銀糸に悩む日々――地元資料を伝える店を目指して 【古本屋でつなぐ東北(みちのく)5】

銀糸に悩む日々――地元資料を伝える店を目指して 【古本屋でつなぐ東北(みちのく)5】

(山形県・古書紅花書房遊学館前店)苅谷 博

 今日もクモの巣とたたかっています。

 彼女たちの精勤さには目を見張るものがあり、窓辺や天井の隅は元より平積みされた本の隙間や本棚の中の僅かな隙間にまで巧みに糸を掛ける様はいつも関心させられます。そこにどんな獲物がいるのか興味が沸かない訳ではないのですが、いかんせん物販を生業とする身としては生態観察よりも商品の見た目の良さを優先せねばならず、開店前には一通り掃除機をかけハタキをかけして店の体裁を整えようと努めます。しかしいつの間にやらまた新たな銀糸が掛かっているのです。

 なぜそんなにクモがいるのかというと、店主のズボラがいちばんの災いではあるのですが、二番目の理由として、窓のすぐ上の外壁に飲食店街の入口を示す看板が設置されていて夜も煌々と酔客と虫たちを誘っている為です。虫を目当てにクモが集まるのは自然の道理。夏の盛りなどはクモの巣にクモの巣がかかるような絶好の狩場なのです。日中は換気のため窓を開けているので、ごく自然に入店してそのまま居付いてしまうのでしょう。薄暗く埃っぽい環境も彼女たちの好みに合うのかもしれません。

 看板が悪いのだ、などという訳ではありません。寧ろ夜も明るい看板は防犯灯代わりに活躍してくれているので感謝すべきところであり、当店の目印ともなっているので大変気に入っています。そもそも毎日欠かさず掃除をし、商品の手入れをし、どこからか差し込む隙間風の対策を講じれば自ずとクモの巣など一掃されるはず。はずなのです。やはり結局は店主のズボラに帰結する問題なのでした。

 客商売の理想としては、清潔・簡素・明瞭と三拍子で小気味よくお客様をを迎えしたいものですが、通路に積み重なる段ボール、縛ったままの雑誌、本棚から突き出る本ではないもの、風に舞うホコリとそよぐクモの巣、ゴミ屋敷もかくやという風景に近づきつつあり、ズボラなりに焦燥と無力感を抱えながら日々の業務に追われております。それを見かねて「客を入れなければいい。一旦ネット販売のみに切り替えてはどうか」とアドバイスして下さる方もあり、それはとても甘い誘惑ではあるのですが、私としては願わくば店舗としてお客様が手に取って本を選べる形式を維持したいと思っています。

 昭和の末、山形市内には約 七店の古本を扱う店がありましたが、平成始めの大型店の進出を契機に地元店は急激にその数を減らし、一時はゼロになってしまった時期もありました。令和四年現在は当店を入れて三店に持ち直しています。

 大型店には大型店の、地元店には地元店の役割があり、扱うべき史料や書物もあると心得ます。及ばずながら当店も地元の歴史を次代に伝える一助となればと願っております。また、書籍以外でも、昔の写真や雑誌の記事、地元の地図や商店の広告、学校文集さらには飲み屋のマッチラベル等など、色々な物を色々な理由で探していらっしゃる方々がいるのだと知り、そうした需要に応えるのも仕事の一つだと思う次第です。

 しかし、それらを実行しようとするとなかなか容易ではなく、回転率の低い地元出版物はストックしておくだけでもかなりのリソースを圧迫し、書籍ではない資料などは整理分類に苦慮し、蒐集家向けのブツは「方向は合ってるけどコレじゃない」などと言われ、雑本などは思い切ってツブシに廻さなければならないのに、それぞれに譲って頂いた方の顔がチラつき、とりあえず一旦保留のまま増える一方で、常に一杯の狭い倉庫を眺めながら「四次元ポケットが欲しいなあ」などとぼやく始末です。

 もしかしたら、店内のいくら掃ってもきりのないクモの巣は、芥川龍之介の小説のような、成仏できないでいる書物たちへの仏様からの救いの糸なのかもしれません。

 

(画像は店舗側壁の案内看板)

 
 
(「日本古書通信」2022年12月号より転載)

 
 
 
 


『増補新版 東北の古本屋』 折付桂子著
文学通信刊
ISBN978-4-909658-88-3
四六判・並製・312頁(フルカラー)
定価:本体1,800円(税別)好評発売中!
https://bungaku-report.com/books/ISBN978-4-909658-88-3.html

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2023年2月24日号 第365号

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☆INDEX☆
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1.『張愛玲の映画史』
 上海・香港から米国・台湾・シンガポール・日本まで

          九州大学・福岡大学非常勤講師 河本 美紀

2.『憧れの住む東京へ』

                          岡崎武志

3.映画『丘の上の本屋さん』紹介

            株式会社ミモザフィルムズ 掛川あづみ

4.『地下出版のメディア史』展を終えて

                          大尾侑子

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━━━━━━━━━【大学出版へのいざない3】━━━━━━━━━━━

『張愛玲の映画史──上海・香港から米国・台湾・シンガポール・日本まで』

             九州大学・福岡大学非常勤講師 河本 美紀

 中国語圏近現代文学を代表する作家、張愛玲(一九二〇─一九九五)は
一九四〇年代前半、日本占領下の上海で活躍した。小説「金鎖記」、「傾
城之恋」に代表されるように、古典と現代的な感覚を合わせた巧みな筆致、
細やかな心理描写によって、不穏な社会でほろ苦い人生を送る人々をシニ
カルに描き出した。その悲観的な小説世界は、現在に至るまでファンを獲
得し続け、日本でも多くの邦訳が出版されている。

 張愛玲は中華人民共和国建国後の一九五二年に上海を離れ、香港を経て
米国へと生きる場所を求めた。資料が限られていたため、渡米後の張愛玲
については、執筆活動が衰え、人目を避け旧作の書き直しや翻訳に従事し、
ペシミズムに彩られた孤独な生涯を送ったというのが通説となっていた。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=11108

書名:『張愛玲の映画史
       ──上海・香港から米国・台湾・シンガポール・日本まで』
著者名:河本美紀 著
出版社:関西学院大学出版会
判型等:A5  上製 610頁
税込価格:8,800円
ISBN:978-4-86283-348-8
Cコード:3074
好評発売中!
http://www.kgup.jp/book/b618396.html

━━━━━━━━━━【自著を語る(305)】━━━━━━━━━━

『憧れの住む東京へ』

                           岡崎武志

 今年一月に出した『憧れの住む東京へ』(本の雑誌社)は、「本の雑誌」
に二年連載ののち、大幅な加筆と新章を加えたもの。同じ一月にちくま文
庫に収録された『ここが私の東京』、すでにちくま文庫入りした『上京す
る文學』を合わせ、「上京」三部作となる。江戸期もすでにそうであった
が、地方から首都へ流入してくる人々のエネルギーにより「東京」の街と
文化が作られてきた。そのことを実証するため、多くの上京者がいかに東
京へやって来て、どこに住んで、何をなしてきたを調べる作業がずっと続
いてきたのである。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=11121

『憧れの住む東京へ』
岡崎武志 著
四六判並製
264ページ
定価1,980円(税込)
ISBN978-4-86011-475-6
好評発売中!
https://www.webdoku.jp/kanko/page/4860114752.html

━━━━━━━━【映画『丘の上の本屋さん』紹介】━━━━━━━━

              株式会社ミモザフィルムズ 掛川あづみ

 ユニセフ・イタリアが共同製作に参加した本作は、イタリアの風光明
媚な丘陵地帯を見下ろす丘の上の小さな古書店を舞台に、年齢や国籍の
違いを超え、“本”を通して紡がれる友情、読書の喜びを描いたハート
ウォーミングストーリー。

 訪れる風変りな客たちを温かく迎え入れるリベロの店は、街のちょっと
したオアシス的な存在でもある。ある日、店の外で本を眺める移民の少年
エシエンに声を掛けたリベロは、好奇心旺盛なエシエンに、コミックから
児童文学、中編小説、長編大作、さらに専門書まで次々と店の本を貸し与
えていく。エシエンから感想を聞きながら、様々な知識やものの見方や考
え方など、リベロはジャンルを超えて叡智を授ける。そしてイタリア語で
「自由(Libero)」を意味する自身の名の通り、エシエンに自由であるこ
と、誰もが幸せになる権利を持つことを伝えていくのだった。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=11130

■『丘の上の本屋さん』
■配給:ミモザフィルムズ
■公開:3/3(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、
    アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
https://mimosafilms.com/honya/

━━━━━━━━━━━━【プレゼント企画】━━━━━━━━━━

映画『丘の上の本屋さん』の無料ご招待チケットを、
抽選で6名様にプレゼント致します。
ご応募お待ちしております。

◆チケットはムビチケ前売券(オンライン)となります。
◆当選された方には、「ムビチケ購入番号」と「ムビチケ暗証番号」が
 記載されたPDFファイルをメールに添付してお送りいたします。

全国のムビチケオンラインがご利用できる劇場は下記からご確認いただけます。

https://movieticket.jp/SupportedTheaters/

その他ご不明な点は下記「ムビチケガイド ご利用ガイド」をご覧ください。

https://movieticket.jp/guide

応募申込は下記ページにてお願い致します。
 締切日 2月28日(火)午前10時

https://www.kosho.ne.jp/entry2023/0224.html

━━━━━━━━━━【自著を語る(番外編)】━━━━━━━━━━

『地下出版のメディア史』展を終えて

                          大尾侑子

■『地下出版のメディア史』という切り口
 2022年12月14日、名残惜しくも「『地下出版のメディア史』展」の
撤収作業を終え、一息ついた新幹線のなかで筆を執っている。東京古
書会館の全面的なバックアップのもと、慶應義塾大学出版会の主催で
実現した今回の展示会は、二週間という会期にもかかわらず多くの来
場者に恵まれた。まずはご来場者のみなさま、そして開催に向けてご
尽力いただいた古書店の皆さんにお礼申し上げる。芳名録にお名前を
いただいた方には、本来ならば現地でお一人ずつゆっくりとお話しを
したかったのだが、またの機会に期待したい。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=11146

『地下出版のメディア史』展——珍書屋から辿る軟派出版の世界
https://www.kosho.ne.jp/?p=531
※『地下出版のメディア史』展は終了しました

━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

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「大学出版へのいざない」シリーズ 第4回

書名:スイス観光業の近現代―大衆化をめぐる葛藤
著者名:森本 慶太
出版社名:関西大学出版部
判型/製本形式/ページ数:A5判/上製/184頁
税込価格:3,080円
ISBNコード:978-4-87354-758-9
Cコード:C3022
好評発売中!
https://www.kansai-u.ac.jp/Syppan/2023/01/7cb12b6ae84d1894f8bcc17b08f50f13da97ad9d.html
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『児童雑誌の誕生』
文学通信刊
柿本真代著
A5判・上製・296頁
ISBN978-4-86766-001-0 C0095
定価:本体2,800円(税別)
2月下旬刊行予定
https://bungaku-report.com/books/ISBN978-4-86766-001-0.html
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━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━

2月~3月の即売展情報

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即売展も、中止になる可能性がございます。ご確認ください。
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『地下出版のメディア史』展を終えて

『地下出版のメディア史』展を終えて

大尾侑子

『地下出版のメディア史』という切り口

 2022年12月14日、名残惜しくも「『地下出版のメディア史』展」の撤収作業を終え、一息ついた新幹線のなかで筆を執っている。東京古書会館の全面的なバックアップのもと、慶應義塾大学出版会の主催で実現した今回の展示会は、二週間という会期にもかかわらず多くの来場者に恵まれた。まずはご来場者のみなさま、そして開催に向けてご尽力いただいた古書店の皆さんにお礼申し上げる。芳名録にお名前をいただいた方には、本来ならば現地でお一人ずつゆっくりとお話しをしたかったのだが、またの機会に期待したい。

 そもそも「『地下出版のメディア史』展」というタイトルは、とんぼ書林・藤原さんのアイディアだった。2022年3月末、この本が書店に並び始めて数日後、突然、知らない番号から電話があった。第一声、「どうも、とんぼ書林です。あなたの本の後書きに、うちの店の名前を見つけたのでね」。なんと、よく古本を買っていた「とんぼ書林」だった。「そういえば、股旅堂さんとさっき会ったけれど、巻末の年表は貴重だよねぇ。あ、今ちょっと電話いいですか?」──。購入履歴からお電話をいただいたようだ。初めて聴く店主の声。これが私にとって、文字どおり人生初の“読者の声”となったのである。

 そんなご縁から実現した展示会。企画段階では「大尾侑子発禁本コレクション(仮)」などと無味乾燥なタイトルを提案したが、これまたとんぼさんから「ただの発禁本展じゃおもしろみがない。あなたの本の切り口で整理して展示することに意味があるんだから」と後押しされ、恥ずかしながら書名を掲げることにした。振り返れば、これが大正解だった。梅原北明一党、そこから枝分かれした戦前昭和の「珍書屋」(軟派出版の版元)を主軸に据えて、本の章立てに沿って棚ごとにコンセプトを設けた。おかげで目録作成も捗り、自分がどんな史料を持っていて、なにが行方不明なのか、頭の中を整理することができたからだ。

 展示品は、すべてここ十年ほどで集めた家蔵史料である。ガラスケースに並べて実感したが、やはりモノには説得力がある。出版に限らず歴史を立体的に浮かび上がらせるには、どれだけ詳細な記述を重ねてもどこか物足りない。その穴を埋めてくれるのは、やはり現物の力だろう。ガラス表紙をあしらった『不謹慎な宝石』(1929年、国際文献刊行会)などの稀覯本もそうだが、個人的な展示の目玉はやはり内容見本やチラシ、会員通信、ハガキ、スクラップであった。期せずして入手するこれらの紙ものこそ、私にとっては古書集めの醍醐味であり快楽の源泉でもある。書き込みなどの痕跡があれば、興奮は倍増するというもの。終わりのなき「地下出版」探究の鍵は、こうした小さなメディアにある。

トークイベントでの出逢い

 12月10日、古書会館7階で島村輝先生をお招きし、トークイベントを開催した。今後、文字にすることはないだろうと思い、よく訊ねられる「なぜこの研究をしているのか?」に答えてみることにした。結果、薄っぺらな個人史語りになってしまったが、戦前の男性中心的な趣味家集団に魅了される理由(それは現在の古書趣味への関心にも通じる)が少しだけ言語化できた。『変態・資料』『グロテスク』などの復刻を担当されてきた島村先生は、“全部押収”により幻とされた『グロテスク』2巻6号入手の経緯、「赤木妖三」の素性を追った探偵小説さながらの逸話を披露された。おもしろく、隣でただ聞き入ってしまった。会場にはウェブサイト「閑話究題 XX文学の館」管理人・七面堂究斎さんや、股旅堂の吉岡さんのお姿も。「あとがき」にも書いたように、こうした先達、古書店さんあってこそ研究ができる。お会いしたかった古書フレンズの皆さんにもご挨拶でき、本がつなぐ縁に感謝した、あたたかい冬の一日となった。

また、いつかどこかで!

 今回、展示という方法によって気づかされたことは思いのほか多い。一望して気づく装幀の共通性、タイポグラフィに隠されたメッセージ、紙質の変化など。ケースに並べられた瞬間、汚れた本やチラシたちが霊力をまとい発光して見えたのは、きっと照明の威力だけでは説明がつかない。一癖も二癖もある意匠に加えて、いにしえの出版人が残した執念(怨念?)がそう感じさせたのなら、地下本たちにとっても本望か……。そんなこんなで、最終日はすぐにやってきた。

 それにしても、この本や雑誌、よくもまあ自分のもとに辿り着いたものだ。約百年いろいろな場所、人の手を経由してきただろう。金策のために泣く泣く手放した人もいたに違いない。また少しの間、暗いところに閉じ込めてしまう。「おつかれさまでした」という気持ちで段ボールに詰め込み、ガムテープで閉じる。またいつか、どこかでライトを浴びられますように! その時にはもっと史料の声を代弁できる言葉を身につけていたい。

(了)

 

 

 

 
 
 
『地下出版のメディア史』展——珍書屋から辿る軟派出版の世界
https://www.kosho.ne.jp/?p=531
※『地下出版のメディア史』展は終了しました

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映画『丘の上の本屋さん』作品紹介

映画『丘の上の本屋さん』作品紹介

株式会社ミモザフィルムズ 掛川あづみ

 ユニセフ・イタリアが共同製作に参加した本作は、イタリアの風光明媚な丘陵地帯を見下ろす丘の上の小さな古書店を舞台に、年齢や国籍の違いを超え、“本”を通して紡がれる友情、読書の喜びを描いたハートウォーミングストーリー。

 訪れる風変りな客たちを温かく迎え入れるリベロの店は、街のちょっとしたオアシス的な存在でもある。ある日、店の外で本を眺める移民の少年エシエンに声を掛けたリベロは、好奇心旺盛なエシエンに、コミックから児童文学、中編小説、長編大作、さらに専門書まで次々と店の本を貸し与えていく。エシエンから感想を聞きながら、様々な知識やものの見方や考え方など、リベロはジャンルを超えて叡智を授ける。そしてイタリア語で「自由(Libero)」を意味する自身の名の通り、エシエンに自由であること、誰もが幸せになる権利を持つことを伝えていくのだった。

 物語の舞台となる “イタリアの最も美しい村”のひとつ、チヴィテッラ・デル・トロントの息をのむ絶景や、石造りの歴史ある街並みを味わえるのも本作の大きな魅力。不朽の名作『ニュー・シネマ・パラダイス』(89)にも通じるリベロとエシエンの心温まる物語を軸に、古書店に集まってくるユーモラスで個性あふれる人々、繰り返される日々の暮らし、小さな幸福は愛おしく観る者の心に染みこむ。そして人生を豊かに形づくるヒントが詰まったリベロの「幸せのブックリスト」には、「星の王子さま」、「ピノッキオの冒険」、「白鯨」をはじめとした名作が登場し、観客の知的好奇心を刺激する。

 リベロ役のレモ・ジローネは、『フォードvsフェラーリ』(19)、『我が名はヴェンデッタ』(22)など映画や舞台、テレビなど幅広く活躍してきた大ベテラン。そのほか個性派キャストが魅力あふれるキャラクターを彩りながら、活字離れが進む今こそ、読書の素晴らしさを温かく伝えている。

 
 
 
■『丘の上の本屋さん』
■配給:ミモザフィルムズ
■公開:3/3(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
https://mimosafilms.com/honya/

 

© 2021 ASSOCIAZIONE CULTURALE IMAGO IMAGO FILM VIDEOPRODUZIONI
 

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『憧れの住む東京へ』

『憧れの住む東京へ』

岡崎武志

 今年一月に出した『憧れの住む東京へ』(本の雑誌社)は、「本の雑誌」に二年連載ののち、大幅な加筆と新章を加えたもの。同じ一月にちくま文庫に収録された『ここが私の東京』、すでにちくま文庫入りした『上京する文學』を合わせ、「上京」三部作となる。江戸期もすでにそうであったが、地方から首都へ流入してくる人々のエネルギーにより「東京」の街と文化が作られてきた。そのことを実証するため、多くの上京者がいかに東京へやって来て、どこに住んで、何をなしてきたを調べる作業がずっと続いてきたのである。

 本書で取り上げた人物は六人。赤瀬川原平(名古屋)、洲之内徹(松山)、浅川マキ(白山)、田中小実昌(呉)、山之口貘(那覇)、耕治人(八代)。かっこ内は上京してきた地点で、時代も場所も上京してきた理由もバラバラだが、むしろそれを意識して人選した。いかに日本各地から無数の人々が上京したか。東京という磁力が強力であるかが分かる。男性ばかりになりがちなところを、女性を入れたいと前二作に引き継ぎ考え、異色ながら浅川マキを選んだ。選んでから、あれこれ資料を集めて浅川マキと東京に接近して行った。

 私は生で浅川マキを聴いたことがない。一九四二年に石川県の海沿いの寒村で生まれ育った歌好きの娘が、町に一軒だけあった映画館で「有楽町線に山手線が入ってくる」シーンを見て東京への憧れを募らせる。そして家出同然で上京し、まず目指したのが「有楽町」だった。のち一九六八年の新宿で寺山修司のサポートの元、黒い歌姫として君臨する姿からは想像できない。初々しい家出娘の姿に私は感動するのだ。「家出のすすめ」を書いて地方の若者を扇動した寺山も「家出娘」という点にまず食いついたのだった。

 選んだ六人中、直に会って言葉を交わしたのは赤瀬川原平だけ。有名な「ニラハウス」と命名されたご自宅へ著者インタビューでうかがった。赤瀬川は父が横浜、母が東京の出身で自身も横浜生まれだったが、幼少期より引越しを繰り返し、育ったのは大分市である。この大分で、兄の友人である磯崎新、先輩として吉村益信を知る。高校に通うのは名古屋だが、ここでも荒川修作がいた。つまり、のち前衛美術で活動する端緒を、移り住んだ町々で偶然にせよ掴んでいる。東京生まれで東京育ちでは、少なくとも若き日に知り合うことのなかった表現者たちだ。中村光夫は「田山花袋」論で「自然主義の勃興は文学の分野における『東京者』に対する田舎者の勝利であった」と書いた。「一旗揚げる」「故郷に錦を飾る」といった言葉に込められた「田舎者」が抱く過大な期待と夢があってこそ、東京は進化、膨張していったのではないか、と私は考えたのだ。

 その人について調べ書きながら、その人の影響を受けるということもある。田中小実昌は死後、古書価の上昇した作家だが、後半生、バスに乗ることを一種の趣味とする。映画試写会へ出向くのにもバスに乗るし、用がない時もバスに乗った。そしてバスでの移動や、車内からの見聞を文章につづった。近代文学の発生以来、鉄道はテーマとして大きく加担したが、バスについてこれほど熱心にくり返し書いた作家は皆無であった。山手線は大半が高架、地下鉄は言うまでもなく地下を走る。地上に近く、街並みをローアングルで視野に入れながら、しかも出発から終点まで、意外なルートをたどるバスという乗り物は、新しい東京の発見につながったのである。「べつにバスにのる必要もないし用なんかないのだが、ついバスにのっちまう」と書いたのは、バスのエッセイのみを集めた『バスにのって』という著作。私もコミさんに影響され、目的地へ行く手段としてではなく、道楽でバスに乗るようになった。鉄道路線だけでは知りえない、東京の顔に触れる楽しさをそれで知った。

 耕治人は晩年になって病妻の介護を私小説として描き、『天井から降る哀しい音』と『そうかもしれない』は大きな話題となり本もよく売れた。ずっと地味だった作家に、いきなりスポットライトが当たったのである。両著とも装幀は中川一政。「白樺」に影響され、中川一政に憧れて上京してきた耕は大正の若者だった。東京に憧れの人が住む。それが上京の大きな動機となる。私も東京へ行けばあの人に会えるという思いが三十を過ぎての遅い上京の起爆剤であった。耕夫妻は、放浪に近い転居を繰り返し、後半生に安住を求めて得た土地が「野方」だった。そこで深刻な土地問題に巻き込まれ苦しんだ。耕が住んだ中野区野方(西武新宿線)へも訪ねてみた。耕が住んだ家はとっくになくなっていたが、痴呆の妻を家に置き、買物を提げて歩いた商店街へは私も足跡をつけた。こんなこともなければ、訪れることのない東京の町だった。こうして私にも東京が身近になっていくのだった。

 
 
 
 


『憧れの住む東京へ』
岡崎武志 著
四六判並製
264ページ
定価1,980円(税込)
ISBN978-4-86011-475-6
好評発売中!
https://www.webdoku.jp/kanko/page/4860114752.html

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『張愛玲の映画史──上海・香港から米国・台湾・シンガポール・日本まで』 【大学出版へのいざない3】

『張愛玲の映画史──上海・香港から米国・台湾・シンガポール・日本まで』 【大学出版へのいざない3】

河本 美紀(かわもと・みき) 九州大学・福岡大学非常勤講師

 中国語圏近現代文学を代表する作家、張愛玲(一九二〇─一九九五)は一九四〇年代前半、日本占領下の上海で活躍した。小説「金鎖記」、「傾城之恋」に代表されるように、古典と現代的な感覚を合わせた巧みな筆致、細やかな心理描写によって、不穏な社会でほろ苦い人生を送る人々をシニカルに描き出した。その悲観的な小説世界は、現在に至るまでファンを獲得し続け、日本でも多くの邦訳が出版されている。

 張愛玲は中華人民共和国建国後の一九五二年に上海を離れ、香港を経て米国へと生きる場所を求めた。資料が限られていたため、渡米後の張愛玲については、執筆活動が衰え、人目を避け旧作の書き直しや翻訳に従事し、ペシミズムに彩られた孤独な生涯を送ったというのが通説となっていた。

 しかし渡米後の張愛玲は、ロマンティック・コメディを主とする香港の映画脚本を多数手掛けていた。従来、反ロマン主義者と捉えられてきた張愛玲が、多くのクラシカルなロマンティック・コメディを手掛けたことは、映画に対する深い愛情に由来する。二〇世紀初め、近代的文化技術の産物として、黎明期の大衆芸術であった映画に魅せられた作家は少なくなかった。例えばフランツ・カフカや志賀直哉の映画に対する傾倒は、ハンス・ツィシュラー『カフカ、映画に行く』(瀬川裕司訳、みすず書房、1998)、ペーター=アンドレ・アルト『カフカと映画』(瀬川裕司訳、白水社、2013)、貴田庄『志賀直哉、映画に行く──エジソンから小津安二郎まで見た男』(朝日新聞出版、2015)にまとめられており、中国では魯迅と映画についての専門書も出版されている。本書はそのような作家と映画の関係を探る書籍の張愛玲版を目指した。

 初期映画に接したカフカ、志賀、魯迅から約一世代遅れて、一九二〇年、アジア最先端の場所で、中国の映画産業の中心地であった上海に生まれた張愛玲は、幼少時から豪華な設備を誇る高級映画館に通い、ハリウッド映画に心酔し、アニメーション映画への興味が高じて、アニメーターを目指したほどのシネフィルであった。小説家デビューの前には中国映画の映画評を書き、随筆では気に入った日本映画を紹介し、中華人民共和国建国後にハリウッド映画が一掃された後はソ連映画を観て、渡米後は米国人の伴侶と度々映画館を訪れた。生きる時代や場所が変わろうとも、映画は張愛玲の身近にあり続けた芸術だったのである。一九四〇年代後半からは、約二〇年間に渡り、上海と香港の映画会社に約二〇作品の映画脚本を提供し(映画化に至らなかった作品も多く、現在、映像を観ることができるのは七作品に止まる)、初期から晩年までの小説や随筆、友人に宛てた書簡のあちこちに、映画についての言及がある。しかし、張愛玲の映画に対するこのような関心の高さはあまり注目されることがない。張愛玲が脚本を手掛けた映画も、小説の作風とは相容れない、商業性の強い娯楽映画とみなされているため、研究は非常に手薄である。

 本書は、映画をキーワードに張愛玲とその作品群を捉えなおした。一九三〇年代から現代までのアジア、欧米の映画、文学、演劇を横断しながら、張愛玲が生涯を通じて持ち続けた映画への関心とその関わりを再現するという、張愛玲を軸にした映画史である。特に映画脚本に焦点を当て、脚本執筆時に張愛玲が参照した英国の戯曲との比較を通して張愛玲のオリジナリティを検証し、ハリウッド映画のスクリューボール・コメディ、シチュエーション・コメディ、ファミリー・メロドラマなどの視点を加え、脚本執筆から映画化に至る過程の再現を試み、張愛玲の映画に関する仕事により積極的な意義を探った。張愛玲の手掛けた映画脚本には、小説にはほとんど顔を出すことのなかった生来のひょうきんな一面と茶目っ気、ハリウッド映画に由来する映画的センスが存分に発揮されている。映画脚本家としての張愛玲は、上海、香港の映画に本格的なロマンティック・コメディをもたらした第一人者であった。

 従来の張愛玲のパブリック・イメージや作品世界は、色で表現すると、深青や深緑といった寒色系だったと言えよう。しかし従来、故郷の上海を離れ、失意のうちにあったと考えられていた張愛玲は香港で、自分の人生を、映画の午前興行を観終えて外に出た時に目の前に広がる静かな一日に例え、明るい希望を持っていたことが、近年明らかになった。本書の、研究書らしからぬ、また従来の張愛玲のイメージらしからぬ明るい装丁は、張愛玲が手掛けた軽やかで都会的でコミカルな映画脚本と、前向きで、チャーミングな、「可愛らしい」張愛玲の一面をイメージしたものである。

 
 
 
 
 


書名:『張愛玲の映画史──上海・香港から米国・台湾・シンガポール・日本まで』
著者名:河本美紀 著
出版社:関西学院大学出版会
判型等:A5  上製 610頁
税込価格:8,800円
ISBN:978-4-86283-348-8
Cコード:3074
2023年2月刊
http://www.kgup.jp/book/b618396.html

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2023年2月10日号 第364号

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 古書市&古本まつり 第121号
      。.☆.:* 通巻364・2月10日号 *:.☆. 。
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メールマガジンは、毎月2回(10日号と25日号)配信しています。

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━━━━━━【古本屋でつなぐ東北(みちのく)4】━━━━━━

地方の古本屋三代目―店舗移転の先を見据えて

                   (秋田県・板澤書房)板澤吉将

 秋田県秋田市にある板澤書房の板澤吉将と申します。戦前に私の祖父が
創業し、現在は父が現役の店主、私は次代ということになります。

 祖父の代では戦争を挟み、またあまり自らを語らない性格だったようで、
六人兄弟の末っ子である父に聞いても店を始めた経緯などあまり詳しくは
わからないようです。戦中戦後の本が少ない時代には短い間ですが貸本屋
としても営業していました。手元には「新々堂 板澤書店」と見返しに
印がある傷んだ本があります。私にとってはお菓子をねだると必ずくれる
大甘な祖父でした。

(「日本古書通信」2022年11月号より転載)

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━━━━━━━━━【シリーズ書庫拝見10】━━━━━━━━━

遅筆堂文庫 前編  小さな町に「本の海」が生まれるまで

                         南陀楼綾繁

 山形県の小さな町に井上ひさしが蔵書を寄贈した図書館ができたとい
うニュースを知ったのは、いつ頃だっただろうか。

 私は小学生で『ブンとフン』を読んでから、この作家に熱中した時期が
ある。小説も好きだったが、小説家の日常生活が垣間見られるエッセイを
愛読した。本に対する偏愛ぶりにも共感した。

 75年の生涯で約280冊(共著、編著を含む)を著したこの作家のごく一部
にしか接していないが、私も井上ファンのひとりと云えると思う。余談だが、
雑誌編集者だったときに井上さんに原稿依頼をしたことがある。電話で一度
は引き受けてもらったが、その後「やっぱり忙しくて……」と断られた。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=11073

南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ)

1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一
文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、
図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年
から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」
の代表。「一箱本送り隊」呼びかけ人として、「石巻まちの本棚」
の運営にも携わる。著書に『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、
『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』
(ちくま文庫)、『古本マニア採集帖』(皓星社)、
編著『中央線小説傑作選』(中公文庫)などがある。

ツイッター
https://twitter.com/kawasusu

川西町フレンドリープラザ・遅筆堂文庫
https://www.kawanishi-fplaza.com/book/guide_book/chihitsudo.html

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「コショなひと」始めました

古書店の最強のコンテンツは古書店主だった。
今日の個性的な古書店主を紹介する「コショなひと」、4ヶ月ぶりの再始動です。

2023年の一人目は流浪の古本芸人(自称)「古本天国ノペリ書店」です。
店を持たない古本屋は果たしてどのように商売をしているのでしょうか。
古書展の搬入の合間にお話を伺いました。
下記URLより御覧ください。

「コショなひと 古本天国ノペリ書店」
https://www.youtube.com/watch?v=WEy_P5pwBt0&t=54s

YouTubeチャンネル「東京古書組合」
https://www.youtube.com/@Nihon-no-Furuhon-ya

━━━━━【2月10日~3月15日までの全国即売展情報】━━━━━

⇒ https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

※現在、新型コロナウイルスの影響により、各地で予定されている
即売展も、中止になる可能性がございます。ご確認ください。
お客様のご理解、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。

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TOKYO BOOK PARK 吉祥寺

期間:2022/12/28~2023/03/05
場所:吉祥寺パルコ1階

https://twitter.com/TOKYOBOOKPARK

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第6回新春古書展(沖縄県)

期間:2023/01/14~2023/02/12
場所:ジュンク堂1F レジカウンター横  沖縄県那覇市牧志1-19-29

https://twitter.com/gajyumarubooks/status/1613010582520889344/photo/1

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フジサワ古書フェア(神奈川県)

期間:2023/01/19~2023/02/15
場所:有隣堂藤沢店4階ミニ催事場  JR藤沢駅南口フジサワ名店ビル4階

http://kosho.saloon.jp/spot_sale/index.htm

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第9回 古書会館de古本まつり(京都府)

期間:2023/02/10~2023/02/12
場所:京都古書会館 京都市中京区高倉夷川上ル 福屋町723

https://kyoto-koshoken.com/event/sample-event2/

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杉並書友会

期間:2023/02/11~2023/02/12
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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反町古書会館展(神奈川県)

期間:2023/02/11~2023/02/12
場所:神奈川古書会館1階 横浜市神奈川区反町2-16-10

http://kosho.saloon.jp/spot_sale/index.htm

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第8回 調布の古本市

期間:2023/02/15~2023/02/26
場所:調布パルコ5階催事場  調布市小島町1-38-1

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港北古書フェア(神奈川県)

期間:2023/02/16~2023/02/28
場所:有隣堂センター南駅店店頭ワゴン販売
最寄駅:横浜市営地下鉄 センター南駅
    市営地下鉄センター南駅の改札を出て直進、右前方。※駅構内

http://kosho.saloon.jp/spot_sale/index.htm

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第105回 彩の国所沢古本まつり(埼玉県)

期間:2023/02/22~2023/02/28
場所:くすのきホール (西武線所沢駅東口前 西武第二ビル8階 総合大会場)

https://tokorozawahuruhon.com/

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浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2023/02/23~2023/02/26
場所:さくら草通り(JR浦和駅西口 徒歩5分 マツモトキヨシ前)

https://twitter.com/urawajuku

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『BOOK DAY とやま駅』(富山県)

期間:2023/02/23~2023/02/23
場所:富山駅南北自由通路(あいの風とやま鉄道中央口改札前)

https://bookdaytoyama.net/

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ぐろりや会

期間:2023/02/24~2023/02/25
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

http://www.gloriakai.jp/

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好書会

期間:2023/02/25~2023/02/26
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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東京愛書会

期間:2023/03/03~2023/03/04
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

http://aisyokai.blog.fc2.com/

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※催事が変更になりました
(3月4日、5日開催予定の「古書愛好会」は
「Vintage Book Lab(ヴィンテージ・ブック・ラボ)」へ変更になりました)

Vintage Book Lab(ヴィンテージ・ブック・ラボ)

期間:2023/03/04~2023/03/05
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

https://www.vintagebooklab.com/

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フィールズ南柏 古本市(千葉県)

期間:2023/03/04~2023/03/16
場所:フィールズ南柏 モール2 2階催事場  柏市南柏中央6-7

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『BOOK DAY とやま駅』(富山県)

期間:2023/03/09~2023/03/09
場所:富山駅南北自由通路(あいの風とやま鉄道中央口改札前)

https://bookdaytoyama.net/

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西部古書展書心会

期間:2023/03/10~2023/03/12
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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オールデイズクラブ古書即売会(愛知県)

期間:2023/03/10~2023/03/12
場所:名古屋古書会館 名古屋市中区千代田5-1-12

https://hon-ya.net/

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紙魚之會

期間:2023/03/10~2023/03/11
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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反町古書会館展(神奈川県)

期間:2023/03/11~2023/03/12
場所:神奈川古書会館1階 横浜市神奈川区反町2-16-10

http://kosho.saloon.jp/spot_sale/index.htm

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日本の古本屋メールマガジンその364 2023.1.10

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遅筆堂文庫 前編  小さな町に「本の海」が生まれるまで【書庫拝見10】

遅筆堂文庫 前編  小さな町に「本の海」が生まれるまで【書庫拝見10】

南陀楼綾繁

 山形県の小さな町に井上ひさしが蔵書を寄贈した図書館ができたというニュースを知ったのは、いつ頃だっただろうか。

 私は小学生で『ブンとフン』を読んでから、この作家に熱中した時期がある。小説も好きだったが、小説家の日常生活が垣間見られるエッセイを愛読した。本に対する偏愛ぶりにも共感した。

 75年の生涯で約280冊(共著、編著を含む)を著したこの作家のごく一部にしか接していないが、私も井上ファンのひとりと云えると思う。余談だが、雑誌編集者だったときに井上さんに原稿依頼をしたことがある。電話で一度は引き受けてもらったが、その後「やっぱり忙しくて……」と断られた。

 2014年、その図書館〈遅筆堂文庫〉が入っている川西町フレンドリープラザで、「Book! Book! Okitama」(BBO)というブックイベントが開催された。仙台にいたときにそのことを知り、BBOの一箱古本市に出店するという友人に便乗して、川西町を訪れた。

 フレンドリープラザは1994年に開館。遅筆堂文庫と町立図書館、文化ホールがある複合施設だ。一箱古本市は回廊状になったエントランスで行なわれ、とても雰囲気がよかった。運営の主体となっているのは『ほんきこ。』というグループで、読書会を開きミニコミを発行している。のちに触れるように、川西町にはミニコミの文化があり、遅筆堂文庫の誕生にも関連している。翌年の第2回からは毎年、一箱古本市の店主として参加するとともに、私が関わるトークイベントやワークショップを開催させてもらうようになったのだ。BBOは2018年に終わるが、翌年からはフレンドリープラザが運営を引き継ぎ、一箱古本市とトークイベントを開催している。

 川西町を訪れるたびに、一日1回は遅筆堂文庫に寄って時間を過ごす。おそらく、東京以外で最も多く訪れた図書館と云えるだろう。

川西フレンドリープラザ 外観

井上ひさしの頭の中を再現する

 図書館スペースは1階が井上蔵書を基にした遅筆堂文庫、2階が町立図書館になっている(児童書は1階)。蔵書数は、遅筆堂文庫の整理済みのものが約12万8000点。のちに見るように別の場所に10万点以上を収める。町立図書館は約5万9000点だ。手に取ってみられる分だけで12万冊ある。人口1万5千人ほどの町に、これだけ立派な図書館があることに驚く。

 入ってすぐのところにあるのは、井上ひさし展示室。正面に目に入ってくるのは、柱の周りに高く設置された書架だ。「本の樹」と名付けられたこの棚には、読者からのメッセージとともに寄贈された井上ひさしの著作を並べている。その周りに年譜や作品紹介、テーマごとの展示などがある。取材時には、中公文庫から再刊されてベストセラーとなった『十二人の手紙』にあわせて、「井上ひさしと手紙」という展示が行なわれていた。

 1階のカウンター横には「研究室」と呼ばれる小部屋があり、ここには付箋や書き込みのある本が多い。また、井上自身の著作も壁面にずらりと並んでいる。さらに貴重な本は閉架書庫に収められている。

 私はこの「研究室」がお気に入りで、いくらでも居られる。ある年には「図書館に泊まろう」というイベントがあり、この部屋の本棚の間に寝転がって、井上の作品を読みながら一夜を過ごした。

研究室への入り口

研究企画選定図書室内部

 遅筆堂文庫の蔵書は、一般的な分類であるNDC(日本十進分類法)を用いずに、A~Zの分類で配列されている。井上からの「自分の頭の中で整理しているように分類してほしい」という希望によるもので、Aは言語、Bは江戸、Cは地図、Dは演劇……となっている。

 大分類の下には細目がある。Lの社会で云えば、「アメリカ」「憲法・法律」「天皇」「風俗」「戦争」「都市論」といった具合だ。ひとつの細目には、研究書・ノンフィクション・小説などが一緒に並ぶ。たとえば「犯罪」の棚には、加賀乙彦『犯罪ノート』、カポーティ『冷血』、『近代犯罪科学全集』、重松一義編『日本刑罰史年表』が同居している。

 この雑多な、カオス感がたまらない。どこから切っても面白いので、棚から本を抜き出す手が止まらない。たとえば、大作『吉里吉里人』の資料となった研究書を手に取って、そこに書き込みを見つけたりするとなんとなく嬉しくなる。

 また、遅筆堂文庫では本の背表紙にラベルを貼らず、以前の図書館のように函やカバーもそのままにされている。それが、井上ひさしの蔵書に向き合っているという臨場感を高める。

 10年近くこの町に通って感じたのは、町の人が抱く井上ひさしへの敬意だ。彼らは井上のことを「作家」と呼ぶ。一般名詞ではなく、彼らにとっては井上こそが作家なのだ。

 昨年9月23日、今年もイベントに合わせて川西町を訪れた。今回はこれまで見たことのない部分まで含め、遅筆堂文庫をじっくり見ることができた。

『吉里吉里人』参考資料と思われる本(表紙)

『吉里吉里人』参考資料と思われる本(書き込み)

出発点になった本

 川西町は山形県南部の置賜地方に属し、米沢市に接している。置賜盆地の美しさを、1878年(明治11)にこの地を旅したイギリス人旅行家イザベラ・バードが「アジアのアルカディア(理想郷)」と評している。なお、フレンドリープラザの敷地の庭には、イザベラ・バード記念碑がある。碑文を書いたのは、バードの『日本奥地紀行』を初訳した英語学者の高梨健吉。高梨はこの川西町の出身で、川西町立図書館には高梨健吉文庫もある。

 井上ひさし(本名・廈)は、東置賜郡小松町中小松(現・川西町)に生まれた。父・修吉は作家志望だったが、ひさしが5歳のときに病死した。
「物心ついてハッとあたりを見回すと、家には父親というものがいなかった。いぶかしく思って母親に『なぜ』と問うと、母親は本のぎっしり詰まった、いくつもの書棚を指さして、『この本の山を父さんと思いなさい』と答えた。どうもこの瞬間に、本とわたしとの関係が決まったらしい」(「本とわたし」、『井上ひさしコレクション ことばの巻』岩波書店)

 井上少年は父の蔵書を読みまくり、主要な本には目を通してしまう。新しい本を読みたかったが、町の図書館には蔵書が96冊しかなかった。

 そんななかで、井上は初めて自分の本を手に入れる。中央公論社から出た宮沢賢治の『どんぐりと山猫』を、版元に直接注文したという。読み終えて感激した井上は、ハンコ屋の息子に頼んで蔵書印を彫ってもらい、それを本に押して「第1号」と書き込んだ(『本の運命』文藝春秋)。本とともに人生を歩んだ井上ひさしの出発点とも云えるこの本は、遅筆堂文庫に収められている。

 井上一家は1949年に小松を離れ、一関へと移る。その後、仙台、東京、釜石を経て、再上京。放送作家として活躍しながら、小説家としてデビューする。


井上がはじめて手に入れた「自分の本」、『どんぐりと山猫』(遅筆堂文庫提供)

作家が本を手放すとき

 井上ひさしの蔵書が、なぜ生まれ故郷の川西町に運ばれ、ついに図書館が生まれるに至ったかは、遠藤征広『遅筆堂文庫物語 小さな町に大きな図書館と劇場ができるまで』(日外アソシエーツ)に詳しい。同書は、本を愛する作家と作家を敬愛する青年たちの交流を描いた名著で、何度も読み返してきた。

 遅筆堂文庫設立の経緯を、同書と今回取材した遠藤勝則さん、阿部孝夫さん(NPO遅筆堂文庫プロジェクト前代表)の話をもとにたどってみる。

 1977年、農協に勤めていた遠藤征広さんらによって、『先知らぬこの道を』というミニコミが創刊された。郵便局勤務の阿部孝夫さんもそのメンバーだった。

 井上ひさしを愛読していた征広さんは、作家を故郷に呼ぶことを提案した。彼らの手紙が功を奏し、1982年に井上の講演会が実現する。締め切りに遅れた井上に直前に日程を変更させられるというハプニングはあったが、大成功を収める。

 翌年、井上は劇団「こまつ座」を結成。生まれ故郷の小松町にちなむ。『先知らぬ』のメンバーは「こまつ座応援会」を結成。征広さんは旗揚げまで井上宅に住み込んで手伝った。その後、『先知らぬ』は「山形こまつ座」に発展。阿部孝夫さんが代表を務め、米沢市や長井市でのこまつ座の公演を実現させた。

 1986年、井上は妻・好子と離婚。そのために市川市の自宅を出なければならなくなった。それを聞きつけた自治体と大学から「本を引き受けたい」という申し出があった。しかし、先方の必要な本だけを引き取るという方針に、雑本も含めての自分の蔵書だと井上は反発し、物別れに終わる。
「本と別れる」と題したインタビューで、井上はこう話している。
「こういう本は古本屋に売れば多少の金にはなるでしょうが、僕が集めたというエネルギーというのは売った瞬間なくなっちゃうわけです。集めた人の意志、エネルギーをきちっと残すためには、これはまとめてどっかへ移すほかはないと思いました」(『朝日ジャーナル』1987年臨時増刊「ブックガイド」)

 一方、川西町では井上宅にあふれる本を目にしていた征広さんが、その一部を引き取って小さな図書館をつくることを構想していた。企画書づくりには町役場の企画課に勤めていた遠藤勝則さんも加わった。
「当時、川西町では総合計画を策定しており、井上さんと関係を深めることで、地域づくりを進めたいという意思がありました」と、勝則さんは振り返る。

 そして企画書を読んだ井上から連絡があり、「全部の本を寄贈するので、図書館をつくってほしい」と申し出があった。横沢三男町長はこれを受け入れ、候補地の選定に入った。

「生きている図書館」を目指して

 1987年2月、農村環境改善センター(農改センター)の2階に図書館を設置することが決まる。同月、遠藤征広さん、阿部孝夫さん、遠藤勝則さんら4人は、市川の井上宅からの1回目の本運びを行なった。
「下見に行った際、どこまで見ても本があふれていました。本の重みで書庫のレールが歪んでいました」と勝則さんは話す。この時点で、何万冊かあるかはっきりと判っていなかったという。

 自宅に接した事務所の本は、こんな様子だった。
「ゆうに六人は使える会議用机の上は五十センチほどの高さに平積みにされた本で埋め尽くされ、書架は奥に単行本、手前が文庫本で二列に並べられています。書架の前の床にも幾重にも本の山があり、高い本の山は今にも崩れそうです。(略)事務所の片隅には二階の書庫に通じるら旋階段があります。その階段一段一段にも本が一メートルの高さで積み重ねられて、一人ずつ慎重に通らないと階段を昇れません。(略)まさに本の海の中で四人は泳いでいました」(『遅筆堂文庫物語』)

 このとき、彼らが川西町から持参したのは、菊の箱だった。征広さんが仕事で使っていたもので、本を詰めるのにちょうどよかったという。2泊3日で、部屋ごとにひたすら本を詰めていく。道路が狭いため、本の箱はいちど2トントラックに積み、別の場所に停めた11トントラックに積み替えねばならなかった。

 川西町にトラックが着くと、農改センターの2階まで階段で運び、仮置きする。

 本運びの作業は、3月と4月にも行なわれた。驚いたのは、前回すっかり空にした書架にまた本が詰まっていたことだ。さらに、予期しなかった場所からも本が出現する。
「建物の屋上に六坪ほどの大きさのプレハブ式の物置がぽつんとありました。ドアを開けると、中には本が隙間なく圧縮状態でびしっと詰まっています。まさに芸術的とも言える入れ方です」(『遅筆堂文庫物語』)

 3回にわたる作業を経て、井上の蔵書は川西町に運び込まれた。その数は当初の目算である4万冊を大きく上回り、7万冊に達した。

 気が遠くなるような作業だったが、遠藤さんらにとっては作家と接することができる貴重な機会となった。
「私たちが作業している間、井上先生は家の中で執筆されていました。昼食や夕食は一緒に取り、そこでいろんな話を聞きました」と阿部孝夫さんが云えば、「作家の内側に入ったような気持でしたね」と勝則さんも話す。

 このとき、井上は図書館の名前を「遅筆堂文庫」としたいと話した。「遅筆堂」はしばしば締め切りを破ることへの自嘲の念からつけた屋号だが、根底には「遅くてもいいから納得のいくものを書きたい」という思いがあった。その名前を図書館に冠するのは、遅筆の背景に無数の本があるからだと征広さんは推測している。また井上は、利用者優先でなるべく長い時間開館している図書館にしたいという希望を述べた。

 そして、4月29日には川西町民総合体育館で、井上ひさしの講演「世界の中の川西町」が開催された。井上はそこで遅筆堂文庫を「生きている図書館にしたい」と述べた。
「図書館は人が集まるところ、ある一冊の本をテーマに、書いた人も前にして、みんなで語り合う。東京でも組み合わせがなかなかできないような人にきてもらって、一週間ぐらいぶっつづけで、大学よりも程度が高くて、おもしろさは各種学校なみという講座ができないか。映画がきたり、芝居をもってきたり」

 96冊しか蔵書のなかった町で育った井上は、自分の蔵書による図書館を軸にして、故郷を文化的な町にしたいと考えたのだ。

展示室入り口

井上ひさし著作の棚

作家と町民の交流

 同年3月末からは遠藤征広さんが遅筆堂文庫の専従となり、ほかの3人の担当者とともに本の整理を開始した。このとき、征広さんはNDCではなく、件名での分類を提案した。井上の蔵書にあった『大宅壮一蔵書目録』を見て、大宅文庫に見学に行き、このほうが作家のこだわりを反映できるという確信を得た。

 それから4カ月間、ひたすら本を箱から出して並べる作業を行なった。整理用にパソコンも導入した。
「このときの運搬では手当たり次第に本を箱詰めしたので、井上家での本の並びを再現することができませんでした。その反省から、没後に鎌倉のご自宅から寄贈された本は、並んでいた通りに番号を振って管理しています」と、阿部孝夫さんは云う。

 8月15日、終戦記念日に遅筆堂文庫はオープンし、井上も出席する予定だった。しかし、体調不良で欠席することとなる。仮オープンしたのだが、このとき、娘でこまつ座代表(当時)の井上都さんが持参した原稿用紙には、井上自筆の「遅筆堂文庫堂則」が綴られていた。
「遅筆堂文庫は置賜盆地の中心にあり、置賜盆地はまた地球の中心に位す。我等はこの地球の中心より、人類の遺産であり先人の智恵の結晶でもある萬巻の書物を介して、宇宙の森羅萬象を観察し、人情の機微を察知し、あげて個人の自由の確立と共同体の充実という二兎を追わんとす。(略)町の有司、若人たちの尽力によりいまここに発足する当文庫は、有志の人びとの城砦、陣地、かくれ家、聖堂、そして憩いの館なり。我等は只今より書物の前に坐し、読書によって、過去を未来へ、よりよく繋げんと欲す」

 遅筆堂文庫は午前11時30分から午後8時30分まで開館。館外貸し出しはせず、閲覧のみだったが、全国から利用者が来館した。

 翌年3月、遅筆堂文庫シンポジウムを開催。井上の基調講演と図書館関係者とのディスカッションを行なった。このとき、遅筆堂文庫を見た井上は「自分のところにあったときは本が眠った状態だったけど、ここでは本が生き生きしている」と喜んだという。

 同年8月には遅筆堂文庫で、「生活者大学校」を開催。農業関係者を講師に迎え、3泊4日の手づくりの学校を開いた。校長はもちろん井上で、農民作家の山下惣一が教頭となった。その後、毎年開催されていく。

 1994年、川西町フレンドリープラザが開館。遅筆堂文庫が農改センターから移り、別の場所から町立図書館も移転する。また、劇場を併設し、こまつ座の演劇やコンサートなどさまざまな催しを行なう。生活者大学校の会場であり、2010年に井上が亡くなったあと、2015年から井上を偲ぶ「吉里吉里忌」も開催されている。

 まさに、井上が夢想したように、図書館を中心に「人が集まるところ」が生まれたのだ。
「フレンドリープラザができてからも、井上先生は遅筆堂文庫によく立ち寄られました。本が積まれたのを見て、整理されないままになっていると誤解して怒られたこともありました(笑)。それだけ、本に対する愛情が深かったのだと思います」と、阿部孝夫さんは振り返る。

 作家と町民の長い交流から生まれた、遅筆堂文庫の「本の海」。次回は、その心臓部とも云える書庫の中に分け入っていこう。

 
 
※参考文献 『ここが地球の中心 井上ひさしと遅筆堂文庫』山形県川西町。
※本連載中の写真の無断転載・拡散を禁じます。

 
 
 
 
 
南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ)

1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」の代表。「一箱本送り隊」呼びかけ人として、「石巻まちの本棚」の運営にも携わる。著書に『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』(ちくま文庫)、『古本マニア採集帖』(皓星社)、編著『中央線小説傑作選』(中公文庫)などがある。

ツイッター
https://twitter.com/kawasusu

 
川西町フレンドリープラザ・遅筆堂文庫
https://www.kawanishi-fplaza.com/book/guide_book/chihitsudo.html

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地方の古本屋三代目―店舗移転の先を見据えて 【古本屋でつなぐ東北(みちのく)4】

地方の古本屋三代目―店舗移転の先を見据えて 【古本屋でつなぐ東北(みちのく)4】

(秋田県・板澤書房)板澤吉将

 秋田県秋田市にある板澤書房の板澤吉将と申します。戦前に私の祖父が創業し、現在は父が現役の店主、私は次代ということになります。

 祖父の代では戦争を挟み、またあまり自らを語らない性格だったようで、六人兄弟の末っ子である父に聞いても店を始めた経緯などあまり詳しくはわからないようです。戦中戦後の本が少ない時代には短い間ですが貸本屋としても営業していました。手元には「新々堂 板澤書店」と見返しに印がある傷んだ本があります。私にとってはお菓子をねだると必ずくれる大甘な祖父でした。

 一九七〇年代後半に神保町で修業していた父が店に戻ります。そしてバブル期と崩壊、インターネットの隆盛があり、営業の重心も店売りと即売会からネット通販へと移ります。私が小さい頃の店頭には、雑誌や連載中の少年漫画の単行本、回転するスチール棚に並んだ絵本や切手にトランプなどがありましたが、今はどれも残っていません。

 私は二〇〇四年に東京の大学を卒業し、すぐに実家に戻りました。現在は出張買い取りやSNSを担当するなど、父に頭数に入れてもらえている実感があります。

 さて、近く、店の移転が控えています。当店は秋田市の繁華街・川反に程近い場所、通称横町商店街にあります。以前は文房具店やスーパー、床屋などがあり商店街然としていましたが、現在はほぼ飲食店街となっています。三〇年くらい前から、この横町を含む六五〇メートルほどの区間に道路拡幅の話があり、横町は最後の工事区間で既に信号一つ向こうの目と鼻の先まで拡幅工事が迫っています。スペース的に後ろに下がるという選択肢はなく、道路拡幅イコール移転となります。今のところ、具体的な時期等の話は来ていませんが、聞く所によると数年以内だろうとのことです。

 移転する際には店売りを続けるのか、店ではなく事務所にしてネット専売にするのではないかとお客様や同業者に問われることがあります。現在の実店舗とネット通販の両輪という営業スタイルは継続していくつもりです。地方の古本屋にとって、ネット通販は商売上避けられません。コロナ禍では尚更です。

 実店舗は買い取りの窓口の意味合いももちろんありますが、お客様の顔が見える、古本屋を体験していただける意義があります。店の人間が棚に並べ、入れ替え、それをお客様が手に取り、予想外の出会いに思わず小さな声を上げる。この光景は魅力的です。

 数年前にSNSを始め、それをご覧になったのか若いお客様も増えました。制服で来られていた方が少しの間見なくなり、また垢抜けてご来店された時などは、生活のステージが変わっても忘れないでいてくれたのかと感慨深い思いでした。言葉を交わしたわけではないので想像に過ぎませんが。

 また二〇一七年にはご近所であった松坂古書店さんが閉業されるなど古本屋が減る一方で、なんとか歯止めをかけたい思いもあります。

 祖父が創り、父が固めた店を、私がどうしていくか。一にも二にも生き残りです。レトロなイメージが強い職業ですが、加速し続ける時代の流れにしがみつかなければいけません。祖父も父も同様だったと思います。店の移転もあり、可能なところはデジタル化をするなど、今まで蓄積されてきた品物なり数字なりを再整理する時期に来ていると感じます。

 私事ですが、一昨年娘が生まれました。ぽこんと出たお腹で走り回りかわいい盛りです。以前は自分の後のことはおろか自分自身の先さえ想像できていませんでしたが、そうも言っていられなくなりました。眼前には創業以来初めての店舗移転という転機があり、その次までは今は見通せていませんが、存続することで何かしらを次の世代に渡せるものと考えています。

 

(写真は昨年冬の板澤書房外観)

 
 
(「日本古書通信」2022年11月号より転載)

 
 
 
 


『増補新版 東北の古本屋』 折付桂子著
文学通信刊
ISBN978-4-909658-88-3
四六判・並製・312頁(フルカラー)
定価:本体1,800円(税別)好評発売中!
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2023年1月25日号 第363号

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☆INDEX☆
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1.神田・神保町は明治から賑わっていた

                    ノセ事務所 能勢 仁

2.『近代初期イギリス演劇選集』について

        鹿児島近代初期英国演劇研究会 代表 大和高行

3.古本屋ツアー・イン・ジャパン2022年総決算報告

                 古本屋ツーリスト 小山力也

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━━━━━━━━━━【自著を語る(304)】━━━━━━━━━━

神田・神保町は明治から賑わっていた

                    ノセ事務所 能勢 仁

 今回、日本書籍出版協会が1968年に編纂・発行した「日本出版百年
史年表」を底本として「明治・大正・昭和の出版が歩んだ道」を上梓
致しました。年表を編集して下さった布川角左衛門先生、他彌吉光長、
岡野他家夫、小田切進、鈴木敏夫氏等編集委員に、他協力者、編集者
17名の方々に敬意と感謝を申し上げます。

 本書は①明治の出版史探訪、②大正の出版史探訪、③昭和戦前の出
版史探訪、 ④昭和戦後の出版史探訪、⑤昭和後半の出版と再販制度、
⑥古書業界と神保町の150年、⑦明治・大正・昭和の出版創業記、⑧回
想“本と読者をつなぐ知恵”の8章で構成されています。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=10949

『明治・大正・昭和の出版が歩んだ道』
  ―近代出版の誕生から現代までの150年の軌跡―
出版メディアパル刊
能勢仁・八木壯一共著
定価 1,980円(税込)
ISBN:978-4-7744-0776-0
好評発売中!
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784902251432

━━━━━━━━━【大学出版へのいざない2】━━━━━━━━━━━

『近代初期イギリス演劇選集』について

           鹿児島近代初期英国演劇研究会 代表 大和高行

 本書は、シェイクスピア以前のイギリス演劇で重要な4篇の作品の翻訳・
訳注・解説を収録したものですが、そもそも本書誕生のきっかけは1997年
6月にまでさかのぼります。当時、鹿児島の大学に赴任した同世代のシェイ
クスピア研究者が4人いて、授業の中でシェイクスピアの劇を原文で読むこ
とは多いけれども、それ以外の作家についてはなかなか読むことはない。
ならば、シェイクスピア以外の作家の演劇テクストで、じっくりと向き合う
べき重要なものを選んで、訳出をし、解説も付してみよう、ということにな
りました。そして、最初に選んだテクストが、『ゴーボダック』(1565年)
でした。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=10957

書名:『近代初期イギリス演劇選集』
著者名:鹿児島近代初期英国演劇研究会/大和高行・小林潤司・山下孝子・
    丹羽佐紀・杉浦裕子[訳]
出版社名:九州大学出版会
判型/製本形式/ページ数:四六判/上製/608頁
税込価格:6600円
ISBNコード:978-4-7985-0344-8
Cコード:C1074
https://kup.or.jp/

━━━━━━━━━【古本屋ツアーインジャパン】━━━━━━━

古本屋ツアー・イン・ジャパン2022年総決算報告

                 古本屋ツーリスト 小山力也

 ついに新型コロナウィルス患者が日本で発見されてから、三年の
月日が経ってしまった。対策は色々講じられてきたが、未だ確実な
予防法も治療法もなく、感染は収束と拡大を繰り返している。だが
この三年は、我々に、我慢と辛抱と諦めとともに、パンデミック下
での生活様式の、土台を積み上げる方法を、手探りの遅いスピード
でありながらも、確立して行く時間でもあった。古本界にとっても、
それは例外ではない。おかげで、入場制限が行われることはあるが、
営業形態や催事開催は、コロナ前の状況に近いものとなってきたよ
うだ。だからお店に行き、古本もビシバシビシバシ買えるようになっ
た。古本好きには嬉しいことである。もちろん今まで通りに、個人
レベルでの感染対策は、きちんと継続しなければならないのだが。
そんな2022年の活動を、まずは上半期を簡単に振り返った後、総決
算報告に入って行こう。それにしても、もうコロナから文章を書き
出すのは、いい加減うんざりだ。早いとこ普通の風邪みたいなもの
になって欲しいと、切に願う2023年の初めである。

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=10976

小山力也
2008年5月からスタートした、日本全国の古本屋&古本が売っている場
所の、全調査踏破を目指す無謀なブログ『古本屋ツアー・イン・ジャパ
ン』管理人。西荻窪「盛林堂書房」の『フォニャルフ』棚で、大阪「梅
田蔦屋書店」の古書棚で蔵書古本を販売中。「本の雑誌」にて『毎日で
も通いたい古本屋さん』、「日本古書通信」にて『ミステリ懐旧三面鏡』
連載中。
http://furuhonya-tour.seesaa.net/

━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

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映画『丘の上の本屋さん』
2021年製作/84分/イタリア
原題:Il diritto alla felicita
配給:ミモザフィルムズ
3月3日公開
https://mimosafilms.com/honya/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「大学出版へのいざない」シリーズ 第3回

関西学院大学出版会刊『張愛玲の映画史』
執筆者:九州大学・福岡大学非常勤講師 河本美紀
http://www.kgup.jp/book/b618396.html
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

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『「地下出版のメディア史」展・トークイベントを振り返って』(仮題)
大尾侑子(東京経済大学准教授)
https://www.kosho.ne.jp/?p=531
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━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━

1月~2月の即売展情報

※新型コロナウイルスの影響により、今後、各地で予定されている
即売展も、中止になる可能性がございます。ご確認ください。
お客様のご理解、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。

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【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋」事業部
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部・編集長:藤原栄志郎

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