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「敗れし者の静かなる闘い」について

「敗れし者の静かなる闘い」について

茅原健

 我が家の家系を辿ると、曽祖父から流れている旧幕臣という素性意識がわだかまっている。これは、時代錯誤といわれるかも知れない。しかし、戊辰戦争に敗れて虱だらけになって帰還した曽祖父の無念を継いだ祖父は、旧幕臣の系譜にこだわり、薩長の栗は喰まないという気概を秘めて東北に流れて、その地方新聞に筆を執り、「東北に平民政治を」という論調を掲げた。
 
 その末裔に連なる者としてやはり曽祖父、祖父の衣鉢を継がねばならない。それに、時代は変転し、その有り様は違うが、昭和ヒトケタ生まれの者が経験した日本の敗戦は、まさに敗者であった。いくさが終った訳ではない。いくさに敗けたのであるあとがきに添えた拙句の「疎開地や米食へぬ日々敗戦忌」は、疎開地での東京者の生活は惨憺たるものであったことを伝えるとともに、その敗者の心理を戊辰戦争で敗者となった旧幕臣の心情に重ねて詠んだつもりである。
 その戊辰敗者が、覇権奪還という大掛かりな企みではなく、敗者の精神的復活を期するために官学教育ではない、私塾教育による人間像を形成するという永劫不変なテーマに取り組んだ。本書は、そこに着目したのである。
 静岡学問所や沼津兵学校は旧幕臣の学び舎として典型的な例だが、戊辰敗者の大鳥圭介、榎本武揚など「逆賊」が私塾に掛けた思いは強いものがあった。

 とくに「この輩を養成する経費なし」と体よく文部省の役人に断られて官許が得られず、私立学校として設立された商法講習所(現・一橋大学)や工手学校(現・工学院大学)の設立については、渋沢栄一の惜しみない援助があった。 
 また、福沢諭吉の慶應義塾、中村正直の同人社、津田仙の学農社農学校、尺振八の共立学舎などは、旧幕臣の意気地が通底した私塾である。これら旧幕臣の学び舎は、旧幕臣のネットワークを形成して、その紐帯を強固なものとし、掲げる教育方針は、自主独立を基本としたのである。その顕著な例が、新島襄の同志社などのキリスト教による自由、博愛の教育である。ここにも本書の眼目を置いた。
B6判、二五八頁  定価二二〇〇円(送料一八〇円)日本古書通信社発売
ISBN978-4-88914-068-2

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『敗れし者の静かなる闘い』 茅原健
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『ブックセラーズ・ダイアリー―スコットランド最大の古書店の一年』

『ブックセラーズ・ダイアリー―スコットランド最大の古書店の一年』

矢倉尚子

 翻訳は――人によって違うのだろうが少なくとも私の場合は――どこかの時点で憑依というか、原著者に乗り移ってもらって語り出すことができなければ、満足な仕事にはならない。そこで著者のことばに重なりそうな材料を探し求めて、まず最初に古本を買いまくる。どの資料がいつ必要になるかわからないので、図書館は役に立たない。あちこち歩きまわっている時間はないから、とりあえずはネットで買う。慣れてくると鼻が利いて、これは使えそう、というのがかなりの勝率で当たるようになる。

 だから私の周囲に積み上げられた本は、本来の趣味嗜好とはあまり関係がない。4年ほど前に訳した小説に実験用のチンパンジーが登場したときは、机のまわりに霊長類研究の本が散乱し、どちらを向いても表紙のチンパンジーと目が合った。その前はイランの現代史や古典が並んだ。今回はいみじくも古書店主の日記を訳すことになったため、手始めに日本の古本屋さんが書いた古本を買い漁った。
 『ブックセラーズ・ダイアリー―スコットランド最大の古書店の一年』は、素人が書いたやや癖のある文章なので、当初はなかなか勝手が掴めず、著者が語り出してくれなくて苦労した。ショーン・バイセル氏がようやく饒舌になったのは、日本の古書店主さんたちの声が重なってくれたおかげだと思う。

 バイセルの店、その名も「ザ・ブックショップ」は、スコットランド南部の海岸に面したウィグタウンという美しい小さな町にある。ここは1999年に厳正な審査を経て選ばれた、スコットランド政府指定の「ブックタウン(古書の町)」である。人口1000人足らずの町に古本屋が少なくとも16軒、他に書籍や美術関係のさまざまなビジネスがあるそうだ。
 生まれ故郷がブックタウンに指定されてから2年後、帰省中に町の古本屋にふらりと入ったバイセルは、やりたい仕事が見つからない、人に使われるのは性に合わないんだとこぼしているうちに、年配の店主から、それならローンを組んでこの店を買い取らないかと言われて即決してしまう。その日から、彼のサバイバルゲームが始まった。

 日記はいかにもインテリ英国人らしいひねくれたユーモアで、客やアマゾンとの駆け引きが面白おかしく書かれているのだが、このバイセル氏、本の町ウィグタウンの発展を支えてきた中心人物でもあるらしい。ちょうどこの原稿がウェブに載るころにはウィグタウン・ブックフェスティバルが開催されているはずだ。これをヨーロッパでも指折りの魅力的なイベントに育て上げたのも、彼の力が大きいという。

 今回私が訳した日記にはほとんど触れられていないけれども、さまざまなブックタウン構想の中でも大成功を収めているユニークな企画が、Airbnbの「オープンブック」である。キッチン付きの洒落たワンベッドルームのアパートに最短1週間から最長2週間まで、2人で1泊約1万円で滞在できるのだが、じつはこの部屋には1階に自由に使える本屋がついている。つまり1~2週間の古書店主体験ができるわけだ。条件は、週に35時間以上店を開けること。もともと寄贈された本がたくさん置いてあるが、もちろん自分で持ち込んだ本を売ることもできる。作家やアーティストが自分の作品を売ることも多いという。ただし報酬はなく、利益は運営団体への寄付となり、維持費に使われる。

 タイムズ紙などの記事によると、ヨーロッパやアメリカ、カナダなどで大型書店を経営している人が昔の小さな店を懐かしんでやってきたり、逆に新しく書店の開業を考えている人が、体験学習の場として訪れることもあるらしい。もちろん、一生に一度でいいから本屋をやってみたかったという人も多い。地元の人たちはみな親切で好奇心旺盛で、つぎつぎに店を覗きにきたり食事に誘ってくれたりするようだ。あちこちのメディアに取り上げられたおかげで、ヨーロッパ全土どころか南北アメリカ、アジアからも、本屋になりたい滞在希望者が殺到して、現在は3年先まで予約が埋まってしまい、ウェイティングリストに登録するようになっている。

 じつはAirbnbのサイトでオープンブックを検索してみたとき、最初に現れた口コミ(もちろん体験者の)が日本人女性だったのには驚かされた。韓国や中国からは、ビジネスモデルを教えてほしいという問い合わせが相次いでいるそうだ。このアイデアを日本でも試みれば、町おこしの絶好の目玉アイテムになるのではないだろうか。体験してみようと思う方は、今すぐにもウェイティングリストに登録することをお勧めする。
 『ブックセラーズ・ダイアリー』は欧米で出版早々ベストセラーになり、すでに続編も出ている。それを読むとショーン・バイセルはオープンブックの滞在客をたびたび自宅に誘っている。面白い企画を持ち込めば、いつの日か彼の日記の続々続編あたりに登場できるかもしれない。

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『ブックセラーズ・ダイアリー』 ショーン・バイセル 著 矢倉尚子 訳 
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第33回 退屈男さん ちょっとずつ「本の世界」に関わるひと

第33回 退屈男さん ちょっとずつ「本の世界」に関わるひと

南陀楼綾繁

 この連載は、古本や古本屋と自分なりに付き合ってきた人に話を聞くことを目的としている。インタビューの場では、その人の話を引き出すために、私自身の体験を話すこともあるが、文章にまとめる際には極力カットしている。
 しかし、以前からの知り合いだとそれがやりにくい。つい、自分の思い出を通して、その人を描いてしまう。相手と私を切り離して書きにくいのだ。だから、数人の例外を除き、旧知の人はなるべく外している。
 最終回に退屈男さんに出てもらったのは、最後にプライベートな友人の話を聞いてみたかったからだ。その話の中には当然、私も出てくる。友人と云っても、一回り以上年下で、ふだんは「退屈くん」と呼んでいるので、ここでもそう書かせてもらう。

 2004年6月にはじまったブログ「退屈男と本と街」は、新刊書店や古本屋をめぐって買った本の話を書くという点では、ほかの本好きによるブログと変わらない。しかし、取り上げる本の雑多さと、それにまつわる情報の豊富さでは突出していた。
 一冊の本から、出版社のサイトに飛んで裏話を見つけ、書店でやっているフェアに触れ、その本に言及している個人のブログを紹介する。ひとつの記事は短いが、貼ってあるリンクをたどると、読むテキストは2倍にも3倍にもなる。
 圧巻だったのは、2005年4月にはじめて開催された「不忍ブックストリートの一箱古本市」の2日後にアップされた「一箱古本市まとめリンク集」だった。主催者、店主さん、お客さんのブログの記事が70本近く取り上げられている。これによって、一箱古本市に対するネットの反応が目の前にドンと投げ出されたような気がした。

 この第1回一箱古本市で、退屈くんは自転車で走る私を目撃しているが、会話は交わさなかったように思う。はじめて話をしたのは、この年9月、私が谷中で開催した「一部屋古本市に、退屈くんが参加したことだった。「こんなに若いのか!」とびっくりしたことを覚えている。日は違ったが、このイベントには当時は「書物奉行」と名乗っていた書物蔵さんも参加している。
 その後、退屈くんは毎回、「一箱古本市まとめリンク集」をアップしてくれた。また、「わめぞ」(早稲田・目白・雑司ヶ谷で本のイベントを開催するグループ)にも加わり、さまざまなイベントを手伝う。本周りの楽しいことには、いつも顔を出している青年というイメージがある。
 前置きが長くなったが、彼が「退屈男」になる過程をたどってみよう。

 1982年、新潟県小千谷市に生まれる。当時は祖父母、父母、2つ下の妹の6人家族。父は市役所に勤めていたので、家の本棚には行政の実務書ばかり。文学全集は屋根裏に眠っていた。
「絵本で覚えているのは、いわむらかずおの『14ひきの』シリーズや、『あしにょきにょき』(深見春夫)など。もう少し大きくなると、車や建物、昆虫などの図鑑を読みました。図解されているものが好きだったんです」
 両親は本をよく買ってくれた。小学生になると、学習マンガのシリーズを買ってもらった。市内に書店がいくつかあった。自宅の斜め向かいに〈ブックス平沢〉という県内のチェーン店が本、ビデオ、CDの複合店を出店すると、しょっちゅう通う。
「父が仕事に関する雑誌、母は『暮しの手帖』や『主婦と生活』、僕は少年マンガ誌や小学館の学年雑誌を購読していました。父がプロ野球好きだったのに影響されて、『週刊ベースボール』と『ファミコン通信』も購読しました。投稿が初めて掲載されたのも『ファミ通』です」
 ナイター中継からラジオ好きになり、小学校低学年から深夜ラジオを聴くようになる。ラジオとの付き合いは、その後ずっと続く。

 小学生では宗田理の「ぼくら」シリーズやスニーカー文庫などのライトノベル、中学生になると夏目漱石や太宰治、藤沢周平や山田風太郎などの時代小説も読んだ。しかし、小説よりはノンフィクションの方が好きで、中公新書や講談社現代新書の歴史ものを読んだり、山際淳司や近藤唯之のスポーツもの、現代教養文庫で佐高信が監修して復刊したノンフィクションの名作を読む。
「一方で、新潮文庫で泉麻人のエッセイを読み、そこから小林信彦、橋本治、大瀧詠一などのサブカル系に入っていきました。中野翠、山本夏彦、えのきどいちろうなど、コラムニストと呼ばれる人が好きだった。ブックス平沢にはちくま文庫の棚があり、そこで荒俣宏や赤瀬川原平、虫明亜呂無などを買って読みました」
 文庫について、退屈くんは「当時は単行本から文庫化するまで、いまよりも時間がかかっていましたよね。だから、ちょっと古い本という感覚がありました」という。たしかに、この数年間のタイムラグが不思議だったり面白かったりしたのだ。先走って云えば、古本についても退屈くんは「ちょっと古い本」を好んで買っている。
「ブックス平沢には毎日通い、『広告批評』『ダカーポ』『ナンバー』『別冊宝島』などを立ち読みしました。買っていたのは、『レコードコレクターズ』やゲーム雑誌、『モノマガジン』など。新発売の商品のスケジュールをマーカーでチェックしたりしていました(笑)。データを見ること自体が好きだったんです」

 2000年、法政大学二部(夜間)に入学する。父が公務員であることや、高校のとき岩波文庫で『石橋湛山評論集』を読んだことから、政治学科を選ぶ。昼間はゴルフ練習場やコンビニでアルバイトして、夕方から授業に出た。
 実家にいた頃、リサイクル系の古本屋で文庫を買ったことがあるが、神保町の古本屋に行ったのは、受験で上京したときが最初だった。大学に入ってからはときどき神保町に行ったが、店頭の均一台を覗くだけで、中に入ることはなかった。
 小竹向原に住んでいたので、西武池袋線沿線の古本屋によく行った。江古田では〈落穂舎〉〈根元書房〉、ブックオフなど。東武東上線の大山には〈ぶっくめいと〉があり、狭かったがちょっと珍しい文庫が買えた。
「ラジオを聴きながら散歩して、古本屋に寄り、公園で本を読むという生活でした。片岡義男や坪内祐三など読むものの範囲が広がりました」
 やりたい仕事もなく、就職活動もしないまま留年し、5年で卒業したのは2005年3月だった。

 在学中、先に書いたようにブログ「退屈男と本と街」を開始した。
「この頃、なにかの記事でブログというものがあることを知って、自分でもやってみることにしました。もともと日記を読むのが好きで、植草甚一のエッセイにどの本屋で何の本を買ったか書いてあるのが楽しかった。大瀧詠一の『ロックンロール退屈男』から『退屈男』をいただき、書評よりも本をめぐる動きの方が面白いと思って『本と街』と付けました」
 そうして生まれた「退屈男と本と街」は、最初は自分の買った本や読んだ本についての日記だが、次第に、本好きのブログやサイトを紹介することに主力が置かれるようになる。
「あまり知られていないけど、面白いと思うブログを紹介したかったんです。それで自分の行動の記録とリンクを一緒に載せました。あるブログと別のブログを紹介することで、こういう動きが起きていると伝えるようにしました」
 ブログを通じて、古本好きとやりとりをするようになり、イベントで顔を合わせたりした。早稲田〈古書現世〉の向井透史さんら古本屋と知り合いになり、古書会館での即売会にも行くようになった。
「第1回の一箱古本市には、先日亡くなった作家の小沢信男さんが出店されていて、ご本人から『あほうどりの唄』を買ったのが思い出深いです。小沢さんや小関智弘さんが描く東京が好きなんです」

 卒業後の退屈くんは、神保町の〈三省堂書店〉でアルバイトをする。知らない本が見られるのが面白く、古本屋に近いのもよかった。その頃、若き日の母親が、神保町のすぐ隣の神田三崎町にあった製本工場で10年間働いていたことを知った。「(近くにあった喫茶店の)〈エリカ〉はまだあるの?」などと聞かれ、驚いた。近代映画社の『スクリーン』などを製本する会社だったという。
その後、複数の出版社や図書館、古本屋で働いてきた。しばらく会わないと、もう別のところにいるという印象だ。これだけ本に詳しいのだから、どこかに落ち着いたらいい仕事をするはずなのにと、私は勝手に心配していたが、本人は「本のいろんな面に関わることができて面白い。僕にはこういうのが合っているみたいです。わめぞのイベントでもそうですが、雑用とか補佐が好きなんです」と話す。
 現在はある出版社で営業の仕事をしながら、二つの古本屋でアルバイトをしている。ほとんど休みもないようだが、いろいろなところにちょっとずつ関わるというスタイルが彼には向いているのかもしれない。
 ブログは2008年頃から更新が減り、その後はツイッターに移行する。「もともと僕には文章を書きたい気持ちはあんまりないんです」。ブログをはじめたことで、好きだった書き手に会うことができた。
「亡くなったノンフィクション作家の黒岩比佐子さんとも、ブログを通じて知り合いになれました。自然に知り合いが増えていくのがよかったです」

 本好きではあるけれど、モノとしての本にはそれほど興味がなく、電子書籍で読むことも多い。以前は部屋が本だらけだったが、引っ越しをするたびに処分して、いまは本棚に収まるだけしかない。
「古本屋の仕事で宅買い(出張買取り)していると、人のコレクションに触れるのが面白くなって、自分の本へのこだわりが薄くなっていきました」
 最近買った古本を見せてもらうと、『僕等の生活絵物語』という冊子を見せてくれた。スケッチブックに手書きされたもので、戦前の寮生活を描いている。バイトしている古本屋で買ったものだという。
 もうひとつは、文藝春秋のPR誌『本の話』。90年代のものを30冊ぐらいまとめて買った。「この時代の特集がいいんですよね。PR誌は前から好きで、本屋でもらって風呂で読んでいました」
 自分の読書は「雑食性」だと云うとおり、そのときの興味がおもむくままに、古本屋で見つけた本を買ってきた。何かにとらわれることがなく、とても自由だ。
「今後は、地方の本屋に行ってみたいですね。あと、ずっとラジオが好きなので、ラジオと本に関することに、なにか関われたらと思います」

 この文章を書くために、久しぶりに「退屈男と本と街」を開いてみたら、まだ本人と会う前の2005月1月に「二〇〇四年の五冊」という記事が見つかった。私の最初の単行本『ナンダロウアヤシゲな日々 本の海で溺れて』(無明舎出版)について書いている部分を、気恥ずかしいが引用する。
「『本の海で溺れて』とあるが、ただひとり溺れるだけでない。南陀楼さんはその海の泳ぎ方がじつによいのだ。そして、おなじように本の海を泳いでいるひとたちを見つけ、接し、また外にそれを伝えていく。そのことによって、読者は、本の海のまだ知らぬ領域まで泳ぎすすむことができる。
 ぼくのすきな『ふらふら』感を、けっこう感じられるところもいい」
 この一文を読んで、退屈くんの雑食性とちょっとずつ関わるスタイルは、自分にも共通していると気づいた。だから、たまにしか会わなくても、彼のことがなんだか気にかかるのだ。
 退屈男くんは、古本を通じて出会った大切な友人である。これからも。

 

 

南陀楼綾繁
1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」の代表。各地で開催される多くのブックイベントにも関わる。
「一箱本送り隊」呼びかけ人として、石巻市で本のコミュニティ・スペース「石巻まちの本棚」の運営にも携わる。本と町と人をつなぐ雑誌『ヒトハコ』(書肆ヒトハコ)編集発行人。著書に『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、『一箱古本市の歩きかた』(光文社新書)、『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』(ちくま文庫)、共著『本のリストの本』(創元社)などがある。

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※ご好評いただきました『シリーズ古本マニア採集帖』は、今回を持ちまして終了します。連載のご愛読ありがとうございました。
なお、11月に皓星社から刊行予定です。ご期待ください。

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2021年9月10日号 第330号

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 古書市&古本まつり 第104号
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━━━━━━━━━【『東京古書組合百年史』刊行】━━━━━━

『東京古書組合百年史』 好評発売中!

東京都古書籍商業協同組合は、1920年1月に東京古書籍商組合とし
て創立され、2020年に創立100周年を迎えました。
100周年の記念事業の一環として 2021年8月に『東京古書組合百年史』
を刊行いたします。
本史は、昭和・平成・令和の各時代における古書市場の歴史は
もちろんのこと、当組合が経験してまいりました様々な歴史を
記録として残すことを心がけました。
ぜひ多くの皆様にご覧いただければ幸いです。

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・総 頁 数:696ページ(内、巻頭カラーページ:16ページ)
・定  価:8,000円(税込)

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━━━━━━━━━━【シリーズ 古書の世界】━━━━━━━━

高嶺格「歓迎されざる者」とホテルのライブラリー

                   書肆吉成 吉成秀夫

書肆吉成のメルマガ連載は最終回です。今回は現代アートの作品で
詩歌を選び、三菱地所が新築するホテルのライブラリールームで北
海道の本を選んだ、「選書」の仕事についてご報告します。
ーーーーーーー 
 
キーンと冷える真冬の3月だった。
元ダムタイプのメンバーで現代芸術のアーティスト・高嶺格(たか
みね・ただす)による展覧会「歓迎されざる者」の北海道バージョ
ンを夏に開催する予定がある、作品はパフォーマーによる詩の朗読
が大きなポイントになるのだが、そこで何を読むかゼロから考えた
い、相談にのってもらえないだろうか。札幌市文化芸術交流センタ
ーSCARTSの方からお話しがあったとき、直感的に面白そうだとおも
った。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=7264

書肆吉成
https://camenosima.com/

━━━━━━━━━【シリーズ 古本マニア採集帖】━━━━━━

第32回 村上潔さん 都市を回遊し本と音楽に出会うひと

                      南陀楼綾繁

 7、8年前だったと思う。京都で古本屋めぐりをしているときに
立ち寄ったカフェで、一人の男性に声を掛けられた。私がTwitterで
つぶやいたのを見て気づいたようだ。村上潔さんと名乗るその人は、
小冊子を渡して去って行った。その頃から開催されていた「京都レ
コードまつり」を楽しむための副読本のような内容で、食事の間に
楽しく読んだ。
「あれは自分で最初につくったZINEでした。研究者としての仕事か
ら離れたところで、ひとりでつくる楽しさがありました。レコード
屋や古本屋で会った人に名刺代わりに渡していました」

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=7268

南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ)

1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一
文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、
図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年
から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」
の代表。各地で開催される多くのブックイベントにも関わる。
「一箱本送り隊」呼びかけ人として、石巻市で本のコミュニティ
・スペース「石巻まちの本棚」の運営にも携わる。本と町と人を
つなぐ雑誌『ヒトハコ』(書肆ヒトハコ)編集発行人。著書に
『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、『一箱古本市
の歩きかた』(光文社新書)、『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、
『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』
(ちくま文庫)、共著『本のリストの本』(創元社)などがある。

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『蒐める人 情熱と執着のゆくえ』 南陀楼綾繁 著
皓星社刊 価格:1,600円(+税) 好評発売中!
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━━━━━━━━━【東京古書組合からお知らせ】━━━━━━

「コショなひと」始めました

東京古書組合広報部では「コショなひと」というタイトルで動画
配信をスタート。
古書はもちろん面白いものがいっぱいですが、それを探し出して
売っている古書店主の面々も面白い!
こんなご時世だからお店で直接話が出来ない。だから動画で古書
店主たちの声を届けられればとの思いで始めました。
お店を閉めてやりきったという店主、売り上げに一喜一憂しない
店主、古本屋が使っている道具等々、普段店主同士でも話さない
ことも・・・
古書店の最強のコンテンツは古書店主だった!
是非、肩の力を入れ、覚悟の上ご覧ください(笑)

自動車趣味の店 ロンバルディ 古戸 学
snowdrop 南 由紀
千章堂 林 高志
百年史ダイジェスト編

YouTube 東京古書組合
https://www.youtube.com/channel/UCDxjayto922YYOe5VdOKu9w

━━━━━【9月10日~10月15日までの全国即売展情報】━━━━━

⇒ https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

※現在、新型コロナウイルスの影響により、各地で予定されている
即売展も、中止になる可能性がございます。ご確認ください。
お客様のご理解、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。

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書窓展(マド展)※会場販売中止になりました
(目録ご注文は通常通り承ります)

期間:2021/09/10~2021/09/11
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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♭立川フロム古書市ご案内♭

期間:2021/09/10~2021/09/21
場所:立川駅北口徒歩5分フロム中武
(ビッグカメラ隣) 3階バッシュルーム(北階段際)

http://mineruba.webcrow.jp/saiji.htm

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好書会【会場販売あります】

期間:2021/09/11~2021/09/12
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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反町古書会館展※会期が変更されました(神奈川県)

期間:2021/09/11~2021/09/12
場所:神奈川古書会館1F  横浜市神奈川区反町2-16-10
TEL:090-1656-9717(グリム書房)

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第43回古本浪漫洲  Part2

期間:2021/09/12~2021/09/14
場所:新宿サブナード2丁目催事場 新宿区歌舞伎町1-2-2
TEL03-3354-6111

https://www.kosho.co.jp/furuhon_romansu/

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第43回古本浪漫洲  Part3

期間:2021/09/15~2021/09/17
場所:新宿サブナード2丁目催事場 新宿区歌舞伎町1-2-2
TEL03-3354-6111

https://www.kosho.co.jp/furuhon_romansu/

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特選古書市 書画骨董古美術展 福岡丸善ギャラリー古書展(福岡県)

期間:2021/09/15~2021/09/25
場所:ジュンク堂書店 福岡店2階 丸善ギャラリー

http://www.kosho.ne.jp/~izutuya/sokubaikai.html

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趣味の古書展※会場販売中止になりました

期間:2021/09/17~2021/09/18
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

https://www.kosho.tokyo

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たにまち月いち古書即売会(大阪府)

期間:2021/09/17~2021/09/19
場所:大阪古書会館 大阪府大阪市中央区粉川町4-1

https://twitter.com/tanimatitukiiti

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第43回古本浪漫洲  Part4

期間:2021/09/18~2021/09/20
場所:新宿サブナード2丁目催事場 新宿区歌舞伎町1-2-2
TEL03-3354-6111

https://www.kosho.co.jp/furuhon_romansu/

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第43回古本浪漫洲 Part5(300円均一)

期間:2021/09/21~2021/09/23
場所:新宿サブナード2丁目催事場 新宿区歌舞伎町1-2-2
TEL03-3354-6111

https://www.kosho.co.jp/furuhon_romansu/

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浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2021/09/23~2021/09/26
場所:JR浦和駅西口 さくら草通り徒歩5分 マツモトキヨシ前

https://twitter.com/urawajuku

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和洋会古書展

期間:2021/09/24~2021/09/25
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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五反田遊古会

期間:2021/09/24~2021/09/25
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4

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中央線古書展

期間:2021/09/25~2021/09/26
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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新橋古本市※中止になりました

期間:2021/09/27~2021/10/02
場所:新橋駅前 SL広場

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西部古書展書心会

期間:2021/10/01~2021/10/03
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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フィールズ南柏 古本市 (千葉県)

期間:2021/10/06~2021/10/20
場所:フィールズ南柏 モール2 2階催事場  柏市南柏中央6-7

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BOOK & A(ブック&エー)

期間:2021/10/07~2021/10/10
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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城南古書展

期間:2021/10/08~2021/10/09
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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日本の古本屋メールマガジンその330 2021.9.10

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:志賀浩二
 編集長:藤原栄志郎

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第32回 村上潔さん 都市を回遊し本と音楽に出会うひと

第32回 村上潔さん 都市を回遊し本と音楽に出会うひと

南陀楼綾繁

 7、8年前だったと思う。京都で古本屋めぐりをしているときに立ち寄ったカフェで、一人の男性に声を掛けられた。私がTwitterでつぶやいたのを見て気づいたようだ。村上潔さんと名乗るその人は、小冊子を渡して去って行った。その頃から開催されていた「京都レコードまつり」を楽しむための副読本のような内容で、食事の間に楽しく読んだ。
「あれは自分で最初につくったZINEでした。研究者としての仕事から離れたところで、ひとりでつくる楽しさがありました。レコード屋や古本屋で会った人に名刺代わりに渡していました」
 それ以来はじめて会う村上さんは、画面の向こうでそう云った。村上さんは現在神戸にお住まいで、この取材はzoomで行なった。
 村上さんは立命館大学生存学研究所の客員研究員として、大きく云えば「現代女性思想・運動史」を研究している。『主婦と労働のもつれ――その争点と運動』(洛北出版)という著書があり、あとで触れるようにZINEの研究も大きなテーマだ。村上さんのサイトに挙げられている論文・寄稿の一覧を見るだけで、関心の幅がとても広いことが判る。
 村上さんはどういう経過をたどって、いまの村上さんになったのだろうか? そこに古本はどう関わっているのか?

 1976年、横浜市生まれ。2歳まで鵠沼海岸で過ごしたのち、3歳で町田市に引っ越し、26歳までそこで住む。一人っ子で、父は単身赴任が長く、母や母方の家族との暮らしが長かった。
 記憶にある最初の本は、江ノ電の絵本だった。また、母の実家にある古い絵本を読んだことも覚えている。小学1年生のときに、自分の意志で買ってもらったのは、集英社版の『学習漫画 日本の歴史』全18巻。
「なかでも鎌倉時代の巻が好きでした。大学で日本中世史を専攻するきっかけになったのかもしれません」
 小学生の頃に読んだのは、子ども向けの落語や民話の本、そして赤川次郎。中学生になると北杜夫の小説やエッセイを読む。

 町田には〈久美堂〉という老舗書店チェーンがあり、村上さんは本店で本を買うことが多かった。
「高校2年の現代文の内田保男先生は、授業の課題で講談社学術文庫や岩波新書の黄版を読ませる名物教師で、久美堂の2階には内田先生がセレクトした本のコーナーがありました。加藤周一『雑種文化』、村上陽一郎『近代科学を超えて』、田中克彦『ことばと国家』など、高校生には難しかったけど、がんばって読みました」

 一方、はじめて古本屋に入ったのは中学2年生のとき。
「『機動警察パトレイバー』の初期OVAシリーズにはまった流れで、その漫画版を担当したゆうきまさみの前作『究極超人あ~る』を、近所の古本屋で買いました。中学では野球部だったのですが、その作品に出会った影響で、高校では校内でいちばん風変わりな部活に入ろうと決意し、超文系人間なのに〈理化部〉に入りました(笑)」
 その後、〈高原書店〉に足を踏み入れる。1970年代に町田で創業し、一時期は高円寺や新大久保にも支店があった。ここの出身者で古本屋を開業した人が多いのは、ご存知の通り。村上さんが通った店は、POPビルの2階にあり、とても広かった。余談だが、私は昔、雑誌の企画でここで半日店員を体験したことがある。
「最初はいしいひさいちのマンガなどを買っていましたが、高校の頃は少し前のサブカル雑誌とか、古いプロ野球関係の本などの物珍しい本をネタ的に買っていた気がします」

 本と並んで、当時の村上さんに大きな影響を与えたのは音楽だ。その出会いもやはり町田でのことだった。
 理化部の先輩が編集したカセットテープと「電気グルーヴのオールナイトニッポン」の影響で、テクノやニューウェーブに興味を持ち、町田駅近くにあった〈Tahara〉でCDを買ったり、町田市立図書館で借りたりした。
「電気グルーヴ経由で音楽ライター・編集者の野田努さんの文章を読むようになりました。大学を出てからですが、野田さんが『ele-king』の後に編集を手がけていた音楽誌『remix』に、ベルリンの音楽グループについて寄稿したのが、私のライターデビューです。同誌にはその後、映画評の連載も任されました」

 高校卒業後、予備校のあった神保町の古書店街を覗く。翌年、東洋大学史学科に入学。
「1年から研究会に属し、報告や論文を発表しました。大学の図書館はよく通いましたね。その頃読んでいたのはカヌーイストの野田知佑の本です。環境を守る意識や権力的なものへの批判が芽生えました。音楽の野田努さんと並んで、ダブル野田の影響を受けました(笑)」
 また、大貫妙子のファンになり、彼女が書いた文章も読む。『散文散歩』というエッセイ集は「私の人生のバイブルです」と、村上さんは云う。
大学を卒業する少し前から、ミニシアターや名画座にも通いはじめた。東京を離れるまで続き、古本屋で旧作映画関係の資料を買う機会も増えた。

 修士課程を終え、立命館大学の博士課程に進学。主婦の研究をテーマにする。中世史とは一見かけ離れているが、「史料を前提とする点で、方法論はあまり変わりません」。京都の大学を選んだのは、東京以外の都市を知りたいという思いがあった。
 上京区に住み、自転車で街をめぐる。
「〈あっぷる書店〉ではおもに女性作家の作品を文庫で買いました。〈カライモブックス〉は戦後の社会運動や環境問題に関する本が強いので、石牟礼道子や森崎和江、女性史関係、主婦のサークル誌など、多くの貴重な資料を入手することができました。〈100000t アローントコ〉では本だけでなくレコードもよく買います。店主の加地猛さんは『京都レコードまつり』の中心メンバーで、その縁で私も企画に関わる経験ができました」
 神戸では〈トンカ書店〉(現〈花森書林〉)に通った。
「あまりマンガは読まないのですが、古本屋でたまたま買った『美紅・舞子』という作品から西村しのぶにはまり、彼女の作品を集めるようになりました。エッセイマンガも含め、彼女の昔の作品はおもに神戸を舞台にしているので、その影響で神戸によく行くようになったんです。それが縁でいまは神戸に住んでいます」
 氷室冴子、如月小春ら、1970~1980年代の都市で強い自律性を持った女性が書いた本が好きだと、村上さんは云う。それらの本はほぼ絶版になっており、古本屋のおかげで手に入る。
 また、2008年頃、村上さんは、「ZINE」という言葉を日本に広めた野中モモさんが主宰するサイト「Lilmag」でZINEを買ったことがきっかけで、ZINEカルチャーについて調べるようになった。とくに海外のラディカルなフェミニズム運動のなかでのジンに注目する。海外のイベントにも参加し、各地の企画にゲストとして招かれ、レクチャーを担当したりもする。ZINEに関する文献も継続的に蒐集している。「メディアが仕掛けるブームとは異なる、独自の発信に惹かれるんです」

「あまりモノへの欲はない方だと思います」と云う村上さん。本の量はそれほど多くなく、段ボール箱に入れて家に置いている。
 最近書いた論文は日本のウーマンリブ運動の見直しで、当時のミニコミやビラを蒐集・保管・公開する意義を説いたという(「地域のウーマンリブ運動資料のアーカイヴィング実践がもつ可能性――二〇〇〇年代京都市における活動経験とその先にある地平」、大野光明・小杉亮子・松井隆志編『[社会運動史研究3]メディアがひらく運動史』新曜社)。

 町田、京都、神戸と都市で生活しながら、古本とレコードと出会い、それが研究にもつながっている。
 そんな村上さんが「世界で一番大事な場所」と云うジャズ喫茶〈町田ノイズ〉に、近いうちに行ってみようと思っている。

 

 

南陀楼綾繁
1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」の代表。各地で開催される多くのブックイベントにも関わる。
「一箱本送り隊」呼びかけ人として、石巻市で本のコミュニティ・スペース「石巻まちの本棚」の運営にも携わる。本と町と人をつなぐ雑誌『ヒトハコ』(書肆ヒトハコ)編集発行人。著書に『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、『一箱古本市の歩きかた』(光文社新書)、『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』(ちくま文庫)、共著『本のリストの本』(創元社)などがある。

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高嶺格「歓迎されざる者」とホテルのライブラリー

高嶺格「歓迎されざる者」とホテルのライブラリー

書肆吉成 吉成秀夫

書肆吉成のメルマガ連載は最終回です。今回は現代アートの作品で詩歌を選び、三菱地所が新築するホテルのライブラリールームで北海道の本を選んだ、「選書」の仕事についてご報告します。
ーーーーーーー 
 
キーンと冷える真冬の3月だった。
元ダムタイプのメンバーで現代芸術のアーティスト・高嶺格(たかみね・ただす)による展覧会「歓迎されざる者」の北海道バージョンを夏に開催する予定がある、作品はパフォーマーによる詩の朗読が大きなポイントになるのだが、そこで何を読むかゼロから考えたい、相談にのってもらえないだろうか。札幌市文化芸術交流センターSCARTSの方からお話しがあったとき、直感的に面白そうだとおもった。

私に声がかかったのは、書肆吉成が北海道に根ざした古書店だからだろう。当店はとくに北海道の歴史と詩歌、思想、芸術の本に重きをおいている。北海道と詩歌の本ならたくさんある。

「歓迎されざる者」とはいったい何者なのか。植民地北海道においてはセンシティブなテーマだ。打ち合わせで、歓迎されざる者のテーマをさまざまに掘り下げていくなか「もしかしたら物事の線引きとか差別に繋がると思う」と高嶺さんがいった。その言葉を捕まえて軸に置き、北海道に縁のある詩人・詩歌を読みすすめることにした。

詩をえらんでいた半年のあいだに、じつに多くのことがおきた。

旭川市では中学2年生の女子がいじめによって失踪し凍死していた。日テレではアイヌ差別表現があった。SNSではその差別表現を指摘したアイヌの人に対してヘイトの言葉があびせられた。難民が苦しむ入管法が改悪されそうになった。ミャンマーでクーデターがあった。札幌の市街地にヒグマが現れて刹処分された。オリンピックでは小山田圭吾の過去のいじめと小林賢太郎がユダヤ虐殺を揶揄していたことが明らかになった。私の故郷の清里町役場でパワハラにあった職員が自殺した。猛暑、河川が氾濫した。メンタリストDaiGoはホームレスへ攻撃的な発言をして話題をとろうとした。さらに展覧会直前には北方領土の国後島から泳いで来たというロシア人男性が根室管内標津町で保護された。アメリカ軍がアフガニスタンから撤退を開始した。

これらはすべてたった半年のあいだに次々と起きては忘却された。「歓迎されざる者」とは何かと考えつづけていた私は、事件が起きるたびに胸が痛み、詩の読み方に影を落とさずにはいられなかった。私が選ぶ詩は「忘却に抗して声をあげ、排除されたものの痛みをとどめた、何一つあたりまえではない多くの声」でなければならないと思いつめた。私はいつしか闇落ちしながら詩歌を読み漁っていた。

そんなとき、高嶺さんから意外な作品が提示された。それは書肆吉成が発行する「アフンルパル通信」に以前掲載した長歌で、モチーフはストレートな「恋愛」だった。
 
 
 恋人はきみの一部ではない
 それゆえに何もかも思い通りにいくことはない
 だからこそ抱きしめるとき暖かくおもうのだ
 ほんとうのゆきどけをきみは知るだろう
 
  (山田航 長歌「はじめて恋人ができたきみに贈る歌」より)
 
 
流氷のように硬くなっていた私の心はここに氷解した。
「ひとりひとりが違うこと」、社会に存在するあらゆる線引き、たとえば差異・違和・格差・他者・蔑視・排除・攻撃・不理解・国境などと言われるものを、この歌の「恋愛」は乗り越えて結びつける力に満ちていた。「かなしいこともたぶんあるけれど」、それをうわまわる希望がある。私の内なる線引きをも抱擁する「恋愛」の歌に心から感動を覚えた。

結局私は200篇ほどの詩歌を選びだして紹介し、高嶺さんはそこから約40篇を厳選した。選別には痛みがともなった。「線引き」の痛みをみずから引き受けながらふるいにかけるしかなかった。選ばれた詩は、氷山の一角である。

詩歌の選定が済み、会場も整い、いざこれから本番というときになって北海道でコロナ感染が拡大し、ついに緊急事態宣言がでた。そのため会期が8/27~29の3日間に短縮された。「歓迎されざる者」はこのような例外状態のなかではじまった。

水と光と声による静謐な空間が出現した。すなおに、非常に美しいとおもった。朗読者のほんのわずかな声のふるえも耳につたわる。詩を聞くのにこれ以上ない空間だった。この美しい空間に、ヒリヒリとした剝き出しの詩歌が、それぞれの狼煙をあげる。

浅野明信、麻生直子、石川啄木、伊藤整、江原光太、風山瑕生、くぼたのぞみ、更科源蔵、管啓次郎、中城ふみ子、中野重治、中村和恵、長屋のり子、二条千河、宮沢賢治、向井豊昭、森竹竹市、山田亮太、山田航、吉増剛造の詩歌。それに明治時代の流行歌である監獄節が歌われ、サハリンのニヴフを描いたドキュメンタリーの日本語字幕が朗読された。
ひととおり聞くだけで二時間かかる。さらに朗読者によって読み方が違う。

展示ではアイヌのアーティスト・マユンキキさんとの協働がひっそり実現していた。どこにも説明がなかったのでだれも気がつかなかったろう。
マユンキキさんは、朗読会場の裏側の通路にアイヌ語の物語を手書きしたのだった。アイヌ語を知らなければ意味がわからないカタカナの羅列が通路にならんでいた。アイヌはもともと無文字文化なので言葉は本当は文字でなく声であるはずのものだ。声のかわりにあてがわれたのがカタカナである。日本語による朗読の声が響きわたるなか、アイヌ語の物語はカタカナに沈黙していた。
さらにその先には文字を二重に書いて読めなくした黒い字の羅列が続いた。マユンキキさんが自分やアイヌ全体に浴びせられた誹謗中傷の言葉を抜き出し、高嶺さんが黒く重ね書きしたのだ。
これらふたつの沈黙の筆記が展示空間の出口となった。

「歓迎されざる者 北海道バージョン」は他者の言葉が主だった。高嶺格というアーティストの存在は影となり水となってその場をやわらかく包みこむばかりだ。こんなにも自分を消し去れるアーティストがいるのかと私は驚いた。高嶺格は「場」そのものだった。さまざまな言葉と出会う繊細な場で、人はやさしく傷ついた。

ーーーーーーー

さて、もう一つのプロジェクトに関わっている。
10月1日にグランドオープン予定のホテルがあり、ライブラリーの選書を任された。これから追い込み作業に入る。

札幌市中心部のテレビ塔ちかく、大通公園に面した「ザ・ロイヤルパーク・キャンバス札幌大通公園」は三菱地所によるホテルだ。
目をみはるのは高層階を木造建築する新技術を採用していること。内装やインテリアに至るまで北海道産の木材にこだわってふんだんに使用し、これによって持続可能な社会の実現に寄与している。
ホテルのコンセプトはずばり「北海道を体感する」。ライブラリーの部屋は2階にある。本で北海道を体感する、くつろぎの空間となるだろう。

こちらはむずかしく考えずに、たのしく北海道を感じられるラインナップで選書した。
ビジュアル本や写真集、動植物、昆虫など自然の本、食べ物、歴史の本などがゆったりならぶ。
目玉となるのはむかしの北海道を知ることのできる2冊だ。『蝦夷島奇観』と『北海道古地図集成』。本を開けばいまとはちがう北海道に出会えるはず。
ぜひ本を手にとりいろいろな北海道を楽しんでほしい。ライブラリーは宿泊客だけでなく一般の人も自由に出入り可能となっている。

札幌にご宿泊の際にはぜひ当ホテルをご利用ください。10月1日のオープンをどうぞお楽しみに!
 
ザ・ロイヤルパーク・キャンバス札幌大通公園 公式サイト
https://www.the-royalpark.jp/canvas/sapporoodoripark/
 
 
最後に。書肆吉成は本の買取を承っております。蔵書整理の際にはぜひお声がけ下さいますよう、心よりお願い申し上げます。



書肆吉成
https://camenosima.com/

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2021年8月25日号 第329号

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☆INDEX☆
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1.『書物・印刷・本屋』    藤本幸夫
2.『読む・打つ・書く』     三中信宏

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━━━━━━━━━━━━【自著を語る(275)】━━━━━━━━

『書物・印刷・本屋 日中韓をめぐる本の文化史』

                      藤本幸夫

 本書は中国・朝鮮・日本の坊刻本、即ち民間の営利出版(日本で
は「町版」)を対象とし、その具体的な諸相を明らかにしようとす
るものである。坊刻本は庶民の擡頭と共に内容・意匠それぞれに工
夫を凝らしつつ、深淵且つ絢爛たる出版文化を形成してきた。従来
書籍を対象とする類書では、文学史的意義・理論的研究や内容分析、
或いは版種や文字の異同等が中心であった。このような研究が高踏
的とされ、今回のテーマのような分野は、ややもすれば低く見られ
勝ちであったように筆者には思われる。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=7217

『書物・印刷・本屋』藤本幸夫編
勉誠出版刊 定価:17,600円(税込み) 好評発売中!
https://bensei.jp/index.php?main_page=product_book_info&products_id=101221

━━━━━━━━━━━【自著を語る(276)】━━━━━━━━━

『読む・打つ・書く- 読書・書評・執筆をめぐる理系研究者の日々』

                         三中信宏

 私は三十年あまりにわたって、農林水産省の研究機関で職業研究
者として勤務してきた。世間的に見ればいわゆる “理系の研究者”
なので、実験・観察を繰り返し、しかるべきデータを取って、その
結果を学会発表や原著論文というアウトプットとして世に出すとい
うやや固定されたイメージで見られることには慣れている。確かに、
そのようなステレオタイプな “理系研究ライフ” は大筋では外れ
ていないだろう。しかし、それだけが理系研究者の仕事かと言われ
れば即座に「否」と答える。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=7211

『読む・打つ・書く』 三中信宏 著
東京大学出版会 税込3,080円 好評発売中!
http://www.utp.or.jp/book/b577413.html

━━━━━━━【日本古書通信社からのお知らせ】━━━━━━━

日本古書通信社からのお知らせ

日本古書通信8月号より「札幌・一古書店主の歩み―弘南堂書店高
木庄治氏聞き書き」が連載開始されます。高木さんは現在88歳、昭
和8年札幌の老舗古書店南陽堂書店の次男として誕生、昭和27年か
ら1年間、神保町・八木書店での修業後に帰札。闘病中の父に代わ
り、兄と共に南陽堂書店の復興に努め、昭和32年に弘南堂書店と
して独立されました。多くの同業や熱心な顧客との出会いを得て、
現在は北方文献・近代文学などの専門店として全国的に高く評価
されています。高木さんの古書店主としての歩みは古本屋の戦後
の歴史を体現したものと言えます。若い古書店人、古書業界の歴
史に興味を持たれる方々に読んで頂きたいと思います。連載1回
目前半部分を「試し読み」出来るようにいたしました。

試し読みはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=7197

日本古書通信
https://www.kosho.co.jp/kotsu/

━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

『ブックセラーズ・ダイアリー』 ショーン・バイセル 著
矢倉尚子 訳 
白水社 定価3,300円(本体3,000円+税)好評発売中!
https://www.hakusuisha.co.jp/book/b584634.html

『敗れし者の静かなる闘い』 茅原健
日本古書通信社刊 定価:2000円+税 好評発売中!
https://www.kosho.co.jp/kotsu/

━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━

8月~9月の即売展情報

※新型コロナウイルスの影響により、今後、各地で予定されている
即売展も、中止になる可能性がございます。ご確認ください。
お客様のご理解、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

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日本の古本屋メールマガジンその329 2021.8.25

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『読む・打つ・書く —— 読書・書評・執筆をめぐる理系研究者の日々』

『読む・打つ・書く —— 読書・書評・執筆をめぐる理系研究者の日々』

三中信宏

私は三十年あまりにわたって、農林水産省の研究機関で職業研究者として勤務してきた。世間的に見ればいわゆる “理系の研究者” なので、実験・観察を繰り返し、しかるべきデータを取って、その結果を学会発表や原著論文というアウトプットとして世に出すというやや固定されたイメージで見られることには慣れている。確かに、そのようなステレオタイプな “理系研究ライフ” は大筋では外れていないだろう。しかし、それだけが理系研究者の仕事かと言われれば即座に「否」と答える。

私のいる農研機構という複合的な研究機関には何千人かの研究員が在籍しているので、その研究人生には多かれ少なかれ多様性(ばらつき)があっても不思議ではない。私は31歳のとき研究員として採用されたのだが、当時はいったい何をしているのかよくわからない研究員もあまたいたし、何を目指しているのか判然としない研究室も今よりももっとたくさんあった記憶がある。そして、周囲を見回しても、専門的な論文を書く以外に、一般向けの本を単著で書く多様な研究者がもっと多かったような気がする。そのような手本になるモデルケースがあれば、あとに続く人は絶えないだろう。しかし、残念ながら、その後は “淘汰” が進んでしまって、一見ムダなばらつきは一掃されてしまった。

昨今の農研機構を見ると、社会に向けた対外的な宣伝は確かに手間ひまかけて機動的に行っていることはよくわかる。しかし、その一般向けPRからは個々の研究者の “顔” は浮かび上がってこない。あくまでも「オール農研機構」としての研究成果を外に向けて強調する一方で、それを遂行してきた研究員たちそれぞれの “実体” はむしろ見えなくなってしまっている。そのひとつの証拠が、私の周囲で本を書いたことがある研究員がほとんどいなくなっているという事実だ。私はこれまで単著で本を書く機会を多く得てきたが、これは私のいる職場では例外中の例外だ。ほとんどの研究員は論文は書いても本は書いていない。研究組織としていくら成果が広報されたからとしても、研究員たちが対外的に “カオナシ” のまま知られていない現状では、原著論文は書いても単著の本を書いてみようという動機付けがなかなか湧いてこないのが、昨今の日本の研究環境の実情だ。

このたび上梓した『読む・打つ・書く —— 読書・書評・執筆をめぐる理系研究者の日々』は、「理系の本を書く研究者が昨今とみに減ってきている」という危機意識を東京大学出版会の編集者から聞いたことが執筆の動機だった。本書では研究者がその人生の中で出会う本との付き合い方を「読書・書評・執筆」の三つの場面に分けて、私自身の研究者としての執筆経験をちりばめながら論じた一冊だ。

前半第一部「読む」は読書論である。専門の原著論文を読めば “断片化” された最新の知識を得ることはできる。しかし、一冊の本を読めば断片的な知識の “体系化” を図ることが期待できるだろう。知識の “断片化” と “体系化” という両極を対比しながら、本を読むことの意義を再考する。そこでは、ある専門知の体系を身につけるための読書法や広く出回っている電子本はどこまで信用していいのかという論点も含まれる。研究者にかぎらず、読者ひとりひとりの “探書アンテナ” をしっかり鍛えていくことは読書人としてのリテラシー養成にもつながるだろう。

続く第二部「打つ」は書評論である。日本の新聞や雑誌の書評欄では長文の書評が出ることはほとんどない。一方、インターネット上の書評サイトではもっと長文の書評が公開される。私は2019〜2020年の2年間にわたり読売新聞読書委員として書評欄に寄稿してきた。そのときの経験も踏まえて、さまざまな書評の様式について、私の書評を例として挙げながら説明する。さらに、著者あるいは読者として実名書評や匿名書評をどのように読み解けばいいのかを論じた。書評の書き方はこれまで論じられてきたが、書評の読み方についてのまとまった議論は本書が初めてだろう。

最後の第三部「書く」は執筆論である。一冊の本を書き上げるのはどの著者にとっても大仕事だ。しかしも、単著の本を書くことに対してためらったりたじろいだりする理系研究者がほとんどだろう。彼らは日々忙しすぎて本を書く時間などないと思いこんでいるからだ。私は自分を “実験台” にして、毎日のちょっとした努力の積み重ねを怠らなければ、誰でも単著で本を書くすべがあることを示した。単著の執筆をまだためらっている書き手たちの背中を押すことが大きな目的である。本書を読み終えたら、もう本を書くしかない。

学術書であれ一般書であれ、本との付き合い方が根本的なところで揺らいでいるのが今もっとも大きな問題ではないだろうか。本書は「本」をめぐる三つの側面 —— 読書・書評・執筆 —— の現状と問題点を示し、その解決のための実践的手法を読者に提示した。また、私が見渡してきた “理系” 分野での「本ライフ」を前提にして、自然科学・科学史・科学哲学分野の本を実例として多く取り上げている。しかし、本書の考察それ自体は分野の別には関わりなく、 “理系” / “文系” の双方にまたがって参考になる部分が多いだろう。

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『読む・打つ・書く』 三中信宏 著
東京大学出版会 税込3,080円 好評発売中!
http://www.utp.or.jp/book/b577413.html

Copyright (c) 2021 東京都古書籍商業協同組合

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『書物・印刷・本屋 日中韓をめぐる本の文化史』

『書物・印刷・本屋 日中韓をめぐる本の文化史』

藤本幸夫

 本書は中国・朝鮮・日本の坊刻本、即ち民間の営利出版(日本では「町版」)を対象とし、その具体的な諸相を明らかにしようとするものである。坊刻本は庶民の擡頭と共に内容・意匠それぞれに工夫を凝らしつつ、深淵且つ絢爛たる出版文化を形成してきた。従来書籍を対象とする類書では、文学史的意義・理論的研究や内容分析、或いは版種や文字の異同等が中心であった。このような研究が高踏的とされ、今回のテーマのような分野は、ややもすれば低く見られ勝ちであったように筆者には思われる。敢えて申せば、全体として機能する人体の頭部だけを重んじ、日常生活を支える下半身を軽んじるに近い。本書では書籍の出版から販売・読書に至る具体的な諸相、即ち潤筆料・版下・刻版・彫師・摺師・版木・料紙・装幀・本屋・貸本屋・書価・出版部数・流通・読者・版株・印刷術・和刻・禁書・出版統制等々に視点を置き、理解に資すために写真三九〇点余をも掲載した、これまでにあまり類例のない書の出版を目指した。このような視点から本を見る研究者は寧ろ少ないが、今回ご執筆者の方々には極力お触れいただけるようにお願いした。幸いにも斯界第一線で御活躍の方々のご賛同を得て、かなりの達成度を得られたのではないかと思っている。

 木版印刷の濫觴は中国の隋から唐初にあるとされ、朝鮮、そして日本には八世紀には伝わっていた。坊刻本成立には、必要とされる書籍を見極め出版に必要な資本を有する人物と刻版の技術、更には出版書を購入し得る読者層がなければならない。中国では北宋代に条件が整い、その後隆盛に向かうが、日本では十七世紀前半、朝鮮では十八世紀末に始まる。日本では十七世紀に町人が擡頭し、それに応じて坊刻本も盛んになってゆく。高度な金属活字印刷術を有する印刷文化国朝鮮では官版・家刻版・寺刹版・書院版などが盛んであったが、庶民の経済力の脆弱さと特に庶民読者層の薄さが坊刻本の発達を阻んだ。本書の執筆陣は三五名(但し内二名は二本執筆)、その内中国学六名、朝鮮学三名、キリシタン版一名、日本学二五名と甚だ人数的にはバランスを欠いているように見えるが、それには以下のような事情がある。

 筆者は朝鮮語学と文献学を専攻する者で、朝鮮には坊刻本の発生が遅く、また出版の諸相を示す文献の極めて少ないことを承知している。ただ朝鮮は中国文化を早くから受け入れ尊崇して来たため、文化のあり方が中国に酷似している。従って士大夫は中国同様漢文による詩・文を残し、子孫や門弟たちはそれらを編纂し出版した。その際に出版経緯・費用の調達・刻手の賃金・紙代、果ては刻手への酒代までも記録した「刊役日記」がある。文集刊行の際資金を広く募るので、使途を問われた場合を想定しても、記録が必要であったと思われる。これ迄公にされたのは僅かであったが、最近精粗さまざまではあるが十一種の「刊役日記」を集めた韓国語訳版が出ており、刊役の内幕を窺知し得て興味深い。今回は利用叶わず、今後紹介できる機会があればと思う。中国では宋代以降書肆が極めて多く、中には数百年の老舗もある。しかし筆者の知る限りでは、上記の如き出版の諸相を示す具体的な資料は少ないように思われる。その点江戸時代では本屋仲間の記録・幕府のお触書・出版された書目類・諸蔵書目録・書物末の書物広告、諸随筆類があって大いに資するのである。朝鮮では官の蔵書目録や地方官衙所蔵版木目録はあるが、個人の蔵書目録は殆どない。また中国では官や大蔵書家である士大夫の蔵書目録は種々あるが、多くは四部分類に従った正規の書籍類が列挙されている。ところが日本では蔵書は官だけに限らず、寺刹・神社・武士・町医者・町人など多岐にわたっており、それぞれの収書意図によってその内容は様々である。写本の国書類も多い。神道・武道・華道・茶道・香道等、又本屋が営利目的で出した五張単位の絵が中心の安価な草双紙類等、枚挙に遑ない。それに町人出身、例えば屋根屋・キセル屋・呉服屋・薬屋や農民等出身の学者や文人が知的関心を持って文筆界に加わる。このようなことは中国や朝鮮にはなく、彼らは己が身を置く町人文化に対する視点を持っており、その書き物では出版の世界にも触れられる。武士と町人の間に立ち位置のある曲亭馬琴の『近世物之本江戸作者部類』等はその逸なるものである。それに江戸時代の出版物ジャンルの多様性もあり、他の二国に比べ遥かによく出版実態を窺知できるため、日本書研究者がその三分の二を占めることとなった。

本書には謂わばマニアック的な論文もあるが、上辺を撫でるだけではなく、深く入り込む研究も大事である。筆者は朝鮮本研究において、長澤規矩也氏の御研究に倣い、当初より刻手名を徹底的に集めてきた。面倒で時間のかかる作業であった。朝鮮本は刊記を付すことが極めて少ないが、刻手名を手掛かりに刊年・刊地を特定し得ることがあり、刻手名は極めて有効な手掛かりとなる。ここで諸論文に一一触れる余裕はないが、上記諸相を知ろうとすれば、多くの書を繙かねばならないが、本書にはそれらが詰まっており、エンサイクロペディア的な役割を果たし得ているのではないかと思う。

本書に収め切れなかった分野も多い。俳書や浄瑠璃・旅行案内書・武鑑・重宝記・狂歌・川柳・細見等も、出版事情は基本的には同じであろうが、それぞれに特殊性もあるであろう。また中国書については卑見の及ばぬ所も多いと思われる。本書が今後研究者及び読書子の関心がこの方面に向かう契機になればと願っている。

syomotuinsatu
『書物・印刷・本屋』藤本幸夫編
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2021年8月6日号 第328号

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 古書市&古本まつり 第103号
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━━━━━━━━━━【シリーズ 古書の世界】━━━━━━━━

濡れた本

                   書肆吉成 吉成秀夫

 2019年晩夏、仙台市に「book cafe 火星の庭」をたずねた。店主
の前野久美子さんには以前私が発行する「アフンルパル通信」に寄
稿してもらったことがあった。
道路に面した大きな窓から店内が見える。たくさんの本が丁寧に並
ぶとなりにカフェコーナーがあり、奥のカウンターに小柄な女性、
前野さんがいた。店に入り「札幌の書肆吉成です」と告げると、目
を丸くして驚いてくれる。妊娠中の妻にはエルダーフラワー、4歳の
息子にはバナナセーキを出してくれた。どちらもメニュー表にない
ドリンクだった。

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書肆吉成
https://camenosima.com/

━━━━━━━━━【シリーズ 古本マニア採集帖】━━━━━━

第31回 猪熊良子さん 「移動の記憶」と本が結びつくひと

                      南陀楼綾繁

 夏葉社、スタンド・ブックス、水窓出版、信陽堂など、いわゆる
「ひとり出版社」と呼ばれる個人経営の版元の刊行物には、校正者
として猪熊良子さんが関わっていることが多い。彼女は以前からの
知り合いだが、版面から丁寧な仕事ぶりが伝わってくる。
「新しくはじめた出版社では、校閲についての意見をしっかり聞
いてくださいます。どんな装丁になるのか楽しみですし、書店で
の売れ行きも気になります」と、猪熊さんは云う。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=7213

南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ)

1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一
文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、
図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年
から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」
の代表。各地で開催される多くのブックイベントにも関わる。
「一箱本送り隊」呼びかけ人として、石巻市で本のコミュニティ
・スペース「石巻まちの本棚」の運営にも携わる。本と町と人を
つなぐ雑誌『ヒトハコ』(書肆ヒトハコ)編集発行人。著書に
『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、『一箱古本市
の歩きかた』(光文社新書)、『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、
『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』
(ちくま文庫)、共著『本のリストの本』(創元社)などがある。

ツイッター
https://twitter.com/kawasusu

『蒐める人 情熱と執着のゆくえ』 南陀楼綾繁 著
皓星社刊 価格:1,600円(+税) 好評発売中!
http://www.libro-koseisha.co.jp/publishing/atsumeruhito/

━━━━━━━━━【東京古書組合からお知らせ】━━━━━━

「コショなひと」始めました

東京古書組合広報部では「コショなひと」というタイトルで動画
配信をスタート。
古書はもちろん面白いものがいっぱいですが、それを探し出して
売っている古書店主の面々も面白い!
こんなご時世だからお店で直接話が出来ない。だから動画で古書
店主たちの声を届けられればとの思いで始めました。
お店を閉めてやりきったという店主、売り上げに一喜一憂しない
店主、古本屋が使っている道具等々、普段店主同士でも話さない
ことも・・・
古書店の最強のコンテンツは古書店主だった!
是非、肩の力を入れ、覚悟の上ご覧ください(笑)

YouTube 東京古書組合
https://www.youtube.com/channel/UCDxjayto922YYOe5VdOKu9w

━━━━━【8月6日~9月15日までの全国即売展情報】━━━━━

⇒ https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

※現在、新型コロナウイルスの影響により、各地で予定されている
即売展も、中止になる可能性がございます。ご確認ください。
お客様のご理解、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。

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三省堂書店 池袋本店 古本まつり

期間:2021/08/03~2021/08/09
場所:西武池袋本店 別館2階=特設会場(西武ギャラリー) 
東京都豊島区南池袋1-28-1

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第70回 東武古書の市(栃木県)

期間:2021/08/05~2021/08/17
場所:東武宇都宮百貨店 6階特別会場  宇都宮市宮園町5-4

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城北古書展【会場販売あります】

期間:2021/08/06~2021/08/07
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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下鴨納涼古本まつり(京都府)

期間:2021/08/11~2021/08/16
場所:下鴨神社糺の森  京都府京都市左京区下鴨泉川町59

http://koshoken.seesaa.net/index-4.html

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好書会

期間:2021/08/14~2021/08/15
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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ぐろりや会

期間:2021/08/20~2021/08/21
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

http://www.gloriakai.jp/

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たにまち月いち古書即売会

期間:2021/08/20~2021/08/22
場所:大阪古書会館 大阪府大阪市中央区粉川町4-1

https://twitter.com/tanimatitukiiti

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フレスポ小田原古書フェア(神奈川県)

期間:2021/08/24~2021/08/30
場所:フレスポ小田原シティモール
南館1階エントランス(マクドナルド側)小田原市前川120
TEL:0465-45-5588

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BOOK & A(ブック&エー)

期間:2021/08/26~2021/08/29
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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紙魚之會

期間:2021/08/27~2021/08/28
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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アオモリ古書フェア 2021(青森県)

期間:2021/08/29~2021/09/05
場所:青森市役所駅前庁舎1F 駅前スクエア  青森市新町1-3-7

http://omoidenorekishi.blog.fc2.com/blog-entry-283.html

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第99回 彩の国 所沢古本まつり(埼玉県)

期間:2021/09/01~2021/09/07
場所:くすのきホール
(西武線所沢駅東口前 西武第二ビル8階 総合大会場)

https://tokorozawahuruhon.com/

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『東急百貨店』たまプラーザ大古本市(神奈川県)

期間:2021/09/02~2021/09/07
場所:東急百貨店たまプラーザ店 3階 催物場

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フジサワ古書フェア(神奈川県)

期間:2021/09/02~2021/09/15
場所:有隣堂藤沢店4階ミニ催事場
藤沢市南藤沢2-1-1フジサワ名店ビル7F TEL:0466-26-1452(代表)

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東京愛書会

期間:2021/09/03~2021/09/04
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

http://aisyokai.blog.fc2.com/

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杉並書友会

期間:2021/09/04~2021/09/05
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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第43回古本浪漫洲  Part1

期間:2021/09/09~2021/09/11
場所:新宿サブナード2丁目催事場 新宿区歌舞伎町1-2-2
TEL03-3354-6111

https://www.kosho.co.jp/furuhon_romansu/

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書窓展(マド展)

期間:2021/09/10~2021/09/11
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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♭立川フロム古書市ご案内♭

期間:2021/09/10~2021/09/21
場所:立川駅北口徒歩5分フロム中武(ビッグカメラ隣)
3階バッシュルーム(北階段際)

http://mineruba.webcrow.jp/saiji.htm

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好書会

期間:2021/09/11~2021/09/12
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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反町古書会館展※会期が変更されました(神奈川県)

期間:2021/09/11~2021/09/12
場所:神奈川古書会館1F  横浜市神奈川区反町2-16-10
TEL:090-1656-9717(グリム書房)

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第43回古本浪漫洲  Part2

期間:2021/09/12~2021/09/14
場所:新宿サブナード2丁目催事場 新宿区歌舞伎町1-2-2
TEL03-3354-6111

https://www.kosho.co.jp/furuhon_romansu/

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第43回古本浪漫洲  Part3

期間:2021/09/15~2021/09/17
場所:新宿サブナード2丁目催事場 新宿区歌舞伎町1-2-2
TEL03-3354-6111

https://www.kosho.co.jp/furuhon_romansu/

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日本の古本屋メールマガジンその328 2021.8.6

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:志賀浩二
 編集長:藤原栄志郎

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