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『古写真・絵葉書で旅する東アジア150年』について

『古写真・絵葉書で旅する東アジア150年』について

村松弘一

「古写真・絵葉書を片手に東アジア150年の歴史旅に行こう!」
そんなコンセプトから作られたのがこの本です。素材は3200枚の学習院大学所蔵品から厳選された300枚の古写真・絵葉書。それらをどう見せるか。貴志俊彦さん(京都大学、本書共編者)やポール・バークレーさん(米国ラファイエット・カレッジ)など国内外の非文字資料研究の専門家と議論しながら研究をすすめました。それと並行して私たちはアジア各地へと飛び、古写真・絵葉書と同じアングルから今の街の風景を撮影しました。

どこも都市化は激しく、時には隣の家の塀の上から、時には観覧車の上から、時にはゴミ捨て場からシャッターを押しました。北京の天安門、上海の南京路、ソウルの京城駅舎、西安の大雁塔、台南の赤崁楼、大連の中央郵便局など、過去と現在ふたつの写真を並べると、変わらない風景、変わった風景がみえてきます。それは東アジアのそれぞれの都市に生きた人々の150年の「歴史」を物語っていると言えるでしょう。

本書では「中国東北部(旧満洲)」「華北」「華南」「台湾」「朝鮮半島」の5部構成で25都市を取り上げました。大連・瀋陽・ハルピン・北京・青島・上海・香港・台北・ソウル・釜山などの主要都市から西安・杭州・台南・大邱などの地方都市、また、北朝鮮の平壌など、読み進めるうちに読者のみなさんが東アジア史全体を俯瞰できるように工夫しました。

また、高松宮下賜絵葉書や旧制学習院の学生たちの京城(ソウル)訪問日誌、奉天滞在記などほかの書籍では見ることのできない学習院大学所蔵の門外不出の資料もふんだんに使用しています。理解の助けになるようにコラムも充実させました。「旅を語る言葉」では谷崎潤一郎の杭州、村松梢風の上海、林芙美子のハルピンなど作家や文化人の生の都市のイメージをとりあげ、「旅の道標」ではハルピン・台湾などの絵葉書に関する基礎知識や旅に欠かせない船と航路、時差など当時の旅行の一コマをまとめ、巻末にはもっと学びたい人のために「読者のためのブックガイド」をつけました。各都市の地図も旅には欠かせません。

また、「あの作品の舞台」では、若い読者のみなさんにも興味をもってもらえるように、ハルピンでは漫画『フイチン再見!』(作:村上ともか)、北京では漫画『燕京伶人抄』(作:皇なつき)、上海ではアニメ『ジョーカー・ゲーム』(原作:柳広司)など、アジアの都市を舞台とした映画・アニメ・漫画をとりあげました。古写真・絵葉書を見てノスタルジーを感じる世代からアジアの歴史にあまり興味を持っていなかった世代まで幅広い方々に本書をお読みいただきたいと考えました。

そして、本書を読み終えたみなさんには、是非、本書を携えて東アジアの歴史旅に出ていただきたい。さらに、ご自宅の古いアルバムにある台北や上海、大連、ハルピンの絵葉書や古写真を探し出して持参するのもよいし、「日本の古本屋」サイトで「絵葉書」「写真」を検索して、古本屋さんで購入してみるのもよいでしょう。それらの古写真・絵葉書を片手に同じアングルから今の街の風景を撮る。ありきたりの旅では満足しない、あなたにしかできない、アジアの歴史旅ができるにちがいありません。



ajia
『古写真・絵葉書で旅する東アジア150年』
村松弘一・貴志俊彦 編  勉誠出版 好評発売中!
定価 4,104円 (本体3,800円)
http://bensei.jp/index.php?main_page=product_book_info&products_id=100865

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