特集「本屋は続くよ」では、新潟県、広島県、香川県、福岡県の新刊書店と古本屋を取材した。これらの記事を通じて、私なりに「本のある場所」を応援しているつもりだ。

本書の巻末には、本文に登場する新刊書店と古本屋の索引を掲載した。いまも営業中の店もあれば、日暮里の〈鶉屋書店〉など古書業界の歴史に残る店の名もある。安くて掘り出し物が見つかる店として3人が挙げた荻窪の〈ささま書店〉は、昨年惜しまれながら閉店した。アナキズムに関心があった2人が、神保町にあった〈高橋書店〉を挙げているのも興味深い。本当はここに図書館も入れたかったのだが、煩雑になるので省略した。
本書を手に取られた方は、最初から順に読むのでも、面白そうなテーマを追っている人から読むのでも、索引の店名を頼りに読むのでも、ご自由に楽しんでいただけたら、著者としては嬉しいです。

なお、来年春からはこのメルマガで新しい連載をさせてもらうことになっている。これもまた、「本のある場所」をめぐる旅になりそうで、いまからワクワクしている。

saishucho

『古本マニア採集帖』  南陀楼綾繁 著
皓星社 定価:2,000円+税 好評発売中!
https://www.libro-koseisha.co.jp/history_culture/9784774407500/

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