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『スイス観光業の近現代―大衆化をめぐる葛藤』 【大学出版へのいざない4】

『スイス観光業の近現代―大衆化をめぐる葛藤』 【大学出版へのいざない4】

森本慶太(関西大学文学部准教授)

 スイスという国に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。こう尋ねると、登山電車、牛、チーズ、マッターホルン、それに「ハイジ」など、アルプスの山々に関わる要素を挙げる人が少なくありません。そこはスイスに行けば訪れるべき場所であり、しばしば観光と結びつけて語られます。世界経済フォーラムの「旅行・観光競争力ランキング」でもしばしば上位にランクインしているように、たしかにスイスは「観光大国」の顔をもっています。

 しかし、「観光大国」の知名度からは意外なことですが、19世紀に花開くスイス観光の歴史を扱った研究は国内外ともに少ないのが現状です。そもそも国内のスイス史研究では、高校世界史でも言及される宗教改革など、中近世史研究でこそ一定の蓄積がありますが、19世紀以降の近現代史研究は依然としてわずかです。さらに、一般的なイメージとは異なり、スイス経済史で存在感が大きかったのは工業であり、観光業の位置づけが相対的に低かったことから、スイス本国ですら観光の歴史は主たる研究対象とはみなされてきませんでした。

 天邪鬼かつ競争嫌いの私には、「スイス」と「観光」という歴史研究で未開拓の領域が魅力的に映りました。しかし、未開拓ということは、入口となる先行研究を収集する段階から手がかりが乏しく、助け合える仲間もいないということです。スイスに留学した時は、観光地めぐりもほどほどに(!)、図書館や文書館にこもってひたすら研究の糸口を探し求める日々が続きました。テーマの選択を後悔したことも一度や二度ではありません。

 今回上梓した本書は、このように暗中模索しつつ進めてきた研究をまとめたものです。現在ではおなじみの、アルプス観光を中心とするスイス観光業の姿が確立するのは、19世紀後半から20世紀初頭にかけてのことです。この時代に鉄道や宿泊施設をはじめとするインフラが充実し、保養やレジャーでスイスを訪れる外国人観光客は急速に増加しました。本書のタイトルを一見して、こうした観光地発展の秘密を解明する本かと期待されるかもしれません。しかし、本書のテーマはアルプスや登山鉄道ではありません。それは、黄金期が終わり、第一次世界大戦から第二次世界大戦にかけての激動の時代に、客数減少という危機に立ち向かった業界人による取り組みです。この主題の選択にも、私の天邪鬼ぶりが発揮されているといえるでしょう。

 もちろん、単なる天邪鬼でこうしたテーマを選んだわけではありません。危機のなかにこそ、次の時代につながる新しい要素が顔を出すと思ったからです。第一次世界大戦後のスイスでは、国家間の競争の激化や社会状況の変化にともない、戦前のように外国人富裕層の旅行様式を前提とする高水準の観光の維持が限界に達していました。そのことに気づいた観光業界は業界団体を組織化し、新たな方向性を模索していきました。本書でとくに注目したのは、副題にもある大衆化への対応です。研究の過程で、1930年代から40年代前半にかけての観光業界には、観光の大衆化と客層の差別化をめぐるせめぎあいの渦中にあったことがみえてきました。そこからは、「安価なスイス」と銘打って、大衆化を全面的に打ち出した旅行団体や、同時代のナショナリズムの高まりも反映して、スイス国民に向けて国内旅行の普及を促進する旅行資金補助事業が出現しました。

 本書では以上の事例研究を踏まえ、第二次世界大戦後に本格化するマス・ツーリズムとの連続性を意識しつつ、20世紀前半のスイス観光業の模索のなかに、近代から現代へと向かう観光の過渡的状況がみえてくるという展望を示しました。「アフター・コロナ」の観光像が模索されている現在、スイス観光業の近現代史が何らかのヒントを与えることができれば幸いです。

 
 
 
 
 


書名:『スイス観光業の近現代―大衆化をめぐる葛藤』
著者名:森本 慶太
出版社名:関西大学出版部
判型/製本形式/ページ数:A5判/上製/184頁
税込価格:3,080円
ISBNコード:978-4-87354-758-9
Cコード:C3022
https://www.kansai-u.ac.jp/Syppan/2023/01/7cb12b6ae84d1894f8bcc17b08f50f13da97ad9d.html

Copyright (c) 2023 東京都古書籍商業協同組合

2023年3月10日号 第366号

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 古書市&古本まつり 第122号
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メールマガジンは、毎月2回(10日号と25日号)配信しています。

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━━━━━━【古本屋でつなぐ東北(みちのく)5】━━━━━━

銀糸に悩む日々――地元資料を伝える店を目指して

             (山形県・古書紅花書房遊学館前店)苅谷 博

 今日もクモの巣とたたかっています。

 彼女たちの精勤さには目を見張るものがあり、窓辺や天井の隅は元より
平積みされた本の隙間や本棚の中の僅かな隙間にまで巧みに糸を掛ける様
はいつも関心させられます。そこにどんな獲物がいるのか興味が沸かない
訳ではないのですが、いかんせん物販を生業とする身としては生態観察よ
りも商品の見た目の良さを優先せねばならず、開店前には一通り掃除機を
かけハタキをかけして店の体裁を整えようと努めます。しかしいつの間に
やらまた新たな銀糸が掛かっているのです。

(「日本古書通信」2022年12月号より転載)

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=11232

━━━━━━━━━【シリーズ書庫拝見11】━━━━━━━━━

遅筆堂文庫 後編 この場所を「地球の中心」として

                         南陀楼綾繁

 いよいよ、遅筆堂文庫の閉架書庫に入る。案内人は文庫の職員である
遠藤敦子さんと井上恒さんだ。

 遠藤さんは川西町の隣にある南陽市生まれ。地元出身ということで、
井上ひさしを愛読し、1978年に山形市に来た作家の講演も聴いている。
「図書館は市民に開かれたものであるべきだと話されていました」と振
り返る。また、「山形こまつ座」のメンバーとしてチケットの販売を手
伝ったりした。
「農改センターにあった頃の遅筆堂文庫でアルバイトしていたこともあ
ります」

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=11245

南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ)

1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一
文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、
図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年
から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」
の代表。「一箱本送り隊」呼びかけ人として、「石巻まちの本棚」
の運営にも携わる。著書に『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、
『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』
(ちくま文庫)、『古本マニア採集帖』(皓星社)、
編著『中央線小説傑作選』(中公文庫)などがある。

ツイッター
https://twitter.com/kawasusu

川西町フレンドリープラザ・遅筆堂文庫
https://www.kawanishi-fplaza.com/book/guide_book/chihitsudo.html

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「コショなひと」始めました

東京古書組合広報部では「コショなひと」というタイトルで動画
配信をスタート。
古書はもちろん面白いものがいっぱいですが、それを探し出して
売っている古書店主の面々も面白い!
こんなご時世だからお店で直接話が出来ない。だから動画で古書
店主たちの声を届けられればとの思いで始めました。
お店を閉めてやりきったという店主、売り上げに一喜一憂しない
店主、古本屋が使っている道具等々、普段店主同士でも話さない
ことも・・・
古書店の最強のコンテンツは古書店主だった!
是非、肩の力を入れ、覚悟の上ご覧ください(笑)

※今月の新コンテンツはありません。

YouTubeチャンネル「東京古書組合」
https://www.youtube.com/@Nihon-no-Furuhon-ya

━━━━━【3月10日~4月15日までの全国即売展情報】━━━━━

⇒ https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

※現在、新型コロナウイルスの影響により、各地で予定されている
即売展も、中止になる可能性がございます。ご確認ください。
お客様のご理解、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。

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フィールズ南柏 古本市(千葉県)

期間:2023/03/04~2023/03/16
場所:フィールズ南柏 モール2 2階催事場  柏市南柏中央6-7

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西部古書展書心会

期間:2023/03/10~2023/03/12
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

https://www.kosho.ne.jp/?p=563

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オールデイズクラブ古書即売会(愛知県)

期間:2023/03/10~2023/03/12
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田5-1-12

https://hon-ya.net/

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紙魚之會

期間:2023/03/10~2023/03/11
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

https://www.kosho.ne.jp/?p=604

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反町古書会館展(神奈川県)

期間:2023/03/11~2023/03/12
場所:神奈川古書会館1階 横浜市神奈川区反町2-16-10

http://kosho.saloon.jp/spot_sale/index.htm

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光が丘 春の古本市

期間:2023/03/15~2023/05/14
場所:リブロ光が丘店 東京都練馬区光が丘5-1-1 リヴィン光が丘5階
   都営大江戸線光が丘駅A4出口より徒歩3分

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趣味の古書展

期間:2023/03/17~2023/03/18
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

https://www.kosho.tokyo

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新橋古本まつり

期間:2023/03/20~2023/03/25
場所:新橋駅前SL広場

https://twitter.com/slbookfair

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第102回シンフォニー古本まつり(岡山県)

期間:2023/03/22~2023/03/27
場所:岡山シンフォニービル1F  自由空間ガレリア

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浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2023/03/23~2023/03/26
場所:さくら草通り(JR浦和駅西口 徒歩5分 マツモトキヨシ前)

https://twitter.com/urawajuku

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フジサワ古書フェア(神奈川県)

期間:2023/03/23~2023/04/19
場所:有隣堂藤沢店4階ミニ催事場 JR藤沢駅南口フジサワ名店ビル4階

http://kosho.saloon.jp/spot_sale/index.htm

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第10回 小倉駅ナカ本の市(福岡県)

期間:2023/03/23~2023/04/02
場所:小倉駅ビル内・JAM広場 (JR小倉駅 3階 改札前)

https://twitter.com/zCnICZeIhI67GSi

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五反田遊古会

期間:2023/03/24~2023/03/25
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4
   JR山手線、東急池上線、都営浅草線五反田駅より徒歩5分

https://www.kosho.ne.jp/?p=567

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神保町さくらみちフェスティバル 春の古本まつり

期間:2023/03/24~2023/03/26
場所:神田神保町古書店街(靖国通り沿い)

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第3回 みんなでつくる古本まつり(大阪府)

期間:2023/03/24~2023/03/26
場所:大阪 南千里駅前まるたす広場 大阪府吹田市津雲台1丁目1

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和洋会古書展

期間:2023/03/24~2023/03/25
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

https://www.kosho.ne.jp/?p=562

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中央線古書展

期間:2023/03/25~2023/03/26
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

https://www.kosho.ne.jp/?p=574

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青札古本市

期間:2023/03/30~2023/04/02
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

https://www.kosho.ne.jp/?p=618

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西武本川越PePeのペペ古本まつり(埼玉県)

期間:2023/03/30~2023/04/11
場所:西武鉄道新宿線 本川越駅前ペペ広場

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下町書友会

期間:2023/03/31~2023/04/01
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

https://www.kosho.ne.jp/?p=572

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書窓展(マド展)

期間:2023/04/07~2023/04/08
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

https://www.kosho.ne.jp/?p=571

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大均一祭

期間:2023/04/08~2023/04/10
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

https://www.kosho.ne.jp/?p=622

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横浜めっけもん古書展(神奈川県)

期間:2023/04/08~2023/04/09
場所:神奈川古書会館1階 横浜市神奈川区反町2-16-10

http://kosho.saloon.jp/spot_sale/index.htm

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日本の古本屋メールマガジンその366 2023.3.10

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 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  https://www.kosho.or.jp/

【発行者】
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遅筆堂文庫 後編 この場所を「地球の中心」として【書庫拝見11】

遅筆堂文庫 後編 この場所を「地球の中心」として【書庫拝見11】

南陀楼綾繁

 いよいよ、遅筆堂文庫の閉架書庫に入る。案内人は文庫の職員である遠藤敦子さんと井上恒さんだ。

 遠藤さんは川西町の隣にある南陽市生まれ。地元出身ということで、井上ひさしを愛読し、1978年に山形市に来た作家の講演も聴いている。「図書館は市民に開かれたものであるべきだと話されていました」と振り返る。また、「山形こまつ座」のメンバーとしてチケットの販売を手伝ったりした。
「農改センターにあった頃の遅筆堂文庫でアルバイトしていたこともあります」

 その後、県内にある個人記念館で学芸員として働いていたが、2007年、川西町フレンドリープラザに指定管理制度が導入され、NPO法人遅筆堂文庫プロジェクト(現・かわにし文化広場)が管理者となったのを機に、職員となった。
「この年の生活者大学校の打ち上げで、井上先生が編集者の方に私を紹介してくださったことに感激しました。先生はナスの漬物が大好物で、私の母が漬けたナスを出すと喜ばれて、舞台に上がる直前まで食べておられました(笑)」

 以来、遅筆堂文庫と町立図書館で司書・学芸員として働きながら、井上の蔵書についてこつこつ調べてきた。いまでは遅筆堂文庫の生き字引として、さまざまな問い合わせに対応している。私もこれまで何度も教えてもらった。

 そこに援軍として加わったのが、その名も井上恒【ひさし】さんだ。作家と紛らわしいので、恒さんと呼ぼう。

 岩手県盛岡市に生まれた恒さんは、小学生の頃に『ブンとフン』を読み、「この人はなんてバカバカしいことを考えるんだろう」と面白がった。同姓同名であることから愛読するようになり、仙台の予備校に通っていた頃に、井上ひさしの講演を聞いたこともある。
「その頃、井上先生に『弟子入りさせてほしい。娘さんのひとりと結婚したい』という手紙を書いたけど、投函できませんでした。あまりにも強い個性に引き込まれてしまうのが怖くて、書かれたものだけと付き合っていくことにしました」と回想する。

 井上ひさしが亡くなったあと、未完に終わった作品が多いことに気づき、作品リストをつくりはじめる。そのリストを井上ひさしを研究する今村忠純さんに見せると、遅筆堂文庫を紹介されたという。
「最初にここに来たのは2012年です。井上先生が集めた雑誌もあり、汲めども尽きない場所だと感じて年に何度か通いました」

 2019年に「井上ひさし研究会」が設立されると、恒さんも幹事になる。遠藤さんはこの際、恒さんに遅筆堂に腰を据えて研究してほしいと思い、町に相談する。その結果、2021年から3年間、地域おこし協力隊の隊員として遅筆堂文庫で働くことになったのだ。恒さんは愛犬のソーニャとともに札幌から単身赴任してきた。

 図書館の仕事をしながら、井上ひさし文献の調査を行う。昨年3月には『井上ひさし著作目録 基本編』を刊行。全刊行書籍を50音順に配列。目次や装丁者・解説者などのデータも詳しく入っており、使いやすい。
「任期中に全エッセイの目録と、対談・講演などの目録を刊行しようと準備しています」と話す恒さんは、水を得た魚のように遅筆堂文庫のなかを自在に泳いでいる。

主に導かれ、書庫の中へ

 頼もしい二人の先導で、閉架書庫に入る。

 集密書架の側面に書かれている分類記号は、前回紹介した「研究室」のものと同じく、井上ひさし独自のものだ。

遅筆堂文庫の閉架書庫

 ただ、一般の閲覧者が手に取ってみられる研究室と異なり、書庫にはより貴重な資料を収めている。分類のうち、A=言語、B=江戸、C=地図、E=文学賞選考本は、研究室にはなくこの書庫だけにある。
「言語、江戸、地図は井上さんの仕事の基本とも云えるもので、特に貴重な本が多いので書庫にだけあります」と、遠藤さんは説明する。F=貴書が書庫にしかないのは当然だろう。

言語に関する本が並ぶ棚

 井上はことばについて、小説やエッセイで多様なアプローチを試みている。なかでもNHKでドラマ化され、のちに演劇にもなった『國語元年』は、近代の日本語の成立の過程を探る作品。私も高校生の頃にドラマを観て、「全国共通の日本語ってこうやってできたんだ」と驚いた。
「ここにある山本正秀『近代文体発生の史的研究』(岩波書店)には、同作のモデルとなった西村茂樹についての記述を細かくチェックしています」と、遠藤さんは云う。

 また、『広辞苑』の各版もある。第3版の扉には「『新村出』がない。『ベクレル』なし。これはマヅイ!」の書き込みがある。

『広辞苑』の書き込み

「新村出は『広辞苑』の編者です。ベクレルは放射能の単位です。この3版が出たのは1985年で、翌年にチェルノブイリ原発での事故が起きます。先を見通していることにゾクッとしました」と遠藤さん。

 江戸の棚には、忠臣蔵に関する約300冊がある。小説『不忠臣蔵』や戯曲『イヌの仇討』で活用された。

 井上は神保町の〈小宮山書店〉から、あるコレクターが集めた忠臣蔵に関する一括資料135冊を購入。それを一冊ずつ丁寧にめくってみると、福本日南『元禄快挙録』のページの間から、新聞の「愛読者くじ」が見つかった。他にも見つかったものを元に、コレクター氏がどんな人物だったかを想像して楽しんでいる(「頁間を読む」、『井上ひさしコレクション ことばの巻』岩波書店)。

 このようにページの間に挟まっているものや本への書き込みを、「痕跡本」として楽しむ変わり者が最近出てきたが、井上はもっと前からそれを実践していたのだ。

 もちろん、紙へのフェティシズムということだけでなく、資料と格闘した作家らしく、この文章には本を集めた先人への敬意も込められている。

書き込みに作家の精神を見る

 地図に関する資料も、集め方が半端ではない。小説『四千万歩の男』を書く際には、伊能忠敬の自筆の測量術の教科書『測遠要術』を200万円で入手したという。

伊能忠敬自筆『測遠要術』

 のちに井上が蔵書を手放すという話を聞きつけて、千葉県が『測遠要術』を含む伊能忠敬関係の資料を譲ってほしいと云ってきた。
「『ほかの本はどうするんですか』と聞いたら、『忠敬の資料以外はまた古本屋に引き取ってもらいます』と言うんです。(略)腹を立てました、このときは。『うちには雑本も多い。だけどこれはみんなわけがあって集めたもので、貴重なものなんです』と怒鳴りました」(『本の運命』文藝春秋)

 このとき千葉県が井上の蔵書をそっくり受け入れていたら、いまの遅筆堂文庫は存在していない。その意味でも、伊能関係の資料は重要なのだ。

 もっとも、右では「200万で入手した」とある『測遠要術』だが、購入した時のたすき状の値札には「九拾万」とある。すべての痕跡を保存するという遅筆堂文庫の原則によって、作家自身の勘違いが判明したわけだ。

 また、R=著作資料にも、ある本を書くために集めた資料をまとめて配架している。たとえば、「樋口一葉」は演劇『頭痛肩こり樋口一葉』などのために集められたもの。
「狸」は小説『腹鼓記』のための資料約80冊。井上は神保町の古本屋に「狸」と「狐」のタイトルが付いた本を集めるように依頼した。「こうして神田から、狸と狐の本が全部消えてしまった(笑)」(『本の運命』)。のちにスタジオジブリがアニメ映画『平成狸合戦ぽんぽこ』をつくる際、高畑勲監督と鈴木敏夫プロデューサーが遅筆堂に見学に来たという(『ここが地球の中心 井上ひさしと遅筆堂文庫』山形県川西町)。

 棚を眺めているだけでも、興味深い本が次々見つかるし、遠藤さんと恒さんが交互にいろいろ見せてくるので、なかなか先に進まない。嬉しいけど困った。

 書庫見学の最後に、お二人に「お気に入りの資料は?」と聞いてみる。

 遠藤さんが持ってきたのは、『和田芳恵全集』第4巻(河出書房新社)だ。この巻には和田が打ち込んだ樋口一葉の研究がまとまっている。
「『小説が金になるのを、母も妹も待つてゐただらうし、』という部分に赤線が引かれ、『こう簡単に「待たれ」ても困る』と書き込んであります。ここに同じ作家として井上先生が一葉に寄せた思いが見える気がします」

『和田芳恵全集』の書き込み

 一方、恒さんが選んだのは、『チェーホフ全集』全18巻(中央公論社)。井上はこの作家を愛読し、晩年にチェーホフを描いた戯曲『ロマンス』を書いた。全集の各巻の背表紙に手書きで内容を書き込み、使いやすくしている。

『チェーホフ全集』の背表紙

「本文にも傍線や書き込みが多いです。特に『三人姉妹』には膨大な書き込みがあり、それを拾っていけば井上先生の『三人姉妹論』ができるほどです。作家の本質である『笑い』の原点にも関わる蔵書だと思います」

 恒さんはいま、この全集の書き込みの分析を行なっているそうだ。

 なお、フレンドリープラザにはこの閉架書庫とは別の場所に、井上ひさし家から寄託されたノートや手紙類、スクラップブックなどが収蔵されているが、いまのところ公開されていない。整理が進み、順次公開されることを望みたい。

分室の貴重な雑誌群

 井上ひさしの蔵書があるのは、フレンドリープラザだけではない。 

 2008年、山形市の洋菓子店〈シベール〉の本社敷地内に「遅筆堂文庫山形館」が開館した。劇場を含む複合施設「シベールアリーナ」を建てるというシベールの社長の構想に、井上が賛同するかたちで実現した。蔵書は川西町の遅筆堂文庫から約2万冊を貸し出すかたちをとった。

 それを運営する財団の事務局長となったのが、遠藤征広さん。前回述べたように井上ひさしと川西町をつないだ立役者であり、名著『遅筆堂文庫物語』の著者である。私は数年前に、この山形館を訪れて遠藤さんにお会いしている。

 シベールは2019年に経営破綻したが、総合化学メーカーの東ソーが「シベールアリーナ」の命名権を獲得し、2020年に「東ソーアリーナ」と改名。遅筆堂文庫山形館もこれまで通り存続したのは、ひとまず良かった。

 川西町に話を戻す。

 膨大な数のある井上蔵書は、フレンドリープラザだけでは収容できず、別の場所にも置いてある。それが「川西町交流館あいぱる」だ。

川西町交流館あいぱる

 同施設は旧川西町立第二中学校の校舎を活用したもので、同校の校歌は井上ひさしが作詞し、井上と『ひょっこりひょうたん島』などでコンビを組んだ宇野誠一郎が作曲している。

川西町立第二中学校の校歌碑

 その歌碑があいぱるの入り口にあるが、「ひたすら ひとすじ ひたむきに/よく聞き よく読み よく学べ/(略)川西二中に ことばあり」というフレーズが、じつに井上ひさしらしいと感じた。なお、第二中学校は統合されて川西町立川西中学校となったが、この校歌はいまも歌われている。

 作家のゆかりのあるこの施設の2階の4つの部屋に、以前の遅筆堂文庫があった農改センターから蔵書を運び終わったのは、2015年。それ以来、「遅筆堂文庫分室」として閲覧希望者に公開している。

遅筆堂文庫分室の一室

「ここにあるものは雑誌が中心です。井上先生のもとにあった文芸誌から業界誌、時刻表、パンフレット、チラシまで多種多様で、捨てないことへの執念を感じます」と、遠藤さんは云う。私もここには何度か訪れているが、そのたびに物量に圧倒された。

 遅筆堂文庫プロジェクトの阿部孝夫さんが中心になって、コツコツ整理されてきたが、カオスな状態がかなり続いていたらしい。しかし、今回見たところ、雑誌はタイトル別に棚に並べられたり、箱詰めされたりして、全体像が見えてきた。

 多彩な仕事をした作家だけあり、送られてくる雑誌だけでも尋常な量ではない。しかし、井上は自らさまざまな雑誌を入手している。農業、野球、医学、音楽、映画、経済、地域、食べ物、ファッション……。小説やエッセイに利用したものもあったはずだが、それ以上に、目についた雑誌は買い込んでしまう習性があったのだろう。

 図書館に所蔵されている雑誌も多いが、地方で発行されている雑誌やミニコミ、PR誌の類は、入手しようと思っても困難な場合が多い。貴重なものだ。

 また、古書店から届く古書目録も段ボール箱に10箱以上あった。中を見てみれば、井上がどんな本にチェックしたかが判るはずで、関心の向き方を知る手がかりになるだろう。

古書目録を収めた箱

 さらに、鎌倉の井上家にあった蔵書も、井上の没後に定期的に送られてくる。約1万5000冊が並んでいるが、まだまだ増えるらしい。

 そういえば、前に来た時に面白い雑誌を見つけたっけ、と記憶にある場所に行ってみると、見つからない。整理の過程で別の場所に移されたようだ。気になって探し回っているうちに、遠藤さんが見つけてくれた。さすが遅筆堂の主だ。

 その雑誌は『王様手帖』といい、パチンコ屋で配布していた。がんで亡くなったパチプロ田山幸憲の日記が連載されていたことで知っていたが、現物を見るのは初めてだ。表紙の絵はますむらひろし。青山光二や秋山駿の名前があり、中を開くと赤瀬川原平、山田太一、土井たか子らのインタビューが掲載されている。面白い!

『王様手帖』

「でも、井上先生は耳がよすぎて、パチンコ屋にいるとうるさいからやらないと、エッセイで書いていますけどね」と、恒さんが首をひねる。縁のない場所の雑誌でも、どこからか入手しているところがスゴいのだ。

文庫が作家研究を発展させる

 井上ひさしが故郷の町に夢見た「地球の中心」の図書館・遅筆堂文庫。作家が没したあとも、その遺志を継ぐ人たちによって、遅筆堂文庫は存続するだけでなく、日々、成長している。

 毎年の吉里吉里忌には作家を敬愛する人たちが全国から集まり、井上ひさし研究会の事務局もここに置かれている。

 さらに、蔵書を利用することで、井上ひさしの研究が進展している。

 昨年、井上が24歳で書いた戯曲『うま』の原稿があるところで発見された。そのことは、テレビ番組の「開運!なんでも鑑定団」で取り上げられ、ニュースにもなった。

 その原稿の現物は、4月の吉里吉里忌で展示されたが、その際に裏表紙の裏側に井上が執筆年を書き込んでいるのを発見したのが、遠藤さんだった。この戯曲は『うま 馬に乗ってこの世の外へ』として集英社から刊行された。

 同じく昨年、『週刊文春』に連載されたが、単行本化されないままになっていた小説『熱風至る』が幻戯書房から全2巻で刊行された。

 新選組を描いたこの小説のために井上ひさしが集めた資料も、遅筆堂文庫にある。恒さんはこれらの資料を調査し、付箋やメモなどの痕跡をチェックした。その成果を同書の巻末に「参考文献一覧(抄) 井上ひさし旧蔵書より」として発表した。同作を読んで関心を持った人が、遅筆堂文庫で資料を見る際の手がかりになる。

 それもこれも、川西町が井上ひさしの蔵書を全部受け入れ、長年かけて整理してきたおかげだ。1987年の遅筆堂文庫開館から36年が経つが、その間、川西町は方針を変えなかった。選挙のたびに方針が変わる自治体が多いだけに、そのことが稀有に思える。

 フレンドリープラザの人たちも、作家への敬意を持ち続けており、遅筆堂文庫の運営、吉里吉里忌の開催、こまつ座の上演などを行なう。井上関連だけでなく、この施設では演劇、音楽、映画、落語など毎週のようにイベントが開催されており、県内から多くの人が集まる。その点でも「地球の中心」になっているのだ。

 毎年開催される一箱古本市でも、フレンドリープラザのみなさんは出店者やお客さんに対して気持ちよく接してくれる。だから、毎年来たくなるのだ。

昨年の一箱古本市の様子(川西町フレンドリープラザ提供)

 なによりも、自分たちがはじめた一箱古本市というイベントが、子どもの頃から愛読してきた井上ひさしのゆかりの場所で開催されていることが誇らしい。本に関わる活動を続けてきて、本当によかったと思う。

 遅筆堂文庫を守ってきた遠藤さんは、今年3月で定年を迎えたが、新年度以降も週に数日通うことになっている。来年度で地域おこし協力隊の任期を終える恒さんは、「やれることを精一杯やります」と話す。新たに遅筆堂文庫に関わる人が必要になるかもしれない。

 これから先も、遅筆堂文庫という場所が、それを守る人たちによって、ここにあり続けることを願う。この場所はすでに、井上ひさしという個人を超えて、さまざまな人たちが本によってつながる「地球の中心」になっているのだから。

 
 
※本連載中の写真の無断転載・拡散を禁じます。

 
 
 
 
 
南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ)

1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」の代表。「一箱本送り隊」呼びかけ人として、「石巻まちの本棚」の運営にも携わる。著書に『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』(ちくま文庫)、『古本マニア採集帖』(皓星社)、編著『中央線小説傑作選』(中公文庫)などがある。

ツイッター
https://twitter.com/kawasusu

 
川西町フレンドリープラザ・遅筆堂文庫
https://www.kawanishi-fplaza.com/book/guide_book/chihitsudo.html

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銀糸に悩む日々――地元資料を伝える店を目指して 【古本屋でつなぐ東北(みちのく)5】

銀糸に悩む日々――地元資料を伝える店を目指して 【古本屋でつなぐ東北(みちのく)5】

(山形県・古書紅花書房遊学館前店)苅谷 博

 今日もクモの巣とたたかっています。

 彼女たちの精勤さには目を見張るものがあり、窓辺や天井の隅は元より平積みされた本の隙間や本棚の中の僅かな隙間にまで巧みに糸を掛ける様はいつも関心させられます。そこにどんな獲物がいるのか興味が沸かない訳ではないのですが、いかんせん物販を生業とする身としては生態観察よりも商品の見た目の良さを優先せねばならず、開店前には一通り掃除機をかけハタキをかけして店の体裁を整えようと努めます。しかしいつの間にやらまた新たな銀糸が掛かっているのです。

 なぜそんなにクモがいるのかというと、店主のズボラがいちばんの災いではあるのですが、二番目の理由として、窓のすぐ上の外壁に飲食店街の入口を示す看板が設置されていて夜も煌々と酔客と虫たちを誘っている為です。虫を目当てにクモが集まるのは自然の道理。夏の盛りなどはクモの巣にクモの巣がかかるような絶好の狩場なのです。日中は換気のため窓を開けているので、ごく自然に入店してそのまま居付いてしまうのでしょう。薄暗く埃っぽい環境も彼女たちの好みに合うのかもしれません。

 看板が悪いのだ、などという訳ではありません。寧ろ夜も明るい看板は防犯灯代わりに活躍してくれているので感謝すべきところであり、当店の目印ともなっているので大変気に入っています。そもそも毎日欠かさず掃除をし、商品の手入れをし、どこからか差し込む隙間風の対策を講じれば自ずとクモの巣など一掃されるはず。はずなのです。やはり結局は店主のズボラに帰結する問題なのでした。

 客商売の理想としては、清潔・簡素・明瞭と三拍子で小気味よくお客様をを迎えしたいものですが、通路に積み重なる段ボール、縛ったままの雑誌、本棚から突き出る本ではないもの、風に舞うホコリとそよぐクモの巣、ゴミ屋敷もかくやという風景に近づきつつあり、ズボラなりに焦燥と無力感を抱えながら日々の業務に追われております。それを見かねて「客を入れなければいい。一旦ネット販売のみに切り替えてはどうか」とアドバイスして下さる方もあり、それはとても甘い誘惑ではあるのですが、私としては願わくば店舗としてお客様が手に取って本を選べる形式を維持したいと思っています。

 昭和の末、山形市内には約 七店の古本を扱う店がありましたが、平成始めの大型店の進出を契機に地元店は急激にその数を減らし、一時はゼロになってしまった時期もありました。令和四年現在は当店を入れて三店に持ち直しています。

 大型店には大型店の、地元店には地元店の役割があり、扱うべき史料や書物もあると心得ます。及ばずながら当店も地元の歴史を次代に伝える一助となればと願っております。また、書籍以外でも、昔の写真や雑誌の記事、地元の地図や商店の広告、学校文集さらには飲み屋のマッチラベル等など、色々な物を色々な理由で探していらっしゃる方々がいるのだと知り、そうした需要に応えるのも仕事の一つだと思う次第です。

 しかし、それらを実行しようとするとなかなか容易ではなく、回転率の低い地元出版物はストックしておくだけでもかなりのリソースを圧迫し、書籍ではない資料などは整理分類に苦慮し、蒐集家向けのブツは「方向は合ってるけどコレじゃない」などと言われ、雑本などは思い切ってツブシに廻さなければならないのに、それぞれに譲って頂いた方の顔がチラつき、とりあえず一旦保留のまま増える一方で、常に一杯の狭い倉庫を眺めながら「四次元ポケットが欲しいなあ」などとぼやく始末です。

 もしかしたら、店内のいくら掃ってもきりのないクモの巣は、芥川龍之介の小説のような、成仏できないでいる書物たちへの仏様からの救いの糸なのかもしれません。

 

(画像は店舗側壁の案内看板)

 
 
(「日本古書通信」2022年12月号より転載)

 
 
 
 


『増補新版 東北の古本屋』 折付桂子著
文学通信刊
ISBN978-4-909658-88-3
四六判・並製・312頁(フルカラー)
定価:本体1,800円(税別)好評発売中!
https://bungaku-report.com/books/ISBN978-4-909658-88-3.html

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2023年2月24日号 第365号

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☆INDEX☆
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1.『張愛玲の映画史』
 上海・香港から米国・台湾・シンガポール・日本まで

          九州大学・福岡大学非常勤講師 河本 美紀

2.『憧れの住む東京へ』

                          岡崎武志

3.映画『丘の上の本屋さん』紹介

            株式会社ミモザフィルムズ 掛川あづみ

4.『地下出版のメディア史』展を終えて

                          大尾侑子

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
━━━━━━━━━【大学出版へのいざない3】━━━━━━━━━━━

『張愛玲の映画史──上海・香港から米国・台湾・シンガポール・日本まで』

             九州大学・福岡大学非常勤講師 河本 美紀

 中国語圏近現代文学を代表する作家、張愛玲(一九二〇─一九九五)は
一九四〇年代前半、日本占領下の上海で活躍した。小説「金鎖記」、「傾
城之恋」に代表されるように、古典と現代的な感覚を合わせた巧みな筆致、
細やかな心理描写によって、不穏な社会でほろ苦い人生を送る人々をシニ
カルに描き出した。その悲観的な小説世界は、現在に至るまでファンを獲
得し続け、日本でも多くの邦訳が出版されている。

 張愛玲は中華人民共和国建国後の一九五二年に上海を離れ、香港を経て
米国へと生きる場所を求めた。資料が限られていたため、渡米後の張愛玲
については、執筆活動が衰え、人目を避け旧作の書き直しや翻訳に従事し、
ペシミズムに彩られた孤独な生涯を送ったというのが通説となっていた。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=11108

書名:『張愛玲の映画史
       ──上海・香港から米国・台湾・シンガポール・日本まで』
著者名:河本美紀 著
出版社:関西学院大学出版会
判型等:A5  上製 610頁
税込価格:8,800円
ISBN:978-4-86283-348-8
Cコード:3074
好評発売中!
http://www.kgup.jp/book/b618396.html

━━━━━━━━━━【自著を語る(305)】━━━━━━━━━━

『憧れの住む東京へ』

                           岡崎武志

 今年一月に出した『憧れの住む東京へ』(本の雑誌社)は、「本の雑誌」
に二年連載ののち、大幅な加筆と新章を加えたもの。同じ一月にちくま文
庫に収録された『ここが私の東京』、すでにちくま文庫入りした『上京す
る文學』を合わせ、「上京」三部作となる。江戸期もすでにそうであった
が、地方から首都へ流入してくる人々のエネルギーにより「東京」の街と
文化が作られてきた。そのことを実証するため、多くの上京者がいかに東
京へやって来て、どこに住んで、何をなしてきたを調べる作業がずっと続
いてきたのである。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=11121

『憧れの住む東京へ』
岡崎武志 著
四六判並製
264ページ
定価1,980円(税込)
ISBN978-4-86011-475-6
好評発売中!
https://www.webdoku.jp/kanko/page/4860114752.html

━━━━━━━━【映画『丘の上の本屋さん』紹介】━━━━━━━━

              株式会社ミモザフィルムズ 掛川あづみ

 ユニセフ・イタリアが共同製作に参加した本作は、イタリアの風光明
媚な丘陵地帯を見下ろす丘の上の小さな古書店を舞台に、年齢や国籍の
違いを超え、“本”を通して紡がれる友情、読書の喜びを描いたハート
ウォーミングストーリー。

 訪れる風変りな客たちを温かく迎え入れるリベロの店は、街のちょっと
したオアシス的な存在でもある。ある日、店の外で本を眺める移民の少年
エシエンに声を掛けたリベロは、好奇心旺盛なエシエンに、コミックから
児童文学、中編小説、長編大作、さらに専門書まで次々と店の本を貸し与
えていく。エシエンから感想を聞きながら、様々な知識やものの見方や考
え方など、リベロはジャンルを超えて叡智を授ける。そしてイタリア語で
「自由(Libero)」を意味する自身の名の通り、エシエンに自由であるこ
と、誰もが幸せになる権利を持つことを伝えていくのだった。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=11130

■『丘の上の本屋さん』
■配給:ミモザフィルムズ
■公開:3/3(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、
    アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
https://mimosafilms.com/honya/

━━━━━━━━━━━━【プレゼント企画】━━━━━━━━━━

映画『丘の上の本屋さん』の無料ご招待チケットを、
抽選で6名様にプレゼント致します。
ご応募お待ちしております。

◆チケットはムビチケ前売券(オンライン)となります。
◆当選された方には、「ムビチケ購入番号」と「ムビチケ暗証番号」が
 記載されたPDFファイルをメールに添付してお送りいたします。

全国のムビチケオンラインがご利用できる劇場は下記からご確認いただけます。

https://movieticket.jp/SupportedTheaters/

その他ご不明な点は下記「ムビチケガイド ご利用ガイド」をご覧ください。

https://movieticket.jp/guide

応募申込は下記ページにてお願い致します。
 締切日 2月28日(火)午前10時

https://www.kosho.ne.jp/entry2023/0224.html

━━━━━━━━━━【自著を語る(番外編)】━━━━━━━━━━

『地下出版のメディア史』展を終えて

                          大尾侑子

■『地下出版のメディア史』という切り口
 2022年12月14日、名残惜しくも「『地下出版のメディア史』展」の
撤収作業を終え、一息ついた新幹線のなかで筆を執っている。東京古
書会館の全面的なバックアップのもと、慶應義塾大学出版会の主催で
実現した今回の展示会は、二週間という会期にもかかわらず多くの来
場者に恵まれた。まずはご来場者のみなさま、そして開催に向けてご
尽力いただいた古書店の皆さんにお礼申し上げる。芳名録にお名前を
いただいた方には、本来ならば現地でお一人ずつゆっくりとお話しを
したかったのだが、またの機会に期待したい。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=11146

『地下出版のメディア史』展——珍書屋から辿る軟派出版の世界
https://www.kosho.ne.jp/?p=531
※『地下出版のメディア史』展は終了しました

━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「大学出版へのいざない」シリーズ 第4回

書名:スイス観光業の近現代―大衆化をめぐる葛藤
著者名:森本 慶太
出版社名:関西大学出版部
判型/製本形式/ページ数:A5判/上製/184頁
税込価格:3,080円
ISBNコード:978-4-87354-758-9
Cコード:C3022
好評発売中!
https://www.kansai-u.ac.jp/Syppan/2023/01/7cb12b6ae84d1894f8bcc17b08f50f13da97ad9d.html
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『児童雑誌の誕生』
文学通信刊
柿本真代著
A5判・上製・296頁
ISBN978-4-86766-001-0 C0095
定価:本体2,800円(税別)
2月下旬刊行予定
https://bungaku-report.com/books/ISBN978-4-86766-001-0.html
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━

2月~3月の即売展情報

※新型コロナウイルスの影響により、今後、各地で予定されている
即売展も、中止になる可能性がございます。ご確認ください。
お客様のご理解、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。

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 広報部・編集長:藤原栄志郎

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『地下出版のメディア史』展を終えて

『地下出版のメディア史』展を終えて

大尾侑子

『地下出版のメディア史』という切り口

 2022年12月14日、名残惜しくも「『地下出版のメディア史』展」の撤収作業を終え、一息ついた新幹線のなかで筆を執っている。東京古書会館の全面的なバックアップのもと、慶應義塾大学出版会の主催で実現した今回の展示会は、二週間という会期にもかかわらず多くの来場者に恵まれた。まずはご来場者のみなさま、そして開催に向けてご尽力いただいた古書店の皆さんにお礼申し上げる。芳名録にお名前をいただいた方には、本来ならば現地でお一人ずつゆっくりとお話しをしたかったのだが、またの機会に期待したい。

 そもそも「『地下出版のメディア史』展」というタイトルは、とんぼ書林・藤原さんのアイディアだった。2022年3月末、この本が書店に並び始めて数日後、突然、知らない番号から電話があった。第一声、「どうも、とんぼ書林です。あなたの本の後書きに、うちの店の名前を見つけたのでね」。なんと、よく古本を買っていた「とんぼ書林」だった。「そういえば、股旅堂さんとさっき会ったけれど、巻末の年表は貴重だよねぇ。あ、今ちょっと電話いいですか?」──。購入履歴からお電話をいただいたようだ。初めて聴く店主の声。これが私にとって、文字どおり人生初の“読者の声”となったのである。

 そんなご縁から実現した展示会。企画段階では「大尾侑子発禁本コレクション(仮)」などと無味乾燥なタイトルを提案したが、これまたとんぼさんから「ただの発禁本展じゃおもしろみがない。あなたの本の切り口で整理して展示することに意味があるんだから」と後押しされ、恥ずかしながら書名を掲げることにした。振り返れば、これが大正解だった。梅原北明一党、そこから枝分かれした戦前昭和の「珍書屋」(軟派出版の版元)を主軸に据えて、本の章立てに沿って棚ごとにコンセプトを設けた。おかげで目録作成も捗り、自分がどんな史料を持っていて、なにが行方不明なのか、頭の中を整理することができたからだ。

 展示品は、すべてここ十年ほどで集めた家蔵史料である。ガラスケースに並べて実感したが、やはりモノには説得力がある。出版に限らず歴史を立体的に浮かび上がらせるには、どれだけ詳細な記述を重ねてもどこか物足りない。その穴を埋めてくれるのは、やはり現物の力だろう。ガラス表紙をあしらった『不謹慎な宝石』(1929年、国際文献刊行会)などの稀覯本もそうだが、個人的な展示の目玉はやはり内容見本やチラシ、会員通信、ハガキ、スクラップであった。期せずして入手するこれらの紙ものこそ、私にとっては古書集めの醍醐味であり快楽の源泉でもある。書き込みなどの痕跡があれば、興奮は倍増するというもの。終わりのなき「地下出版」探究の鍵は、こうした小さなメディアにある。

トークイベントでの出逢い

 12月10日、古書会館7階で島村輝先生をお招きし、トークイベントを開催した。今後、文字にすることはないだろうと思い、よく訊ねられる「なぜこの研究をしているのか?」に答えてみることにした。結果、薄っぺらな個人史語りになってしまったが、戦前の男性中心的な趣味家集団に魅了される理由(それは現在の古書趣味への関心にも通じる)が少しだけ言語化できた。『変態・資料』『グロテスク』などの復刻を担当されてきた島村先生は、“全部押収”により幻とされた『グロテスク』2巻6号入手の経緯、「赤木妖三」の素性を追った探偵小説さながらの逸話を披露された。おもしろく、隣でただ聞き入ってしまった。会場にはウェブサイト「閑話究題 XX文学の館」管理人・七面堂究斎さんや、股旅堂の吉岡さんのお姿も。「あとがき」にも書いたように、こうした先達、古書店さんあってこそ研究ができる。お会いしたかった古書フレンズの皆さんにもご挨拶でき、本がつなぐ縁に感謝した、あたたかい冬の一日となった。

また、いつかどこかで!

 今回、展示という方法によって気づかされたことは思いのほか多い。一望して気づく装幀の共通性、タイポグラフィに隠されたメッセージ、紙質の変化など。ケースに並べられた瞬間、汚れた本やチラシたちが霊力をまとい発光して見えたのは、きっと照明の威力だけでは説明がつかない。一癖も二癖もある意匠に加えて、いにしえの出版人が残した執念(怨念?)がそう感じさせたのなら、地下本たちにとっても本望か……。そんなこんなで、最終日はすぐにやってきた。

 それにしても、この本や雑誌、よくもまあ自分のもとに辿り着いたものだ。約百年いろいろな場所、人の手を経由してきただろう。金策のために泣く泣く手放した人もいたに違いない。また少しの間、暗いところに閉じ込めてしまう。「おつかれさまでした」という気持ちで段ボールに詰め込み、ガムテープで閉じる。またいつか、どこかでライトを浴びられますように! その時にはもっと史料の声を代弁できる言葉を身につけていたい。

(了)

 

 

 

 
 
 
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※『地下出版のメディア史』展は終了しました

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映画『丘の上の本屋さん』作品紹介

映画『丘の上の本屋さん』作品紹介

株式会社ミモザフィルムズ 掛川あづみ

 ユニセフ・イタリアが共同製作に参加した本作は、イタリアの風光明媚な丘陵地帯を見下ろす丘の上の小さな古書店を舞台に、年齢や国籍の違いを超え、“本”を通して紡がれる友情、読書の喜びを描いたハートウォーミングストーリー。

 訪れる風変りな客たちを温かく迎え入れるリベロの店は、街のちょっとしたオアシス的な存在でもある。ある日、店の外で本を眺める移民の少年エシエンに声を掛けたリベロは、好奇心旺盛なエシエンに、コミックから児童文学、中編小説、長編大作、さらに専門書まで次々と店の本を貸し与えていく。エシエンから感想を聞きながら、様々な知識やものの見方や考え方など、リベロはジャンルを超えて叡智を授ける。そしてイタリア語で「自由(Libero)」を意味する自身の名の通り、エシエンに自由であること、誰もが幸せになる権利を持つことを伝えていくのだった。

 物語の舞台となる “イタリアの最も美しい村”のひとつ、チヴィテッラ・デル・トロントの息をのむ絶景や、石造りの歴史ある街並みを味わえるのも本作の大きな魅力。不朽の名作『ニュー・シネマ・パラダイス』(89)にも通じるリベロとエシエンの心温まる物語を軸に、古書店に集まってくるユーモラスで個性あふれる人々、繰り返される日々の暮らし、小さな幸福は愛おしく観る者の心に染みこむ。そして人生を豊かに形づくるヒントが詰まったリベロの「幸せのブックリスト」には、「星の王子さま」、「ピノッキオの冒険」、「白鯨」をはじめとした名作が登場し、観客の知的好奇心を刺激する。

 リベロ役のレモ・ジローネは、『フォードvsフェラーリ』(19)、『我が名はヴェンデッタ』(22)など映画や舞台、テレビなど幅広く活躍してきた大ベテラン。そのほか個性派キャストが魅力あふれるキャラクターを彩りながら、活字離れが進む今こそ、読書の素晴らしさを温かく伝えている。

 
 
 
■『丘の上の本屋さん』
■配給:ミモザフィルムズ
■公開:3/3(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
https://mimosafilms.com/honya/

 

© 2021 ASSOCIAZIONE CULTURALE IMAGO IMAGO FILM VIDEOPRODUZIONI
 

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『憧れの住む東京へ』

『憧れの住む東京へ』

岡崎武志

 今年一月に出した『憧れの住む東京へ』(本の雑誌社)は、「本の雑誌」に二年連載ののち、大幅な加筆と新章を加えたもの。同じ一月にちくま文庫に収録された『ここが私の東京』、すでにちくま文庫入りした『上京する文學』を合わせ、「上京」三部作となる。江戸期もすでにそうであったが、地方から首都へ流入してくる人々のエネルギーにより「東京」の街と文化が作られてきた。そのことを実証するため、多くの上京者がいかに東京へやって来て、どこに住んで、何をなしてきたを調べる作業がずっと続いてきたのである。

 本書で取り上げた人物は六人。赤瀬川原平(名古屋)、洲之内徹(松山)、浅川マキ(白山)、田中小実昌(呉)、山之口貘(那覇)、耕治人(八代)。かっこ内は上京してきた地点で、時代も場所も上京してきた理由もバラバラだが、むしろそれを意識して人選した。いかに日本各地から無数の人々が上京したか。東京という磁力が強力であるかが分かる。男性ばかりになりがちなところを、女性を入れたいと前二作に引き継ぎ考え、異色ながら浅川マキを選んだ。選んでから、あれこれ資料を集めて浅川マキと東京に接近して行った。

 私は生で浅川マキを聴いたことがない。一九四二年に石川県の海沿いの寒村で生まれ育った歌好きの娘が、町に一軒だけあった映画館で「有楽町線に山手線が入ってくる」シーンを見て東京への憧れを募らせる。そして家出同然で上京し、まず目指したのが「有楽町」だった。のち一九六八年の新宿で寺山修司のサポートの元、黒い歌姫として君臨する姿からは想像できない。初々しい家出娘の姿に私は感動するのだ。「家出のすすめ」を書いて地方の若者を扇動した寺山も「家出娘」という点にまず食いついたのだった。

 選んだ六人中、直に会って言葉を交わしたのは赤瀬川原平だけ。有名な「ニラハウス」と命名されたご自宅へ著者インタビューでうかがった。赤瀬川は父が横浜、母が東京の出身で自身も横浜生まれだったが、幼少期より引越しを繰り返し、育ったのは大分市である。この大分で、兄の友人である磯崎新、先輩として吉村益信を知る。高校に通うのは名古屋だが、ここでも荒川修作がいた。つまり、のち前衛美術で活動する端緒を、移り住んだ町々で偶然にせよ掴んでいる。東京生まれで東京育ちでは、少なくとも若き日に知り合うことのなかった表現者たちだ。中村光夫は「田山花袋」論で「自然主義の勃興は文学の分野における『東京者』に対する田舎者の勝利であった」と書いた。「一旗揚げる」「故郷に錦を飾る」といった言葉に込められた「田舎者」が抱く過大な期待と夢があってこそ、東京は進化、膨張していったのではないか、と私は考えたのだ。

 その人について調べ書きながら、その人の影響を受けるということもある。田中小実昌は死後、古書価の上昇した作家だが、後半生、バスに乗ることを一種の趣味とする。映画試写会へ出向くのにもバスに乗るし、用がない時もバスに乗った。そしてバスでの移動や、車内からの見聞を文章につづった。近代文学の発生以来、鉄道はテーマとして大きく加担したが、バスについてこれほど熱心にくり返し書いた作家は皆無であった。山手線は大半が高架、地下鉄は言うまでもなく地下を走る。地上に近く、街並みをローアングルで視野に入れながら、しかも出発から終点まで、意外なルートをたどるバスという乗り物は、新しい東京の発見につながったのである。「べつにバスにのる必要もないし用なんかないのだが、ついバスにのっちまう」と書いたのは、バスのエッセイのみを集めた『バスにのって』という著作。私もコミさんに影響され、目的地へ行く手段としてではなく、道楽でバスに乗るようになった。鉄道路線だけでは知りえない、東京の顔に触れる楽しさをそれで知った。

 耕治人は晩年になって病妻の介護を私小説として描き、『天井から降る哀しい音』と『そうかもしれない』は大きな話題となり本もよく売れた。ずっと地味だった作家に、いきなりスポットライトが当たったのである。両著とも装幀は中川一政。「白樺」に影響され、中川一政に憧れて上京してきた耕は大正の若者だった。東京に憧れの人が住む。それが上京の大きな動機となる。私も東京へ行けばあの人に会えるという思いが三十を過ぎての遅い上京の起爆剤であった。耕夫妻は、放浪に近い転居を繰り返し、後半生に安住を求めて得た土地が「野方」だった。そこで深刻な土地問題に巻き込まれ苦しんだ。耕が住んだ中野区野方(西武新宿線)へも訪ねてみた。耕が住んだ家はとっくになくなっていたが、痴呆の妻を家に置き、買物を提げて歩いた商店街へは私も足跡をつけた。こんなこともなければ、訪れることのない東京の町だった。こうして私にも東京が身近になっていくのだった。

 
 
 
 


『憧れの住む東京へ』
岡崎武志 著
四六判並製
264ページ
定価1,980円(税込)
ISBN978-4-86011-475-6
好評発売中!
https://www.webdoku.jp/kanko/page/4860114752.html

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『張愛玲の映画史──上海・香港から米国・台湾・シンガポール・日本まで』 【大学出版へのいざない3】

『張愛玲の映画史──上海・香港から米国・台湾・シンガポール・日本まで』 【大学出版へのいざない3】

河本 美紀(かわもと・みき) 九州大学・福岡大学非常勤講師

 中国語圏近現代文学を代表する作家、張愛玲(一九二〇─一九九五)は一九四〇年代前半、日本占領下の上海で活躍した。小説「金鎖記」、「傾城之恋」に代表されるように、古典と現代的な感覚を合わせた巧みな筆致、細やかな心理描写によって、不穏な社会でほろ苦い人生を送る人々をシニカルに描き出した。その悲観的な小説世界は、現在に至るまでファンを獲得し続け、日本でも多くの邦訳が出版されている。

 張愛玲は中華人民共和国建国後の一九五二年に上海を離れ、香港を経て米国へと生きる場所を求めた。資料が限られていたため、渡米後の張愛玲については、執筆活動が衰え、人目を避け旧作の書き直しや翻訳に従事し、ペシミズムに彩られた孤独な生涯を送ったというのが通説となっていた。

 しかし渡米後の張愛玲は、ロマンティック・コメディを主とする香港の映画脚本を多数手掛けていた。従来、反ロマン主義者と捉えられてきた張愛玲が、多くのクラシカルなロマンティック・コメディを手掛けたことは、映画に対する深い愛情に由来する。二〇世紀初め、近代的文化技術の産物として、黎明期の大衆芸術であった映画に魅せられた作家は少なくなかった。例えばフランツ・カフカや志賀直哉の映画に対する傾倒は、ハンス・ツィシュラー『カフカ、映画に行く』(瀬川裕司訳、みすず書房、1998)、ペーター=アンドレ・アルト『カフカと映画』(瀬川裕司訳、白水社、2013)、貴田庄『志賀直哉、映画に行く──エジソンから小津安二郎まで見た男』(朝日新聞出版、2015)にまとめられており、中国では魯迅と映画についての専門書も出版されている。本書はそのような作家と映画の関係を探る書籍の張愛玲版を目指した。

 初期映画に接したカフカ、志賀、魯迅から約一世代遅れて、一九二〇年、アジア最先端の場所で、中国の映画産業の中心地であった上海に生まれた張愛玲は、幼少時から豪華な設備を誇る高級映画館に通い、ハリウッド映画に心酔し、アニメーション映画への興味が高じて、アニメーターを目指したほどのシネフィルであった。小説家デビューの前には中国映画の映画評を書き、随筆では気に入った日本映画を紹介し、中華人民共和国建国後にハリウッド映画が一掃された後はソ連映画を観て、渡米後は米国人の伴侶と度々映画館を訪れた。生きる時代や場所が変わろうとも、映画は張愛玲の身近にあり続けた芸術だったのである。一九四〇年代後半からは、約二〇年間に渡り、上海と香港の映画会社に約二〇作品の映画脚本を提供し(映画化に至らなかった作品も多く、現在、映像を観ることができるのは七作品に止まる)、初期から晩年までの小説や随筆、友人に宛てた書簡のあちこちに、映画についての言及がある。しかし、張愛玲の映画に対するこのような関心の高さはあまり注目されることがない。張愛玲が脚本を手掛けた映画も、小説の作風とは相容れない、商業性の強い娯楽映画とみなされているため、研究は非常に手薄である。

 本書は、映画をキーワードに張愛玲とその作品群を捉えなおした。一九三〇年代から現代までのアジア、欧米の映画、文学、演劇を横断しながら、張愛玲が生涯を通じて持ち続けた映画への関心とその関わりを再現するという、張愛玲を軸にした映画史である。特に映画脚本に焦点を当て、脚本執筆時に張愛玲が参照した英国の戯曲との比較を通して張愛玲のオリジナリティを検証し、ハリウッド映画のスクリューボール・コメディ、シチュエーション・コメディ、ファミリー・メロドラマなどの視点を加え、脚本執筆から映画化に至る過程の再現を試み、張愛玲の映画に関する仕事により積極的な意義を探った。張愛玲の手掛けた映画脚本には、小説にはほとんど顔を出すことのなかった生来のひょうきんな一面と茶目っ気、ハリウッド映画に由来する映画的センスが存分に発揮されている。映画脚本家としての張愛玲は、上海、香港の映画に本格的なロマンティック・コメディをもたらした第一人者であった。

 従来の張愛玲のパブリック・イメージや作品世界は、色で表現すると、深青や深緑といった寒色系だったと言えよう。しかし従来、故郷の上海を離れ、失意のうちにあったと考えられていた張愛玲は香港で、自分の人生を、映画の午前興行を観終えて外に出た時に目の前に広がる静かな一日に例え、明るい希望を持っていたことが、近年明らかになった。本書の、研究書らしからぬ、また従来の張愛玲のイメージらしからぬ明るい装丁は、張愛玲が手掛けた軽やかで都会的でコミカルな映画脚本と、前向きで、チャーミングな、「可愛らしい」張愛玲の一面をイメージしたものである。

 
 
 
 
 


書名:『張愛玲の映画史──上海・香港から米国・台湾・シンガポール・日本まで』
著者名:河本美紀 著
出版社:関西学院大学出版会
判型等:A5  上製 610頁
税込価格:8,800円
ISBN:978-4-86283-348-8
Cコード:3074
2023年2月刊
http://www.kgup.jp/book/b618396.html

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2023年2月10日号 第364号

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 古書市&古本まつり 第121号
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メールマガジンは、毎月2回(10日号と25日号)配信しています。

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━━━━━━【古本屋でつなぐ東北(みちのく)4】━━━━━━

地方の古本屋三代目―店舗移転の先を見据えて

                   (秋田県・板澤書房)板澤吉将

 秋田県秋田市にある板澤書房の板澤吉将と申します。戦前に私の祖父が
創業し、現在は父が現役の店主、私は次代ということになります。

 祖父の代では戦争を挟み、またあまり自らを語らない性格だったようで、
六人兄弟の末っ子である父に聞いても店を始めた経緯などあまり詳しくは
わからないようです。戦中戦後の本が少ない時代には短い間ですが貸本屋
としても営業していました。手元には「新々堂 板澤書店」と見返しに
印がある傷んだ本があります。私にとってはお菓子をねだると必ずくれる
大甘な祖父でした。

(「日本古書通信」2022年11月号より転載)

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=11063

━━━━━━━━━【シリーズ書庫拝見10】━━━━━━━━━

遅筆堂文庫 前編  小さな町に「本の海」が生まれるまで

                         南陀楼綾繁

 山形県の小さな町に井上ひさしが蔵書を寄贈した図書館ができたとい
うニュースを知ったのは、いつ頃だっただろうか。

 私は小学生で『ブンとフン』を読んでから、この作家に熱中した時期が
ある。小説も好きだったが、小説家の日常生活が垣間見られるエッセイを
愛読した。本に対する偏愛ぶりにも共感した。

 75年の生涯で約280冊(共著、編著を含む)を著したこの作家のごく一部
にしか接していないが、私も井上ファンのひとりと云えると思う。余談だが、
雑誌編集者だったときに井上さんに原稿依頼をしたことがある。電話で一度
は引き受けてもらったが、その後「やっぱり忙しくて……」と断られた。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=11073

南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ)

1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一
文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、
図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年
から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」
の代表。「一箱本送り隊」呼びかけ人として、「石巻まちの本棚」
の運営にも携わる。著書に『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、
『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』
(ちくま文庫)、『古本マニア採集帖』(皓星社)、
編著『中央線小説傑作選』(中公文庫)などがある。

ツイッター
https://twitter.com/kawasusu

川西町フレンドリープラザ・遅筆堂文庫
https://www.kawanishi-fplaza.com/book/guide_book/chihitsudo.html

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「コショなひと」始めました

古書店の最強のコンテンツは古書店主だった。
今日の個性的な古書店主を紹介する「コショなひと」、4ヶ月ぶりの再始動です。

2023年の一人目は流浪の古本芸人(自称)「古本天国ノペリ書店」です。
店を持たない古本屋は果たしてどのように商売をしているのでしょうか。
古書展の搬入の合間にお話を伺いました。
下記URLより御覧ください。

「コショなひと 古本天国ノペリ書店」
https://www.youtube.com/watch?v=WEy_P5pwBt0&t=54s

YouTubeチャンネル「東京古書組合」
https://www.youtube.com/@Nihon-no-Furuhon-ya

━━━━━【2月10日~3月15日までの全国即売展情報】━━━━━

⇒ https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

※現在、新型コロナウイルスの影響により、各地で予定されている
即売展も、中止になる可能性がございます。ご確認ください。
お客様のご理解、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。

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TOKYO BOOK PARK 吉祥寺

期間:2022/12/28~2023/03/05
場所:吉祥寺パルコ1階

https://twitter.com/TOKYOBOOKPARK

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第6回新春古書展(沖縄県)

期間:2023/01/14~2023/02/12
場所:ジュンク堂1F レジカウンター横  沖縄県那覇市牧志1-19-29

https://twitter.com/gajyumarubooks/status/1613010582520889344/photo/1

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フジサワ古書フェア(神奈川県)

期間:2023/01/19~2023/02/15
場所:有隣堂藤沢店4階ミニ催事場  JR藤沢駅南口フジサワ名店ビル4階

http://kosho.saloon.jp/spot_sale/index.htm

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第9回 古書会館de古本まつり(京都府)

期間:2023/02/10~2023/02/12
場所:京都古書会館 京都市中京区高倉夷川上ル 福屋町723

https://kyoto-koshoken.com/event/sample-event2/

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杉並書友会

期間:2023/02/11~2023/02/12
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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反町古書会館展(神奈川県)

期間:2023/02/11~2023/02/12
場所:神奈川古書会館1階 横浜市神奈川区反町2-16-10

http://kosho.saloon.jp/spot_sale/index.htm

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第8回 調布の古本市

期間:2023/02/15~2023/02/26
場所:調布パルコ5階催事場  調布市小島町1-38-1

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港北古書フェア(神奈川県)

期間:2023/02/16~2023/02/28
場所:有隣堂センター南駅店店頭ワゴン販売
最寄駅:横浜市営地下鉄 センター南駅
    市営地下鉄センター南駅の改札を出て直進、右前方。※駅構内

http://kosho.saloon.jp/spot_sale/index.htm

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第105回 彩の国所沢古本まつり(埼玉県)

期間:2023/02/22~2023/02/28
場所:くすのきホール (西武線所沢駅東口前 西武第二ビル8階 総合大会場)

https://tokorozawahuruhon.com/

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浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2023/02/23~2023/02/26
場所:さくら草通り(JR浦和駅西口 徒歩5分 マツモトキヨシ前)

https://twitter.com/urawajuku

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『BOOK DAY とやま駅』(富山県)

期間:2023/02/23~2023/02/23
場所:富山駅南北自由通路(あいの風とやま鉄道中央口改札前)

https://bookdaytoyama.net/

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ぐろりや会

期間:2023/02/24~2023/02/25
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

http://www.gloriakai.jp/

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好書会

期間:2023/02/25~2023/02/26
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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東京愛書会

期間:2023/03/03~2023/03/04
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

http://aisyokai.blog.fc2.com/

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※催事が変更になりました
(3月4日、5日開催予定の「古書愛好会」は
「Vintage Book Lab(ヴィンテージ・ブック・ラボ)」へ変更になりました)

Vintage Book Lab(ヴィンテージ・ブック・ラボ)

期間:2023/03/04~2023/03/05
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

https://www.vintagebooklab.com/

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フィールズ南柏 古本市(千葉県)

期間:2023/03/04~2023/03/16
場所:フィールズ南柏 モール2 2階催事場  柏市南柏中央6-7

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『BOOK DAY とやま駅』(富山県)

期間:2023/03/09~2023/03/09
場所:富山駅南北自由通路(あいの風とやま鉄道中央口改札前)

https://bookdaytoyama.net/

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西部古書展書心会

期間:2023/03/10~2023/03/12
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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オールデイズクラブ古書即売会(愛知県)

期間:2023/03/10~2023/03/12
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田5-1-12

https://hon-ya.net/

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紙魚之會

期間:2023/03/10~2023/03/11
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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反町古書会館展(神奈川県)

期間:2023/03/11~2023/03/12
場所:神奈川古書会館1階 横浜市神奈川区反町2-16-10

http://kosho.saloon.jp/spot_sale/index.htm

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