文字サイズ

  • 小
  • 中
  • 大

古書を探す

メールマガジン記事 古本屋ツアーインジャパン

古本屋ツアー・イン・ジャパン2026年上半期報告

古本屋ツアー・イン・ジャパン2026年上半期報告

古本屋ツーリスト 小山力也

 ここ二年ほど、いつもこの時期は秋の独り古本まつりに備え、古本集めに駆け回りてんてこ舞いの日々であった。だが今年は、古本を販売している大阪「梅田蔦屋書店」から古本まつりのオファーがなく、残念!と思うとともに、ちょっとホッとしている。プロでもないのに五百冊もの質の良い古本を集めるのは至難の業であり、まつりが終われば古本がスッカラカン状態になってしまうので、達成感とともに大いなる喪失感を味わうのは、なかなか切ないものなのであった。だがそれでも、日々の古本買いは身に付いてしまった業病となり、毎日のように必要以上に古本を買っている。もはやまつりがあろうとなかろうと、それは関係ないのだ。古本こそ我が人生! 古本屋さんに通うことこそ最大の生き甲斐!と病をより深刻にして、暮らしている次第である。さて、ではそんな快調に古本に狂っている男の、あっという間に過ぎ去ってしまった上半期の様子を急ぎ足で記述してみよう。

 一月は吉祥寺の「よみた屋」が店内を改装し、棚を上に向かって増設しているのを目撃。ここは常に進化して行く古本屋さんで、店頭棚には非常にお世話になりまくっている。西荻窪では元「スコブル社」の「BELLY BOOKS」が営業を開始。スコブル社当時の店内がそのまま保存さ荒れているのは見物である。武蔵境の「プリシアター・ポストシアター」は惜しまれながら店舗を閉店。隣の倉庫にメイン機能を移し、催事&ネット販売を緩やかに続けるらしい。川崎の「ブックスマッキー」も閉店セールをスタートするが、テナントの都合で、閉店日が一ヵ月二ヶ月と延長して行くのが愉快であった。

二月は吉祥寺で夏葉社が催した、伊藤整の息子・伊藤礼の蔵書処分古本市「伊藤礼書店」に駆け付け、予想外の宮敏彦のミステリ付録本を買ったりした。三月は祖師ケ谷大蔵で、元新刊書店を改装した変わり種「旧板倉書店 Garden Variety」を訪れる。非売品の八十年代コミックスが眩しく輝く店内であった。渋谷では偶然谷底にある「本と喫茶PARADE」を発見。店名通り常連客でにぎわう喫茶が併設されているが、古本屋部分も中々見応えがあり、偶然の出会いに感謝したりする。

四月は、いつの間にか消え去った高円寺「中央書籍」跡地に「ひとひと書房」が出現。本の数は少ないが、若者文化一色のディスプレイに圧倒される。伊勢佐木町では「馬燈書房」がネット販売に専念するため、お店を閉じてしまった。ネットで業界最安値に挑戦しているこのお店は、店舗という軛を振り捨て、より鮮烈に活動して行くと思われる。五月には神保町裏通りの「アカシヤ書店」が、三月に閉店してしまっていたのを遅ればせながら知り、愕然としてしまう。店頭百均で面白い本が買えるお店だったのに……。

六月には阿佐ヶ谷「銀星舎」が建物老朽化に伴う九月閉店に備え、閉店セールをスタート。阿佐ヶ谷に現在も住んでいる身としては、長々とお世話になって来た馴染みのお店である。閉店までになるべく古本を買っておこうと、今まで以上に頻繁に通い詰めてしまっている。また神保町「小宮山書店」ガレージで開かれた、鬼畜系ライター・故村崎百郎の蔵書放出市は、楽しい上に買えるイベントであった。オカルトやアングラな本が多いのは予想していたが、人文の良いところが混ざっていたのは、ちゃんと幅広い読書をしていた人ということを感じさせる並びであった。

 またその他の古本屋さんの動きについては、ブログのコメント欄やメールアドレスに寄せられたものがある。狛江の「ふる本や」、岐阜「徒然舎」、三宿「山陽書店」、平沼橋「ぽんぽん船平沼橋店」の閉店や、高円寺「古書コクテイル」の移転を知る。また東中野に開店した詩に強いお店「蒼枯」だが、実は去年のまだ開店遥か前に、店主とはある買取現場の助っ人として顔を合わせており、思いっきり身バレしているのが恥ずかしく、臆してまだ訪れていない次第……面目ないです。

 そして西荻窪「盛林堂書房」の臨時店員“盛林堂・イレギュラーズ”としての活動も、ますます活発になった六ヵ月であった。買取の出動回数は二十回を数え、雪の日も雨の日も出動し、中には伊豆半島南端の下田に“天城越え”をして買取に行ったり、岐阜に泊まりがけの買取行も行った。

〇目指すは下田、いざ天城越え


その岐阜では、一日目の作業終了時に、岐阜駅前の再開発が棚上げされた巨大アーケード街で営業中の「岡本書店」に駆け付けてみるが、タイミング悪く定休日にぶち当たってしまい、シャッターの前で本当に膝を折って項垂れてしまった……。

また四月の『全ニッポン古本博覧会』&『神保町さくらみちフェスティバル』では、全日盛林堂ワゴンで売子を務めるなど活躍した。おかげで全国の古本屋さんが集まる前代未聞のイベント『全ニッポン古本博覧会』は、小川広場だけを駆け足で巡ることしかできなかった……普段は入れない上階も開放された「東京古書会館」も行きたかった……。そういえば、久々に出ることになっていた、雑司が谷の古本フリマ『みちくさ市』も、この全日イレギュラーズのために、泣く泣く参加を見送ったのであった。秋の神田古本まつりも売子ととして動員されるのは確実なので、どうか「みちくさ市」と日にちが重なりませんように。

 というように、見事に呆れるほど、毎年同様の古本に塗れた日々を過ごしている。まだまだこれは変わらないであろうし、後半戦もこのまま突っ走るつもりである。秋には共著であるが、古本にも関した本が一冊出る予定なので、どうぞお楽しみに。最後は恒例の、掘出し物列挙で締めくくろうと思う。さぁ、みなさんも、古本屋さんで、どうか良い古本を!

 講談社のテレビ絵本「ウルトラQ ゴメスをたおせのまき」四千円、講談社「冬の神話/小林信彦」(献呈署名入り)四千五百円、小学館「鼻紙写楽/一ノ関圭」(献呈署名&イラスト入り)七百七十円、筑摩書店 松田道弘のあそびの本2「ボード・ゲーム」二百円、竹書房「ウルトラ怪獣名鑑戯画報/市川哲史」五百円、武侠社「犯罪科學12」(昭和六年、村山知義&堀野正雄グラビアルポ『首都貫流』掲載)二百円、室町書房「にっぽん劇場写真帖/寺山修司=文 森山大道=写真」(筒函ナシ、森山大道の手紙付き)一万円。

小山力也 (こやま・りきや)

2008年5月からスタートした、日本全国の古本屋&古本が売っている場所の、全調査踏破を目指す無謀なブログ『古本屋ツアー・イン・ジャパン』管理人。西荻窪「盛林堂書房」の『フォニャルフ』棚と大阪「梅田蔦屋書店」で古本を販売中。「本の雑誌」にて『毎日でも通いたい古本屋さん』連載中。最新刊は「古本屋ツアー・イン・日下三蔵邸」(本の雑誌社)
http://furuhonya-tour.seesaa.net/ 

\\\☆★☆こちらもオススメ☆★☆///
過去14年分の連載が1冊の本になりました

 

東京古書会館で好評配布中!

書名:『古本屋ツアー・イン・ジャパンの総決算十四年分 付・古本屋探検術』
著者:小山力也(古本屋ツアー・イン・ジャパン)
発行元:東京都古書籍商業協同組合 広報部・機関誌部 日本の古本屋メールマガジン編集部

 

過去のメールマガジンはこちらからご覧ください!
『古本屋ツアー・イン・ジャパンの総決算十四年分 付・古本屋探検術』(2025年10月27日号)

https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=24778

 

Copyright (c) 2026 東京都古書籍商業協同組合

  • コショな人
  • 日本の古本屋 メールマガジン バックナンバー
  • 特集アーカイブ
  • 全古書連加盟店へ 本をお売り下さい
  • カテゴリ一覧
  • 書影から探せる書籍リスト

おすすめの特集ページ

  • 直木賞受賞作
  • 芥川賞受賞作
  • 古本屋に登録されている日本の小説家の上位100選 日本の小説家100選
  • 著者別ベストセラー
  • ベストセラー出版社

関連サイト

  • 東京の古本屋
  • 全国古書籍商組合連合会 古書組合一覧
  • 版元ドットコム
  • 近刊検索ベータ
  • 書評ニュース