editor

出版業の本来の姿を思うーー「Editorship vol.5」の発刊に際して

出版業の本来の姿を思うーー「Editorship vol.5」の発刊に際して

日本編集者学会事務局長・「Editorship」編集長 大槻慎二


2年ぶりの発刊となる「Editorship」第5号をお届けいたします。

前号では沖縄で地元メディアとコラボしたセミナーを取り上げ、現在の辺野古基地問題にも通ずる沖縄の歴史とメディアの関係を扱いましたが、今回は長野県飯田市に場をうつし、「信州と出版文化」と題して行ったセミナーを軸としてコンテンツを構成いたしました。

岩波書店、筑摩書房、みすず書房、理論社……なぜに信州はこうした名だたる出版社および出版人を輩出してこれたのか?この疑問に答えます。

特に飯田の地にあって実に60年以上の歴史をもつ月刊誌「伊那」を継続して発刊している主幹の原田望さんからは、この雑誌を支える伊那谷の一般市民の民度の高さを教えていただきました。「出版」というと常に「全国区」を相手にした大手出版社を中心に考えてしまいがちですが、こうしたローカルメディアにこそ本来の出版の姿が宿っていると感じました。

また県立長野図書館長の平賀研也さんからは、「古来山河の秀でたる 国は偉人のあるならい」という長野県歌「信濃の国」の一節から端を発し、「偉人」を「編集者」に置き換えた上で、自然環境がそこに暮らす人々の生活と文化にどういう影響をおよぼすか、という示唆に富んだ考察をいただきました。加えて新しい時代の新しい図書館像を「図書館3.0」と命名して提示され、「地域〜図書館〜出版」と互いにリンクする文化的な課題を考えさせられました。

そして、第2特集として編んだ「少年社員のいた時代」では、平澤尚利さん(講談社)、前田良和さん(中央公論新社)、今井康之さん(岩波書店)のお三方から、実際に「少年社員」として人生を出発し、出版界を歩まれてきた貴重な体験談を伺いました。

戦後の高度成長と期を一にして大きくなっていった出版界ですが、原点は人と人との繋がりにこそあること、第1特集に呼応して改めて深く認識させられました。

その他、谷崎研究の第一人者・千葉俊二先生による「谷崎潤一郎と編集者たち」など、バラエティーに富む内容、ぜひ手にとってご覧ください。



editor
Editorship(エディターシップ) Vol.5 日本編集者学会編
特集1信州と出版文化 他
価格 1,600円+税 好評発売中!
発行:日本編集者学会 販売:田畑書店
http://tabatashoten.co.jp/


Copyright (c) 2018 東京都古書籍商業協同組合

no-image

2018年5月10日 第250号

■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■
 。*..*.:☆.:*・日本の古本屋メールマガジン・*:.☆.:*..*。
 古書市&古本まつり 第63号
      。.☆.:* 通巻250・5月10日号 *:.☆. 。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジンは、毎月2回(10日号と25日号)配信しています。

初旬に(10日前後)全国で開催されている古本展示即売会など、
イベント情報をお送りします。お近くで開催される際は、ぜひ
お出掛け下さい。
なお、1月から「シリーズ古書の世界」を連載しております。


━━━━━━━━━【シリーズ古書の世界 第5回】━━━━━━━



江戸から伝わる古書用語 2 本の市場

                 橋口 侯之介(誠心堂書店)



競り市場というのは、一つのアイテムを複数の買い手が競争するこ
とで一定の値が付くことにある。これを相場といい、次回以降の取
引に参照される。この関係は江戸時代には早くから金銀や米の取引
で確立されており、きわめて現実的な価格形成が為されてきた。



続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3883


誠心堂書店
http://seishindo.jimbou.net/catalog/index.php


━━━━━【5月10日~6月15日までの全国即売展情報】━━━━━

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

--------------------------
早稲田大学青空古本祭

期間:2018/05/07~2018/05/12
場所:早稲田大学10号館前=大隈重信候そば

--------------------------
第18回紙屋町シャレオ古本まつり(広島県)

期間:2018/05/07~2018/05/13
場所:広島市中区基町地下街100号 紙屋町シャレオ中央広場

--------------------------
東京愛書会

期間:2018/05/11~2018/05/12
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
URL:http://aisyokai.blog.fc2.com/

--------------------------
杉並書友会

期間:2018/05/12~2018/05/13
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

--------------------------
第56回名鯱会(名古屋)

期間:2018/05/18~2018/05/20
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田5-1-12

--------------------------
趣味の古書展

期間:2018/05/18~2018/05/19
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

--------------------------
札幌ブキニスト(古本市)in チカホ(札幌市)

期間:2018/05/20~2018/05/22
場札幌地下歩行空間・憩いの広場

--------------------------
第86回彩の国 所沢古本まつり(埼玉県)

期間:2018/05/23~2018/05/29
場所:くすのきホール
(西武線所沢駅東口前 西武第二ビル8階 総合大会場)

--------------------------
和洋会古書展

期間:2018/05/25~2018/05/26
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

--------------------------
五反田遊古会

期間:2018/05/25~2018/05/26
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4

--------------------------
第13回 東京蚤の市

期間:2018/05/26~2018/05/27
場所:東京オーヴァル京王閣 東京都調布市多摩川4-31-1
(京王線「京王多摩川駅」臨時改札口すぐ)
   ※要入場料(イベント詳細は公式サイトより)
URL:http://tokyonominoichi.com/2018_spring/

--------------------------
中央線古書展

期間:2018/05/26~2018/05/27
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

--------------------------
BOOK & A(ブック&エー)

期間:2018/05/31~2018/06/03
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

--------------------------
浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2018/05/31~2018/06/03
場所:JR浦和駅西口徒歩5分 マツモトキヨシ前

--------------------------
城南古書展

期間:2018/06/01~2018/06/02
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

--------------------------
柏モディ古本市(千葉県)

期間:2018/06/06~2018/07/01
場所:モディ柏店 3F 千葉県柏市柏1-2-26

--------------------------
城北古書展

期間:2018/06/08~2018/06/09
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 

--------------------------
倉庫会

期間:2018/06/08~2018/06/10
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田5-1-12 

--------------------------
第13回 つちうら古書倶楽部の古本まつり

期間:2018/06/09~2018/06/17
場所:つちうら古書倶楽部 茨城県土浦市大和町2-1 パティオビル1F

--------------------------
杉並書友会

期間:2018/06/09~2018/06/10
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

--------------------------
書窓展

期間:2018/06/15~2018/06/16
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 

--------------------------

━━━━━━━━━━【映画公開のお知らせ】━━━━━━━━━


映画 
『私はあなたのニグロではない』

黒人文学のレジェンドであり、公民権運動家だった作家ジェームズ・
ボールドウィンの未完の原稿「Remember this House」を元に、
彼の盟友であり30代の若さで暗殺された公民権運動の指導者達の
生き様を追いながら、アメリカの人種差別と暗殺の歴史に迫ってゆく。

■ストーリー
1957年。フランス・パリで執筆活動をしていたボールドウィンは、
故郷アメリカへ戻る決心をする。パリ中で売られていた新聞に載
っていた少女、アメリカ南部シャーロットの高校に黒人として初
めて入学するドロシー・カウンツの写真を見たのがきっかけだ。


大勢の白人たちに取り囲まれ、ツバを吐かれ嘲笑されながら登校
する15歳のドロシーに、ボールドウィンは強い衝撃を受けた。
「パリで議論している場合ではない。われわれの仲間は皆責任を
果たしている」そして彼は、人種差別の最も激しい地域、アメリ
カ南部への旅に出る。


続きはこちら
http://www.magichour.co.jp/iamnotyournegro/

■監 督   ラウル・ペック
■原作・出演 ジェームズ・ボールドウィン
■語 り   サミュエル・L・ジャクソン 
■出 演   キング牧師、マルコムX、メドガー・エヴァース他

■公 開   5月12日(土) ヒューマントラストシネマ有楽町ほか
全国順次ロードショー


       http://www.magichour.co.jp/iamnotyournegro/
■配給・宣伝 マジックアワー

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


次回メールマガジンは5月下旬に発行です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このメールは「日本の古本屋会員」の方で、メールマガジンの配信
を希望された方にお送りしています。
ご不要な方の解除方法はメール下部をご覧下さい。
【日本の古本屋】は全国935書店参加、データ約630万点掲載
の古書籍データベースです。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


見逃したメールマガジンはここからチェック!
 【バックナンバーコーナー】
/wppost/plg_WpPost_category.php?catid=22

┌─────────────────────────┐
 次回は2018年5月下旬頃発行です。お楽しみに!
└─────────────────────────┘

*゜*.:*☆ 本を売るときは、全古書連加盟の古書店で ☆*.:*゜*
全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,200店加盟)の略称です

https://www.kosho.or.jp/buyer/list.php?mode=from_banner



==============================


日本の古本屋メールマガジンその250 2018.5.10

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:小野祥之


==============================

no-image

2018年4月25日 第249号

■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■
 。*..*.:☆.:*・日本の古本屋メールマガジン・*:.☆.:*..*。
     。.☆.:* その249・4月25日号 *:.☆. 。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


このメールは「日本の古本屋会員」の方で、メールマガジンの配信
を希望された方にお送りしています。
ご不要な方の解除方法はメール下部をご覧下さい。
【日本の古本屋】は全国930書店参加、データ約600万点掲載
の古書籍データベースです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



☆INDEX☆
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
1.『古本乙女の日々是口実』       カラサキ・アユミ
2.『日本文学全集の時代―戦後出版文化史を読む』 田坂 憲二
3.『出版クロニクル5』             小田光雄



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

━━━━━━━━━━━【自著を語る(205)】━━━━━━━━━━


『古本乙女の日々是口実』について

                    カラサキ・アユミ



 学生時代から今日まで、私のスマホのホーム画面には『日本の古
本屋』のサイトが長らく鎮座している。遠出や旅行に行くとなった
らまず真っ先に開くのはこのサイトの“古本まつりに行こう”のコ
ーナーだ。即売会の情報含め古本の情報を我が身に惜しみなく注入
させてくれるこのサイトにどれだけ助けられてきたことだろう。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3853


『古本乙女の日々是口実』 カラサキ・アユミ 著
株式会社 皓星社  価格:1,000円(+税)好評発売中!
http://www.libro-koseisha.co.jp/publishing/furuhonotome/

ツイッター
https://twitter.com/fuguhugu

━━━━━━━━━━━【自著を語る(206)】━━━━━━━━━━



『日本文学全集の時代 ー戦後出版文化史を読む』

                       田坂憲二



本書は、1950年代から70年代まで、戦後の出版界で大きな
役割を果たした文学全集の類を、代表的な10の出版社を中心に分
析したものである。世界文学全集については、特定の出版社を切り
口にしたものであるが、すでに『文学全集の黄金時代 ー河出書房
の1960年代』(和泉書院、2005年)で明らかにしたので、
今回は、日本文学全集について、主要な出版社を網羅して、体系的
に考察したものである。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3850

『日本文学全集の時代―戦後出版文化史を読む』 田坂 憲二 著
慶応大学出版会 税込価格:2,592円 好評発売中!
http://www.keio-up.co.jp/np/detail_contents.do?goods_id=3821


━━━━━━━━━━━【自著を語る(207)】━━━━━━━━━━

『出版状況クロニクルⅤ』

                        小田光雄

 これで『出版状況クロニクル』も5冊目となった。論創社の森下
紀夫氏の誘いにより、2007年から始められた出版業界の定点観測は
10年間に及んでいる。それゆえに本クロニクルは紛れもないひとつ
の現代出版史を形成しているし、リアルな出版社、取次、書店のド
キュメントとなっている。その事実からすれば、本書は他の業界で
は見ることができない、臨場感を伴う同時代レポートと称してもか
まわないだろう。



続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3859


『出版クロニクル5』小田光雄 著
論創社 4月下旬発売予定
http://ronso.co.jp/


━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━



『公共図書館の冒険』
編:柳与志夫・田村俊作
執筆:小林昌樹・鈴木宏宗・柴野京子・河合将彦・安井一徳・小田光宏
みすず書房刊 定価:3,780円(本体3,500円)好評発売中!
https://www.msz.co.jp/book/detail/08682.html



『熊楠と猫』
著者:南方 熊楠・杉山 和也・志村 真幸・岸本 昌也・伊藤 慎吾
共和国刊 価格 2,300円+税 好評発売中!

http://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784907986360


Editorship(エディターシップ) Vol.5 日本編集者学会編
特集1信州と出版文化 他
価格 1,600円+税 5月3日発売予定
発行:日本編集者学会 販売:田畑書店
http://tabatashoten.co.jp/

*本と人との交流拠点
 「神保町ブックセンター with Iwanami Books」が 4月11日開業*
UDS株式会社
http://www.uds-net.co.jp/article/7726



━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━


4月~5月の即売展情報

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


見逃したメールマガジンはここからチェック!
 【バックナンバーコーナー】
/wppost/plg_WpPost_category.php?catid=22

┌─────────────────────────┐
 次回は2018年5月中旬頃発行です。お楽しみに!
└─────────────────────────┘


*☆ 本を売るときは、全古書連加盟の全国の古書店に ☆*
全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,200店加盟)の略称です

https://www.kosho.or.jp/buyer/list.php?mode=from_banner


==============================


日本の古本屋メールマガジンその249 2018.4.25

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:小野祥之
編集長:藤原栄志郎


==============================

wahon

江戸から伝わる古書用語 2 本の市場    (シリーズ古書の世界第5回)

江戸から伝わる古書用語 2 本の市場

橋口 侯之介(誠心堂書店)

競り市場というのは、一つのアイテムを複数の買い手が競争することで一定の値が付くことにある。これを相場といい、次回以降の取引に参照される。この関係は江戸時代には早くから金銀や米の取引で確立されており、きわめて現実的な価格形成が為されてきた。大坂の堂島では18世紀初頭の宝永・正徳頃に米の先物取引が始まったとされ、それが全国に影響を与えた。金銀銅貨の交換も取引所があって大坂では毎日レートが発表されていた。

この方法を本屋たちも早速取り入れている。享保の頃には(1720年代)には京都で本と板木の市が立ったことが確かめられているのだ。当初は私的な市場だったが、その重要性が認められて公的な仕組みが必要だと考えられるようになった。京都の宝暦12年(1762)の記録に市屋の株と仕法を定めたとあり、市場を開く権利を本屋仲間が認めた業者(本屋にかぎる)に株を与え、その規定を定めたという。後にさらに唐本を扱う唐本市にも同じ仕組みを設けた。

以来、本の市場(当時は本市といった)が定期的に開かれ、その取引はかなり盛んだった。18世紀中頃の本屋の日記を見ると(風月庄左衛門の『日暦』)、当主だけでなく番頭や手代を参加させてかなりの量を仕入れたという。そこで集めた書籍を各地の藩などにまとめて納入している。

この仕組みはすぐに大坂も導入し「世利分(せりわけ)市」と称した。江戸も同様で、その結果、三都の間を自由に古書が売買され、セドリ(世利子ともいった)のような業者が往来した。世利子は本屋仲間の店で登録され、その人別帳を市に登録するので、京・大坂・江戸のどの市にも参加できた。

つまり江戸緒時代の中期には、そのような流通形態が確立していたことがわかる。蔵書家の本が売りに出ると売り立てが行われ、例えば曲亭馬琴の蔵書は市で250両になったとか、大坂では大塩平八郎の本が600両で売られたという記録がある。

市場の株を持った者は、広い会場を用意し、そこが仲間成員の交流場所にもなっていた。
ここでおもしろいのは市の売り手が支払う手数料(歩金)が5分だったことだ。市の株を持った会主はそこから2分を仲間に納入した。当時の本市が東京の中央市会や東京古典会に相当し、東京組合が本屋仲間だと考えるなら、現在に至るまで変わらない制度なのだ。



wahon
『和本への招待 日本人と書物の歴史』 著者 橋口 侯之介
角川選書 (角川学芸出版・角川グループ)
定価 1,728円(本体1,600円+税)好評発売中!
https://www.kadokawa.co.jp/product/201001000449/

誠心堂書店
http://seishindo.jimbou.net/catalog/index.php
 

Copyright (c) 2018 東京都古書籍商業協同組合

hibi

『古本乙女の日々是口実』について

『古本乙女の日々是口実』について

カラサキ・アユミ


 学生時代から今日まで、私のスマホのホーム画面には『日本の古本屋』のサイトが長らく鎮座している。遠出や旅行に行くとなったらまず真っ先に開くのはこのサイトの“古本まつりに行こう”のコーナーだ。即売会の情報含め古本の情報を我が身に惜しみなく注入させてくれるこのサイトにどれだけ助けられてきたことだろう。そんな古本者の心優しき隣人である『日本の古本屋』に自分の書いた記事が、おまけに著書が掲載されるなんて、ごくごく平凡な古本好きな一般人であった自分には全く予想だにしない出来事だった。

さて、自著について語るというテーマなのだからどっぷり本についてのセールスポイントや熱い思いをここに述べねばならない。
この度刊行した『古本乙女の日々是口実』は古本が大好きな乙女(もう乙女と言う年でもないが…)が大好物の古本を手に入れる為に時に四苦八苦しつつ、時に歓喜や感動に包まれるという実体験の出来事を四コマ漫画と文章で紹介している本である。

ペンと紙を使った拙い画力と走り書きの文字によるアナログ手法の漫画にも関わらず、古本とのやり取りのなかで生じた私の喜怒哀楽の感情を混じりけ無しに感じ取ってくれた方々の存在があったからこそ、この一冊が生まれたといっても過言ではない
もともとは、完全なる自己満足感覚のもとSNSに投稿していた絵日記的な古本四コマ漫画、思いもかけず多くの古本好きの方々から反応や感想をいただいたのであった。

これだけ己の熱量や沢山の方々への感謝の思いが詰め込まれた本にも関わらず、悔しいかな、自分には人様をハッとさせるような文才を持ち合わせていない。素直さだけが唯一の売り、ゆえにこの自著の紹介も「あぁ古本って最高!ん?貴方もそう感じる?ならばこの本、是非読んでいただきたい!」という超ド直球の言葉しか浮かばないのだ。
自分の狂おしいまでの古本愛と書物蔵氏が奏でる知識とユーモア溢れる解説が合わさった唯一無二の味を楽しめる古本オードブル、この『古本乙女の日々是口実』が沢山の古本者の皆々様にご賞味いただけたら…想像するだけでワクワクと嬉しさの鼓動が止まらない!

そして、この度の著書では書ききれなかった過去の体験談もいつか機会があればまとめたいなぁ!と次なる欲の蕾が芽吹き始めている現在でもある。J・Jおじさん(植草甚一氏)気取りで楽しんだニューヨークでの古本行脚珍道中記、日本国内古本ボンボヤージュ記、プロの古書店さんと参加した古書即売会イベント奇譚、初めて出店した一箱古本市冒険記、古本屋さんのお手伝い奮闘記、古本屋さんとの交流備忘録etc…といった具合に、描きたい物事が尽きない我が古本道なのである。



hibi
『古本乙女の日々是口実』 カラサキ・アユミ 著
株式会社 皓星社  価格:1,000円(+税)好評発売中
http://www.libro-koseisha.co.jp/publishing/furuhonotome/

ツイッター
https://twitter.com/fuguhugu


Copyright (c) 2018 東京都古書籍商業協同組合

bungaku

『日本文学全集の時代 ー戦後出版文化史を読む』

『日本文学全集の時代 ー戦後出版文化史を読む』

田坂憲二


 本書は、1950年代から70年代まで、戦後の出版界で大きな役割を果たした文学全集の類を、代表的な10の出版社を中心に分析したものである。世界文学全集については、特定の出版社を切り口にしたものであるが、すでに『文学全集の黄金時代 ー河出書房の1960年代』(和泉書院、2005年)で明らかにしたので、今回は、日本文学全集について、主要な出版社を網羅して、体系的に考察したものである。記述の方法は、個別の出版社ごとの通時的記述を骨格とした。この方法を採ることによって、出版社ごとの伝統や特徴、出版戦略を浮き彫りにした。これに適宜、他社の全集を共時的・同時代的に見ることにより、出版界全体の動きを視野に納めることができたのではないかと思う。

 執筆に当たって留意したことは、同じ文学全集というジャンルを取り上げるのだから、出版社ごとの記述が重複しないように、異なった角度から論じることである。筑摩書房の章では文学全集を通史的に概観し、角川書店の章では一つの叢書がどのように成長していくのかを跡づけ、新潮社の章ではベストセラーがどのように改編され生き延びていくかを析出し、講談社の章では大衆文学の全集の歴史に目配りをし、河出書房の章では古典文学と近代文学とのコラボレーションの問題に着目し、中央公論社と文藝春秋の章では挿絵や「文学館」という独自の体系を論じた。旺文社と学習研究社の章では好敵手のこの二つの出版社(筆者に村松梢風のような筆力があれば名勝負物語を書きたいところ)では文学全集だけではなく学年別雑誌の消長も併せて記述した。したがってそれぞれの章は個別に楽しむことができ、同時に文学全集の断面から切り取った各出版社の社史ともなっている。個別的記述の独立性が高まれば、一方で全体を統一する力が弱まるから、各所で同時代の他社の状況を意識的に加えるとともに、巻末に各社の文学全集を一覧できる年表を附載した。

 本書の基礎資料を集めるに際しては、とにかく古本屋さんのお世話になった。一通りの全集を函や帯や月報が附いた形のまま蒐集できたのはそのお蔭であり、無数にある異装版や後刷りをほとんど100円で求めることもできた。内容見本の類に至っては、もうこれは古本屋さんや古書展を抜きにしては蒐集できなかったものである。あとがきに古本屋さんの名前を列挙してお礼を申し上げたかったほどであるが、あまりに膨大になるので断念した次第である。この場を借りて御礼申し上げる。

 最後にクイズを。次のキー・ワードと関係の深い出版社を組み合わせなさい。王道、拡大、教養、現代、差異、新進、先駆、定番。筑摩書房、角川書店、新潮社、講談社、集英社、中央公論社と文藝春秋、河出書房、学習研究社と旺文社。正解は本屋さんで!



bungaku
『日本文学全集の時代―戦後出版文化史を読む』 田坂 憲二 著
慶応大学出版会 税込価格:2,592円 好評発売中!
http://www.keio-up.co.jp/np/detail_contents.do?goods_id=3821

Copyright (c) 2018 東京都古書籍商業協同組合

kuronikuru

『出版状況クロニクルⅤ』

『出版状況クロニクルⅤ』

小田光雄


 これで『出版状況クロニクル』も5冊目となった。論創社の森下紀夫氏の誘いにより、2007年から始められた出版業界の定点観測は10年間に及んでいる。それゆえに本クロニクルは紛れもないひとつの現代出版史を形成しているし、リアルな出版社、取次、書店のドキュメントとなっている。その事実からすれば、本書は他の業界では見ることができない、臨場感を伴う同時代レポートと称してもかまわないだろう。

 本クロニクルは近代出版流通システムの歴史と構造、出版社、取次、書店という三者の関係をふまえ、さらに古書業界も視野に入れ、書き継がれてきた。しかし今世紀に入って、あからさまに露呈し始めていた出版物インフラをめぐる危機状況は、出版社や書店だけでなく、その流通と金融を担う取次にも及び、それが2016年から17年にかけての『出版状況クロニクルⅤ』に鮮明に記録されることになったのである。

 16年は太洋社の自主廃業発表から自己破産、実質的な大阪屋と栗田出版販売の破綻から生じた大阪屋栗田の発足、神田村の東邦書籍の破産から始まり、17年には専門取次の日本地図共販の自己破産が起きている。それに伴い、取次の根幹を占める実際の出版輸送の危機にも見舞われ、さらにまた大型店を全国的に展開してきた丸善ジュンク堂の経営者たちの辞任問題へともリンクしていったことになる。

 このような『出版状況クロニクルⅤ』に示された取次と書店のバブル書店の危機を背景として、18年に入って大阪屋栗田をめぐる問題、日販の「非常事態発言」などが続いている。それにはアマゾンや電子書籍も絡んでいるけれど、根本的にいうならば、取次が流通業の原則を弁えず、結果として生命線に他ならない中小書店を壊滅させてしまったことにある。それが雑誌の凋落を招いた最大の要因である。1960年代に2万6千店を数えた書店は、2018年に入り、1万2千店と半分以下になってしまっている。それは出版物売上高も同様である。その一方で、まだバブル的大型店出店の清算はなされていない。
 そうした取次をめぐる危機的状況はこれからさらに加速していくはずで、そこに至る取次とナショナルチェーンの書店の関係は、今回の『出版状況クロニクルⅤ』に詳細に記録されている。これから起きるであろう出版業界の突発的事態にしても、予測と手がかりはレポートしているつもりなので、ぜひ本書を参照してほしいと思う。

 それと同時にあらためて実感されるのは、ほぼ一世紀前に誕生した近代的雑誌や書籍という出版物、それを生産し、流通させ、販売するという出版社、取次、書店からなる近代出版業界のパラダイムが、もはや崩壊から解体へと向かっている事実である。その行方がどのようなところにたどりつくのかは断言できないけれど、私たちがこの時代において、大げさではなく、ミシェル・フーコーのいうところのエピステーメーの変動に立ち合っていることは確かであろう。そのような記録として、『出版状況クロニクルⅤ』が読まれることを願って止まない。



kuronikuru
『出版クロニクル5』小田光雄 著
論創社 4月下旬発売予定
http://ronso.co.jp/


Copyright (c) 2018 東京都古書籍商業協同組合

no-image

2018年4月10日 第248号

■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■
 。*..*.:☆.:*・日本の古本屋メールマガジン・*:.☆.:*..*。
 古書市&古本まつり 第62号
      。.☆.:* 通巻248・4月10日号 *:.☆. 。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メールマガジンは、毎月2回(10日号と25日号)配信しています。

初旬に(10日前後)全国で開催されている古本展示即売会など、
イベント情報をお送りします。お近くで開催される際は、ぜひ
お出掛け下さい。
なお、1月から「シリーズ古書の世界」を連載しております。



次回メールマガジンは4月下旬に発行です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このメールは「日本の古本屋会員」の方で、メールマガジンの配信
を希望された方にお送りしています。
ご不要な方の解除方法はメール下部をご覧下さい。
【日本の古本屋】は全国935書店参加、データ約630万点掲載
の古書籍データベースです。



━━━━━━━━━【シリーズ古書の世界 第4回】━━━━━━━


江戸から伝わる古書用語 1 セドリ


                 橋口 侯之介(誠心堂書店)


セドリは、各地の本屋を回って本を仕入れ、それを古書市場や専門
店に持っていって利ざやを稼ぐことをいう。これを「背取り」と書
いて、本の背を見ながら抜いていくことからきているという解釈が
まかり通っている。しかし、これは誤っており、一種の都市伝説で
ある。この用語は江戸時代からあり、当時の本は和本であり、背中
なるものは見えないのだから。



続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3816


誠心堂書店
http://seishindo.jimbou.net/catalog/index.php



━━━━━━━【メールマガジン4月25日号追加予告】━━━━━━

『古本乙女の日々是口実』 カラサキ・アユミ 著
株式会社 皓星社  価格:1,000円(+税)2018年4月24日発売
http://www.libro-koseisha.co.jp/publishing/furuhonotome/


ツイッター
https://twitter.com/fuguhugu



━━━━━【4月10日~5月15日までの全国即売展情報】━━━━━


https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init


--------------------------
柏古本まつり(千葉県)

期間:2018/04/03~2018/04/15
場所:モディ柏店 3F 千葉県柏市柏1-2-26 


--------------------------
小江戸川越 ペペ古本まつり(埼玉県)

期間:2018/04/05~2018/04/16
場所:ペペ広場(西武新宿線 本川越駅前)


--------------------------
第33回 古本浪漫洲 Part1

期間:2018/04/10~2018/04/12
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
   新宿区歌舞伎町1-2-2


--------------------------
第33回 古本浪漫洲 Part2

期間:2018/04/13~2018/04/15
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
   新宿区歌舞伎町1-2-2


--------------------------
立川フロム古書市

期間:2018/04/13~2018/04/29
場所:立川駅北口徒歩5分フロム中武(ビッグカメラ隣) 
   3階バッシュルーム(北階段際)


--------------------------
大均一祭

期間:2018/04/14~2018/04/15
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9


--------------------------
第33回 古本浪漫洲 Part3

期間:2018/04/16~2018/04/19
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
   新宿区歌舞伎町1-2-2


--------------------------
第27回 池袋西口公園古本まつり

期間:2018/04/18~2018/04/26
場所:池袋西口公園
   豊島区西池袋1-8-26 東京芸術劇場横


--------------------------
下町書友会

期間:2018/04/20~2018/04/21
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22


--------------------------
本の散歩展

期間:2018/04/20~2018/04/21
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4 


--------------------------
第33回 古本浪漫洲 Part4

期間:2018/04/20~2018/04/23
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
   新宿区歌舞伎町1-2-


--------------------------
第33回 古本浪漫洲 Part5(300円均一)

期間:2018/04/24~2018/04/26
場所:新宿サブナード2丁目広場(催事場)
   新宿区歌舞伎町1-2-


--------------------------
春の古本掘り出し市(岡山県)

期間:2018/04/25~2018/04/30
場所:岡山シンフォニービル1F 自由空間ガレリア


--------------------------
浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2018/04/26~2018/04/29
場所:JR浦和駅西口徒歩5分 マツモトキヨシ前


--------------------------
ぐろりや会

期間:2018/04/27~2018/04/28
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22


--------------------------
オールデイズ

期間:2018/04/27~2018/04/29
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田5-1-12 


--------------------------
第16回 四天王寺 春の大古本祭り(大阪府)

期間:2018/04/27~2018/05/02
場所:四天王寺 大阪市天王寺区四天王寺1-11-18


--------------------------
好書会

期間:2018/04/28~2018/04/29
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9


--------------------------
第36回春の古書大即売会(京都府)

期間:2018/05/01~2018/05/05
場所:京都市勧業館「みやこめっせ」1F第二展示場
   京都市左京区岡崎成勝寺町9-1

--------------------------
第18回 八王子古本まつり

期間:2018/05/02~2018/05/06
場所: 八王子駅北口ユーロード


--------------------------
早稲田大学青空古本祭

期間:2018/05/07~2018/05/12
場所:早稲田大学10号館前(大隈重信候そば)


--------------------------
新橋古本まつり

期間:2018/05/14~2018/05/19
場所:新橋駅前SL広場


--------------------------

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

見逃したメールマガジンはここからチェック!
 【バックナンバーコーナー】
/wppost/plg_WpPost_category.php?catid=22

┌─────────────────────────┐
 次回は2018年4月下旬頃発行です。お楽しみに!
└─────────────────────────┘

*゜*.:*☆ 本を売るときは、全古書連加盟の古書店で ☆*.:*゜*
全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,200店加盟)の略称です

https://www.kosho.or.jp/buyer/list.php?mode=from_banner

==============================


日本の古本屋メールマガジンその248 2018.4.10

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:小野祥之


==============================

wahon

江戸から伝わる古書用語 1 セドリ     (シリーズ古書の世界第4回)

江戸から伝わる古書用語 1 セドリ

橋口 侯之介(誠心堂書店)

セドリは、各地の本屋を回って本を仕入れ、それを古書市場や専門店に持っていって利ざやを稼ぐことをいう。これを「背取り」と書いて、本の背を見ながら抜いていくことからきているという解釈がまかり通っている。しかし、これは誤っており、一種の都市伝説である。この用語は江戸時代からあり、当時の本は和本であり、背中なるものは見えないのだから。

このセドリがいつから始まったかは定かではないが、少なくとも18世紀には確認できる商慣習である。曲亭馬琴の書いた『近世物之本江戸作者部類』によれば人情本の人気作家・為永春水は、「柳原土手下小柳町の辺に処れり。旧本の瀬捉といふことを生活にす。且軍書読みの手に属て、夜講の前座を勤ることも折々ありといふ」とあり、小柳町(現在の神田須田町あたり)にいて、若い頃は古本の「せとり」をしていたという。別の本にも為永春水は講釈師をしながら、糴取の担商をしていたと出てくる。担商とは西行法師が包みを背に載せて旅をした故事からきており、いつも背中に風呂敷包みを放さず江戸中を巡り歩いていた人たちである。この瀬捉あるいは糶取とも表記されるのがセドリである。

最近、某国が海上で船を横付けして原油などを手に入れる行為を「瀬取り」というそうだが、古本屋からすれば気持ちの良い話ではない。
江戸の本屋・和泉屋庄次郎も本屋の息子として生まれたが、初代の没したのがまだ13歳だったため、すぐには店を継げず、紙漉きをして十七歳まで働いて銭を貯めて、それを元手にセドリを始め、刻苦精励して寛政初年頃(1790年前後)、浅草新寺町に本屋を再興したと伝えられている。セドリだけで店を持つまで稼げたのだ。その日記『堂前隠宅記』によれば晩年になっても江戸中の店を巡り歩いて本を探すことは続けていた。本屋にとってそれは「楽しい」ことでもあったのだろう。

当時、出版もするような書物問屋に対して、本屋仲間に属さずに本を売買する者を世利子(せりこ)とか売子(うりこ)と呼んで区別してきた。このフリーランスの層の主な仕事はセドリだった。当時の貸本屋もそうだが、店をもたずに本の商いをする者の商売道具は風呂敷だった。明治初期を描いた次の一文には、
「この一団には仁義があつて下駄は履かず泥鰌草履(どじょうぞうり)ばきで風呂敷を背負ひ……店先へは腰を下さずかゞんで商ひをした。この糶取のことを俗に風呂敷と云つた」(『日本出版文化史』とある。

明治期の古本屋は江戸の流れで店をかまえて本を売っていた者と、このセドリ商からスタートして次第に店を出すようになった者たちとで成り立った。昭和期になってもセドリを商売にしていた者はけっこういた。
和泉屋庄次郎と同じように私も若い頃は各地の本屋を訪ね回るのが好きだった。古本屋の甲斐性でもあるのだ。



wahon
『和本への招待 日本人と書物の歴史』 著者 橋口 侯之介
角川選書 (角川学芸出版・角川グループ)
定価 1,728円(本体1,600円+税)好評発売中!
https://www.kadokawa.co.jp/product/201001000449/

誠心堂書店
http://seishindo.jimbou.net/catalog/index.php
 

Copyright (c) 2018 東京都古書籍商業協同組合

no-image

2018年3月23日 第247号

■■■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■■■
 。*..*.:☆.:*・日本の古本屋メールマガジン・*:.☆.:*..*。
     。.☆.:* その247・3月23日号 *:.☆. 。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

このメールは「日本の古本屋会員」の方で、メールマガジンの配信
を希望された方にお送りしています。
ご不要な方の解除方法はメール下部をご覧下さい。
【日本の古本屋】は全国930書店参加、データ約600万点掲載
の古書籍データベースです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆INDEX☆
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
1.沙羅書房 創業50周年記念誌『古書の道』
                    沙羅書房 初谷康夫
2.『人と会う力』について     岡崎武志
3.『保守と立憲』について          中島岳志
4.フローとストック    月刊「望星」編集長・石井靖彦

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

━━━━━━━━━━━【自著を語る(202)】━━━━━━━━━━

沙羅書房 創業50周年記念誌 『古書の道』


                   沙羅書房 初谷康夫


 私ども沙羅書房は、江戸、明治期に出版または書き写された和本
や古地図が専門の古書店です。歴史、地誌、伝記、書誌、民俗学な
どの学術書も取り扱っており、とくにアイヌや北方、琉球関係資料
を充実させています。



続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3752


沙羅書房 創業50周年記念誌 『古書の道』
1冊 2,500円 送料込
http://www.sara-shobo.com/news/20170623.html


━━━━━━━━━━━【自著を語る(203)】━━━━━━━━━━

『人と会う力』について

                       岡崎武志



昨年(二〇一七年)に出したのが『人生散歩術』(芸術新聞社)で、
年が変わって今年初めて出た本が『人と会う力』(新講社)である。
これまで、本、読書、古本に関する著作が多かったが、還暦を迎え
た去年から、出た本のどちらのタイトルにも「人」がついている
これは意識せずにそうなったのた。そういうお年頃、ということで
あろうか。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3748

『人と会う力』 岡崎武志 著 
新講社 価格1,600円+税 好評発売中!
http://www.shinkosha-jp.com/details.jsp?goods_id=2775

━━━━━━━━━━━【自著を語る(204)】━━━━━━━━━━

『保守と立憲』について

                       中島岳志


 『保守と立憲』(スタンドブックス)を出版しました。この本は
主に「保守」や「立憲」、「リベラル」などの概念を整理しながら、
現実の政治を批評した内容です。「リベラルな保守」を掲げて結成
された立憲民主党の枝野幸男代表との対談も収録しました。
この本の発端は2011年の東日本大震災にあります。
 震災の直後、私は共同通信配信の連載で「死者と共に生きる」と
いう文章を書きました(『保守と立憲』に収録されています)。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3778


『保守と立憲』 中島岳志 著
スタンド・ブックス刊 本体1,800円(税別) 好評発売中!
http://stand-books.com/



━━━━━━━━━━━【編集長登場(18)】━━━━━━━━━━

  フローとストック


               月刊「望星」編集長・石井靖彦

     

月刊「望星」3月号では「古書・品切れ・絶版に宝物あり!」と題
した特集を組みました。本屋さんに行けば、新書をはじめとした新
刊本の大洪水にめまいを起こし倒れる人がいます。アマゾンユーザ
ーや、目当ての本を即購入という効率重視派なら洪水は気にならな
いでしょうが、面白そうな本はないかな? とブラつくヒマ人にと
っても、もはやあの洪水状態は困ります。あらゆる商品はそもそも
玉石混淆なのですが、量的拡大を続ける出版の世界は、玉が見つか
りづらい代表格かもしれません。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=3765


『望星』3月号 古書・品切れ・絶版に宝物あり!
株式会社東海教育研究所 本体556円+税 好評発売中!
http://www.tokaiedu.co.jp/bosei/



━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

『日本文学全集の時代―戦後出版文化史を読む』 田坂 憲二 著
慶応大学出版会 税込価格:2,592円 好評発売中!
http://www.keio-up.co.jp/np/detail_contents.do?goods_id=3821


『出版クロニクル5』小田光雄 著
論創社 4月下旬発売予定
http://ronso.co.jp/

━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━


3月~4月の即売展情報

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


見逃したメールマガジンはここからチェック!
 【バックナンバーコーナー】
/wppost/plg_WpPost_category.php?catid=22

┌─────────────────────────┐
 次回は2018年4月中旬頃発行です。お楽しみに!
└─────────────────────────┘


*☆ 本を売るときは、全古書連加盟の全国の古書店に ☆*
全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,200店加盟)の略称です


https://www.kosho.or.jp/buyer/list.php?mode=from_banner


==============================


日本の古本屋メールマガジンその247 2018.3.23

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/


【発行者】
 広報部:小野祥之
編集長:藤原栄志郎

==============================

Just another WordPress site