『古本乙女の日々是口実』についてカラサキ・アユミ |
学生時代から今日まで、私のスマホのホーム画面には『日本の古本屋』のサイトが長らく鎮座している。遠出や旅行に行くとなったらまず真っ先に開くのはこのサイトの“古本まつりに行こう”のコーナーだ。即売会の情報含め古本の情報を我が身に惜しみなく注入させてくれるこのサイトにどれだけ助けられてきたことだろう。そんな古本者の心優しき隣人である『日本の古本屋』に自分の書いた記事が、おまけに著書が掲載されるなんて、ごくごく平凡な古本好きな一般人であった自分には全く予想だにしない出来事だった。 さて、自著について語るというテーマなのだからどっぷり本についてのセールスポイントや熱い思いをここに述べねばならない。 この度刊行した『古本乙女の日々是口実』は古本が大好きな乙女(もう乙女と言う年でもないが…)が大好物の古本を手に入れる為に時に四苦八苦しつつ、時に歓喜や感動に包まれるという実体験の出来事を四コマ漫画と文章で紹介している本である。 ペンと紙を使った拙い画力と走り書きの文字によるアナログ手法の漫画にも関わらず、古本とのやり取りのなかで生じた私の喜怒哀楽の感情を混じりけ無しに感じ取ってくれた方々の存在があったからこそ、この一冊が生まれたといっても過言ではない もともとは、完全なる自己満足感覚のもとSNSに投稿していた絵日記的な古本四コマ漫画、思いもかけず多くの古本好きの方々から反応や感想をいただいたのであった。 これだけ己の熱量や沢山の方々への感謝の思いが詰め込まれた本にも関わらず、悔しいかな、自分には人様をハッとさせるような文才を持ち合わせていない。素直さだけが唯一の売り、ゆえにこの自著の紹介も「あぁ古本って最高!ん?貴方もそう感じる?ならばこの本、是非読んでいただきたい!」という超ド直球の言葉しか浮かばないのだ。 自分の狂おしいまでの古本愛と書物蔵氏が奏でる知識とユーモア溢れる解説が合わさった唯一無二の味を楽しめる古本オードブル、この『古本乙女の日々是口実』が沢山の古本者の皆々様にご賞味いただけたら…想像するだけでワクワクと嬉しさの鼓動が止まらない! そして、この度の著書では書ききれなかった過去の体験談もいつか機会があればまとめたいなぁ!と次なる欲の蕾が芽吹き始めている現在でもある。J・Jおじさん(植草甚一氏)気取りで楽しんだニューヨークでの古本行脚珍道中記、日本国内古本ボンボヤージュ記、プロの古書店さんと参加した古書即売会イベント奇譚、初めて出店した一箱古本市冒険記、古本屋さんのお手伝い奮闘記、古本屋さんとの交流備忘録etc…といった具合に、描きたい物事が尽きない我が古本道なのである。
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