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レコード・ストア・エブリデイ

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若杉 実

〝クールなレコードなんてこの世にない。(中略)レコード屋に行きレコードを買うことは呼吸をすることといっしょだからだ〟

 文末で著者はこう記し筆をおいている。血道をあげていた時期、毎日五、六軒を目標にレコード屋めぐりをしていたというからだ。店も盤も血肉化してしまっているというのに、それを史書としてゴールすることに最後の最後で恥じらいを覚えた、そう読みとれる。

 脱稿から二ヶ月あまり、身体から離れた活字の集積をあらためて見つめ直すと、第三者としての私感をえられる。
 日々五、六軒のノルマを課していた時代は、おりしもレコード(&CD)屋バブルのころ。1980年代、ブートレグ系ショップで熱気につつまれた西新宿から引導をわたされた90年代の渋谷宇田川町、通称〝レコ屋村〟には、隆興期に百軒のレコード屋があったと伝えられている。その時代をリアルタイムで体験した人間にとって、昨今のアナログレコードリバイバルと声高に唱える風潮しかり、レコード・ストア・デイ(レコード屋の祭典)しかり、そうした光景がとくべつなこととして各メディアをにぎわすようになった時勢が鼻持ちならなかったのかもしれない。

 あたりまえのことが、ある日を境にとくべつなものへと変わる。これほど退屈なことがあるだろうか。だが、身近にあるたいせつなものほど人間は感謝の意を忘れるもの。ミネラルウォーターのよこに酸素ボンベが並んで販売される日を笑って想像できるのは、ひょっとしていまだけかもしれない。

 そんなことなどどうでもよくて、本サイトに打ってつけともいえる章〈作家とレコ屋〉が用意されていることを伝えておきたい。登場するのは村上春樹、田中康夫、三上延、そして井上ひさし(別章)。春樹や康夫はそれとなくわかるが、デビューまえの三上が古書店でアルバイトをするよりもまえに中古レコード屋の店頭に立っていたことを知ったとき、鍵穴に鍵が差しこまれるようなおもいに駆られた。参考にしたわけではないが、『ビブリア古書堂の事件手帖』での謎解きのように起伏をつけながら譚をすすめていく構成をこころがけたからだ。

 ぶ厚いだけの、まどろっこい教科書みたいなのはごめんこうむりたい。ヒストリー以上にストーリーに重きをおき、紀行文形式も随所に盛りこみ、読者自身がレコード屋めぐりをしている気分をあじわっていただけるように努めた。

 今日、そんなレコード屋の経営も焦眉の急だ。取材~脱稿までの一年間で、対象となった二軒の都内老舗が廃業された。現在のにわかレコードリバイバルとて、この危局を止めることはできない。レコ屋めぐりができなくなる以前に、レコ屋という存在そのものがなくなる日がこないともかぎらない。

 市井から消えゆく運命はそうかんたんには変えられそうにないだろう。しかし、世のなか月夜半分闇夜半分。オンラインショップでの生き残りをかけ知略を練る老舗オーナーの一喝が目ざましのベルを鳴らす――〝なにが売れて売りあげがいくらなんてどうでもいいんだよ。重要なことさえ気にしていれば……〟(終章より)
 命脈をつなぐとっておきの秘訣があるのか!? つづきは本書のなかで。



reco2
『東京レコ屋ヒストリー』若杉 実 著 定価:1,800円+税
株式会社シンコーミュージック・エンタテイメント刊 好評発売中!
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2016年4月25日 第203号

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☆INDEX☆
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1.肉筆で読む作家の手紙          青木正美
2.『ここが私の東京』扶桑社について    岡崎武志
3.「カラヴァッジョ展」について
              国立西洋美術館研究員 川瀬佑介
4.若冲の本のこと
              東京都美術館 学芸員 平方正昭

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━━━━━━━━━━【自著を語る(158)】━━━━━━━━━━━



 肉筆で読む作家の手紙


                      青木正美


 古本屋稼業六十年の私は、ご多分にもれず文学青年だったが、三
十歳で明治古典会(ふるほんいちば)へ入会した途端、目の前にし
た近代作家の原稿・書簡の蒐集魔となってしまう。やがてそれは
『近代作家自筆原稿集(平11)』『近代詩人歌人自筆原稿集(平12)』
『大衆文学原稿集(平14)』(各、東京堂出版刊)として結実する。
しかし本書の刊行は、実は本の雑誌社から出るについては足かけ三
年かかっている。



続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=2719


『肉筆で読む作家の手紙』 青木正美 著
本の雑誌社刊 定価:2160 円(税込) 好評発売中!
 http://www.webdoku.jp/kanko/page/9784860112837.html


━━━━━━━━━━━【自著を語る(159)】━━━━━━━━━



『ここが私の東京』扶桑社について


                      岡崎武志



 私は一九九〇年の春、大阪から上京してきた。三十三歳になって
いた。書く仕事に就くため、何もかも大阪へ置いての捨身の上京で
あった。以来、出版業界の端っこにしがみついて、どうにかここま
で生きてきた。
 上京して気づいたことはたくさんあるが、東京は「上京者」でで
きている、と気づいた時に、そこにテーマを見つけた。漱石からハ
ルキまで、上京者あるいは上京する主人公を描いた作品を論じた
『上京する文學』(新日本出版社/二〇一二年)にそのテーマが結
実した。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=2743



『ここが私の東京』 岡崎武志著
扶桑社刊 定価:1600円+税 好評発売中!
http://www.fusosha.co.jp/



━━━━━━━━━━━【学芸員登場シリーズ】━━━━━━━━━



「カラヴァッジョ展」について


               国立西洋美術館研究員 川瀬佑介

「カラヴァッジョ展」は、イタリアの代表的な美術館が所蔵するカ
ラヴァッジョの名品と、その影響を受けたカラヴァジズムの作品51点、
及び関連文書史料6点により構成し、カラヴァッジョの劇的な人生と
作品、そして彼の芸術が美術史に与えた影響を紹介するものです。
              

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=2750

━━━━━━━━━━━【学芸員登場シリーズ】━━━━━━━━━

若冲の本のこと


               東京都美術館 学芸員 平方正昭

 若冲は最近になるまで知名度が低く、さほど人気はなかったとの話
を良く聞きます。本当でしょうか。
私が高校で学んでいた頃、美術出版社から大型の画集『若冲』が出版
されました。この高価な本は、ほとんど実物を見る機会はないままに、
うわさを聞くしかありませんでしたが、それでも多くの美術全集の障
壁画や水墨画の巻にはたいてい若冲が載っていましたし、どの本でも、
西福寺の仙人掌群鶏図などの若冲の作品が載っているページは、他と
は違う強いオーラを発散していました。
              

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=2758



━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━━

『ももクロを聴け!』 堀埜 浩二 著 定価:1,800円+税
ブリコルール・パブリッシング株式会社刊 好評発売中!
http://bricoleur-p.jp/index.html

『東京レコ屋ヒストリー』若杉 実 著 定価:1,800円+税
株式会社シンコーミュージック・エンタテイメント刊 好評発売中!
http://www.shinko-music.co.jp/main/ProductDetail.do?pid=0642740

━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━

4月~5月の即売展情報

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

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日本の古本屋メールマガジンその203 2016.4.25

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:殿木祐介
編集長:藤原栄志郎

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2016年4月11日 第202号

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━━━━━【4月11日~5月15日までの全国即売展情報】━━━━━

⇒ https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

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有隣堂藤沢店・4階古書フェア(神奈川県)

期間:2016/03/10~2016/03/23
場所:有隣堂藤沢店4階ミニ催事場
   神奈川県藤沢市南藤沢2-1-1

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小江戸川越 ペペ古本まつり(埼玉県)

期間:2016/04/07~2016/04/18
場所:ペペ広場 西武新宿線本川越駅前

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第8回・つちうら古書倶楽部の大古本まつり(茨城県)

期間:2016/04/08~2016/04/17
場所:茨城県土浦市大和町2-1 パティオビル1F

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カジル横川古本まつり(広島県)

期間:2016/04/11~2016/04/17
場所:フレスタモールカジル横川 一階通路 
広島市西区横川町3-2-36 JR横川駅隣接

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第27回 古本浪漫洲 Part1

期間:2016/04/14~2016/04/17
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
新宿区歌舞伎町1-2-2
URL:http://www.kosho.co.jp/furuhon_romansu/

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本の散歩展

期間:2016/04/15~2016/04/16
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4 

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第27回 古本浪漫洲 Part2

期間:2016/04/18~2016/04/21
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
新宿区歌舞伎町1-2-2
URL:http://www.kosho.co.jp/furuhon_romansu/

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第23回 池袋西口公園古本まつり

期間:2016/04/20~2016/04/28
場所:池袋西口公園(東京芸術劇場前)

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春の古本掘り出し市(岡山県)

期間:2016/04/20~2016/04/25
場所:岡山シンフォニービル1F 自由空間ガレリア

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浦和宿古本いち

期間:2016/04/21~2016/04/24
場所:JR浦和駅西口下車 徒歩5分 さくら草通りマツモトキヨシ前

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第27回 古本浪漫洲 Part3

期間:2016/04/22~2016/04/25
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
新宿区歌舞伎町1-2-2
URL:http://www.kosho.co.jp/furuhon_romansu/

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ぐろりや会

期間:2016/04/22~2016/04/23
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22  
URL:http://www.gloriakai.jp/

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五反田アートブックバザール

期間:2016/04/22~2016/04/23
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4 
URL:http://artbooks.exblog.jp/

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第3回 松山ブックマルシェ(愛媛県)

期間:2016/04/23~2016/04/24
場所:若草幼稚園 愛媛県松山市味酒町3丁目5-1

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好書会

期間:2016/04/23~2016/04/24
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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新宿古書展

期間:2016/04/24~2016/04/25
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 
※初日は11時開始です。

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第27回 古本浪漫洲 Part4 ( 300円均一 )

期間:2016/04/26~2016/04/27
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
新宿区歌舞伎町1-2-2
URL:http://www.kosho.co.jp/furuhon_romansu/

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城北古書展

期間:2016/04/29~2016/04/30
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 

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西部展

期間:2016/04/29~2016/05/01
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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第14回 四天王寺 春の大古本祭り(大阪府)

期間:2016/04/29~2016/05/05 四天王寺
場所:大阪市天王寺区四天王寺1 丁目11 番18 号
URL:http://www.osaka-kosho.net/

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第34回 春の古書大即売会(京都府)

期間:2016/05/01~2016/05/05
場所:京都市勧業館「みやこめっせ」 1F第二展示場 
URL:http://koshoken.seesaa.net/

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第14回八王子古本まつり(東京都)

期間:2016/05/01~2016/05/05
場所:JR八王子駅北口駅前西放射線ユーロード
URL:http://www.hachiojiusedbookfestival.com/

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東京愛書会

期間:2016/05/06~2016/05/07
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 
URL:http://aisyokai.blog.fc2.com/

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五反田遊古会

期間:2016/05/06~2016/05/07
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4 

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下町書友会

期間:2016/05/13~2016/05/14
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 

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杉並書友会

期間:2016/05/14~2016/05/15
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9  

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第9回 東京蚤の市

期間:2016/05/14~2016/05/15
場所:東京オーヴァル京王閣 調布市多摩川4-31-1
※入場料が500円かかります。(小学生までは無料)
URL:http://tegamisha.com/

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日本の古本屋メールマガジンその202 2016.4.11

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若冲の本のこと

若冲の本のこと

東京都美術館 学芸員 平方正昭

 若冲は最近になるまで知名度が低く、さほど人気はなかったとの話を良く聞きます。本当でしょうか。
私が高校で学んでいた頃、美術出版社から大型の画集『若冲』が出版されました。この高価な本は、ほとんど実物を見る機会はないままに、うわさを聞くしかありませんでしたが、それでも多くの美術全集の障壁画や水墨画の巻にはたいてい若冲が載っていましたし、どの本でも、西福寺の仙人掌群鶏図などの若冲の作品が載っているページは、他とは違う強いオーラを発散していました。
あの頃も、若冲の人気は高かったし、誰もが知っている画家だったと私は思っています。一般的な人気は、北斎ほどではなかったかもしれませんが、むしろ永徳などよりは、人気があったくらいではないでしょうか。

若冲の展覧会が話題になったというと、宮内庁所蔵の《動植綵絵》の展示にかかわるものが多かったでしょう。1971年に東京国立博物館で全30幅を15幅ずつ展示したのに始まり、2007年の相国寺で開催された120年ぶりという《釈迦三尊》3幅と《動植綵絵》30幅の再会などまさにそうでした。そんな《動植綵絵》の展示で、早いものに、帝室博物館(現・東京国立博物館)で開催された「御物若冲動植綵絵精影」があります。

若冲が相国寺に寄進した《釈迦三尊》と《動植綵絵》ですが、明治22年(1889年)、30幅の《動植綵絵》は明治天皇に献納され、廃仏毀釈の流れに翻弄された相国寺を助けることになったのですが、御物になってから初めての全点公開がこのときのことです。
このときの図録がありますが、現代の展覧会図録から比べると桁違いに豪華で大型の図録で、秋山光夫による綿密な解説も見逃せません。この解説はその後『日本美術論攷(考)』としてまとめられた一冊にも若干筆を加えたものが「若冲の人と藝術 御物若冲筆動植綵繪三十幅に就いて」として収録されています。
その大正15年の図録も、『日本美術論攷』も、1971年の図録も、「日本の古本屋」で見つけ、購うことができました。神保町の町など古書街を歩き回り、または怖い書店主を拝み倒して探してもらったり、、、以前は本を探すのにずいぶん苦労したものでした。

この展覧会から人気が爆発したと言われる2000年の京都国立博物館での「特別展 没後200年 若冲展」も重要な展覧会でした。「日本美術ブーム」そのものがこの展覧会から始まったという人もいます。
この展覧会の図録も、情報や図版を充実させて『若冲大全』として出版され、若冲に関する基本図書といっても良いものとなっています。必見です。

今回の「生誕300年記念 若冲展」ですが、本展は東京で初めて《動植綵絵》全てと《釈迦三尊》が一挙公開されるだけではなく、話題の再発見《孔雀鳳凰図》や会期中巻き直すことなく全体をみていただける《菜蟲譜》もあれば《葡萄小禽図》や《仙人掌群鶏図》、《蓮池図》など数々の代表作。近年、トレードマークの鶏をしのぐ人気の《象と鯨図》、その他、海外のコレクションなども含め、若冲の全貌に近い展覧会になっています。



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生誕300年記念 若冲展
The 300th Anniversary of his Birth: Jakuchu

会期:2016年4月22日(金)~5月24日(火)
会場:東京都美術館 企画棟 企画展示室
休室日:4月25日(月)、5月9日(月)
開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
夜間開室:毎週金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)

その他、休館日、チケットなど詳しい内容はホームページをご覧ください。
http://www.tobikan.jp/index.html

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「カラヴァッジョ展」について

「カラヴァッジョ展」について

国立西洋美術館研究員 川瀬佑介

「カラヴァッジョ展」は、イタリアの代表的な美術館が所蔵するカラヴァッジョの名品と、その影響を受けたカラヴァジズムの作品51点、及び関連文書史料6点により構成し、カラヴァッジョの劇的な人生と作品、そして彼の芸術が美術史に与えた影響を紹介するものです。

カラヴァッジョは、西洋美術史における最大の変革者のひとりにして、バロック美術の創始者にも数えられる画家です。目の前のモデルを忠実に写すリアリズム、素描を行わずカンヴァスに直接描く手法、モチーフの半分を強烈な明暗で影に隠す明暗法(テネブリスム)、そして観る者に直接訴えかけるヴィヴィッドな主題解釈といった点において、彼はルネサンス以来の美術の様々な規範を打ち破り、新時代の到来を告げました。それゆえに時には同時代人からは批判や非難にさらされ、注文主たる教会から作品の受け取りを拒否されることもありました。しかし、彼の画法は多くの熱狂的な継承者(カラヴァジェスキと呼ばれる)を生み、17世紀前半の美術史における一大潮流を築いたのです。彼とその継承者たちの作品は、古典主義的な価値観が主流を占めるようになった17世紀後半からは否定的に評価されましたが、17世紀美術の正統な再評価が試みられた20世紀後半以降、再びその真価が知られるようになりました。

 本展は、国内で開かれるカラヴァッジョに焦点を当てた展覧会としては2001年以来2度目の開催となり、イタリアの代表的な美術館が所蔵するカラヴァッジョの名作11点と、同時代の画家たちの作品を合わせて51点を展示します。カラヴァッジョによる現存する真筆作品は60点強と言われており、その中には移動不可能な祭壇画などが多数あることから、本展の出品数は日本で過去最多、世界でも有数の規模となります。

展覧会の構成は、「風俗画」、「五感」、「静物」、「肖像」、「光」、「斬首」、「聖母子と聖人の新たな図像」というテーマ別に設けた7つの章と、1つのミニ・セクション(「エッケ・ホモ」)から成ります。各章とも冒頭にカラヴァッジョの作品1点(もしくは2点)を置き、その作品を出発点として同様のテーマを扱った同時代の重要な作品群を併せて紹介します。そうすることで、カラヴァッジョの芸術の革新性やその影響力を明らかにすることは言うまでもなく、彼の友人やライヴァル、そして宿敵であった様々な画家たちがどのようにカラヴァッジョ芸術を咀嚼し、そこから新たな展開を生み出していったのか、実際に作品を見比べながら理解していただけるのではないかと考えています。是非展覧会に足をお運びくだされば幸いです。


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カラヴァッジョ展
CARAVAGGIO and His Time: Friends, Rivals and Enemies

会期 2016年3月1日[火]~6月12日[日]
会場 国立西洋美術館[東京・上野公園]
開館時間
午前9時30分~午後5時30分
毎週金曜日:午前9時30分~午後8時
※入館は閉館の30分前まで

その他、休館日、チケットなど詳しい内容はホームページをご覧ください。
http://caravaggio.jp/index.html

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tokyo

『ここが私の東京』扶桑社について

『ここが私の東京』扶桑社について

岡崎武志

 私は一九九〇年の春、大阪から上京してきた。三十三歳になっていた。書く仕事に就くため、何もかも大阪へ置いての捨身の上京であった。以来、出版業界の端っこにしがみついて、どうにかここまで生きてきた。

 上京して気づいたことはたくさんあるが、東京は「上京者」でできている、と気づいた時に、そこにテーマを見つけた。漱石からハルキまで、上京者あるいは上京する主人公を描いた作品を論じた『上京する文學』(新日本出版社/二〇一二年)にそのテーマが結実した。

 その続編をと、季刊雑誌「en-taxi」の依頼を受け、二〇一三年春に始めた連載が「ここが私の東京」であった。同じ上京論ながら、前著と違うのは、「文學」をタイトルから外したことで、作家以外の人も取り上げることができた点だ。出久根達郎、庄野潤三、開高健、司修、富岡多惠子、石田波郷のほか、藤子不二雄Aは漫画家、友部正人と松任谷由実はミュージシャン。そこに文学者とは違う、新たな角度が生まれたし、戦後に限ったことで時代性も濃くなった。佐藤泰志は、すでに発表した原稿を大幅に膨らませ、単行本化の時に増補した。

 人選には自信を持っているが、司修は『赤羽モンマルトル』、藤子不二雄Aは『まんが道』、石田波郷は『江東歳時記』と、東京を描いた著作がある点を重視した。そこから調べ始め、書かれた本を持って、彼らが上京し、また住んだ場所を散策してみた。半世紀を経ている場合が多く、風景はまるで変わってしまっているが、痕跡をたどると、意外な発
見もあった。

 開高健は大阪から寿屋(現・サントリー)支店を立ち上げるため、上京してくる。作家としてやっていくという野心もあった。彼の行くところ、運河や川がつきまとうというのは、痕跡探訪で気づいたことだ。また、上京して二度目に住んだ杉並区矢頭町(現・井草)の家は、住所を頼りに訪ねてみると健在であった。また、出勤するために駅まで歩く姿が写真に残されているが、そのカーブした道を写真のままに歩いていると、会ったことのないこの作家に触れたような気がした。

 出久根達郎さんには本人に直接会って取材し、庄野潤三の場合は、夫人と長女にお目にかかれることができた。連載を持っていたおかげである。庄野潤三は、私の中でも特別な作家であったが、生前は面識がない。名作『夕べの雲』の舞台となった、憧れの庄野家に招かれ、書斎や茶の間を見学し、千壽子夫人と長女・夏子さんにお話をうかがった。お二人とも、庄野作品の主要人物で、初対面の気がしなかった。至福の家族を描く『夕べの雲』そのままの姿であることに感動した。

 東京へ上京して来る者の不安と昂揚は、東京生まれの人にはついぞ味わえぬものだ。その独特な気分が、作品に表れていることを、この仕事を通じて確信したのだった。そして、つねに私を「初心」に還らせた。
上京して二十七年目に出た本『ここが私の東京』は、自分のもの書き人生においても、大切な一冊となったのである。



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『ここが私の東京』 岡崎武志著
扶桑社刊 定価:1600円+税 好評発売中!
http://www.fusosha.co.jp/

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肉筆で読む作家の手紙

肉筆で読む作家の手紙

青木正美

 古本屋稼業六十年の私は、ご多分にもれず文学青年だったが、三十歳で明治古典会(ふるほんいちば)へ入会した途端、目の前にした近代作家の原稿・書簡の蒐集魔となってしまう。やがてそれは『近代作家自筆原稿集(平11)』『近代詩人歌人自筆原稿集(平12)』『大衆文学原稿集(平14)』(各、東京堂出版刊)として結実する。しかし本書の刊行は、実は本の雑誌社から出るについては足かけ三年かかっている。

 昔、人は肉筆で手紙を書いた。そして半世紀、それがいつか手紙の代わりにメールと称し、パソコンのキーボードや携帯電話を操るようになった。第一今では、相手と切り結ぶような生々しい内容を記すことはなくなっている。
 本書の文章は今はなき「彷書月刊」誌に七年間連載したもので、常識的には漱石から始めるのを、私は若き日の読書で、「どうかして生きたい」(「春」)の言葉を残してくれた島崎藤村から始めた。当時約六十人の作家・詩人をとり上げたが、本書では藤村、漱石から谷崎、直哉、太宰、賢治、織田作、清張等二十九名を選んだ。正直言えば、彼らに名が及ばなかった人達の文学への情熱や、貧しさを伝える手紙ほど面白いものはない。が、どんなに興味ある内容でも、手紙に名がなければ本にはして貰えない。無論、藤村などが彼等に負ける手紙を書いているわけではない。私は時に笑い、時に感動で目を潤ませながら、それらに人生や物語を見、解説を加えた。また、古本屋人生や自分史をそこへ重ねた。

 ただ、集書散書は古本屋も蔵書家と同じで、もうその半数の作家のものは流通にのせてしまった。それには古書が売れなくなった反面、書簡や原稿など原資料だけは売れ続けたからでもあった。先に記した「足かけ三年かかっている」の話は、実は出版社は本書に使用した書簡の行方を探索してくれていたのである。
 こうして、小林多喜二宛の志賀直哉書簡や、直木三十五の作家以前の手紙等歴史的文献もあり、最後に加えた「日本古書通信」に連載した「斉藤茂吉異聞」は、私が発見した茂吉の養父母、他の多くの手紙を使用したものだ。
 自著を持ち上げる不遜を許して貰えるなら、昔の作家達はこれほど真剣に肉筆で手紙を書いてくれていたことを紹介したかったのである。どういう縁で手に入れたかのいわれともども、是非読んで頂きたいと思います。



sakka
『肉筆で読む作家の手紙』 青木正美 著
本の雑誌社刊 定価:2160 円(税込) 好評発売中!
 http://www.webdoku.jp/kanko/page/9784860112837.html

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2016年3月25日 第201号

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☆INDEX☆
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1.「岡崎武志×古本屋ツアー・イン・ジャパン 古本屋写真集」
               古本屋ツーリスト 小山力也
2.『美術館の舞台裏』  三菱一号館美術館館長  高橋明也
3.『円山町瀬戸際日誌』をめぐって        内藤 篤

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━━━━━━━━━━【自著を語る(155)】━━━━━━━━━━━

「岡崎武志×古本屋ツアー・イン・ジャパン 古本屋写真集」

                 古本屋ツーリスト 小山力也

写真は1827年にフランスのニエプスにより発明され、そこから急速
な技術の進化を経て、今日に至っている。その進化の素晴らしい副
産物とも言える、撮影した写真をテーマなどに基づき一冊の本にま
とめた写真集は、早くも1841年に出されている。写真集も、自然の
情景や街の風景に始まり、芸術・報道・人間・動植物・昆虫・天文
・建築物・スポーツ・ヌード・アイドルなど、多岐に広がり進化し
て、人間の貪欲な好奇心を満たして来た。そして2016年、その細分
化した好奇心は異常に極まり、一冊のニッチな写真集を生み出すこ
ととなった。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=2684

「岡崎武志×古本屋ツアー・イン・ジャパン 古本屋写真集」
B6版118ページ オールカラー 定価1500円(税込)3月26日発売
発売:盛林堂書房

古ツア ちょっと変態的かもしれないけど、古本屋さんて非常に
フォトジェニックだと思うんですよ。 岡崎 絵になるよな。そう
思うのは僕たちだけか(笑)。 「野呂邦暢古本屋写真集」に続く、
前代未聞の古本屋オンリー写真集第二弾。
二人の古本屋ウォッチャーが悩み選び抜いた、古本屋好き必見の全
国119軒を掲載。 ただの店舗写真であるはずなのに、そこには昭和
と異界と懐かしさと過剰な知性とだらしなさと人生とカオスと掠れ
行く光景が、間違いなく写り込んでいる! 写真集解説となる充実
の語り下ろし「古本屋写真対談」も収録。

「盛林堂書房」
http://seirindousyobou.cart.fc2.com/
http://d.hatena.ne.jp/seirindou_syobou/

━━━━━━━━━━━【自著を語る(156)】━━━━━━━━━

『美術館の舞台裏』

               三菱一号館美術館館長 高橋明也

この本の「あとがき」にも書いたが、私と美術館の世界の関わりは
既に50年以上に及ぶ。といっても、最初は、早大で仏文を講じてい
た父が交換教授でパリに赴くこととなったため、家族ではるばる横
浜から船に乗ってマルセイユに着いた1965年に遡る。
小学6年生だったが、すっかり彼の地の「美術」文化の豊かさに衝
撃を受けた私は、当時未だ日本人学校もないのをいいことに、ルー
ヴル美術館やヴェルサイユ宮、シャルトル大聖堂をはじめ、文化施
設や旧跡を毎日のように訪れた。


続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=2682

 『美術館の舞台裏 ─魅せる展覧会を作るには』 高橋明也 著
 筑摩書房刊 定価:780円+税 好評発売中!
 https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480068613/

ARIS オートクチュール-世界に一つだけの服
日時:  3月4日(金)~5月22日(日)
開館時間:10:00~18:00
場所:三菱一号館美術館
ホームページ: http://mimt.jp/paris-hc/
(祝日を除く金曜、会期最終週平日は20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日 月曜日(但し、祝日と5月2日、16日は開館)

当日券
一般 1,700円
高校・大学生 1,000円 ※3月15日~31日 学生無料ウィーク
小・中学生   500円 ※3月15日~31日 学生無料ウィーク

━━━━━━━━━━━【自著を語る(157)】━━━━━━━━━

『円山町瀬戸際日誌』をめぐって

                     内藤 篤

シネマヴェーラ渋谷という名の名画座を渋谷円山町にオープンさせ
て丸10年の節目に、「円山町瀬戸際日誌」との題で、かつて東京大
学出版会のPR誌に連載させてもらった原稿をネタに、『円山町瀬戸
際日誌』なる一冊を上梓させていただいた。
筆者は、いわゆるサブカル世代に属しており、植草”JJ”甚一氏や
小林信彦氏の影響のもとに育ったものだから、趣味といえば、映画
であり、古本であり、ジャズなのである。古本屋通いは、むしろJJ
氏に接するはるか前、中学1年生くらいから始まっていた。


続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=2677


『円山町瀬戸際日誌-名画座シネマヴェーラ渋谷の10年』
 内藤 篤 著 羽鳥書店刊 定価:2400円+税 好評発売中!
 http://www.hatorishoten.co.jp/76_131.html


━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━━

『ここが私の東京』 岡崎武志著
扶桑社刊 定価:1600円+税 4月9日発売予定
http://www.fusosha.co.jp/


━━━━━━━【第6回神保町連続まんが講座】━━━━━━━━



「第6回神保町連続まんが講座」
村上もとか講演会 フイチンさんとその時代


日時  4月2日(土) 13:30受付開始 14時開始
場所  東京古書会館7F
入場料 大人1000円 中学生以下500円
先着  100名
共催  神田古書店連盟・明治大学米沢嘉博記念図書館・
    本の街 神保町を元気にする会


インタビュアー
「ビッグコミックオリジナル」副編集長・石原隆(いしはらゆたか)
村上もとか先生担当編集者です。 

1時間半ほどお話を聞いてから、会場で販売する最新刊の
「フイチン再見!第7巻」をお買い上げいただいた方はその場で
サインを貰えます。

━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━

3月~4月の即売展情報

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

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日本の古本屋メールマガジンその201 2016.3.25

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:殿木祐介
編集長:藤原栄志郎

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2016年3月11日 第200号

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       古書市&古本まつり 第40号
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━━━━━【3月10日~4月15日までの全国即売展情報】━━━━━

⇒ https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

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有隣堂藤沢店・4階古書フェア(神奈川県)

期間:2016/03/10~2016/03/23
場所:有隣堂藤沢店4階ミニ催事場
   神奈川県藤沢市南藤沢2-1-1

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三省堂古書館 春の古書市

期間:2016/03/11~2016/03/28
場所:三省堂書店神保町本店 8階催事場 
   東京都千代田神田神保町1-1
URL:http://sanseidokosyo.jugem.jp/?cid=2

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東京愛書会

期間:2016/03/11~2016/03/12
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
URL:http://aisyokai.blog.fc2.com/

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第9回 上州大古本まつり(群馬県)

期間:2016/03/12~2016/03/17
場所:群馬県庁 県民ホール 前橋市大手町1-1-1 

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古書愛好会

期間:2016/03/12~2016/03/13
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9   

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浅草エキミセ 古本市

期間:2016/03/16~2016/03/22
場所:浅草駅ビル「エキミセ」自動ドア前・東武トップツアーズ前
   東京都台東区花川戸1-4-1

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第1回 ほんのまち古本市

期間:2016/03/18~2016/03/20
場所:神田古書センタービル7階 イベントスペース「ほんのまち」
   千代田区神田神保町2-3

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趣味の古書展

期間:2016/03/18~2016/03/19
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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第25回弁天町 ORC200古本祭り(大阪府)

期間:2016/03/18~2016/03/24
場所:弁天町オーク200 2F オーク広場
JR大阪環状線、地下鉄中央線の各「弁天町」駅連絡通路直結

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第75回シンフォニー古本まつり(岡山県)

期間:2016/03/23~2016/03/28
場所:岡山シンフォニービル1F  自由空間ガレリア
   岡山県岡山市北区表町1-5-1

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六甲道駅売り情報(兵庫県)

期間:2016/03/23~2016/03/28
場所:JR神戸線 六甲道駅  神戸市灘区永手町四丁目1-1

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第18回フジサワ湘南古書まつり(神奈川県)

期間:2016/03/24~2016/03/27
場所:有隣堂藤沢店イベントホール (フジサワ名店ビル6階)
   神奈川県藤沢市南藤沢2-1-1

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浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2016/03/24~2016/03/27
場所:JR浦和駅西口下車 徒歩5分 さくら草通りマツモトキヨシ前

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和洋会古書展

期間:2016/03/25~2016/03/26
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22  

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五反田遊古会

期間:2016/03/25~2016/03/26
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4

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第一回 小倉 駅ナカ蚤の市(福岡県)

期間:2016/03/26~2016/03/27
場所:小倉駅ビル3階JAM広場(JR小倉駅3階改札前)

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中央線古書展

期間:2016/03/26~2016/03/27
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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新橋古本まつり

期間:2016/03/28~2016/04/02
場所:新橋駅前 SL広場

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第23回 BOOK & A(ブック&エー)

期間:2016/03/31~2016/04/03
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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紙魚之會

期間:2016/04/01~2016/04/02
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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神保町さくらみちフェスティバル~春の古本まつり~

期間:2016/04/01~2016/04/03
場所:神田神保町古書店街(靖国通り沿い)

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第八回 春のふるほん祭り(高知県)

期間:2016/04/02~2016/04/03
場所:五台山・山頂展望台 パノラマ1F
   高知県高知市五台山

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小江戸川越 ペペ古本まつり(埼玉県)

期間:2016/04/07~2016/04/18
場所:ペペ広場 西武新宿線本川越駅前

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青札古本市

期間:2016/04/07~2016/04/10
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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倉庫会(名古屋)

期間:2016/04/08~2016/04/10
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田5-1-12

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書窓展(マド展)

期間:2016/04/08~2016/04/09
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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カジル横川古本まつり(広島県)

期間:2016/04/11~2016/04/17
場所:フレスタモールカジル横川 一階通路 
   広島市西区横川町3-2-36 JR横川駅隣接

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第27回 古本浪漫洲 Part1

期間:2016/04/14~2016/04/17
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場) 新宿区歌舞伎町1-2-2

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本の散歩展

期間:2016/04/15~2016/04/16
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4

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日本の古本屋メールマガジンその200 2016.3.11

【発行】
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 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
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【発行者】
 広報部:殿木祐介

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『円山町瀬戸際日誌』をめぐって

『円山町瀬戸際日誌』をめぐって

内藤篤

シネマヴェーラ渋谷という名の名画座を渋谷円山町にオープンさせて丸10年の節目に、「円山町瀬戸際日誌」との題で、かつて東京大学出版会のPR誌に連載させてもらった原稿をネタに、『円山町瀬戸際日誌』なる一冊を上梓させていただいた。

筆者は、いわゆるサブカル世代に属しており、植草”JJ”甚一氏や小林信彦氏の影響のもとに育ったものだから、趣味といえば、映画であり、古本であり、ジャズなのである。古本屋通いは、むしろJJ氏に接するはるか前、中学1年生くらいから始まっていた。

むろん古本屋街といえば、神田神保町であり早稲田であったのだが、筆者は東横線の住人だったので、その沿線の各駅に点在する古書店こそが日々の古本屋通いの実践、中でも渋谷は、かつての全線座や東急名画座などの映画館の存在もあり、東横線沿線に住むサブカル少年にとっての特別の場所だった。学校帰りの土曜などにこの地に踏み入ると、今はユニクロなどが入居しているビルの建つ場所にあった恋文横丁なる通りの古本屋で、ペイパーバックスなどを物色中のJJ氏に出くわしたりして、興奮したものである。学校の中間試験だの期末試験が終われば、これまた渋谷に繰り出して、名画座で映画を観るのである。全線座の閉館が1977年とあるので、筆者が大学に入った年だが、東大の駒場キャンパスだから、渋谷との縁は居酒屋などを通じて、あいかわらず切れない。

そうした渋谷の地にシネマヴェーラ渋谷をオープンしたのが2006年の1月である。その時点で渋谷には名画座の影はない。古本屋はというと、70年代には道玄坂に1軒(恋文横丁のを入れれば2軒)、宮益坂上に4軒あったと記憶するが、いまは全体で4軒だから、大きな変化はないが、微減状態にはある。リアルの古本屋はネットのそれにとってかわられ(実際、筆者もいわゆる古本屋歩きを、最近ずいぶんしていない)、映画館も同様で、まずはレンタルビデオに食われ、いまやネットの視聴に浸食されている。その傾向は10年前よりも顕著であり、渋谷などは、映画館の数自体がこの数年で激減している。

いわゆるパルコ文化が、70年代・80年代の渋谷と結びついていたものだから、そうした文化の終焉が渋谷を淋しくしたともいえる。その後のギャル文化だの、近年のハロウィーンをめぐるバカ騒ぎなども、渋谷を舞台にしてはいるわけだから、新たな文化ムーブメントなのかもしれないが、我々とは無関係なのである。まあ、我々の前の世代の文化も、そうやって滅びつつ渋谷の地に蓄積していったのだろうから、我々も、それに甘んじるほかはなかろう。だが、名画座にしろ古本屋にしろ、なにか文化的なムーブメントのピークに君臨するような存在ではない。その意味では、筆者の名画座も、これからもジワジワと、渋谷の地の片隅に、古本屋などと肩を並べつつ居られたらと思う。



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『円山町瀬戸際日誌-名画座シネマヴェーラ渋谷の10年』
 内藤 篤 著 羽鳥書店刊 定価:2400円+税 好評発売中!
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Copyright (c) 2016 東京都古書籍商業協同組合

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