ブログ「書物蔵―古本オモシロガリズム」の記事「蒐書家(ブックコレクター)人名事典の提唱及び作り方について」(https://shomotsugura.hatenablog.com/entry/20140428/p3)に触発され、実際に人名事典の執筆を進めている過程の副産物、それが本書(全174頁)である。一言でいうと、昭和前期の各種蒐書家名簿を統合したリストで、この夏お会いした同好の士に勧められたことから、急ぎ同人誌として出版することにした。人名事典の前段階であるため情報量は少ないが、これだけの人数の戦前の愛書家、古本者を一望できる資料は初めてだろうと思う。
今回統合できた名簿は下記の6種である。
「全国蒐書家名簿 第1回(昭和8年12月10日現在)」『図書案内(1)』古典社(1934年) ※蒐集領域あり・44人
『千里相識』集古会(1935年) ※蒐集領域あり・252人
古典社編輯部編『特選蒐書家名簿』古典社(1935年) ※蒐集領域なし・1000人
『日本蒐書家名簿』日本古書通信社(1938年) ※蒐集領域あり・3030人
雑誌愛好会編『愛書家名簿(昭和16年度)』雑誌愛好会(1941年) ※蒐集領域なし(一部あり)・493人
『蒐集家名簿』蒐集時代社(1942年) ※蒐集領域あり・124人
これらをExcelに入力して延べ約5000人、重複は慎重に数えると600人前後だったので、収録者数はおよそ4400人(副題の4500人より100人減)。重複をいとわず掲載したのは「誰がどの名簿に掲載されているか」を示すためである。結果、リスト本体は全111頁となった。
リストの排列は普通に人名の五十音順とした。全員にヨミを振る過程で人物同定ができ、ヨミの典拠がある人物には印をつけた。この印は、その人物に名簿以外の文献資料があることを示し、これが今回最大のウリである(ただし紙幅上、その書誌は示さず)。索引の代わりに附録として、ある県にどのような蒐書家がいたのかが一目でわかるよう「居住地別人物一覧」を付けた(全20頁)。
リストの項目は「名前(ヨミ)」「居住県」「住所」「典拠」「蒐集分野」の5項目からなる。今後、各人につき生没年月日や略歴などを調査して人名事典へと発展させる予定だが、その完成形の一端として、かつて石川県居住者を調査した旧稿「蒐書家人名事典(仮)・石川県編」(『二級河川』13号、2015)を再録した(全13頁)。
また、監修者である書物蔵さんにお願いして「昭和前期蒐書家リストの構成と活用法、そしてこれから」と題された解説を付けた(全10頁)。単に人名から検索するだけではない、使い方についての示唆があるはずである。
・入手法
本書の購入方法ですが、縁のある古書店・金沢文圃閣さんに委託しております(頒価1650円+送料)。
来年1月15日までは、同社ホームページの「お問合せ/カタログ請求」から申し込んで下さい。
1月15日以降は、サイト「日本の古本屋」を通して購入が可能になります。「古書を探す」の検索窓に本書名を入れて検索すると「新本です」として出てくるはずです。
11月の文学フリマ東京で先行発売したところ完売しましたので、重版をかけました。多少余計に刷ったつもりですが、ご興味の向きはお早めにどうぞ。
今回は5部、「日本の古本屋」サイトに申し込んでいただければ抽選で当選した方に無料進呈いたします。
なお、本書は取り扱っていませんが、私が近現代出版史に関する原稿を寄せている同人雑誌『二級河川』は https://kinyuukai.booth.pm/ から購入可能です。
金沢文圃閣
https://kanazawa-bumpo-kaku.jimdo.com/

『昭和前期蒐書家リスト―趣味人・在野研究者・学者4500人』
トム・リバーフィールド編 書物蔵 監修・解説
https://shomotsugura.hatenablog.com/entry/2019/11/13/075500
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