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三者三様『ミステリ懐旧三面鏡』

三者三様『ミステリ懐旧三面鏡』

古本屋ツアー・イン・ジャパン 小山力也

 「ミステリ懐旧三面鏡」は、“古本屋と読者を結ぶ趣味と実益の雑誌”『日本古書通信』の2021年10月号から2025年12月号(終刊号)まで、盛林堂書房/小野純一、作家&ホームズ研究家/北原尚彦、古本屋ツアー・イン・ジャパン/小山力也の三人によって順繰りに連載された、ミステリと古本にまつわるリレーエッセイである。本来なら連載は、雑誌が続く限り永遠に継続して行くはずだったが、残念ながら雑誌自体が終刊となってしまい、連載も全五十一回で幕切れとなった。だが連載が終わるとともに我々三人は暗躍を始め、『日本古書通信』編集長/樽見博氏が私家版限定五部として制作していた『ミステリ懐旧三面鏡1~36』を既知の編集者に手渡し、単行本化を切望したのである。我々の熱気に圧されたのか、すぐに編集部で検討され、あっさりとOKが出ることとなった。それから一年、様々な煩雑な作業を乗り越え、三人が喧嘩することもなく、無事に単行本発売に漕ぎ着けることに成功した。
 
 一般的に“古本”と“ミステリ”が“=(イコール)”でないことは周知の事実だが、この三人にとってそれは事実ではない。“古本=ミステリ”、“ミステリ=古本”と言っても決して過言ではないほど、二つは綿密に強く結束し、人生の節目節目に多大なる影響を与えているのである。“ミステリを読む”、“ミステリについて考える”、“ミステリを買う”、“ミステリを探す”、“ミステリについて話す”、“ミステリを売る”……この“ミステリ”はすべて“古本”に変換することが可能なほどに。そんな切っても切れないミステリと古本について、三者三様の形式で様々なマニアックな思い出が語られて行く。
 
 小野は古本屋と出版者の立場から、角川文庫の横溝正史・『醗酵人間』・創元推理文庫・渡辺温・『骨なし村』・平凡社の乱歩全集・大阪圭吉などを、資料的&商売的に根掘り葉掘り語りまくる。北原は作家とコレクターとして、昔からつけ続けている古本購買記録を基礎データに、中学生~高校生~大学生~社会人&兼業作家~専業作家と出世魚のように成長して行く過程で出会った、ジュヴナイルSF・『ドイル全集』・『春浪快著集』・サンリオSF文庫・小島剛夕の『名探偵ホームズ』・『淫獣の妖宴』などの稀書珍書を安値で掘り出すエピソードが連続。
 
かく言う私は、心の中に個人的なミステリの影を追い求め、記憶の奥底から埃を払って引っ張り出し、『死靈』・鴨居玲・『くものすおやぶんとりものちょう』・『青銅の魔人』・『ファントマ』・『虚無への供物』・ウルトラブロマイドなど、縦横無尽に執筆させていただいた。結果、通常のミステリ・エッセイ本にはない、自由でアナーキーな雰囲気が醸し出される結果となった。
 
 そんな風変わりな本の装幀は、SF本デザインの第一人者・岩郷重力氏に依頼し、ベクトルが様々な方向を向いている本文を、見事にクールにパッキングしていただくことに成功した。また解説は、本文が三面鏡なのだから、解説も三面鏡であるべきだ!と、それぞれに所縁ある、ミステリ評論家&アンソロジスト/日下三蔵氏、本棚探偵/喜国雅彦氏、文芸評論家/杉江松恋氏に、贅沢にお願いした次第である。
 
 なのでこのメルマガも本来なら三人で執筆し、「メルマガ三面鏡」とすべきなのだが、冷静に考えれば明白に労力の無駄遣いと言えるので、私独りの執筆となってしまった。どうかご容赦願いたい。
 
 
小山力也
2008年5月からスタートした、日本全国の古本屋&古本が売っている場所の、全調査踏破を目指す無謀なブログ『古本屋ツアー・イン・ジャパン』管理人。西荻窪「盛林堂書房」の『フォニャルフ』棚と大阪「梅田蔦屋書店」で古本を販売中。「本の雑誌」にて『毎日でも通いたい古本屋さん』連載中。最新刊は「古本屋ツアー・イン・日下三蔵邸」(本の雑誌社)http://furuhonya-tour.seesaa.net/
 
 

 
書名:『ミステリ懐旧三面鏡』
著者:小野純一・小山力也・北原尚彦
発行所:株式会社本の雑誌社
判型/ページ数:四六判並製/244ページ
価格:1,980
ISBN:978-4-86011-624-8
Cコード:C0095
 
好評発売中!
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