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『戦前期外地活動図書館職員人名辞書』のこと

『戦前期外地活動図書館職員人名辞書』のこと

岡村敬二


 今年の7月に、標題の人名辞書を刊行することができた。満洲の図書館を中心に調べ始め始めてから30年、戦前期外地の図書館職員や資料室職員の人名辞書を作成しようと作業を始めてからは16年ほど経過している。校正の間にざっと数えてみると、採録した人名は、総数で2700名ほど、なかでは満洲・満洲国関係が約1200名と一番多く、あとは朝鮮720名、台湾480名ほど、北京上海の中国大陸、樺太、南方と続く。

この辞書の特色をあげてみると次のとおりである。
1.外地の図書館や資料室に勤務した職員について、「館長」から「製本手」「小使」まで、判明した人物全員を採録したこと
2.大学の附属図書館長を含め、図書館や資料室に実際に身を置いた人物を採録したこと
3.判明した事績については、分量を規定せず字数を気にしないで記述したこと
4.煩瑣になることをおそれず本文中に出典や記事の年月を記したこと
5.取次の口座を持った版元からの出版であるが、自費によったこと
などである。このうち1の「判明した人物全員を採録した」したというのが、なんといってもこの辞書の一番の特色であると思う。

本書の「はじめに」でも書いたように、図書館の運営は館長一人の力ではなく職員全員の総力によるものであること、さまざまな職種の職員が研究会に属しまた発表などもおこなっていること、職種はその後の昇進などで変更があること、といった理由によっているが、最大の理由は、「採録される人物」「採録されない人物」という格差を回避したいと考えたことである。もちろん人名事典にかぎらず、事典の採録項目は編集責任者の編集会議で決定され、制御される。そうしないと取りとめがなくなってしまうからだ。

だがわたしはこの辞書においてはあえて、「選ばれる」「選ばれない」という判断をしないでおこうと考えたのである。この辞書が対象にしている外地の図書館員など、もともと資料が少ないことから、どうしても資料がみつかる人物、実績が明らかな人物、そして書き手の関心ある人物になりがちである。今回自分が編集する辞書については、こうした差をなくして、すべて、名前を見つけた人物はともかく全員を採録するのだ、と心に定めて編輯し始めたのであった。

そのことは、3の「分量の多少を気にせず記述する」ということとも繋がる。またそれを可能にしたのは、5の「自費による出版」という形態をとったことである。つまり、編纂者が好きに編集し、出版することができたということになる。
このことについてはご批判もあろう。だがわたしはそれが良かった、と今でも思っている。



jinmei
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