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本とエフェメラ④東京は古本の都❶中央線沿線の古書店マップ

本とエフェメラ④
東京は古本の都❶中央線沿線の古書店マップ

小林昌樹(近代出版研究所)

■まずは東京の西側

 今回から東京・その周辺の古本エフェメラについて書いていくが、やはり東京は古本の都でもあるので量が多い。特に神保町がらみがワンサとある。それは最後のほうにとっておいて、とりあえず周辺から攻めてみようと、中央線沿線を取り上げる。

 2023年7月に「中央線はしからはしまで古本フェスタ」という週末古書展があって、自分もその新興の勢いに驚いて「日本の古本屋」サイトに記事を寄せたことがあった(「神保町が「中央線文化」になった日――古本フェスタを見て思う」)。これは1990年代に高円寺が東京第四の古本屋街に瞬間なった際にも思ったが、中央線沿線には「阿佐ヶ谷文士村」以来の文化的蓄積≒古本の蓄積があると思う。

 【図1】は中央線沿線の古本屋地図。一部、早稲田古書店街があるが、この早稲田、中野駅で地下鉄東西線が乗り入れており、実は中央線文化の支線扱いもできなくはないのであった(ただし別に早稲田古書店街のチラシ類で取り上げる予定)。


【図1】中央線沿線の古本屋地図

■古書展チラシのスクラップブックを古書展で

 中央線がらみの古本エフェメラというと最初に思いつくのは『おに吉:古本案内』という16p.ほどの小冊子である。2000年代に中央線沿線の古本屋さんを回っていると、カウンターまわりに置いてあり、無料でゲットできた。ネット検索すると股旅堂さんのエントリがヒットして、初号は2003年5月ごろとわかる。
 手元の2号(2004.6)を見ると上野茂都、ひろせゆかこ、角田光代、岡崎武志、亀和田武、久住卓也といった面々による、古本がらみの楽譜や短文や漫画、荻窪、西荻窪、吉祥寺の古本屋マップが載っている。タイトル「おに吉」は、「おぎくぼ、にしおぎくぼ、吉じょうじ」の頭字であるらしい。最新刊は2009年号か?


【図2】『おに吉:古本案内』
 
 「おに吉」は楽しい冊子だったが、最近見ない。一方で中央線沿線に関しては古本屋マップがいろいろな系統のものが時折、頒布される。高円寺に西部古書会館があることもあるだろう、東京都古書籍商商業協同組合・中央線支部が2006年と2011年に『日本の古本屋:東京・中央線支部編』という古本屋マップを頒布している【図3】。

 【図3】の古本屋マップ、2006版を見ると、西部池袋線ひばりが丘駅に3軒の古本屋が出てくる(近藤書店、三鈴書店、ブックスアトランダム)が、2011年版【図4】を見るとブックスアトランダムだけになっている。前職で通勤の都合上、西部池袋線沿線に住んでいたので、ひばりが丘に3軒も古本屋があった時代がなつかしい。古書組合系の地図だと、組合非加入の店が落ちるが、逆に組合に入っていれば多少ズレた場所にあっても拾われる。東京西部でも中央線は怒涛の勢いがあり、それだけ取り上げられることもあるが、西武線といったやや外れたところにある古本屋は組合系のマップに出るということになる。

『全国古本屋地図』(日本古書通信社、1977-2001)亡き今、古本屋の興亡はこういった随時頒布されるマップ類が手がかりになるのではなかろうか。


【図3】古本屋マップ『日本の古本屋:東京・中央線支部編』ほか


【図4】『日本の古本屋:東京・中央線支部編』2011年版

 【図5】はやはり古書組合の「北部支部」が2013年に出した池袋周辺の古書店マップである。もう無くなった店が多いが、いずれも昔、そこそこ行った店が載っており、なつかしい。池袋周辺の最大手だった八勝堂も、もう閉店している。ここがビルになる前、1992年ごろに、以前やっていた図書館学の『図書館研究シリーズ』の初期の号を買ったのを憶えている。


【図5】『池袋起点古書店地図』(2013)

 考えてみれば、現在はGoogleマップに古本屋をプロットできるので【図6】、便利と言えば便利。逆にここに紹介したような紙マップは出される頻度が減ってきており、見かけたら即座にゲットしておきたい。


【図6】Googleマップの「古本屋」検索

■次回は…

 当分、たくさんエフェメラがありすぎる神保町へは近寄らず、早稲田古本屋街や本郷などの古本エフェメラを紹介したい。


小林昌樹(こばやし・まさき)
1967年東京生まれ。1990年と92年、慶應義塾大学文学部を2回卒業。2021年国立国会図書館を早期退職し、近代出版研究所を設立。近代書誌懇話会代表。現役時代の秘伝テクニックを盛り込んだ『調べる技術』がヒット。それを応用して書いた前代未聞の『立ち読みの歴史』は五大新聞紙すべてで紹介。専門は図書館史、近代出版史、読書史。



書名:『近代出版研究』第5号
特集「エフェメラって?――軽薄短命の紙がみ」
発行:近代出版研究所
発売:皓星社
発売日:2026年4月7日
ページ数:368ページ
定価:3,300円(税込)
判型:A5判並製
ISBN:978-4-7744-0882-8好評発売中!
https://libro-koseisha.co.jp/publishing/9784774408828/

Copyright (c) 2026東京都古書籍商業協同組合

 

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