本とエハガキ③ 古書即売会のエハガキ

本とエハガキ③ 古書即売会のエハガキ

小林昌樹

エハガキはチラシの代わりでもある

 古本の即売会が好きだ。というか第二の人生を歩み始めた2005年から、ほぼ毎週末南部、西部、そして本部(神保町、というか小川町(まち))の古書会館に通っている。前職、国会図書館で書庫で仕事の立ち読みをたくさんしたけれど、週末古書展のほうが数倍楽しい。だって買って帰れるんだもの。

 その即売会、どうやら戦前からあるらしい。名著にして大著『東京古書組合五十年史』に「古書即売展」(p.548-572)という章があって、日本初は横浜で、明治42年11月20日と
翌日、浜港館で開かれたものだと分かる。横浜には古本屋がほとんどないので、東京の業者を呼んでやる「古書展覧会」だと当時の『横浜貿易新報』にある。
 たまたま【図3-1】のような広告エハガキを拾った。

図3-1 第5回和漢洋古書籍展観即売会
【図3-1】「第五回和漢洋古書籍展観即売会」(1933?)

 はがきの表面を見ると、京都市高倉二条上にあった白洲堂書店が、丸太町に住んでいた衣笠貞之助という人物に出した「京都局市内郵便」であることが分かる。どうやら、俳優、映画監督の衣笠貞之助(1896‐1982)のものらしい。

 それはともかくネットで月日と曜日のかけ合わせから年代候補を考えると、1933年か1937年。おそらく1933年のものだろう。14店舗が合同で、日曜日、月曜日と2日間、昭和図書館という会場で開催している。「毎月十、十一両日開催」とあるので、曜日と関係ない開催だったようだ。

 ヤフオクなどを見ると分かるが、こういった広告エハガキの中には古書展のエハガキもある。絵がないので厳密にはエハガキではないが、たまに典籍の絵・写真があしらわれていたりする。
 以前の連載で、戦前「古書」というと基本的に和古書、つまり、和本や仏書、唐本を指したことを書いたが、では戦前期の古書展はどのようなものだったのだろうか。

最初は本棚のない古書展が普通

 実は『東京古書組合五十年史』に写真があるのだが、せっかくなのでエハガキで高精細な
写真を見てみよう。まず【図3-2】から。「柄鏡に関する図書 於雲泉荘弓場」とキャプションにある。表面には罫線なしで「杉浦雲泉荘」と印字がある。気を付けて見て欲しい。和本が、いちおう毛氈を引いてあるとはいえ、畳敷きに展開されていることがわかる。

 いまNDLデジコレを検索すると、杉浦三郎兵衛編『雲泉荘山誌 巻之1』(杉浦丘園、昭和3)という本が見つかるので、下京区三条通り柳馬場東ルにいた第10代・杉浦三郎兵衛利挙(号・丘園、1875‐1958)という人が発行したエハガキと分かる。
 とすると、これは売らない展覧会、ということになるが、それでもなお、戦前の和本を中心にした古書展の典型例と見て良い。年代は、デジコレで『史学研究』8(3)、昭和12年3月号)にそれっぽい記述があるので1937年と見た。杉浦丘園は古物や古書のコレクターだったが、たびたび展覧会を開いたので斎藤昌三に「模範マニア」とホメられている(『閑板書国巡礼記』p.272)。

図3-2 柄鏡に関する図書
【図3-2】「柄鏡に関する図書 於雲泉荘弓場」(京都、1937?)

 杉浦の展示会は売らないものだったろうが、売る方の展覧会の写真は「五十年史」にある【図3−3】。

図3-3 常盤木倶楽部古書展会場
 【図3−3】「常盤木倶楽部古書展会場(第二回明治45年)」
(1911、『東京古書組合五十年史』p.552より)※これはエハガキではない

 「五十年史」によると常盤木倶楽部という貸席で行われたもの。この貸席は元「柏木」という会席茶屋で「日本橋白木屋の手前、榛原の隣」にあったという。会場写真【図3−3】を見ると、基本的に和本ばかりが畳敷きの会場に面陳されているのが分かる。奥に「伝記類」「教訓□」「修身□」などと垂れ幕がああるのは、これは展示書のジャンルを示しているのかもしれない。エハガキに比べ網版印刷なので、よくわからない。元写真がどこかに残っていないものだろうか。

古書展の近代化――デパート展

 かように明治末に始まった古書展は、会場は畳敷き、本棚はなく、和本がヒラに並べられているものだったのが、大正末あたりから「近代化」したらしい。古書界における近代化とは、本に和装本だけでなく洋装本(洋本)が並ぶようになり、本棚が導入されるということなのだが、象徴的なのは近代消費文明の華、デパートにおける古書展、「デパート展」が始まったことだろう。やはり「五十年史」(p.559)によれば、デパート展の最初は昭和7年11月12日〜20日、白木屋(東京日本橋)で行われたもので、25店舗もが参加した大規模なものだった。肝いりは戦前の大書痴・斎藤昌三である。

 戦前始まった「デパートの展覧会」は結果として大成功で、昭和10年頃にピークとなった。
 手元にあるエハガキ【図3-4】はデパート展を宣伝する一枚。大阪梅田駅の阪急百貨店で
開催されたもの。年代は表面文言が「郵便はがき」と、「が」を使っているので昭和8年以降だろう。デパート展は昭和15年ごろから統制価格の関係で当局が難色を示し始めたというから、昭和一桁ごろか。NDLデジコレで全文検索できる『古本年鑑』でヒットしないので、昭和11年以降の可能性が大きい。

図3-4 創刊号の雑誌類即売会/大阪・梅田阪急百貨店
【図3-4】「創刊号の雑誌類即売会/大阪・梅田阪急百貨店」(1933年以降)

 エハガキによると雑誌創刊号を「二階(西館)古書売場」で「展観即売」するという。昭和21年頃の敗戦直後、デパートに古書部が続々と出来た話は有名だが、戦前から古書部門があるデパートがあったというわけである。創刊号を収集する趣味は戦前から古書業界で認知されていたこともわかる(創刊号目録の書誌がネットにある)。

 ところで【図3-1】の古書展は京都の「昭和図書館」という施設が会場となっていた。図書館と古書は最近でこそ相性が良くなってきているが、昭和後期〜平成期はほぼ無関係のものだったので、とても興味深い。どんな施設かと思っていたら、これもエハガキで拾うことができた。【図3-5】がそれ。和風建築の2階建てで、入口の庇にお宮風な「てりむくり」があって、なかなか面白い。

図3-5 昭和図書館
【図3-5】昭和図書館「本館側面図」(1928)

 実はこの昭和図書館、たしかに図書館ではあるのだが、設置母体が「京都書籍雑誌商組合」という京都の書籍商団体なのである。昭和3年、中京区木屋町御池に設置されたもの。この
正面玄関もエハガキで入手している【図3-6】。

図3-6 昭和図書館 正面玄関図
【図3-6】「昭和図書館 正面玄関図」(1928)

 門柱に看板が掛かっているので読んでみる。右側には「昭和図書館」、左側には「京都書籍雑誌商組合/京都古書組合事務所」とある。そう、この図書館は古書組合の事務所でもあるのだ。それゆえ、古書展も開かれるのである。その会場は二階の大広間であったろう。

図3-7 昭和図書館「会場大広間」
【図3-7】昭和図書館「会場大広間」(1928)

 昭和図書館は古書会館でもあるので、毎日のように開かれていた「市会」(古書籍業者相互の交換会)も、この大広間であったろう。
 現在の古書展は普通に本棚を使うので(下図、東京古書組合ブログより、2008年のもの)、畳敷きの会場がデフォルトというのはちょっと意外かもしれない。

即売展写真

 戦前の東京組合事務所は昭和20年に空襲で焼失。戦後再建された建物は「五十年史」を見ると板敷きであるようだ。その時代の交換会(振り市)再演が三島由紀夫原作、映画『永すぎた春』(大映、1957)にあるというが、未見。

 【図3-8】は昭和図書館の閲覧室風景だが、戦前の図書館らしく、本が見当たらない。今でも国会図書館へ行けば体験できるように、戦前の図書館は本はみな閉架書庫にしまわれており、閲覧者は職員(出納手)に頼んで出してもらい、館内閲覧をするというのはデフォルトだった。この写真には映り込んでいないが、別に出納所や書庫があるはずである。写真がやけにスカスカに見えるのは、奥に講壇があることから分かるように、適宜、講演会などに使うためだったのだろう。この図書館は戦時中、防空緑地を作るため強制撤去されたようだ。しばらく前、『昭和図書館月報』なる綴りを買ったので手があいたら調べてみたい。

図3-8 昭和図書館「図書閲覧室」
【図3-8】昭和図書館「図書閲覧室」

 今回は古書展示会や古書会館のエハガキを紹介しつつ、柴野京子著の書名にいう「書棚と
平台」問題を古書即売会がらみに当てはめて瞥見してみた次第……。ん? いや台すらもなかったか。

 
 

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破棄する前に3 全集書簡篇で読む作家の年賀状

破棄する前に3 全集書簡篇で読む作家の年賀状

三昧堂(古本愛好家)

 岩波書店の「図書」を定期購読し始めたのは、昭和40年代半ばの高校生時代だった。読んで理解できる記事は殆どなかったが、巻末の広告ページに掲載される文学者個人全集の「予約出版」広告を毎号恨めしく眺めていた。予約期限が近付いてくると買えもしないのに焦ったりしたものだ。

 学校の図書室でジャワハルラール・ネールの『インドの発見』という古びた二冊本を見つけた。自分でも欲しいと思い岩波書店に在庫問い合わせのハガキを出すと、当社刊行書は絶版にせずすべて在庫していますのでお近くの書店へご注文くださいと言った文面のハンコを捺した返信があった。その頃、NHK番組で「婦人手帳」というのがあって、様々な文化人へインタビューしていた。一人一週間続き、田舎の高校生を文化の香りに包んだ。昼間の番組だから
夏休みにでも見たのだろう。よく覚えているのがドイツの児童文学者ケストナーの翻訳者高橋健二、映画監督新藤兼人、それに岩波書店の小林勇だ。軽井沢あたりの別荘でのインタビューだった。これが岩波書店への興味をさらに掻き立て、何でもいいから連絡してみたくなったのである。何を期待したのか簡単な返信に少し落胆を覚えたものだ。
 
 ともかくも、高校生の身では予約出版の全集は高嶺の花で、大学生時代には予約版全集は
完結した途端に古書価が暴騰した。神保町の古書店では予約全集もバラで、しかも一割引きで買えたが、それでも数千円はしていてなかなか買えない。早く社会人になって高価な全集も
買えるようになりたいと思ったものだ。高校時代に有島武郎のファンになった。筑摩書房の
全集が出る前は、立派な叢文閣版と、円本の新潮社版の戦前版全集しかなかった。新潮社版は製本が粗悪で大半はボロボロ、叢文閣版を一冊一冊古本で求めたが、全部集め終わる前に筑摩書房から刊行が始まった。予約して購入した初めての全集で今も我が書架にある。

 個人文学全集の魅力は日記篇や書簡篇にある。私は年譜が好きなので、年譜を収めた別巻も気が付けば古本で購入してきた。亡くなってしまったが克書房さんは全集を専門とする古本屋さんで、東京古書会館の即売会では全集端本を数百円で販売してくれた。そうした中から日記や書簡、年譜の収められた巻を随分求めた。克さんは晩年、「全集類が安くなって、それでも売れなくていやになるよ」とよくこぼしていた。私と同じような昭和40年代、50年代に青年期を過ごした者は全集への憧憬が強く、克書房さんはありがたい古本屋さんであった。全集を扱う古本屋はまだいるが、克さんのように専門で扱う店はないだろう。商売にならないほど
安くなってしまったからだ。

 先日、知り合いの古本屋が抜けた巻が三冊あるからと旧版と定本版混合の『中野重治全集』をくれた。第二十四、二十五巻と別巻が抜けていて、月報もほとんどない。確かにこれでは
商品にならない。「日本の古本屋」で検索しても別巻だけでは売られていない。いわゆる
キキメなのかもしれない。将来処分する時に困ることになるが、非常に状態の良い本なので
頂くことにした。だが、問題は置き場所である。書棚を見回して、吉川弘文館の『日本随筆
大成』を物置に移すことにした。この叢書も現在人気がなく投げ売りされている全集だ。この叢書の欠点は索引がないことである。シリーズを通した完璧な人名、書名、事項索引を作れば利用価値は格段に上がる。もっとも現在は電子化されて全文検索も出来るようだが、利用できる者は限られている。それに全体を俯瞰するには印刷された索引が必要である。索引は案外に読むと面白いものなのである。

 その当面不要な『日本随筆大成』を書棚から運び出し、偶々一冊手に取ったのは第三期第四巻。中に森山孝盛の「賤のをだ巻」があり読みだしたら面白い。どんな人物かと解説を見ると第二期二十二巻の「蜑の焼藻の記録」の解説を参照とあった。それを見ると、森山は幕臣で
冷泉家門下の歌人であるが、あの鬼平・長谷川平蔵組に属する火付盗賊改役だったという。
何とも興味を惹かれる人物である。処分しようとすると、よく起きる実例の一つである。
しかし、これは次回に語ろう。

 さて、今回は困り物の全集端本だが、その書簡篇の魅力に注目したい。何方も感じていると思うが、今年は例年にも増して年賀状仕舞を伝える挨拶が多かった。葉書が値上がりしたことも理由だが、義理で惰性的に出すことを嫌う風潮が受け入れられてきたのだろう。メールや
ラインの普及で知り合いとの連絡は頻繁にもなっている。ありきたりな年賀状ならいらないという感じだろうか。

 近代日本の作家たちはどんな年賀状を出していたか、手元にある全集の書簡篇から拾ってみよう。基本的に最初期のものを上げることにする。

〇漱石・斎藤阿具宛 明治28年 
新年の御慶目出度申納候今度は篠原嬢とご結婚のよし謹んで御祝ひ申上候小子昨冬より鎌倉の楞伽窟に参禅の為帰源院と申す處に止宿し旬日の間折脚鐺裏の粥にて飯袋を養ひ漸く一昨日
下山の上帰京仕候五百生の野狐禅遂に本来の面目を撥出し来らず御憫笑可被下候先は右御祝ひまで餘は拝眉の上萬々。
一月九日 夏目金之助拝 斎藤學兄

〇啄木・小林茂雄宛 明治37年 
 天姫がうちふる領の白彩に光は湧きて新世成りぬ
 地に理想天に大日の眩ゆき希望の春をむかへぬ
明治三十七年一月一日 渋民村 石川啄木 小林茂雄様

〇荷風・井上精一宛 明治42年 
二日三日両日とも君とあや子をまつてゐた二日の晩寒月を踏んで一人濱町へ行つた新富座で
ブイキな鼠小僧を見た「ふらんす物語」はすつかり出来上つた今年から原稿料全額を貯蓄し
五年間に千円ためて伊太利へ行てヱスビアスの火山へはいつて死にたい。兎に角今年からはつゞくだけ書く。書いて金をためる日本にゐるのはいやだ。

〇芥川・葛巻義定宛 明治42年 
粛啓 新年の御慶目出度申し納め候 先達は結構なる御歳暮を頂戴致し難有く存じ候。小弟の貧しき書庫が新しき光を放つべきも近き事と思ひ候へば此上なく嬉しく覚え候 予て御存知の旅行は愈々本夕六時半の列車にて出発の事と相成候 ロングフェローが歌の巻を懐にせる痩軀の一青年が青丹よし奈良の都に其かみの栄華を忍び、薬師寺の塔を仰いで、大なる「タイム」の力を思ひ 去つて東山のほとりに銀閣を望んで 室町将軍の豪奢を懐ひ、嵯峨野のあたりに蕭条たる黄矛を踏んで祇王祇女のむかしを床しむは近く来む七日間に御座候 小生は唯今 
学校の奉賀式に列する所に候 早々頓首 芥川龍之介 兄上 硯北

〇朔太郎・萩原栄次宛 明治44年 
昨年中の御無沙汰平にご海容被下度願上候 まへばしニテ 朔太郎
賀正 赤城山かのこまだらに雪ふれば 故郷びとも門松を立つ

〇朔太郎・白秋宛 大正4年 
新正 うららかに俥俥とゆきかへるけふしも年の初節なるらむ 
大正四年一月一日 萩原朔太郎

〇野上弥生子・小手川実宛 大正8年 
あけましてお目で度う。赤さんのお誕生もおめで度う。お日立もおよろしいのですか。二度目のことで今度は万事に経験があつて先ほど困ることもないとおもひます。長い手紙を一度かき度い〵〳とおもひながら何となしに心にゆとりがなくて今日まで延引、あしからず。皆様へ
よろしく。その内に何か赤さんへあげませう。兄さんからもよろしく申します。明子へまりを送つておきましたよ、

〇梶井基次郎・宇賀康宛 大正12年 
盲腸炎でねてゐることを矢野からきいた。困つたことだね。早く癒つて呉れ。Bone(-―)D(d) ryだつたから小喀血はやつてゐる。こちらは小康だ。今日は元旦だ、お芽出度を云つておく。どうか皆様によろしく御慶を申し上げておいて呉れ。元旦 梶井基次郎

〇柳宗悦・志賀直哉連名・圖師尚武宛 
其后どうです、待つてたけど、こないから、もう断念してる。勉強はお正月に逢つちや
―a+bなんか駄目だと思、其かはり、Cornetの練習は、成巧してると想像してる、今、
志賀、田村、木下の三兄と一緒、病院通ひはまだ續けてるんですか、學校の事は大丈夫にや、そろ〵〳近いので気がもめる 宗
謹賀新年 當地今日は、朝四十二度。(志)

〇堀辰雄・神西清宛 昭和5年 
お正月の旅行が駄目になりて残念なり 「文學」第五號に小説を書いてほしい 〆切十日嚴守(三月の豫定を急に繰上げたのだ)七草すぎまで僕は一歩も出られぬ

〇太宰治・尾崎一雄宛 昭和13年 
拝啓 昨年は、いろいろ御むりをお願ひいたし、さぞ、ごめいわく でございましたでせう どうやら 切り抜けました故 他事ながら御安心下さい、原稿なかなか むづかしく、どうやら三枚、本日別封にてお送りいたしました、あんなのでよかつたら、どうか御使用下さいまし、年賀状いただき、私喪中ゆゑ欠礼いたしました、あしからず御了承下さい、末筆ながら
山崎様にもよろしく 不一

 こういう物は、全集の書簡篇でしか読めない。以上のような年賀状なら誰でも貰えば嬉しいだろうし、「年賀状仕舞」が流行ることもないだろう。
 
 
ozakikazuo
◯尾崎一雄・十和田操宛 昭和26年(筆者家蔵)
 
 
※シリーズ古書の世界「破棄する前に」は随時掲載いたします。
 
 

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2025年2月25日 第413号

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☆INDEX☆
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1.ラピュタ阿佐ヶ谷で上映(3月9日~4月26日)
 「東映現代劇の名手 村山新治を再発見」
                            村山 恒夫

2.語りえぬものとしての「会社」(『会社と社会の読書会』)
                     若林恵(黒鳥社・編集者)

3.傑作、伊藤明彦著『未来からの遺言─ある被爆者体験の伝記』を復刊
                     西 浩孝(編集室 水平線)

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━━━━━━━━━━【自著を語る(番外編)】━━━━━━━━━━

ラピュタ阿佐ヶ谷で上映(3月9日~4月26日)
「東映現代劇の名手 村山新治を再発見」
                           村山 恒夫

3月9日(日)午後から、東京・阿佐ヶ谷駅近くにある名画座「ラピュタ
阿佐ヶ谷」で、ほぼ2ヶ月間の長期に渡る映画上映が始まる。映画監督・
村山新治(むらやま・しんじ1922〜2021)の名前をご存知だろうか?

今回の特集のタイトルは、「東映現代劇の名手 村山新治を再発見」。
B2判のポスターとB5判仕上がり・巻き3折り(6P)のパンフレットが
届いた。そのラピュタのパンフレットのキャッチにはこうある。

「警視庁物語」シリーズで東映現代劇に新生面を拓き、大映の増村保造、
日活の中平康らとともにニューウェーブの監督として注目された村山新治。
その後、犯罪アクション、純愛メロドラマ、名作リメイク、風俗もの、
任俠映画まで……あらゆるジャンルを手がけた〈職人監督〉に、今また
光をあてる7週間。
 
続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=19765
 
 
書名:『村山新治、上野発五時三五分―――私が関わった映画、その時代』
著者:村山 新治
編集:村山 正実
発行元:新宿書房
判型/ページ数:四六判/416頁/上製
価格:4,070円(税込) 
ISBN:978-4-88008-474-9
 
好評発売中!
http://www.shinjuku-shobo.co.jp/new5-15/html/mybooks/474_Murayama.html
 
 

━━━━━━━━━━【自著を語る(番外編)】━━━━━━━━━━

語りえぬものとしての「会社」(『会社と社会の読書会』)

                      若林恵(黒鳥社・編集者)

自分が編集をしておいて言うのもなんだが、この度刊行された『会社と
社会の読書会』という本は、だいぶ変な本だと思う。

 7回ほど実施した「会社の社会史」というトークイベントのシリーズを
書籍化したものだが、ろくに会社勤めをしたことのない私(5年強の出版社
勤務以後、ほとんどフリーランス)と民俗学者の畑中章宏さんが対話の中心に
いるため、実体的な会社体験に基づかず、ある意味観念的な「会社」について
しか語られていない。トークに参加した残りの半分は、コクヨという広く
知られた大企業のメンバーで、このふたりが何とか実社会における会社体験を
担保してくれているが、その体験をもって「日本の会社体験」を遺漏なく
語れているのかと言えば、もちろんそんなわけもない。
 
続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=19759
 
 
書名:『会社と社会の読書会』
著者:畑中章宏、若林恵、山下正太郎、工藤沙希
編集:コクヨ野外学習センター・WORKSIGHT
発行元:黒鳥社
判型/ページ数:A5判/224頁
価格:1,980円(税込) 

好評発売中!
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784910801018

 
━━━━━━━━━━【自著を語る(番外編)】━━━━━━━━━━

傑作、伊藤明彦著『未来からの遺言─ある被爆者体験の伝記』を復刊

                    西 浩孝(編集室 水平線)

 伊藤明彦(1936-2009)は元長崎放送記者。1960年入社、68年に
「被爆者の声」の記録・保存・放送を目的とするラジオ番組『被爆を
語る』を企画。初代担当者。

 「最後の被爆者が地上を去る日がいつかは来る。その日のために被爆者の
体験を本人自身の肉声で録音に収録して、後代へ伝承する必要があるのでは
ないか。被爆地放送関係者の歴史に対して負うた責務ではないか」という
使命感から会社に提案したものだった。

 しかし、自分で取り組めたのはわずか半年。労働組合活動が原因で担当を
外され、佐世保支局へ飛ばされた。これに納得のいかなかった伊藤は70年に
退社。単独での聞きとり録音作業を開始した。
 
続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=19769
 
 
書名:『未来からの遺言 ある被爆者体験の伝記』
著者:伊藤明彦
発行元:編集室 水平線
判型/ページ数:四六判並製カバー装/356頁/上製
価格:2,420円(税込) 
 
好評発売中!
https://suiheisen2017.jp/product/3763/
 
 

━━━━━━━━━【書影から探せる書籍リスト】━━━━━━━━━

「日本の古本屋」で販売している書籍を、テーマを深掘りして書影から
探せるページをリリースしました。「日本の古本屋」には他のWebサイト
には無い書籍がたくさんあります。ぜひ気になるテーマから書籍を探して
みてください。
 
「日本の古本屋」書影から探せる書籍リスト
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=13964

━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━━━

書名:出版流通が歩んだ道--近代出版流通誕生150年の軌跡
著者:能勢仁、八木壮一、樽見博
発行元:出版メディアパル
判型/ページ数:A5判/208頁
価格:2,640円(税込) 
ISBN:978-4-902251-45-6

好評発売中!
https://www.murapal.com/sangyodoko/227-2025-02-06-07-19-53.html

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書名:蔦屋重三郎
著者:鈴木俊幸
発行元:平凡社
判型/ページ数:新書/208頁
価格:1,100円(税込)
ISBN:9784582860672
Cコード:0223 

好評発売中!
https://www.heibonsha.co.jp/book/b651740.html

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書名:砂の器 映画の魔性
著者:樋口尚文
発行元:筑摩書房
判型/ページ数:/四六判/384頁
価格:2,750円(税込)
ISBN:978-4-480-87417-7
Cコード:0074

2025年3月6日発売予定!
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480874177/

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ラピュタ阿佐ヶ谷で上映(3月9日~4月26日)
「東映現代劇の名手 村山新治を再発見」

ラピュタ阿佐ヶ谷で上映(3月9日~4月26日)
「東映現代劇の名手 村山新治を再発見」

村山 恒夫

3月9日(日)午後から、東京・阿佐ヶ谷駅近くにある名画座「ラピュタ阿佐ヶ谷」で、ほぼ2ヶ月間の長期に渡る映画上映が始まる。映画監督・村山新治(むらやま・しんじ1922〜2021)の名前をご存知だろうか?今回の特集のタイトルは、「東映現代劇の名手 村山新治を再発見」。B2判のポスターとB5判仕上がり・巻き3折り(6P)のパンフレットが届いた。そのラピュタのパンフレットのキャッチにはこうある。

「警視庁物語」シリーズで東映現代劇に新生面を拓き、大映の増村保造、日活の中平康らとともにニューウェーブの監督として注目された村山新治。その後、犯罪アクション、純愛メロドラマ、名作リメイク、風俗もの、任俠映画まで……あらゆるジャンルを手がけた〈職人監督〉に、今また光をあてる7週間。

「東映現代劇の名手 村山新治を再発見」は、3月9日から4月26日までの連日、1日4本、
合計31本の村山新治作品が上映される、まさに「プログラム・ピクチャー」の職人、村山新治の大回顧上映会だ。

◯映画4兄弟の誕生

村山新治は私の叔父にあたる。父・村山英治(1912〜2001)の弟だ。長野市で小学校の教員をしていた父は、1933年(昭和8)2月4日に治安維持法違反の疑いで多数の教員ともに逮捕される。わずか21歳のときだ。これは世にいう「長野県教員赤化事件」であり、いまは「二・四事件(にし・じけん)」と呼ばれる。

村山英治は、一年間の拘留後、執行猶予付きの有罪判決を受けて釈放される。しかし村八分のような空気の故郷にいたたまれず、東京に出る。1937年、大村英之助が経営する芸術映画社(GES)の企画室に入り、初めて映画の世界に足を踏み入れた。それから東京にいる次兄の
英治を頼って、弟たちはつぎつぎと上京する。

四男の村山新治は兄にいたGESから東映へ。五男の村山祐治は次兄・村山英治が興した桜映画社から新生映画を創業、長男の治久が次ぐ。末弟の六男の村山和雄は兄の英治のツテで映画キャメラマンとして、東宝に入社。東宝争議後は東映へと歩き、最後は兄の英治の桜映画社に。ここに「映画・村山四兄弟」が誕生する。

映画の血脈はさらに続く。桜映画社では、私の長兄・村山正実は映画監督に、次兄の村山英世は桜映画社の社長から記録映画保存センターの代表、そして現在の桜映画社の社長は英世の
長男(村山英治の孫)の憲太郎が引き継いている。ではこの私、英治の三男、村山恒夫はどこにいったのか?大学を出た頃にはすでに、私が映画の世界に入る余地(座席)はなく、仕方なく出版の世界に向かう。平凡社の百科事典編集部をへて、父・村山英治が1970年に桜映画社の片隅に創業し、1980年当時は休眠状態であった「新宿書房」を、ひとり引き継ぐことになった。2023年末、新宿書房は閉業・解散したが、それまでの仕事を『新宿書房往来記』(港の人、2021年)としてまとめることができた。

◯邦画旧作のフィルム上映にこだわる名画座

今回の特集「東映現代劇の名手 村山新治を再発見」。何本かの映画はすでに多くの観客の間では知られているが、監督村山新治個人については、映画雑誌や文化雑誌の特集になったこともないし、いわんや村山新治研究書などというのもない。その意味では、今回の特集上映
「村山新治を再発見する」はめったにない大企画であり、たぶん今後二度と出ない企画だろう(おじさん、ゴメン)。

村山新治は劇場公開映画を45本(うち東映作品は44本)、教育映画を15本、合計60本の映画を監督している。今回のラピュタでの特集では、このうち劇場映画から27本、教育映画から
4本、合計31本の村山新治作品が、3月9日午後から4月26日までのなんと7週間、連日午後から夜までの4本のスケジュールで上映されるのだ。

この「村山新治を再発見」の上映は支配人の石井紫(いしい・ゆかり)さんのすさまじい熱意から生まれている。いやラピュタ阿佐ヶ谷の特集上映はすべて彼女ひとりで編成しているのだ。1950〜60年代の日本映画(邦画)の旧作、ことのほか東映現代劇映画の旧作の上映に
力を入れてきた石井さんは、この間ずっと村山新治作品を取り上げてきてくれた。以前、石井さんに、いままでのラピュタ阿佐ヶ谷での村山新治作品の上映記録をたずねたことがあった。石井さんからすぐさま返事が返ってきた。

それによると、2006年11月の『孤独の賭け』(主演:佐久間良子、1965)に始まり、2021年1月の『七つの弾丸』(主演:三國連太郎、1959)まで32回。さらに2021年12月の『警視庁者物語 一〇八号車』(主演:松本克平、1959)から2024年4月の『男度胸で勝負する』(主演:梅宮辰夫、1966)までの12回、じつに合計44回の上映があったという。石井さんがすごいのは、前期32回のうち6本、後期12回のうち3本の合計9本は、なんとニュープリントのフィルムで上映していることだ。「日本映画(邦画)旧作のフィルム上映」を掲げる
ラピュタ阿佐ヶ谷は、劣化したフィルムや上映できるフィルムがない映画は、ネガから
ニュープリントに焼く。その金額は、90分の映画1本で40万〜60万円もかかるという。
しかも、上映が終わったら、このニュープリントは所蔵元の配給会社に返さないといけない。

◯映画を東京で見る

今回上映される村山新治作品31本のうち、「警視庁物語」シリーズ24作のうち7本を監督している村山新治作品から『警視庁物語 顔のない女』(1959)が、そして『七つの弾丸』(1960)、『白い粉の恐怖』(1960)、『消えた密航船』(1960)、『故郷は緑なりき』(1961)など、わたしの大好きな作品にふたたび会えるのがほんとうに嬉しい。
村山新治ファンの映画評論家のなかに、川本三郎さんがいる。映画の「ロケ地探索」を趣味とする川本さんは、『警視庁物語 顔のない女』について、著書『映画の戦後』(七つ森書館、2015)の中で、「作品そのものとしても素晴らしいし、なによりも〈映画を東京で見る〉
人間として、こんな面白い映画はない。」と絶賛している。

◯村山新治が自ら語った映画人生「わが映画の谷は緑なりき」

今回の特集上映「東映現代劇の名手 村山新治を再発見」にあたって、新宿書房が2018年5月に刊行した『村山新治、上野発五時三五分―私が関わった映画、その時代』(著者:村山新治、編者:村山正実、写真:大木茂、デザイン:桜井雄一郎)のことをぜひ紹介したい。書名は村山新治監督デビュー作のタイトル『警視庁物語 上野発五時三五分』にちなんでいる。本書は今回の特集上映の、そして村山新治研究のガイドブックです。ラピュタの1階ロビーで販売しています。どうか手に取って、見てください。

村山新治が、劇場映画の監督から1967年頃からテレビドラマの演出に仕事の舞台を移し、70歳を迎え仕事もなくなってきた1991年から回想記を書き始め、1998年に監督デビューまでを「私の関わった映画、その時代」として書き上げる。この原稿を読んだ村山組の助監督をつとめた深作欣二(『七つの弾丸』などでチーフ)、澤井信一郎(『東京アンタッチャブル』でサード)が、雑誌『映画芸術』の荒井晴彦編集長を司会にして、著者村山新治に質問する形で座談会を行う。これを2000年から2001年にかけて『映画芸術』に4回連載し、単行本を企画した。しかし、どこの出版社からも声がかからず、10年の時が過ぎる。この間、2003年には深作欣二が亡くなっている。

2011年になり甥の映画監督の村山正実の発案で出版化が始まる。監督デビューからテレビまでをカバーする、毎月1回の10時間を超える著者インタビュー「自作を語る」が行われ、編集がはじまった。
しかし、あがってきた原稿を見て、今度は著者本人が「ホンの内容」が気に入らないと出版作業をストップ、ここで文字通り「お蔵入り」となる。5年後、村山新治を説き伏せ、なんとか編集が再開。2018年5月20日にようやく刊行することができた。本が誕生するまで実に20年の時間がたったのである。この時、村山新治は80歳。本書の前見返しの絵は、村山新治夫人の容子さん(新制作会員)の作品だ。

「編者の二十年に及ぶ執念の企画は詳細なフィルモグラフィーや周辺資料も充実し、単に戦後の映画資料を超え、ともすれば個人の記憶に埋没してしまう戦後日本人の精神の軌跡を鮮やかに描きだした。」(小野民樹評『東京新聞』2018年7月15日)
そして、本書は2018年キネマ旬報映画本大賞第2位を獲得する!

◯小林寛、かんちゃんのこと

最後に小さなsequel(続編)。村山新治の映画にたびたび出演した俳優、小林寛(こばやし・ひろし)のこと。村山新治は1957年8月、東映で監督デビューするまでの14年間で、実に49本の作品の助監督をつとめている。その中には、今井正の『ひめゆりの塔』(1953)や佐伯清の『大地の侍』(1956)などがあるが、その『大地の侍』に小林寛は出ている。今井正監督、橋本忍脚本の『真昼の暗黒』(1956)に出演し、力演した小林寛は大いに注目されていた。

当時、新協劇団の座員だった小林寛は、東映の村山作品には、村山のデビュー作『警視庁物語 上野発五時三五分』をふくめ、5本の映画に出演していて、今回ラピュタ上映の映画、『警視庁物語 顔のない女』『警視庁物語 12人の刑事』の2本に小林寛が出ている。
実はこの小林寛こと、「かんちゃん」は、私の義叔父(ぎしゅくふ)である。1980年頃に
義叔父となった小林寛は、すでに役者の仕事はまわってこなくなり、ずいぶん前から杉並の
高円寺近くで山小屋風の居酒屋「イワン」を営んでいた。ここのボルシチがうまかった。

あの若き日の「かんちゃん」にラピュタでまた会えるのがとても楽しみだ。

最後にふたたび川本三郎さんの言葉を借りよう。「10代の時、『故郷は緑なりき』に感動し、村山新治の名前を知った。そして「警視庁物語」シリーズ、鉄道映画『旅路』。東映の現代劇は村山新治なしには語れない。
(『村山新治、上野発五時三五分―私が関わった映画、その時代』の帯文から)

参考サイト:
ラピュタ阿佐ヶ谷:https://www.laputa-jp.com/laputa/main/
港の人:https://www.minatonohito.jp
 
 
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〇ラピュタ阿佐ヶ谷で上映
 (3月9日~4月26日)
 
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村山新治、上野発五時三五分―――私が関わった映画、その時代
著者:村山 新治
編集:村山 正実
発行:新宿書房
判型/四六判/416頁/上製
価格:4,070円(税込)
ISBN:978-4-88008-474-9
 
好評発売中!
http://www.shinjuku-shobo.co.jp/new5-15/html/mybooks/474_Murayama.html
 
 
前著についてはこちらから
 『周縁(マージナル)、路上(オン・ザ・ロード)から生まれた本たち』
 2022年2月25日 第341号【自著を語る(287)】より

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語りえぬものとしての「会社」(『会社と社会の読書会』)

語りえぬものとしての「会社」(『会社と社会の読書会』)

若林恵(黒鳥社・編集者)

自分が編集をしておいて言うのもなんだが、この度刊行された『会社と社会の読書会』という本は、だいぶ変な本だと思う。

 7回ほど実施した「会社の社会史」というトークイベントのシリーズを書籍化したものだが、ろくに会社勤めをしたことのない私(5年強の出版社勤務以後、ほとんどフリーランス)と民俗学者の畑中章宏さんが対話の中心にいるため、実体的な会社体験に基づかず、ある意味観念的な「会社」についてしか語られていない。トークに参加した残りの半分は、コクヨという広く知られた大企業のメンバーで、このふたりが何とか実社会における会社体験を担保してくれているが、その体験をもって「日本の会社体験」を遺漏なく語れているのかと言えば、
もちろんそんなわけもない。

 しかしながら、ふと足を止めて立ち止まると、そもそもの話、「日本の会社体験」などと
いうものを日本の会社員を代表して語ることができる人なんて一体どこにいるのだろうという
疑問も湧いてくる。もちろん、アカデミアの世界には、おそらく経済、社会、歴史、法、文化といった様々な切り口とスコープから「日本の会社体験」を研究している方々がたくさんいて、そうした方々による膨大な書籍群もあるので、自分たちのような門外漢がしゃしゃり出ることもないのは、確かにその通りだ。けれどもだからと言って、例え会社勤めをしていなかったとしても、これだけ自分たちの暮らしや人生に深く関与している「会社」というものについて、学者さん以外の方は「門外漢」でしかないと言ってしまうのも、何だか腑に落ちない。
むしろ会社勤めしている人はすべからく「会社の専門家」とみなしたっていいじゃないか、と思ったりもする。

 ここには学者、専門家、あるいは知識そのものの根幹に関わってくる、大きな矛盾というか困難が隠されている。「猫」の専門家は全員猫ではないだろうし、「子ども」の専門家は世界のどこに行ってもまず間違いなく大人だろう。というのは、いかにも幼稚なツッコミだが、
とはいえ、「子どもでない人が子どもの専門家である」ということが成立するために、予め
いくつかのことが合意されてなくてはならないはずだ。あらゆる物事は客観的に対象化することができる、とか、そうやって対象を客体化しうる中立的な視座がある、とか、そうすることで得られた知識というものは誰が扱っても客観的なものである、といった前提がなくては、
専門家というものは存在しえないはずだ。

 英国の詩人、作家、美術評論家のジョン・バージャーは、移民問題を扱った名著『第七の男』(弊社刊)で、移民という体験の「不自由」を語るには、客観的な記述だけでも、主観的な記述だけでもダメなのだと語っている。主観と客観は互いを入れ子のように含み込んでいるので、切り離すことができないのだとバージャーは言う。結果『第七の男』は多種多様な
モードの文章の断片が入り混じる奇妙にしてユニークな本となっている。

「会社という体験」は、バージャーが語った「移民の体験」に似たところがあるような気が
しなくもない。本書冒頭で語られるように「会社」という概念は、明治期の日本人にとって、まずもって理解不能な異様なコンセプトで、その意味で客観的に定位することが困難なものだった。それを自分なりに理解して主体化していく経緯そのものが日本の会社史だと言ってもいいほどで、本をつくり終えての結論は、「いまだ日本人は会社が何なのか、よくわからないままなんだな」ということだった。

 私たちが会社というものをどのように捉えて、それに対してどのように振る舞うかは、そのまま経営や社会的な制度へと反映され、それに合わせて私たちの会社をめぐる捉え方も、日々刻々と変化し続けている。会社は、絶えざる無限フィードバックループのなかで生き続ける、かたちのない生き物のようだ。そして、それは「家」というもののあり方、「国」というもののあり方に干渉しながら、それぞれの形をも少しずつ変えていく。

 社会の全方位にわたって影響を与え続ける、そんな鵺のような存在は、それが死にでもしない限り、客体化することができない。であればこそ、だらだらと話し、芋づる式に本を読み、また話す、という融通無碍な向き合い方は、あっているのかもしれない。客観的な知識を専門家が上位下達するようなやり方で本としてパッケージするのではなく、タコが餌に誘われて、瓶や籠のなかにぬるぬると入り込んでいくようなイメージで、この本はつくられた。

といって、本のなかに、会社の全体が入り込んだとは到底いえない。むしろ足先くらいは
捕えられたかも知れない、くらいの感触だ。なので、本書で紹介した240冊以上の本は、
鵺ともタコとも知れない異様な生き物の図体はまだまだこんなにデカいぞ、ということを
指し示すための、ある種のこけおどしと思ってもらって差し支えない。
「語りえぬものについては沈黙せねばならない」とは良く言ったものだが、語りえぬもので
あればこそ、語りたくなるというのもまた、会社というものの厄介なところだ。

 
 
会社と社会の読書会_書影
 
書名:『会社と社会の読書会』
著者:畑中章宏、若林恵、山下正太郎、工藤沙希
編集:コクヨ野外学習センター・WORKSIGHT
発行元:黒鳥社
判型/ページ数:A5判/224頁
価格:1,980円(税込) 
 
好評発売中!
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784910801018

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傑作、伊藤明彦著
『未来からの遺言─ある被爆者体験の伝記』を復刊

傑作、伊藤明彦著『未来からの遺言─ある被爆者体験の伝記』を復刊

西 浩孝(編集室 水平線・長崎市)

  昨年12月、真の傑作といえる伊藤明彦著『未来からの遺言─ある被爆者体験の伝記』(
青木書店、1980年/岩波現代文庫、2012年)を復刊した。

 伊藤明彦(1936-2009)は元長崎放送記者。1960年入社、68年に「被爆者の声」の記録・保存・放送を目的とするラジオ番組『被爆を語る』を企画。初代担当者。
 「最後の被爆者が地上を去る日がいつかは来る。その日のために被爆者の体験を本人自身の肉声で録音に収録して、後代へ伝承する必要があるのではないか。被爆地放送関係者の歴史に対して負うた責務ではないか」という使命感から会社に提案したものだった。
 しかし、自分で取り組めたのはわずか半年。労働組合活動が原因で担当を外され、佐世保支局へ飛ばされた。これに納得のいかなかった伊藤は70年に退社。単独での聞きとり録音作業を開始した。

 夜警や皿洗いなど早朝・深夜のパート労働に従事しながら、退職金で買った重さ13キロの
録音機をさげ、東京、広島、東京、福岡、長崎と転居をくりかえし、そこを足場に東北、
北陸、神奈川、備後、呉、筑豊・筑後地方、長崎県北、五島列島、沖縄本島、伊江島、宮古島などの被爆者を訪ね歩いた。
 すべて自費である。この間、夜具はなく、寝袋で寝て、座布団を二つに折って枕がわりに
するような生活を送った。自分より貧乏な被爆者に会ったことがなかった。
 79年までの8年間で全国21都府県の被爆者およそ2000人を訪問。これは平均すると3日に
2人というペースで、凄まじいと言うしかない。

 だが、半数には断られた。広島での例。
 「うちが被爆者じゃいうこたあ、どこから聞いて来んさったんですか。もう来んでください。娘の縁談の最中じゃあ言うのに。この話が壊れてしもうたら、あんたが責任をとってくれんさるんですか」
 「人いうんは、不幸じゃった過去を忘れて生きるいう権利があると思うとるんよ。ほいじゃがあんたは、その権利いうんを踏みにじるみたいなことをしとりんさるんよ」
 「責任団体がはっきりしとらんのう。あんた、なんのこたあなあ、トロツキストなんじゃあなあのかいや」
 「うるさい! いまものすごく忙しいんじゃ。わりゃあ、ぐちゃぐちゃぬかさずいにゃあええんじゃ。はよういねえ! いないんかい! しごうしたったろうかいや!」

 何日も何日も、録音をお願いにいった被爆者からきびしい拒絶にあうことが続くときは、
つぎの被爆者を訪ねていく勇気がなかなかわかず、昼間からふとんをかぶって、当の被爆者からさえ支持されないことに心身をけずっている自らの愚かさを哀れんだ。ときには鬱症状に
おちいった。しかし、それでも伊藤は作業をやめることなく、最終的に約1000人の声を収録した。

 さて、このあと伊藤が真っ先に取りかかったのが、今回復刊した『未来からの遺言』の執筆であった。録音した被爆者1000人のうちで、もっとも印象に残った人物、そのたった一人について書いたノンフィクションである。
 序文から興味をそそる。引用する。
 「この物語の主人公と、周辺の人々の本名をあかすことはできません。その理由は、この
文章を最後まで読んでくだされば、お判りいただけると思います。いまから九年前収録され、ある場所に眠っている三巻の録音テープ。このテープのなりたちをめぐる事実を、自分の記憶が正確なうちに書きとめておくために。そしてもしできることなら、この文章を読んでくださるあなたにも、この録音テープをめぐるふしぎを、私といっしょに考えていただくために」

 長崎で被爆した吉野啓二さん(仮名)は、原子爆弾と人間との関係を一身に具備したような存在だった。一家全滅。寝たきり生活。白血病による姉の死。医療認定。独り暮らし。生活保護。被爆者組織と原水禁運動への参加。「生きがいは社会を変革することだ」。
 なまなましい感情のこもった、情景(シーン)に満ちた話に、伊藤は深い感銘を受ける。
しかしその一方で、つぎのような感想もいだいた。
 「この話はほんとうだろうか」
 「あまりにもできすぎているのではないだろうか」
 傍証がほしい。伊藤は吉野さんの身の上について調べはじめる──。

 ここから先の展開を書くことはできない。読んでもらうしかない。しかし最初に記したように、「傑作」であることを保証する。
 被爆者とは誰なのか。被爆体験とは何なのか。原子爆弾と人間との関係の本質とはどのようなものなのか。
 このような大きな主題を、極上のミステリー小説のように読ませ、描ききる。その驚くべき深さ、豊かさ、おもしろさに、私のこころは震えた。

 たまたま古本屋で手に取った本であった。調べてみたら、絶版状態であった。
 なぜこれほどの本が埋もれているのか。なぜこれほどの人物が知られていないのか。
 2016年9月、私は家族の事情で東京の出版社を辞め、長崎に移った。縁もゆかりもない土地だった。当時はこれからどうするという見通しもなかった。だが、この本に出会うために、
この人物に出会うために、長崎に来たのかもしれない。そう思った。いまやそれは確信になった。

 私は彼が残したすべての著作を〈復活〉させるべく、シリーズ「伊藤明彦の仕事」の刊行を決意した。全6巻。10年かけて完結させるつもりだ。
 本書はその第1巻である。ぜひお読みいただきたい。
 
 
ito hideaki-1(オビアリ)
 
書名:『未来からの遺言 ある被爆者体験の伝記』
著者:伊藤明彦
発行元:編集室 水平線
判型/ページ数:四六判並製カバー装/356頁/上製
価格:2,420円(税込) 
 
好評発売中!
https://suiheisen2017.jp/product/3763/

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2025年2月10日 第412号

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 。*..*.:☆.:*・日本の古本屋メールマガジン・*:.☆.:*..*。
          古書市&古本まつり 第146号
      。.☆.:* 通巻412・2月10日号 *:.☆. 。
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メールマガジンは、毎月2回(10日号と25日号)配信しています。

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━━━━━━━━━━━━【本とエハガキ】━━━━━━━━━━

本とエハガキ(2)古本屋のエハガキ
                            小林昌樹

■写真エハガキは記念写真の代わり
 戦前の写真エハガキは、戦後の「名所絵葉書」ぐらいにしか思われて
いないが、全く違う。戦後各種のメディアの代わりを務めていたである。

具体的には、Flashのような写真週刊誌であったり、ブロマイド(今は
チェキっていうか)であったりしたのだが、組織や団体の周年記念や、
重要な建築物の竣工(完成)記念、周年記念などでもほぼ必ず発行されて
いたものである。記念アルバムや、記念写真の代わりと言ってもよいだろう。
実際、朝鮮の都市対抗野球を写した写真エハガキなども見たことがある。

 
続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=19372
 
 
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━━━━━━━━━━【シリーズ書庫拝見33】━━━━━━━━━━

秩父宮記念スポーツ博物館・図書館
雑誌とエフェメラにみるスポーツ資料の豊かさ
                          南陀楼綾繁

 昨年の12月24日。クリスマスイブのJR京葉線の車内で、私は憂鬱だった。
 東京駅で京葉線に乗り換えるためには、体感で1駅分ぐらい歩かなければ
ならない。やっと電車に乗ると、車内にはディズニーランドに向かう浮かれた
カップルや家族連れでいっぱいだ。

 しかも、これから向かうのがスポーツの専門図書館というのだから、自分で
決めたこととはいえ、さらに憂いが増す。
 幼稚園で縄跳びに挫折し、小学校では鉄棒や跳び箱でつまずいて以来、私は
あらゆるスポーツを避けて生きてきた。部活動は吹奏楽部で、運動会では地蔵に
なるか、裏山にエスケープした。おかげで健康的とはほど遠い身体になったが、
全然後悔していない。
 そんな私がスポーツの資料を集めた図書館で、なにか見つけることが
できるだろうか?
 

続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=19440
 
 
南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ)

1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一
文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、
図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年
から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」
の代表。「一箱本送り隊」呼びかけ人として、「石巻まちの本棚」
の運営にも携わる。著書に『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、
『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』
(ちくま文庫)、『古本マニア採集帖』(皓星社)、
編著『中央線小説傑作選』(中公文庫)などがある。
 
 
X(旧Twitter)
https://twitter.com/kawasusu
 
 
━━━━━━━━━【書影から探せる書籍リスト】━━━━━━━━━

「日本の古本屋」で販売している書籍を、テーマを深掘りして書影から
探せるページをリリースしました。「日本の古本屋」には他のWebサイト
には無い書籍がたくさんあります。ぜひ気になるテーマから書籍を探して
みてください。
 
「日本の古本屋」書影から探せる書籍リスト
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=13964
 
 
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━━━━━【2月10日~3月15日までの全国即売展情報】━━━━━

https://www.kosho.or.jp/event/list.php?mode=init

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港北古書フェア

期間:2025/02/01~2025/02/15
場所:有隣堂センター南駅店店頭(ワゴン販売) 
   横浜市営地下鉄 センター南駅より徒歩1分
URL:https://kosho.saloon.jp/spot_sale/index.htm

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イービーンズ 古本まつり

期間:2025/01/10~2025/02/16
場所:イービーンズ 9F杜のイベントホール
URL:https://www.e-beans.jp/event/event-14922/

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フジサワ古書フェア

期間:2025/01/16~2025/02/12
場所:有隣堂藤沢店4階ミニ催事場 JR藤沢駅南口・フジサワ名店ビル4階
URL:https://kosho.saloon.jp/spot_sale/index.htm

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第8回ジュンク堂新春古書展

期間:2025/01/11~2025/02/11
場所:ジュンク堂書店那覇店1F  レジカウンター横
沖縄県那覇市牧志1-19-29

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ハンズ渋谷・古本市

期間:2025/01/24~2025/02/16
場所:ハンズ渋谷店B2Cフロア・イベントスペース
URL:https://kosho.saloon.jp/spot_sale/index.htm

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港北古書フェア

期間:2025/02/01~2025/02/15
場所:有隣堂センター南駅店店頭(ワゴン販売) 横浜市営地下鉄 センター南駅より徒歩1分
URL:https://kosho.saloon.jp/spot_sale/index.htm

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フィールズ南柏 古本市

期間:2025/02/07~2025/02/27
場所:フィールズ南柏 モール2 2階催事場  
 柏市南柏中央6-7(JR南柏駅東口すぐ)

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河原町地下古本市

期間:2025/02/07~2025/03/04
場所:丸善京都本店 地下2階 MARUZENギャラリー 
 京都市中京区河原町通三条下ル山崎町251 京都BAL

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第10回 調布の古本市

期間:2025/02/13~2025/03/02
場所:調布PARCO 1F イベントスペース

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第11回 古書会館de古本まつり

期間:2025/02/14~2025/02/16
場所:京都古書会館 京都市中京区高倉夷川上ル 福屋町723
URL:https://kyoto-kosho.jp/archives/news/1616/

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浦和宿古本いち

期間:2025/02/20~2025/02/23
場所:さくら草通り(JR浦和駅西口 徒歩5分 マツモトキヨシ前)
URL:https://twitter.com/urawajuku

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書窓展(マド展)

期間:2025/02/21~2025/02/22
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 
URL:https://www.kosho.ne.jp/?p=571

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BOOK DAY とやま駅

期間:2025/02/22
場所:富山駅南北自由通路(あいの風とやま鉄道中央口改札前)
URL:https://bookdaytoyama.net/

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好書会

期間:2025/02/22~2025/02/23
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9
URL:https://www.kosho.ne.jp/?p=620

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球陽堂書房メインプレイス店 春の古書フェア

期間:2025/02/27~2025/03/31
場所:球陽堂書房メインプレイス店 (サンエー那覇メインプレイス2F)

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第153回 倉庫会 古書即売会

期間:2025/02/28~2025/03/02
場所:名古屋古書会館 2階 名古屋市中区千代田5-1-12 
URL:https://hon-ya.net/archives/4918

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ぐろりや会

期間:2025/02/28~2025/03/01
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22 
URL:https://www.gloriakai.jp/

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第8回 Vintage Book Lab(ヴィンテージ・ブック・ラボ)

期間:2025/03/01~2025/03/02
場所:西部古書会館 杉並区高円寺北2-19-9
URL:https://www.vintagebooklab.com/

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反町古書会館展

期間:2025/03/01~2025/03/02
場所:神奈川古書会館・1階特設会場
横浜市神奈川区反町2-16-1
URL:https://kosho.saloon.jp/spot_sale/index.htm

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岐阜駅 本の市 2025

期間:2025/03/01~2025/03/02
場所:JR岐阜駅直結 アクティブG 2階 ふれあい広場、3階吹き抜け周辺
URL:https://x.com/gifu_honnoichi

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第113回 彩の国所沢古本まつり

期間:2025/03/05~2025/03/11
場所:くすのきホール
  西武線所沢駅東口前 西武第二ビル8階 総合大会場
URL:https://tokorozawahuruhon.com/

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東京愛書会

期間:2025/03/07~2025/03/08
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
URL:http://aisyokai.blog.fc2.com/

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高円寺均一まつり

期間:2025/03/08~2025/03/09
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9

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BOOK & A(ブック&エー)

期間:2025/03/13~2025/03/16
場所:西部古書会館  杉並区高円寺北2-19-9
URL:https://www.kosho.ne.jp/?p=843

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紙魚之會

期間:2025/03/14~2025/03/15
場所:東京古書会館 千代田区神田小川町3-22
URL:https://www.kosho.ne.jp/?p=604

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日本の古本屋メールマガジンその412 2025.2.10

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 東京都古書籍商業協同組合:広報部・「日本の古本屋」事業部
 東京都千代田区神田小川町3-22 東京古書会館
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【発行者】
 広報部・編集長:藤原栄志郎

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秩父宮記念スポーツ博物館・図書館
雑誌とエフェメラにみるスポーツ資料の豊かさ
【書庫拝見33】

秩父宮記念スポーツ博物館・図書館
雑誌とエフェメラにみるスポーツ資料の豊かさ【書庫拝見33】

南陀楼綾繁

 昨年の12月24日。クリスマスイブのJR京葉線の車内で、私は憂鬱だった。
 東京駅で京葉線に乗り換えるためには、体感で1駅分ぐらい歩かなければならない。やっと電車に乗ると、車内にはディズニーランドに向かう浮かれたカップルや家族連れでいっぱいだ。

 しかも、これから向かうのがスポーツの専門図書館というのだから、自分で決めたこととはいえ、さらに憂いが増す。
 幼稚園で縄跳びに挫折し、小学校では鉄棒や跳び箱でつまずいて以来、私はあらゆるスポーツを避けて生きてきた。部活動は吹奏楽部で、運動会では地蔵になるか、裏山にエスケープした。おかげで健康的とはほど遠い身体になったが、全然後悔していない。
 そんな私がスポーツの資料を集めた図書館で、なにか見つけることができるだろうか?

 二俣新町駅で降りると、そこは千葉県市川市だった。周囲には工場や倉庫が立ち並んでいる。トラックが行き交う道を少し歩くと、船橋市に入る。
 やっとたどり着いた住所には、大きな倉庫があった。とてもこの中に図書館があるとは思えない。

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★秩父宮記念スポーツ博物館・図書館の外観

 5階に上がると、たしかに〈秩父宮記念スポーツ博物館・図書館〉という表示がある。
中に入ると事務室があった。ここも図書館というよりは、会社っぽい雰囲気だ。
 いろいろ疑問はあるが、司書の寺本沙織さんに案内されて、書庫に入る。

「スポーツの宮様」の名を冠して

 中に入ると、奥に広い。書庫というよりは、倉庫のイメージだ。

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★書庫の内部

 ここで出迎えてくれたのは、新名佐知子さんと羽戸稔明さん。新名さんは2012年から勤務し、博物館と図書館の係長を務める。司書の羽戸さんは最近入ったばかりだそう。
 もうひとり、アシス堂の巻田徹さんは、フリーランスとして図書館に関する業務をサポートする。本に関するトークイベントを開催する「西荻ブックマーク」のスタッフとして、以前にお会いしている。

 スポーツにうとい私に、寺本さんを加えた4人は丁寧にこの館の歴史を教えてくれた。
 秩父宮記念スポーツ博物館・図書館は、1959年に開館した日本初のスポーツ専門の博物館・図書館だ。
 現在は、独立行政法人 日本スポーツ振興センター(JSC)が運営している。
 同種の館としては、1954年に蔵前国技館内に設立した〈相撲博物館〉、1959年に後楽園球場の隣接地で開館した〈野球殿堂博物館〉があるが、スポーツ全体を総合的に扱う館はここだけなのだ。

「秩父宮記念」と冠されているのは、秩父宮雍仁(やすひと)親王にちなむ。
 秩父宮は1902年(明治35)生まれ。スキー、ボート、登山、ラグビーなど、さまざまな
スポーツを愛好する。
「私はスポーツを心から愛する。自分でスポーツをすることも楽しみであり、またスポーツを見ることも好きである。成年に達した後、戦争までの二十年の間に、ずいぶん各種のスポーツを試みた。一、二回したものを加えれば二十種くらいのものに手を出した。またいろいろの競技を見、あるいは関係もした」(「私とスポーツ」、『皇族に生まれて 秩父宮随筆集』渡辺出版)

 1923年(大正12)、大阪市立運動場で開催された第6回「極東選手権競技大会」で総裁となる。この頃から「スポーツの宮様」と呼ばれるようになる。
 その後も、複数の体育大会や日本ラグビー協会、日本陸上競技連盟の総裁に就任。1953年に死去したのち、秩父宮ラグビー場などに名前を残した。
 博物館もまた、秩父宮のスポーツ界の功績を記念するために開設されたものだった。

 開館時に発行された冊子『秩父宮記念スポーツ博物館』では、「殿下ご自身、スポーツマンとして、ご使用になった数々のご遺品をはじめ、わが国スポーツの発達史を一目でわかるように、記念資料を収集して展示する一方、スポーツ、体育に関する文献を蔵書して、広く閲覧に供することとし、国民のスポーツ文化に対する理解と普及に役立てることとしたのであります」と記している。

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★『秩父宮記念スポーツ博物館』

さまよえる図書館

 博物館と図書館が開館した場所は、1958年に竣工した旧国立競技場のなかだった。
 博物館は北側(千駄ヶ谷側)の1、2階で300坪、図書館は西側(代々木側)の2階で150坪だった。これは『月刊国立競技場』第2号(1959年1月)の森田重利「秩父宮記念スポーツ博物館の由来」に書かれていることだ。同誌には国立競技場に関するさまざまな記事が掲載されており、非常に役に立つ。

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★『月刊国立競技場』

 蔵書の内容については後でみる。
 開館して3年後、「現場の事を話合う 国立競技場の各ポストから」という座談会(
『月刊国立競技場』第35号、1962年1月)では、図書館担当の木坂登茂子が次のように述べている。
「体育関係の蔵書については、まだ日本一だというには程遠い収蔵数です。(略)知られていないためにまだ十分に活用されていません」
 それでも最近は、研究目的の来館者が増えたという。

 博物館と図書館は、1964年の東京オリンピック開催の前後3年間休館。その後、改修や移設が行なわれた。
 旧国立競技場は建て替えのため、2014年5月に閉鎖された。博物館と図書館は、一時休館して、足立区綾瀬に倉庫を借りて移転する。
「ここでは収蔵品や蔵書の点検を行ないました。それまでOPACに登録していなかったものを、順次登録していきました」と新名さん。

 本来であれば、2019年に開設した新国立競技場のなかで再開するところだが、競技に特化したスタジアムにするという方針によって、ここには入れなかった。国立競技場には〈秩父宮記念ギャラリー〉が開設され、常設展示や企画展示を開催する。
 宙に浮いたかたちになった博物館と図書館は、2022年に現在の場所に移転する。
 博物館は長期休館中だが、図書館は毎週木曜日に開館する(予約制)。

 今後は、新たに建て替えられる秩父宮ラグビー場のなかで再開する予定だが、その工事が
遅れており、まだ数年はかかる模様だという。
 門外漢の私にも、文化施設である博物館と図書館が国のスポーツ政策に翻弄されている様子が感じられる。現場の人たちは歯がゆい思いをしているだろう。

幅広いスポーツ雑誌

 図書館の蔵書は約17万冊。そのうち12万5000冊が雑誌、4万5000冊が図書とそれ以外の
資料だ。
 開館時の蔵書目録は、「田尾栄一氏蔵書関係」「財団法人 日本体育協会関係」「スポーツ博物館関係」に分類されている。

 田尾栄一は昭和初期、大阪で旅館を営みながら、「関西ラグビー倶楽部」の世話人を務めた。スポーツ関係の図書・文献・ポスター等の収集を行ない、そのコレクションの一部は兵庫県の芦屋市立図書館に〈田尾スポーツ文庫〉として収蔵されている。田尾は秩父宮スポーツ
図書館の開設実行委員でもあり、約400冊を寄贈している(及川佑介「スポーツ資料収集家・田尾栄一の資料について」、『国士舘大学体育研究所報』第31号、2012)。
 まず、雑誌の棚を見てみよう。およそ2000誌が所蔵されている。ほとんどは合本されず、
1号ごとに並べられている。

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★雑誌の棚  

 その中から古そうな雑誌を抜き出してみる。
「運動全般雑誌」をうたう『スポーツマン』、陸上選手の人見絹枝を追悼する
『体育時報』など。

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★『スポーツマン』       ★『体育時報』

 山岳会が発行する『山岳』の創刊号には、「財団法人 日本体育会蔵書印」が
押されている。

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★『山岳』           ★『山岳』蔵書印

 雑誌の一部には、「秩父宮記念スポーツ図書館」のエンボス印が押されているものもある。
 また、図書には、かなり凝った絵柄の蔵書票が貼られているものもある。さまざまな経緯を経て、ここに集まってきたことが判る。

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★蔵書票

 雑誌には、野球、陸上、体操などのほか、ボートレースや釣り、武道などの専門誌があり、スポーツの範囲が意外に広いと感じる。『月刊秘伝』は武術、格闘技の雑誌で、現在も発行
されているようだ。こんな雑誌があったとは。

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★『月刊秘伝』

 詩人の尾崎喜八や随筆家の串田孫一が創刊した山の文芸誌『アルプ』は、とてもいい状態のバックナンバーが揃っている。古本屋で見つけると、つい買ってしまう雑誌だ。

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★『アルプ』

「当館の雑誌で閲覧希望が一番多いのは、『アサヒ・スポーツ』で、かなり多くの号を
所蔵しています。他に同誌を所蔵している館は少ないです」と、寺本さんは話す。1923年(大正12)に朝日新聞社が創刊。戦後は1956年まで続いた。
 寺本さんが見せてくれた1934年(昭和9)3月1日号は、「日濠ラグビー試合」の特集で、表紙にはオーストラリアのチームと握手する秩父宮の写真が使われている。

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★『アサヒ・スポーツ』日濠ラグビー試合特集

 また、太平洋戦争中の1943年(昭和18)3月第2号は、「決戦下女子体力増強の要請」などの記事があり、表紙の写真は、女子青年団が薙刀を修練する様子だ。スポーツが軍事力に置き換えられている。

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★太平洋戦争中の『アサヒ・スポーツ』

 同誌については、立命館大学アート・リサーチセンターと連携して、所蔵する全号の
デジタル化が進められているそうだ。
「一九三〇年代までには『アサヒスポーツ』とともにスポーツ雑誌の代表的な存在となっていた」のが、博文館の『野球界』だ(佐藤彰宣『スポーツ雑誌のメディア史 ベースボール・
マガジン社と大衆教養主義』勉誠出版)。
 同館に所蔵されている『野球界』には、日本職業野球連盟(プロ野球)公式戦の優待券が
挟み込まれている。
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★『野球界』          ★野球試合の優待券

 なお、『野球界』の編集長だった池田恒雄が、博文館を辞めて、1945年に創刊したのが『ベースボール・マガジン』で、同誌を中心としてベースボール・マガジン社は、さまざまなスポーツ雑誌を発行していく。

独自の分類とエフェメラ

 同館では、開館当時から、独自の分類表が使われている。
 巻田さんが見せてくれたのは、以前の館内に掲げられていた「分類主綱表」だ。
「ここでは『元祖様』と呼んでいるんです」

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★分類表の「元祖様」

 この元祖様には、「A スポーツ全般・総合」「B 国際競技」「C 国内競技大会」と
ある。Bにはオリンピックの歴史や各大会の報告書が含まれる。
1936年(昭和11)に開催されたベルリン・オリンピックは、ナチス政権下で行なわれた。
その報告書には、ハーケンクロイツがデザインされている。レニ・リーフェンシュタールは、この大会を記録したドキュメンタリー映画『民族の祭典』『美の祭典』を撮っている。

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★ベルリン・オリンピック(1936年)報告書

 国内では、1964年の東京オリンピックの関連資料や、国立競技場を会場に行なわれた各種競技の資料が多く集められている。
 また、雑誌、書籍だけでなく、チラシ、パンフレットなどの紙資料も多い。その数は7100点にのぼる。
 同館ではこれらを「エフェメラ」と分類しているが、この呼び方は主に美術の世界で使われるものだ。「前任者が美術館出身だったからかもしれませんね」と、寺本さんは話す。

 同館では1964年の東京オリンピック終了後に、廃棄処分にされそうだった紙資料を当時の司書が救出したことから、エフェメラの収集に熱心だという証言もある(『ブレインテック・ライブラリー・リポート』第8号、2023年10月)。
 これらのエフェメラは、1点ずつ袋に入れて、棚に収められている。

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★エフェメラの棚

 そのなかには、1972年に開催された札幌オリンピックのパンフレットがある。

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★札幌オリンピック(1972年)のパンフレット
 
 
 古いものでは、江戸時代に発行された『相撲名所圖繪』(立川焉馬作、歌川豊國画)も
ある。当時の相撲取りの名鑑だ。

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★相撲名所圖繪(立川焉馬作、歌川豊國画)

 現在、「スポーツ エフェメラ コレクション」として、1点ごとに表紙とともに発行者や
内容などのデータをOPACに登録する作業を進めている。
「検索して見つけたからと、来館する研究者が増えています」と、寺本さんは嬉しそうだ。

 また、スポーツ新聞は原紙を保存している。

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★スポーツ新聞の棚

「貴重書」に分類されているもので、私の目を引いたのは、博文館の「内外遊戯全書」シリーズだ。表紙の美しさに息をのむ。
『端艇競漕(ボートレース)』『新游泳術』『ベースボール及クリケット』『玉突術』『陸上競走』などの競技について、専門家が書いた解説書。この並びに『昆虫採集』『福びき集』が入っているのが面白い。

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★内外遊戯全書

貴重なスクラップブックを発見

 ひととおり案内していただいたあと、『月刊国立競技場』のバックナンバーをめくっていたら、「図書館蔵書紹介」という欄があるのに気がついた。
 日本大学教授でスポーツ史研究者の木下秀明が、同館の貴重書を紹介している。
 第224号(1977年10月)の同欄は、「スクラップ・ブック」と題されている。
「先日、共同通信の石川輝氏を介して、当図書館に、故渡辺勇次郎氏のスクラップ・ブック
三冊と、『日本陰乃拳闘史』と題した『創始者渡辺勇次郎』の署名入り原稿とが寄贈された」とある。

 日本ボクシング界の生みの親で、1921年(大正10)に「日本拳闘倶楽部」を創設した渡辺勇次郎が作成したスクラップブックが、ここに所蔵されているというのだ。
 そういえば、スクラップブックが並んでいる棚があったなと、探しに行ってみたが、スポーツ記者が試合のメモを取ったノートなどはあるが、古いものは見つからなかった。

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★スクラップブックの棚
 
 
 諦めて帰ろうかとしたときに、「ありました!」と寺本さんが持ってきたのが、まさにそのスクラップブックだった。棚のいちばん奥で見つかったという。
 一冊は「日本拳闘倶楽部1921」と表紙に書かれているもので、海外や日本の新聞記事がびっしりと貼り込まれている。
 
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★渡辺勇次郎の貼込帖 「日本拳闘倶楽部1921」
 
 
 もう一冊は「Japan Boxing Club 1921-27―」と書かれているもので、こちらには試合のチケットや選手のブロマイド、ボクシングが描かれた切手などが貼られている。一冊目に比べると、色刷りの紙モノが多い。
 
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★渡辺勇次郎の貼込帖 「Japan Boxing Club 1921-27―」
 
 
 木下氏の記事は「三冊」とあるが、この日は二冊しか見つからなかった。それでも、貴重な資料であることには変わりない。寺本さんは「早速整備します!」と喜んでいた。

 渡辺勇次郎については、木本玲一『拳の近代  明治・大正・昭和のボクシング』(現代
書館)に詳しい。
 渡辺は1889年(明治22)、栃木県に生まれ、1906年(明治39)に外国語を勉強する目的でサンフランシスコに渡った。そこでボクシングのジムに入り、ライト級のアマチュア選手として戦う。
 帰国した渡辺は目黒に「日本拳闘倶楽部」を設立した。その練習生には、国際試合でも
戦ったピストン堀口らがいる。

 渡辺は多くの雑誌にボクシングについてエッセイを書き、世の中に広めた功績者だった。
その一方で、渡辺による「封建的師弟関係にもとづくジムの有り様も日本のボクシング界特有のローカルな文化として定着」したのだと、木本は評価する。

 なお、乗松優『ボクシングと大東亜 東洋選手権と戦後アジア外交』(忘羊社)には、渡辺の遺稿「廿五年の回顧」が掲載されているが、この文章は「渡辺自筆の『日本陰乃拳闘史』に加筆修正を加えて、彼が逝去する数年前に出版されたものと考えられる」という。同書には、渡辺のスクラップブックから引用したと思われる図版も掲載されている。
 このスクラップブックの存在はかつては知られていたが、同館の移転などの過程で、忘れられてしまったのかもしれない。
 ともあれ、貴重な資料に再び光が当たったことを喜びたい。
 なお後日、寺本さんから「もう一冊のスクラップブックも見つかりました」と連絡が
あった。これで渡辺勇次郎のスクラップブックが全部揃ったことになる。

 取材を終えて、もういちど二俣新町駅まで歩く。スポーツ嫌いは相変わらずだが、スポーツの資料の面白さはよく判った。
 あと数年は、この場所で、資料の整理と登録作業が続く。数年後、秩父宮ラグビー場に新しい博物館と図書館が開館する頃には、必要な資料がもっと探しやすく、使いやすくなっているはずだ。

秩父宮記念スポーツ博物館・図書館
〒273-0017 千葉県船橋市西浦2丁目5-3 JBS物流センタービル
(株)ロジ・レックス ジェイビーエス事業部 船橋第一倉庫5階
ウェブサイト
https://www.jpnsport.go.jp/muse/library/tabid/146/Default.aspx
OPAC
https://sports-library.opac.jp/opac/Top
 
 
南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ)

1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」の代表。「一箱本送り隊」呼びかけ人として、「石巻まちの本棚」の運営にも携わる。著書に『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』(ちくま文庫)、『古本マニア採集帖』(皓星社)、編著『中央線小説傑作選』(中公文庫)などがある。

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https://twitter.com/kawasusu
 
 

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本とエハガキ② 古本屋のエハガキ

本とエハガキ② 古本屋のエハガキ

小林昌樹

写真エハガキは記念写真の代わり

 戦前の写真エハガキは、戦後の「名所絵葉書」ぐらいにしか思われていないが、全く違う。戦後各種のメディアの代わりを務めていたである。具体的には、Flashのような写真週刊誌であったり、ブロマイド(今はチェキっていうか)であったりしたのだが、組織や団体の周年記念や、重要な建築物の竣工(完成)記念、周年記念などでもほぼ必ず発行されていたものである。記念アルバムや、記念写真の代わりと言ってもよいだろう。実際、朝鮮の都市対抗野球を写した写真エハガキなども見たことがある。

 【図2-1】は1907(明治40)年の博文館創業二十周年記念会で配られたエハガキらしい。博文館は明治20年代、日本に本格的な「雑誌の時代」を開いた戦前随一の出版社であった。

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 【図2-1】「博文館創業二十周季紀念」(1907)のエハガキ

このエハガキは1枚単体ではなく、もう1枚セットがあったようだ。【図2-2】がそれで、表面(宛名を書く面)がまったく同じデザインであることからわかる。写っている大橋図書館は
戦前、東京で日比谷図書館以上に重要だった私立の公共図書館で、博文館創業者、大橋佐平が発起人だったことは現在あまり知られていない(現在、一部の蔵書が三康図書館に継承されている)。

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 【図2-2】「大橋図書館閲覧室」など(1907)
 

巌松堂書店のエハガキ

 現在、大手の古書店というと、神保町の一誠堂が有名だが、実は一誠堂のライバルに巌松堂があったことは、これはもうあまり知られていないことだろう。一誠堂が昭和前記に古典籍へ重点を移していったのに対し、巌松堂は学術雑誌や資料物の大手古書店として有名だったが、書店としての巌松堂書店はもうない。

 【図2-3】は「新築竣工せる『巌松堂書店』(昭和4年11月)」と題された袋(たとう)に入れられた写真エハガキの一枚。セピア色なのは、コロタイプ印刷ではなく、銀塩写真そのものの焼き増しだからだ。

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 【図2-3a】「巌松堂書店本館前景」(1929)

 焼き増し写真のエハガキは、コロタイプ印刷のものと同様、ある程度の拡大に耐えられる。【図2-3b】立ち読み風景は店頭写真の部分拡大だが、五名ほどの人々が立ち読みをしていることがよくわかる。昭和戦前期の書店内を写した写真はそう多くないので、資料的価値が
高い。
 このエハガキは一連の組写真になっている。詳しくは拙稿「写真絵葉書には古書店もあり : 図書館絵葉書を集めて(3)」(『日本古書通信』89(1) 2024年1月)を参照されたい。

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 【図2-3b】立ち読み風景「巌松堂書店本館前景」より部分(1929)
 
 
【図2-4a】は翌年1930年に出された時候の挨拶、暑中見舞いエハガキだが、こちらは写真が網阪で、青色で印刷され雰囲気を出しているが、拡大すると画像の読み取りができなくなることがわかる。【図2-3b】と見比べてみてほしい。

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 【図2-4a】巌松堂書店の暑中見舞い(1930)
 
 
 0203_6_enlarged portion
 【図2-4b】巌松堂書店の暑中見舞い(拡大)(1906)
 
 しかし、映っている人物の姿勢がまったく同じことがわかる。写真を翌年の暑中見舞いに
転用していたことがわかる。戦前、写真を撮るというのは戦後よりずっと手間だったからだ。
 

一誠堂書店のエハガキ

 せっかくなので一誠堂のエハガキ【図2-5】以下も紹介しておく。「一誠堂書店新築落成紀年絵はかき」と印刷されたタトウに入っっていたので、1931(昭和6)年の新築記念で配られたセットものだとわかる。

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 【図2-5】「一誠堂書店全景」(1931)

 【図2-5】の建物の「全景」はパッと見、かなり修正された写真か、絵であることがわかる。頂上の旗などはほぼ書き込んだものだろう。これは写真エハガキ全般で注意しなければならないが、現在の写真と異なり、「絵になる」――今風に言えば「映える」――ようにするのが写真師の腕前で、鉛筆などで原板に修正をかけるのがむしろ普通のことだった。
 
 【図2-6】は一誠堂の1階で、現在もほぼ同じ構造になっていることがわかるが、【図2-7】は2階で、現在の本棚と違う自立書架が新設時に入っていたことがわかる。建築図からはわからない内部の運用がわかるのが写真エハガキである。

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 【図2-6】一誠堂一階陳列室

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 【図2-7】一誠堂二階陳列室の一部

 たまたま別に「一誠堂書店三十周年記念絵葉書」【図2-8a】の一枚がある。別に調べると三十周年記念は1933(昭和8)年なので、その時に頒布されたものだろう。
 【図2-5】の「全景」と比べてみると、右側の「大成堂書店」「稲垣支店」が、いまの明倫館のところに建っているので、【図2-5】「全景」はそもそも撮影ができない部分があることがわかる。逆にその部分は修正、というかほぼ絵として描かれた部分になるだろう。また一誠堂正面の街灯は【図2-5】にもあるが、右の木製電信柱は「修正」されて、無くなっていることもわかる。記念のエハガキは、実態というより、多分に理想を描くものであることがわかるだろう。

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 【図2-8a】「一誠堂書店三十周年記念絵葉書」の一枚(1933)

 さらに【図2-8a】の右側を拡大すると、大成堂書店、稲垣支店、高岡分店の3つの古書店が映り込んでいるのがわかる。コロタイプ印刷の有り難みで、看板や金文字も読める。大成堂書店は「中等教科書」と「基督教書」が専門。稲垣支店は「勉強第一主義」と専門は不明だが
電柱に「医学書売買稲垣書店」とあるので支店でも医書が専門だったかもしれない。
 
高岡分店は「高等学校受験書」「中学校虎の巻」といった「〔学習〕参考書専門」の書店である(書物蔵氏によると高岡は2019年までマンガ専門店だった)。戦前の古書店で、義務教育でなかった中学校などの教科書販売や、学習参考書の売買が盛んだったことは古書店史上では有名なことである。大成堂書店前に駐車している「箱車」にはおそらく本が入っていたことだろう。本屋や取次は大正期まで箱車で集荷したものだった(その後、自転車)。
 
 この拡大部分で言えることは、中小小売店の写真というのは、こういった「映り込み」で
結構見つけることができるということだ。

 0203_11_a part of poscard
 【図2-8b】大成堂書店、稲垣支店、高岡分店
(「一誠堂書店三十周年記念絵葉書」の部分、1933)

 次回は古書展のエハガキを予定している。意外にも、そういったものがあるのです。

 
 

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2025年1月24日 第411号

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1.まもなく発売開始!『大阪古書組合百年史』
 
               『大阪古書組合百年史』編纂委員会
                       坂本卓也(一冊堂)

2.『古本屋ツアー・イン・ジャパン2024年総決算報告』
                  古本屋ツーリスト 小山力也

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━━━━━━━━━━【自著を語る(番外編)】━━━━━━━━━━

まもなく発売開始!『大阪古書組合百年史』

                『大阪古書組合百年史』編纂委員会
                        坂本卓也(一冊堂)

 2022年の7月より編纂を開始した『大阪古書組合百年史』が、昨年末に
無事完成しました(現在予約受付中)。
 2年半にわたる編纂活動となりました。大阪古書組合としては、創立以来
初めて完成させる組合史となります。
 21名の編纂委員、そして6名の編集部員。また、40名を超える組合員に
原稿の執筆、座談会への出席をお願いしました。さらに多くの方々から資料の
提供を受け、それらがすべて合わさって今回の『大阪古書組合百年史』へと
実を結びました。

 大阪古書組合の創立は1924(大正13)年7月26日でした。発会式を
行った場所は大阪中之島の中央公会堂。この度百周年を記念して行う講演会、
式典の会場も、百年前と同じ中央公会堂を選びました。
 
続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=19191
 
 

━━━━【大阪の古本屋 百年の歴史を探る
   『大阪古書組合百年史』発行のお知らせ】━━━━━━━

大阪府古書籍商業協同組合は、1924年7月26日に大阪市中央公会堂
にて発足式を行い、昨年7月26日に創立100周年を迎えました。
100周年記念事業の一環として2025年2月1日に『大阪古書組合
百年史』を刊行いたします。ただ今予約販売を承っておりますので、
ぜひ多くの皆さまに覧いただければ幸いです。
詳細は大阪古書組合のホームページをご確認ください。

書名:『大阪古書組合百年史』 創立百周年記念誌
発行元:大阪府古書籍商業協同組合
判型/ページ数:A5判/746頁※限定1,000部
販売価格:8,000円(税込) 
予約限定価格7,200円(税込)送料600円
予約期間:令和7年1月1日~1月31日まで

令和7年1月1日より予約受付中!
https://www.osaka-kosho.net/news/2027/

 

━━━━━━━━━━【古本屋ツアーインジャパン】━━━━━━━━━

『古本屋ツアー・イン・ジャパン2024年総決算報告』

                    古本屋ツーリスト 小山力也

 正直に告白してしまおう。2024年は、古本屋ツアーをサボりまくった年で
あったと。その原因は、九月に大阪「梅田蔦屋書店」で一ヶ月間開催された、
たった独りの古本市『古本屋ツアー・イン・ジャパン 秋のお蔵出し』のために、
セレクト古本664冊(結束本にすると三十本弱といったところか)を用意した
ことにある。古本屋さんならお茶の子さいさいの冊数であるが、素人にとって
ある程度のクオリティを保ちつつ準備するのは、やはり至難の業なのであった。

そのため手持ちの本だけでは当然足りず、好みの本が安く買える可能性のある
定点観測店にいつも以上に通い詰め、本を買い漁ったのである。これがおよそ
五ヶ月ほどの基本行動となったので、自然と新しいお店や移転したお店を訪ねる
のが疎かになってしまった……。
 
続きはこちら
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=18530
 
 
小山力也
2008年5月からスタートした、日本全国の古本屋&古本が売っている場所の、
全調査踏破を目指す無謀なブログ『古本屋ツアー・イン・ジャパン』管理人。
西荻窪「盛林堂書房」の『フォニャルフ』棚と大阪「梅田蔦屋書店」で古本を
販売中。「本の雑誌」にて『毎日でも通いたい古本屋さん』、「日本古書通信」
にて『ミステリ懐旧三面鏡』連載中。
http://furuhonya-tour.seesaa.net/
 
 

━━━━━━━━━【書影から探せる書籍リスト】━━━━━━━━━

「日本の古本屋」で販売している書籍を、テーマを深掘りして書影から
探せるページをリリースしました。「日本の古本屋」には他のWebサイト
には無い書籍がたくさんあります。ぜひ気になるテーマから書籍を探して
みてください。
 
「日本の古本屋」書影から探せる書籍リスト
https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=13964

━━━━━━━━━━━━━【次回予告】━━━━━━━━━━━━━

書名:会社と社会の読書会
発行元:黒鳥社
編集:コクヨ野外学習センター・WORKSIGHT
著者:畑中章宏、若林恵、山下正太郎、工藤沙希
判型/ページ数:A5判/224頁
販売価格:1,980円(税込) 

https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784910801018

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書名:未来からの遺言 ある被爆者体験の伝記
発行元:編集室水平線刊
著者:伊藤明彦
判型/ページ数:四六判並製カバー装/356頁
販売価格:2,420円(税込) 

https://suiheisen2017.jp/product/3763/

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【発行者】
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