2020年5月25日 第299号

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☆INDEX☆
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1.『近代出版史探索Ⅱ』             小田光雄
2.『芝居小屋戦記 神戸三宮シアター・エートーの奇跡と軌跡』
                         菱田信也
3.古本乙女の独り言⑨        カラサキ・アユミ

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━━━━━━━━━━━【自著を語る(241)】━━━━━━━━━

 『近代出版史探索Ⅱ』

                        小田光雄

 昨年9月に刊行した『近代出版史探索』の第二巻として、『近代
出版史探索Ⅱ』を上梓することができ、とてもうれしい。それは
何よりも500部という採算基礎部数が書店、古本屋、図書館を通じ
て読者に購入され、読まれたことによっている。大部にして高定価、
しかもこのような地味な内容の本を売ることは、現在の出版状況下
において、困難極まりないと承知しているので、第二巻が出せただ
けでも僥倖だと思っている。

続きはこちら
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『近代出版史探索Ⅱ』小田光雄 著
論創社刊 定価6000円+税 5月29日発売
http://ronso.co.jp/

━━━━━━━━━━━【自著を語る(242)】━━━━━━━━━━

『芝居小屋戦記──神戸三宮シアター・エートーの奇跡と軌跡」

                       菱田信也

 このたび苦楽堂より上梓しました『芝居小屋戦記──神戸三宮シ
アター・エートーの奇跡と軌跡』は、神戸・JR三ノ宮の駅近くに
建設され開場した小劇場(客席数100)の、立ち上げから3年間
の記録をまとめたものです。
 原稿のチェックをすべて終えたのは2月上旬。その直後に新型コ
ロナウイルス感染拡大、同時に舞台芸術、とりわけ「演劇」に向け
られた世間の風当たりが一変しました。

続きはこちら
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『芝居小屋戦記 神戸三宮シアター・エートーの奇跡と軌跡』菱田信也 著
苦楽堂刊 1600円+税 好評発売中!
http://kurakudo.co.jp/#978-4-908087-11-0

━━━━━━━━━━━【古本乙女の独り言】━━━━━━━━━━

古本乙女の独り言⑨ 古本への我が求愛行動

                      カラサキ・アユミ

先日、口紅を一本新しく買った。顔色を良く見せる口紅というアイ
テムは、化粧品に投資するぐらいなら古本に注ぎたいと常々思って
いる自分にとって唯一必須の化粧道具でもある。もともとそのテの
事にはさっぱり疎い上に様々な色を試すのは金銭的にも勿体無いし
何より面倒臭いというのもあるので特にこだわりがあるわけでもな
く長年同じ色を使い続けている。

続きはこちら
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古本乙女の独り言⑧ はこちら
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━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

『自前のメディアをもとめて
        ──移動とコミュニケーションをめぐる思想史』
                         田村紀雄
編集グループSURE刊 定価2,970円(本体2,700円+税)好評発売中!
http://www.groupsure.net/post_item.php?type=books&page=200421tamura

ミネルヴァ通信 月刊「究」(KIWAMERU)
ミネルヴァ書房 本体300円+税 好評発売中!
https://www.minervashobo.co.jp/search/s4463.html

━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━

5月~6月の即売展情報

※新型コロナウイルスの影響により、今後、各地で予定されている
即売展も、中止になる可能性がございます。ご確認ください。
お客様のご理解、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

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全古書連は全国古書籍商組合連合会(2,200店加盟)の略称です

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日本の古本屋メールマガジンその299 2020.5.25

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:二見彰
編集長:藤原栄志郎

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☆古本乙女の独りごと⑨ 古本への我が求愛行動

☆古本乙女の独りごと⑨ 古本への我が求愛行動

カラサキ・アユミ

先日、口紅を一本新しく買った。顔色を良く見せる口紅というアイテムは、化粧品に投資するぐらいなら古本に注ぎたいと常々思っている自分にとって唯一必須の化粧道具でもある。もともとそのテの事にはさっぱり疎い上に様々な色を試すのは金銭的にも勿体無いし何より面倒臭いというのもあるので特にこだわりがあるわけでもなく長年同じ色を使い続けている。新調するのはその一本を使い切った時点だ。

思えば、普段塗らずに過ごすことも多い自分は古本漁りに赴く時は必ず口紅を引いて出かける。場所によっては埃まみれになる事もある、ひたすらに自分ひとりの戦い(と表現する方がしっくりくるかもしれない)である古本行脚において、自分がわざわざ唇に紅を塗る意味とは?ある日いつも通り古本屋に出向く前に鏡の前で口紅を手に突然じっくりと考えてみた。実にどうでも良いといえばそれで済む話なのだが、三十路も過ぎると何かと考えたがる癖が出てきたようである。

よくよく振り返ってみると、この行為には武将が兜の緒を締めるが如く古本戦に出陣するにあたって気を引き締めるという感覚にも近く、それと同時に良き一冊との出逢いを期待してという願掛けの意味があるように思われた。更に掘り下げてみると、小綺麗にしておけば古本との良縁に恵れるという独自の思想が浮上してきたのであった。

孔雀が煌びやかな羽を広げて相手に猛アピールするように(この場合は雄だが)艶めいた唇で古本が並ぶ棚の前に立つことにより、呼応してくれる一冊を見つけ出す。まさに古本を男性になぞらえた求愛行動。そう、この口紅塗りは常に古本に恋い焦がれている己の心境がいつのまにか習慣化させたものだったわけである。あぁ私もやはり女だったのね…思わずしみじみとしてしまったのであった。

 意外とこうした古本行脚における願掛けに近い行為はどの古本好きの方々にもあるかもしれない。例えば、古本行脚には必ずこのリュックで行くとか、あるいは必ずこの喫茶店で珈琲を飲んでから古本漁りに行くとか、絶対にここで昼ご飯にカレーを食べてから次の古本屋にいく等々、些細な願掛け的行動を無意識に行なっている人も多いのではないだろうか。こうなったら是非とも次回、起き抜けのぼんやりとした状態で口紅を塗らずに古本漁りに出向いて検証してみたいと思う。こうした目に見えない事象で楽しめるのも案外古本趣味の醍醐味かもしれない。

otome9
『全古書連ニュース』より転載

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東京古書組合発行 『古書月報』より転載

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『古本乙女の日々是口実』皓星社
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『芝居小屋戦記──神戸三宮シアター・エートーの奇跡と軌跡」

『芝居小屋戦記──神戸三宮シアター・エートーの奇跡と軌跡」

菱田信也

 このたび苦楽堂より上梓しました『芝居小屋戦記──神戸三宮シアター・エートーの奇跡と軌跡』は、神戸・JR三ノ宮の駅近くに建設され開場した小劇場(客席数100)の、立ち上げから3年間の記録をまとめたものです。

 原稿のチェックをすべて終えたのは2月上旬。その直後に新型コロナウイルス感染拡大、同時に舞台芸術、とりわけ「演劇」に向けられた世間の風当たりが一変しました。自粛要請を受け公演の中止が相次ぐ中、野田秀樹氏や平田オリザ氏といった著名な演劇人による「文化芸術を絶やすな」という趣旨の発言が「演劇がそんなに特別なのか」と猛反発を受けて炎上し始めたのです。

 わが神戸三宮シアター・エートーも3、4、5月に予定されていた演劇・演芸・音楽すべての興行が中止となりましたが「自粛によって劇場が立ち行かない」という状況にはまだ陥っておりません。本書でご紹介しておりますが、当劇場はとある医療法人が運営母体、潤沢な資金をもとにいわゆる「メセナ」の一環として発足しており、貸館賃料収入によって運営が左右されるということがないからです──これ自体が業界的にはおよそあり得ないことです。前述の演劇人発言の炎上は、芸術の必要性(もしくは経済性)について世間と当事者との間に絶対的な認識のズレが生じているから起きてしまったわけですが、神戸三宮シアター・エートーは世間一般のみならず「演劇界」の常識ともかけ離れていると言わざるを得ません。劇場運営に携わりながら本書を書いた私は、そんなこんなの非日常にあふれた劇場の開館から3年間の軌跡をあえて「奇跡」と呼ばせていただきました。

 さて「芸能すごろく」という言葉をご存じでしょうか。歌手やバンド、俳優、芸人、アイドル──無名のアーティストたちが世に認められ成り上がっていく様を解説する際に使われる言葉です。バンドならば、地方の小さなライブハウス回りからホールに進出、メンバーの離合集散など繰り返しつつやがては武道館に辿り着く──といった流れのことです。
「成り上がり」とはもはや死語なのかもしれませんが、芸能界で少しでも上を目指す若い人々に(意識せずとも)常に付いて回るのがこの夢に満ちた言葉です。同時に、この言葉こそ芸能すごろくの恐るべき残酷さを表しています。このゲームが大多数の参加者に与えるのは「ボードから有無を言わさず降りねばならない瞬間」であり、一旦降りれば、二度とゲームに加わることはできません。

 私は自分が生まれ育った神戸という、さびれかけた古い地方都市に出現した神戸三宮シアター・エートーが、芸能すごろくから降りざるを得なかった人々にとって「最後の楽園」になり得るのではないかと思っています。芸能において完全な東京一極集中の中、この劇場の持つ特異性──小劇場にはありえない一脚10万円の高価なイスと音響照明設備、シャワー完備の豪華な楽屋、アーティストのわがままを最大限優先することが可能な心荒むことない環境、なによりも経済に左右されない自由さ──が、「ここでのんびり生きればいいじゃん」というメッセージを伝えられるのではないか、と。同時に、本書第5章にまとめた「目の前の可能性」において、劇場を通じてKOBEの新しいアイデンティティを提示できるのではないかと思っています。

コロナ禍収束後もおそらく世間は「濃厚接触」をタブー視することでしょう。個と個が過剰に接触することで成り立つ舞台芸術がどのような方法論を見出すのか。本書の中にほんの少しのヒントを見出していただけたら……と、願いつつ。

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『芝居小屋戦記 神戸三宮シアター・エートーの奇跡と軌跡』菱田信也 著
苦楽堂刊 1600円+税 好評発売中!
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『近代出版史探索Ⅱ』

『近代出版史探索Ⅱ』

小田光雄

 昨年9月に刊行した『近代出版史探索』の第二巻として、『近代出版史探索Ⅱ』を上梓することができ、とてもうれしい。それは何よりも500部という採算基礎部数が書店、古本屋、図書館を通じて読者に購入され、読まれたことによっている。大部にして高定価、しかもこのような地味な内容の本を売ることは、現在の出版状況下において、困難極まりないと承知しているので、第二巻が出せただけでも僥倖だと思っている。

 この『近代出版史探索』長編連作シリーズは出版、文学、古書資料のカノンである『日本出版百年史年表』(日本書籍出版協会、1969年)、『日本近代文学大事典』(講談社、1977年)、『東京古書組合五十年史』(東京都古書籍商業協同組合、1974年)などをベースとしている。

 だが今回の『近代出版史探索Ⅱ』は、それらに加えて、とりわけ『全国出版物卸商業協同組合三十年の歩み』(同組合、1981年)を召喚し、併走させている。全国出版物卸商業協同組合(全版)は幕末の地本草紙問屋仲間をルーツとし、明治初期に東京地本彫画営業組合を結成する。それが大正13年に東京書籍商懇話会に改称され、戦後の昭和27年に至って全版が設立されるのである。

 このように近世出版の流れをくむ東京地本彫画営業組合は草双紙や絵本、極彩色の武者絵、美人画、役者絵、実録読物や講談、低価格の児童向け絵本、唄本などを出版していた。それらの販売流通インフラは書店だけでなく、古本屋、貸本屋、縁日や高町の露天商、荒物屋、駄菓子屋などにも及んでいた。さらに明治後期になると、月遅れ雑誌や特価本の販売も加わり、近代出版業界とは異なるもうひとつの出版の世界を形成していたのである。

 つまり全国出版物卸商業協同組合は仕入れ正味の安い赤本、特価本、造り本、実用書をメインとする出版と取次からなり、出版の正史としてはこれまでまともに言及されてこなかったといえるだろう。しかしそこに大阪の立川文明堂の立川文庫を置いてみると、これらの販売流通インフラを抜きにして語れないことに気づく。それに拙書でもリストアップしておいたけれど、明治時代から昭和戦前にかけての立川文庫に類する講談本シリーズは、何と120種類も出されていて、それらはすべてが数十巻から、多いものでは四百巻に及ぶ。何と多くの無名の作家たちがいたことか。これらの版元のほとんどが、戦後の全版のメンバーであることはいうまでもないだろう。

 だが文庫よりも小さな判型と、よく読まれたこともあってか、古本屋でもほとんど見かけることがなく、私も立川文庫はほるぷ出版の復刻、博多成象堂のそれぞれ一冊を入手しているだけだ。それゆえにわずかな読書だけで語るのは恐縮だが、それらの膨大な文庫群が映画やその後の時代小説にも大きな影響を与えたことは確実だと思われる。それは戦後の時代劇にしても同様なのではないだろうか。

 それは講談ばかりでなく、マンガも同様で、戦後のマンガもまた大阪を始めとする赤本業界の出版社がその揺籃の地であり、そうした版元は講談文庫の出版社と重なっているのである。それらのマンガの多くが貸本屋市場に向けてのものだったことも付け加えておこう。そしてここで生まれた多くのマンガ家たちが戦後の大手出版社のマンガ雑誌に招かれ、所謂コミックの全盛時代が招来されるのである。

 『近代出版史探索Ⅱ』において、『全国出版物卸商業協同組合三十年の歩み』を参照し、講談やマンガだけでなく、このもうひとつの出版業界にふれ、九牛の一毛でしかないけれど、それらの特価本、赤本、造り本などに言及している。そのことによって、従来の出版史と文学史を異化させ、思いがけない出版、文学シーンを提出しているはずだ。また続けて第三巻も刊行予定なので、図書館なのにもリクエストをお願いできれば幸いである。

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『近代出版史探索Ⅱ』小田光雄 著
論創社刊 定価6000円+税 5月29日発売
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2020年5月11日 第298号

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 古書市&古本まつり 第88号
      。.☆.:* 通巻298・5月11日号 *:.☆. 。
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メールマガジンは、毎月2回(10日号と25日号)配信しています。
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━━━━━━━━━━【シリーズ 古書の世界】━━━━━━━━

古書業界の全国組織の成り立ちと活動について…その2

            高橋秀行 (前 東京古書組合事務局長)

 現状の日本は、コロナウイルス禍により緊急事態宣言が発出され、
誰もが不要不急の外出を制限されています。今回の行政の判断でよ
く分からない一点は、新刊書店は営業を許可され、古書店は不要不
急とされて営業自粛になっていることです。同じ書物を扱う業者で
ありながら差異があるのは、まさか古書にはコロナ菌がついている
可能性があるという誤った迷妄からではないでしょうね。また一方、
今回の禍で日本の行政のメッキがはがれたのは、文化政策に対する
無策ぶりです。

続きはこちら
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━━━━━━━━━【シリーズ 古本マニア採集帖】━━━━━━

第16回 自転車で見知らぬ本を求める出会うひと

                     南陀楼綾繁

 昨年9月に札幌に行った。事前に古本屋の〈書肆吉成〉さんに、
古本好きで面白い人がいたら紹介してほしいとお願いしておいた。
店主の吉成さんが紹介してくれたのが、「積読荘の住人」というハ
ンドルネームの人だった。たしかに、Twitterで見かけたことがあ
る名前だ。
「当店では、おすすめの本を紹介しあうビブリオバトルを毎月開催
しているのですが、積読荘の住人さんはふらっとやってきて当店の
ミステリコーナーを物色し、おもむろに取り出した本について滔々
と語る特技の持ち主です」とメールにあった。

続きはこちら
/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=5813

南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ)

1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一
文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、
図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年
から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」
の代表。各地で開催される多くのブックイベントにも関わる。
「一箱本送り隊」呼びかけ人として、石巻市で本のコミュニティ
・スペース「石巻まちの本棚」の運営にも携わる。本と町と人を
つなぐ雑誌『ヒトハコ』(書肆ヒトハコ)編集発行人。著書に
『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、『一箱古本市
の歩きかた』(光文社新書)、『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、
『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』
(ちくま文庫)などがある。

ツイッター
https://twitter.com/kawasusu

『蒐める人 情熱と執着のゆくえ』 南陀楼綾繁 著
皓星社刊 価格:1,600円(+税) 好評発売中!

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━━━━━【5月10日~6月15日までの全国即売展情報】━━━━━

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

※現在、新型コロナウイルスの影響により、各地で予定されている
即売展も、中止になる可能性がございます。ご確認ください。
お客様のご理解、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。

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東京愛書会 ※新型コロナウイルスの影響により中止となりました

期間:2020/05/15~2020/05/16
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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五反田遊古会 ※中止となりました

期間:2020/05/15~2020/05/16
場所:南部古書会館 品川区東五反田1-4-4

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新橋古本市 ※中止となりました

期間:2020/05/18~2020/05/23
場所:新橋駅前 SL広場

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浦和宿古本いち(埼玉県)

期間:2020/05/21~2020/05/24
場所:JR浦和駅西口下車 さくら草通り徒歩5分 マツモトキヨシ前

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第15回 ひょうご大古本市 ※中止となりました

期間:2020/05/22~2020/05/24
場所:神戸三宮サンボーホール 1F大ホール 神戸市中央区浜辺通5-1-32

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趣味の古書展 ※中止となりました

期間:2020/05/22~2020/05/23
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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中央線古書展

期間:2020/05/23~2020/05/24
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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第94回 彩の国 所沢古本まつり (埼玉県)※中止となりました

期間:2020/05/27~2020/06/02
場所:くすのきホール 
   (西武線所沢駅東口前 西武第二ビル8階 総合大会場)

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BOOK & A(ブック&エー)

期間:2020/05/28~2020/05/31
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9

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和洋会古書展

期間:2020/05/29~2020/05/30
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22

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有隣堂藤沢店4階古書フェア(神奈川県)

期間:2020/06/04~2020/06/17
場所:有隣堂藤沢店4階ミニ催事場

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6月反町古書会館展(神奈川県)

期間:2020/06/06~2020/06/07
場所:神奈川古書会館1階特設会場

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つちうら古書倶楽部の古本まつり(茨城県)

期間:2020/06/06~2020/06/14
場所:土浦市大和町2-1 

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次回メールマガジンは5月下旬に発行です。

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日本の古本屋メールマガジンその298 2020.5.11

【発行】
 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋事業部」
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
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【発行者】
 広報部:二見彰
 編集長:藤原栄志郎

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古書業界の全国組織の成り立ちと活動について…その2

古書業界の全国組織の成り立ちと活動について…その2

高橋秀行 (前 東京古書組合事務局長)

現状の日本は、コロナウイルス禍により緊急事態宣言が発出され、誰もが不要不急の外出を制限されています。今回の行政の判断でよく分からない一点は、新刊書店は営業を許可され、古書店は不要不急とされて営業自粛になっていることです。同じ書物を扱う業者でありながら差異があるのは、まさか古書にはコロナ菌がついている可能性があるという誤った迷妄からではないでしょうね。また一方、今回の禍で日本の行政のメッキがはがれたのは、文化政策に対する無策ぶりです。音楽や演劇、絵画、その他多くの文化芸術に対する理解がまったくと言っていいほど無く、日本の政治家は、絵や音楽や文学は好きな連中が勝手にやっていると本当は思っているのではないかと疑ってしまいます。先進国の文化国家と日本を自負するならば、もう少し芸術に携わる人に手を差し伸べてしかるべきではないか、と痛切に思うのですが、いかがでしょうか。

さて、「日本の古本屋」メールマガジン296号で、私の個展開催報告と古書組合の組織についてお話をさせていただきましたが、古書業界の組織について、その続きを少しお話ししたいと思います。メルマガの読者の皆様にはあまり興味は起きないかもしれませんが、なぜこのような仕組みが作られてきたか、という歴史的な視点から見ると、なかなか面白い側面もありますので、少々我慢してお付き合いください。

前回は、全国の古書組合についてお話しし、全国には53の古書組合があって、そのうち法人化されている組合は6組合であり、他は任意組合組織になっていて、その法人化ができない理由も述べてきました。この全国組織(発足当初は、全国古書籍商連盟)ができたのは、昭和7年なのですが、発足の端緒となったのは東京と大阪、京都の東西連合市会と言われています。発足にあたっては役員が手弁当で全国を飛び回ったようで、大変な苦労があったと聞き及んでいます。     
以前にもお話ししましたが、古書業者には卸問屋がありません。本の仕入れは客買いか宅買い、同業者間の仕入れということになります。古書を必要とするお客様のニーズに応えるためには、本に関する情報と本の流通を活発化する必要があり、そのためにはどうしても業者間のネットワークが必要になりました。当然、交通の発展や運送問題など流通と不可分の関係があり、社会事情もありました。全国的な古書の組織ができ、所属する会員が自由に各地の古書市会を利用することが認められれば、売り手にも買い手にもメリットは双方に十分あります。また、うがった見方ですが、東京や大阪、京都のような一大消費地ではそれなりの古書需要があり、多くの書物を入手するには仕入れ先がたくさんあった方が得策です。有名古書店では、いちいち店主が全国を飛び回る必要もなくなるわけで、多少仕入れ価が高価になったとしても、一定の場所に本が集まってくれば、それで良いという考えになります。

また今一つは、全国組織を結成するファクターとして次の問題がありました。現在でも古書業者は営業を始めるにあたり、古物営業法という法律の下、警察から古物営業許可証の交付を受けなければなりません。この古物許可にはいろいろな事業品目がありますが、その中の書籍や美術品等の許可がいるのです。昭和7年当時は古物商取締法という法律の下、古書業者に対してゾウブツ故買という大変厳しい取り締まりが市会や個人に行われ、東京組合では衆議院や内務省へ度重なる陳情や改正運動を行っていました。しかし、一部の地域だけでの陳情や改正運動では国の法律を改正させることは甚だ困難で、どうしても全国的な改正運動や陳情が必要とされる状況がありました。そして、この全国的な改正運動が成就したのは、古書業界にとっては不本意な内容ながらも9年の歳月がかかったと記されています。

つまり、全国組織の必要性は法律の改正運動と古書流通の活性化という両面があったことがうかがわれるのです。この両面性は現在まで古書業界の伝統として、まさに継続していることを、この際メルマガの読者の皆様にはぜひ知っていただきたいと願う点です。無論その他にも、全国の古書業者間の融和と団結というスローガンは現在も踏襲されているのです。その後、全国古書籍商連盟は昭和19年に当時の戦時法により、全国古書籍統制組合に改組され、終戦とともに消滅しました。

現在継続している新たな組織としての全国古書籍商組合連合会は、昭和23年8月に創立総会を開催して、同年11月に京都で第一回の全連結成記念大市会を開催しています。また、その年には古物商取締法の改正に関する陳情を政府に行い、税務対策等も行っているのです。

現組織である全国古書籍商組合連合会(略称;全古書連)は、創立から71年を経過しています。その間、紆余曲折はありましたが、様々な活動を全国的に行ってきました。しかし、その活動はあまりに内向きだったため、一般の方々の目にふれる機会はほとんど無く、その点は大きな反省点であろうかと思います。全古書連としての政治運動としては、税務対策として大型間接税の反対運動、現在は消費税として当たり前ですが、当時は売上税や大型間接税、一般消費税と名称を変え、政府は様々な方式の消費に対する罰金税導入を創設する施策を検討していました。

また、古物営業法改正に対する規制緩和の要望、等です。通常業務としては、全国の古書店名簿の発行や機関紙の発行、古書業界の広報活動、古書相場の公表などですが、マイナス面としては、各地組合員間の利害調整に動いたことなどがあげられます。また、他地区における市会での売買で生じる未収金問題などの課題もあります。しかし、その活動の中でも特筆すべきことは、阪神淡路大震災と東日本大震災の二度にわたる古書業界としての活動と、「日本の古本屋」起ち上げのインターネット事業があげられ、全古書連の存在意義が改めて確認されたことです。……続きは次回に、では。

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第16回 自転車で見知らぬ本を求めるひと

第16回 自転車で見知らぬ本を求めるひと

南陀楼綾繁

 昨年9月に札幌に行った。事前に古本屋の〈書肆吉成〉さんに、古本好きで面白い人がいたら紹介してほしいとお願いしておいた。店主の吉成さんが紹介してくれたのが、「積読荘の住人」というハンドルネームの人だった。たしかに、Twitterで見かけたことがある名前だ。
「当店では、おすすめの本を紹介しあうビブリオバトルを毎月開催しているのですが、積読荘の住人さんはふらっとやってきて当店のミステリコーナーを物色し、おもむろに取り出した本について滔々と語る特技の持ち主です」とメールにあった。
 さっそく取材を申し込み、大通公園の近くにある書肆吉成の「丸ヨ池内GATE6F」店で待ち合わせた。IKEUCHI GATEという商業施設に入っている支店だ。東区の本店に劣らぬ充実ぶりで、以前からほしかった『北海道の出版文化史』(北海道出版企画センター)を格安で見かけてホクホクしていたら、眼鏡をかけた温厚そうな男性から声を掛けられた。積読荘の住人さんである。

 積読荘の住人さん(以下、積読さん)は1978年、帯広市で生まれる。父は洋服の行商をやっていた。町まで買いに来られない人のために、問屋から仕入れた服を車に積んで各地の集落を回るという商売だ。積読さんも子どもの頃に一緒に行った記憶があるそうだ。
 一人っ子だが、親戚の従兄弟の中では一番年下のため、お下がりで絵本をもらうことが多かった。
「『チョコレートのじどうしゃ』(立原えりか・文、太田大八・絵)が大好きでした。あとで母に聞いたのですが、絵本を読んでもらうときに母が眠くなって途中を飛ばすと、『違う』と抗議したそうです(笑)」
 ミステリとの出会いは、小学2年生。近所に来ていた移動図書館で、エラリー・クイーンの『エジプト十字架の秘密』を借りた。あかね書房の「少年少女世界推理文学全集」の一冊で、『十四のピストルのなぞ』(『靴に棲む老婆』の抄訳)も収録されていた。
「装丁は、碁盤目の模様でメタリックな色のインクが使われていました。背に使われていた『?』マークがかっこよくて、作文を書くときなどにこの字体を真似ようとしてうまくいかなかった記憶があります(笑)。あとでこの巻は横尾忠則の装画だと知りました。『エジプト~』の読者への挑戦状という趣向には、すっかりヤラれてしまいました。同じく子ども向けですが、クイーンの『Xの悲劇』『Yの悲劇』も読みました」
 小学校の図書室は2年生までは使えなかったが、3年生になると入りびたって、ミステリを読みまくった。もう少し経つと、バスで市立図書館に通い、SFも読むようになる。

 中学生になった頃、市立図書館で『東西ミステリーベスト100』(文春文庫)を借りて読む。
「当時は冒険小説がブームで、新本格の作家が出はじめた頃です。この本はその3年前(1986年)に出たもので、すでに品切れになっていたので、リストをノートに書き写して、それらの本を次々に読みました。最終的には三分の二ぐらいは読んだと思います」
 休みの日には自転車で市内の新刊書店をめぐり、『ミステリマガジン』『本の雑誌』の書評や日本推理作家協会賞の選評をチェックする。そこで気になった本を探して読む、というサイクルだった。古本屋もあったが、母が中古品を買うのを好まなかったので、入っても買うことはなかったという。
 中学3年生で図書委員長になり、一人で「読書の手引き」を書いて配布したこともある。高校では「図書局」(委員会ではなく部活動)に属した。書庫で日本SFの古い文庫を見つけ、小松左京などを読む。図書新聞の記事のなかで、SFやミステリを紹介したりした。
「デビューしたばかりの京極夏彦の新刊を、次々と高校の図書室に入れてもらったりもしましたね」

 1996年、図書館情報大学に進学し、つくば市に住む。コンピュータを使う授業も多く、学生に与えられたホームページ用のスペースに本の感想を書いた。新刊書店の〈友朋堂書店〉によく通った。
「帯広では新刊が3日遅れなので、雑誌や文庫が発売日どおりに買えるのが嬉しかったです。内地に来てよかったと思いました」

 積読さんは市内にあった「天久保古書街」に通うようになる。
「母親の目が届かなくなって、古本屋通いを楽しめるようになりました(笑)。小さいアーケードに6軒ほどの古本屋が入っていました。均一棚にはミステリやSFが多く、頻繁に補充されていたので、大学の帰りに寄りました。東京に出るのは交通費がかかるので、神保町にはたまにしか行けませんでしたね」

 卒業後、札幌市内の大学図書館に採用が決まる。途中、旭川と帯広へ異動した数年間を除くと、ずっと札幌で暮らしている。休みの日には、自転車で古本屋めぐりをする。
「ススキノにあった〈石川書店〉では、ミステリやSFの絶版が多く見つかりました。2011年に閉店したのは残念です。東区の書肆吉成では、自分が探していたものではない、なんだかよく知らない本が見つかるのが楽しいです。仕事でずっとパソコンを使っていることもあり、本はネットで買うのではなく、本屋で見つけて買いたいです」
 北海道大学の近くの〈南陽堂書店〉や〈弘南堂書店〉にもよく行く。弘南堂の店頭の均一棚は北海道の郷土史に関する本が充実していて、勤務先の大学図書館に所蔵していなければ買って寄贈しているという。私も翌日に行き、店頭だけで10冊近く買ってしまった。
 最近の収穫は、さきほど待ち合わせた書肆吉成の支店のオープン日に見つけた、ヘレン・ユースティス『水平線の男』(創元推理文庫)。
「この作品は、亡くなったミステリ評論家の瀬戸川猛資が発行していた雑誌『BOOKMAN』で復刊希望のミステリとして挙げられていたので、知りました。これまで見かけたことがなかったので、100円で見つけてとても嬉しかったです。ちなみに、この日は私の誕生日でした(笑)」
 同作は、女子大のある街を舞台にしたもので、有名になったサプライズの仕掛けだけでなく、教授や学生などのキャラクターがいいので、ぜひ新訳してほしいと積読さんは云う。

「積読荘の住人」はもともとmixi用のハンドルネーム。当時は友人に向けて読書日記を書いていた。その名の通り、積読さんのマンションには本が積みあがっている。ときどき古本屋に処分しても、それより買う量が多いのでぜんぜん減らない。
「昨年(2018年)9月の胆振東部地震では、本の雪崩が起きました。直前で身をかわしましたが、怖かったです」
 最近は、冒頭でも触れたように、書肆吉成で月1回開催されているビブリオバトルに参加している。
「『東西ミステリーベスト100』でも上位にランクされた大岡昇平の『事件』が創元推理文庫から復刊された頃で、これなら話せるかなと思って参加しました。発表者が3人、聴き手が2、3人ほどの小さなビブリオバトルですが、話すのも、他の人の紹介を聞くのも面白いです」
 今後は、古本を通じて知り合った人たちと一緒に雑誌をつくりたいという夢もある。
 自転車で古本屋をめぐり、探していた本や見知らぬ本に出会う。そんな積読荘の住人のマイペースな日常を描いた文章を、その雑誌で読んでみたいものだ。

南陀楼綾繁
1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」の代表。各地で開催される多くのブックイベントにも関わる。
「一箱本送り隊」呼びかけ人として、石巻市で本のコミュニティ・スペース「石巻まちの本棚」の運営にも携わる。本と町と人をつなぐ雑誌『ヒトハコ』(書肆ヒトハコ)編集発行人。著書に
『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、『一箱古本市の歩きかた』(光文社新書)、『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』(ちくま文庫)などがある。

ツイッター
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皓星社 価格:1,600円(+税) 好評発売中!
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2020年4月24日 第297号

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1.『古書と生きた人生曼陀羅図』 青木正美
2.『怪異をつくる 日本近世怪異文化史』 木場貴俊
3.『甲賀忍者の真実 末裔が明かすその姿とは』 渡辺 俊経

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━━━━━━━━━━━【自著を語る(238)】━━━━━━━━━

『古書に生きた人生曼陀羅図』

                   青木書店 青木正美

 著者は昭和8年葛飾区生まれ。高校中退後20歳で古本屋を開業。
以来67年、今も気持ちは古本屋です。同年生まれを人で示せば他界
された永六輔、藤田まことがいます。渡辺貞夫、森村誠一などが健
在だし、昨年御退位された上皇も8年生まれです。女性は若尾文子、
黒柳徹子、草笛光子などが今もテレビで見かけます。

続きはこちら
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『古書と生きた人生曼陀羅図』 青木正美 著
日本古書通信社刊 価格 2,600円+税 好評発売中!
https://www.kosho.co.jp/kotsu/

━━━━━━━━━━━【自著を語る(239)】━━━━━━━━━━

研究という怪獣造形――『怪異をつくる』をつくる

                       木場 貴俊

 テレビアニメ『SSSS.GRIDMAN』(2018年)は、女子高生の新条アカ
ネが負の感情を反映させて造形した怪獣フィギュアが実体化し、街を
破壊し人を襲う展開になっています。
 これを自分の研究に引きつけてみると、さながら研究論文は怪獣フ
ィギュアで、そしてこのたび刊行した『怪異をつくる 日本近世怪異
文化史』は、そのフィギュアを使ったジオラマになぞらえることがで
きます。

続きはこちら
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『怪異をつくる 日本近世怪異文化史』 木場貴俊 著
文学通信刊 定価:本体2,800円(税別) 好評発売中!
https://bungaku-report.com/books/ISBN978-4-909658-22-7.html

━━━━━━━━━━━【自著を語る(240)】━━━━━━━━━━

「甲賀忍者の真実―末裔が明かすその姿とは」

                       渡辺俊経

 37年間の東京勤務を終えて62才で帰って来た故郷甲賀で、自分が
江戸時代に尾張藩へ仕えていた甲賀忍者の子孫であることを、私は
初めて知った。その後蔵から古文書も発見され、否応なく忍者・忍
術の世界へつき合わさせられて20年、地元で分かって来た甲賀忍者
に関する歴史の事実と世の中の認識とのかい離が気になりだした。
ここは地元の者にしか分からぬことどもを遺書として書いておこう
と思った次第である。

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『甲賀忍者の真実 末裔が明かすその姿とは』 渡辺 俊経 著
サンライズ出版刊 2400円+税 好評発売中
http://www.sunrise-pub.co.jp/isbn978-4-88325-675-4/

━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━

『近代出版史探索Ⅱ』小田光雄 著
論創社刊 予価6000円+税 5月中旬発行予定
http://ronso.co.jp/

『芝居小屋戦記 神戸三宮シアター・エートーの奇跡と軌跡』菱田信也 著
苦楽堂刊 1600円+税 好評発売中!
http://kurakudo.co.jp/#978-4-908087-11-0

古本乙女の独り言⑨ 古本への我が求愛行動
カラサキ・アユミ

古本乙女の独り言⑧ はこちら
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━━━━━━━━━【日本の古本屋即売展情報】━━━━━━━━

4月~5月の即売展情報

※新型コロナウイルスの影響により、今後、各地で予定されている
即売展も、中止になる可能性がございます。ご確認ください。
お客様のご理解、ご了承のほどよろしくお願い申し上げます。

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 次回は2020年5月中旬頃発行です。お楽しみに!
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【発行】
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 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
 URL  http://www.kosho.or.jp/

【発行者】
 広報部:二見彰
編集長:藤原栄志郎

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kouga

「甲賀忍者の真実―末裔が明かすその姿とは」

「甲賀忍者の真実―末裔が明かすその姿とは」

渡辺俊経

 37年間の東京勤務を終えて62才で帰って来た故郷甲賀で、自分が江戸時代に尾張藩へ仕えていた甲賀忍者の子孫であることを、私は初めて知った。その後蔵から古文書も発見され、否応なく忍者・忍術の世界へつき合わさせられて20年、地元で分かって来た甲賀忍者に関する歴史の事実と世の中の認識とのかい離が気になりだした。ここは地元の者にしか分からぬことどもを遺書として書いておこうと思った次第である。

 日本人の9割以上がマンガやアニメや小説・映画などから忍者を知り、その延長上で甲賀忍者を知ることになると、甲賀忍者とは手裏剣を懐に黒い忍者衣装に身を包み、敵前を軽々と飛んだり跳ねたり時には消えたりする者達と認識している。でも同時に普通の人間がそんなことできるはずがないとも思っている。また服部半蔵は史実として忍者でないのにNHKのデイレクターさえも服部半蔵の忍者話を信じている。他方欧米では忍術とは超高度の武術とみなされ、古武術の技を習得することが忍者になる事であるかの如く誤解されて、多くの古武道道場がNinjutu道場の看板で数百人の会員を集めて繁昌している。

 一方磯田道史氏のように現場に密着して調べている歴史学者は別にして、最近忍者の世界に進出して来た多くの学者たちは、古文書を見つけたと云ってはそこに探索が指示されているからと云って忍者を見付けたと安易に報告して来る。スパイ活動は人類の歴史が始まって以来行われていたのであって、古代のエジプトにもメソポタミアにもあった。命令を受けてスパイに向うのは必ずしも忍者ではないのである。

 では忍者とは何者か、甲賀忍者とはどんな者達か。それにはこの本を読んでいただきたい。
ただ忍者・忍術はある日突然に誰かが編み出したものではなく、永い歴史と幾重にも積み重なった文化の重層の中で育まれたものであるということを指摘しておきたい。つまり甲賀忍者が生まれた訳を知りたければ先ず甲賀の或は近江の歴史を知る必要があるということである。それも極めてローカルな地域の、かつ上辺でなく深層の歴史を知る必要がある。

 ところがである。絶対的に多くの読者は大都会それも首都圏に住んでいて、知らず知らずのうちに中央政府の歴史感つまり勝者の歴史感にどっぷりと浸かっている。それに対して甲賀は地方である。一時的に勝者に与したことがあったとしても所詮は敗者となった地方である。現に豊臣秀吉にこっぴどく痛めつけられた。こんな地方の歴史をこまごまと語ったとしても勝者の歴史に染まった人々は読んでくれないのである。また地方に住む読者も実は冷たくて、自分の地域には思い入れがあっても他人の地域の歴史には興味を抱いて戴けないのである。

 それでもめげずに、甲賀の歴史を書こう、その上で甲賀忍者を語ろうと決心をして書いたのがこの本である。結果として甲賀の歴史書のような形になったので、当初対象とした忍者ファンの外に、甲賀の地元の人にも読んで欲しいとの欲が出て来た。それにも増して読んでいただけたら有難いと思う人達がいる。それは歴史は楽しむためではなく、そこから現代に生かせるものを学び取るためにあると考える人達である。また地方にいて同時代史料に事欠く敗者の歴史を何とか書き揚げたいと願っておられる方々である。正直身びいきが過ぎて面はゆいことが多々あるが、地元に語り継がれる歴史を掘り起こすとき、文献証拠が乏しくとも云い放って良いのではないか。それが敗者の歴史を綴ることであろう。

kouga

『甲賀忍者の真実 末裔が明かすその姿とは』 渡辺 俊経 著
サンライズ出版刊 2400円+税 好評発売中
http://www.sunrise-pub.co.jp/isbn978-4-88325-675-4/

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研究という怪獣造形――『怪異をつくる』をつくる

研究という怪獣造形――『怪異をつくる』をつくる

木場 貴俊

 テレビアニメ『SSSS.GRIDMAN』(2018年)は、女子高生の新条アカネが負の感情を反映させて造形した怪獣フィギュアが実体化し、街を破壊し人を襲う展開になっています。
 これを自分の研究に引きつけてみると、さながら研究論文は怪獣フィギュアで、そしてこのたび刊行した『怪異をつくる 日本近世怪異文化史』は、そのフィギュアを使ったジオラマになぞらえることができます。
 『怪異をつくる』は、江戸時代を生きた人びとや社会のいとなみを「怪異」との関わりから考えたものです。本書では、怪異を「あやしい物事を指し、化物・妖怪・不思議などと表現する対象を包括する概念」として用いました。あやしいと感じることは、日常や常識が前提にあって喚起されるものなので、この本は逆説的に、当時の日常や常識を考えるものだと言い換えることもできます。

 本書で取り上げた物事は多岐にわたります。人物については、林羅山や貝原益軒、荻生徂徠、井原西鶴といった歴史や古典の教科書に必ず登場する有名人から、政治思想史で近年注目されている古賀侗庵(とうあん)、そして多数の民衆にまで視野を広げました。他に、政治や学問、言葉など、これまで怪異との関係があまり注意されてこなかった対象へも目を向けています。ここまで多くの物事を取り上げざるを得なかったのは、人のいとなみのさまざまな面が怪異と切り離せない関係を持っているからです。当時の人びとが怪異をどのように考え、対応し、あるいは表現したのか。具体例とともに考察を行いました。

 さきほど研究論文を怪獣フィギュアに例えましたが、フィギュアの骨組みに当たるのが論理構成です。『怪異をつくる』でもそうですが、古文書や書物、絵画などさまざま資料を駆使して、研究者は課題に答えるべく実証を行っていきます。そうした作業に基づいて組み上げた論理構成を骨組みとして、それに肉付け=論文化していきます。文章にしていくなかで、改めて構成を変えたり、新しい資料を追加したり、注を入れたりと色々手が入ります。フィギュアに置き換えれば、二足歩行を四足歩行にしたり、角や翼を生やしたりということで、執筆も造形も自分が納得する=面白いかたちを目指します。そして試行錯誤の末、論文というオリジナルの「作品」が生まれます。

 今まで、いろんな論文を書いてきましたが、それらを一書にまとめるのは今回が初めてでした。基本的にその時々の問題関心から研究をしている自分にとって、節操がない個々の論文をどのようにまとめるのか――怪獣をどのような舞台にどう配置するのか――は悩みどころでした。苦心の末、思いついたのが「つくる」という括りでした。怪異について、創作だけでなく、ある物事を怪異だと認識することやその対処方法なども含めて、「つくる」という言葉で括ってみました。

全体を構成する際、論文を改めて読み直し、文章や論法など全体的に加筆修正を行って調整をしただけでなく、資料も原文だけでなく読み下しや訓点、振り仮名を多く施して、研究者だけでなく広く一般の方にも読んでいただけるように努めました。

こうして完成したのが、『怪異をつくる』です。怪獣が上手く暴れ回ったかどうか、完成品を前にして、読者のみなさんがどのように受け取るかは非常に気になるところですが、個人的には既に新しくやりたいことが湧き上がっています。これからも研究という怪獣造形を続けていく所存です。

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『怪異をつくる 日本近世怪異文化史』 木場貴俊 著
文学通信刊 定価:本体2,800円(税別) 好評発売中!
https://bungaku-report.com/books/ISBN978-4-909658-22-7.html

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