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わがスーヴェニール 下地はるお戯曲選

わがスーヴェニール  下地はるお戯曲選

川添健次(天心堂)

この新刊本のご案内をせねばなりません。
 
今回の「わがスーヴェニール」。切っ掛けは父の死です。
 
遺品整理の時に出てきた古びた大学ノート8冊程。そこには恋、別れ、浪漫、戦争と父の
青春がありました。口数の少なかった父からの問いかけ。晩年の父は、朝から数社の新聞を
読み漁り、テレビの前に居座り、外に出ることを嫌い、唯一のたのしみは麻雀でした。
 
ー親父にも青春があったー
 
文面から若かりし頃の父の声が聞きたくなりました。
ノートの表題にあった「スーヴェニール」とは、記念品、忘れ形見、土産という意味の
ようなので使わせていただきました。
その他、順次紹介します。

「刀狩り」秀吉の頃の刀狩りではなく、敗戦時、美術品や刀が勝者たちによって
持ち去られるという話。日本の捕虜だった外兵士が解放され、戦利品を物色する途中で
立ち寄った原爆の地ヒロシマの惨状など、能狂言風に書いたものです。
 
「壺から霊験記」 事故に会った青年が生死を彷徨うその狭間で、壺取りで争う
男たちの人間模様。阿・吽が立ちはだかります。
 
「ドッカーン・ピカピカ・キーン」  「わがスーヴェニール」が、青春篇とすれば、
こちらは戦争篇となります。戦死者のほとんどは戦病死ではないか。生き残った
老人の中で過去と現在が交差する戦争絵巻。
 
「狼のけむり」 (少年と狼)の寓話劇。原発のある村。僕は見たんだ。放射能が
襲って来る、逃げろ。目に見えない放射能は臭うのか。狼の屁が教えてくれます。
 
合わせて5編からなる未公開の作品群です。
 
読み物としての台本、戯曲は、今や古典扱いですが、そこからは今もなお声が聞こえます。
その声は創造の世界から、見世物、出会いへと繋がり、出番を待っています。
 
本の著者についてお話します。
「下地はるお」は、学生の頃に演劇企画集団を主催し、年に二回ほどの公演を、
十数年続けてきた時の作者名です。芝居に完璧はありません。今、彼は本名を名乗り
古本屋を営む高齢者となりました。ささやかで劇的なるものは、誰にでも襲い掛かります。
 
封印していた「下地はるお」の名で出版したのは、彼の中に、まだ演劇青年が
居たからかもしれません。
台本は、カバー、帯を付けて着飾るほどのものではないので、冊子という型にしました。

「日本の古本屋」からも注文を受け付けておりますので、一読ください。

 
 
20240925_cover_mysouvenir
 
わがスーヴェニール 下地はるお戯曲選
下地はるお 著
天心堂出版部 刊
1,000円(税込)
 
好評発売中!
https://www.kosho.or.jp/abouts/?id=12030870

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